JP2001289265A - クラッチ、及びモータ - Google Patents

クラッチ、及びモータ

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JP2001289265A JP2001003890A JP2001003890A JP2001289265A JP 2001289265 A JP2001289265 A JP 2001289265A JP 2001003890 A JP2001003890 A JP 2001003890A JP 2001003890 A JP2001003890 A JP 2001003890A JP 2001289265 A JP2001289265 A JP 2001289265A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】騒音を低減することができ、従動側の回転時に
転動体が狭持されないことをより防止することができる
クラッチを提供する。 【解決手段】クラッチ6は、外輪7aと、駆動側回転体
と、制御面19が形成された従動側回転体10と、外輪
の内周面7dと制御面との間に収容され、直径Bが制御
面の中央部19aと外輪の内周面間の間隔Cより短く、
制御面の側部19b,19cと外輪の内周面間の間隔E
より長い転動体11とを備える。駆動側回転体の回転時
には、転動体を制御面の略中央部に配置して、その回転
力を従動側回転体に伝達し、従動側回転体の回転時に
は、転動体を制御面にて押圧して外輪の内周面と制御面
との間で挟持させ、その回転を阻止する。制御面は、中
央部が両側部を結ぶ直線より径方向外側に配置され、且
つ中央部と側部との間の中間部19dが中央部と側部を
結ぶ直線より径方向外側に膨れる弧状となるように形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチに係り、
詳しくは従動側の回転力が駆動側へと伝達されることを
防止するクラッチ及びクラッチを備えたモータに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、従動側の回転力が駆動側
へと伝達されることを防止するクラッチを提案している
(特願平11−109495号)。
【0003】このクラッチは、外輪と、駆動側回転体
と、従動側回転体と、転動体とを備える。駆動側回転体
は、外輪内に回転可能に収容され駆動源に連結される。
駆動側回転体には、開口部を外周側(外輪の内周側)に
有する係合孔が形成されている。
【0004】従動側回転体は、外輪内に回転可能に収容
され負荷に連結される。従動側回転体には、駆動側回転
体の係合孔に所定の範囲で回動可能に係合する係合凸部
が形成され、係合凸部の外周側(外輪の内周側)壁面に
は、外輪の内周面に対向する制御面が形成されている。
【0005】転動体は、係合孔の開口部において、外輪
の内周面と制御面との間に収容され、その直径が制御面
の中央部と外輪の内周面間の間隔より短く、制御面の側
部と外輪の内周面間の間隔より長く形成されている。
【0006】このクラッチは、駆動側回転体の回転時に
は、転動体を開口部の内壁面にて押圧して制御面の略中
央部(と対応した位置)に配置し、該駆動側回転体の回
転力を係合孔から係合凸部を介して前記従動側回転体に
伝達する。
【0007】そして、従動側回転体の回転時には、転動
体を制御面にて押圧して外輪の内周面と制御面との間で
挟持させ、従動側回転体の回転を阻止する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記クラッ
チの制御面は、その(回転方向)中央部から(回転方
向)両側部に向かうほど、外輪からの距離が近くなる必
要がある。そして、上記クラッチでは、制御面の中央部
が、両側部を結ぶ直線より径方向内側(回転軸中心側)
となるように形成され、その中央部と両側部との間はそ
れぞれ平面とされている。若しくは、制御面は、一平面
よりなる。
【0009】しかしながら、上記クラッチでは、転動体
が制御面の中央部と対応した位置に配置されたときの該
位置における径方向の隙間を小さく設定することが困難
