JP2001295033A - Ni−P系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
Ni−P系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法Info
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- JP2001295033A JP2001295033A JP2000105070A JP2000105070A JP2001295033A JP 2001295033 A JP2001295033 A JP 2001295033A JP 2000105070 A JP2000105070 A JP 2000105070A JP 2000105070 A JP2000105070 A JP 2000105070A JP 2001295033 A JP2001295033 A JP 2001295033A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ハードディスクのシード膜等の硬質層形成に
用いられるNi−P系スパッタリング用ターゲットおよ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 NiとPとを主要成分とし、あらかじめ
合金化された粉末が焼結した組織を有するNi−P系ス
パッタリング用ターゲットであって、ターゲットミクロ
組織中に確認される前記粉末を起源とする粉末痕跡相の
最大粒径100μm以下、含有酸素量300ppm以下
であるNi−P系スパッタリング用ターゲット。
用いられるNi−P系スパッタリング用ターゲットおよ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 NiとPとを主要成分とし、あらかじめ
合金化された粉末が焼結した組織を有するNi−P系ス
パッタリング用ターゲットであって、ターゲットミクロ
組織中に確認される前記粉末を起源とする粉末痕跡相の
最大粒径100μm以下、含有酸素量300ppm以下
であるNi−P系スパッタリング用ターゲット。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスクの
シード膜等の硬質層形成に用いられるNi−P系スパッ
タリング用ターゲットおよびその製造方法に関するもの
である。
シード膜等の硬質層形成に用いられるNi−P系スパッ
タリング用ターゲットおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの外部記録媒体として使用
されるハードディスクなどの磁気記録媒体は、Al上に
NiとPで構成される硬質層を設けた後、メカニカルな
方法でテクスチャーを施した基板あるいはセラミックス
などの基板の上に、磁性薄膜の磁化容易軸を揃えること
のできるCr合金等の下地膜、Co−Cr−Pt−Ta
などの磁性薄膜、潤滑層となるカーボン膜の順で積層し
た構造を有するものである。一方、ハードディスクは、
小型化等に伴なって、平滑性の優れたガラス基板を用い
たハードディスクが提案されている。従来硬質であるガ
ラス基板を用いる場合、硬質なNi−P膜を特に必要と
せず、結晶粒径と配向性の制御のためにAl合金等の薄
膜をシード膜に用い、磁気等方性媒体として製造されて
いた。
されるハードディスクなどの磁気記録媒体は、Al上に
NiとPで構成される硬質層を設けた後、メカニカルな
方法でテクスチャーを施した基板あるいはセラミックス
などの基板の上に、磁性薄膜の磁化容易軸を揃えること
のできるCr合金等の下地膜、Co−Cr−Pt−Ta
などの磁性薄膜、潤滑層となるカーボン膜の順で積層し
た構造を有するものである。一方、ハードディスクは、
小型化等に伴なって、平滑性の優れたガラス基板を用い
たハードディスクが提案されている。従来硬質であるガ
ラス基板を用いる場合、硬質なNi−P膜を特に必要と
せず、結晶粒径と配向性の制御のためにAl合金等の薄
膜をシード膜に用い、磁気等方性媒体として製造されて
いた。
【0003】最近、高い磁気特性、小さいビットシフ
ト、高い解像度、低いノイズおよびディスク全面にわた
る高い均一性を目的として、ガラス基板を用いたハード
ディスクでもNi−P膜のアモルファス膜の性質を利用
