JPH10249734A - 硬質粉末含有金属鋳造砥石及びその製法 - Google Patents
硬質粉末含有金属鋳造砥石及びその製法Info
- Publication number
- JPH10249734A JPH10249734A JP5612197A JP5612197A JPH10249734A JP H10249734 A JPH10249734 A JP H10249734A JP 5612197 A JP5612197 A JP 5612197A JP 5612197 A JP5612197 A JP 5612197A JP H10249734 A JPH10249734 A JP H10249734A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal
- molten metal
- superabrasive
- temperature
- abrasive grains
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】砥粒の分散性が高く、且つ結合剤の種類や砥石
形状の自由度が高い超砥粒メタルボンド砥石およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】超砥粒メタルボンド砥石を製造するに際し
ては、工程1の溶解工程において、メタルボンドを構成
するアルミニウム合金が750(℃) で加熱溶解されること
により金属溶湯が作製され、砥粒分散工程に対応する続
く工程4の砥粒混合工程および工程5の攪拌工程におい
て、その金属溶湯中に砥粒が混合されて攪拌されること
によりその砥粒がその金属溶湯内に分散させられ、更
に、工程6の加圧冷却工程において、その金属溶湯が攪
拌されつつ金型に注湯されると共に、その金型内で加圧
されつつ冷却される。
形状の自由度が高い超砥粒メタルボンド砥石およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】超砥粒メタルボンド砥石を製造するに際し
ては、工程1の溶解工程において、メタルボンドを構成
するアルミニウム合金が750(℃) で加熱溶解されること
により金属溶湯が作製され、砥粒分散工程に対応する続
く工程4の砥粒混合工程および工程5の攪拌工程におい
て、その金属溶湯中に砥粒が混合されて攪拌されること
によりその砥粒がその金属溶湯内に分散させられ、更
に、工程6の加圧冷却工程において、その金属溶湯が攪
拌されつつ金型に注湯されると共に、その金型内で加圧
されつつ冷却される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンドやC
BN等の超砥粒が金属結合剤で結合されたメタルボンド
砥石およびその製造方法に関する。
BN等の超砥粒が金属結合剤で結合されたメタルボンド
砥石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、石材の研磨や研削加工に用いら
れる研磨盤、揺動式研磨機用工具等の研磨砥石の一つと
して、ダイヤモンドやCBN等の超砥粒が、銅、錫、タ
ングステンカーバイド、鉄、ニッケル、およびアルミニ
ウム等の金属或いは合金から成る金属結合剤で結合され
た超砥粒メタルボンド砥石(以下、メタルボンド砥石と
いう)が知られている。このようなメタルボンド砥石
は、高い砥粒保持力と高い耐磨耗性とを有することか
ら、フェライトガラスの研削、水晶、半導体、セラミッ
クス等の精密切断を含む種々の精密研磨加工に用いられ
ている。
れる研磨盤、揺動式研磨機用工具等の研磨砥石の一つと
して、ダイヤモンドやCBN等の超砥粒が、銅、錫、タ
ングステンカーバイド、鉄、ニッケル、およびアルミニ
ウム等の金属或いは合金から成る金属結合剤で結合され
た超砥粒メタルボンド砥石(以下、メタルボンド砥石と
いう)が知られている。このようなメタルボンド砥石
は、高い砥粒保持力と高い耐磨耗性とを有することか
ら、フェライトガラスの研削、水晶、半導体、セラミッ
クス等の精密切断を含む種々の精密研磨加工に用いられ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なメタルボンド砥石は、一般に、金属結合剤の粉末に砥
粒を混合し、その金属結合剤の融点程度の温度で加熱し
つつ加圧するホットプレス法等によって製造されてい
た。しかしながら、このような粉末冶金的製造方法で
は、ホットプレス工程において圧力や熱の高い伝達性を
確保する必要性から、成形し得る形状が平板状等の単純
な形状に限定されるという問題がある。また、高密度の
砥石を得ることが困難であると共に、比重の異なる砥粒
と金属粉末とが均一に分散させられた成形体を得ること
が困難であるため、金属組成を含む砥石組織の高い均一
性が得られないという問題もある。しかも、ホットプレ
ス工程においては金属の酸化を避けるために水素雰囲気
等の非酸化性雰囲気下で処理が行われるが、混合工程や
そのホットプレス装置に混合粉末を供給する過程におい
ては金属粉末が大気に曝される。このため、常温で酸化
し易い金属、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金
等のように表面酸化により焼結性が著しく低下させられ
る金属は、砥粒の保持力が不十分となるため結合剤とし
て利用できないという問題もある。このことは、金属結
合剤を選択する上で大きな制約となり、メタルボンド砥
石の高い加工性を得るために求められる剛性や硬度等の
特性に基づく選択を妨げるのである。
なメタルボンド砥石は、一般に、金属結合剤の粉末に砥
粒を混合し、その金属結合剤の融点程度の温度で加熱し
つつ加圧するホットプレス法等によって製造されてい
た。しかしながら、このような粉末冶金的製造方法で
は、ホットプレス工程において圧力や熱の高い伝達性を
確保する必要性から、成形し得る形状が平板状等の単純
な形状に限定されるという問題がある。また、高密度の
砥石を得ることが困難であると共に、比重の異なる砥粒
と金属粉末とが均一に分散させられた成形体を得ること
が困難であるため、金属組成を含む砥石組織の高い均一
性が得られないという問題もある。しかも、ホットプレ
ス工程においては金属の酸化を避けるために水素雰囲気
等の非酸化性雰囲気下で処理が行われるが、混合工程や
そのホットプレス装置に混合粉末を供給する過程におい
ては金属粉末が大気に曝される。このため、常温で酸化
し易い金属、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金
等のように表面酸化により焼結性が著しく低下させられ
る金属は、砥粒の保持力が不十分となるため結合剤とし
て利用できないという問題もある。このことは、金属結
合剤を選択する上で大きな制約となり、メタルボンド砥
石の高い加工性を得るために求められる剛性や硬度等の
特性に基づく選択を妨げるのである。
【0004】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、砥粒の分散性が高く、且
つ結合剤の種類や砥石形状の自由度が高い超砥粒メタル
ボンド砥石およびその製造方法を提供することにある。
たものであって、その目的は、砥粒の分散性が高く、且
つ結合剤の種類や砥石形状の自由度が高い超砥粒メタル
ボンド砥石およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するため、第1発明の製造方法の要旨とするところは、
超砥粒が金属結合剤で結合されて成る超砥粒メタルボン
ド砥石の製造方法であって、(a) 前記金属結合剤を融点
以上の第1温度に加熱して溶解することにより金属溶湯
を作製する溶解工程と、(b) その金属溶湯中に前記超砥
粒を混合して攪拌することにより、その超砥粒を金属溶
湯中に分散させる砥粒分散工程と、(c) その砥粒分散工
程に続いて、その金属溶湯を所定の鋳型に流し込み、そ
の鋳型内で加圧しつつ冷却する加圧冷却工程とを、含む
ことにある。
するため、第1発明の製造方法の要旨とするところは、
超砥粒が金属結合剤で結合されて成る超砥粒メタルボン
ド砥石の製造方法であって、(a) 前記金属結合剤を融点
以上の第1温度に加熱して溶解することにより金属溶湯
を作製する溶解工程と、(b) その金属溶湯中に前記超砥
粒を混合して攪拌することにより、その超砥粒を金属溶
湯中に分散させる砥粒分散工程と、(c) その砥粒分散工
程に続いて、その金属溶湯を所定の鋳型に流し込み、そ
の鋳型内で加圧しつつ冷却する加圧冷却工程とを、含む
ことにある。
【0006】
【第1発明の効果】このようにすれば、超砥粒メタルボ
ンド砥石を製造するに際しては、溶解工程において、金
属結合剤が融点以上の第1温度で加熱溶解されることに
より金属溶湯が作製され、続く砥粒分散工程において、
その金属溶湯中に超砥粒が混合されて攪拌されることに
よりその超砥粒がその金属溶湯内に分散させられ、更
に、加圧冷却工程において、その金属溶湯が所定の鋳型
に流し込まれると共に、その鋳型内で加圧されつつ冷却
される。そのため、金属溶湯は、攪拌されることにより
超砥粒が均一に分散させられた状態で鋳型内に流し込ま
れ、その鋳型内で冷却されて速やかに凝固させられるこ
とから超砥粒と金属結合剤との分離が抑制されると共
に、その凝固の過程で加圧されることから金属溶湯中に
気泡が巻き込まれている場合にもその気泡が押し潰され
或いは固溶させられて消滅させられるため、金属結合剤
中に超砥粒が良好に分散させられた緻密な鋳塊すなわち
砥石組織が得られる。また、金属結合剤の溶解工程を密
閉系で実施し得ることからその酸化を容易に抑制し得る
ため、結合剤を構成する金属材料の選択の自由度が高く
なる。更に、液状の金属溶湯が加圧されることにより鋳
型に倣って成形されるため、鋳塊形状の自由度も高めら
れる。したがって、砥粒の分散性が高く、且つ結合剤の
種類や砥石形状の自由度が高い超砥粒メタルボンド砥石
を製造し得る。
ンド砥石を製造するに際しては、溶解工程において、金
属結合剤が融点以上の第1温度で加熱溶解されることに
より金属溶湯が作製され、続く砥粒分散工程において、
その金属溶湯中に超砥粒が混合されて攪拌されることに
よりその超砥粒がその金属溶湯内に分散させられ、更
に、加圧冷却工程において、その金属溶湯が所定の鋳型