であった。なぜなら、前記隙間を小さく設定すると、転
動体が制御面の中央部から僅かにずれただけで、制御面
と外輪の内周面との間で狭持されてしまい、駆動側回転
体の回転時に転動体が正確に中央部に配置されずその回
転が阻害されてしまう虞があるためである。そして、前
記隙間を大きく設定すると、駆動側回転体の回転時に転
動体が径方向に大きく移動可能となるため、騒音を発生
してしまうことになる。
【0010】又、上記クラッチでは、制御面の側部側で
転動体を外輪の内周面に押圧するとき、その押圧力の径
方向外側方向成分を大きくすることができない。これに
より、従動側回転体の回転時に、転動体が制御面と外輪
の内周面との間で狭持されない(所望の摩擦力を発生で
きずに転動体が外輪の内周面に沿って移動してしまう)
場合が生じてしまう。
【0011】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、騒音を低減することができ、従
動側の回転時に転動体が狭持されないことをより防止す
ることができるクラッチ、及びモータを提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、回動不能に固定され内周
面を有する外輪と、駆動源に連結されて前記外輪内に回
転可能に収容され、開口部を外周側に有する係合溝が形
成された駆動側回転体と、負荷に連結されて前記外輪内
に回転可能に収容され、前記係合溝に係合して所定の範
囲に前記駆動側回転体の相対回動を規制する係合凸部が
形成され、該係合凸部の外周側壁面には、前記外輪の内
周面に対向する制御面が形成された従動側回転体と、前
記開口部において、前記外輪の内周面と前記制御面との
間に収容され、直径が前記制御面の回転方向の中央部と
外輪の内周面間の間隔より短く、前記制御面の回転方向
の側部と外輪の内周面間の間隔より長い転動体と、を備
え、前記駆動側回転体の回転時には、前記転動体を前記
開口部の内壁面にて押圧して前記制御面の略中央部に配
置して、該駆動側回転体の回転力を前記係合溝から前記
係合凸部を介して前記従動側回転体に伝達し、該従動側
回転体の回転時には、該転動体を前記制御面にて押圧し
て前記外輪の内周面と該制御面との間で挟持させ、該従
動側回転体の回転を阻止するクラッチにおいて、前記制
御面を、前記中央部が前記両側部を結ぶ直線より径方向
外側に配置され、且つ前記中央部と前記側部との間の中
間部が前記中央部と前記側部を結ぶ直線より径方向外側
に膨れる弧状となるように形成したことを要旨とする。
【0013】請求項2に記載の発明は、回動不能に固定
され内周面を有する外輪と、駆動源に連結されて前記外
輪内に回転可能に収容される駆動側回転体と、負荷に連
結されて前記外輪内に回転可能に収容され、前記駆動側
回転体に対し回転方向に所定範囲内で相対回転可能に連
結され、外周側壁面の一部に、前記外輪の内周面に対向
する制御面が形成された従動側回転体と、外形寸法が前
記制御面の回転方向の中央部と前記外輪の内周面間の間
隔より短く、且つ前記制御面の回転方向の側部と前記外
輪の内周面間の間隔より長く、前記外輪の内周面と前記
制御面との間において、前記外輪の内周面と前記制御面
とで狭持される狭持位置、又は、前記外輪の内周面と前
記制御面とで狭持されない非狭持位置に配置される転動
体とを備え、前記駆動側回転体の回転時には、該駆動側
回転体の回転により前記転動体を前記非狭持位置に配置
して周回させるとともに、前記従動側回転体と回転方向
に係合して、該駆動側回転体の回転力を前記従動側回転
体に伝達し、前記従動側回転体の回転時には、前記転動
体を前記狭持位置に配置して、該転動体と前記外輪の内
周面との間で所望の摩擦力を発生させ、その状態で該従
動側回転体の回転を許容する、又は、前記摩擦力にて該
従動側回転体の回転を阻止するようにしたクラッチにお
いて、前記制御面を、前記中央部が前記両側部を結ぶ直
線より径方向外側に配置され、且つ前記中央部と前記側
部との間の中間部が前記中央部と前記側部を結ぶ直線よ
り径方向外側に膨れる弧状となるように形成したことを
