JP2001289996A - 原子燃料貯蔵設備 - Google Patents

原子燃料貯蔵設備

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JP2001289996A
JP2001289996A JP2000108119A JP2000108119A JP2001289996A JP 2001289996 A JP2001289996 A JP 2001289996A JP 2000108119 A JP2000108119 A JP 2000108119A JP 2000108119 A JP2000108119 A JP 2000108119A JP 2001289996 A JP2001289996 A JP 2001289996A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】付帯設備を簡素化することによってコストダウ
ンを図ること。 【解決手段】原子燃料集合体を収納する原子燃料貯蔵容
器2を搬入し、搬入された原子燃料貯蔵容器2を所定の
貯蔵場所1まで移送し、移送された原子燃料貯蔵容器2
を所定の貯蔵場所1に貯蔵する原子燃料貯蔵設備におい
て、搬入された原子燃料貯蔵容器2を載荷するパレット
21と、ガスを供給するガス供給手段13と、ガス供給
手段13によって供給されたガスを、原子燃料貯蔵容器
2を載荷したパレット21の下部側へ導き、パレット2
1の下部側から上部側へ向かって排出させることによっ
て、原子燃料貯蔵容器2を載荷したパレット21の押進
または牽引による移送が可能となるようにパレット21
側に浮力を与える浮力付与手段14、15とを備えるこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子燃料集合体を
収納する原子燃料貯蔵容器(以下、「キャニスタ」と称
する)を貯蔵する原子燃料貯蔵設備に係り、更に詳しく
は、搬入したキャニスタを、走行クレーンを用いること
無く、所定の貯蔵場所に移動することができる原子燃料
貯蔵設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原子炉で中性子照射された原子燃料は、
ウランやプルトニウムなどの残留燃料の他に、核分裂生
成物(FP)や超ウラン元素(TRU)を含んでいるの
で、放射線を発するとともに、崩壊熱によって発熱す
る。
【0003】そのため、従来、原子炉から取出された原
子燃料は、そのまま原子炉建屋内に設けられた燃料プー
ルに貯蔵される。この燃料プールは、十分な量の水で満
たされており、原子燃料から発生される放射線の一種で
ある中性子を効果的に遮蔽することができる。
【0004】また、この燃料プールは、水循環系を備え
ており、これによってプール内の水を循環させることに
より、原子燃料から発生される崩壊熱を除去することが
できる。
【0005】しかしながら、原子炉からは定期的(ほぼ
年一回の割合で)に使用済の原子燃料が取り出される。
一方、燃料プールの貯蔵容量も限られている。このため
に、最近、運転年数の長い原子炉においては、燃料プー
ルが満杯になりつつある。
【0006】そこで、原子炉建屋の外に原子燃料を貯蔵
するための専用の建屋を設けて、そこに、燃料プールに
貯蔵できなくなった分の原子燃料を貯蔵するようにして
いる。
【0007】これは、原子炉から取り出された原子燃料
を、所定の体数毎にキャニスタという鋼鉄製の容器に収
納し、このキャニスタをそのまま貯蔵する方式の原子燃
料貯蔵設備である。
【0008】このような方式の原子燃料貯蔵設備は、水
プールを必要とすること無く、気中にそのままキャニス
タを貯蔵する。
【0009】図8は、このような従来技術による原子燃
料貯蔵設備の全体構成例を示す鳥瞰図である。
【0010】また、図9は、図8に示す原子燃料貯蔵設
備のA−A断面図である。
【0011】すなわち、この原子燃料貯蔵設備は、コン
クリートピット1内のコンクリート床9上に、所定の間
隔でキャニスタ2を貯蔵する。
