JP2001293551A - アモルファス合金製部材の製造方法 - Google Patents

アモルファス合金製部材の製造方法

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JP2001293551A
JP2001293551A JP2000112791A JP2000112791A JP2001293551A JP 2001293551 A JP2001293551 A JP 2001293551A JP 2000112791 A JP2000112791 A JP 2000112791A JP 2000112791 A JP2000112791 A JP 2000112791A JP 2001293551 A JP2001293551 A JP 2001293551A
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amorphous alloy
alloy
hole
mold
female screw
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Seiichi Hiroe
誠一 廣江
Atsushi Sato
佐藤  惇司
Yoshitsugu Shibuya
義継 渋谷
Masahiro Sato
雅浩 佐藤
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Citizen Watch Co Ltd
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 穴または雌ネジ穴を有するアモルファス合金
製部材の製造方法において、穴や雌ネジ穴を切削加工で
形成しなくても、穴や雌ネジ穴が形成可能なアモルファ
ス合金製部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 融解したアモルファス合金の母合金を鋳
型に鋳込むアモルファス合金製部材の製造方法おいて、
所望の穴と等しい内径を有する中空パイプ材を鋳型中に
仕込んでおいてから、母合金を鋳込む。または、所望の
雌ネジ穴と等しい雌ネジ穴を有するナットを鋳型中に仕
込んでおいてから、母合金を鋳込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アモルファス合金
からなる部材の製造方法に関する。さらに詳しくは、穴
を有するアモルファス合金製部材、雌ネジ穴を有するア
モルファス合金製部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アモルファス合金は、その名が示すとう
り結晶構造をとらない非晶質な合金であり、通常の結晶
質の金属材料に比べて、非晶質であるが故に耐食性に優
れ、なおかつ高い硬度と強度とを有するという特性があ
る。近年は、これらの特性に着目して、多岐の分野にわ
たる応用が期待または展開されている。
【0003】アモルファス合金は、通常、多元素から成
る合金であって、原子の配置が不規則に乱れた液体状態
の原子配列のままに固化している合金あり、上述した様
に結晶構造をとらない非晶質な合金である。
【0004】この様なアモルファス合金を作製する方法
としては、結晶質の多元素合金を融解して液体状態に
し、原子配列が不規則に乱れている液体状態から一気に
強制的に急冷する方法が一般的に採られている。すなわ
ち、液体状態からの急冷によっては、不規則に乱れてい
る原子配置が規則的な配列に移行して結晶化してしまう
間髪を与えずに、不規則に乱れている原子配置を保持し
たままに一瞬で固化せしめている訳である。
【0005】但し、ここで現実的には、如何なる多元素
合金でも融解して液体状態から一気に強制急冷すればア
モルファス合金が得られるという訳ではなく、多元素合
金の元素の組み合わせや組成比によっては、アモルファ
ス合金に成り易い多元素合金もあれば、アモルファス合
金に成り難い多元素合金もある。ちなみに、アモルファ
ス合金に成り易い、あるいはアモルファス合金に成り得
る多元素合金の代表例としては、ジルコニウム系アモル
ファス合金(組成:ジルコニウム55at%、アルミニ
ウム10at%、ニッケル5at%、銅30at%)
や、パラジウム系アモルファス合金(組成:パラジウム
40at%、銅10at%、ニッケル10at%、リン
20at%)などがあり、知られている。
【0006】以下には、上述したアモルファス合金の作
製方法を、手順を追って、より具体的に説明する。
【0007】まず最初の工程は、複数の元素を高周波誘
導電気炉またはアーク融解装置などを使って融解し、複
数の元素を均一に混合させた後に、冷却して凝固させ、
母合金を作製する。なお、ここで用いる高周波誘導電気
炉あるいはアーク融解装置などは、融解した試料を強制
的に急冷する手段を有していない。よって、ここでの冷
却は、自然な放熱による冷却速度の遅い冷却となる。し
たがって、ここで作製された母合金状態の段階において
は、まだアモルファス合金ではなくて、原子配置が規則
的な配列に移行した結晶質の合金となっている。
【0008】次は、上記の工程で作製した結晶質の母合
金を非晶質化してアモルファス合金にする工程である
が、図面を基に説明する。
【0009】図2は、結晶質の母合金を非晶質化してア
モルファス合金を作製する為に用いるアモルファス合金
作製装置の概略説明図である。非晶質化すべき母合金1
1は、石英ガラス製のシリンジ12の中に納める。な
お、シリンジ12の上端部には不活性ガス導入ポート1
2aが設けてあり、シリンジ12の下先端にはノズル穴
12bが設けてある。また、シリンジ12の外周部に
