JP3672701B2 - セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法 - Google Patents

セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースの低級脂肪酸エステルは、様々な分野で使用されている。セルロースエステルフイルムのような高分子材料は、セルロースの低級脂肪酸エステルを加熱により溶融した液またはセルロースの低級脂肪酸エステルを溶媒中に溶解した溶液から製造する。溶液を用いる方法では、セルロースの低級脂肪酸エステルを形成後に溶媒を蒸発させる。
セルロースの低級脂肪酸エステル溶液に用いる溶媒は、セルロースの低級脂肪酸エステルを必要とされる濃度に溶解できる液体である。使用する溶媒には、安全性や蒸発させるために適度の沸点も要求される。特に近年では、溶媒に対して、人体や環境に関する安全性が強く要求されている。このため、セルロースの低級脂肪酸エステルを溶解できる液体からこれらの要求を満足する溶媒を選択しようとしても、適当な溶媒が見当たらないような状況が生じている。
【0003】
例えば、セルローストリアセテートについては、メチレンクロリドが溶媒として従来から使用されていた。ところが、メチレンクロリドは、人体や地球環境に対する問題から、その使用は著しく規制される方向にある。
汎用の有機溶剤であるアセトンは、適度の沸点(56.5℃)を有し、人体や地球環境に対しても、他の有機溶媒に比べて問題が少ない。しかし、セルローストリアセテートは、アセトンにより膨潤するが、通常の方法でアセトンに溶解させることはできなかった。通常の方法には、特開昭61−106628号、同61−129031号や特開平4−259511号公報に記載されている高温高圧下で攪拌する方法も含まれる。これらの方法は、セルローストリアセテートのメチレンクロリド溶液を製造するためには有効であるが、アセトンには全く効果がなかった。
【0004】
J.M.G.Cowie他の論文、Makromol,Chem.、143巻、105頁(1971年)は、置換度2.80(酢化度60.1%)から置換度2.90(酢化度61.3%)のセルロースアセテートを、アセトン中で−80℃から−70℃に冷却した後、加温することにより、アセトン中にセルロースアセテートが0.5乃至5重量%に溶解している希薄溶液が得られたことを報告している。以下、このようにセルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒との混合物を冷却した後、加温することにより溶液を得る方法を「冷却溶解法」と称する。
セルロースアセテートのアセトン中への溶解については、上出健二他の論文「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」、繊維機械学会誌、34巻、57〜61頁(1981年)にも記載がある。この論文は、その標題のように、冷却溶解法を紡糸方法の技術分野に適用したものである。論文では、得られる繊維の力学的性質、染色性や繊維の断面形状に留意しながら、冷却溶解法を検討している。この論文に記載の方法では、10乃至25重量%の濃度を有するセルロースアセテートの溶液が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、冷却溶解法を改良し、通常の方法では膨潤するが溶解しないセルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒との組み合わせであっても、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液を製造することができる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(5)の方法により達成された。
(1)セルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒とを混合し、セルロースの低級脂肪酸エステルを溶媒により膨潤させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却する工程;そして冷却した膨潤混合物を加温して、溶媒中にセルロースの低級脂肪酸エステルを溶解させる工程からなるセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法であって、
上記加温工程において、溶媒が沸騰しないように調整された圧力下で溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温することを特徴とするセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
(2)加温工程において、膨潤混合物を1℃/分以上の速度にて加温する(1)に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
【0007】
(3)溶媒が酢酸メチルを50重量%以上含む(1)に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
(4)加温工程において、60乃至200℃まで膨潤混合物を加温する(1)に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
