JP3886574B2 - 放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
放射性レベルの高い放射性廃棄物、即ち、再処理高レベル廃液ガラス固化体及び使用済核燃料集合体を収納した鋼製容器を安全に貯蔵する貯蔵設備として、国内外で実用化されているものに、キャスク貯蔵方式、ボールト貯蔵方式、サイロ貯蔵方式等がある。
【0003】
これらの貯蔵設備は、その何れもが鋼製容器内に放射性廃棄物を密閉して、内部の放射性廃棄物を外部に漏洩させない構造になっている。キャスク貯蔵方式の場合は、鋼製容器そのものが遮蔽機能を持っており、放射性廃棄物を鋼製容器にそのまま貯蔵できるが、ボールト貯蔵方式やサイロ貯蔵方式の場合は、鋼製容器が基本的に遮蔽機能を持っておらず、鋼製容器を収納するコンクリート等の建屋に遮蔽機能を持たせるようにしている。以下、これら方式の貯蔵設備の概略を説明する。
(1)キャスク貯蔵方式
図3(a)(b)は、キャスク方式の従来例を示している。1が使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)、2が鋼製容器、4がキャスク、5が中性子遮蔽材、6が伝熱板、7が外板で、使用済核燃料集合体1を密閉性を有する厚肉の鋼製容器2内に収納している。この鋼製容器2は、使用済核燃料集合体1に発生するγ線に対する遮蔽機能を持っているが、さらに中性子を遮蔽するために、鋼製容器2の外周に中性子遮蔽材5を設けている。
【0004】
上記使用済核燃料集合体1は、崩壊熱を発生するため、使用済核燃料集合体1の過度な温度上昇を防いで鋼製容器2の健全性を維持するために、キャスク4から大気への放熱を行う必要がある。このため、中性子遮蔽材5の内部に熱伝導率の高い伝熱板6を設け、中性子遮蔽材5の外面に外板7を設けて、これら伝熱板6及び外板7の自然空冷によりキャスク4内の熱をキャスク4外へ除去する。
【0005】
キャスク4そのものはγ線及び中性子に対して遮蔽機能を有しているが、キャスク4が貯蔵される区域外を放射線非管理区域とするために、キャスク4をさらに遮蔽機能を有するコンクリートなどの貯蔵建屋に収納している。
(2)ボールト貯蔵方式
図4(a)(b)は、ボールト貯蔵方式の貯蔵設備の従来例を示している。11が使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)、12が鋼製容器、13aが天井スラブ、13bが遮蔽プラグ、14が鋼製収納管、15が貯蔵設備、16が給気口、17が空気、18が排気塔、19がコンクリート壁で、上記使用済核燃料集合体11を密閉性を有する薄肉の鋼製容器12内に収納している。また鋼製収納管14を厚肉の天井スラブ13aから鉛直方向下方に吊り下げるか、天井スラブ13aと床板とにより鋼製収納管14の上下両端部を支持する一方、この鋼製収納管14内に鋼製容器12を収納、貯蔵している。
【0006】
上記使用済核燃料集合体11の崩壊熱を、貯蔵設備15の給気口16から取り入れた空気17により鋼製収納管14の表面から除去し、崩壊熱除去後の加熱された空気17を、ドラフト力により排気塔18から外部へ放出する。
上記鋼製容器12及び上記収納管14は、γ線及び中性子に対する遮蔽機能を持っておらず、これらに対する遮蔽機能は、貯蔵設備15の厚肉のコンクリート壁19により得られる。このコンクリート壁19は、貯蔵設備15の外部を放射線非管理区域とするために十分な厚さを持っている。
(3)サイロ貯蔵方式
図5(a)(b)は、サイロ貯蔵方式の貯蔵設備の従来例を示している。21が使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)、22が薄肉の円筒状鋼製容器、23が厚肉の円筒状コンクリート製容器、24が給気口、25が排気口、26が空気で、円筒状鋼製容器22及び円筒状コンクリート製容器23は複数個あり、上記使用済核燃料集合体21を各鋼製容器22内に収納し、各鋼製容器22をγ線及び中性子に対して遮蔽機能を持っている各円筒状コンクリート製容器23内の中心部に設置している。この円筒状コンクリート製容器23の下部には、給気口24を設け、このコンクリート製容器23の上部には、排気口25を設けており、給気口24から導入した空気25により使用済核燃料集合体21の崩壊熱を除去する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記放射性廃棄物の貯蔵設備には、次の問題があった。即ち、