要旨とする。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のクラッチにおいて、前記制御面全体を、その中
央部の回転軌跡の径より大きな径の円弧状に膨らむよう
にしたことを要旨とする。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のクラッチにおいて、前記制御面の前記中央部
を、平面状に形成したことを要旨とする。請求項5に記
載の発明は、請求項1又は2に記載のクラッチにおい
て、前記制御面の前記中央部を、前記外輪の内周面と同
心軸の円弧状に形成したことを要旨とする。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
のクラッチにおいて、前記係合凸部の周方向側部には、
前記転動体が前記外輪の内周面と前記制御面との間から
外れることを防止する保持部を設けたことを要旨とす
る。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項2に記載
のクラッチにおいて、前記転動体は前記外輪に沿って複
数設けられ、それら各転動体は、前記従動側回転体が第
1の方向及びそれとは逆の第2の方向に回転するときの
いずれの回転時においても、前記狭持位置に配置される
ことを要旨とする。
【0018】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7
のいずれか1項に記載のクラッチにおいて、前記制御面
と前記転動体は、一対一で対応するように設けられたこ
とを要旨とする。
【0019】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8
のいずれか1項に記載のクラッチにおいて、前記転動体
を、樹脂材料で形成したことを要旨とする。請求項10
に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載
のクラッチを備えたモータを要旨とする。
【0020】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
駆動側回転体の回転力は、係合溝から係合凸部を介して
従動側回転体に伝達される。一方、従動側回転体の回転
は、転動体が制御面に押圧されて外輪の内周面と同制御
面との間に挟持されて阻止される。これにより、負荷か
らの回転が駆動源に伝達されることは阻止される。
【0021】しかも、制御面は、その中央部が両側部を
結ぶ直線より径方向外側に配置され、中央部と側部との
間の中間部が中央部と側部を結ぶ直線より径方向外側に
膨れる弧状とされる。よって、中央部と外輪の内周面の
間に介在される転動体の径方向の隙間を小さく設定する
ことができ、騒音の発生を低減することができる。又、
制御面の側部側で転動体を外輪の内周面に押圧すると
き、その押圧力の径方向外側方向成分を大きくすること
ができる。これにより、従動側回転体の回転時に、転動
体が制御面と外輪の内周面との間で狭持されないことは
低減される。
【0022】請求項2に記載の発明によれば、駆動側回
転体の回転力は、従動側回転体に伝達される。一方、従
動側回転体の回転時には、転動体が外輪の内周面と制御
面とで狭持される狭持位置に配置されて、該転動体と前
記外輪の内周面との間で所望の摩擦力が発生され、その
状態で該従動側回転体の回転が許容される、又は、前記
摩擦力にて該従動側回転体の回転が阻止される。
【0023】しかも、制御面は、その中央部が両側部を
結ぶ直線より径方向外側に配置され、中央部と側部との
間の中間部が中央部と側部を結ぶ直線より径方向外側に
膨れる弧状とされる。よって、中央部と外輪の内周面の
間に介在される転動体の径方向の隙間を小さく設定する
ことができ、騒音の発生を低減することができる。又、
制御面の側部側で転動体を外輪の内周面に押圧すると
き、その押圧力の径方向外側方向成分を大きくすること
ができる。これにより、従動側回転体の回転時に、転動
体が制御面と外輪の内周面との間で狭持されないことは
低減される。
【0024】請求項3に記載の発明によれば、制御面全
体は、その中央部の回転軌跡の径より大きな径の円弧状
に膨らむように形成される。これにより、転動体が制御