(5)加温工程において、1.2乃至20kgw/cm2 の圧力下で膨潤混合物を加温する(1)に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
(6)加温工程の後、圧力を常圧に戻すことにより溶媒を気化させて溶液を濃縮する工程を実施する(1)に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
【0008】
【発明の効果】
冷却溶解法を用いると、通常の温度では溶解しないセルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒の組み合わせであっても、溶媒中にセルロースの低級脂肪酸エステルを溶解させることができる。
本発明者が冷却溶解法について、さらに研究を進めたところ、加温工程において、溶媒が沸騰しないように圧力をかけて、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温すると、さらに溶解性が向上することが判明した。
本発明の方法を用いると、従来の方法では溶液が得られなかった濃度でも、不溶解物やゲルが認められない良好な溶液を製造することができる。また、従来の方法で得られていた濃度の溶液であっても、本発明の方法で製造した溶液は安定性が高いため、溶液をさらに濃縮することも可能である。さらに、本発明の方法は、圧力を常圧に戻すだけで溶媒が気化するため、溶液を簡単に濃縮できるとの利点もある。
濃度の高い溶液を用いると、セルロースエステルフイルムのような高分子材料の製造において、短時間に溶媒を蒸発させることができ、生産性が著しく向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
[セルロースの低級脂肪酸エステルおよび溶媒]
セルロースの低級脂肪酸エステルおよび溶媒としては、0乃至55℃の範囲のある温度(溶液としての使用を予定している温度)において、セルロースの低級脂肪酸エステルが溶媒により膨潤するセルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒との組み合わせを用いることができる。セルロースの低級脂肪酸エステルが溶媒により膨潤しないと、冷却溶解法を用いても溶解させることはほとんど不可能である。なお、上記の温度でセルロースの低級脂肪酸エステルが溶媒に溶解する場合であっても、本発明の冷却溶解法を用いると、従来の常温または高温で攪拌する方法よりも迅速に均一な溶液を得ることができる。
【0010】
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートがさらに好ましく、セルローストリアセテート(酢化度:58.0〜62.5%)が特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのようなセルロースの混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
【0011】
溶媒としては、無機溶媒よりも有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル)、エーテル類(例、ジオキサン、ジオキソラン、THF、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル)、炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン)およびアルコール類(例、メタノール、エタノール)が含まれる。
溶媒は、前述したように、セルロースの低級脂肪酸エステルを膨潤する液体を用いる。従って、具体的な溶媒の種類は、使用するセルロースの低級脂肪酸エステルの種類に応じて決定する。アセトンおよび酢酸メチルが好ましい溶媒である。二種類以上の溶媒を併用してもよい。
【0012】
酢酸メチルを50重量%以上含む酢酸メチル系溶媒が特に好ましく用いられる。溶媒中の酢酸メチルの割合は、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。酢酸メチルのみ(100重量%)を溶媒として使用することもできる。また、他の溶媒と酢酸メチルとを併用することで、製造する溶液の性質(例えば粘度)を調整してもよい。前述した有機溶媒は、酢酸メチルと併用できる。炭化水素およびアルコール類が特に好ましい。二種類以上の溶媒を酢酸メチルと併用してもよい。
溶媒の沸点は、20乃至300℃であることが好ましく、30乃至200℃であることがより好ましく、40乃至100℃であることがさらに好ましく、50乃至80℃であることが最も好ましい。
【0013】
[膨潤工程]
膨潤工程においては、セルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒とを混合し、セルロースの低級脂肪酸エステルを溶媒により膨潤させる。
膨潤工程の温度は、−10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実施する。
セルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒との比率は、最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。ただし、後述する冷却工程において溶媒の補充を行なう場合は、溶媒の量を補充量の分だけ削減しておく。一般に、膨潤工程におけるセルロースの低級脂肪酸エステルの量は、調製する溶液の5乃至30重量%であることが好ましく、8乃至20重量%であることがさらに好ましく、10乃至15重量%であることが最も好ましい。