は、高周波誘導電気炉の高周波誘導コイル13が設置し
てある。さらに、ノズル穴12bの下方部には、銅製の
鋳型14を配置してある。そして、上記の全ての物は、
チャンバ15の中に納められている。チャンバ15に
は、真空引きポート16と、不活性ガス導入ポート17
とが設けてある。
【0010】図2に示したアモルファス合金作製装置に
よっては、次の様な作業手順により鋳造作業を行って母
合金11の非晶質化、すなわちアモルファス合金の作製
を行う。まずは、真空引きポート16に接続されている
真空ポンプ(図示しない)によって、チャンバ15内を
排気して真空にする。真空排気を終了したら、チャンバ
15内の圧力を負圧に保つ程度のわずかな量の不活性ガ
スを不活性ガス導入ポート17からチャンバ15内に導
入し、チャンバ15内を負圧の不活性ガス雰囲気に調整
する。チャンバ15内の圧力と雰囲気との調整が終了し
たら、高周波誘導コイル13に電流を流して、シリンジ
12中に納めた母合金11を加熱し、融解させる。母合
金11の融解を終了させたら、不活性ガス導入ポート1
2aから適切な圧力で適切な時間だけ不活性ガスを導入
してシリンジ12内を加圧し、融解させておいた母合金
11をノズル穴12bから噴射させて、鋳型14内へ鋳
込む。
【0011】上述の作業手順中で、チャンバ15内を負
圧の不活性ガス雰囲気に調整するのは、母合金11を加
熱処理する過程において、母合金11が酸化してしまう
のを防止する為である。
【0012】上述の作業手順によって鋳型14内へ鋳込
まれた融解状態の母合金11は、鋳型14との接触によ
って急速に熱を奪われて急冷され、不規則に乱れている
原子配置を保持したままで一瞬にして、鋳型14のキャ
ビティ(図示しない)と同形状に固化し、結晶構造をと
らない非晶質な合金となる。すなわち、鋳型14のキャ
ビティ(図示しない)と同形状のアモルファス合金の塊
が作製される訳である。
【0013】なお、ここで、鋳型14は上述した様に銅
製としているが、その理由は、銅は熱伝導性が良好であ
って、融解状態の母合金11から急速に熱を奪って急冷
するのに適しているからである。より急速に冷却するこ
とが、不規則に乱れている原子配置を保持したままで一
瞬に固化させることにつながり、アモルファス合金を作
製する上ではこの急冷が重要であり、必要な条件だから
である。
【0014】また、図2では示さなかったが、鋳型14
を銅製にするのと同様に、より急速な冷却とする為の手
段としては、鋳型14中に冷却水を通す水路を設けて、
鋳型14を水冷する方法がしばしば採られている。他に
は、鋳型14のサイズを大きくして、鋳型14の熱容量
を大きくすることも、冷却速度を速くする手段として採
られていたりもする。
【0015】アモルファス合金は、以上に説明した方法
により作製されている。
【0016】そして、アモルファス合金からなるアモル
ファス合金製部材を製造するには、以上に説明したアモ
ルファス合金の製造方法において、鋳型14に所望とし
ている部材の形状とは凹凸を反転させた形状のキャビテ
ィ(図示しない)を設けておいて、溶融させた母合金1
1を急冷鋳造する方法が採られている。
【0017】すなわち、アモルファス合金製部材の製造
方法としては、結晶質の母合金11を急冷鋳造すること
により非晶質のアモルファス合金とすると同時に、鋳型
14のキャビティ形状を転写することにより所望の外観
形状の付与が行われる。
【0018】そして、所望としているアモルファス合金
製部材の形状が穴を有する場合には、鋳型14のキャビ
ティ形状の転写で外形状を得た部材に、ドリルなどの穴
開け切削工具による切削加工を施して、穴が形成されて
いる。
【0019】また、所望としているアモルファス合金製
部材の形状が雌ネジ穴を有する場合には、鋳型14のキ
ャビティ形状の転写で外形状を得た部材に、ドリルなど
の穴開け切削工具による切削加工を施して下穴を形成し
た後に、タップなどのネジ山切削工具による切削加工を
施して雌ネジ山を形成し、雌ネジ穴が形成されている。
【0020】上述のように、穴または雌ネジ穴を有する
アモルファス合金製部材を製造する方法においては、従
来技術として、母合金11を急冷鋳造してアモルファス
合金とする際に鋳型14のキャビティ形状の転写によっ
てアモルファス合金に所望の部材の外形状を付与してか
ら、その後に、切削加工によって穴または雌ネジ穴を形
成する方法がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アモル
ファス合金は、上述したように、通常の結晶質の金属材
料に比べて、高い硬度を有するという特性がある。例え
ば、アモルファス合金の代表例として前記したジルコニ
ウム系アモルファス合金(組成:ジルコニウム55at
%、アルミニウム10at%、ニッケル5at%、銅3
0at%)や、パラジウム系アモルファス合金(組成:
パラジウム40at%、銅10at%、ニッケル10a
t%、リン20at%)などでは、ビッカース硬度でH
v500以上もの硬度を有している。そして、この硬度
が高いと言うことは、切削加工を困難にする要因でもあ
って、アモルファス合金は切削加工が困難な難削材料で
もある。
【0022】したがって、穴または雌ネジ穴を有するア
モルファス合金製部材の製造において、前記の従来技
術、すなわち母合金11を急冷鋳造してアモルファス合
金とする際に鋳型14のキャビティ形状の転写によって
アモルファス合金に所望の部材の外観形状を付与した後
に切削加工によって穴または雌ネジ穴を形成する方法
は、アモルファス合金は高い硬度を有しているが故の難
削材料である為、実施するには難しい方法であるという
課題を有する。
