JP2002059245A - 希土類系合金製造用急冷ロール - Google Patents
希土類系合金製造用急冷ロールInfo
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Abstract
格段に改善される技術を開発する。 【解決手段】ロール外周面のSm/Ra の値を、0.03〜0.12
(mm/μm)の範囲内に、且つSmを0.1 〜0.6mm の範囲内に
規定する。但し、RaおよびSmはそれぞれJISB0601に定め
る算術平均粗さ Ra(μm)および凹凸の平均間隔Sm(mm)で
ある。改良法として、ロール中央部のSm/Ra を0.03〜0.
08(mm/μm)に、且つSmを0.1〜0.4mm に規定する。
Description
用急冷ロール、特にロール外周面の表面性状を規定した
希土類系合金製造用急冷ロールに関する。
希土類系水素吸蔵合金は、ハードディスク装置等の電子
機器用として、その需要が増加している( 以下、これら
を総称して「希土類系合金」という) 。
合金の特性を向上させるには、それらの合金が緻密で均
一な組織を有していることが重要であるとされている。
したがって、このような今日的状況下にあって、緻密な
組織を得るためには、回転する急冷ロール (以下、単に
ロールともいう) 外周部に希土類系合金の溶湯を流下
し、凝固させて希土類合金薄帯を製造するロール急冷法
が多く用いられるようになった。
合金の溶湯とロール表面との接触状態によっては、凝固
時の冷却速度が不均一になり、均一な組織をもった合金
が得られないことがある。なお、本発明でいう薄帯は帯
状のものが破断した薄片も含む。
急速凝固させる場合、薄帯の幅方向の端部が上方に反
り、その部分の冷却速度が中央部と比較して小さくなる
等の現象が発生することがあった。これは明確ではない
が、溶湯とロールとの接触面側と反対側との冷却速度お
よび冷却開始時のわずかな相違に起因して発生すると推
測される。
−1296号公報では、ロール外周面の中央部と両端部の表
面粗さをそれぞれ規定した急冷ロールを提案している。
ール外周面に合金の溶湯を流下すると、溶湯は薄く帯状
に広がり、ロール外周面と接触した面から抜熱されるこ
とにより急速に冷却されて凝固し薄帯となる。その際
に、組織を均一化するため合金の薄帯の冷却速度が一定
となるよう、種々の条件を一定に保つように配慮する。
溶湯の時間当たりの供給量、ロールの回転速度等であ
る。さらに、前記公報の提案するように、ロールの表面
粗さを規定することも行われている。
金を製造する場合、均一組織は必ずしも生成されず、例
えば薄帯の幅方向の端部の組織は、中央部のものと比較
して粗いものになる等バラツキの多い組織が得られるこ
とがあり、合金の磁気特性にもバラツキが見られること
があった。
比較して、得られる希土類合金の組織の均一性が格段に
改善され、しかも、簡便な手段でもって、それが実現で
きる技術を開発することである。
を実現すべく種々検討を重ね、従来技術の問題点を詳細
に検討した結果からは、単に表面粗さを規定するのみで
は不充分であり、表面の凹凸の形態を規定することが重
要であることに想到した。
凹凸の高さに関するものであり、同じRaであってもなだ
らかな形態のものと鋭く切り立った形態のものとでは作
用が異なる。
切り立っている場合は、ロール外周面の面積比が増加す
ることおよび凹部に溶湯が差し込み、ロールから剥離し
にくくなるのでロールに接触している時間が長くなる等
により凝固時の冷却速度は大きくなる。
合は、今度は、溶湯がロールから剥離しにくくなるた
め、ロールが1回転以上しても凝固した薄帯は剥離せず
作業に支障をきたすことがある。また、場合によっては
溶湯が凹部の底まで侵入することができず、ロールとの
接触面積が減少し、却って冷却速度が遅くなることがあ
る。
かな形態である場合、ロールの面積比は小さくなり、ま
た薄帯はロールから剥離しやすくなり、ロールとの接触
時間が短くなり過ぎるため冷却速度は小さくなる。
検討を重ねた結果、緻密で均一な組織を有する希土類系
合金を製造するには、ロール外周面の凹凸の形態と大き
さとをともに特定の範囲に規定することが重要であり、
具体的にはSm/Ra およびSmの範囲を規定することが臨界
的意義を有することを知り、本発明を完成した。
ては作業中のロールの温度は可及的に一定であることが
好ましい。そのためロールは、多くの場合、水冷等の冷
却手段を講じている。ロール外周部を構成する材料によ
っては、溶湯の冷却速度が速くなりすぎ、合金の組織が
緻密になりすぎ却って不芳となる場合がある。
土類系合金の製造に適したものにする必要がある。よっ
て、本発明は次の通りである。
2(mm/μm)の範囲内にあり、且つSmが0.1 〜0.6mm の範
囲内にあることを特徴とする希土類系合金製造用急冷ロ
ール。但し、RaおよびSmはそれぞれJISB0601に定める算
術平均粗さRa (μm)および凹凸の平均間隔Sm(mm)であ
る。
部のSm/Ra が0.03〜0.08(mm/μm)の範囲内、且つSmが0.