【0012】キャニスタ2を所定の場所に移送する場合
には、先ず、天井3に配置されたコンクリート蓋4を開
く。そして、走行クレーン6によって搬入口7に搬入さ
れたキャニスタ2を吊り上げ、その後、走行式クレーン
台8をコンクリートピット1側に移動し、吊り上げてい
るキャニスタ2をコンクリート床9上の所定の貯蔵位置
の上まで移動した後に、キャニスタ2をコンクリート床
9上に降ろす。
【0013】このようにして、キャニスタ2を所定の貯
蔵場所に移送した後に、コンクリート蓋4でコンクリー
トピット1の上部を覆うことによって、キャニスタ2の
移送を完了する。
【0014】キャニスタ2は、内部に収納している原子
燃料からの崩壊熱によって発熱するが、この原子燃料貯
蔵設備は、冷却空気入口10と、冷却空気出口11とを
備えており、自然通風により冷却空気入口10から外気
を冷却用空気として取り込み、この冷却用空気がキャニ
スタ2が貯蔵されているコンクリートピット1内を循環
し、冷却空気出口11から抜け出る。これによって、キ
ャニスタ2が冷却される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た原子燃料貯蔵設備では、以下のような問題がある。
【0016】すなわち、キャニスタ2は、鋼鉄製である
のに加えて、内部に貯蔵した原子燃料からの放射線を遮
蔽するための遮蔽体を備えている。遮蔽体には、鉛など
重い金属が用いられるために、キャニスタ2自体の重量
はきわめて重い。更に、内部に原子燃料を収納すると、
その総重量は約100トンにも及ぶ。
【0017】したがって、走行クレーン6および走行式
クレーン台8には、このような約100トンにも及ぶ重
量物を吊り上げ、かつ走行できるという高い性能が要求
されるために、非常にコストがかかるという問題があ
る。
【0018】また、キャニスタ2が貯蔵されているコン
クリートピット1の天井3には、キャニスタ2の貯蔵場
所に対応して、コンクリート蓋4を嵌め込むための穴を
開けることから、天井3の構造が複雑となるばかりでな
く、強度を確保するための補強部材も必要となることか
らコストがかかるとともに、漏水防止対策も必要となる
という問題がある。
【0019】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、搬入されたキャニスタを、走行クレーンを
用いることなく所定の貯蔵場所に移送できるようにし、
もって、走行クレーンを不要とし、付帯設備を簡素化す
ることによってコストダウンを図ることが可能な原子燃
料貯蔵設備を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0021】すなわち、請求項1の発明では、原子燃料
集合体を収納する原子燃料貯蔵容器を搬入し、搬入され
た原子燃料貯蔵容器を所定の貯蔵場所まで移送し、移送
された原子燃料貯蔵容器を所定の貯蔵場所に貯蔵する原
子燃料貯蔵設備において、搬入された原子燃料貯蔵容器
を載荷するパレットと、ガスを供給するガス供給手段
と、ガス供給手段によって供給されたガスを、原子燃料
貯蔵容器を載荷したパレットの下部側へ導き、パレット
の下部側から上部側へ向かって排出させることによっ
て、原子燃料貯蔵容器を載荷したパレットの押進または
牽引による移送が可能となるようにパレット側に浮力を
与える浮力付与手段とを備える。
【0022】請求項2の発明では、原子燃料集合体を収
納する原子燃料貯蔵容器を搬入し、搬入された原子燃料
貯蔵容器を所定の貯蔵場所まで移送し、移送された原子
燃料貯蔵容器を所定の貯蔵場所に貯蔵する原子燃料貯蔵
設備において、床面に対してほぼ直角に穿孔された複数
の貫通穴を備えた床と、床に載荷され、搬入された原子
燃料貯蔵容器を載荷するパレットと、ガスを供給するガ
ス供給手段と、ガス供給手段によって供給されたガス
を、床の下部側へ導き、貫通穴を介して床の下部側から
床の上部側へ向かって排出させることによって、原子燃
料貯蔵容器を載荷したパレットを床上において押進また
は牽引による移送が可能となるようにパレット側に浮力