に流し込まれると共に、その鋳型内で加圧されつつ冷却
される。そのため、金属溶湯は、攪拌されることにより
超砥粒が均一に分散させられた状態で鋳型内に流し込ま
れ、その鋳型内で冷却されて速やかに凝固させられるこ
とから超砥粒と金属結合剤との分離が抑制されると共
に、その凝固の過程で加圧されることから金属溶湯中に
気泡が巻き込まれている場合にもその気泡が押し潰され
或いは固溶させられて消滅させられるため、金属結合剤
中に超砥粒が良好に分散させられた緻密な鋳塊すなわち
砥石組織が得られる。また、金属結合剤の溶解工程を密
閉系で実施し得ることからその酸化を容易に抑制し得る
ため、結合剤を構成する金属材料の選択の自由度が高く
なる。更に、液状の金属溶湯が加圧されることにより鋳
型に倣って成形されるため、鋳塊形状の自由度も高めら
れる。したがって、砥粒の分散性が高く、且つ結合剤の
種類や砥石形状の自由度が高い超砥粒メタルボンド砥石
を製造し得る。
【0007】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記超砥粒
メタルボンド砥石の製造方法は、(d) 前記加圧冷却工程
の後に、所定の押出成形型を用いてその加圧冷却工程に
よって得られた鋳塊を前記融点よりも低い第2温度で加
熱しつつ押出成形する熱間押出成形工程を、更に含むも
のである。このようにすれば、鋳塊が熱間押出成形によ
って任意の形状に成形されるため、加圧冷却工程におい
て用いられる高価な鋳型を複数種類用意しなくとも、様
々な断面形状の超砥粒メタルボンド砥石を製造し得る。
そのため、例えば棒状に成形した押出成形体を所望の均
一な厚さで切断して別途用意した台金に貼り着ける等の
手法を用いることにより、本発明を大径のラッピング定
盤の製造工程に適用する場合にも、その形状に対応する
大きい鋳型を用いることなく製造し得るという利点があ
る。すなわち、本発明は、全体が金属結合剤で砥粒を結
合して成る一体成形された研磨砥石に限られず、ペレッ
ト状等の小さい砥石部材が所定の台金等に貼り着けられ
て構成されるような研磨砥石にも適用される。なお、
「熱間」とは、結合剤を構成する金属の再結晶温度より
も十分に高いが融点よりは十分に低い温度、すなわち、
容易に塑性変形可能な温度域において処理することをい
うものである。
メタルボンド砥石の製造方法は、(d) 前記加圧冷却工程
の後に、所定の押出成形型を用いてその加圧冷却工程に
よって得られた鋳塊を前記融点よりも低い第2温度で加
熱しつつ押出成形する熱間押出成形工程を、更に含むも
のである。このようにすれば、鋳塊が熱間押出成形によ
って任意の形状に成形されるため、加圧冷却工程におい
て用いられる高価な鋳型を複数種類用意しなくとも、様
々な断面形状の超砥粒メタルボンド砥石を製造し得る。
そのため、例えば棒状に成形した押出成形体を所望の均
一な厚さで切断して別途用意した台金に貼り着ける等の
手法を用いることにより、本発明を大径のラッピング定
盤の製造工程に適用する場合にも、その形状に対応する
大きい鋳型を用いることなく製造し得るという利点があ
る。すなわち、本発明は、全体が金属結合剤で砥粒を結
合して成る一体成形された研磨砥石に限られず、ペレッ
ト状等の小さい砥石部材が所定の台金等に貼り着けられ
て構成されるような研磨砥石にも適用される。なお、
「熱間」とは、結合剤を構成する金属の再結晶温度より
も十分に高いが融点よりは十分に低い温度、すなわち、
容易に塑性変形可能な温度域において処理することをい
うものである。
【0008】また、好適には、前記超砥粒メタルボンド
砥石の製造方法は、前記砥粒分散工程において、ニッケ
ル、銅、およびクロムの何れかから成る被覆膜で被覆さ
れた超砥粒を前記金属溶湯に混合するものである。この
ようにすれば、ニッケル等から成る被覆膜で被覆される
ことによって金属溶湯との濡れ性が高められた超砥粒が
用いられるため、砥粒の凝集が抑制されて分散性が一層
向上させられる。しかも、超砥粒は高温に加熱されると
劣化するため製造過程における最高処理温度がその劣化
温度によって制限されるが、上記のようにニッケル等か
ら成る被覆膜で被覆された超砥粒は耐熱性も高められる
ため、結合剤として用い得る金属材料の選択範囲が一層
広くなる利点もある。
砥石の製造方法は、前記砥粒分散工程において、ニッケ
ル、銅、およびクロムの何れかから成る被覆膜で被覆さ
れた超砥粒を前記金属溶湯に混合するものである。この
ようにすれば、ニッケル等から成る被覆膜で被覆される
ことによって金属溶湯との濡れ性が高められた超砥粒が
用いられるため、砥粒の凝集が抑制されて分散性が一層
向上させられる。しかも、超砥粒は高温に加熱されると
劣化するため製造過程における最高処理温度がその劣化
温度によって制限されるが、上記のようにニッケル等か
ら成る被覆膜で被覆された超砥粒は耐熱性も高められる
ため、結合剤として用い得る金属材料の選択範囲が一層
広くなる利点もある。
【0009】また、好適には、前記金属結合剤は、融点
が800(℃) 以下の金属或いは合金から構成される。この
ようにすれば、超砥粒が劣化し得る温度よりもそれほど
高くない温度以下の温度で全工程を処理し得るため、超
砥粒の熱劣化に起因する超砥粒メタルボンド砥石の特性
低下が抑制される。因みに、従来の粉末冶金的製造方法
では、焼結可能な温度範囲が狭く、且つアルミニウムや
アルミニウム合金等の表面酸化による焼結性阻害等の理
由から上記のように融点が低い金属を結合剤として用い
ることができなかったが、本発明によればそのような問
題がないことから、低融点金属をも結合剤として用い得
るのである。更に好適には、前記金属結合剤は、アルミ
ニウム、錫、亜鉛、およびこれらを主成分とする合金の
うちの少なくとも一種から成るものである。このように
すれば、これらの金属或いは合金は十分に融点が低いこ
とから、金属溶湯の温度を一層低く保って、超砥粒メタ
ルボンド砥石の製造過程において超砥粒の熱劣化を抑制
し得る。なお、前記金属は、その融点が、ニッケル等か
ら成る前記被覆膜が砥粒表面に設けられている場合にお
いては650(℃) 以下、設けられていない場合においては
450(℃) 以下のものであることが一層好ましい。このよ
うにすれば、金属溶湯の温度を超砥粒の熱劣化温度より
も十分に低くできるため、一層確実に熱劣化を抑制でき
る。
が800(℃) 以下の金属或いは合金から構成される。この
ようにすれば、超砥粒が劣化し得る温度よりもそれほど
高くない温度以下の温度で全工程を処理し得るため、超
砥粒の熱劣化に起因する超砥粒メタルボンド砥石の特性
低下が抑制される。因みに、従来の粉末冶金的製造方法
では、焼結可能な温度範囲が狭く、且つアルミニウムや
アルミニウム合金等の表面酸化による焼結性阻害等の理
由から上記のように融点が低い金属を結合剤として用い
ることができなかったが、本発明によればそのような問
題がないことから、低融点金属をも結合剤として用い得
るのである。更に好適には、前記金属結合剤は、アルミ
ニウム、錫、亜鉛、およびこれらを主成分とする合金の
うちの少なくとも一種から成るものである。このように
すれば、これらの金属或いは合金は十分に融点が低いこ
とから、金属溶湯の温度を一層低く保って、超砥粒メタ
ルボンド砥石の製造過程において超砥粒の熱劣化を抑制
し得る。なお、前記金属は、その融点が、ニッケル等か
ら成る前記被覆膜が砥粒表面に設けられている場合にお
いては650(℃) 以下、設けられていない場合においては
450(℃) 以下のものであることが一層好ましい。このよ
うにすれば、金属溶湯の温度を超砥粒の熱劣化温度より
も十分に低くできるため、一層確実に熱劣化を抑制でき
る。
【0010】また、好適には、前記砥粒分散工程に先立
って、前記金属溶湯中にアルカリ金属或いはアルカリ土
類金属を添加する濡れ性改善工程が設けられる。このよ
うにすれば、超砥粒と金属溶湯との濡れ性が一層高めら
れるため、砥粒の一層高い分散性が得られる。なお、ア
ルカリ金属等の添加量は、金属溶湯の粘性増加による砥
粒の混入と分散粒子の濡れ性改善のために、金属溶湯10
0(wt%) に対して0.5(wt%) 以下とされることが望まし
く、更に、0.1(wt%) 以下とされることが塑性加工時の
亀裂防止の点から一層好ましい。また、上記アルカリ金
属等としては、例えば、金属カルシウム、マグネシウ
ム、リチウム等が好適に用いられる。
って、前記金属溶湯中にアルカリ金属或いはアルカリ土
類金属を添加する濡れ性改善工程が設けられる。このよ
うにすれば、超砥粒と金属溶湯との濡れ性が一層高めら
れるため、砥粒の一層高い分散性が得られる。なお、ア
ルカリ金属等の添加量は、金属溶湯の粘性増加による砥
粒の混入と分散粒子の濡れ性改善のために、金属溶湯10
0(wt%) に対して0.5(wt%) 以下とされることが望まし
く、更に、0.1(wt%) 以下とされることが塑性加工時の
亀裂防止の点から一層好ましい。また、上記アルカリ金
属等としては、例えば、金属カルシウム、マグネシウ
ム、リチウム等が好適に用いられる。
【0011】また、好適には、前記砥粒分散工程に先立
って、前記金属溶湯中にアンチモンを添加するアンチモ
ン添加工程が設けられる。このようにすれば、結合剤を
構成する金属の結晶成長が抑制されるため、金属結合剤
組織が微細化されて、砥粒の分散性が一層高められる。
なお、上記の効果は金属結合剤がアルミニウム或いはア
ルミニウム合金である場合に顕著となるが、この場合、
アンチモンが過剰になると溶湯中にガスを吸収して加圧
冷却工程における金属溶湯の凝固時にヒケ等の欠陥を発
生させるため、添加量は金属溶湯100(wt%) に対して0.
1 〜0.2(wt%)以下とされることが望ましく、更に、0.1
5 (wt%) 程度とされることが結晶粒の微細化に最も効
果的である。
って、前記金属溶湯中にアンチモンを添加するアンチモ
ン添加工程が設けられる。このようにすれば、結合剤を
構成する金属の結晶成長が抑制されるため、金属結合剤
組織が微細化されて、砥粒の分散性が一層高められる。
なお、上記の効果は金属結合剤がアルミニウム或いはア
ルミニウム合金である場合に顕著となるが、この場合、
アンチモンが過剰になると溶湯中にガスを吸収して加圧
冷却工程における金属溶湯の凝固時にヒケ等の欠陥を発
生させるため、添加量は金属溶湯100(wt%) に対して0.