してスパッタリングにより形成した後、メカニカルな方
法でテクスチャー加工を施すことにより磁気異方性媒体
としたハードディスクが製造されるようになってきた。
このNi−P膜を形成するためのスパッタリング用ター
ゲットとしては、Pの蒸気圧が大きいために、溶解−鋳
造法では主成分の1つであるPの組成制御が難しいこと
から、粉末焼結法を用いて製造されたものが主流であ
る。
ト、高い解像度、低いノイズおよびディスク全面にわた
る高い均一性を目的として、ガラス基板を用いたハード
ディスクでもNi−P膜のアモルファス膜の性質を利用
してスパッタリングにより形成した後、メカニカルな方
法でテクスチャー加工を施すことにより磁気異方性媒体
としたハードディスクが製造されるようになってきた。
このNi−P膜を形成するためのスパッタリング用ター
ゲットとしては、Pの蒸気圧が大きいために、溶解−鋳
造法では主成分の1つであるPの組成制御が難しいこと
から、粉末焼結法を用いて製造されたものが主流であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近のハードディスク
では記録容量の増大化に対応するため、磁気ヘッドと回
転中のハードディスクをより接近させる必要があるが、
その膜中に異物が有ると膜に凹凸ができ、ヘッドが膜に
衝突したり、ヘッドの浮上量が変動したりして記録再生
時にエラーが発生するという問題が発生した。本発明は
異物の発生を抑制したNi−P系スパッタリング用ター
ゲットとその製造方法を提供することを目的とする。
では記録容量の増大化に対応するため、磁気ヘッドと回
転中のハードディスクをより接近させる必要があるが、
その膜中に異物が有ると膜に凹凸ができ、ヘッドが膜に
衝突したり、ヘッドの浮上量が変動したりして記録再生
時にエラーが発生するという問題が発生した。本発明は
異物の発生を抑制したNi−P系スパッタリング用ター
ゲットとその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者が検討したとこ
ろ、ハードディスクに発生する凹凸に起因するNi−P
系膜中の異物の発生は、スパッタリング中にターゲット
から発生する巨大粒子がその原因の一つであることを確
認した。そして、更なる検討の結果、スパッタリング用
ターゲツトのミクロ組織の最適化と酸素量の低減化の相
乗効果により、Ni−P系膜中の異物を著しく抑制でき
ることを見いだした。
ろ、ハードディスクに発生する凹凸に起因するNi−P
系膜中の異物の発生は、スパッタリング中にターゲット
から発生する巨大粒子がその原因の一つであることを確
認した。そして、更なる検討の結果、スパッタリング用
ターゲツトのミクロ組織の最適化と酸素量の低減化の相
乗効果により、Ni−P系膜中の異物を著しく抑制でき
ることを見いだした。
【0006】すなわち、本発明は、NiとPとを主要成
分とし、あらかじめ合金化された粉末が焼結した組織を
有するNi−P系スパッタリング用ターゲットであっ
て、ターゲットミクロ組織中に確認される前記粉末を起
源とする粉末痕跡相の最大粒径100μm以下、含有酸
素量300ppm以下であるNi−P系スパッタリング
用ターゲットである。
分とし、あらかじめ合金化された粉末が焼結した組織を
有するNi−P系スパッタリング用ターゲットであっ
て、ターゲットミクロ組織中に確認される前記粉末を起
源とする粉末痕跡相の最大粒径100μm以下、含有酸
素量300ppm以下であるNi−P系スパッタリング
用ターゲットである。
【0007】本発明のターゲットは、例えば、NiとP
とを主要成分とするガスアトマイズ粉末を得た後、得ら
れたガスアトマイズ粉末を、分級および/または粉砕に
より最大粒径100μm以下とし、次いで加圧焼結する
ことによって得ることができる。
とを主要成分とするガスアトマイズ粉末を得た後、得ら
れたガスアトマイズ粉末を、分級および/または粉砕に
より最大粒径100μm以下とし、次いで加圧焼結する
ことによって得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】上述したように、本発明の特徴
は、スパッタリング用ターゲツトのミクロ組織の最適化
と酸素量の低減化の相乗効果により、Ni−P系膜中の
異物を著しく抑制できたことにある。
