JP2001294667A - セルロースアセテート溶液の製造方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法 - Google Patents

セルロースアセテート溶液の製造方法およびセルロースアセテートフイルムの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定なセルロースアセテート溶液を、効率良
く製造する。 【解決手段】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
有するセルロースアセテートの粒子であって、粒子の9
0重量%以上が0.1乃至4mmの粒子径を有するセル
ロースアセテートの粒子と、酢酸メチルを50重量%以
上含む溶媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒に
より膨潤させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10
℃に冷却する工程;そして冷却した膨潤混合物を0乃至
120℃に加温して、溶媒中にセルロースアセテートを
溶解させる工程によりセルロースアセテート溶液を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ート溶液およびセルロースアセテートフイルムの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテート、特に58.0乃
至62.5%の平均酢化度を有するセルロースアセテー
ト(一般にセルローストリアセテートに分類されるも
の)は、その強靭性と難燃性から様々な分野で使用され
ている。セルロースアセテートフイルムは、代表的な写
真感光材料の支持体である。また、セルロースアセテー
トフイルムは、その光学的等方性から、近年市場の拡大
している液晶表示装置にも用いられている。液晶表示装
置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイル
ムおよびカラーフィルターが代表的である。セルロース
アセテートフイルムは、一般にソルベントキャスト法ま
たはメルトキャスト法により製造する。ソルベントキャ
スト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解した
溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させて
フイルムを形成する。メルトキャスト法では、セルロー
スアセテートを加熱により溶融したものを支持体上に流
延し、冷却してフイルムを形成する。ソルベントキャス
ト法の方が、メルトキャスト法よりも平面性の高い良好
なフイルムを製造することができる。このため、実用的
には、ソルベントキャスト法の方が普通に用いられてい
る。
【0003】セルロースアセテート溶液に用いる溶媒
は、セルロースアセテートを必要とされる濃度に溶解で
きる液体である。使用する溶媒には、安全性や蒸発させ
るために適度の沸点も要求される。特に近年では、溶媒
に対して、人体や環境に関する安全性が強く要求されて
いる。このため、セルロースアセテートを溶解できる液
体からこれらの要求を満足する溶媒を選択しようとして
も、適当な溶媒が見当たらないような状況が生じてい
る。セルローストリアセテートについては、メチレンク
ロリドが溶媒として従来から使用されていた。ところ
が、メチレンクロリドは、人体や地球環境に対する問題
から、その使用は著しく規制される方向にある。汎用の
有機溶剤であるアセトンは、適度の沸点(沸点:56
℃)を有し、人体や地球環境に対しても、他の有機溶媒
に比べて問題が少ない。しかし、58.0乃至62.5
%の平均酢化度を有するセルロースアセテートは、アセ
トンにより膨潤するが、通常の方法でアセトンに溶解さ
せることはできなかった。
【0004】J.M.G.Cowie他の論文、Mak
romol,Chem.、143巻、105頁(197
1年)は、置換度2.80(酢化度60.1%)から置
換度2.90(酢化度61.3%)のセルロースアセテ
ートを、アセトン中で−80℃から−70℃に冷却した
後、加温することにより、アセトン中にセルロースアセ
テートが0.5乃至5重量%に溶解している希薄溶液が
得られたことを報告している。以下、このようにセルロ
ースアセテートと溶媒との混合物を冷却した後、加温す
ることにより溶液を得る方法を「冷却溶解法」と称す
る。セルロースアセテートのアセトン中への溶解につい
ては、上出健二他の論文「三酢酸セルロースのアセトン
溶液からの乾式紡糸」、繊維機械学会誌、34巻、57
〜61頁(1981年)にも記載がある。この論文は、
その標題のように、冷却溶解法を紡糸方法の技術分野に
適用したものである。論文では、得られる繊維の力学的
性質、染色性や繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶
解法を検討している。この論文に記載の方法では、10
乃至25重量%の濃度を有するセルロースアセテートの
溶液が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような冷却溶解
法を用いて、セルロースアセテートがアセトン中に溶解
している溶液を製造することが可能になった。しかし、
セルロースアセテートがアセトン中に溶解している溶液
は、安定性が乏しいとの問題がある。セルロースアセテ
ート溶液の安定性は、セルロースアセテート製品を製造
するための重要な条件である。本発明の目的は、冷却溶
解法を改良し、安定なセルロースアセテート溶液を効率
よく製造できる方法を提供することである。本発明の別
の目的は、安定なセルロースアセテート溶液を用いて、
セルロースアセテート製品を製造することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(6)の方法および(7)の偏光板により達成
された。 (1)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセ
ルロースアセテートの粒子であって、粒子の90重量%
以上が0.1乃至4mmの粒子径を有するセルロースア
セテートの粒子と、酢酸メチルを50重量%以上含む溶
媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒により膨潤
させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却
する工程;そして冷却した膨潤混合物を0乃至120℃
に加温して、溶媒中にセルロースアセテートを溶解させ
る工程からなるセルロースアセテート溶液の製造方法。 (2)さらに、セルロースアセテートの粒子の50重量
%以上が2乃至3mmの粒子径を有する(1)に記載の
セルロースアセテート溶液の製造方法。 (3)セルロースアセテートの量が、混合物全体の5乃
至30重量%である(1)に記載のセルロースアセテー
ト溶液の製造方法。 (4)膨潤工程において、セルロースアセテートと溶媒
との混合物を1乃至180分攪拌する(1)に記載のセ
ルロースアセテート溶液の製造方法。 (5)58.0乃至62.5%の平均酢化度を有するセ
ルロースアセテートの粒子であって、粒子の90重量%
以上が0.1乃至4mmの粒子径を有するセルロースア
セテートの粒子と、酢酸メチルを50重量%以上含む溶
媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒により膨潤
させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却
する工程;冷却した膨潤混合物を0乃至120℃に加温
して、溶媒中にセルロースアセテートを溶解させる工
程;そして得られたセルロースアセテート溶液を支持体
上に流延する工程からなるセルロースアセテートフイル
ムの製造方法。 (6)製造されるセルロースアセテートフイルムが、偏
光板の保護膜である(5)に記載のセルロースアセテー
トフイルムの製造方法。 (7)(5)に記載の方法で製造されたセルロースアセ
テートフイルムを保護膜として有する偏光板。
【0007】
【発明の効果】本発明では、酢酸メチルを50重量%以
上含む溶媒(酢酸メチル系溶媒)を、冷却溶解法で使用
する。酢酸メチル系溶媒を用いると、安定なセルロース
アセテート溶液を製造することができる。しかし、本発
明者の研究により、セルロースアセテートを酢酸メチル
系溶媒により膨潤させる工程は、非常に時間がかかり、
効率が良くないことが判明した。膨潤に時間がかかる
と、生産性が著しく低下する。本発明者がさらに研究を
進めたところ、膨潤工程において特定の粒子サイズ(具
体的には0.1乃至4mm、好ましくは1乃至4mm)
のセルロースアセテート粒子を使用すると、膨潤に要す
る時間を著しく短縮できることが判明した。0.1mm
未満の粒子では、凝集(ダマ)が生じて、均一な分散が
難しく、膨潤に時間がかかることがある。また、4mm
を越える粒子では、粒子の中心部まで膨潤するために時
間がかかる。本発明では、最適な粒子サイズを有するセ
ルロースアセテート粒子を90重量%以上使用すること
で、膨潤時間を著しく短縮できる。以上の結果、本発明
の方法により、安定なセルロースアセテート溶液を効率
よく製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】[セルロースアセテート]本発明
に用いるセルロースアセテートは、平均酢化度(アセチ
ル化度)が58.0から62.5%である。酢化度と
は、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味する。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースア
セテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定お
よび計算に従う。本発明では、セルロースアセテート粒
子を使用し、使用する粒子の90重量%以上が0.1乃
至4mmの粒子径、好ましくは1乃至4mmを有する。
また、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97
重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、最も好
ましくは99重量%以上の粒子が0.1乃至4mmの粒
子径を有する。
【0009】さらに、使用する粒子の50重量%以上が
2乃至3mmの粒子径を有することが好ましい。より好
ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%
以上、最も好ましくは90重量%以上の粒子が2乃至3
mmの粒子径を有する。セルロースアセテートの粒子径
の分布状態は、篩いを用いて簡単に測定できる。すなわ
ち、目が4mmの篩いを通り、目が0.1mmの篩いを
通らない粒子が90重量%以上であれば、本発明の定義
を満足する。また、篩いを用いて、粒子径の分布が広い
市販のセルロースアセテート粒子から、0.1乃至4m
mの粒子径を有する粒子を選択することもできる。セル
ロースアセテート粒子は、なるべく球形に近い形状を有
することが好ましい。
【0010】[溶媒]本発明では、酢酸メチルを50重
量%以上含む酢酸メチル系溶媒を使用する。溶媒中の酢
酸メチルの割合は、60重量%以上であることが好まし
く、70重量%以上であることがさらに好ましい。酢酸
メチルのみ(100重量%)を溶媒として使用すること
もできる。他の溶媒と酢酸メチルとを併用することで、
製造する溶液の性質(例えば、粘度)を調節してもよ
い。酢酸メチルと併用できる溶媒の例には、ケトン類
(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン)、酢酸メチル以外のエステル類(例、メチルホルメ
ート、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルア
セテート)、エーテル類(例、ジオキサン、ジオキソラ
ン、THF、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエ
ーテル)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン)およびアルコール類(例、メタノール、
エタノール)が含まれる。炭化水素およびアルコール類
が特に好ましい。二種類以上の溶媒を、酢酸メチルと併
用してもよい。
【0011】[膨潤工程]膨潤工程においては、セルロ
ースアセテート粒子と溶媒とを混合し、セルロースアセ