を与える浮力付与手段とを備える。
【0023】請求項3の発明では、請求項2の発明の原
子燃料貯蔵設備において、床を、原子燃料貯蔵容器が搬
入される搬入エリアと、搬入された原子燃料貯蔵容器を
搬入エリアから所定の貯蔵場所まで移送する移送エリア
と、移送された原子燃料貯蔵容器を所定の貯蔵場所に貯
蔵する貯蔵エリアとに存するようにする。
【0024】請求項4の発明では、請求項1乃至3のう
ちいずれか1項の発明の原子燃料貯蔵設備において、ガ
ス供給手段は、原子燃料貯蔵容器を載荷したパレットを
移送する場合にのみガスを供給する。
【0025】請求項5の発明では、請求項2乃至4のう
ちいずれか1項の発明の原子燃料貯蔵設備において、外
気を取り込む外気取込手段と、外気取込手段によって取
り込まれた外気を、床の下部側へ排出し、更に貫通穴を
介して床の下部側から床の上部側へ向かって排出させる
ことによって床の上部側に載荷された原子燃料貯蔵容器
を冷却する冷却手段と、冷却手段と床の下部側との間に
介挿され、原子燃料貯蔵容器を載荷したパレットを移送
する場合には閉じることによって、冷却手段によって取
り込まれた外気を床の下部側へ排出させないようにする
弁とを備える。
【0026】請求項6の発明では、原子燃料集合体を収
納する原子燃料貯蔵容器を搬入し、搬入された原子燃料
貯蔵容器を所定の貯蔵場所まで移送し、移送された原子
燃料貯蔵容器を所定の貯蔵場所に貯蔵する原子燃料貯蔵
設備において、搬入された原子燃料貯蔵容器を、押進ま
たは牽引により所定の貯蔵場所まで移送する移送手段を
備える。
【0027】請求項7の発明では、請求項6の発明の原
子燃料貯蔵設備において、移送手段に、原子燃料貯蔵容
器を移送する場合には、原子燃料貯蔵容器の押進または
牽引が可能となるように原子燃料貯蔵容器側に浮力を与
える浮力付与手段を付加する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施の形態に
ついて図面を参照しながら説明する。
【0029】なお、以下の各実施の形態の説明に用いる
図中の符号は、図8および図9と同一部分については同
一符号を付して示すことにする。
【0030】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施
の形態を図1から図3を用いて説明する。
【0031】図1は、第1の実施の形態に係る原子燃料
貯蔵設備の全体構成の一例を示す図であり、図1(a)
は断面図、図1(b)はコンクリート床9に穿孔された
複数の貫通穴15の分布を示す平面図である。
【0032】すなわち、本実施の形態に係る原子燃料貯
蔵設備は、図8および図9に示す従来技術による原子燃
料貯蔵設備からコンクリート蓋4、走行クレーン6、走
行式クレーン台8を省略するとともに、コンプレッサ1
3、空気パイプ14、貫通穴15、開閉弁19、移送路
20を付加した構成としている。
【0033】コンプレッサ13は、原子燃料貯蔵設備内
において、キャニスタ2を移送する場合には、圧縮空気
Cを空気パイプ14側に排出する。
【0034】空気パイプ14は、コンプレッサ13から
排出された圧縮空気Cの流通経路であり、貫通穴15と
空間的に接続している。また、開閉弁19が開状態のと
きには、冷却空気入口10から取り込まれた外気Aの一
部が、開閉弁19を介して流入する。
【0035】貫通穴15は、図1(b)に示すように、
コンクリートピット1、搬入口7、移送路20のコンク
リート床9の床面に亘って、床面に対してほぼ直角に、
所定の間隔で穿孔された複数の穴であり、コンプレッサ
13によって空気パイプ14に排出された圧縮空気C、
または冷却空気入口10から取り込まれ開閉弁19を介
して空気パイプ14に導入された外気が、この貫通穴1
5を介してコンクリートピット1側に排出されるように
している。
【0036】開閉弁19は、図2(a)に示すように開
状態のときには、冷却空気入口10によって取り込まれ
た外気Aの一部が、空気パイプ14側に導入されるよう
にする。一方、図2(b)に示すように開閉弁19が閉