【0023】具体的には、高品質な穴または雌ネジ穴を
形成する為には、どのような工具を用いたら良いか、切
削速度はどのくらいにしたら良いか、どのような切削油
剤を用いたら良いかなどの切削加工に関わる諸条件を最
適に設定しなければならないと言った課題を有する。
【0024】切削加工中に、アモルファス合金製部材の
切削部と切削工具の先端部、すなわち加工点に潤滑性を
与えると同時に、加工点で生じる加工熱を冷却する役目
をする切削油剤に関しては、特に慎重な条件設定が必要
であり、難しい。その理由は、アモルファス合金は原子
配置が不規則で結晶構造をとっていない非晶質な合金で
あるが、加熱によっては、ある温度に達すると原子配置
が規則的に並んで結晶質の合金へと変化してしまうから
である。
【0025】この非晶質状態から結晶質状態への変化を
引き起こす温度は、再結晶温度と言う。ちなみに、アモ
ルファス合金の代表例として前記したジルコニウム系ア
モルファス合金(組成:ジルコニウム55at%、アル
ミニウム10at%、ニッケル5at%、銅30at
%)における再結晶温度は、約360℃であり、パラジ
ウム系アモルファス合金(組成:パラジウム40at
%、銅10at%、ニッケル10at%、リン20at
%)における再結晶温度は、約470℃である。
【0026】したがって、アモルファス合金の切削加工
においては、加工点を冷却する切削油剤に関して、慎重
な条件設定が必要になる。もしも仮に、アモルファス合
金部材の切削加工中に切削油剤による加工点の冷却が不
十分であった場合には、アモルファス合金部材には加工
熱の蓄熱が生じ、その温度が再結晶温度に達すれば、非
晶質であるべきアモルファス合金部材が結晶質の合金部
材になってしまうといった問題点がある。
【0027】さらに、切削工具に関する条件設定につい
ては、上述のしたような高い高度を有するアモルファス
合金に対しては、それ以上に十分に硬い工具を選択しな
ければならいといった問題もある。また、たとえ十分な
硬度を有した工具を選択したとしても、硬度の高いアモ
ルファス合金を切削加工すると、工具先端の摩耗は激し
く進行し、工具寿命が著しく短いといった問題点もあ
る。
【0028】したがって、本発明は、かかる問題点を鑑
みなされたものであり、その目的とするところは、穴ま
たは雌ネジ穴を有するアモルファス合金製部材の製造方
法において、穴や雌ネジ穴を切削加工で形成しなくて
も、穴または雌ネジ穴の形成が可能なアモルファス合金
製部材の製造方法を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のアモルファス合金製部材の製造方法では、
下記に記載の手段を採用する。
【0030】本発明のうちで請求項1に記載の発明は、
他の工程によって製造された部材の少なくとも一部分を
鋳型中に挿入して、前記鋳型中に挿入した一部分の周囲
に母合金を鋳込むことによっては、前記他の工程によっ
て製造された部材と前記母合金を鋳造することによって
得られるアモルファス合金部とを、一体の部材に形成す
ることを特徴とする。
【0031】本発明のうちで請求項2に記載の発明は、
融解したアモルファス合金の母合金を鋳型に鋳込んで急
冷鋳造して穴を有するアモルファス合金製部材を製造す
る方法であって、鋳型中の穴位置には所望の穴と等しい
内径を有する中空パイプ材を仕込んでおいてから、前記
中空パイプ材の周囲に母合金を鋳込んでアモルファス合
金製部材を鋳造し、前記中空パイプ材の中空部からなる
穴をアモルファス合金製部材中に形成することを特徴と
する。
【0032】本発明のうちで請求項3に記載の発明は、
融解したアモルファス合金の母合金を鋳型に鋳込んで急
冷鋳造して雌ネジ穴を有するアモルファス合金製部材を
製造する方法であって、鋳型中の雌ネジ穴位置には所望
の雌ネジ穴と等しい雌ネジ穴を有するナットを仕込んで
おいてから、前記ナットの周囲に母合金を鋳込んでアモ
ルファス合金製部材を鋳造し、前記ナットの雌ネジ穴か
らなる雌ネジ穴をアモルファス合金製部材中に形成する
ことを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の実施
例を、図面を基に説明する。
【0034】図3は、本発明によるアモルファス合金製
部材の製造方法によって、製造される穴または雌ネジ穴
を有するアモルファス合金製部材の実施例を示す要部断
面図を含む説明図である。
【0035】図3(a)と図3(b)とは、穴を有する
アモルファス合金製部材の実施例である。図3(a)は
貫通穴18aを有するアモルファス合金製部材18であ
って、図3(b)は袋穴18bを有するアモルファス合
金製部材18である。
【0036】図3(c)と図3(d)とは、雌ネジ穴を
有するアモルファス合金製部材の実施例である。図3
(c)は貫通雌ネジ穴18cを有するアモルファス合金
製部材18であって、図3(d)は袋雌ネジ穴18dを
有するアモルファス合金製部材18である。
【0037】(第一の実施例)まず、ここでは最初に、
第一の実施例として、本発明のアモルファス合金製部材
の製造方法により、図3(a)に示した貫通穴18aを
有するアモルファス合金製部材18を製造する方法を以
下に説明をする。
【0038】本発明のアモルファス合金製部材の製造方
法によって、図3(a)に示した貫通穴18aを有する
アモルファス合金製部材18を製造するには、鋳型中の
穴位置に所望の穴と等しい内径を有する中空パイプ材を
仕込んで置いてから、前記中空パイプ材の周囲に母合金
を鋳込んでアモルファス合金製部材18を鋳造して、前
記中空パイプ材の中空部からなる穴をアモルファス合金
製部材18中に形成する訳であるが、母合金を鋳込む事