は、スパッタリング用ターゲツトのミクロ組織の最適化
と酸素量の低減化の相乗効果により、Ni−P系膜中の
異物を著しく抑制できたことにある。
【0009】以下詳しく説明する。本発明者は、焼結し
たNi−P系ターゲットの異物の発生を詳細に検討した
ところ、スパッタリング期間中にターゲットのエロージ
ョン領域に凹凸が発生し、それが大きい場合、形成する
薄膜上に異物が多く発生することを確認した。そして、
ターゲットのエロージョン領域の凹凸の発生が、焼結す
る原料粉末の粒径、およびターゲット中に含有される酸
素量に依存することを突き止めた。具体的には、ターゲ
ットミクロ組織中に確認される原料粉末を起源とする粉
末痕跡相の最大粒径100μm以下、含有酸素量300
ppm以下とすると、ターゲットのエロージョン部の表
面粗さが10μmRmaxより細かくなり、異物の発生
が抑制できる。
たNi−P系ターゲットの異物の発生を詳細に検討した
ところ、スパッタリング期間中にターゲットのエロージ
ョン領域に凹凸が発生し、それが大きい場合、形成する
薄膜上に異物が多く発生することを確認した。そして、
ターゲットのエロージョン領域の凹凸の発生が、焼結す
る原料粉末の粒径、およびターゲット中に含有される酸
素量に依存することを突き止めた。具体的には、ターゲ
ットミクロ組織中に確認される原料粉末を起源とする粉
末痕跡相の最大粒径100μm以下、含有酸素量300
ppm以下とすると、ターゲットのエロージョン部の表
面粗さが10μmRmaxより細かくなり、異物の発生
が抑制できる。
【0010】粉末痕跡相の最大粒径を小さくすると、タ
ーゲットに発生する凹凸が減少する理由は、粉末を小さ
くすることにより、スパッタリングの方向性に影響する
結晶方位の影響が少なくなるためと考えられる。また、
酸素量を低減することで、ターゲットに発生する凹凸が
減少する理由は、Pは非常に酸化し易く、酸化物の部分
は他の部分よりスパッタイールドが低いことから突起を
形成しやすくなってしまうためと考えられる。
ーゲットに発生する凹凸が減少する理由は、粉末を小さ
くすることにより、スパッタリングの方向性に影響する
結晶方位の影響が少なくなるためと考えられる。また、
酸素量を低減することで、ターゲットに発生する凹凸が
減少する理由は、Pは非常に酸化し易く、酸化物の部分
は他の部分よりスパッタイールドが低いことから突起を
形成しやすくなってしまうためと考えられる。
【0011】また、本発明のターゲットにおいて、その
密度は95%以上の高密度品であることが、表面粗さの
粗大化抑制、異物発生の抑制の点で望ましい。本発明の
ターゲットを製造する場合には、原料粉末表面に吸着酸
素、酸化膜が存在して焼結が阻害され圧密が困難化する
場合がある。この場合HIPやホットプレス等により加
圧下で焼結することが好ましい。
密度は95%以上の高密度品であることが、表面粗さの
粗大化抑制、異物発生の抑制の点で望ましい。本発明の
ターゲットを製造する場合には、原料粉末表面に吸着酸
素、酸化膜が存在して焼結が阻害され圧密が困難化する
場合がある。この場合HIPやホットプレス等により加
圧下で焼結することが好ましい。
【0012】本発明のターゲットの製造方法において、
原料粉末は、ガスアトマイズ法などの急冷粉末をそのま
ま、または分級あるいは機械的粉砕さらにその組み合わ
せを併用することで実質的最大粒径100μm以下、含
有酸素量300ppm以下とされる。
原料粉末は、ガスアトマイズ法などの急冷粉末をそのま
ま、または分級あるいは機械的粉砕さらにその組み合わ
せを併用することで実質的最大粒径100μm以下、含
有酸素量300ppm以下とされる。
【0013】本発明では、酸素量が300ppmを超え
なければ鋳造インゴットを粉砕する方法などで製造する
ことも可能であるが、粉砕時の酸素増加が著しいため、
好ましくはガスアトマイズ法により原料粉末を製造す
る。上記の機械的粉砕は、ガスアトマイズ後の粉末また
は塊を、ボールミル、アトライター、遊星ボールミル、
振動ボールミル等により機械的に行なうとよい。ただ
し、粉砕中の酸素吸着による酸素含有量の増加を防ぐた
めに、真空中あるいはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲
気中で行なうことが好ましい。
なければ鋳造インゴットを粉砕する方法などで製造する