1 〜0.4mm の範囲内にあることを特徴とする上記(1) に
記載の希土類系合金製造用急冷ロール。
さをLとすると、Lの中心点を中心とする幅0.2 Lの領
域である。通常、この領域は、希土類系合金とロール外
周面とが接触する領域に含まれる。本来、Sm/Ra および
Smを規定する中央部は薄帯の中央部とすべきであるが、
実際の作業においては薄帯の幅方向の中心とロール幅方
向の中心は略一致しているので本発明ではロール幅方向
の中央部で規定する。
成形したNi、CrおよびMoの1種または2種以上を含む被
覆層から構成されることを特徴とする上記(1) または
(2) に記載の希土類系合金製造用急冷ロール。
またはMoの単体金属または合金から成る硬質被膜層から
構成されることを特徴とする上記(1) ないし(3) のいず
れかに記載の希土類系合金製造用急冷ロール。
硬質被膜層が形成されていることを特徴とする上記(4)
に記載の希土類系合金製造用急冷ロール。 (6)前記凹凸がサンドブラストを用いて形成された凹凸
であることを特徴とする上記(5) に記載の希土類系合金
製造用急冷ロール。
周面の表面性状を上述のように規定した理由について本
発明の作用効果と関連させて説明する。
金の組成についての限定はないが、希土類系合金の製造
に用いるとその効果が顕著になる。さらに、希土類磁石
用合金およびNi水素電池用希土類系水素吸蔵合金等の希
土類合金の製造に用いると一層好ましい効果を奏するこ
とができる。
外周面のSm/Ra の値は0.03〜0.12mm/μm、且つSmが0.
1 〜0.6mm の各範囲内にある。ここに、凹凸間距離Sm(m
m)および算術平均粗さRaはともにJIS B0601 で定められ
たものであり、本発明においてもそれに準じて規定さ
れ、求められる。
さに対する平均間隔の比) の値が0.03μm/mm未満である
と凹凸が過度に切り立ったものになり好ましくない。Sm
/Raの値が0.03μm/mm未満で、Smの値が0.1 mm未満であ
ると、凹凸の形状自身は過度に切り立った状態のもので
あるばかりでなく、凹凸は小さくなりすぎ実質的に凹凸
を形成する効果がなくなる。
なだらかな形態のものになり、凹凸を形成する効果が少
なくなるか、あるいはなくなる。Sm/Ra の値が0.12μm/
mmを超え、Smの値が0.6mm 以下であるとなだらかで小さ
な形態の凹凸となり、凹凸を形成する効果は実質的にな
くなる。
るものでも、Smの値が0.1mm 未満であると凹凸の形態は
好ましくても、小さなものになりすぎ好ましくなく、Sm
の値が0.6mm を超えるものは、凹凸の形態は好ましいも
のであっても、凹凸が大きくなり過ぎ、結果として過度
に切り立ったものと同様になり好ましくなくなる。
ち、ロール幅方向の長さをLとすると、Lの中心点を中
心とする幅0.2 Lの領域では、Sm/Ra の値が0.03〜0.08
(mm/μm)、かつSmが0.1 〜0.4mm の各範囲内にあること
が好ましい。
の部分 (ロール両端部) のSm/Ra およびSmの値が、それ
ぞれ0.04〜0.12(mm/μm)、0.3 〜0.6mm の各範囲内にあ
る。図1に、急冷ロール10の中央部12を模式的に示す。
図中、点Cは中心点を示し、斜線領域が本発明でいう中
央部である。急冷ロール10には適宜水冷装置( 図示しな
い) が必要に応じて設けられてもよい。
びCrのうちから選ばれた1種以上の金属または合金の被
覆層14でロール外周面を構成することが好ましい。特に
好ましくは、Niからで成る被覆層を設けることである。
かかる被覆層14は電気めっき、溶接などにより形成すれ
ばよく、その具合的手段は制限されない。
よび/またはMoの単体金属または合金のいずれかから成
る硬質皮膜層から構成することが好ましい。上述のよう
にNi被覆層14を設けた場合に、その上に例えば溶接ある
いは電気めっき等で上述の硬質皮膜層を設けるのであ
る。
ール本体をすべて上記材料で構成しても良いが、これら
の材料自身が高価である。Cu、Cu合金および鋼材等を適
宜用いて作製したロール基体にNi、MoおよびCrのうちか
ら選ばれた1種以上の金属または合金の層をめっき、溶
接等を用いて形成するのが現実的である。その場合、層
の厚さは、合計で0.5 〜5mm程度が良い。
等の被覆層の表面に凹凸を形成した後、最外周面として
CrまたはMoもしくはそれらを含む合金の硬質皮膜層を形
成したロールは、耐熱、耐摩耗性に優れ表面粗さを好ま