面に沿ってスムーズに移動する。
【0025】請求項4に記載の発明によれば、制御面の
中央部は、平面状に形成される。請求項5に記載の発明
によれば、制御面の中央部は、前記外輪の内周面と同心
軸の円弧状に形成される。
【0026】請求項6に記載の発明によれば、転動体が
外輪の内周面と制御面との間から外れることは、係合凸
部の周方向側部に設けられる保持部により防止される。
請求項7に記載の発明によれば、外輪に沿って複数設け
られる各転動体は、従動側回転体が第1の方向及びそれ
とは逆の第2の方向に回転するときのいずれの回転時に
おいても、前記狭持位置に配置される。よって、転動体
の数を増加させることなく、第1の方向及びそれとは逆
の第2の方向の回転時に所望の摩擦力を発生させること
ができる。
【0027】請求項8に記載の発明によれば、制御面と
転動体は、一対一で対応するように設けられるため、1
つの制御面に対して複数の転動体が設けられるものに比
べてその部品点数が少なくなる。
【0028】請求項9に記載の発明によれば、前記転動
体は、樹脂材料で形成されるため、駆動側回転体の回転
時に転動体が壁面(外輪の内周面や制御面)と衝突して
も、その騒音が小さくなる。
【0029】請求項10に記載の発明によれば、モータ
の騒音の発生を低減することができ、従動側回転体の回
転時に転動体が狭持されないことを防止することができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明をパワーウインド装
置に具体化した一実施形態について図1〜図12を参照
して説明する。
【0031】図12に示すように、パワーウインド装置
のモータ1はドアDに固設されている。モータ1はモー
タ本体2と出力部3を備えている。モータ本体2は、出
力部3の出力軸4に固着した歯車4aを正逆回転し、そ
の歯車4aは公知のXアーム式レギュレータRに設けた
歯車部Gと噛合している。従って、歯車4aの正逆回転
に基づいて、レギュレータRはウインドガラスWを開閉
させる。
【0032】図1は、本実施形態におけるモータ1の分
解斜視図を示す。図1に示すように、モータ本体2の回
転軸5の先端には断面略D字状の嵌合部5aが形成され
ている。
【0033】上記モータ本体2(回転軸5)の先端側に
はクラッチ6が設けられている。このクラッチ6は、図
3及び図4に示されるように、クラッチハウジング7
と、駆動側回転体8と、ボール9と、従動側回転体10
と、複数(3つ)の転動体11と、サポート部材12と
を備えている。クラッチハウジング7は、円筒形状の外
輪7aと外輪7aの両端から径方向内側に延びる環状の
カバー部7b,7cとからなる。駆動側回転体8、ボー
ル9、従動側回転体10、転動体11、及びサポート部
材12は、組み付けられてクラッチハウジング7内に収
容され、一つのユニット(クラッチ6)とされる。
【0034】前記駆動側回転体8は、樹脂材にて形成さ
れ、軸部8a及び同軸部8aよりも拡径された円盤部8
bを有している。駆動側回転体8は、円盤部8bの基端
側(図4の左側)がクラッチハウジング7のカバー部7
bと摺動可能とされ、回転可能とされている。この駆動
側回転体8の中心部には、同駆動側回転体8を貫通する
軸心孔8cが形成されている。この軸心孔8cの基端側
(図4の左側)には、断面略D字状の嵌合孔8dが形成
されている。この嵌合孔8dは、図4に示されるように
クラッチハウジング7の外部に連通し、前記回転軸5の
嵌合部5aに回転不能に連結固定される。従って、モー
タ本体2の回転軸5が回転するとその回転力が駆動側回
転体8に伝達される。
【0035】又、上記円盤部8bの先端側(図4の右
側)には、図3に示すように、外周面に沿って軸方向と
平行に突出する略扇形状の突設部13が等角度間隔に複
数(3つ)形成されている。突設部13には、径方向内
側から突設部13の中間まで径方向に延びる嵌合溝13
aが形成されている。
【0036】嵌合溝13aには、ゴムよりなる緩衝部材
14が嵌合固定されている。詳しくは、図3に示すよう
に、緩衝部材14は、薄肉のリング部14aと、リング
部14aの外周側で等角度間隔に複数(3つ)軸線方向