溶媒とセルロースの低級脂肪酸エステルとの膨潤混合物は、セルロースの低級脂肪酸エステルが充分に膨潤するまで攪拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分であることが好ましく、20乃至120分であることがさらに好ましい。
膨潤工程において、溶媒とセルロースの低級脂肪酸エステル以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0014】
[冷却工程]
冷却工程においては、膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。
冷却速度は、1℃/分以上であることが好ましく、2℃/分以上であることがより好ましく、4℃/分以上であることがさらに好ましく、8℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
冷却工程においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却時に減圧すると、冷却時間を短縮することができる。減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
具体的な冷却手段としては、様々な方法または装置が採用できる。
【0015】
例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することができる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構からなる冷却装置が好ましく用いられる。
また、−105乃至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、さらに迅速に冷却することもできる。
【0016】
さらに、−100乃至−10℃に冷却された液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0mmの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。冷却に使用する液体については、特に制限はない。
冷却された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分離する工程を行なうことが好ましい。
冷却工程において、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例えば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出すことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造することができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないように調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と搬送を同時に実施することもできる。
【0017】
[加温工程]
本発明の方法は加温工程に特徴があり、具体的には溶媒が沸騰しないように圧力をかけながら溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温する。
加温速度は、1℃/分以上であることが好ましく、2℃/分以上であることがより好ましく、4℃/分以上であることがさらに好ましく、8℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
【0018】
膨潤混合物は、溶媒の沸点以上の温度まで加温するため、具体的な温度は溶媒の種類に応じて決定する。ただし、特に好ましい溶媒は、50〜80℃程度の沸点を有する(例えば、酢酸メチル:57.5℃、アセトン:56.5℃)ため、一般には60乃至200℃まで膨潤混合物を加温する。加温温度は、70乃至180℃であることが好ましく、80乃至160℃であることがより好ましく、90乃至150℃であることがさらに好ましく、100乃至140℃であることが最も好ましい。
加温工程では、1気圧(=1.0332kgw/cm2 )より高い圧力をかけて、溶媒が沸騰しないようにする。具体的な圧力は、溶媒の沸点と加温温度との関係から決定する。一般には1.2乃至20kgw/cm2 であり、好ましくは1.5乃至18kgw/cm2 であり、より好ましくは2乃至16kgw/cm2 であり、さらに好ましく3乃至14kgw/cm2 であり、最も好ましくは4乃至12kgw/cm2 である。
【0019】
溶媒が沸騰しないように圧力をかけながら溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温する工程、すなわち本発明の加温工程は、耐圧性の密閉容器を使用することで簡単に実施できる。耐圧性の密閉容器内で膨潤混合物を加温すると、溶媒が徐々に気化して容器内の圧力が高くなる。そのため、溶媒の沸点以上の温度に達しても、密閉容器内では溶媒は沸騰しない。温度が高くなるにつれて、圧力も高くなる。そのため、密閉容器内の圧力は、自動的に溶媒が沸騰しないように調整される。もちろん、耐圧性容器には、圧力の調整手段を設けてもよい。例えば、窒素ガスのような比較的不活性な気体を容器内に注入して、圧力を高めてもよい。