ことも可能であるが、粉砕時の酸素増加が著しいため、
好ましくはガスアトマイズ法により原料粉末を製造す
る。上記の機械的粉砕は、ガスアトマイズ後の粉末また
は塊を、ボールミル、アトライター、遊星ボールミル、
振動ボールミル等により機械的に行なうとよい。ただ
し、粉砕中の酸素吸着による酸素含有量の増加を防ぐた
めに、真空中あるいはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲
気中で行なうことが好ましい。
【0014】焼結温度は、混合粉末が焼結中に液相を発
現しない温度であることが好ましい。好ましくは、共晶
温度より30℃低い温度(共晶温度−30℃)以下とす
る。これは、液相発現温度を局部的にも越えると、ホッ
トプレスのダイやHIPの鉄製等の缶とNiやPが反応
してターゲットが汚染される恐れがあるためである。ま
た、組織、組成分布の不均一性に基づく密度むらや局部
的な脆化の発生防止の観点からも固相焼結が好ましい。
現しない温度であることが好ましい。好ましくは、共晶
温度より30℃低い温度(共晶温度−30℃)以下とす
る。これは、液相発現温度を局部的にも越えると、ホッ
トプレスのダイやHIPの鉄製等の缶とNiやPが反応
してターゲットが汚染される恐れがあるためである。ま
た、組織、組成分布の不均一性に基づく密度むらや局部
的な脆化の発生防止の観点からも固相焼結が好ましい。
【0015】
【実施の実施の形態】(実施例1)アトマイズ法により
80Ni20P(at%)の最大粒径100μm、酸素
含有量120ppmの合金原料粉末を得た。得られた粉
末を軟鉄製のHIP用の缶に充填し、120MPa、8
40℃の条件でHIPを行い、得られた焼結体を機械加
工によりφ180mm×10mmtのターゲットとした
(試料No.1)。なお、酸素含有量は、HIP焼結処
理で殆ど変化しないことが確認されている。
80Ni20P(at%)の最大粒径100μm、酸素
含有量120ppmの合金原料粉末を得た。得られた粉
末を軟鉄製のHIP用の缶に充填し、120MPa、8
40℃の条件でHIPを行い、得られた焼結体を機械加
工によりφ180mm×10mmtのターゲットとした
(試料No.1)。なお、酸素含有量は、HIP焼結処
理で殆ど変化しないことが確認されている。
【0016】比較例1として、アトマイズ法により80
Ni20P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有
量60ppmの合金原料粉末を得た。この粉末を上記と
同様にHIPを施し、機械加工により同一寸法のターゲ
ットとした(試料No.2)。比較例2として、Niと
Pの粉末を80Ni20P(at%)となるようにに調
合し、V型ブレンダーで混合した後、N2雰囲気炉にて
800℃で12時間加熱し合金仮焼結体を得た。この仮
焼結体を粗粉砕後ボールミルに移し、ボールミル内をア
ルゴンガスで置換し、2時間粉砕して最大粒径100μ
mの合金原料粉末を得た。該粉末の酸素含有量は260
0ppmであった。この粉末を上記と同様にHIP処理
を施し、機械加工により同一寸法のターゲットとした
(試料No.3)。
Ni20P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有
量60ppmの合金原料粉末を得た。この粉末を上記と
同様にHIPを施し、機械加工により同一寸法のターゲ
ットとした(試料No.2)。比較例2として、Niと
Pの粉末を80Ni20P(at%)となるようにに調
合し、V型ブレンダーで混合した後、N2雰囲気炉にて
800℃で12時間加熱し合金仮焼結体を得た。この仮
焼結体を粗粉砕後ボールミルに移し、ボールミル内をア
ルゴンガスで置換し、2時間粉砕して最大粒径100μ
mの合金原料粉末を得た。該粉末の酸素含有量は260
0ppmであった。この粉末を上記と同様にHIP処理
を施し、機械加工により同一寸法のターゲットとした
(試料No.3)。
【0017】また、本発明例としてアトマイズ法により
80Ni20P(at%)の最大粒径250μm、酸素
含有量120ppmの合金原料粉末を得、ボールミルに
移し、ボールミル内をアルゴンガスで置換して2時間粉
砕して最大粒径75μm、酸素含有量200ppmの合
金原料粉末を得た。この粉末を上記と同様にHIP処理