1 〜0.2(wt%)以下とされることが望ましく、更に、0.1
5 (wt%) 程度とされることが結晶粒の微細化に最も効
果的である。
【0012】また、超砥粒の平均粒径は用途に応じて適
宜設定されるが、前記砥粒分散工程において十分に高い
分散性を得るためには、超砥粒の平均粒径が0.1 〜100
(μm)程度の範囲にあることが好ましい。但し、その混
合量は砥粒の粒径に応じて適宜設定されることが一層好
ましく、金属溶湯100(wt%) に対する重量比で、例え
ば、平均粒径0.6(μm)の場合には30 (wt%) 以下、平均
粒径10.0 (μm)以下の場合には50 (wt%) 以下とされる
ことが、容易に攪拌可能且つ超砥粒の分散性を可及的に
高め得る程度に金属溶湯の粘性を止めるために好まし
い。
宜設定されるが、前記砥粒分散工程において十分に高い
分散性を得るためには、超砥粒の平均粒径が0.1 〜100
(μm)程度の範囲にあることが好ましい。但し、その混
合量は砥粒の粒径に応じて適宜設定されることが一層好
ましく、金属溶湯100(wt%) に対する重量比で、例え
ば、平均粒径0.6(μm)の場合には30 (wt%) 以下、平均
粒径10.0 (μm)以下の場合には50 (wt%) 以下とされる
ことが、容易に攪拌可能且つ超砥粒の分散性を可及的に
高め得る程度に金属溶湯の粘性を止めるために好まし
い。
【0013】また、好適には、前記砥粒分散工程は、攪
拌回転数500 〜800(rpm)程度、攪拌時間1.0 〜3.0(時
間) 程度の条件で前記金属溶湯を攪拌するものである。
このようにすれば、十分に均一な分散状態が得られる。
拌回転数500 〜800(rpm)程度、攪拌時間1.0 〜3.0(時
間) 程度の条件で前記金属溶湯を攪拌するものである。
このようにすれば、十分に均一な分散状態が得られる。
【0014】また、好適には、前記溶解工程における第
1温度は、前記金属結合剤の融点よりも100 〜200(℃)
程度高い温度である。このようにすれば、金属結合剤が
確実且つ速やかに溶解されるため製造効率や砥粒の分散
性が高められる。また、第1温度は、前記金属結合剤の
融点よりも170(℃) 程度高い温度に設定されることが金
属溶湯に添加されるCa等のアルカリ土類金属およびアン
チモンと溶湯金属との均一な溶解性および複合化の観点
から一層好ましい。したがって、例えば、結合剤を構成
する金属としてアルミニウムが用いられる場合には、そ
の融点である580(℃) よりも170(℃) 程度高い750(℃)
程度、Sn92% −Zn8%合金が用いられる場合には、その融
点199(℃) よりも170(℃) 程度高い370(℃) 程度に上記
第1温度が設定されることが好ましい。なお、Sn92% −
Zn8%合金の場合には、Ca等の添加金属の融点まで加熱し
て合金化した後に上記第1温度まで冷却してもよい。
1温度は、前記金属結合剤の融点よりも100 〜200(℃)
程度高い温度である。このようにすれば、金属結合剤が
確実且つ速やかに溶解されるため製造効率や砥粒の分散
性が高められる。また、第1温度は、前記金属結合剤の
融点よりも170(℃) 程度高い温度に設定されることが金
属溶湯に添加されるCa等のアルカリ土類金属およびアン
チモンと溶湯金属との均一な溶解性および複合化の観点
から一層好ましい。したがって、例えば、結合剤を構成
する金属としてアルミニウムが用いられる場合には、そ
の融点である580(℃) よりも170(℃) 程度高い750(℃)
程度、Sn92% −Zn8%合金が用いられる場合には、その融
点199(℃) よりも170(℃) 程度高い370(℃) 程度に上記
第1温度が設定されることが好ましい。なお、Sn92% −
Zn8%合金の場合には、Ca等の添加金属の融点まで加熱し
て合金化した後に上記第1温度まで冷却してもよい。
【0015】また、好適には、前記加圧冷却工程におけ
る処理条件は、加圧力が80〜120(MPa)程度、加圧時間が
3(分) 以上である。このようにすれば、加圧力が金属結
合剤の凝固時の膨張収縮による変形抵抗よりも十分に大
きくされているため、超砥粒メタルボンド砥石内の巣
(すなわち内部気孔)の発生が一層確実に抑制される。
なお、高密度化、マトリックス(金属結合剤組織)の微
細化、および分散化の観点から、金属溶湯内に存在する
気泡を一層確実に押し潰すと共に冷却速度を十分に速く
するために、加圧力は100(MPa)程度とされることが一層
好ましい。また、加圧力が100(MPa)程度の場合には、3
(分間) 程度の加圧時間で金属溶湯が十分に凝固させら
れるため、作業効率を高める上で加圧時間は3(分間) 程
度とされることが一層好ましい。
る処理条件は、加圧力が80〜120(MPa)程度、加圧時間が
3(分) 以上である。このようにすれば、加圧力が金属結
合剤の凝固時の膨張収縮による変形抵抗よりも十分に大
きくされているため、超砥粒メタルボンド砥石内の巣
(すなわち内部気孔)の発生が一層確実に抑制される。
なお、高密度化、マトリックス(金属結合剤組織)の微
細化、および分散化の観点から、金属溶湯内に存在する
気泡を一層確実に押し潰すと共に冷却速度を十分に速く
するために、加圧力は100(MPa)程度とされることが一層
好ましい。また、加圧力が100(MPa)程度の場合には、3
(分間) 程度の加圧時間で金属溶湯が十分に凝固させら
れるため、作業効率を高める上で加圧時間は3(分間) 程
度とされることが一層好ましい。
【0016】また、好適には、前記砥粒分散工程は、前
記超砥粒を混合した後、前記金属溶湯の温度を前記融点
よりも僅かに高い第3温度で保持した状態で攪拌するも
のであり、前記加熱冷却工程は、前記金属溶湯の温度を
前記第1温度と略同様な温度に上昇させた後に前記鋳型
内に流し込むものである。このようにすれば、金属溶湯
は粘性が十分に高い状態で攪拌されることから、金属溶
湯と超砥粒とが相互の比重差に基づいて分離することが
一層抑制されて、一層砥粒の分散性が高められる。な
お、上記第3温度は、前記金属の融点よりも10〜50
(℃) 程度、更に好適には 30(℃) 程度高い温度に設定
されることが一層好ましい。
記超砥粒を混合した後、前記金属溶湯の温度を前記融点
よりも僅かに高い第3温度で保持した状態で攪拌するも
のであり、前記加熱冷却工程は、前記金属溶湯の温度を
前記第1温度と略同様な温度に上昇させた後に前記鋳型
内に流し込むものである。このようにすれば、金属溶湯
は粘性が十分に高い状態で攪拌されることから、金属溶
湯と超砥粒とが相互の比重差に基づいて分離することが
一層抑制されて、一層砥粒の分散性が高められる。な
お、上記第3温度は、前記金属の融点よりも10〜50
(℃) 程度、更に好適には 30(℃) 程度高い温度に設定
されることが一層好ましい。
【0017】また、好適には、前記加圧冷却工程は、前
記鋳型を前記金属結合剤の融点よりも低い第4温度に加
熱しつつ加圧するものである。このようにすれば、金属
溶湯が鋳型内面に接触する表層部から部分的に急冷され
ることが抑制される。そのため、表層部の硬化に起因す
る凝固中の金属溶湯の変形抵抗の上昇が抑制されること
から、凝固が終了するまでの間において、内部に高い加
圧力が伝達されるため、一層内部まで緻密且つ均質な超
砥粒メタルボンド砥石が得られる。なお、金属結合剤組
織の緻密化および凝固スピードの観点から、溶湯中心部
側の冷却速度を十分に高く保ちつつ表層部の部分的な急
冷を避けるために、上記第4温度は、例えば前記金属結
合剤がアルミニウム或いはアルミニウム合金の場合は、
その融点よりも150 〜350(℃) 程度、更に好適には280
(℃) 程度低い温度に設定されることが一層好ましい。
記鋳型を前記金属結合剤の融点よりも低い第4温度に加
熱しつつ加圧するものである。このようにすれば、金属
溶湯が鋳型内面に接触する表層部から部分的に急冷され
ることが抑制される。そのため、表層部の硬化に起因す
る凝固中の金属溶湯の変形抵抗の上昇が抑制されること
から、凝固が終了するまでの間において、内部に高い加
圧力が伝達されるため、一層内部まで緻密且つ均質な超
砥粒メタルボンド砥石が得られる。なお、金属結合剤組
織の緻密化および凝固スピードの観点から、溶湯中心部
側の冷却速度を十分に高く保ちつつ表層部の部分的な急
冷を避けるために、上記第4温度は、例えば前記金属結
合剤がアルミニウム或いはアルミニウム合金の場合は、
その融点よりも150 〜350(℃) 程度、更に好適には280
(℃) 程度低い温度に設定されることが一層好ましい。
【0018】また、前記熱間押出成形工程における成形
条件は、金属結合剤の種類や砥粒の種類および量等に応
じて適宜変更し得るが、結晶粒の大きさが可及的に微細
に保たれる範囲で十分に塑性変形を容易とするために
は、例えば、前記第2温度が100 〜550(℃) 程度、押出
速度1 〜10(mm/s)程度、押出圧力20〜40(MN)程度の範囲
が好ましい。
条件は、金属結合剤の種類や砥粒の種類および量等に応
じて適宜変更し得るが、結晶粒の大きさが可及的に微細
に保たれる範囲で十分に塑性変形を容易とするために
は、例えば、前記第2温度が100 〜550(℃) 程度、押出
速度1 〜10(mm/s)程度、押出圧力20〜40(MN)程度の範囲
が好ましい。
【0019】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の超砥粒メタルボンド砥石の要
旨とするところは、超砥粒が金属結合剤で結合されて成
る超砥粒メタルボンド砥石であって、(a) 前記金属結合
剤を加熱溶解した金属溶湯中に前記超砥粒を分散させ、
その金属溶湯を所定の鋳型に流し込んで加圧しつつ冷却
することにより、その超砥粒をその金属結合剤で結合し
たことにある。
達成するための第2発明の超砥粒メタルボンド砥石の要
旨とするところは、超砥粒が金属結合剤で結合されて成
る超砥粒メタルボンド砥石であって、(a) 前記金属結合
剤を加熱溶解した金属溶湯中に前記超砥粒を分散させ、
その金属溶湯を所定の鋳型に流し込んで加圧しつつ冷却
することにより、その超砥粒をその金属結合剤で結合し
たことにある。
【0020】
【発明の効果】このようにすれば、超砥粒メタルボンド
砥石は、金属結合剤を加熱溶解した金属溶湯中に超砥粒
を分散させ、その金属溶湯を所定の鋳型に流し込んで加
圧しつつ冷却することにより、その超砥粒がその金属結
合剤で結合されて構成される。そのため、超砥粒メタル
ボンド砥石は、超砥粒が分散させられた金属溶湯が鋳型
内で加圧されつつ冷却されることで、その分散状態が好
適に維持されたまま速やかに凝固させられたものである
ことから、高密度且つ均一な砥石組織が得られる。
砥石は、金属結合剤を加熱溶解した金属溶湯中に超砥粒
を分散させ、その金属溶湯を所定の鋳型に流し込んで加
圧しつつ冷却することにより、その超砥粒がその金属結
合剤で結合されて構成される。そのため、超砥粒メタル
ボンド砥石は、超砥粒が分散させられた金属溶湯が鋳型
内で加圧されつつ冷却されることで、その分散状態が好
適に維持されたまま速やかに凝固させられたものである
ことから、高密度且つ均一な砥石組織が得られる。
【0021】なお、以上のような超砥粒メタルボンド砥
石は、例えば、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘ
ッド(例えばMRヘッド)部品や光ファイバコネクタの
研磨加工等の二種以上の材料が一体化させられた複合材
料の超精密加工分野において、異種材料相互の加工段差
が可及的に小さくなるように精密に研磨するための砥粒
固定型の研磨定盤(すなわちラッピング盤)として好適
に用いられる。因みに、従来、これらの超精密ラッピン
グ加工は、錫や亜鉛等の軟質金属から成る定盤の表面に
予め遊離砥粒を供給して固定した後、研磨液だけを供給
しつつ研磨加工を行っていた。砥粒が遊離状態のままで
は、被研磨材のうち容易に除去される部分に砥粒が集中
して大きな加工段差が発生するためである。しかしなが
ら、このような加工方法では、砥粒の固定作業に熟練と
多大な作業時間とを要すると共に、砥粒は表層に固定さ
れるだけであるため、固定作業を頻繁に行う必要があっ
て高い作業効率が得られないという問題があったのであ
る。
石は、例えば、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘ
ッド(例えばMRヘッド)部品や光ファイバコネクタの
研磨加工等の二種以上の材料が一体化させられた複合材
料の超精密加工分野において、異種材料相互の加工段差
が可及的に小さくなるように精密に研磨するための砥粒
固定型の研磨定盤(すなわちラッピング盤)として好適
に用いられる。因みに、従来、これらの超精密ラッピン
グ加工は、錫や亜鉛等の軟質金属から成る定盤の表面に
予め遊離砥粒を供給して固定した後、研磨液だけを供給
しつつ研磨加工を行っていた。砥粒が遊離状態のままで
は、被研磨材のうち容易に除去される部分に砥粒が集中
して大きな加工段差が発生するためである。しかしなが
ら、このような加工方法では、砥粒の固定作業に熟練と
多大な作業時間とを要すると共に、砥粒は表層に固定さ
れるだけであるため、固定作業を頻繁に行う必要があっ
て高い作業効率が得られないという問題があったのであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
参照して詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の一実施例の超砥粒メタル
ボンド砥石の製造方法を用いて製造された砥粒固定型定
盤(以下、単に定盤という)10の全体を示す斜視図で
ある。定盤10は、例えば全体がφ1000×φ 200×t30
(mm)程度の大きさの穴明き円盤状を成したものであり、
例えば厚さが30mm程度のアルミニウム合金等から高剛性
に形成された台金12と、その台金12の一面14上の
中央穴部を除く部分に相互に適当な間隔を以てエポキシ
樹脂等の接着剤によって固着された多数の円板状砥石1
6とから構成されている。
ボンド砥石の製造方法を用いて製造された砥粒固定型定
盤(以下、単に定盤という)10の全体を示す斜視図で
ある。定盤10は、例えば全体がφ1000×φ 200×t30
(mm)程度の大きさの穴明き円盤状を成したものであり、
例えば厚さが30mm程度のアルミニウム合金等から高剛性
に形成された台金12と、その台金12の一面14上の
中央穴部を除く部分に相互に適当な間隔を以てエポキシ
樹脂等の接着剤によって固着された多数の円板状砥石1
6とから構成されている。
【0024】上記の砥石16は、例えばφ10×t5(mm)
程度の大きさで、図2に軸心方向に沿った断面を示すよ
うに、例えば6061アルミニウム合金(組成はSi 0.6
8, Cu 0.29, Fe 0.20, Zn 0.14, Mg 0.75, Mn 0.03, Cr
0.07, Ti 0.02[vol%], 残部Al)から成るメタルボンド
(金属結合剤)18によってダイヤモンド砥粒20が結
合されて成るものであり、メタルボンド18中に砥粒2
0が略均一に分散させられている。図においては便宜上
大きく描かれているが、この砥粒20は平均粒径が0.1
〜20 (μm)程度のものであり、図3に断面を拡大して示
すように、例えば無電解めっきによって表面に固着され
た厚さが0.1 〜3(μm)程度のニッケル膜22を備えてい
る。本実施例においては、このニッケル膜22が被覆膜
に相当する。なお、砥石16は、集中度(コンセントレ
ーション)が20程度すなわち砥粒率5 (vol%) 程度とな
っている。
程度の大きさで、図2に軸心方向に沿った断面を示すよ
うに、例えば6061アルミニウム合金(組成はSi 0.6
8, Cu 0.29, Fe 0.20, Zn 0.14, Mg 0.75, Mn 0.03, Cr
0.07, Ti 0.02[vol%], 残部Al)から成るメタルボンド
(金属結合剤)18によってダイヤモンド砥粒20が結
合されて成るものであり、メタルボンド18中に砥粒2
0が略均一に分散させられている。図においては便宜上
大きく描かれているが、この砥粒20は平均粒径が0.1
〜20 (μm)程度のものであり、図3に断面を拡大して示
すように、例えば無電解めっきによって表面に固着され
た厚さが0.1 〜3(μm)程度のニッケル膜22を備えてい
る。本実施例においては、このニッケル膜22が被覆膜
に相当する。なお、砥石16は、集中度(コンセントレ
ーション)が20程度すなわち砥粒率5 (vol%) 程度とな
っている。
【0025】上記の定盤10は、前記の中央部に設けら
れた穴明き部において図示しないラッピング装置に取り
付けられ、砥石16に向かって水等の研削液を供給しつ
つ、図1に一点鎖線で示されるようにその上に載せられ
た被研磨材24を砥石16表面すなわち研磨面26に押
しつけた状態で軸心回りに自転させる一方、自身も軸心
a回りに回転させて用いられる。これにより、被研磨材
24の下面が砥石16により高精度且つ平滑にラッピン
グ研磨により仕上げられる。
れた穴明き部において図示しないラッピング装置に取り
付けられ、砥石16に向かって水等の研削液を供給しつ
つ、図1に一点鎖線で示されるようにその上に載せられ
た被研磨材24を砥石16表面すなわち研磨面26に押
しつけた状態で軸心回りに自転させる一方、自身も軸心
a回りに回転させて用いられる。これにより、被研磨材
24の下面が砥石16により高精度且つ平滑にラッピン
グ研磨により仕上げられる。
【0026】この場合において、定盤10は、砥石16
が一面14に固着されることによって被研磨材24を研
磨する研磨面(すなわち砥石16の研磨面26)に砥粒
20が固定されているため、ラッピング研磨を施すに際
しては、定盤10が砥石として作用することから遊離砥
粒液が不要となり、被研磨材24が硬度の異なる異種材
料の組み合わせから成る場合にも、遊離砥粒加工に起因
する加工段差の発生が好適に抑制される。しかも、砥石
16は、アルミニウム合金から成るメタルボンド18に
よって砥粒20が結合されている。そのため、砥石16
の硬度が低いことから被研磨材24に作用する加工圧力
の変動が定盤10側で吸収或いは緩和されると共に、砥
石16の剛性が十分に高いことから加工中の砥粒20の
変位が極めて小さいため、加工条件が変動し難くなっ
て、被研磨材24の加工段差が一層小さくされる。
が一面14に固着されることによって被研磨材24を研
磨する研磨面(すなわち砥石16の研磨面26)に砥粒
20が固定されているため、ラッピング研磨を施すに際
しては、定盤10が砥石として作用することから遊離砥
粒液が不要となり、被研磨材24が硬度の異なる異種材
料の組み合わせから成る場合にも、遊離砥粒加工に起因
する加工段差の発生が好適に抑制される。しかも、砥石
16は、アルミニウム合金から成るメタルボンド18に
よって砥粒20が結合されている。そのため、砥石16
の硬度が低いことから被研磨材24に作用する加工圧力
の変動が定盤10側で吸収或いは緩和されると共に、砥
石16の剛性が十分に高いことから加工中の砥粒20の
変位が極めて小さいため、加工条件が変動し難くなっ
て、被研磨材24の加工段差が一層小さくされる。
【0027】また、定盤10の砥石16は、砥粒20が
メタルボンド18中に略均一に分散させられた状態で保
持されていることから、複数の砥石16の研磨面26に
より構成される定盤10の研磨面内における加工条件が
一様となって、被研磨材24の研磨精度が高められると
共に、加工段差が一層小さくされる。
メタルボンド18中に略均一に分散させられた状態で保
持されていることから、複数の砥石16の研磨面26に
より構成される定盤10の研磨面内における加工条件が
一様となって、被研磨材24の研磨精度が高められると
共に、加工段差が一層小さくされる。
【0028】すなわち、例えば図4(a) 、(b) に示され
るような高硬度のAl2O3-TiC から成るベース78に低硬
度のAl2O3 から成る絶縁層80とパーマロイ等の磁性材
料から成る磁性層82がCVD法等によって積層された
磁気ヘッド用部材84等の被研磨材に定盤10で研磨を
施した場合に、ベース78の仕上げ面86bと絶縁層8
0および磁性層82の仕上げ面86mとの加工段差da
、dm が十分に小さくなって高い表面平滑性を得るこ
とができる。
るような高硬度のAl2O3-TiC から成るベース78に低硬
度のAl2O3 から成る絶縁層80とパーマロイ等の磁性材
料から成る磁性層82がCVD法等によって積層された
磁気ヘッド用部材84等の被研磨材に定盤10で研磨を
施した場合に、ベース78の仕上げ面86bと絶縁層8
0および磁性層82の仕上げ面86mとの加工段差da
、dm が十分に小さくなって高い表面平滑性を得るこ
とができる。
【0029】ところで、上記の定盤10に固着された砥
石16は、例えば図5に示される溶湯攪拌装置28およ
び図6に示される溶湯鍛造装置30等を用いて製造され
たものである。図5において、溶湯攪拌装置28は、金
属溶湯32を蓄えるための坩堝34と、モータ36によ
って回転駆動されてその金属溶湯32を攪拌するための
攪拌羽根38と、坩堝34の外周側からコイル40によ
って金属溶湯32を高周波誘導加熱等によって加熱する
ためのヒータ42と、金属溶湯32の温度を測定するた
めの温度測定装置44と、その測定温度に基づいてヒー
タ42を制御すると共に、モータ36の回転数すなわち
攪拌回転数を制御する制御装置46とを備えている。
石16は、例えば図5に示される溶湯攪拌装置28およ
び図6に示される溶湯鍛造装置30等を用いて製造され
たものである。図5において、溶湯攪拌装置28は、金
属溶湯32を蓄えるための坩堝34と、モータ36によ
って回転駆動されてその金属溶湯32を攪拌するための
攪拌羽根38と、坩堝34の外周側からコイル40によ
って金属溶湯32を高周波誘導加熱等によって加熱する
ためのヒータ42と、金属溶湯32の温度を測定するた
めの温度測定装置44と、その測定温度に基づいてヒー
タ42を制御すると共に、モータ36の回転数すなわち
攪拌回転数を制御する制御装置46とを備えている。
【0030】また、図6において、上記の溶湯鍛造装置
30は、内寸法がφ65×130 (mm)程度の大きさの金型
(鋳型)48と、その金型48内に注湯された金属溶湯
32を加圧するための油圧により駆動されるパンチ50
と、金型48をコイル52によって所定温度に加熱する
ためのヒータ54と、その金型48の温度を測定するた
めの熱電対等の温度計56と、その測定温度に基づいて
ヒータ54を制御すると共に、パンチ50の加圧力を一
定に制御するための制御装置58とを備えている。