状態のときには、冷却空気入口10によって取り込まれ
た外気Aが、空気パイプ14側に導入されないようにし
ている。
【0037】移送路20は、搬入口7に搬入されたキャ
ニスタ2をコンクリートピット1側に移送するための通
路である。
【0038】また、搬入口7から搬入されたキャニスタ
2は、パレット21の上に載荷するようにしている。こ
のパレット21は、貫通穴15を介して圧縮空気Cが下
部側から上部側に向かって排出された場合に、排出され
た圧縮空気Cから浮力を受けやすいように、キャニスタ
2よりも外径が大きい平板形状としている。これによっ
て、パレット21は、貫通穴15から排出される圧縮空
気Cによって、キャニスタ2を載荷したパレット21を
押進または牽引により移送することが可能となる程度の
浮力が与えられるようにしている。
【0039】次に、以上のように構成した本実施の形態
に係る原子燃料貯蔵設備の作用について図3に示すフロ
ーチャートを用いて説明する。
【0040】キャニスタ2は搬入口7から原子燃料貯蔵
設備に搬入される(S1)。この搬入は、図示しない小
型のクレーンを用いて吊下げられたキャニスタ2が、搬
入口7から吊下げられることによって行われる。なお、
搬入口7のコンクリート床9にはパレット21が配置さ
れており、キャニスタ2は、このパレット21の上に載
荷される。
【0041】次に、コンプレッサ13が起動され、コン
プレッサ13から空気パイプ14側に圧縮空気Cが排出
される(S2)。
【0042】また、このとき、開閉弁19が閉じられ
(S3)、冷却空気入口10から取り込まれた外気A
は、空気パイプ14側には導入されず、コンクリートピ
ット1側に導入される。
【0043】これによって、コンプレッサ13から空気
パイプ14側に排出された圧縮空気Cが、貫通穴15を
介してコンクリート床9の下部側から上部側に効率よく
排出される(S4)。このようにコンクリート床9の一
面に亘って設けられた貫通穴15から圧縮空気Cが排出
されることによって、コンクリート床9に配置されてい
るパレット21は、この圧縮空気Cから浮力を受ける。
【0044】これによって、パレット21を押進または
牽引することによってパレット21上のキャニスタ2を
コンクリート床9上で移動させることが容易になり、キ
ャニスタ2は、押進または牽引によって搬入口7から移
送路20を介してコンクリートピット1における所定の
貯蔵場所に容易に移送される(S5)。
【0045】移送が完了すると、コンプレッサ13を停
止することによって、圧縮空気Cの供給が停止される
(S6)。
【0046】更に、開閉弁19を開状態とする(S7)
ことによって、冷却空気入口10から取り込まれた外気
Aは、コンクリートピット1側と空気パイプ14側との
両側に導入される。
【0047】コンクリートピット1側に導入された外気
Aは、コンクリートピット1内を冷却空気出口11側に
向かって流れることによって、キャニスタ2が冷却され
る。また、空気パイプ14側に導入された外気Aは、貫
通穴15を介して、上昇流としてコンクリートピット1
側に排出され、キャニスタ2の下部から上部に向かって
流れることによって、キャニスタ2が冷却される。
【0048】すなわち、これら2方向の外気Aの流れに
よって、コンクリートピット1内に貯蔵されているキャ
ニスタ2は効率的に冷却される。
【0049】なお、請求項1から請求項5でいうガス供
給手段は本実施の形態においてコンプレッサ13に相当
し、請求項1から請求項5でいう浮力付与手段は本実施
の形態において空気パイプ14と貫通穴15とを組み合
わせたものに相当する。
【0050】上述したように、本実施の形態に係る原子
燃料貯蔵設備においては、上記のような作用により、圧
縮空気Cによってパレット21側に浮力を与えることに
より、キャニスタ2を載荷したパレット21を、コンク
リート床9の上に沿って所定の貯蔵場所まで容易に移送
することができる。
【0051】これによって、大型の走行クレーン6や走
行式クレーン台8が不要となる。また、コンクリート蓋
4も不要となることから、天井3にコンクリート蓋4を
嵌め合わせるための穴も不要となり、天井3からコンク
リートピット1への水漏れ対策や、天井3の強度を維持
するための特別な補強策も不要となる。
【0052】その結果、構成を簡素化し、コスト的に優
れた原子燃料貯蔵設備を実現することが可能となる。
【0053】更に、本実施の形態に係る原子燃料貯蔵設
備は、貯蔵されているキャニスタ2を冷却する冷却風で
ある外気Aを、水平方向と垂直方向との2方向から流す
ことができる。
【0054】これによって、貯蔵されているキャニスタ
2を、効率的に冷却することが可能となる。
【0055】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態を図4から図7を用いて説明する。
【0056】図4は、第2の実施の形態に係る原子燃料
貯蔵設備の全体構成の一例を示す図であり、図4(a)
は断面図、図4(b)はキャニスタ2の移送経路を示す
平面図である。
【0057】すなわち、本実施の形態に係る原子燃料貯
蔵設備は、図8および図9に示す従来技術による原子燃
料貯蔵設備からコンクリート蓋4、走行クレーン6、走
行式クレーン台8を省略するとともに、移送路20、パ
レット支持台23、床下通風路24、支持架台25を付
加した構成としている。更に、キャニスタ2の移送手段
として、エアーキャスタ28を用いている。
【0058】コンクリートピット1のコンクリート床9
には、パレット支持台23を固定している。このパレッ
ト支持台23は、パレット21を嵌め込む溝を備えてお
り、ここにパレット21が嵌め込まれることによって、
キャニスタ2が所定の貯蔵場所に貯蔵されるようにして
いる。
【0059】床下通風路24は、冷却空気入口10から
取り込まれた外気Aの一部が導入されるようにしてい
る。この床下通風路24の上部には、開口部22を備え
ており、この開口部22からコンクリートピット1側に
通風する外気Aによって、キャニスタ2の下部を冷却す
るようにしている。
【0060】また、搬入口7には、支持架台25を備え
ている。支持架台25は、上部にパレット21を載荷す
る。そして、キャニスタ2を搬入口7に搬入する場合に
は、図示しない小型クレーン等を用いて、キャニスタ2
を搬入口7から吊り下ろし、支持架台25に載荷された
パレット21の上にキャニスタ2を載せるようにする。
【0061】エアーキャスタ28は、支持架台25上の
パレット21に載荷されたキャニスタ2を、移送路20
を経由してコンクリートピット1内の所定の貯蔵場所ま
で移送する移送手段である。
【0062】このエアーキャスタ28は、図5に示すよ
うに、支持パッド29とテーブル30とキャスターバッ
ク31と圧縮ガス供給ライン32とを備えている。
【0063】支持パッド29は、図5(a)に示すよう
に、キャスターバック31に圧縮ガスが供給されていな
い場合においても、テーブル30の重量によってキャス
ターバック31がつぶれることが無いように、テーブル
30と基盤33との間の距離を確保する。
【0064】テーブル30は、パレット21を載荷する
台である。
【0065】キャスターバック31は、図5(b)に示
すように、圧縮ガス供給ライン32より圧縮ガスの供給
を受けると膨張し、これによって、支持パッド29が基
盤33から離れるようにしている。キャスターバック3
1に、更に圧縮ガスが供給されると、キャスターバック
31の容積を超える分の圧縮ガスが、キャスターバック
31の内側に流出し、圧力チャンバ34を形成する。更
に圧縮ガス供給ライン32から圧縮ガスが供給されると
圧力チャンバ34内の圧力が更に上昇し、エアーキャス
タ28を上に押し上げる力(浮力)が強くなる。
【0066】圧力チャンバ34内の圧力がエアーキャス
タ28を持ち上げる状態になったとき、図5(c)に示
すように、エアーキャスタ28が浮上し、圧力チャンバ
34内の圧縮ガスは、図中矢印で示すように、キャスタ
ーバック31の下部から均等に逃げて行く。
【0067】このようにエアーキャスタ28が浮上した
状態では、キャスターバック31と基盤33との摩擦係
数は著しく小さく(摩擦係数0.003程度)なり、エ
アーキャスタ28を自在に動かすことができるようにし
ている。
【0068】次に、搬入口7に搬入されたキャニスタ2
を、エアーキャスタ28によって移送する方法につい
て、図6を用いて説明する。
【0069】搬入口7の支持架台25に載荷されたパレ
ット21上に、小型クレーン等を用いてキャニスタ2を
吊り下げ(1)、パレット21の下に、キャスターバッ
ク31のエアーを抜いた状態でエアーキャスタ28を入
れる(2)。なお、支持架台25のフレーム間の内径
は、エアーキャスタ28の外径よりも大きく、フレーム
間からエアーキャスタ28を入れることができるように
している。
【0070】そして、圧縮ガス供給ライン32を起動し
て、キャスターバック31に圧縮ガスを供給し、キャス
ターバック31が膨張することにより支持架台25から
キャニスタ2を載荷したパレット21を持ち上げるとと
もに、エアーキャスタ28が浮上するようにする
(3)。
【0071】このように、キャニスタ2を載荷したパレ
ット21を、テーブル30に載せたエアーキャスタ28
を押進または牽引により支持架台25から取り出し、コ
ンクリートピット1側に移送する(4)。
【0072】そして、コンクリートピット1に設けられ
たパレット支持台23までキャニスタ2を移送し
(5)、所定の貯蔵場所において圧縮ガス供給ライン3
2を停止して、更にキャスターバック31内のガスを抜
く。これによって、テーブル30が下降し、テーブル3
0に載荷されていたパレット21がパレット支持台23
上に配置するようにしている(6)。
【0073】そして、エアーキャスタ28を、パレット
支持台23の下から取り除き搬入口7の支持架台25の
下に戻す(7)。
【0074】次に、以上のように構成した本実施の形態
に係る原子燃料貯蔵設備の作用について図7に示すフロ
ーチャートを用いて説明する。
【0075】まず、搬入口7の支持架台25に載荷され
たパレット21上に、小型クレーン等を用いてキャニス
タ2が吊り下げられる。これによって、キャニスタ2が
原子燃料貯蔵設備に搬入される(S11)。
【0076】次に、支持架台25のフレームの間から、
キャスターバック31のエアーを抜いた状態でエアーキ
ャスタ28が挿入されることによって、パレット21の
下に配置される(S12)。なお、この工程はステップ
S11より前に行ってもよい。
【0077】そして、圧縮ガス供給ライン32を起動す
ることによって、キャスターバック31に圧縮ガスが供
給される。これによって、キャスターバック31が膨張
し、キャニスタ2を載荷したパレット21が、エアーキ
ャスタ28によって持ち上げられる(S13)。
【0078】キャスターバック31に更に圧縮ガスが供
給されることによって、エアーキャスタ28が浮上し、
キャニスタ2を載荷したパレット21をテーブル30に
載せたエアーキャスタ28が押進または牽引によって移
送できるようになる(S14)。
【0079】このエアーキャスタ28を押進または牽引
することによって、パレット21に載荷されたキャニス
タ2は、支持架台25から、移送路20を経由してコン
クリートピット1側に移送される。さらに、キャニスタ
2は、パレット支持台23が設けられている所定の貯蔵
場所まで移送される(S15)。
【0080】そして、その所定の貯蔵場所において、圧
縮ガス供給ライン32を停止させて、更にキャスターバ
ック31内のガスを抜くことによって、テーブル30が
下降し、テーブル30に載荷されていたパレット21が
パレット支持台23上に配置される。これによって、キ
ャニスタ2の所定の貯蔵場所への移送が完了する(S1
6)。
【0081】このようにして、所定の貯蔵場所に貯蔵さ
れたキャニスタ2は、その側面部及び上部が、冷却空気
入口10からコンクリートピット1側に導入された外気
Aによって冷却される。一方、キャニスタ2の底部は、
冷却空気入口10から床下通風路24側に導入された外
気Aによって冷却される。
【0082】その後、キャスターバック31内のガスが
抜かれたエアーキャスタ28は、パレット支持台23の
下から取り除かれ、搬入口7の支持架台25の下に戻さ
れる(S17)。
【0083】なお、請求項6、7でいう移送手段は本実
施の形態においてエアーキャスタ28に相当し、請求項
6、7でいう浮力付与手段は本実施の形態において圧縮
ガス供給ライン32とキャスターバック31とを組み合
わせたものに相当する。
【0084】上述したように、本実施の形態に係る原子
燃料貯蔵設備においては、上記のような作用により、エ
アーキャスタ28を用いることにより、キャニスタ2を
載荷したパレット21を、所定の貯蔵場所まで容易に移
送することができる。
【0085】また、貯蔵されたキャニスタ2の、側面
部、上部、底部をそれぞれ冷却することができる。
【0086】これによって、第1の実施の形態と同様の
効果を奏することが可能となる。
【0087】以上、本発明の好適な実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかか
る構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技
術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更
例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及
び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと
了解される。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
搬入したキャニスタを、走行クレーンを用いることなく
所定の貯蔵場所に移送することができる。
【0089】以上により、走行クレーンを不要とし、付
帯設備を簡素化することが可能となり、もって、コスト
ダウンを図ることが可能な原子燃料貯蔵設備を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る原子燃料貯蔵設備の全
体構成の一例を示す図。
【図2】開閉弁の状態と外気の流れとの関係を説明する
模式図。
【図3】第1の実施の形態に係る原子燃料貯蔵設備の作
用を示すフローチャート。
【図4】第2の実施の形態に係る原子燃料貯蔵設備の全
体構成の一例を示す図。
【図5】エアーキャスタのメカニズムを説明するための
模式図。
【図6】エアーキャスタによるキャニスタの移送手順を
説明するための模式図。
【図7】第2の実施の形態に係る原子燃料貯蔵設備の作
用を示すフローチャート。
【図8】従来技術による原子燃料貯蔵設備の全体構成例
を示す鳥瞰図。
【図9】図8に示す原子燃料貯蔵設備のA−A断面図。
【符号の説明】
1…コンクリートピット、 2…キャニスタ、 3…天井、 4…コンクリート蓋、 6…走行クレーン、 7…搬入口、 8…走行式クレーン台、 9…コンクリート床、 10…冷却空気入口、 11…冷却空気出口、 13…コンプレッサ、 14…空気パイプ、 15…貫通穴、 19…開閉弁、 20…移送路、 21…パレット、 22…開口部、 23…パレット支持台、 24…床下通風路、 25…支持架台、 28…エアーキャスタ、 29…支持パッド、 30…テーブル、 31…キャスターバック、 32…圧縮ガス供給ライン、 33…基盤、 34…圧力チャンバ。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子燃料集合体を収納する原子燃料貯蔵
    容器を搬入し、前記搬入された原子燃料貯蔵容器を所定
    の貯蔵場所まで移送し、前記移送された原子燃料貯蔵容
    器を前記所定の貯蔵場所に貯蔵する原子燃料貯蔵設備に
    おいて、 前記搬入された原子燃料貯蔵容器を載荷するパレット
    と、 ガスを供給するガス供給手段と、 前記ガス供給手段によって供給されたガスを、前記原子
    燃料貯蔵容器を載荷した前記パレットの下部側へ導き、
    前記パレットの下部側から上部側へ向かって排出させる
    ことによって、前記原子燃料貯蔵容器を載荷した前記パ
    レットの押進または牽引による移送が可能となるように
    前記パレット側に浮力を与える浮力付与手段とを備えた
    ことを特徴とする原子燃料貯蔵設備。
  2. 【請求項2】 原子燃料集合体を収納する原子燃料貯蔵
    容器を搬入し、前記搬入された原子燃料貯蔵容器を所定
    の貯蔵場所まで移送し、前記移送された原子燃料貯蔵容
    器を前記所定の貯蔵場所に貯蔵する原子燃料貯蔵設備に
    おいて、 床面に対してほぼ直角に穿孔された複数の貫通穴を備え
    た床と、 前記床に載荷され、前記搬入された原子燃料貯蔵容器を
    載荷するパレットと、 ガスを供給するガス供給手段と、 前記ガス供給手段によって供給されたガスを、前記床の
    下部側へ導き、前記貫通穴を介して前記床の下部側から
    前記床の上部側へ向かって排出させることによって、前
    記原子燃料貯蔵容器を載荷した前記パレットを前記床上
    において押進または牽引による移送が可能となるように
    前記パレット側に浮力を与える浮力付与手段とを備えた
    ことを特徴とする原子燃料貯蔵設備。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の原子燃料貯蔵設備にお
    いて、 前記床を、前記原子燃料貯蔵容器が搬入される搬入エリ
    アと、前記搬入された原子燃料貯蔵容器を前記搬入エリ
    アから前記所定の貯蔵場所まで移送する移送エリアと、
    前記移送された原子燃料貯蔵容器を前記所定の貯蔵場所
    に貯蔵する貯蔵エリアとに存するようにしたことを特徴
    とする原子燃料貯蔵設備。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちいずれか1項に記
    載の原子燃料貯蔵設備において、 前記ガス供給手段は、前記原子燃料貯蔵容器を載荷した
    前記パレットを移送する場合にのみガスを供給するよう
    にしたことを特徴とする原子燃料貯蔵設備。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のうちいずれか1項に記
    載の原子燃料貯蔵設備において、 外気を取り込む外気取込手段と、 前記外気取込手段によって取り込まれた外気を、前記床
    の下部側へ排出し、更に前記貫通穴を介して前記床の下
    部側から前記床の上部側へ向かって排出させることによ
    って前記床の上部側に載荷された前記原子燃料貯蔵容器
    を冷却する冷却手段と、 前記冷却手段と前記床の下部側との間に介挿され、前記
    原子燃料貯蔵容器を載荷した前記パレットを移送する場
    合には閉じることによって、前記冷却手段によって取り
    込まれた外気を前記床の下部側へ排出させないようにす
    る弁とを備えたことを特徴とする原子燃料貯蔵設備。
  6. 【請求項6】 原子燃料集合体を収納する原子燃料貯蔵
    容器を搬入し、前記搬入された原子燃料貯蔵容器を所定
    の貯蔵場所まで移送し、前記移送された原子燃料貯蔵容
    器を前記所定の貯蔵場所に貯蔵する原子燃料貯蔵設備に
    おいて、 前記搬入された原子燃料貯蔵容器を、押進または牽引に
    より前記所定の貯蔵場所まで移送する移送手段を備えた
    ことを特徴とする原子燃料貯蔵設備。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の原子燃料貯蔵設備にお
    いて、 前記移送手段に、前記原子燃料貯蔵容器を移送する場合
    には、前記原子燃料貯蔵容器の押進または牽引が可能と
    なるように前記原子燃料貯蔵容器側に浮力を与える浮力
    付与手段を付加したことを特徴とする原子燃料貯蔵設
    備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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