キャスク貯蔵方式(図3(a)(b))の場合
(1)キャスク4そのものがγ線及び中性子に対して遮蔽機能を有しているが、熱伝導率の低い中性子遮蔽材5を鋼製容器2の外周に設けているので、中性子遮蔽材5に伝熱板6及び外板7が必要になり、このため、キャスク4の構造が複雑になる上に、高価になる。
(2)揚重設備等の取扱設備の制約からキャスク4の許容重量には限度があり、与えられた許容重量においてキャスク4の内部に収納できる使用済核燃料集合体1の数をできるだけ多くするために、通常は、鋼材或いは中性子遮蔽材の使用量を制限している。このことは、キャスク4表面の放射線レベルをキャスク4貯蔵場所の外側の放射線非管理区域のレベルまで落とさないということであり、キャスク4貯蔵場所と放射線非管理区域との間にコンクリート製建屋等の遮蔽用構造物を設ける必要があって、貯蔵設備のコストが嵩む。
(3)キャスク4内の熱を伝熱板6及び外板7の自然空冷によりキャスク4外へ除去するので、複数のキャスク4を配置する場合には、キャスク4相互の熱影響の観点から隣接するキャスク4間の距離を余り小さくできないという問題があった。
【0008】
ボールト貯蔵方式(図4(a)(b))の場合
(1)鋼製収納管14を厚肉の天井スラブ13aから鉛直方向下方に吊り下げるか、天井スラブ13aと床板とにより上下両端部を支持し、この鋼製収納管14内に鋼製容器12を収納、貯蔵しているので、鋼製収納管14の支持系が不安定であり、このことから、鋼製容器12の大きさ(許容重量)を制限する必要があって、使用済核燃料集合体11の収納量を余り多くすることができない。
(2)隣接する鋼製収納管14同志の間に空気層が存在するだけである。しかも鋼製収納管14に遮蔽機能が殆ど無いので、鋼製容器12の周囲全方向から天井スラブ13aの外表面への放射線レベルを低減するために、天井スラブ13aを非常に厚いコンクリート層により構成する必要がある。しかも鋼製容器12の鋼製収納管14への定置作業時、天井スラブ13aの遮蔽プラグ13bを開放するので、大量の放射線が漏洩する。このため、鋼製容器移送装置に非常に高い遮蔽性能が要求され、上記のように天井スラブ13aを非常に厚いコンクリート層により構成する点と相挨って設備が大がかりになる上に、コストが増大する。また鋼製容器12の鋼製収納管14への定置作業時、天井スラブ13aの遮蔽プラグ13bを開放するので、大量の放射線が漏洩する。このため、上記定置作業時、厳しい放射線管理が要求されるという問題があった。
【0009】
サイロ貯蔵方式(図5(a)(b))の場合
(1)使用済核燃料集合体21を薄肉の円筒状鋼製容器22内に収納し、この円筒状鋼製容器22を円筒状コンクリート製容器23内の中心部に設置しているので、円筒状コンクリート製容器23の肉厚を大きくして、薄肉の円筒状鋼製容器22の周囲全方向の放射線レベルを低減させる必要があり、このことから、容器全体の貯蔵効率(単位面積当たりの貯蔵量)が小さくなる。
(2)円筒状コンクリート製容器23が円筒状鋼製容器22よりも若干高いだけである。しかも放射線のストリーミングを抑えるために円筒状コンクリート製容器23の頂部も肉厚にする必要があり、これらのことから、排気口25の形状が複雑になり、空気流の圧損抵抗が増大して、除熱性が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は前記の問題点に鑑み提案するものであり、その目的とする処は、キャスク貯蔵方式、ボールト貯蔵方式、サイロ貯蔵方式の問題点を解消できる放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備を提供しようとする点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備は、底部に給気入口、上端部に排気口がそれぞれ配置され、前記給気入口から排気口までの