30は、内寸法がφ65×130 (mm)程度の大きさの金型
(鋳型)48と、その金型48内に注湯された金属溶湯
32を加圧するための油圧により駆動されるパンチ50
と、金型48をコイル52によって所定温度に加熱する
ためのヒータ54と、その金型48の温度を測定するた
めの熱電対等の温度計56と、その測定温度に基づいて
ヒータ54を制御すると共に、パンチ50の加圧力を一
定に制御するための制御装置58とを備えている。
【0031】以下、上記図5、図6および製造工程を示
す図7の工程図を参照して砥石16の製造方法を説明す
る。
す図7の工程図を参照して砥石16の製造方法を説明す
る。
【0032】まず、工程1の溶解工程においては、溶湯
攪拌装置28の坩堝34内に6061アルミニウム合金
を投入してヒータ42で750(℃) に加熱することによ
り、その6061アルミニウム合金を溶解して金属溶湯
32を作製する。このとき、坩堝34は略密閉状態とさ
れて、溶解は窒素或いはアルゴンガス等の不活性雰囲気
下で行われるため、アルミニウム合金は殆ど酸化しな
い。なお、上記温度は、6061アルミニウム合金の融
点650(℃) 程度よりも100(℃) 程度高い値に設定された
ものであり、本実施例においては、これが第1温度に相
当する。次いで、攪拌羽根38を例えば500(rpm)程度の
速度で回転させて金属溶湯32を攪拌しつつ、工程2の
濡れ性改善工程に対応するカルシウム添加工程におい
て、0.3(wt%)程度の金属カルシウム(Ca)を添加し、
更に工程3のアンチモン添加工程において、0.15 (wt
%) 程度のアンチモン(Sb)を添加する。なお、これら
の添加量は、アルミニウム合金100(wt%) に対する割合
である。
攪拌装置28の坩堝34内に6061アルミニウム合金
を投入してヒータ42で750(℃) に加熱することによ
り、その6061アルミニウム合金を溶解して金属溶湯
32を作製する。このとき、坩堝34は略密閉状態とさ
れて、溶解は窒素或いはアルゴンガス等の不活性雰囲気
下で行われるため、アルミニウム合金は殆ど酸化しな
い。なお、上記温度は、6061アルミニウム合金の融
点650(℃) 程度よりも100(℃) 程度高い値に設定された
ものであり、本実施例においては、これが第1温度に相
当する。次いで、攪拌羽根38を例えば500(rpm)程度の
速度で回転させて金属溶湯32を攪拌しつつ、工程2の
濡れ性改善工程に対応するカルシウム添加工程におい
て、0.3(wt%)程度の金属カルシウム(Ca)を添加し、
更に工程3のアンチモン添加工程において、0.15 (wt
%) 程度のアンチモン(Sb)を添加する。なお、これら
の添加量は、アルミニウム合金100(wt%) に対する割合
である。
【0033】そして、攪拌回転数を例えば700(rpm)程度
に高めた後、工程4の砥粒混合工程において、乾燥機等
によって300(℃) 程度に予熱した砥粒20を、金属溶湯
32に対する割合で5 (vol%) 程度混合する。なお、ダ
イヤモンド砥粒20の燃焼温度は、本発明者等が示差熱
分析(DTA)によって測定した結果によれば600(℃)
程度であって、金属溶湯32の温度すなわち上記第1温
度(750[℃] 程度)よりも低い。しかしながら、上記の
砥粒20は前記図3に示されるようにニッケル膜22で
被覆されて燃焼温度が800(℃) 程度に高められているこ
とから、砥粒20は金属溶湯32中で燃焼させられない
のである。上記のように、砥粒20を混合した後、工程
5の攪拌工程においては、溶湯温度をアルミニウム合金
の融点よりも高い700(℃) 程度まで低下させると共に、
攪拌回転数を例えば800(rpm)程度に更に高め、例えば3
時間程度攪拌することにより、金属溶湯32中に砥粒2
0を分散させる。本実施例においては、上記工程4の混
合工程および工程5の攪拌工程が、砥粒分散工程に対応
し、上記の攪拌時の温度が第3温度に相当する。なお、
攪拌工程において溶湯温度を融点よりも高い第3温度ま
で低下させるのは、金属溶湯32の粘性を増大させて砥
粒20の分散性を高めるためである。これにより、初晶
アルミニウムの固相が複合体中に晶出させられ、固液共
存した高粘性状態での攪拌となるため、粒子が単一粒化
されることとなる。
に高めた後、工程4の砥粒混合工程において、乾燥機等
によって300(℃) 程度に予熱した砥粒20を、金属溶湯
32に対する割合で5 (vol%) 程度混合する。なお、ダ
イヤモンド砥粒20の燃焼温度は、本発明者等が示差熱
分析(DTA)によって測定した結果によれば600(℃)
程度であって、金属溶湯32の温度すなわち上記第1温
度(750[℃] 程度)よりも低い。しかしながら、上記の
砥粒20は前記図3に示されるようにニッケル膜22で
被覆されて燃焼温度が800(℃) 程度に高められているこ
とから、砥粒20は金属溶湯32中で燃焼させられない
のである。上記のように、砥粒20を混合した後、工程
5の攪拌工程においては、溶湯温度をアルミニウム合金
の融点よりも高い700(℃) 程度まで低下させると共に、
攪拌回転数を例えば800(rpm)程度に更に高め、例えば3
時間程度攪拌することにより、金属溶湯32中に砥粒2
0を分散させる。本実施例においては、上記工程4の混
合工程および工程5の攪拌工程が、砥粒分散工程に対応
し、上記の攪拌時の温度が第3温度に相当する。なお、
攪拌工程において溶湯温度を融点よりも高い第3温度ま
で低下させるのは、金属溶湯32の粘性を増大させて砥
粒20の分散性を高めるためである。これにより、初晶
アルミニウムの固相が複合体中に晶出させられ、固液共
存した高粘性状態での攪拌となるため、粒子が単一粒化
されることとなる。
【0034】工程6の加圧冷却工程においては、攪拌羽
根38で攪拌しつつ、ヒータ42によって上記の金属溶
湯32を再び750(℃) 程度の第1温度まで加熱した後、
前記溶湯鍛造装置30の金型48内に所定量だけ注湯
し、パンチ50を下降させて例えば加圧力100 (MPa) 程
度、加圧速度65(mm/s)程度で例えば3 分間程度金属溶湯
32を加圧しつつ冷却する。これにより、金型48内の
金属溶湯32が加圧されつつ冷却されて、図8に示され
るような砥粒20がメタルボンド18に結合されて成る
直径d=φ65(mm)程度、長さh=130 (mm)程度の円柱状
の鋳造材(鋳塊)60が得られる。このとき、金型48
はヒータ54によって加熱されることにより350(℃) 程
度の温度に保持されており、金属溶湯32の表層部の部
分的な急冷が抑制されている。本実施例においては、こ
の金型48の保持温度が第4温度に相当する。このよう
にして得られた鋳造材60は、緻密で内部気孔を殆ど有
しておらず高密度となっていると共に、マトリックス
(メタルボンド18)と砥粒20との密着性が高められ
ている。
根38で攪拌しつつ、ヒータ42によって上記の金属溶
湯32を再び750(℃) 程度の第1温度まで加熱した後、
前記溶湯鍛造装置30の金型48内に所定量だけ注湯
し、パンチ50を下降させて例えば加圧力100 (MPa) 程
度、加圧速度65(mm/s)程度で例えば3 分間程度金属溶湯
32を加圧しつつ冷却する。これにより、金型48内の
金属溶湯32が加圧されつつ冷却されて、図8に示され
るような砥粒20がメタルボンド18に結合されて成る
直径d=φ65(mm)程度、長さh=130 (mm)程度の円柱状
の鋳造材(鋳塊)60が得られる。このとき、金型48
はヒータ54によって加熱されることにより350(℃) 程
度の温度に保持されており、金属溶湯32の表層部の部
分的な急冷が抑制されている。本実施例においては、こ
の金型48の保持温度が第4温度に相当する。このよう
にして得られた鋳造材60は、緻密で内部気孔を殆ど有
しておらず高密度となっていると共に、マトリックス
(メタルボンド18)と砥粒20との密着性が高められ
ている。
【0035】工程7の押出成形工程においては、上記の
鋳造材60を切削加工によってφ60×100 (mm)程度の寸
法のビレットに加工した後、図9に示されるような熱間
押出成形装置62でφ10(mm)程度(すなわち押出比[=
元の断面積/押出後の断面積]=36程度)の丸棒64に
押出速度10(mm/s)程度で熱間押出成形される。この熱間
押出成形装置62は、ビレット66を例えば350(℃) 程
度の温度に加熱する加熱炉68と、ビレット66を上記
寸法に成形するための成形型70と、シュート72を通
して加熱炉68からシリンダ74内に供給されたビレッ
ト66を成形型70に向かって押圧するためのピストン
76とを備えたものである。このような熱間押出成形装
置62によれば、加熱炉68によって上記温度に加熱さ
れたビレット66が速やかにシリンダ74内に供給され
ることにより、容易に塑性変形可能な温度に加熱された
状態で押出成形されるため、任意の断面形状の成形体が
得られる。このようにして丸棒64を成形した後、工程
8の切断工程において、例えばダイヤモンドカッタ等を
用いてその丸棒64を例えば 5(mm)程度の一定長さで切
断することにより、前記図2に示される砥石16が得ら
れる。そして、この砥石16を更に前記台金12に固着
することによって前記定盤10が得られるのである。
鋳造材60を切削加工によってφ60×100 (mm)程度の寸
法のビレットに加工した後、図9に示されるような熱間
押出成形装置62でφ10(mm)程度(すなわち押出比[=
元の断面積/押出後の断面積]=36程度)の丸棒64に
押出速度10(mm/s)程度で熱間押出成形される。この熱間
押出成形装置62は、ビレット66を例えば350(℃) 程
度の温度に加熱する加熱炉68と、ビレット66を上記
寸法に成形するための成形型70と、シュート72を通
して加熱炉68からシリンダ74内に供給されたビレッ
ト66を成形型70に向かって押圧するためのピストン
76とを備えたものである。このような熱間押出成形装
置62によれば、加熱炉68によって上記温度に加熱さ
れたビレット66が速やかにシリンダ74内に供給され
ることにより、容易に塑性変形可能な温度に加熱された
状態で押出成形されるため、任意の断面形状の成形体が
得られる。このようにして丸棒64を成形した後、工程
8の切断工程において、例えばダイヤモンドカッタ等を
用いてその丸棒64を例えば 5(mm)程度の一定長さで切
断することにより、前記図2に示される砥石16が得ら
れる。そして、この砥石16を更に前記台金12に固着
することによって前記定盤10が得られるのである。
【0036】以上説明したように、本実施例によれば、
砥石16を製造するに際しては、工程1の溶解工程にお
いて、メタルボンド18を構成するアルミニウム合金が
750(℃) で加熱溶解されることにより金属溶湯32が作
製され、砥粒分散工程に対応する続く工程4の砥粒混合
工程および工程5の攪拌工程において、その金属溶湯3
2中に砥粒20が混合されて攪拌されることによりその
砥粒20がその金属溶湯32内に分散させられ、更に、
工程6の加圧冷却工程において、その金属溶湯32が攪
拌されつつ金型48に注湯されると共に、その金型48
内で加圧されつつ急速に冷却される。そのため、金属溶
湯32は、攪拌されることにより砥粒20が均一に分散
させられた状態で金型48内に流し込まれ、その金型4
8内で冷却されて速やかに凝固させられることから砥粒