テート粒子を溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度
は、−10乃至55℃であることが好ましい。通常は室
温で実施する。セルロースアセテートと溶媒との比率
は、最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一
般に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至
30重量%であることが好ましく、8乃至20重量%で
あることがさらに好ましく、10乃至15重量%である
ことが最も好ましい。溶媒とセルロースアセテートとの
混合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで
攪拌することが好ましい。攪拌時間は、1乃至180分
であることが好ましく、1乃至120分であることがさ
らに好ましい。膨潤工程において、溶媒とセルロースア
セテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、染
料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0012】[冷却工程]冷却工程においては、膨潤混
合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、
膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。冷却
速度は、1℃/分以上であることが好ましく、2℃/分
以上であることがより好ましく、4℃/分以上であるこ
とがさらに好ましく、8℃/分以上であることが最も好
ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000
℃/秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な
上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限であ
る。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終
的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷
却温度に達するまでの時間で割った値である。冷却工程
においては、冷却時の結露による水分混入を避けるた
め、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却時に
減圧すると、冷却時間を短縮することができる。減圧を
実施するためには、耐圧性容器を用いることが望まし
い。具体的な冷却手段としては、様々な方法または装置
が採用できる。
【0013】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構から
なる冷却装置が好ましく用いられる。また、−105乃
至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、さ
らに迅速に冷却することもできる。
【0014】さらに、−100乃至−10℃に冷却され
た液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0m
mの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、
さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。
冷却に使用する液体については、特に制限はない。冷却
された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより
膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加
温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分
離する工程を行なうことが好ましい。冷却工程におい
て、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合
物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例え
ば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出す
ことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の
開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液
体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板
状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造する
ことができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大
きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないよ
うに調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から
加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と
搬送を同時に実施することもできる。
【0015】[加温工程]加温工程においては、冷却し
た膨潤混合物を0乃至55℃に加温する。加温工程の最
終温度は、通常は室温である。加温速度は、1℃/分以
上であることが好ましく、2℃/分以上であることがよ
り好ましく、4℃/分以上であることがさらに好まし
く、8℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度
は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な
上限であり、1000℃秒が技術的な上限であり、そし
て100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度
は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差