通路が直線状且つ一体的に形成された複数個の立孔状ピットを、個々に独立してコンクリート躯体に設けて、放射性廃棄物を収納した鋼製容器を同各立孔状ピット内の下部にそれぞれ1つずつ設置し、前記各鋼製容器の上部に遮蔽体を設置し、前記各立孔状ピットの底部の給気入口に連通する給気通路を前記コンクリート躯体に設けるとともに同給気通路の上部に給気口を設け、同給気口及び給気通路から前記各立孔状ピット内へ流入して前記各鋼製容器内の放射性廃棄物の崩壊熱を除去しながら同各立孔状ピット内を上昇した空気を同各立孔状ピットの上方へ排気する前記排気口を外気に直接開放して設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備を図1、図2に示す実施例により説明すると、31が使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)、32がコンクリート躯体、33が同コンクリート躯体32に設けた複数個の立孔状ピット(キャニスタ貯蔵ピット)、34が同コンクリート躯体32に設けた給気通路で、同給気通路34により各立孔状ピット33の底部が連通している。そして給気通路34と同給気通路34により底部の連通する複数個の立孔状ピット33とを1モジュールとすると、複数列のモジュールが一定間隔で設置されている。
【0014】
35が上記各立孔状ピット33内に設置した遮蔽機能を有しない鋼製容器(キャニスタ)で、同各鋼製容器35に使用済核燃料集合体31が収納される。36が上記鋼製容器35の上部に設置した上部遮蔽体(コンクリートプラグ)、37が上記鋼製容器35の下部に設置した下部遮蔽体(コンクリートプラグ)、38が上記各立孔状ピット33の上部に設置した排気口蓋、39が上記給気通路34の上部に設置した給気口蓋、44が各立孔状ピット33の底部に設けた鋼製容器支持架台で、排気口蓋38を開き、次いで下部遮蔽体37を立孔状ピット33の底部に設けた鋼製容器支持架台44の上に設置し、次いで上部遮蔽体36を取付けた鋼製容器35を下部遮蔽体37の上に設置し、次いで排気口蓋38を閉じて、これらの上部遮蔽体36及び下部遮蔽体37により排気口及び給気口への放射線のストリーミングを低減するようにしている。
【0015】
また上記のように鋼製容器35と上部遮蔽体36と下部遮蔽体37とを立孔状ピット33内に設置した後は、給気口蓋39の周りの空気(外気)を給気口蓋39の給気口→給気通路34→各立孔状ピット33の底部内へ流入させ、各立孔状ピット33内に設置した鋼製容器35内の使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31の崩壊熱を除去しながら各立孔状ピット33内を上昇させて、排気口蓋38の排気口から各立孔状ピット33の上方へ排気するようにしている。
【0016】
40が遮蔽機能を有する鋼製容器用移送装置、41が遮蔽機能を有する鋼製容器用輸送容器、42が鋼製容器取出・保守ピット、43が上記鋼製容器用移送装置40を支持するクレーンである。
次に前記放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備の作用を具体的に説明する。
【0017】
使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)1を遮蔽機能を有しない鋼製容器35に収納し、この鋼製容器35を遮蔽機能を有する鋼製容器用輸送容器41に収納して、貯蔵エリアの鋼製容器取出・保守ピット42へ搬入する。なお上部遮蔽体36は、この段階までの間に鋼製容器35の上部に取付けられる。
一方、クレーン43及び鋼製容器用移送装置40により立孔状ピット35の排気口蓋38を開いて、下部遮蔽体37を立孔状ピット35の底部に設けた鋼製容器支持架台44の上に設置する。
【0018】
次いでクレーン43により鋼製容器用移送装置40を鋼製容器取出・保守ピット42の上方へ移動させ、同鋼製容器用移送装置40により上部遮蔽体36及び鋼製容器35を吊り上げて、クレーン43により立孔状ピット33の上方へ移動させ、鋼製容器用移送装置40により上部遮蔽体36及び鋼製容器35を下部遮蔽体37の上に吊り降ろした後、排気口蓋38を元の閉位置に戻す。