耐圧性容器を用いる加温装置については後述する。また、耐圧性容器を用いる加温装置のみで充分な加温速度が得られない場合は、ヒーターを用いて予備加熱してもよい。
なお、加圧工程後に、セルロースの低級脂肪酸エステルの溶解が不充分である場合は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0020】
[溶液製造後の処理] 製造した溶液は、必要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度調整、成分添加などの処理を実施することができる。
なお、本発明の方法では、加温工程において加圧下で溶液が製造される。圧力を急激に大気圧に戻すと溶媒が気化するため、簡単に溶液を濃縮できる。これは、一般にフラッシュ法と称される濃縮手段である。濃縮前の圧力が加わった高温状態で溶液を濾過し、不溶解物あるいはゲルを除去してもよい。高温状態では溶液の粘度が低下するため、低い圧力でも濾過を短時間で実施することができる。
添加する成分は、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の用途に応じて決定する。代表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、染料および紫外線吸収剤である。
溶液は、安定な温度範囲内で保存する必要がある。例えば、アセトンを溶媒として冷却溶解法により調製したセルローストリアセテートの溶液では、実用的な保存温度範囲において、高温域と低温域に二つの相分離領域がある。この溶液を安定に保存するためには、中間の均一相領域の温度を維持する必要がある。
得られたセルロースの低級脂肪酸エステル溶液は、様々な用途に用いられる。
【0021】
[セルロースエステルフイルムの製造]
セルロースの低級脂肪酸エステル溶液の代表的な用途であるソルベントキャスト法によるセルロースエステルフイルムの製造について説明する。
セルロースの低級脂肪酸エステル溶液は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体としては、ドラムまたはバンドが用いられる。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
セルロースアセテートの溶液の場合、溶液は、表面温度が10℃以下の支持体上に流延することが好ましい。流延した後2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムを支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。
【0022】
[製造装置]
本発明に好ましく用いられる製造装置について、図面を引用しながら説明する。
図1は、本発明の各工程の組み合わせを示すフローチャートである。
膨潤工程において、セルロースの低級脂肪酸エステル(P)と溶媒(S1)を、攪拌タンク(1)に加える。攪拌タンク内でセルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒とを混合し、セルロースの低級脂肪酸エステルを溶媒により膨潤させる。
膨潤した膨潤混合物は、送液ポンプ(2a)から、冷却装置(3)に送られる。送液ポンプ(2a)としては、粘性のある液体の送液に適しているスネークポンプを用いる。
【0023】
図1に示す冷却装置(3)は、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられている螺旋状の搬送機構(3−1)、および容器内の膨潤混合物を冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構(3−2)からなる。螺旋状の搬送機構(3−1)が回転することにより、膨潤混合物を滞留することなく(例えば、容器の壁面に滞留している膨潤混合物もかきとられて)、剪断、混合かつ冷却しながら、送液する。図1に示す冷却機構(3−2)はジャケット状に容器の周囲に装着されている。冷却機構(3−2)の内部には、冷媒タンク(21)から送られてくる冷媒(24)が流れている。冷媒としては、例えば、メタノールと水の混合物が用いられる。なお、螺旋状の搬送機構を固定し、圧力で膨潤混合物を螺旋状の構造体内を通過させてもよい。
冷却に使用した冷媒は、冷媒タンク(21)に戻る。冷媒は冷凍機(22)で冷却される。この冷却により発生する熱は、クリーニングタワー(23)で処理する。
図1に示す冷却装置(3)は、さらに冷却した溶媒を容器内に補充する機構を有する。補充溶媒(S2)は、冷却ストックタンク(19)で必要な温度まで冷却され、送液ポンプ(20)により冷却装置(3)の容器に送られる。このように冷却された補充溶媒を添加することにより、膨潤混合物を極めて迅速に冷却することができる。
以上の冷却装置内で、膨潤混合物は迅速かつ均一に冷却される。冷却された膨潤混合物は、加温装置(4)に送られる。
【0024】
加温装置(4)は、密閉可能な耐圧性容器からなる。加温装置の前には、ヒーター(4−0)が設けられていて膨潤混合物を予備加熱する。容器内には攪拌機構(4−1)が設けられており、容器の外側には加温用のジャケット(4−2)が取り付けられている。加温装置(4)内で膨潤混合物を攪拌しながら加温すると、溶媒が徐々に気化して、容器内の圧力が上昇する。そのため、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温しても、溶媒は沸騰しない。