を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまで
の時間で割った値である。加圧しながら加温すると、加
温時間を短縮することができる。加圧を実施するために
は、耐圧性容器を用いることが望ましい。なお、溶解が
不充分である場合は、冷却工程から加温工程までを繰り
返して実施してもよい。溶解が充分であるかどうかは、
目視により溶液の外観を観察するだけで判断することが
できる。具体的な加温手段としては、様々な方法または
装置が採用できる。
【0016】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
加温するため容器の周囲に設けられている加温機構から
なる加温装置が好ましく用いられる。
【0017】また、0乃至55℃に加温された液体中
へ、直径が0.1乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物
を入れることにより膨潤混合物を加温することで、さら
に迅速に膨潤混合物を加温することも可能である。冷却
工程において、膨潤混合物を糸状に押し出す方法を採用
した場合は、その糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投
入すればよい。冷却工程を糸状押し出し以外の方法で実
施した場合は、加温工程において冷却した膨潤混合物を
加温用液体中へ糸状に押し出す。加温に使用する液体に
ついては、(加温温度において液体である物質を用いる
ことは必要であるが)特に制限はない。前述した溶媒と
して使用できる液体が、加温用の液体として使用でき
る。なお、糸状押し出しを連続して実施する場合は、製
造したセルロースアセテート溶液を次の膨潤混合物の加
温用の液体として順次利用することができる。すなわ
ち、製造し加温された状態のセルロースアセテート溶液
中に、糸状の膨潤混合物を投入し、混合物を迅速に加温
してセルロースアセテート溶液を得る。
【0018】さらに、冷却した膨潤混合物を筒状の容器
内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割
し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転さ
せ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲か
ら膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、
物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた
容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代
表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニ
ックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに
180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを
二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレ
メントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されて
いる。
【0019】さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整
された圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物
を加温してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定す
るが一般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶
媒の沸点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20
kgw/cm2 である。
【0020】[溶液製造後の処理]製造した溶液は、必
要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度
調整、成分添加などの処理を実施することができる。添
加する成分は、セルロースアセテート溶液の用途に応じ
て決定する。代表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤
(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化
剤、酸捕獲剤)、染料および紫外線吸収剤である。得ら
れたセルロースアセテート溶液は、様々な用途に用いら
れる。
【0021】[セルロースアセテートフイルムの製造]
セルロースアセテート溶液の代表的な用途であるソルベ
ントキャスト法による高分子フイルムの製造について説
明する。セルロースアセテート溶液は、支持体上に流延
し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前の溶
液は、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調
整することが好ましい。支持体表面は、鏡面状態に仕上
げておくことが好ましい。支持体としては、ドラムまた
はバンドが用いられる。ソルベントキャスト法における
流延および乾燥方法については、米国特許233631
0号、同2367603号、同2492078号、同2
492977号、同2492978号、同260770
4号、同2739069号、同2739070号、英国
特許640731号、同736892号の各明細書、特
公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭6
0−176834号、同60−203430号、同62
−115035号の各公報に記載がある。セルロースア
セテート溶液は、表面温度が10℃以下の支持体上に流
延することが好ましい。流延した後2秒以上風に当てて
乾燥することが好ましい。得られたフイルムを支持体か