に立設される緩衝部14bとを備える。緩衝部14bの
外周側には嵌合溝13aと対応した嵌合凸部14cが形
成されている。そして、緩衝部材14は、各嵌合凸部1
4cが各嵌合溝13aに嵌合されるとともに、リング部
14aが円盤部8b上に配置されて固定されている。
【0037】緩衝部14bの周方向の幅は、図6に示す
ように、突設部13の内周面の周方向の幅より若干大き
く設定されている。そして、隣り合う突設部13の側面
(周方向の面)13b,13c及び隣り合う緩衝部14
bの側面(周方向の面)14d,14eにより、等角度
間隔に複数(3つ)の係合溝15が形成されている。こ
れら係合溝15は中心側で互いに連通している。又、上
記円盤部8bの突設部13が形成されていない外周側に
は軸方向と平行に切り欠かれた溝部16が形成されてい
る。突設部13の側面13b,13cの外周側は、周方
向に僅かに膨出し、係合溝15の開口部17を構成して
いる。
【0038】前記ボール9は金属製とされ、前記軸心孔
8cの内径に応じた外径にて球体に形成されており、同
軸心孔8cの先端側(図4の右側)からその内部に収容
される。尚、ボール9は、軸心孔8cに収容された状態
で、その一部が軸心孔8cから突出する。
【0039】前記従動側回転体10は、円盤部10a
と、その中心部からその先端側(図4の右側)に突出す
る嵌合部10bとを備える。前記円盤部10aは、その
基端側(図4の左側)がボール9と当接され、前記突設
部13(緩衝部14b)に囲まれ、回転可能に配設され
る。この円盤部10aはボール9と点接触となるため、
その回転は円滑なものとされる。
【0040】前記円盤部10aには、図3及び図6に示
すように、径方向外側に延びる略扇形状の係合凸部18
が等角度間隔に複数(3つ)形成されている。この係合
凸部18は、その周方向の幅が前記係合溝15の周方向
の幅より小さく設定され、係合溝15内に収容される。
【0041】図6に示すように、係合凸部18の時計回
り側の面の径方向内側には、前記緩衝部14bの一側面
(反時計回り側の面)14dと対応した第1緩衝面18
aが形成され、係合凸部18の時計回り側の面の径方向
外側には、突設部13の一側面(反時計回り側の面)1
3bと対応した第1当接面18bが形成されている。第
1緩衝面18aは、駆動側回転体8が従動側回転体10
に対して反時計回り方向(矢印X方向)に所定位置まで
回転すると、緩衝部14bの一側面14dと当接する。
又、第1当接面18bは、駆動側回転体8が前記所定位
置より更に反時計回り方向(矢印X方向)に回転する
と、突設部13の一側面13bと当接する。尚、駆動側
回転体8は、緩衝部14bが周方向に撓む(潰れる)こ
とにより、前記所定位置より更に反時計回り方向(矢印
X方向)に回転する(図8参照)。
【0042】又、係合凸部18の反時計回り側の面の内
周側には、前記緩衝部14bの他側面(時計回り側の
面)14eと対応した第2緩衝面18cが形成され、係
合凸部18の反時計回り側の面の外周側には、突設部1
3の他側面(時計回り側の面)13cと対応した第2当
接面18dが形成されている。第2緩衝面18cは、駆
動側回転体8が従動側回転体10に対して時計回り方向
(矢印Y方向)に所定位置まで回転すると、緩衝部14
bの他側面14eと当接する。又、第2当接面18d
は、駆動側回転体8が前記所定位置より更に時計回り方
向(矢印Y方向)に回転すると、突設部13の他側面1
3cと当接する。尚、駆動側回転体8は、緩衝部14b
が周方向に撓む(潰れる)ことにより、前記所定位置よ
り更に時計回り方向(矢印Y方向)に回転する(図9参
照)。
【0043】係合凸部18の外周面には、制御面19が
形成されている。本実施の形態の制御面19は、図7に
示すように、その全体が、軸線方向から見て、その周方
向の中央部19aの回転軌跡(従動側回転体10の軸中
心に回転したときの軌跡であって、図中破線で示す)A
の径より大きな径の円弧状に膨らむように形成されてい
る。よって、制御面19は、中央部19aが、その周方
向の両側部19b,19cを結ぶ直線より径方向外側に
配置される。又、制御面19は、中央部19aと側部1
9b,19cとの間の中間部19dが、中央部19aと