を施し、機械加工により同一寸法のターゲットとした
(試料No.4)。
80Ni20P(at%)の最大粒径250μm、酸素
含有量120ppmの合金原料粉末を得、ボールミルに
移し、ボールミル内をアルゴンガスで置換して2時間粉
砕して最大粒径75μm、酸素含有量200ppmの合
金原料粉末を得た。この粉末を上記と同様にHIP処理
を施し、機械加工により同一寸法のターゲットとした
(試料No.4)。
【0018】以上によって得られた4種のターゲットの
顕微鏡観察写真(倍率100倍)を図1〜4に示す。各
写真において、黒い斑点はポアまたは酸化物、暗い灰色
の部分はNi3P(化合物)相、灰色の部分は金属Ni
相である。なお、これらの写真中で酸化物は、主にP酸
化物である。これらの写真から、粉末痕跡相を確認し
た。粉末痕跡相は、これらの図から確認できるもので原
料粉末の痕跡であり、実施例では、実質的に原料粉末の
粒径と同じであった。
顕微鏡観察写真(倍率100倍)を図1〜4に示す。各
写真において、黒い斑点はポアまたは酸化物、暗い灰色
の部分はNi3P(化合物)相、灰色の部分は金属Ni
相である。なお、これらの写真中で酸化物は、主にP酸
化物である。これらの写真から、粉末痕跡相を確認し
た。粉末痕跡相は、これらの図から確認できるもので原
料粉末の痕跡であり、実施例では、実質的に原料粉末の
粒径と同じであった。
【0019】なお、本発明品である試料No.1は、ア
トマイズ時の急冷により細かく入り組んだ化合物相と金
属Ni相からなる粒子が、全体的に相互にポアを生ずる
ことなく結合している。本発明品である試料No.4は
含有酸素がやや多いため、粉砕粒子間に微細なポアを残
留しているが、その量は許容できる程度である。
トマイズ時の急冷により細かく入り組んだ化合物相と金
属Ni相からなる粒子が、全体的に相互にポアを生ずる
ことなく結合している。本発明品である試料No.4は
含有酸素がやや多いため、粉砕粒子間に微細なポアを残
留しているが、その量は許容できる程度である。
【0020】比較例である試料No.2は、原料粉の含
有酸素量自体は低いが、組織中のアトマイズ粒が大径で
あり、かつ大粒のため粒間に大きなポアを残留してい
る。この大径粒であり、また大きなポアを残留している
ため、スパッタリングに供された時その面は表面粗さが
粗く、かつ突起物を有するものとなり、膜中に異物を発
生し易くなる。比較例である試料No.3は、原料粉の
含有有酸素量が高いため無数の酸化物を含有しており、
スパッタリングに供された時その面には多数の突起物を
有するものとなり、膜中に異物を発生し易くなる。
有酸素量自体は低いが、組織中のアトマイズ粒が大径で
あり、かつ大粒のため粒間に大きなポアを残留してい
る。この大径粒であり、また大きなポアを残留している
ため、スパッタリングに供された時その面は表面粗さが
粗く、かつ突起物を有するものとなり、膜中に異物を発
生し易くなる。比較例である試料No.3は、原料粉の
含有有酸素量が高いため無数の酸化物を含有しており、
スパッタリングに供された時その面には多数の突起物を
有するものとなり、膜中に異物を発生し易くなる。
【0021】またEPMAにて酸化物を確認したが、本
発明品である試料No.1と試料No.4は粒径も細か
く酸化物もほとんどなかった。試料No.2は酸化物は
ほとんど無く、試料No.3は細かいが酸化物が多数残
存していた。
発明品である試料No.1と試料No.4は粒径も細か
く酸化物もほとんどなかった。試料No.2は酸化物は
ほとんど無く、試料No.3は細かいが酸化物が多数残
存していた。
【0022】これらのターゲットを用いて2.5インチ
ガラス基板上にスパッタリングにより薄膜を形成する工
程を含む処理によりハードディスクを製作し、グライド
ヘッドにて凸欠陥の確認および表面粗さテストを行っ
た。以上の結果を表1にまとめて示す。但し、比較例は
針形触針のみで止め、本発明は針形およびおの形の両方
により、値の大きい方を記載した。表1から、本発明の
ターゲットNo.1および4は、スパッタリング表面の
表面粗さが両触針とも10μmRmax以下であり、グ
ライドヘッドによる凸欠陥が皆無であることが解る。
ガラス基板上にスパッタリングにより薄膜を形成する工
程を含む処理によりハードディスクを製作し、グライド
ヘッドにて凸欠陥の確認および表面粗さテストを行っ