ら剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を
変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもで
きる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記
載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの
時間を短縮することが可能である。従来の技術において
説明したように、セルロースアセテートフイルムは、代
表的な写真感光材料の支持体である。また、セルロース
アセテートフイルムは、その光学的等方性から、近年市
場の拡大している液晶表示装置にも用いられている。液
晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保
護フイルムおよびカラーフィルターが代表的である。
【0022】
【実施例】[予備実験1]酢化度が60.2%のセルロ
ーストリアセテートから、非常に均一な粒子径分布(実
質的に同じ粒子サイズ)を有し、平均粒子径が0.5m
m、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm
および7mmである粒子を、それぞれ製造した。セルロ
ーストリアセテート粒子15重量部と酢酸メチル85重
量部を攪拌混合機に投入し、5分間攪拌した。その後、
20℃にて一定時間静置した。粒子が全て膨潤するまで
に必要な時間を測定した。結果を図1のグラフに示す。
図1は、横軸を粒径(mm)、縦軸(自然対数値)を膨
潤時間(分)として、測定結果をプロットしたグラフで
ある。図1に示される結果から明らかなように、粒子径
が1mm未満の粒子と4mmを越える粒子では、膨潤す
るために非常に長い時間が必要である。
【0023】[実施例1]酢化度が60.2%であり、
99重量%以上の粒子が2乃至3μmの粒子径を有する
セルローストリアセテート15重量部および酢酸メチル
85重量部とを、攪拌混合機に投入し、5分間攪拌し
た。その後、20℃にて15分間静置したところ、粒子
の全てが膨潤した。膨潤混合物を容器の外部から−50
℃まで冷却し(冷却速度:5℃/分)、さらに容器の外
部から50℃まで加温した(加温速度:5℃/分)。得
られた溶液を観察し、透明で均一な溶液であることを確
認した。 ──────────────────────────────────── 1 15 酢酸メチル(100) −50 2 30 酢酸メチル/エタノール(80/20) −75 3 18 酢酸メチル/エタノール(80/20) −45 4 17 酢酸メチル/エタノール/ブタノール(80/15/15) −35 5 17 酢酸メチル/ブタノール/アセトン(75/20/5) −35 6 17 酢酸メチル/エタノール/シクロヘキサン(80/15/5) −35 7 17 酢酸メチル/エタノール/メタノール(80/18/2) −35 8 17 酢酸メチル/エタノール/プロパノール(80/15/5) −35 ────────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】予備実験1の測定結果をプロットしたグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 1:12 C08L 1:12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
    有するセルロースアセテートの粒子であって、粒子の9
    0重量%以上が0.1乃至4mmの粒子径を有するセル
    ロースアセテートの粒子と、酢酸メチルを50重量%以
    上含む溶媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒に
    より膨潤させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10
    ℃に冷却する工程;そして冷却した膨潤混合物を0乃至
    120℃に加温して、溶媒中にセルロースアセテートを
    溶解させる工程からなるセルロースアセテート溶液の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、セルロースアセテートの粒子の
    50重量%以上が2乃至3mmの粒子径を有する請求項
    1に記載のセルロースアセテート溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロースアセテートの量が、混合物全
    体の5乃至30重量%である請求項1に記載のセルロー
    スアセテート溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 膨潤工程において、セルロースアセテー
    トと溶媒との混合物を1乃至180分攪拌する請求項1
    に記載のセルロースアセテート溶液の製造方法。
  5. 【請求項5】 58.0乃至62.5%の平均酢化度を
    有するセルロースアセテートの粒子であって、粒子の9
    0重量%以上が0.1乃至4mmの粒子径を有するセル
    ロースアセテートの粒子と、酢酸メチルを50重量%以
    上含む溶媒とを混合し、セルロースアセテートを溶媒に
    より膨潤させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10
    ℃に冷却する工程;冷却した膨潤混合物を0乃至120
    ℃に加温して、溶媒中にセルロースアセテートを溶解さ
    せる工程;そして得られたセルロースアセテート溶液を
    支持体上に流延する工程からなるセルロースアセテート
    フイルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 製造されるセルロースアセテートフイル
    ムが、偏光板の保護膜である請求項5に記載のセルロー
    スアセテートフイルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の方法で製造されたセル
    ロースアセテートフイルムを保護膜として有する偏光
    板。
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