加温装置(4)については、図2を引用してさらに詳細に説明する。
以上の加温装置内で、膨潤混合物は迅速かつ均一に加温され、セルロースの低級脂肪酸エステルが溶媒中に溶解する。得られた溶液は、送液ポンプ(5)により、ヒーター(6)、フィルター(7)、圧力調整バルブ(8)を通過し、温度調整、濾過および圧力調整が行なわれる。
【0025】
溶液は、さらに濃縮タンク(9)で濃縮される。すなわち、ヒーター(6)および圧力調整バルブ(8)により高温高圧状態となった溶液は、濃縮タンク(9)内で急激に圧力を低下させることにより溶媒が蒸発して、濃縮される。蒸発した溶媒は、液化装置(18)を経て、冷却ストックタンク(19)に送液される。液化した溶媒は、補充溶媒(S3)と共に、再びポンプ(20)により冷却装置(3)の容器に送られる。
濃縮された溶液は、送液ポンプ(10)により、温度調整装置(11)を経て、ストックタンク(12)に送られる。
図1に示す装置には、さらにソルベントキャスト法による高分子フイルムの製造装置が付属している。
ストックタンク(12)内の溶液は、送液ポンプ(10)によりフィルター(14)を経て、スリット状のダイ(15)に送られる。溶液はダイ(15)によりフイルム状に押し出され、バンド状の支持体(16)上に流延され、乾燥後、はぎ取られ、フイルム(17)が製造される。フイルム(17)は、さらに乾燥して、巻き取られる。
【0026】
図2は、加温装置(図1の4)の拡大断面図である。
耐圧性の縦長の容器(4)には、入口(41)が設けられており、ここから冷却された膨潤混合物を容器内に導入する。入口(41)は、液面(42)より下で、加温用のスチームジャケット(43)よりも上に配置されている。容器(4)には、多数の攪拌翼(44)を有する攪拌軸(45)が、容器の中央に配置されている。攪拌翼(44)は平板ディスクが用いられており、その全長は容器の内径よりもやや短い程度になっている。平板ディスクには、穴が開いていてもよい。この攪拌翼(44)の両端には、容器の壁面での混合物の滞留を防止するため、掻取翼(46)が設けられている。攪拌翼(44)は上下流を生じないようにゆっくり回転させる。容器(4)の上面には、大きな開口(47)が設けられている。この開口(47)は通常は閉じられており、非常時(異常な高圧状態)に開かれる。容器(4)には、液面計(48)と圧力計(49)が設けられ、液面(42)は、攪拌翼(44)の上端(50)と入口(41)との間になるように制御される。
【0027】
容器(4)の外周には、スチームジャケット(43)が、三つ(43a、43b、43c)に分割されて取り付けられている。スチームは制御弁(51a、51b、51c)で制御されてジャケット(43)に供給され、ドレンライン(52)から排出される。容器(4)内の上中下3個所およびジャケットの上中下(43a、43b、43c)には、それぞれ温度計(52a、52b、52c、53a、53b、53c)が取り付けられている。容器の底部には出口(54)が設けられ、ポンプ(5)により溶液となった混合物が抜き出される。
図2に示す装置では、膨潤混合物の導入、排出、スチームのジャケット(43)への供給を、全て自動的に管理することができる。
【0028】
【実施例】
[実施例1] 図1および図2に示す装置を用いて、セルローストリアセテート26重量部がアセトン74重量部に溶解している溶液を調製した。
得られた溶液を観察し、透明で均一な溶液が得られたことを確認した。さらに溶液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率が50%以上であった。
具体的な製造条件は以下の通りである。
膨潤工程の温度: 室温
膨潤工程の時間: 30分
冷却速度: 10℃/分
冷却用液体の温度:−80℃
最終冷却温度: −75℃
加温速度: 4℃/分
最終加温温度: 120℃
上記温度での圧力:8kgw/cm2
【0029】
[比較例1a]
セルローストリアセテート26重量部とアセトン74重量部とを30℃で2時間攪拌したところ、セルローストリアセテートはアセトンにより膨潤したが、全く溶解しなかった。
【0030】
[比較例1b]
セルローストリアセテート26重量部とアセトン74重量部とを30℃で1時間攪拌したところ、セルローストリアセテートはアセトンにより膨潤した。
膨潤した混合物を、メタノール/ドライアイスを冷媒として−70℃まで冷却した。冷却速度は、0.4℃/分であった。膨潤混合物は、−70℃で2時間静置した。
これを攪拌しながら、5時間かけて50℃まで温度を上昇させた。加温速度は、0.4℃/分であった。膨潤混合物は、さらに50℃で3時間攪拌した。
セルローストリアセテートの大部分は溶解したが、一部は溶解せず、溶液中の白濁として目視により観察された。
【0031】
[実施例2〜13] 実施例1のセルローストリアセテート26重量部をセルロールトリアセテート15重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、下記第1表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、同様にして、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液を調製した。