た。以上の結果を表1にまとめて示す。但し、比較例は
針形触針のみで止め、本発明は針形およびおの形の両方
により、値の大きい方を記載した。表1から、本発明の
ターゲットNo.1および4は、スパッタリング表面の
表面粗さが両触針とも10μmRmax以下であり、グ
ライドヘッドによる凸欠陥が皆無であることが解る。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例2)アトマイズによる80Ni2
0P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有量12
0ppmの合金原料粉末をボールミルに移し、ボールミ
ル内をアルゴンガスで置換して粉砕して各々、最大粒径
と酸素量が異なる粉末を得た。得られた混合粉末を実施
例1と同様の処理によりターゲットとした(試料No.
5〜8)。またそのターゲットを使って実施例1と同様
にハードディスクを作成し、グライドヘッドにて凸欠陥
の確認および表面粗さテストを行った。その結果を表2
に示す。但し、表面粗さテスト要領は実施例1と同様と
した。表2から分かる通り、本発明のターゲット(試料
No.5、6)では欠陥が発生しなかったが、試料N
o.7では含有酸素量が多いため、試料No.8では粒
径が大きいため、欠陥が発生している。
0P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有量12
0ppmの合金原料粉末をボールミルに移し、ボールミ
ル内をアルゴンガスで置換して粉砕して各々、最大粒径
と酸素量が異なる粉末を得た。得られた混合粉末を実施
例1と同様の処理によりターゲットとした(試料No.
5〜8)。またそのターゲットを使って実施例1と同様
にハードディスクを作成し、グライドヘッドにて凸欠陥
の確認および表面粗さテストを行った。その結果を表2
に示す。但し、表面粗さテスト要領は実施例1と同様と
した。表2から分かる通り、本発明のターゲット(試料
No.5、6)では欠陥が発生しなかったが、試料N
o.7では含有酸素量が多いため、試料No.8では粒
径が大きいため、欠陥が発生している。
【0025】
【表2】
【0026】(実施例3)アトマイズによる75Ni2
5P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有量12
0ppmの合金原料粉末をボールミルに移し、ボールミ
ル内をアルゴンガスで置換してから粉砕して、最大粒径
75μm、酸素含有量180ppmの粉末を得た(試料
No.9)。アトマイズによる80Ni20P(at
%)の最大粒径250μm、酸素含有量120ppmの
合金原料粉末を、該粉末:Crの比率が9:1(at
%)になるように、最大粒径70μmのCr粉をボール
ミルに移し、ボールミル内をアルゴンガスで置換してか
ら粉砕して、最大粒径75μm、酸素含有量180pp
mの粉末を得た(試料No.10)。
5P(at%)の最大粒径250μm、酸素含有量12
0ppmの合金原料粉末をボールミルに移し、ボールミ
ル内をアルゴンガスで置換してから粉砕して、最大粒径
75μm、酸素含有量180ppmの粉末を得た(試料
No.9)。アトマイズによる80Ni20P(at
%)の最大粒径250μm、酸素含有量120ppmの
合金原料粉末を、該粉末:Crの比率が9:1(at
%)になるように、最大粒径70μmのCr粉をボール
ミルに移し、ボールミル内をアルゴンガスで置換してか
ら粉砕して、最大粒径75μm、酸素含有量180pp
mの粉末を得た(試料No.10)。
【0027】得られた粉砕粉末および粉砕混合粉末を実
施例1と同様にターゲットとし、そのターゲットを使用
して実施例1と同様にハードディスクとし、グライドヘ
ッドにて凸欠陥の確認および表面粗さテストを行った。
その結果を表3に示す。但し、表面粗さテスト要領は実
施例1と同様とした。いずれも、スパッタリングに供さ
れた面の表面の表面粗さは10μmRmax以下であ
り、ハードディスクの欠陥はなかった。
施例1と同様にターゲットとし、そのターゲットを使用
して実施例1と同様にハードディスクとし、グライドヘ
ッドにて凸欠陥の確認および表面粗さテストを行った。
その結果を表3に示す。但し、表面粗さテスト要領は実
施例1と同様とした。いずれも、スパッタリングに供さ