20とアルミニウム合金との分離が抑制されると共に、
その凝固の過程で加圧されることから金属溶湯32中に
気泡が巻き込まれている場合にもその気泡が押し潰され
或いは固溶させられて消滅させられるため、メタルボン
ド18中に砥粒20が良好に分散させられた緻密な鋳造
材60が得られる。また、メタルボンド18の溶解工程
を密閉系で実施し得ることからメタルボンド材料の酸化
を容易に抑制し得るため、材料選択の自由度が高くなっ
て、本実施例のように酸化し易いアルミニウム合金をも
用い得る。更に、液状の金属溶湯32が加圧されること
により金型48に倣って成形されるため、鋳造材60の
形状の自由度も高められる。したがって、砥粒の分散性
が高く、且つ結合剤の種類や砥石形状の自由度が高い砥
石16を製造し得る。
砥石16を製造するに際しては、工程1の溶解工程にお
いて、メタルボンド18を構成するアルミニウム合金が
750(℃) で加熱溶解されることにより金属溶湯32が作
製され、砥粒分散工程に対応する続く工程4の砥粒混合
工程および工程5の攪拌工程において、その金属溶湯3
2中に砥粒20が混合されて攪拌されることによりその
砥粒20がその金属溶湯32内に分散させられ、更に、
工程6の加圧冷却工程において、その金属溶湯32が攪
拌されつつ金型48に注湯されると共に、その金型48
内で加圧されつつ急速に冷却される。そのため、金属溶
湯32は、攪拌されることにより砥粒20が均一に分散
させられた状態で金型48内に流し込まれ、その金型4
8内で冷却されて速やかに凝固させられることから砥粒
20とアルミニウム合金との分離が抑制されると共に、
その凝固の過程で加圧されることから金属溶湯32中に
気泡が巻き込まれている場合にもその気泡が押し潰され
或いは固溶させられて消滅させられるため、メタルボン
ド18中に砥粒20が良好に分散させられた緻密な鋳造
材60が得られる。また、メタルボンド18の溶解工程
を密閉系で実施し得ることからメタルボンド材料の酸化
を容易に抑制し得るため、材料選択の自由度が高くなっ
て、本実施例のように酸化し易いアルミニウム合金をも
用い得る。更に、液状の金属溶湯32が加圧されること
により金型48に倣って成形されるため、鋳造材60の
形状の自由度も高められる。したがって、砥粒の分散性
が高く、且つ結合剤の種類や砥石形状の自由度が高い砥
石16を製造し得る。
【0037】また、本実施例においては、砥石16の製
造方法は、工程6の加圧冷却工程の後に、成形型70を
用いて鋳造材60をメタルボンド18を構成するアルミ
ニウム合金の融点よりも低い350(℃) 程度の温度で加熱
しつつ押出成形する工程7の押出成形工程を、更に含む
ものである。このようにすれば、鋳造材60が熱間押出
成形によって前述のようにφ10(mm)程度の丸棒64に成
形されるため、金型48を複数種類用意しなくとも、成
形型70を種々用意することにより、様々な断面形状の
砥石16を製造し得る。そのため、本実施例の定盤10
のように、棒状に成形した押出成形体(丸棒64)を一
様な厚さで切断して台金12に貼り着けることにより、
大寸法の金型48を用いることなく前記図1に示される
ような大径の定盤10を製造し得るのである。
造方法は、工程6の加圧冷却工程の後に、成形型70を
用いて鋳造材60をメタルボンド18を構成するアルミ
ニウム合金の融点よりも低い350(℃) 程度の温度で加熱
しつつ押出成形する工程7の押出成形工程を、更に含む
ものである。このようにすれば、鋳造材60が熱間押出
成形によって前述のようにφ10(mm)程度の丸棒64に成
形されるため、金型48を複数種類用意しなくとも、成
形型70を種々用意することにより、様々な断面形状の
砥石16を製造し得る。そのため、本実施例の定盤10
のように、棒状に成形した押出成形体(丸棒64)を一
様な厚さで切断して台金12に貼り着けることにより、
大寸法の金型48を用いることなく前記図1に示される
ような大径の定盤10を製造し得るのである。
【0038】また、本実施例においては、工程5、6の
砥粒分散工程は、0.1 〜3.0(μm)程度の厚さのニッケル
膜22で被覆された砥粒20を金属溶湯32に混合する
ものである。このようにすれば、ニッケル膜22で被覆
されることによって金属溶湯32との濡れ性が高められ
た砥粒20が用いられるため、砥粒20の凝集が抑制さ
れて分散性が一層向上させられる。しかも、砥粒20は
高温に加熱されると劣化するため製造過程における最高
処理温度がその劣化温度によって制限されるが、上記の
ようにニッケル膜22で被覆された砥粒20は前述のよ
うに耐熱性も高められるため、メタルボンド材料の選択
範囲が一層広くなって、本実施例のように融点がダイヤ
モンド砥粒20の燃焼温度よりも高いアルミニウム合金
等を用い得るという利点もある。すなわち、本実施例に
おいては、被覆された砥粒20が劣化し得る温度よりも
低い融点を備えたアルミニウム合金でメタルボンド18
が構成されているため、前記各工程の説明から明らかな
ように、その劣化温度よりも低い温度で全工程を処理し
得ることとなって、砥粒20の熱劣化に起因する砥石1
6の特性低下が抑制されるのである。
砥粒分散工程は、0.1 〜3.0(μm)程度の厚さのニッケル
膜22で被覆された砥粒20を金属溶湯32に混合する
ものである。このようにすれば、ニッケル膜22で被覆
されることによって金属溶湯32との濡れ性が高められ
た砥粒20が用いられるため、砥粒20の凝集が抑制さ
れて分散性が一層向上させられる。しかも、砥粒20は
高温に加熱されると劣化するため製造過程における最高
処理温度がその劣化温度によって制限されるが、上記の
ようにニッケル膜22で被覆された砥粒20は前述のよ
うに耐熱性も高められるため、メタルボンド材料の選択
範囲が一層広くなって、本実施例のように融点がダイヤ
モンド砥粒20の燃焼温度よりも高いアルミニウム合金
等を用い得るという利点もある。すなわち、本実施例に
おいては、被覆された砥粒20が劣化し得る温度よりも
低い融点を備えたアルミニウム合金でメタルボンド18
が構成されているため、前記各工程の説明から明らかな
ように、その劣化温度よりも低い温度で全工程を処理し
得ることとなって、砥粒20の熱劣化に起因する砥石1
6の特性低下が抑制されるのである。
【0039】また、本実施例においては、工程5、6の
砥粒分散工程に先立って、金属溶湯32中に金属カルシ
ウムを添加する工程2のカルシウム添加工程が設けられ
る。このようにすれば、砥粒20と金属溶湯32との濡
れ性が一層高められるため、砥粒20の一層高い分散性
が得られる。しかも、本実施例においては、金属カルシ
ウムの添加量が、0.3(wt%) 程度と十分に少なくされて
いるため、塑性加工時(押出成形工程)に亀裂が生じ難
いという利点もある。
砥粒分散工程に先立って、金属溶湯32中に金属カルシ
ウムを添加する工程2のカルシウム添加工程が設けられ
る。このようにすれば、砥粒20と金属溶湯32との濡
れ性が一層高められるため、砥粒20の一層高い分散性
が得られる。しかも、本実施例においては、金属カルシ
ウムの添加量が、0.3(wt%) 程度と十分に少なくされて
いるため、塑性加工時(押出成形工程)に亀裂が生じ難
いという利点もある。
【0040】また、本実施例においては、工程5、6の
砥粒分散工程に先立って、金属溶湯32中にアンチモン
を添加する工程3のアンチモン添加工程が設けられる。
このようにすれば、アルミニウム合金の結晶成長が抑制
されるため、メタルボンド18の組織が一層微細化され
た結晶粒が得られる。
砥粒分散工程に先立って、金属溶湯32中にアンチモン
を添加する工程3のアンチモン添加工程が設けられる。
このようにすれば、アルミニウム合金の結晶成長が抑制
されるため、メタルボンド18の組織が一層微細化され
た結晶粒が得られる。
【0041】また、本実施例においては、工程6の攪拌
工程は、攪拌回転数800(rpm)程度、攪拌時間3.0(時間)
程度の条件で砥粒20が混合された金属溶湯32を攪拌
するものであるため、一層高い分散性が得られる。
工程は、攪拌回転数800(rpm)程度、攪拌時間3.0(時間)
程度の条件で砥粒20が混合された金属溶湯32を攪拌
するものであるため、一層高い分散性が得られる。
【0042】また、本実施例においては、工程6の加圧
冷却工程における処理条件は、加圧力が100(MPa)程度、
加圧時間が3(分) 程度である。このようにすれば、加圧
力がメタルボンド18を構成するアルミニウム合金の凝
固時の膨張収縮による変形抵抗よりも十分に大きくされ
ているため、砥石16内の巣の発生が一層確実に抑制さ
れる。
冷却工程における処理条件は、加圧力が100(MPa)程度、
加圧時間が3(分) 程度である。このようにすれば、加圧
力がメタルボンド18を構成するアルミニウム合金の凝
固時の膨張収縮による変形抵抗よりも十分に大きくされ
ているため、砥石16内の巣の発生が一層確実に抑制さ
れる。
【0043】また、本実施例においては、工程5の攪拌
工程は、砥粒20を投入した後、金属溶湯32の温度を
アルミニウム合金の融点よりも僅かに高い700(℃) 程度
で保持した状態で攪拌するものであり、工程6の加圧冷
却工程は、金属溶湯32の温度を溶解工程における温度
と同様な750(℃) 程度に上昇させた後に金型48内に流
し込むものである。そのため、ヒケ巣欠陥、不均一な凝
固による砥粒の不均一分散等の金属溶湯32の冷却に伴
う不具合を生じさせることなく、複合体が凝固成形させ
られる。
工程は、砥粒20を投入した後、金属溶湯32の温度を
アルミニウム合金の融点よりも僅かに高い700(℃) 程度
で保持した状態で攪拌するものであり、工程6の加圧冷
却工程は、金属溶湯32の温度を溶解工程における温度
と同様な750(℃) 程度に上昇させた後に金型48内に流
し込むものである。そのため、ヒケ巣欠陥、不均一な凝
固による砥粒の不均一分散等の金属溶湯32の冷却に伴
う不具合を生じさせることなく、複合体が凝固成形させ
られる。
【0044】また、本実施例においては、工程6の加圧
冷却工程は、金型48をアルミニウム合金の融点よりも
低い350(℃) 程度の温度に加熱しつつ加圧するものであ
る。このようにすれば、金属溶湯32が金型48内面に
接触する表層部から部分的に急冷されることが抑制され
る。そのため、表層部の硬化に起因する凝固中の金属溶
湯32の変形抵抗の上昇が抑制されることから、凝固が
終了するまでの間において、内部に高い加圧力が伝達さ
れるため、一層内部まで緻密且つ均質な砥石16が得ら
れる。
冷却工程は、金型48をアルミニウム合金の融点よりも
低い350(℃) 程度の温度に加熱しつつ加圧するものであ
る。このようにすれば、金属溶湯32が金型48内面に
接触する表層部から部分的に急冷されることが抑制され
る。そのため、表層部の硬化に起因する凝固中の金属溶
湯32の変形抵抗の上昇が抑制されることから、凝固が
終了するまでの間において、内部に高い加圧力が伝達さ
れるため、一層内部まで緻密且つ均質な砥石16が得ら
れる。
【0045】なお、上述の実施例においては、砥粒20
としてダイヤモンド砥粒が、メタルボンド18として6
061アルミニウム合金がそれぞれ用いられていたが、
砥粒20やメタルボンド18の材質は適宜変更可能であ
る。以下に、他の材質の一例を製造工程の異なる部分と
併せて説明する。