【0019】
この状態になると、給気口蓋39の周りの空気(外気)が給気口蓋39の給気口→給気通路34→立孔状ピット33の底部内へ流入し、それからは立孔状ピット33内に設置した鋼製容器35内の使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31の崩壊熱を除去しながら立孔状ピット33内を上昇して、排気口蓋38の排気口から立孔状ピット33の上方へ排気される。
【0020】
つまり給気通路34から立孔状ピット33内へ流入して、立孔状ピット33内を上昇する空気(外気)の自然冷却により、使用済核燃料集合体1の崩壊熱を除去し、熱除去後の空気を排気口蓋38の排気口から立孔状ピット33の上方へ放出する。
このとき、給気通路34は、複数個(実施例では5個)の立孔状ピット33の底部を連通しているが、隣の給気通路34とは独立しているので、コンクリート躯体32の強度が確保される。
【0021】
次に前記図1、2に示す放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備の利点を、前記キャスク貯蔵方式、ボールト貯蔵方式、サイロ貯蔵方式の貯蔵設備と対比して説明する。
キャスク貯蔵方式(図3(a)(b))の場合の問題点は既に述べた通りである。即ち、
(1)キャスク4そのものがγ線及び中性子に対して遮蔽機能を有しているが、熱伝導率の低い中性子遮蔽材5を鋼製容器2の外周に設けているので、中性子遮蔽材5に伝熱板6及び外板7が必要になり、このため、キャスク4の構造が複雑になる上に、高価になる。
(2)揚重設備等の取扱設備の制約からキャスク4の許容重量には限度があり、与えられた許容重量においてキャスク4の内部に収納できる使用済核燃料集合体1の数をできるだけ多くするために、通常は、鋼材或いは中性子遮蔽材の使用量を制限している。このことは、キャスク4表面の放射線レベルをキャスク4貯蔵場所の外側の放射線非管理区域のレベルまで落とさないということであり、キャスク4貯蔵場所と放射線非管理区域との間にコンクリート製建屋等の遮蔽用構造物を設ける必要があって、貯蔵設備のコストが嵩む。
(3)キャスク4内の熱を伝熱板6及び外板7の自然空冷によりキャスク4外へ除去するので、複数のキャスク4を配置する場合には、キャスク4相互の熱影響の観点から隣接するキャスク4間の距離を余り小さくできなくて、キャスク4を稠密に配置できない。
【0022】
これに対して本発明の貯蔵設備(図1、図2)の場合には、
(1)遮蔽機能を鋼製容器35とは別のコンクリート躯体32により確保するので、中性子遮蔽材、伝熱板、外板等が不要になって、貯蔵設備の構造が簡略化する上に、コストが低減する。
(2)上記のように遮蔽機能を鋼製容器35とは別のコンクリート躯体32により確保するので、貯蔵場所と放射線非管理区域との間にコンクリート製建屋等の遮蔽用構造物を設ける必要がなくて、経済的になる。
(3)給気口蓋39の周りの空気(外気)を給気口蓋39の給気口→給気通路34→立孔状ピット33の底部内へ流入させ、この流入した空気を立孔状ピット33内に設置した鋼製容器35内の使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31の崩壊熱を除去しながら立孔状ピット33内を上昇させて、排気口蓋38の排気口から立孔状ピット33の上方へ排気するので、自然冷却が促進され、遮蔽機能がコンクリート躯体32により確保される点と相挨って鋼製容器35の稠密な配置が可能になる。
【0023】
ボールト貯蔵方式(図4(a)(b))の場合の問題点は既に述べた通りである。即ち、
(1)鋼製収納管14を厚肉の天井スラブ13aから鉛直方向下方に吊り下げるか、天井スラブ13aと床板とにより上下両端部を支持し、この鋼製収納管14内に鋼製容器12を収納、貯蔵しているので、鋼製収納管14の支持系が不安定であり、このことから、鋼製容器12の大きさ(許容重量)を制限する必要があって、使用済核燃料集合体11の収納量を余り多くすることができない。