得られたセルロースの低級脂肪酸エステル溶液を観察したところ、いずれも透明で均一な溶液であった。さらに溶液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率は、いずれも50%以上であった。
【0032】
【表1】
Figure 0003672701
【0033】
[比較例2a〜13a]
比較例1aのセルローストリアセテート26重量部をセルロールトリアセテート15重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、前記第1表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、比較例1aと同様に混合物を30℃で2時間攪拌した。
その結果、2〜10の組成では、セルローストリアセテートは膨潤したが、全く溶解しなかった。11〜13の組成では、セルローストリアセテートの一部が溶解したが、大部分は未溶解であった。11〜13の組成から得られた液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率は、いずれも45%以下であった。
【0034】
[比較例2b〜13b]
比較例1bのセルローストリアセテート26重量部をセルロールトリアセテート15重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、前記第1表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、比較例1bと同様に処理した。その結果、2〜13の組成では、セルローストリアセテートはいずれも溶媒中に溶解した。得られた溶液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、11〜13の組成から得られた溶液では、波長が610nmの光の透過率が50%以上であったが、2〜10の組成から得られた溶液では、波長が610nmの光の透過率は45〜50%であった。
【0035】
[実施例14〜17] 実施例1のセルローストリアセテート26重量部をセルロールアセテートブチレート20重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、下記第2表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、同様にして、セルロースの低級脂肪酸エステル溶液を調製した。
得られたセルロースの低級脂肪酸エステル溶液を観察したところ、いずれも透明で均一な溶液であった。さらに溶液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率は、いずれも50%以上であった。
【0036】
【表2】
Figure 0003672701
【0037】
[比較例14a〜17a]
比較例1aのセルロースの低級脂肪酸エステル(セルローストリアセテート26重量部)をセルロールアセテートブチレート20重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、前記第1表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、比較例1aと同様に混合物を30℃で2時間攪拌した。
その結果、14および15の組成では、セルロースアセテートブチレートは膨潤したが、全く溶解しなかった。16および17の組成では、セルロースアセテートブチレートの一部が溶解したが、大部分は未溶解であった。14および15の組成から得られた液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率は、いずれも45%以下であった。
【0038】
[比較例14b〜17b]
比較例1bのセルローストリアセテート26重量部をセルロールアセテートブチレート20重量部に変更し、溶媒(アセトン74重量部)を、前記第1表に示す重量部(合計85重量部)の組成に変更し、さらに可塑剤(トリフェニルホスフェート1.5重量部、ジエチルフタレート0.4重量部およびビフェニルジフェニルホスフェート0.4重量部)を添加した以外は、比較例1bと同様に処理した。
その結果、14〜17の組成では、セルロースアセテートブチレートはいずれも溶媒中に溶解した。得られた液を直径40mmのガラス容器に入れて光の透過率を測定したところ、波長が610nmの光の透過率は、いずれも45〜50%であった。
【0039】
[応用例2〜13]
実施例2〜13で得られたセルローストリアセテート溶液を、ホッパーギーサを用いて、ステンレスの鏡面支持体(表面温度:20℃)上に、乾燥膜厚が80μmとなるように流延した。80℃の熱風で乾燥し、得られたセルローストリアセテートフイルムを支持体から剥離した。フイルムを支持体から剥離するために必要な乾燥時間(秒)を測定した。
別に、実施例2〜13で得られたセルローストリアセテート溶液を、温度100℃、圧力8kg/cm2 の条件から、急激に大気圧に戻し(フラッシュ法)、固形分の濃度を20重量%になるように濃縮した。得られた濃縮溶液から、上記と同様にセルロースアセテートフイルムを作成し、フイルムを支持体から剥離するために必要な乾燥時間(秒)を測定した。
以上の結果を下記第3表に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0003672701
【0041】
[実施例18〜29]