としてダイヤモンド砥粒が、メタルボンド18として6
061アルミニウム合金がそれぞれ用いられていたが、
砥粒20やメタルボンド18の材質は適宜変更可能であ
る。以下に、他の材質の一例を製造工程の異なる部分と
併せて説明する。
【0046】例えば、砥粒20として平均粒径0.1 〜20
(μm)程度のCBN砥粒が、集中度20程度すなわち砥粒
率5 (vol%) 程度となるように、6061アルミニウム
合金から成るメタルボンド18によって結合されて構成
された砥石16においても、同様な製造方法に従って製
造し得る。この場合は、前記図7に示される製造工程上
の変更は特に必要ない。
(μm)程度のCBN砥粒が、集中度20程度すなわち砥粒
率5 (vol%) 程度となるように、6061アルミニウム
合金から成るメタルボンド18によって結合されて構成
された砥石16においても、同様な製造方法に従って製
造し得る。この場合は、前記図7に示される製造工程上
の変更は特に必要ない。
【0047】また、砥粒20として、平均粒径0.6(μm)
程度のダイヤモンド砥粒が、集中度20程度すなわち砥粒
率5 (vol%) 程度となるように、Sn92% −Zn8%合金から
成るメタルボンド18によって結合されて構成された砥
石16においても、同様な製造方法に従って製造し得
る。なお、この場合には、Sn92% −Zn8%合金の融点が19
9(℃) 程度であることから、前記工程1の溶解工程にお
ける第1温度がそれよりも170(℃) 程度高い370(℃) 程
度に、工程7の押出成形工程における第2温度が100
(℃) 程度に、工程5の攪拌工程における第3温度が280
(℃) 程度に、工程6の加圧冷却工程における第4温度
(金型48の温度)が150(℃) 程度にそれぞれ設定され
る必要がある。但し、工程2のカルシウム添加工程にお
いては、Ca等のアルカリ土類金属或いはアルカリ金属を
添加するに際してその添加金属の融点で合金化した後、
前記第1温度まで冷却される。また、メタルボンド18
材料の融点がダイヤモンドの燃焼温度に比較して十分に
低いことから、分散性が特に問題ない場合には、砥粒2
0はニッケル膜22が設けられたものを用いる必要はな
い。これら、CBN砥粒が用いられる場合やSn92% −Zn
8%合金が用いられる場合にも、前述の実施例と同様に、
砥粒の分散性が高く、且つ結合剤の種類や砥石形状の自
由度が高い砥石16を容易に製造し得る。
程度のダイヤモンド砥粒が、集中度20程度すなわち砥粒
率5 (vol%) 程度となるように、Sn92% −Zn8%合金から
成るメタルボンド18によって結合されて構成された砥
石16においても、同様な製造方法に従って製造し得
る。なお、この場合には、Sn92% −Zn8%合金の融点が19
9(℃) 程度であることから、前記工程1の溶解工程にお
ける第1温度がそれよりも170(℃) 程度高い370(℃) 程
度に、工程7の押出成形工程における第2温度が100
(℃) 程度に、工程5の攪拌工程における第3温度が280
(℃) 程度に、工程6の加圧冷却工程における第4温度
(金型48の温度)が150(℃) 程度にそれぞれ設定され
る必要がある。但し、工程2のカルシウム添加工程にお
いては、Ca等のアルカリ土類金属或いはアルカリ金属を
添加するに際してその添加金属の融点で合金化した後、
前記第1温度まで冷却される。また、メタルボンド18
材料の融点がダイヤモンドの燃焼温度に比較して十分に
低いことから、分散性が特に問題ない場合には、砥粒2
0はニッケル膜22が設けられたものを用いる必要はな
い。これら、CBN砥粒が用いられる場合やSn92% −Zn
8%合金が用いられる場合にも、前述の実施例と同様に、
砥粒の分散性が高く、且つ結合剤の種類や砥石形状の自
由度が高い砥石16を容易に製造し得る。
【0048】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に他の態様でも実施され
る。
詳細に説明したが、本発明は更に他の態様でも実施され
る。
【0049】例えば、実施例においては、砥粒20とし
て粒径0.1 〜20 (μm)程度、或いは0.6(μm)程度のダイ
ヤモンド砥粒や、粒径0.1 〜20 (μm)程度のCBN砥粒
が用いられ、メタルボンド18として6061アルミニ
ウム合金やSn92% −Zn8%合金が用いられた場合について
説明したが、砥粒20の粒径は用途に応じて適宜変更さ
れる。但し、良好な分散性を得るためには、0.1 〜100
(μm)程度の範囲、更に好適には、1 〜5(μm)程度のも
のが用いられることが好ましい。また、メタルボンド1
8の構成金属は砥石16に求められる硬度や剛性等の特
性に応じて適宜変更され、例えば、6061アルミニウ
ム合金以外のアルミニウム合金や他の錫合金、亜鉛合金
等が用いられる場合にも本発明の効果が同様に得られ
る。
て粒径0.1 〜20 (μm)程度、或いは0.6(μm)程度のダイ
ヤモンド砥粒や、粒径0.1 〜20 (μm)程度のCBN砥粒
が用いられ、メタルボンド18として6061アルミニ
ウム合金やSn92% −Zn8%合金が用いられた場合について
説明したが、砥粒20の粒径は用途に応じて適宜変更さ
れる。但し、良好な分散性を得るためには、0.1 〜100
(μm)程度の範囲、更に好適には、1 〜5(μm)程度のも
のが用いられることが好ましい。また、メタルボンド1
8の構成金属は砥石16に求められる硬度や剛性等の特
性に応じて適宜変更され、例えば、6061アルミニウ
ム合金以外のアルミニウム合金や他の錫合金、亜鉛合金
等が用いられる場合にも本発明の効果が同様に得られ
る。
【0050】また、実施例においては、台金12上に貼
り着けられることにより定盤10を構成する砥石16の
製造方法に本発明が適用された場合について説明した
が、棒状の砥石に軸部が取り付けられる軸付き砥石や、
溶湯鍛造装置30に備えられる金型48の形状を適宜変
更することにより、全体が定盤10の形状等の所望の形
状に成形される砥石等にも本発明は同様に適用される。
なお、所望の砥石形状の金型48が用いられる場合に
は、工程7の押出成形工程および工程8の切断工程は不
要であり、工程6の加圧冷却工程によって直ちに砥石が
得られることとなる。この加圧冷却工程においては、鋳
造材60が高い寸法精度で成形されると共に、金型48
の内面に倣った良好な面精度が得られることから、鋳造
材60をそのまま砥石としても用い得るのである。
り着けられることにより定盤10を構成する砥石16の
製造方法に本発明が適用された場合について説明した
が、棒状の砥石に軸部が取り付けられる軸付き砥石や、
溶湯鍛造装置30に備えられる金型48の形状を適宜変
更することにより、全体が定盤10の形状等の所望の形
状に成形される砥石等にも本発明は同様に適用される。
なお、所望の砥石形状の金型48が用いられる場合に
は、工程7の押出成形工程および工程8の切断工程は不
要であり、工程6の加圧冷却工程によって直ちに砥石が
得られることとなる。この加圧冷却工程においては、鋳
造材60が高い寸法精度で成形されると共に、金型48
の内面に倣った良好な面精度が得られることから、鋳造
材60をそのまま砥石としても用い得るのである。
【0051】また、実施例においては、工程2のカルシ
ウム添加工程および工程3のアンチモン添加工程におい
て、金属溶湯32中に微量のカルシウムおよびアンチモ
ンが添加されていたが、砥粒20の十分な混入と分散性
が得られる場合には必ずしも添加する必要はない。
ウム添加工程および工程3のアンチモン添加工程におい
て、金属溶湯32中に微量のカルシウムおよびアンチモ
ンが添加されていたが、砥粒20の十分な混入と分散性
が得られる場合には必ずしも添加する必要はない。
【0052】また、実施例においては、工程5の攪拌工
程において、砥粒20が混合された後、800(rpm)程度の
回転速度で3 時間程度金属溶湯32が攪拌されていた
が、回転速度および攪拌時間は適宜変更される。但し、
組織の均一性を可及的に高めるためには、回転速度が50
0 〜800(rpm)程度の範囲に、攪拌時間が1 〜3 時間程度
の範囲に設定されることが好ましい。
程において、砥粒20が混合された後、800(rpm)程度の
回転速度で3 時間程度金属溶湯32が攪拌されていた
が、回転速度および攪拌時間は適宜変更される。但し、
組織の均一性を可及的に高めるためには、回転速度が50
0 〜800(rpm)程度の範囲に、攪拌時間が1 〜3 時間程度
の範囲に設定されることが好ましい。
【0053】また、実施例においては、工程1の溶解工
程における第1温度がメタルボンド18の構成金属の融
点よりも100(℃) 程度高い750(℃) 程度或いは300(℃)
程度に設定され、工程7の押出成形工程における第2温
度が350(℃) 程度に、工程5の攪拌工程における第3温
度が700(℃) 程度に、工程6の加圧冷却工程における第
4温度(金型48の温度)が280(℃) 程度にそれぞれ設
定されていたが、これらの温度は、メタルボンド18を
構成する金属材料の種類や砥粒20の混合量等に応じて
適宜変更される。
程における第1温度がメタルボンド18の構成金属の融
点よりも100(℃) 程度高い750(℃) 程度或いは300(℃)
程度に設定され、工程7の押出成形工程における第2温
度が350(℃) 程度に、工程5の攪拌工程における第3温
度が700(℃) 程度に、工程6の加圧冷却工程における第
4温度(金型48の温度)が280(℃) 程度にそれぞれ設
定されていたが、これらの温度は、メタルボンド18を
構成する金属材料の種類や砥粒20の混合量等に応じて
適宜変更される。
【0054】また、実施例においては、工程6の加圧冷
却工程において、加圧力が100(MPa)程度、加圧時間が3
(分) 程度とされていたが、これら加圧力や加圧時間
は、メタルボンド18を構成する金属材料に応じて、凝
固後の変形抵抗に打ち勝って加圧冷却工程の終了時まで
十分な加圧が為されるように適宜設定される。
却工程において、加圧力が100(MPa)程度、加圧時間が3
(分) 程度とされていたが、これら加圧力や加圧時間
は、メタルボンド18を構成する金属材料に応じて、凝
固後の変形抵抗に打ち勝って加圧冷却工程の終了時まで
十分な加圧が為されるように適宜設定される。
【0055】また、実施例においては、工程5の攪拌工
程において、溶湯温度がメタルボンド18を構成する金
属材料の融点すなわち凝固点よりも僅かに高い温度(6
061アルミニウム合金においては700[℃] 程度、Sn92
% −Zn8%合金においては、280[℃] 程度)に設定されて
いたが、この際の温度は融点よりも高い範囲で適宜変更
される。すなわち、砥粒20の十分な分散性が得られる
範囲で、例えば溶解工程における温度に保持された状態
で攪拌工程が実施されてもよい。
程において、溶湯温度がメタルボンド18を構成する金
属材料の融点すなわち凝固点よりも僅かに高い温度(6
061アルミニウム合金においては700[℃] 程度、Sn92
% −Zn8%合金においては、280[℃] 程度)に設定されて
いたが、この際の温度は融点よりも高い範囲で適宜変更
される。すなわち、砥粒20の十分な分散性が得られる
範囲で、例えば溶解工程における温度に保持された状態
で攪拌工程が実施されてもよい。
【0056】また、実施例においては、工程6の加圧冷