しい状態に長く保つことができる。
トとを勘案してロール外周面さらには最外周面の皮膜構
造をどうするか具体的に決定すればよい。ロール外周面
に付与する凹凸の形成手段については特に限定しない。
旋削加工等の機械加工、サンドブラスト等適宜用いるこ
とができるが、簡便性を考慮するとサンドブラストが好
ましい。また、SmおよびSm/Ra の具体的な調整法につい
ては当業者であれば以上の説明から必要に応じて適宜容
易に行うことができることからこれ以上の説明は省略す
る。
仕様の急冷ロールを製造した。ロール諸元は次の通りで
あった。
法のCu合金から構成され、内部水冷装置を設け、このロ
ール基体外周部にメッキによって厚さ1.5mm のNi被覆層
を形成し、次いでNi被覆層形成後サンドブラストを用い
て凹凸を付与し、最外周面の硬質皮膜として厚さ0.03mm
のCrめっき皮膜 (Hv1000) を形成した。
に供した。本例では、このようにして構成した本発明に
かかるロールを用いて、組成が31質量%R (Nd+Pr)-1
質量%B-Feである希土類合金を製造した。
炉を用いて溶解し、得られた溶湯を、ロール外周面の回
転速度50m/分の条件下で、ロールに流下して急冷凝固さ
せて、希土類合金の平均厚さ約0.52mm、幅250mm の薄帯
を作製した。
ロール接触面から薄帯の厚み方向へ結晶が成長した、い
わゆる柱状組織を形成していた。本発明の効果の評価
は、上記急冷ロールの中央部とそれ以外の両端部の領域
において製造された希土類合金薄帯の各柱状組織におけ
る短軸粒径の差を比較して行った。
った。作製した薄帯の中心部および端部から無作為に試
料を採取し、厚さ方向の断面の組織が観察できるように
樹脂に埋め込み研磨、腐食し光学顕微鏡を用いて、中央
部で6視野、端部で2視野の組織写真を撮影した。
さ方向に約0.35mmに相当する位置に直線を引き、直線と
交差する柱状晶の粒径を測定し中央部および端部につい
てそれぞれ算術平均して平均短軸粒径を求めた。
10μm の範囲のものを合格とした。使用したロールの表
面性状と上述の測定結果を表1にまとめて示す。
した合金の短軸粒径は平均値は何れも3〜10μmの範囲
のものであり、薄帯の中央部と端部の値も良く揃った均
一なものであるのに対し、本発明の範囲外のロールを用
いたものの端部の短軸粒径は15μmと粗大なものであ
り、また中央部と端部の差も大きく不均一なものであっ
た。
状、特に表面凹凸の形状を規定するという簡便な手段で
もって、希土類合金の組織を均一化でき、磁気特性の改
善にも大きく寄与できるのであり、本発明の実際上に意
義は大きい。
Claims (6)
- 【請求項1】 ロール外周面のSm/Ra の値が0.03〜0.12
(mm/μm)の範囲内にあり、且つSmが0.1 〜0.6mm の範囲
内にあることを特徴とする希土類系合金製造用急冷ロー
ル。但し、RaおよびSmはそれぞれJISB0601に定める算術
平均粗さRa (μm)および凹凸の平均間隔Sm(mm)である。 - 【請求項2】 前記ロール外周面のロール幅方向中央部
のSm/Ra が0.03〜0.08(mm/μm)の範囲内、且つSmが0.1
〜0.4mm の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記
載の希土類系合金製造用急冷ロール。ただし、前記中央
部は、ロール幅方向の長さをLとすると、Lの中心点を
中心とする幅0.2 Lの領域である。 - 【請求項3】 前記ロール外周面が、ロール基体上に成
形したNi、CrおよびMoの1種または2種以上を含む被覆
層から構成されることを特徴とする請求項1または2に
記載の希土類系合金製造用急冷ロール。 - 【請求項4】 前記ロールの最外周面が、Crおよび/ま
たはMoの単体金属または合金から成る硬質被膜層から構
成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
に記載の希土類系合金製造用急冷ロール。 - 【請求項5】 凹凸が形成されたロール外周面に前記硬
質被膜層が形成されていることを特徴とする請求項4に
記載の希土類系合金製造用急冷ロール。 - 【請求項6】 前記凹凸がサンドブラストを用いて形成
された凹凸であることを特徴とする請求項5に記載の希
土類系合金製造用急冷ロール。
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