(2)隣接する鋼製収納管14同志の間に空気層が存在するだけである。しかも鋼製収納管14に遮蔽機能が殆ど無いので、鋼製容器12の周囲全方向から天井スラブ13aの外表面への放射線レベルを低減するために、天井スラブ13aを非常に厚いコンクリート層により構成する必要がある。しかも鋼製容器12の鋼製収納管14への定置作業時、天井スラブ13aの遮蔽プラグ13bを開放するので、大量の放射線が漏洩する。このため、鋼製容器移送装置に非常に高い遮蔽性能が要求され、上記のように天井スラブ13aを非常に厚いコンクリート層により構成する点と相挨って設備が大がかりになる上に、コストが増大する。また鋼製容器12の鋼製収納管14への定置作業時、天井スラブ13aの遮蔽プラグ13bを開放するので、大量の放射線が漏洩する。このため、鋼製容器12の鋼製収納管14への定置作業時、厳しい放射線管理が要求される。
【0024】
これに対して本発明の貯蔵設備(図1、図2)の場合には、
(1)複数個の立孔状ピット33をコンクリート躯体32に設け、使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31を収納した鋼製容器35を同各ピット33内に設置して、鋼製容器35を安定的に支持するので、鋼製容器35を大きくして使用済核燃料集合体31の収納量を増大させることが可能になる。
(2)排気口及び給気口への放射線のストリーミングを低減するための遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、厚いコンクリート層の天井スラブが不要になるし、鋼製容器移送装置に非常に高い遮蔽性能が要求されなくて、設備が簡略化される上に、コストが低減する。また遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、鋼製容器35の定置作業時、厳しい放射線管理を要求されない。
【0025】
サイロ貯蔵方式(図5(a)(b))の場合の問題点は既に述べた通りである。即ち、
(1)使用済核燃料集合体21を薄肉の円筒状鋼製容器22内に収納し、この円筒状鋼製容器22を円筒状コンクリート製容器23内の中心部に設置しているので、円筒状コンクリート製容器23の肉厚を大きくして、薄肉の円筒状鋼製容器22の周囲全方向の放射線レベルを低減させる必要があり、このことから、容器全体の貯蔵効率(単位面積当たりの貯蔵量)が小さくなる。
(2)円筒状コンクリート製容器23の高さが円筒状鋼製容器22よりも若干高いだけである。しかも放射線のストリーミングを抑えるために円筒状コンクリート製容器23の頂部も肉厚にする必要があり、これらのことから、排気口25の形状が複雑になり、空気流の圧損抵抗が増大して、除熱性が悪い。
【0026】
これに対して本発明の貯蔵設備(図1、図2)の場合には、
(1)複数個の立孔状ピット33をコンクリート躯体32に設け、使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31を収納した鋼製容器35を同各ピット33内に設置して、鋼製容器35を支持する一方、遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、鋼製容器35を遮蔽材(コンクリート)及び遮蔽体36、37で取り囲むことになり、鋼製容器35の肉厚を大きくする必要がなくて、容器全体の貯蔵効率(単位面積当たりの貯蔵量)が増大する。
(2)立孔状ピット33の上部に排気口を設けたので、排気口の形状が複雑にならず、空気流の圧損抵抗が低減して、除熱性が向上する。
【0027】
【発明の効果】
本発明の放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備は前記のように遮蔽機能を鋼製容器35とは別のコンクリート躯体32により確保するので、中性子遮蔽材、伝熱板、外板等を不要にできて、貯蔵設備の構造を簡略化できる上に、コストを低減できる。
【0028】
また上記のように遮蔽機能を鋼製容器35とは別のコンクリート躯体32により確保するので、貯蔵場所と放射線非管理区域との間にコンクリート製建屋等の遮蔽用構造物を設ける必要がなくて、この点からも貯蔵設備のコストを低減できる。
また給気口蓋39の周りの空気(外気)を給気口蓋39の給気口→給気通路34→立孔状ピット33の底部内へ流入させ、この流入した空気を立孔状ピット33内に設置した鋼製容器35内の使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31の崩壊熱を除去しながら立孔状ピット33内を上昇させて、排気口蓋38の排気口から立孔状ピット33の上方へ排気するので、自然冷却を促進でき、遮蔽機能をコンクリート躯体32により確保する点と相挨って鋼製容器35を稠密に配置できる。
【0029】
また複数個の立孔状ピット33をコンクリート躯体32に設け、使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31を収納した鋼製容器35を同各ピット33内に設置して、鋼製容器35を安定的に支持するので、鋼製容器35を大きくして使用済核燃料集合体31の収納量を増大できる。また排気口及び給気口への放射線のストリーミングを低減するための遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、厚いコンクリート層の天井スラブを不要にできるし、鋼製容器移送装置に非常に高い遮蔽性能を要求されなくて、設備を簡略化できる上に、コストを低減できる。また遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、鋼製容器35の定置作業時、厳しい放射線管理を要求されない。
【0030】
また複数個の立孔状ピット33をコンクリート躯体32に設け、使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)31を収納した鋼製容器35を同各ピット33内に設置して、鋼製容器35を支持する一方、遮蔽体36、37を鋼製容器35の上部及び下部に設置したので、鋼製容器35を遮蔽材(コンクリート躯体32)及び遮蔽体36、37で取り囲むことになり、鋼製容器35の肉厚を大きくする必要がなくて、鋼製容器35の貯蔵効率(単位面積当たりの貯蔵量)を増大できる。
【0031】
また立孔状ピット33の上部に排気口を設けたので、排気口の形状が複雑にならず、空気流の圧損抵抗を低減できて、除熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備の一実施例を示す斜視図である。
【図2】(a)は同貯蔵設備の縦断側面図、(b)は(a)の矢視C−C線に沿う平面図、(c)は(a)の矢視D−D線に沿う横断平面図である。
【図3】(a)は従来のキャスク貯蔵方式の貯蔵設備を示す縦断側面図、(b)は同貯蔵設備の横断平面図である。
【図4】(a)は従来のボールト貯蔵方式の貯蔵設備を示す縦断側面図、(b)は(a)の矢視A−A線に沿う横断平面図である。
【図5】(a)は従来のサイロ貯蔵方式の貯蔵設備を示す縦断側面図、(b)は(a)の矢視B−B線に沿う横断平面図である。
【符号の説明】
31 使用済核燃料集合体(放射性廃棄物)
32 コンクリート躯体
33 立孔状ピット
34 給気通路
35 鋼製容器
36 上部遮蔽体
37 下部遮蔽体
38 排気口蓋
39 給気口蓋
40 鋼製容器用移送装置
41 鋼製容器用輸送容器
42 鋼製容器取出・保守ピット
43 クレーン
44 鋼製容器支持架台
Claims (1)
- 底部に給気入口、上端部に排気口がそれぞれ配置され、前記給気入口から排気口までの通路が直線状且つ一体的に形成された複数個の立孔状ピットを、個々に独立してコンクリート躯体に設けて、放射性廃棄物を収納した鋼製容器を同各立孔状ピット内の下部にそれぞれ1つずつ設置し、
前記各鋼製容器の上部に遮蔽体を設置し、
前記各立孔状ピットの底部の給気入口に連通する給気通路を前記コンクリート躯体に設けるとともに同給気通路の上部に給気口を設け、
同給気口及び給気通路から前記各立孔状ピット内へ流入して前記各鋼製容器内の放射性廃棄物の崩壊熱を除去しながら同各立孔状ピット内を上昇した空気を同各立孔状ピットの上方へ排気する前記排気口を外気に直接開放して設けたことを特徴とする放射性廃棄物のコンクリートピット貯蔵設備。
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