酢化度が59.5%のセルロースアセテート15重量部、トリフェニルホスフェート(可塑剤)1.5重量部、ジエチルフタレート(可塑剤)0.4重量部およびビフェニルジフェニルフタレート(可塑剤)0.4重量部を、下記第4表に重量部を示す有機溶媒の合計85重量部に加え、常温にて攪拌してセルロースアセテートを有機溶媒中に膨潤させた。膨潤混合物を−75℃まで冷却(冷却速度:10℃/分)してから、温度120℃、圧力10kgw/cm2 まで加温(加温速度:4℃/分)および加圧し、その状態で30分間攪拌した。得られた溶液を30μmの開口を有する濾過装置に通して濾過を行なった。高温による溶液の粘性低下により、濾過圧力は0.8kgw/cm2 まで低下した。なお、50℃では、3kgw/cm2 の濾過圧力を要する。
濾過後の溶液(温度:100℃、圧力:8kgw/cm2 )の圧力を、急激に大気圧に戻したところ、溶液の固形分濃度を20重量%まで濃縮することができた。得られた溶液を観察したところ、いずれも均一で透明な溶液であった。
【0042】
【表4】
Figure 0003672701
【0043】
【表5】
Figure 0003672701
【0044】
[実施例30〜41]
セルロースアセテートブチレート(アセチル置換度:2.2、ブチリル置換度:0.65)15重量部、トリフェニルホスフェート(可塑剤)1.5重量部、ジエチルフタレート(可塑剤)0.4重量部およびビフェニルジフェニルフタレート(可塑剤)0.4重量部を、上記第4表に重量部を示す有機溶媒の合計85重量部(実施例30〜41は、実施例18〜29にそれぞれ対応)に加え、常温にて攪拌してセルロースアセテートを有機溶媒中に膨潤させた。膨潤混合物を−75℃まで冷却(冷却速度:10℃/分)してから、温度120℃、圧力10kgw/cm2 まで加温(加温速度:4℃/分)および加圧し、その状態で30分間攪拌した。得られた溶液を30μmの開口を有する濾過装置に通して濾過を行なった。高温による溶液の粘性低下により、濾過圧力は0.8kgw/cm2 まで低下した。なお、50℃では、3kgw/cm2 の濾過圧力を要する。
濾過後の溶液(温度:100℃、圧力:8kgw/cm2 )の圧力を、急激に大気圧に戻したところ、溶液の固形分濃度を20重量%まで濃縮することができた。得られた溶液を観察したところ、いずれも均一で透明な溶液であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各工程の組み合わせを示すフローチャートである。
【図2】加温装置の拡大断面図である。
【符号の説明】
S1 溶媒
P セルロースの低級脂肪酸エステル
S2 補充溶媒
1 攪拌タンク
2 送液ポンプ
3 冷却装置
3−1 螺旋状の搬送機構
3−2 ジャケット状の冷却機構
4 加温装置(密閉容器)
4−0 ヒーター
4−1 攪拌機構
4−2 ジャケット状の加温機構
5 送液ポンプ
6 ヒーター
7 フィルター
8 圧力調整バルブ
9 濃縮タンク
10 送液ポンプ
11 温度調整装置
12 ストックタンク
13 送液ポンプ
14 フィルター
15 ダイ
16 ベルト状支持体
17 フイルム
18 液化装置
19 冷却ストックタンク
20 送液ポンプ
21 冷媒タンク
22 冷凍機
23 クリーニングタワー
24 冷媒
41 入口
42 液面
43、43a、43b、43c 加温用のスチームジャケット
44 攪拌翼
45 攪拌軸
46 掻取翼
47 開口
48 液面計
49 圧力計
50 攪拌翼の上端
51a、51b、51c 制御弁
52a、52b、52c、53a、53b、53c 温度計
54 出口

Claims (6)

  1. セルロースの低級脂肪酸エステルと溶媒とを混合し、セルロースの低級脂肪酸エステルを溶媒により膨潤させる工程;膨潤混合物を−100乃至−10℃に冷却する工程;そして冷却した膨潤混合物を加温して、溶媒中にセルロースの低級脂肪酸エステルを溶解させる工程からなるセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法であって、
    上記加温工程において、溶媒が沸騰しないように調整された圧力下で溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温することを特徴とするセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
  2. 加温工程において、膨潤混合物を1℃/分以上の速度にて加温する請求項1に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
  3. 溶媒が酢酸メチルを50重量%以上含む請求項1に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
  4. 加温工程において、60乃至200℃まで膨潤混合物を加温する請求項1に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
  5. 加温工程において、1.2乃至20kgw/cm2 の圧力下で膨潤混合物を加温する請求項1に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
  6. 加温工程の後、圧力を常圧に戻すことにより溶媒を気化させて溶液を濃縮する工程を実施する請求項1に記載のセルロースの低級脂肪酸エステル溶液の製造方法。
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