却工程において金型48がメタルボンド18の構成金属
の融点よりも低い350(℃) 程度、或いは280(℃) 程度の
第4温度に加熱されていたが、金型48は必ずしも加熱
されなくともよい。
却工程において金型48がメタルボンド18の構成金属
の融点よりも低い350(℃) 程度、或いは280(℃) 程度の
第4温度に加熱されていたが、金型48は必ずしも加熱
されなくともよい。
【0057】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図1】本発明の一実施例の製造方法を用いて製造され
た砥粒固定型定盤の全体を示す斜視図である。
た砥粒固定型定盤の全体を示す斜視図である。
【図2】図1の定盤に固着された砥石を拡大して示す図
である。
である。
【図3】図2の砥石を構成する砥粒を拡大して示す断面
図である。
図である。
【図4】(a) は図1の定盤でラッピング加工される被研
磨材の一例を示す図であり、(b) は(a) におけるb−b
視断面図である。
磨材の一例を示す図であり、(b) は(a) におけるb−b
視断面図である。
【図5】図2の砥石の製造に用いられる溶湯攪拌装置の
構成を説明する図である。
構成を説明する図である。
【図6】図2の砥石の製造に用いられる溶湯鍛造装置の
構成を説明する図である。
構成を説明する図である。
【図7】図2の砥石の製造工程を説明する工程図であ
る。
る。
【図8】図6の溶湯鍛造装置によって鋳造された鋳造材
を示す図である。
を示す図である。
【図9】図7の押出成形工程に用いられる熱間押出成形
装置の構成を説明する図である。
装置の構成を説明する図である。
16:砥石(超砥粒メタルボンド砥石) 18:メタルボンド(金属結合剤) 20:ダイヤモンド砥粒(超砥粒) 22:ニッケル膜(被覆膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 洋一 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内
Claims (5)
- 【請求項1】 超砥粒が金属結合剤で結合されて成る超
砥粒メタルボンド砥石の製造方法であって、 前記金属結合剤を融点以上の第1温度に加熱して溶解す
ることにより金属溶湯を作製する溶解工程と、 該金属溶湯中に前記超砥粒を混合して攪拌することによ
り、該超砥粒を金属溶湯中に分散させる砥粒分散工程
と、 該砥粒分散工程に続いて、該金属溶湯を所定の鋳型に流
し込み、該鋳型内で加圧しつつ冷却する加圧冷却工程と
を、含むことを特徴とする超砥粒メタルボンド砥石の製
造方法。 - 【請求項2】 前記加圧冷却工程の後に、所定の押出成
形型を用いて該加圧冷却工程によって得られた鋳塊を前
記融点よりも低い第2温度で加熱しつつ押出成形する熱
間押出成形工程を、更に含むものである請求項1の超砥
粒メタルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項3】 前記砥粒分散工程において、ニッケル、
銅、およびクロムの何れかから成る被覆膜で被覆された
前記超砥粒を前記金属溶湯に混合するものである請求項
1の超砥粒メタルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項4】 前記金属結合剤は、アルミニウム、錫、
亜鉛、およびこれらを含む合金のうちの少なくとも一種
から成るものである請求項1の超砥粒メタルボンド砥石
の製造方法。 - 【請求項5】 超砥粒が金属結合剤で結合されて成る超
砥粒メタルボンド砥石であって、 前記金属結合剤を加熱溶解した金属溶湯中に前記超砥粒
を分散させ、該金属溶湯を所定の鋳型に流し込んで加圧
しつつ冷却することにより、該超砥粒を該金属結合剤で
結合したことを特徴とする超砥粒メタルボンド砥石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09056121A JP3135517B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 超砥粒メタルボンド砥石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09056121A JP3135517B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 超砥粒メタルボンド砥石の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10249734A true JPH10249734A (ja) | 1998-09-22 |
JP3135517B2 JP3135517B2 (ja) | 2001-02-19 |
Family
ID=13018249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09056121A Expired - Fee Related JP3135517B2 (ja) | 1997-03-11 | 1997-03-11 | 超砥粒メタルボンド砥石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3135517B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003510193A (ja) * | 1999-09-24 | 2003-03-18 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 酸素スカベンジャー金属を含有する融合研磨体 |
CN112894638A (zh) * | 2021-01-20 | 2021-06-04 | 海安玻克超硬材料有限公司 | 一种光伏磨轮制备工艺 |
CN114318503A (zh) * | 2021-12-30 | 2022-04-12 | 陕西旭光晶体科技有限公司 | 氧化嫁晶体用的铂铱合金坩埚以及制备方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004255469A (ja) * | 2003-02-24 | 2004-09-16 | Miyanaga:Kk | 研削工具の研削部構造 |
KR200457246Y1 (ko) | 2009-06-17 | 2011-12-09 | 전춘병 | 양방향 슬리퍼. |
-
1997
- 1997-03-11 JP JP09056121A patent/JP3135517B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003510193A (ja) * | 1999-09-24 | 2003-03-18 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 酸素スカベンジャー金属を含有する融合研磨体 |
CN112894638A (zh) * | 2021-01-20 | 2021-06-04 | 海安玻克超硬材料有限公司 | 一种光伏磨轮制备工艺 |
CN114318503A (zh) * | 2021-12-30 | 2022-04-12 | 陕西旭光晶体科技有限公司 | 氧化嫁晶体用的铂铱合金坩埚以及制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3135517B2 (ja) | 2001-02-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5011510A (en) | Composite abrasive-articles and manufacturing method therefor | |
US8882868B2 (en) | Abrasive slicing tool for electronics industry | |
JP4173573B2 (ja) | 多孔質砥粒砥石の製造方法 | |
CN111168591B (zh) | 金刚石磨具及其制备方法 | |
PL204390B1 (pl) | Wyrób ścierny na segmentową tarczę szlifierską, tarcza szlifierska segmentowa i sposób wytwarzania wyrobu ściernego | |
CN110355699A (zh) | 一种铝基金刚石复合材料elid磨削用砂轮及其制备方法 | |
JP2000239770A (ja) | 鋳造合金及び複合シリンダの製造方法 | |
JP2003512937A (ja) | 剛直に結合された薄い砥石 | |
CN106956224A (zh) | 一种金刚石砂轮棒及其制备方法 | |
CN103991041A (zh) | 一种高球形气孔率超细粒度陶瓷结合剂cbn砂轮的制备方法 | |
CN114670128B (zh) | 一种纳米级高温烧结陶瓷磨料及其制备方法 | |
JP3135517B2 (ja) | 超砥粒メタルボンド砥石の製造方法 | |
WO2005056238A1 (en) | Manufacture method of super-hard grinding tool containing metallic or ceramic binder | |
CN107175593B (zh) | 不含纯铜粉的金刚石磨轮的制作方法 | |
US4832707A (en) | Metal-bonded tool and method of manufacturing same | |
CN105345011A (zh) | 一种高耐磨金刚石锯片的制备方法 | |
CN106041089B (zh) | 漫渗燃烧Ti-Al-Cu-Sn-Ni微孔金刚石砂轮的制造方法 | |
KR100611936B1 (ko) | 베이스원판형 연삭숫돌 | |
CN107186633B (zh) | 一种高性能金属结合剂金刚石滚刀的制备方法 | |
JPH03277472A (ja) | ダイヤモンド砥石 | |
JP2001139936A (ja) | 単結晶ダイヤモンド又はダイヤモンド焼結体研磨用砥石及び同研磨方法並びに研磨により得られた単結晶ダイヤモンド及びダイヤモンド焼結体 | |
JP2007245251A (ja) | 研削工具及びその製造方法 | |
CN105436507A (zh) | 一种金刚石锯片的制备方法 | |
JP2003214435A (ja) | 微小硬質研磨ボールとその製造方法及び装置 | |
JP5499619B2 (ja) | 砥石コアの製造方法及び砥石の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071201 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 8 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081201 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091201 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |