JP4840627B2 - 受動崩壊熱除去システムを具備した液体金属原子炉用の腐食軽減システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は原子炉に関するものであり、具体的には、受動崩壊熱除去システムを備えた液体金属原子炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
公知の液体金属原子炉は、通例、炉心と一次ポンプと中間熱交換器(IHX)とで構成される放射性一次系と、IHXで得た熱を蒸気発生器に伝える非放射性二次ナトリウムループとを含んでいる。一次系の基本ユニット(炉心、IHX及び一次ポンプ)は、単一の大形原子炉容器内に配置されることもあるし(プール型構成)、独立した容器に配置して互いに配管で連結することもある(ループ型構成)。トップエントリーループ(TEL)型構成においては、万一配管が破裂した場合にも冷却材の喪失を防止するため、一次配管はユニット容器の上方に配置された非常に短い逆U字形の管からなる。この構成では、一次ナトリウム配管の長さ及び一次系自体の寸法(フットプリント)も最小限に抑えられる。
【0003】
ループ型構成では、ユニット容器同士を一次配管で連結して、冷却材が原子炉容器内に位置する炉心を通って、IHX容器、次いでポンプ容器、そして再度炉心に戻るように冷却材を循環させる。運転中は、炉心で発生した熱をIHXで非放射性二次ナトリウムへと連続的に伝えるため、この過程が連続的に繰返される。原子炉容器及び付属容器は、コンクリート製格納庫の内部に収容されている。プール型プラントの場合も、全てのユニットが同じ容器内に配置されていることを除けば、一次ユニット間には同じ流路が用いられる。
【0004】
原子炉の運転停止後の過熱及び通常停止時熱除去システムの喪失から原子炉構造物を保護するため、停止時崩壊熱除去システムが設けられている。このシステムは、(1) 小形の補助IHXユニットから補助二次ナトリウム−空気ダンプ熱交換器を介して大気中に熱を伝達する冗長補助液体金属ループからなる場合もあれば、(2) ユニット容器を通して自然循環空気が流れるような空気流路を設けて、一次格納庫を冷却しながらユニット容器からの対流熱伝達によって停止時崩壊熱を除去する場合もある。残留熱除去システムは、崩壊熱除去システム(DHRS)と呼ばれるのが通例である。受動DHRSは、外気を原子炉格納庫内に導入し、一次容器の外面に沿って流し、原子炉格納庫から排出して崩壊熱を大気中に運び去るための複数の通路を含んでいる。
【0005】
格納容器の下方部分としても機能する独立の密着結合ガードベッセルの内部にナトリウム含有容器を収容することによって、原子炉容器に漏れが発生した場合にも冷却材喪失事故が防止される。原子炉容器とガードベッセル又は下部格納容器の両方が同時に破損しなければ重大な冷却材喪失事故は起こり得ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
世界の多くの施設では、原子力発電所は海に近い場所にある。このことは、原子炉からの崩壊熱を大気へと伝えるDHRSに利用される部品が湿った含塩空気に暴露されることを意味する。湿った含塩空気は、DHRS内部の腐食の可能性を高めるおそれがある。特に、湿った含塩空気の温度が露点より低くなると、塩水がDHRS部品上で凝縮する。
【0007】
そこで、湿った含塩空気に起因する腐食の増加を防ぐと共に、二重容器破裂が起こった場合にも重大な冷却材喪失事故を防止し得るような受動自然循環DHRSを備えた液体金属原子炉が提供できれば望ましい。
【0008】
【課題を解決するための手段】
ある実施形態では、流入した冷却用空気が問題となる原子炉部品に接触する前に空気の温度が露点よりも低い温度に下がるのを防ぐDHRSを含んだ液体金属原子炉が提供される。流入する空気の温度を露点よりも高く維持することによって、腐食過程における不可欠の要素である電解液がDHRS中に存在しなくなり、DHRS流路内における腐食のおそれが大幅に低減する。
【0009】
かかる原子炉は、コンクリート製原子炉格納庫と、原子炉格納庫内に位置し原子炉遮蔽甲板に連結された少なくとも1基の一次容器とを含んでいる。各一次容器は、格納容器によって間隔をあけて実質的に包囲されている。かかる原子炉は、熱除去システムも含んでいる。この熱除去システムは、各格納容器を間隔をあけて実質的に包囲しているガードベッセル、原子炉の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の入口導管、及び原子炉の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の出口導管を含んでいる。入口導管、各一次容器のガードベッセルと各一次容器の格納容器との間の空間、及び出口導管によって伝熱流体流路が形成される。この熱除去システムは、空気冷却材が上記流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度よりも高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるため上記の流路内に設けられた少なくとも1基の熱交換器をも含んでいる。
【0010】
上記の熱除去システムは、少なくとも1本の格納庫入口導管、ガードベッセルとコンクリート製原子炉格納庫との間の空間、及び少なくとも1本の格納庫出口導管によって形成された第2の流路をも含んでいる。かかる第2の流路内には、空気冷却材が第2の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度を露点温度よりも高く維持するための少なくとも1基の熱交換器が設けられる。
【0011】
上記の液体金属原子炉においては、除去された熱を利用して流入する空気の温度を露点よりも高く上昇させることによって、原子炉格納容器に沿って外気を導いて原子炉から外部の周囲空気に炉心崩壊熱を伝達する導管、通路及び構造物の内部での腐食のおそれがなくなる。その上、上記原子炉のガードベッセルは、原子炉容器及び格納容器の両方が万一破損した場合にも放射能の放出を防止する。かかる原子炉は、かかる二重容器漏れが起こった場合にも原子炉格納庫の冷却を維持することによって崩壊熱の除去を継続する。さらに、かかる原子炉は一次容器を懸架する原子炉甲板を支持するためのより安価な方法をも提供する。
【0012】
【好ましい実施の形態】
図1は、プール型液体金属原子炉12用の受動崩壊熱除去システム10の概略断面図である。原子炉12は原子炉一次容器14を含んでいるが、原子炉一次容器14は、長手軸が鉛直方向上向きに延びるように配置されかつ上部開口16を有する円筒形タンクからなり、タンクの上部開口は遮蔽甲板18に固定されかつ甲板18で覆われている。原子炉一次容器14は液体金属冷却材(例えば、金属ナトリウム)のプール20を収容しており、液体金属プール20中には核分裂性燃料物質からなる熱発生用炉心22が実質的に沈んでいる。燃料物質の核分裂速度は、炉心22内部に出入りする中性子吸収用制御棒(図示せず)で調節される。
【0013】
原子炉一次容器14は、それを同心状に包囲する格納容器24の内部に格納容器24と間隔をあけて封入されている。原子炉一次容器14と格納容器24の間の空間26は封止されており、通例は窒素又はアルゴンのような比較的不活性なガスで満たされている。格納容器24の外壁30から間隔をあけて、円筒形バッフル28が格納容器24と原子炉一次容器14を実質的にそれらの全長にわたって同心状に包囲している。また、円筒形バッフル28の外壁34から間隔をあけて、ガードベッセル32が円筒形バッフル28を同心状に包囲している。円筒形バッフル28は格納容器24とガードベッセル32の間で下方へと延在し、実質的に原子炉一次容器14の底部にまで達しているが、その終端はガードベッセル32の底部36よりも少し上方にある。かくして、円筒形バッフル28は、その下端38の下側で、ガードベッセル32と円筒形バッフル28の間の空間40と、円筒形バッフル28と格納容器24の間の空間42とを流通させる。
【0014】
ガードベッセル32は支持スカート44を含んでいて、支持スカート44を基礎マット46に載置する。ガードベッセル32は上部支持フランジ48も含んでいる。上部支持フランジ48と遮蔽甲板18の間には複数の遮蔽甲板支柱50が延在していて、遮蔽甲板18が基礎マット46及びガードベッセル32で支持できるようになる。
【0015】
原子炉12は、空間40と流通した周囲空気入口導管52、及び空間42と流通した空気出口導管54を含んでいる。受動崩壊熱除去システム10は、空気入口導管52と空間40と空間42と空気出口導管54を組合わせたものである。
【0016】
受動崩壊熱除去システム10は、炉心22で発生した熱を除去する。作動において、炉心22で発生した熱は液体金属冷却材20の自然対流によって炉心22から外側に向かって原子炉一次容器14へと運ばれる。熱は次いで主に熱放射によって不活性ガス含有空間26を横切って格納容器24へと伝わる。熱は、格納容器24と接した空間42内に含まれる空気によって吸収され、加熱によって生じる上昇気流によって運び去られ、空間42及び出口導管54内に自然通風が起こる。かかる自然通風によって、新鮮な空気が入口導管52内へと吸い込まれ、空間40及び42を通って出口導管54から出ていく。
【0017】
図2は、本発明の一つの実施形態に係るトップエントリーループ(TEL)型液体金属原子炉60の概略断面図である。TEL型原子炉は、各々特定の役割又は機能を果たす1群の独立した一次冷却材含有容器を含んでいる。具体的には、原子炉60はエネルギーを発生する炉心(図示せず)を収容する一次ユニット62、液体金属冷却材を循環させるためのポンプユニット64、及び一次液体金属冷却材によって運ばれた発生熱を、発電用タービン発電機を駆動するための蒸気の発生に用いられる非放射性二次冷却材へと伝達するための熱交換器ユニット66を含んでいる。
【0018】
上述の原子炉12と同様に、一次ユニット62には原子炉一次容器が含まれており、原子炉一次容器は、それを同心状に包囲している格納容器68の内部に格納容器68と間隔をあけて封入されている。格納容器68から間隔をあけて、円筒形バッフル70が格納容器68を実質的にその全長にわたって同心状に包囲している。また、円筒形バッフル70から間隔をあけて、ガードベッセル72が円筒形バッフル70を同心状に包囲している。ガードベッセル72と円筒形バッフル70の間及び格納容器68と円筒形バッフル70の間には、それぞれ空間74及び76が形成されている。空間74及び76は円筒形バッフル70の下端78で互いに流通している。
【0019】
ポンプユニット64及び熱交換器ユニット66も同様な構造を有している。具体的には、ポンプユニット64は格納容器80内に封入されたポンプ容器、格納容器80をその全長にわたって同心状に包囲している円筒形バッフル82、及び円筒形バッフル82から間隔をあけて円筒形バッフル82を同心状に包囲しているガードベッセル84を含んでいる。ガードベッセル84と円筒形バッフル82の間及び格納容器80と円筒形バッフル82の間には、それぞれ空間86及び88が形成されている。空間86及び88は円筒形バッフル82の下端90で互いに流通している。
【0020】
熱交換器ユニット66は、格納容器92内に封入された熱交換器容器、格納容器92をその全長にわたって同心状に包囲している円筒形バッフル94、及び円筒形バッフル94から間隔をあけて円筒形バッフル94を同心状に包囲しているガードベッセル96を含んでいる。ガードベッセル96と円筒形バッフル94の間及び格納容器92と円筒形バッフル94の間には、それぞれ空間98及び100が形成されている。空間98及び100は円筒形バッフル94の下端102で互い流通している。
【0021】
空間74,86及び98は、ユニット62,64及び66の上端104で互い流通している。また、空間76,88及び100はユニット62,64及び66の上端104で互い流通している。
【0022】
一次冷却材含有容器62,64及び66は、コンクリート製原子炉格納庫106に収容される。通例、コンクリート製格納庫106は一次冷却材含有容器62,64及び66が地面よりも低い位置にくるように実質的に地下に位置している。ユニット62,64及び66は、遮蔽甲板108に固定されかつ遮蔽甲板108で覆われる。ガードベッセル72,84及び96はそれぞれ支持スカート109,110及び112を含んでおり、これらのスカートは、耐震隔離された基礎マット114上に設置される。ガードベッセル72,84及び96は、遮蔽甲板108と連結しそれを支持する。ガードベッセル72,84及び96には、空気入口116及び空気出口118のプレナム内で水平方向に空気が流れるようにする流路が設けられる。
【0023】
ユニット62,64及び66は、ユニット62,64及び66間で液体金属冷却材が流れるようにする複数のトップエントリーループ115で連結されている。
【0024】
原子炉60は、空間74,86及び98と流通した複数の冷却用周囲空気入口導管116(1本のみを示す)と、空間76,88及び100と流通した複数の空気出口導管118(1本のみを示す)とを含んでいる。各々の周囲空気入口導管116及び各々の空気出口導管118は、蓄熱式空気間熱交換器120と連結している。熱交換器120は、出口導管118を流れる空気が運ぶ熱の一部を、入口導管116を流れる周囲空気へと伝達して、流入空気の温度を上げて露点よりも高くする。冷却用空気の温度を露点よりも高く維持することによって、空気に含まれる水分が原子炉部品上で凝縮しなくなる。従って、入口導管116、出口導管118並びに空間74,76,86,88,98及び100を含む受動崩壊熱除去システム内には、腐食過程に不可欠の要素である電解液が存在しなくなる。電解液が存在しなければ、腐食の可能性は大幅に低減する。
【0025】
原子炉60は、原子炉格納庫106から熱を除去するための受動原子炉格納庫冷却システムも含んでいる。複数の周囲空気入口導管124(1つのみを示す)が、コンクリート製格納庫106とガードベッセル72,84及び96とで形成される空間126と流通している。また、複数の空気出口導管128(1つのみを示す)が空間126と流通している。空気入口導管124で冷却用周囲空気が空間126内に導入されると、空気はガードベッセル72,84及び96と接触して熱を吸収し、次いで空気出口導管128を通して空間126から出ることによって熱を除去する。
【0026】
空気入口導管124と空気出口導管128は同軸配置として構成され、各々の出口導管128は入口導管124の内側に入口導管124と同軸に配置される。出口導管128中を流れる空気から出口導管壁129を通して入口導管124中を流れる周囲空気へと熱が伝えられ、流入空気の温度が上がって露点よりも高くなる。
【0027】
崩壊熱は原子炉60から受動崩壊熱除去システム130によって除去されるが、このシステム130は、空気入口導管116、空間74,76,86,88,98及び100、空気出口導管118及び蓄熱式熱交換器120を含む。一次ユニット62で発生した熱は、一次冷却材含有容器62,64及び66の内部を循環する液体金属冷却材から、熱放射によって不格納容器68,80及び92へと伝達される。熱は、格納容器68,80及び92と接した空間76,88及び100内に含まれる空気によって吸収され、加熱によって生じる上昇気流によって運び去られ、空間76,88及び100及び出口導管118内に自然通風が起こる。かかる自然通風によって、新鮮な空気が入口導管116内に吸い込まれ、空間74,86及び98を通り、空間76,88及び100内で加熱され、出口導管118から出ていく。出口導管118を通して運ばれる熱の一部は、蓄熱式熱交換器120によって、入口導管116を通って流入する空気へと伝達される。
【0028】
同様に、格納庫入口導管124から流入し、空間126を通って流れ、格納庫出口導管128から出ていく周囲空気によって原子炉格納庫106は冷却される。入口導管124と出口導管128は同軸に配置されているため、流入空気は出口導管128から入口導管124への熱伝達によって露点よりも高い温度に維持される。
【0029】
別の実施形態では、熱交換器120を使用する代りに、入口導管114と出口導管116を同軸に配置して、流入空気に熱を伝達してその温度を露点よりも高い温度まで上げるようにすることもできる。また、流入空気に熱を伝えるのに、格納庫入口導管124と格納庫出口導管128を同軸に配置する代りに、それらが蓄熱式熱交換器を通るようにすることもできる。
【0030】
例えば原子炉容器及び格納容器68の両方が漏れるという二重容器漏れが万一発生した場合には、空気入口ダンパ121及び空気出口ダンパ122を閉じることによってナトリウム冷却材の燃焼及び放射能の放出を防ぐことができる。この場合、崩壊熱は格納庫入口導管124及び格納庫出口導管128によって原子炉60から除去される。
【0031】
図3は本発明の別の実施形態に係る液体金属原子炉150の概略断面図であり、図4は液体金属原子炉150の概略上面図である。原子炉150は、複数の原子炉一次ユニット152及び液体金属循環導管156によって一次ユニット152に連結された複数の対応蒸気発生器ユニット154を含むプール型液体金属原子炉である。一次ユニット152及び蒸気発生器ユニット154は、コンクリート製格納庫158内に配置される。上述の原子炉12と同じく、各々の原子炉一次ユニット152はそれを同心状に包囲している格納容器160の内部に格納容器160と間隔をあけて封入された原子炉一次容器を含んでいる。格納容器160から間隔をあけて、円筒形バッフル162が格納容器160を実質的にその全長にわたって同心状に包囲している。また、円筒形バッフル162から間隔をあけて、ガードベッセル164が円筒形バッフル162を同心状に包囲している。ガードベッセル164と円筒形バッフル162と間及び格納容器160と円筒形バッフル162の間には、それぞれ空間166及び168がそれぞれ形成されている。空間166及び168は、円筒形バッフル162の下端170で互いに流通している。
【0032】
原子炉一次ユニット152は、遮蔽甲板172に固定されかつ遮蔽甲板172で覆われている。ガードベッセル164は支持スカート174を含んで、支持スカート174は耐震隔離された基礎マット176上に載置される。ガードベッセル164は、遮蔽甲板172と連結していて遮蔽甲板172を支持している。原子炉150は、空間166と流通した周囲空気入口導管173、及び空間168と流通した空気出口導管178を含んでいる。
【0033】
原子炉150は、原子炉格納庫158から熱を除去するための受動原子炉格納庫冷却システムをも含んでいる。複数の周囲空気入口導管182が、コンクリート製格納庫158とガードベッセル164とで形成された空間184と流通している。また、複数の空気出口導管186が空間184と流通している。空気入口導管182から冷却用周囲空気が空間184内に導入されると、空気はガードベッセル164と接触して熱を吸収し、次いで空気出口導管186を通って空間184から出て熱を除去する。
【0034】
空気入口導管182と空気出口導管186は同軸配置で構成され、各々の出口導管186は対応入口導管182の内側に入口導管182と同軸に配置されている。出口導管186中を流れる空気から出口導管壁188を介して入口導管182中を流れる周囲空気へと熱が伝達され、流入空気の温度が上昇して露点よりも高くなる。
【0035】
二重容器漏れが万一発生した場合にも、入口導管173及び出口導管178中にそれぞれ配置された入口ダンパ175及び出口ダンパ177を閉じることにより、上述の通り原子炉格納庫冷却システムが対流によってガードベッセル164から崩壊熱を除去するので、崩壊熱の除去は維持される。
【0036】
別の実施形態では、液体金属原子炉は第3の容器(つまりガードベッセル)を含まず、崩壊熱は格納容器と円筒形バッフル28との間の空間を通って循環する空気によって除去される。この場合、空気入口には上記のような蓄熱式熱交換器が含まれる。
【0037】
上記のような液体金属原子炉60及び150においては、除去された熱を利用して流入空気の温度を上昇させて露点よりも高くすることで、原子炉格納容器に外気を導いて原子炉60及び150から外部の周囲空気へと炉心崩壊熱を伝達するための空間及び構造物の内部での腐食のおそれがなくなる。かかる熱の伝達は、空気間熱交換器120によって達成されるか、或いは原子炉60及び150内における空気入口導管と空気出口導管の同軸配置によって達成される。また、原子炉容器及び格納容器の両方が万一破損した場合には、入口ダンパ121又は175及び出口ダンパ122又は177を閉じることによって、崩壊熱の除去が継続されると共に、原子炉60及び150からの放射能の放出が防止される。かかる二重容器漏れが発生した場合の崩壊熱除去は、二重容器破裂のためにナトリウムで満たされたガードベッセルの対流冷却を可能にするように設計された原子炉格納庫冷却システムによって達成される。入口ダンパ及び出口ダンパを閉じて原子炉系をシールすることによって入口導管及び出口導管を通しての放射能の放出が防止されると共に、酸素及び水蒸気がナトリウムプールに到達するのを防止することによってナトリウムプールに起こった火災も消火される。また、原子炉60及び150は原子炉一次容器を懸架する原子炉甲板を支持するためのより安価な方法をも提供する。
【0038】
以上、本発明を様々な実施形態に関して説明し例示してきたが、請求項に記載された技術的思想及び技術的範囲内において修正を加えて本発明を実施できることは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プール型液体金属原子炉用の受動崩壊熱除去システムの概略断面図である。
【図2】 本発明の一つの実施形態に係るトップエントリーループ型液体金属原子炉の概略断面図である。
【図3】 本発明の別の実施形態に係るプール型液体金属原子炉の概略断面図である。
【図4】 図3に示した液体金属原子炉の概略上面図である。
【符号の説明】
60 原子炉
62 一次容器
64 ポンプユニット
66 熱交換器ユニット
68 格納容器
70 円筒形バッフル
72 ガードベッセル
74 空間
80 格納容器
84 ガードベッセル
86 空間
92 格納容器
96 ガードベッセル
98 空間
106 原子炉格納庫
108 原子炉遮蔽甲板
115 トップエントリーループ導管
116 入口導管
118 出口導管
120 熱交換器
121 ダンパ
122 ダンパ
124 格納庫入口導管
126 空間
128 格納庫出口導管
130 熱除去システム
Claims (23)
- コンクリート製原子炉格納庫と、該原子炉格納庫内に位置し原子炉遮蔽甲板(108)と連結した少なくとも1基の一次容器(62)であって各々が格納容器(68)によって間隔をあけて実質的に包囲されており液体金属冷却材のプール(20)に沈められている炉心(22)を含む一次容器(62)と、熱除去システム(130)とを含む原子炉(60)であって、該熱除去システム(130)が、
前記原子炉格納庫の基礎マット(114)上に設置された支持スカートを備え、各々が対応格納容器(68)を間隔をあけて実質的に包囲し前記原子炉遮蔽甲板に接続され該原子炉遮蔽甲板を支持する少なくとも1基のガードベッセル(72)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の入口導管(116)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の出口導管(118)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を流すための第1の伝熱流体流路であって、上記少なくとも1本の入口導管(116)と、各一次容器(62)のガードベッセル(72)と各一次容器(62)の格納容器(68)との間の空間(74)と、上記少なくとも1本の出口導管(118)とを含む第1の伝熱流体流路、及び
上記空気冷却材が上記第1の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度よりも高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるため上記第1の流路内に設けられ、前記入口導管(116)及び前記出口導管(118)に連結された少なくとも1基の蓄熱式熱交換器(120)
を含む原子炉(60)。 - 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が少なくとも1基の耐食性気体間熱交換器(120)を含む、請求項1記載の原子炉(60)。
- 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が、入口導管(116)の内側に入口導管(116)と同軸に配置された出口導管(118)を含む、請求項1記載の原子炉(60)。
- 熱除去システム(130)が各格納容器(68)を間隔をあけて実質的に囲んでいる円筒形バッフル壁(70)をさらに含んでおり、かつ前記第1の流路が前記少なくとも1本の入口導管(116)と、各一次容器(62)のガードベッセル(72)と円筒形バッフル壁(70)との間の空間(74)と、円筒形バッフル壁(70)と各一次容器(62)の格納容器(68)との間の空間(76)と、前記少なくとも1本の出口導管(118)とを含んでいる、請求項1記載の原子炉(60)。
- 熱除去システム(130)が当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を原子炉格納庫(106)に流入・流出させるための第2の伝熱流体流路をさらに含んでおり、該第2の流路が少なくとも1本の格納庫入口導管(124)と、ガードベッセル(72)とコンクリート製原子炉格納庫(106)との間の空間(126)と、少なくとも1本の格納庫出口導管(128)とを含んでおり、かつ前記空気冷却材が前記第2の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度より高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるための少なくとも1基の熱交換器(120)が前記第2の流路内に設けられている、請求項1記載の原子炉(60)。
- 前記第2の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が少なくとも1基の耐食性気体間熱交換器を含む、請求項5記載の原子炉(60)。
- 前記第2の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が、格納庫入口導管(126)の内側に格納庫入口導管(126)と同軸に配置された格納庫出口導管(128)を含む、請求項5記載の原子炉(60)。
- 当該原子炉(60)が少なくとも1基の一次伝熱液体金属冷却材ループをさらに含んでいて、該冷却材ループが、容器内に収容されたポンプユニット(64)、容器内に収容された熱交換器ユニット(66)、及び一次容器(62)とポンプユニット容器(64)と熱交換器ユニット容器(66)を直列に連結する複数のトップエントリーループ導管(115)を含み、かつ各ユニット容器(64,66)が格納容器(80,92)によって間隔をあけて実質的に包囲されている、請求項1記載の原子炉(60)。
- 熱除去システム(130)が、前記一次伝熱液体金属冷却材ループの各ユニット容器(64,66)を実質的に包囲しているガードベッセル(84,96)をさらに含む、請求項8記載の原子炉(60)。
- 前記第1の流路が、各ユニット容器(64,66)のガードベッセル(84,96)と各ユニット容器(64,66)の格納容器(80,92)との間の空間(86,98)をさらに含む、請求項9記載の原子炉(60)。
- 前記第2の流路が、各ユニット容器(62,64,66)のガードベッセル(72,84,96)とコンクリート製原子炉格納庫(106)との間の空間(126)をさらに含む、請求項9記載の原子炉(60)。
- 前記熱除去システム(130)が、各入口導管(116)及び各出口導管(118)中に設けられたダンパ(121,122)をさらに含む、請求項1記載の原子炉(60)。
- コンクリート製原子炉格納庫と、該原子炉格納庫(106)内に位置し原子炉遮蔽甲板(108)と連結した少なくとも1基の一次容器(62)であって各々が格納容器(68)によって格納容器(68)と間隔をあけて実質的に包囲されており液体金属冷却材のプール(20)に沈められている炉心(22)を含む一次容器(62)と、熱除去システム(130)とを含む原子炉(60)であって、該熱除去システム(130)が、
各々が格納容器(62)を間隔をあけて実質的に囲んでいる円筒形バッフル壁(70)、
前記原子炉格納庫基礎マット(114)上に設置された支持スカートを備え、各々が対応格納容器(68)と円筒形バッフル壁(70)を間隔をあけて実質的に包囲し前記原子炉遮蔽甲板に接続され該原子炉遮蔽甲板を支持する少なくとも1基のガードベッセル(72)であって、隣合ったガードベッセル(72)同士が流通しているガードベッセル(72)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の入口導管(116)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の出口導管(118)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を流すための第1の伝熱流体流路であって、上記少なくとも1本の入口導管(116)と、各一次容器(14)のガードベッセル(72)と円筒形バッフル壁(70)との間の空間(74)と、円筒形バッフル壁(70)と各一次容器(62)の格納容器(68)との間の空間(76)と、上記少なくとも1本の出口導管(118)とを含む第1の伝熱流体流路、及び
上記空気冷却材が上記第1の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度よりも高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるため上記第1の流路内に設けられ、前記入口導管(116)及び前記出口導管(118)に連結された少なくとも1基の蓄熱式熱交換器(120)
を含んでいる、原子炉(60)。 - 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が少なくとも1基の耐食性気体間熱交換器(120)を含む、請求項13記載の原子炉(12)。
- 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器(120)が、入口導管(116)の内側に入口導管(116)と同軸に配置された出口導管(118)を含んでいる、請求項13記載の原子炉(60)。
- 前記熱除去システム(130)が当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を原子炉格納庫(106)に流入・流出させるための第2の伝熱流体流路をさらに含んでおり、該第2の流路が少なくとも1本の格納庫入口導管(124)と、ガードベッセル(68)とコンクリート製原子炉格納庫(106)との間の空間(126)と、少なくとも1本の格納庫出口導管(128)を含んでおり、かつ空気冷却材が前記第2の流路を通って流れる際に前記空気冷却材の温度が露点温度より高く維持されるように前記空気冷却材の温度を上昇させるため少なくとも1基の熱交換器が前記第2の流路内に設けられている、請求項13記載の原子炉(60)。
- 前記第2の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器が少なくとも1基の耐食性気体間熱交換器を含む、請求項16記載の原子炉(60)。
- 前記第2の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器が、格納庫入口導管(124)の内側に格納庫入口導管(124)と同軸に配置された前記格納庫出口導管(128)を含む、請求項16記載の原子炉(12)。
- 熱除去システム(130)が、各入口導管(116)及び各出口導管(118)中に設けられたダンパ(121,122)をさらに含む、請求項13記載の原子炉(12)。
- コンクリート製原子炉格納庫(106)と、該原子炉格納庫(106)内に位置し原子炉遮蔽甲板(108)と連結した少なくとも1基の一次容器(62)であって各々が格納容器(68)によって間隔をあけて実質的に包囲されており液体金属冷却材のプール(20)に沈められている炉心(22)を含む一次容器(62)と、熱除去システム(10)とを含む原子炉(60)であって、該熱除去システム(10)が、
各々が格納容器(62)を間隔をあけて実質的に包囲している円筒形バッフル壁(70)、
前記原子炉格納庫基礎マット(114)上に設置された支持スカートを備え、各々が対応格納容器(68)及び円筒形バッフル壁(70)を間隔をあけて実質的に包囲し前記原子炉遮蔽甲板に接続され該原子炉遮蔽甲板を支持する少なくとも1基のガードベッセル(72)であって、隣り合ったガードベッセル(72)同士が流通しているガードベッセル(72)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の入口導管(124)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の出口導管(124)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を流すための第1の伝熱流体流路であって、上記少なくとも1本の入口導管(124)と、各一次容器(62)のガードベッセル(68)とコンクリート製原子炉格納庫(106)との間の空間(126)と、上記少なくとも1本の出口導管(128)とを含む第1の伝熱流体流路、及び
上記空気冷却材が上記第1の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度よりも高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるため上記第1の流路内に設けられ、前記入口導管(116)及び前記出口導管(118)に連結された少なくとも1基の蓄熱式熱交換器(120)
を含んでいる、原子炉(60)。 - 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器が少なくとも1基の耐食性気体間熱交換器を含む、請求項20記載の原子炉(12)。
- 前記第1の流路内に設けられた前記少なくとも1基の熱交換器が、入口導管(124)の内側に入口導管(124)と同軸に配置された出口導管(128)を含む、請求項20記載の原子炉(60)。
- コンクリート製原子炉格納庫(106)と、該原子炉格納庫(106)内に位置し原子炉遮蔽甲板(108)と連結した少なくとも1基の一次容器(62)であって各々が格納容器(68)によって間隔をあけて実質的に包囲されているおり液体金属冷却材のプール(20)に沈められている炉心(22)を含む一次容器(62)と、熱除去システム(130)とを含む原子炉(60)であって、該熱除去システム(130)が、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の入口導管(116)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気と流通した少なくとも1本の出口導管(118)、
当該原子炉(60)の外部の周囲大気からの空気冷却材を流すための第1の伝熱流体流路であって、上記少なくとも1本の入口導管(116)と、各一次容器(62)の格納容器(68)と一次容器(62)との間の空間(74)と、上記少なくとも1本の出口導管(118)とを含む第1の伝熱流体流路、及び
上記空気冷却材が上記第1の流路を通って流れる際に空気冷却材の温度が露点温度よりも高く維持されるように空気冷却材の温度を上昇させるため上記第1の流路内に設けられ、前記入口導管(116)及び前記出口導管(118)に連結された少なくとも1基の蓄熱式熱交換器(120)
を含んでいる、原子炉(60)。
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