前に、鋳型中における穴位置に所望の穴と等しい内径を
有する中空パイプ材を仕込んで置く方法については、図
1を基に説明する。
【0039】図1は、本発明のアモルファス合金製部材
の製造方法において、鋳型14中における穴位置に所望
の穴と等しい内径を有する中空パイプ材19aを仕込ん
だ状態を示す鋳型14の分解説明図であって、図3
(a)に示した貫通穴を有するアモルファス合金製部材
を製造する場合の第一の実施例である。
【0040】鋳型14は、キャビティブロック14aと
キャビティブロック14bとの二体の銅製部品からな
り、二分割することが可能で、鋳造作業後に二分割する
ことによっては鋳造したアモルファス合金製部材(図示
しない)を容易に取り出すことが可能な構造にしてい
る。一方のキャビティブロック14aには雌ネジ穴20
aが設けてあって、もう一方のキャビティブロック14
bにはボルト穴20bが設けあり、ボルト20の着脱に
よっては、キャビティブロック14aとキャビティブロ
ック14bとを一体の鋳型14に組み立てたり、二分割
して分解することが可能になっている。
【0041】なお、ここで、鋳型14を構成するキャビ
ティブロック14aおよび14bを銅製としているの
は、銅は熱伝導性が良好であって、融解状態の母合金1
1から急速に熱を奪って急冷するのに適しているからで
ある。より急速に冷却することが、不規則に乱れている
原子配置を保持したままで一瞬に固化させることにつな
がり、アモルファス合金を作製する上ではこの急冷が重
要、かつ必要な条件だからである。また、図1では省略
しており図示しなかったが、より急速な冷却とする為の
手段として、キャビティブロック14aと14bとには
冷却水を流し通す水路も設けている。
【0042】キャビティブロック14aとキャビティブ
ロック14bとには、それぞれに、所望のアモルファス
合金製部材の外観形状を二分割して凹凸を反転させた形
状の凹部、すなわちキャビティ21が設けてある。図1
では、図3(a)に示した外形状が直方体のアモルファ
ス合金製部材を製造する場合についての実施例を示して
いる。したがって、図1におけるキャビティ21は、図
3(a)に示したアモルファス合金製部材の外観形状で
ある直方体を二分割して凹凸を反転させた形状にしてい
る。
【0043】また、キャビティブロック14aとキャビ
ティブロック14bとには、それぞれに、湯口溝22a
と湯口溝22bとが、対で設けてある。キャビティブロ
ック14aとキャビティブロック14bとが一体の鋳型
14に組み立てられた状態においては、湯口溝22aと
湯口溝22bとが対向することによって、鋳型14の外
部からキャビティ21へと連通する湯口穴22が形成さ
れる。この湯口穴22からは、図2に示したアモルファ
ス合金作製装置によって、融解させた母合金11を鋳型
14のキャビティ21内へ噴射して鋳込んで、アモルフ
ァス合金製部材を製造することになる。
【0044】さらに、キャビティブロック14aとキャ
ビティブロック14bとには、それぞれに、ガス抜き溝
23aとガス抜き溝23bとが、対で設けてある。キャ
ビティブロック14aとキャビティブロック14bとが
一体の鋳型14に組み立てられた状態において、ガス抜
き溝23aとガス抜き溝23bとが対向することによっ
て、キャビティ21内から鋳型14の外部へと連通する
ガス抜き穴23が形成される。鋳型14にガス抜き穴2
3を設ける目的は、鋳造欠陥の発生を防止することにあ
る。鋳型14にガス抜き穴23を設けておくと、融解さ
せた母合金11をキャビティ21内へ鋳込んだ際に、キ
ャビティ21内に滞留しているガスがガス抜き穴23を
通り抜けてキャビティ21内からスムーズに抜け出すこ
とができるようになる。すると、キャビティ21内への
母合金11の流入もスムーズになって、キャビティ21
内は母合金11で充分に満たされるようになる。その結
果、鋳造欠陥の発生が防止される訳である。
【0045】以上ここまでに説明してきた上述の構成を
有する鋳型14に、図2に示した構成のアモルファス合
金作製装置により、融解させた母合金11を噴射して鋳
込めば、キャビティ21の凹凸形状を反転して転写した
外観形状が直方体のアモルファス合金製部材が鋳造され
る訳である。
【0046】しかし、この第一の実施例は、図3(a)
に示した貫通穴18aを有するアモルファス合金製部材
を製造する場合の実施例であるので、鋳型14の構成は
上述の構成には留まらず、さらには、鋳型14中におけ
る穴位置に所望の穴と等しい内径を有する中空パイプ材
19aを仕込んでいる。
【0047】中空パイプ材19aは以下のようにして、
鋳型14中における穴位置に仕込んでいる。
【0048】まずは、貫通穴18aと等しい内径を有す
る中空パイプ材19aを用意して、長さを貫通穴18a
の長さと等しく切断しておく。さらには、中空パイプ材
19aの中空部と嵌合する外径を有する丸棒24を用意
する。なお、丸棒24の長さは、貫通穴18aの長さと
等しくした中空パイプ材19aの長さよりも適度に長い
物とする。
【0049】続いて、以上で用意した中空パイプ材19
aの中空部に丸棒24を挿入する。なお、このとき、丸
棒24の端部24aおよび24bは、均等な長さが中空
パイプ材19aの両端から突き出した状態にしておく。
【0050】引き続いては、中空パイプ材19aを外嵌
した丸棒24の端部24aおよび24bそれぞれをキャ
ビティブロック14aに設けてある半円溝25aと25
bとに、はめ込み入れる。すなわち、中空パイプ材19
aを外嵌した丸棒24が、キャビティ21上で両端支持
梁の状態となるようにしてセットする。また、このと
き、丸棒24に外嵌してある中空パイプ材19aは、外
径方向の半分をキャビティ21内に挿入させた状態にし
てセットする。
【0051】なお、ここで、キャビティブロック14a
に設けてある半円溝25aおよび25bは、断面形状が
半円形をしている溝である。そして、半円溝25aおよ
び25bの半径は、丸棒24が填め込み可能なように、
丸棒24の半径よりは僅かに大きくしてある。また、半
円溝25aおよび25bは、キャビティブロック14a
側の半円溝25aおよび25bと対になるようにして、
もう一方のキャビティブロック14b側にも設けてあ
る。
【0052】したがって、上述のように中空パイプ材1
9aを外嵌させた丸棒24をセットした状態でキャビテ
ィブロック14aと14bとを一体の鋳型14に組み立
てると、丸棒24の端部24aおよび24bは、キャビ
ティブロック14aと14bとに対で設けてある半円溝
25aおよび25bとによって、挟み込まれて保持され
ることになる。
【0053】上述のようにして鋳型14を組み立てた状
態においては、中空パイプ材19aが丸棒24に外嵌し
た状態で、鋳型14のキャビティ21に内挿される。す
なわち、中空パイプ材19aが鋳型14中に仕込まれる
訳である。
【0054】なお、本発明のアモルファス合金製部材の
製造方法では、中空パイプ材19aの中空部からなる穴
をアモルファス合金製部材中に形成する。すなわち、中
空パイプ材19aの中空部を利用した穴をアモルファス
合金製部材中に形成する訳である。したがって、中空パ
イプ材19aを鋳型14中に仕込むにあたっては、鋳型
14のキャビティ21内の然るべき位置に中空パイプ材
19aを仕込まなければならない。然るべき位置とは、
製造するアモルファス合金製部材の穴位置に相当するキ
ャビティ21内における穴位置である。
【0055】よって、キャビティ21内での中空パイプ
材19aの位置を決定付ける半円溝25aおよび25b
については、上記の然るべき位置に中空パイプ材19a
を仕込める位置に、キャビティブロック14a上および
14b上で適宜決定されている。
【0056】以上の説明のようにして、キャビティ21
内の穴位置に相当する位置に所望の穴と等しい内径を有
する中空パイプ材19aを仕込んでおいて組み立てた鋳
型14へ、図2に示した構成のアモルファス合金作製装
置によって、融解させた母合金11を噴射して鋳込め
ば、キャビティ21内に仕込んだ中空パイプ材19aを
包み込むようにして、中空パイプ材19aの周囲に母合
金11が流れ込み、アモルファス合金製部材が鋳造され
る訳である。
【0057】ちなみに、本実施例に用いた母合金11
は、ジルコニウム55at%、アルミニウム10at
%、ニッケル5at%、銅30at%の組成からなるジ
ルコニウム系結晶質合金であって、鋳造後に得られるア
モルファス合金は同組成のジルコニウム系アモルファス
合金である。但し、母合金11については、本実施例に
用いた組成のジルコニウム系結晶質合金に限らず、鋳造
した後にアモルファス合金に成り得る組成の合金であれ
ば他組成の合金であっても構わない。
【0058】また、本実施例における中空パイプ材19
aは、市販のステンレス製の中空パイプ材である。
【0059】なお、本実施例における中空パイプ材19
aの外周側面は単なる滑らかな円筒側面としている。し
かし、中空パイプ材19aの外周側面単なる滑らかな円
筒側面に限定される訳ではない。例えば、中空パイプ材
19aの円筒側面に溝を設けたり、表面粗さを荒らした
りするなどして、表面に凹凸形状を付与しても良い。こ
の場合には、中空パイプ材19aの円筒表面に付与して
おいた凹凸形状の凹部に母合金11の鋳造により形成さ
れるアモルファス合金が入り込むことによって、アンカ
ー効果が発揮され、中空パイプ材19aとアモルファス
合金部との接合部の接合強度を高めることができる。
【0060】またさらに、本実施例において、母合金1
1を鋳型14へ鋳込む為に用いたアモルファス合金作製
装置は、日新技研株式会社製の非晶質金属作製装置(型
式:NEV−A1型)であり、同装置は図2に示したア
モルファス合金作製装置と同様の構成を有する装置であ
る。
【0061】同装置による鋳造作業は、次の様な手順に
従って行う。まずは、真空引きポート16に接続されて
いる真空ポンプ(図2には示していない)によって、チ
ャンバ15内を真空排気する。次に、チャンバ15内が
負圧に保つ程度に、僅かな量のアルゴンガスを不活性ガ
ス導入ポート17からチャンバ15内に導入し、チャン
バ15内を負圧の不活性ガス雰囲気に調整する。次に、
高周波誘導コイル13に電流を流して、シリンジ12中
に納めてある母合金11すなわち上記組成のジルコニウ
ム系結晶質合金を融点以上の1000℃までに加熱し、
融解させる。母合金11が全体的に均一に融解したなら
ば、高周波誘導コイル13への電流供給を停止して、母
合金11の加熱を停止する。その後、そのままの状態
で、融解させた母合金11の温度が900℃に下がるま
で数秒間待つ。そして、融解状態の母合金11の温度が
900℃になった瞬間に、不活性ガス導入ポート12a
から0.6Kgf/平方センチメートルの圧力でアルゴ
ンガスを導入してシリンジ12内を加圧し、融解させて
おいた母合金11をノズル穴12bから噴射させて鋳型
14内へ鋳込む。なお、ここで、母合金11の温度を検
出方法としては、母合金11の加熱融解状態が目視で確
認できるようにチャンバ15に設けられている覗き窓
(図2には示していない)越しに、非接触型の放射温度
計を用いて、母合金11の温度測定をしている。
【0062】母合金11を鋳込んだ後には、ボルト20
を取り外し、鋳型14を分解することによって、鋳造物
すなわち鋳造されたアモルファス合金製部材を鋳型14
から取り出すことができる。なお、ここで、鋳型14か
ら取り出したばかりのアモルファス合金製部材を図4に
示す。図4に示したように、鋳型14から取り出したば
かりのアモルファス合金製部材18は、所望の穴位置に
所望の穴と等しい内径を有する中空パイプ材19aと、
中空パイプ材19aの中空部に挿入された状態の丸棒2
4とを内包している状態にある。
【0063】そこで、中空パイプ材19aに挿入されて
いる丸棒24については、中空パイプ材19aから抜き
取って、取り外す。すると、所望の位置に、所望の穴と
等しい内径を有する中空パイプ材19aを内包しただけ
のアモルファス合金製部材が得られる。すなわち、所望
の位置に、中空パイプ材19aの中空部からなる所望内
径の貫通穴18aが設けられたアモルファス合金製部材
18が得られる訳である。
【0064】なお、アモルファス合金製部材18の外観
形状は、キャビティ21の凹凸形状を反転して転写した
結果の形状が得られる。しかしながら、図4にも示した
ように、鋳型14から取り出した時点では、鋳型14の
湯口穴22の部分およびガス抜き穴23の部分によっ
て、形成された不要部26が付属している。したがっ
て、この不要部26については、後工程において切り落
とし除去することは言うまでもない。なお、上述したよ
うに、アモルファス合金は高い硬度を有しており、切削
加工が困難な材料である。よって、後工程において不要
部26を切り落として除去する方法としては、アモルフ
ァス合金以上の高硬度を有するダイヤモンド砥粒の薄刃
回転砥石による研削切断加工が有効である。また、この
ダイヤモンド砥粒薄刃回転砥石による研削切断加工にお
いても、加工熱の蓄熱によっては加工部近傍が再結晶温
度までに昇温して、アモルファス合金が結晶化してしま
わないように十分な注意を払うことは言うまでもない。
加工部近傍には、充分に研削液をかけて冷却しながら、
湿式の研削切断加工を行う。
【0065】斯くして、この第一の実施例においては、
図3(a)に示した貫通穴18aを有するアモルファス
合金製部材18が製造される訳である。
【0066】また、上述した第一の実施例においては、
中空パイプ材19aの長さは、貫通穴18aの長さと、
あらかじめ等しくしておいたが、貫通穴18aの長さよ
りも長くしておいても構わない。その場合には、後工程
で不要部26を切り落とすのと同様にして、中空パイプ
材19aも切り落として、所望の長さに揃えれることに
なる。
【0067】(第二の実施例)次には、第二の実施例と
して、本発明のアモルファス合金製部材の製造方法によ
って、図3(c)に示した貫通雌ネジ穴18cを有する
アモルファス合金製部材18を製造する方法を以下に説
明をする。図3(c)に示した貫通雌ネジ穴18cを有
するアモルファス合金製部材18は、上述した第一の実
施例と同様の方法により、製造することができる。鋳型
14中の雌ネジ穴位置に、所望の貫通雌ネジ穴18cと
等しい雌ネジ穴を有するナット19cを仕込んでおいて
から、ナット19cの周囲に母合金を鋳込んでアモルフ
ァス合金製部材18を鋳造すれば、図3(c)に示した
貫通雌ネジ穴18cを有するアモルファス合金製部材1
8は製造可能である。すなわち、図1における中空パイ
プ材19aを所望の貫通雌ネジ穴18cと等しい雌ネジ
穴を有するナット19cに置き換えれば、図3(c)に
示した貫通雌ネジ穴18cを有するアモルファス合金製
部材18が製造できる訳である。ちなみに、本実施例に
おけるナット19cには、ステンレス製のナットを用い
ている。
【0068】(第三の実施例)次には、第三の実施例と
して、本発明のアモルファス合金製部材の製造方法によ
って、図3(b)に示した袋穴18bを有するアモルフ
ァス合金製部材18を製造する方法を以下に説明をす
る。図3(b)に示した袋穴18bを有するアモルファ
ス合金製部材18もまた、上述した第一の実施例と同様
の方法によって製造することができる。鋳型14中の袋
穴位置に、所望の袋穴18bと等しい内径と深さの穴を
有する袋状パイプ材19bを仕込んでおいてから、袋状
パイプ材19bの周囲に母合金を鋳込んでアモルファス
合金製部材18を鋳造すれば、図3(b)に示した袋穴
18bを有するアモルファス合金製部材18は製造可能
である。すなわち、図1における中空パイプ材19aを
所望の袋穴18bと等しい内径と深さの穴を有する袋状
パイプ材19bに置き換えれば、図3(b)に示した袋
穴18bを有するアモルファス合金製部材18が製造で
きる訳である。
【0069】なお、第一の実施例では、図1に示したよ
うに、中空パイプ材19aをキャビティ21上に両端支
持梁の状態にセットする。しかし、この第三の実施例に
おいて袋状パイプ材19bと称した物は、第一の実施例
における中空パイプ材19aの両端にある中空開口部の
うち一方の中空開口部を封止した形状の中空パイプ材で
ある。したがって、この第三の実施例で鋳型14中に、
袋状パイプ材19bを仕込む時には、キャビティ21上
に袋状パイプ材19bを片持ち梁の状態にセットするこ
とになる。ちなみに、本実施例における袋状パイプ材1
9bには、ステンレス製の袋状パイプ材を用いている。
【0070】(第四の実施例)次には、第四の実施例と
して、本発明のアモルファス合金製部材の製造方法によ
って、図3(d)に示した袋雌ネジ穴18dを有するア
モルファス合金製部材18を製造する方法を以下に説明
をする。図3(d)に示した袋雌ネジ穴18dを有する
アモルファス合金製部材18もまた、上述した第一の実
施例と同様の方法によって製造することができる。鋳型
14中の袋穴位置に、所望の袋雌ネジ穴18dと等しい
雌ネジ山と深さの雌ネジ穴を有する袋状ナット19dを
仕込んでおいてから、袋状ナット19dの周囲に母合金
を鋳込んでアモルファス合金製部材18を鋳造すれば、
図3(d)に示した袋雌ネジ穴18dを有するアモルフ
ァス合金製部材18は製造可能である。すなわち、図1
における中空パイプ材19aを所望の袋雌ネジ穴18d
と等しい雌ネジ山と深さの雌ネジ穴を有する袋状ナット
19dに置き換えれば、図3(d)に示した袋雌ネジ穴
18dを有するアモルファス合金製部材18が製造でき
る訳である。
【0071】なお、この第四の実施例で鋳型14中に、
袋状ナット19dを仕込む時には、第三の実施例と同様
に、キャビティ21上に袋状ナット19dを片持ち梁の
状態にセットすることになる。
【0072】ちなみに、本実施例における袋状ナット1
9dには、ステンレス製の袋状ナットを用いている。
【0073】以上、ここまでには、図3に示した穴また
は雌ネジ穴を有するアモルファス合金製部材が、本発明
によるアモルファス合金製部材の製造方法によって、製
造可能であることを説明してきた。
【0074】(第五の実施例)しかし、本発明によるア
モルファス合金製部材の製造方法によって製造が可能な
のは、図3に示した外観形状が単純な直方体のアモルフ
ァス合金製部材に限定される訳ではない。あらゆる複雑
な外観形状をしたアモルファス合金製部材の製造も可能
である。
【0075】そこで、以下には、本発明によるアモルフ
ァス合金製部材の製造方法によって製造可能なアモルフ
ァス合金製部材であり、なおかつ図3に示した実施例よ
りも複雑な外観形状を有した二つの実施例を、第五の実
施例として示しておく。
【0076】図5は、本発明によるアモルファス合金製
部材の製造方法によって製造した腕時計用の外装部材を
示す説明図である。図5(a)はアモルファス合金から
成るアモルファス合金製腕時計ケース27であり、図5
(b)はアモルファス合金から成るアモルファス合金製
腕時計用バンド駒28である。
【0077】図5(a)に示したアモルファス合金製腕
時計ケース27においては、竜頭軸(図示しない)を通
すための竜頭穴29と、バンド(図示しない)を取り付
けるためのバンド取り付け穴30とをステンレス製の中
空パイプ材19aによって形成している。さらには、裏
蓋(図示しない)を取り付けるための裏蓋用雌ネジ穴3
1をステンレス製のナット19cによって形成してい
る。
【0078】図5(b)に示したアモルファス合金製腕
時計用バンド駒28においては、複数のアモルファス合
金製腕時計用バンド駒28を連結して、腕時計用バンド
として組み立てる際に、ピン(図示しない)を通すため
のピン穴32をステンレス製の中空パイプ材19aによ
って形成している。
【0079】(第六の実施例)以上、ここまでに説明し
た第一、第二、第三、第四、第五の実施例では、他の工
程によって製造されたステンレス製の部材を鋳型中に仕
込んでおいてから、前記部材の周囲へ母合金を鋳込むこ
とによっては、前記部材と前記母合金を鋳造することに
よって得られるアモルファス合金部とを、一体の部材に
形成する実施例を説明してきた。しかし、本発明による
アモルファス合金製部材の製造方法によって、鋳型中に
仕込んでおく他の工程によって製造された部材は、ステ
ンレス製ばかりに限定される訳ではない。鋳型中に仕込
んでおく他の工程によって製造された部材の材質として
は、母合金の鋳造温度に耐えうる材質であれば、ステン
レス以外の金属でも構わないし、セラミックスなどでも
構わない。場合によっては、最終的に製造される部材に
均一組成が望まれるならば、鋳造する母合金と同一組成
の結晶質合金、あるいは母合金を鋳造することによって
得られるアモルファス合金であっても一向に構わない。
【0080】そこで、次には、鋳型中に仕込んでおく他
の工程によって製造された部材がステンレス以外の他の
材質である場合を第六の実施例として示す。
【0081】図6は、本発明によるアモルファス合金製
部材の製造方法において、鋳型中に仕込んでおく他の工
程によって製造された部材が、ステンレス以外の他の材
質である場合の第六の実施例を示す説明図である。
【0082】具体的には、図6(a)は、本発明による
アモルファス合金製部材の製造方法において、他の工程
によって製造された軸受け用合金製の中空パイプ材19
aを鋳型中に仕込んでおいてから、軸受け用合金製の中
空パイプ材19aの周囲に、母合金を鋳込むことによっ
て製造したアモルファス合金製回転軸受け部材33であ
る。図6(a)に示したアモルファス合金製回転軸受け
部材33は、矢印A方向に回転する回転軸34を保持す
る部材であるが、回転軸34との嵌合穴35を軸受け用
合金製の中空パイプ材19aによって形成している。
【0083】図6(b)は、本発明によるアモルファス
合金製部材の製造方法において、他の工程によって製造
された軸受け用合金製の溝付きブロック36を鋳型中に
仕込んでおいてから、溝付きブロック36の溝部37を
除く周囲に、母合金を鋳込むことによって製造したアモ
ルファス合金製摺動部材38である。図6(b)に示し
たアモルファス合金製摺動部材38は、軌道レール39
上を矢印B方向に摺動する部材であるが、軌道レール3
9との接触面40を軸受け用合金製の溝付きブロック3
6によって形成している。
【0084】
【発明の効果】以上の説明で明かなように、本発明にお
けるアモルファス合金製部材の製造方法は、他の工程に
よって製造された部材の少なくとも一部分を鋳型中に挿
入し、前記鋳型中に挿入した前記部材の一部分の周囲へ
母合金を鋳込むことによっては、前記他の工程によって
製造された部材と前記母合金を鋳造することによって得
られるアモルファス合金部とを、一体の部材に形成す
る。
【0085】また、本発明におけるアモルファス合金製
部材の製造方法は、穴を有するアモルファス合金製部材
を製造する方法において、鋳型中の穴位置には所望の穴
と等しい内径を有する中空パイプ材を仕込んでおいてか
ら、前記中空パイプ材の周囲に母合金を鋳込んでアモル
ファス合金製部材を鋳造して、前記中空パイプ材の中空
部からなる穴をアモルファス合金製部材中に形成する。
【0086】あるいは、本発明におけるアモルファス合
金製部材の製造方法は、雌ネジ穴を有するアモルファス
合金製部材を製造する方法において、鋳型中の雌ネジ穴
位置には所望の雌ネジ穴と等しい雌ネジ穴を有するナッ
トを仕込んでおいてから、前記ナットの周囲に母合金を
鋳込んでアモルファス合金製部材を鋳造して、前記ナッ
トの雌ネジ穴からなる雌ネジ穴をアモルファス合金製部
材中に形成する。
【0087】したがって、本発明におけるアモルファス
合金製部材の製造方法によれば、穴または雌ネジ穴を有
するアモルファス合金製部材の製造方法において、穴や
雌ネジ穴を切削加工で形成しなくても、穴または雌ネジ
穴の形成が可能なアモルファス合金製部材の製造方法を
提供することができる。
【0088】ひいては、非晶質であるが故に、耐食性に
優れて、なおかつ高い硬度と高い強度とを有するアモル
ファス合金製の部材において、穴または雌ネジ穴を有す
る部材を提供することができる。具体例としては、耐食
性に優れ、傷付き難くて、堅固な第五の実施例に示した
アモルファス合金製腕時計ケースや、アモルファス合金
製腕時計用バンドなどを提供することができる。
【0089】さらには、他の工程によって製造された部
材が有する優れた特性とアモルファス合金が有する優れ
た特性とを合わせ持った部材の製造方法を提供すること
ができる。
【0090】ひいては、他の工程によって製造された部
材が有する優れた特性とアモルファス合金が有する優れ
た特性とを合わせ持った新規部材を提供することができ
る。具体例としては、耐食性に優れ、傷付き難くて、堅
固な第六の実施例に示したアモルファス合金製回転軸受
け部材や、アモルファス合金製摺動部材などを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアモルファス合金製部材の製造方
法において、鋳型中における穴位置に所望の穴と等しい
内径を有する中空パイプ材を仕込んだ状態を示す鋳型の
分解説明図である。
【図2】結晶質の母合金を非晶質化してアモルファス合
金を作製する為に用いるアモルファス合金作製装置の概
略説明図である。
【図3】本発明によるアモルファス合金製部材の製造方
法によって、製造される穴または雌ネジ穴を有するアモ
ルファス合金製部材の実施例を示す要部断面図を含む説
明図である。
【図4】本発明によるアモルファス合金製部材の製造方
法の実施例において、鋳型から取り出したばかりのアモ
ルファス合金製部材を示す説明図である。
【図5】本発明によるアモルファス合金製部材の製造方
法によって製造したアモルファス合金製腕時計用外装部
材を示す説明図である。
【図6】本発明によるアモルファス合金製部材の製造方
法によって製造したアモルファス合金製回転軸受け部材
およびアモルファス合金製摺動部材を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
11 母合金金 14 鋳型 18 アモルファス合金製部材 18a 貫通穴 18b 袋穴 18c 貫通雌ネジ穴 18d 袋雌ネジ穴 19a 中空パイプ材 19b 袋状パイプ材 19c ナット 19d 袋状ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 19/00 B22D 19/00 Z 19/08 19/08 C 23/00 23/00 E F16B 37/00 F16B 37/00 X (72)発明者 佐藤 雅浩 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 別工程によって製造された部材の一部分
    を鋳型中に仕込む工程と、鋳型中に仕込んだ部材の一部
    分の周囲へ母合金を鋳込んでアモルファス合金製部材を
    鋳造する工程とを有し、別工程によって製造された部材
    の一部分を有するアモルファス合金製部材を製造するこ
    とを特徴とするアモルファス合金製部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 融解したアモルファス合金の母合金を鋳
    型に鋳込んで急冷鋳造して穴を有するアモルファス合金
    製部材を製造する方法であって、鋳型中の穴位置には所
    望の穴と等しい内径を有する中空パイプ材を仕込んでお
    いてから、前記中空パイプ材の周囲に母合金を鋳込んで
    アモルファス合金製部材を鋳造し、前記中空パイプ材の
    中空部からなる穴をアモルファス合金製部材中に形成す
    ることを特徴とするアモルファス合金製部材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 融解したアモルファス合金の母合金を鋳
    型に鋳込んで急冷鋳造して雌ネジ穴を有するアモルファ
    ス合金製部材を製造する方法であって、鋳型中の雌ネジ
    穴位置には所望の雌ネジ穴と等しい雌ネジ穴を有するナ
    ットを仕込んでおいてから、前記ナットの周囲に母合金
    を鋳込んでアモルファス合金製部材を鋳造し、前記ナッ
    トの雌ネジ穴からなる雌ネジ穴をアモルファス合金製部
    材中に形成することを特徴とするアモルファス合金製部
    材の製造方法。
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