れた面の表面の表面粗さは10μmRmax以下であ
り、ハードディスクの欠陥はなかった。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明により組織
中の実質的最大粒径が100μm以下、含有酸素量が3
00ppm以下としたNiP合金スパッタリングターゲ
ットは、スパッタリングに供された面の表面の表面粗さ
が10μmRmax以下となるから、欠陥の少ない、歩
留の高いハードディスクの製造が可能である。
中の実質的最大粒径が100μm以下、含有酸素量が3
00ppm以下としたNiP合金スパッタリングターゲ
ットは、スパッタリングに供された面の表面の表面粗さ
が10μmRmax以下となるから、欠陥の少ない、歩
留の高いハードディスクの製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料No.1のターゲット(機械加工状態)の
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図2】試料No.4のターゲット(機械加工状態)の
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図3】試料No.2のターゲット(機械加工状態)の
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図4】試料No.3のターゲット(機械加工状態)の
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
ミクロ顕微鏡写真(倍率100倍)である。
Claims (2)
- 【請求項1】 NiとPとを主要成分とし、あらかじめ
合金化された粉末が焼結した組織を有するNi−P系ス
パッタリング用ターゲットであって、ターゲットミクロ
組織中に確認される前記粉末を起源とする粉末痕跡相の
最大粒径100μm以下、含有酸素量300ppm以下
であることを特徴とするNi−P系スパッタリング用タ
ーゲット。 - 【請求項2】 NiとPとを主要成分とするガスアトマ
イズ粉末を得た後、得られたガスアトマイズ粉末を、分
級および/または粉砕により最大粒径100μm以下と
し、次いで加圧焼結することを特徴とするNi−P系ス
パッタリング用ターゲットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000105070A JP2001295033A (ja) | 2000-04-06 | 2000-04-06 | Ni−P系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000105070A JP2001295033A (ja) | 2000-04-06 | 2000-04-06 | Ni−P系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001295033A true JP2001295033A (ja) | 2001-10-26 |
Family
ID=18618504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000105070A Pending JP2001295033A (ja) | 2000-04-06 | 2000-04-06 | Ni−P系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001295033A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013161254A1 (ja) * | 2012-04-23 | 2013-10-31 | 株式会社デンソー | 半導体装置 |
KR20160135319A (ko) | 2014-03-27 | 2016-11-25 | 제이엑스금속주식회사 | Ni-P 합금 또는 Ni-Pt-P 합금으로 이루어지는 스퍼터링 타깃 및 그 제조 방법 |
-
2000
- 2000-04-06 JP JP2000105070A patent/JP2001295033A/ja active Pending
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