側部19b,19cとを結ぶ直線より径方向外側に膨れ
る弧状に形成される。
【0044】転動体11は、金属材料にて略円柱形状に
形成され、開口部17の第1及び第2面17a,17b
間において、係合凸部18の制御面19とクラッチハウ
ジング7の外輪7aの内周面7dとの間に配置される。
【0045】転動体11の直径Bは、図7に示すよう
に、制御面19の中央部19aと外輪7aの内周面7d
の間隔Cの長さより小さく、制御面19の側部19b,
19cと外輪7aの内周面7dの間隔Eの長さより大き
く設定されている。そして、転動体11の直径Bは、中
央部19aと側部19b,19cとの間の中間部19d
と、外輪7aの内周面7dの間隔Fの長さと等しく設定
されている。
【0046】サポート部材12は、樹脂材よりなり、ク
ラッチハウジング7のカバー部7cと駆動側回転体8の
突設部13との間で摺動可能に配設されるリングプレー
ト20と、図5に示すように、転動体11を回転可能に
かつ回転軸と略平行に保持すべく、リングプレート20
から軸線方向に延びる3つのローラサポート21とを備
える。ローラサポート21は、リングプレート20上に
等角度間隔で配設される。
【0047】各ローラサポート21は、リングプレート
20から軸線方向に延びる一対の保持板21aと、両保
持板21aの先端同士を連結する連結体21bとを備え
る。両保持板21aの配置間隔は転動体11の直径より
若干大きく設定され、リングプレート20と連結体21
bの間隔は転動体11の軸線方向長さより若干大きく設
定されている。そして、転動体11は、両保持板21a
間で且つリングプレート20と連結体21bとの間で回
転可能に、リングプレート20の周方向に対して移動不
能に、リングプレート20の径方向に移動可能に保持さ
れる。
【0048】ここで、各部材11,13,18,21の
形状は、図8に示すように、突設部13の一側面13b
が係合凸部18の第1当接面18bと当接し、開口部1
7の第1面17aがローラサポート21と当接した状態
で、転動体11が制御面19の中央部19aと対応した
位置に配置されるように設定されている。
【0049】又、図9に示すように、各部材11,1
3,18,21の形状は、突設部13の他側面13cが
係合凸部18の第2当接面18dと当接し、開口部17
の第2面17bがローラサポート21と当接した状態
で、転動体11が制御面19の中央部19aと対応した
位置に配置されるように設定されている。
【0050】図2に示されるように、前記出力部3のウ
ォームハウジング22aの基端側(図2の左側)には、
前記クラッチ6のクラッチハウジング7の外径に応じた
内径を有する円筒状の突設部22bが形成されている。
そして、この突設部22bには、上記クラッチハウジン
グ7が内嵌されて、固定されている。
【0051】前記ウォームハウジング22a内には、ウ
ォーム軸23が収容されている。ウォーム軸23の基端
側(図2及び図4の左側)には、前記従動側回転体10
の嵌合部10bと対応した形状の嵌合孔23aが形成さ
れ、その嵌合孔23aには、嵌合部10bが一体回転可
能に連結固定される。
【0052】ウォーム軸23のウォーム23bには、出
力部3のホイールハウジング22c内で回転可能に支持
される連結回転体24のウォームホイール部24aが噛
合されている。又、連結回転体24はモータ保護用ゴム
25を介して出力プレート26に連結されている。この
出力プレート26には前記出力軸4の基端部が回転不能
に固定される。
【0053】従って、ウォーム軸23が回転すると、そ
の回転力は連結回転体24、モータ保護用ゴム25、及
び出力プレート26を介して出力軸4に伝達され、出力
軸4が回転される。
【0054】前記ホイールハウジング22cの開口部に
は、プレートカバー27が固定される。上記のように構
成されたパワーウインド装置(クラッチ6)は、以下の
ように動作する。
【0055】モータ本体2が駆動され回転軸5が図6の
反時計回り方向(矢印X方向)に回転されると、回転軸
5と共に駆動側回転体8が同方向(矢印X方向)に一体
回転する。そして、図8に示すように、突設部13の一
側面13bが係合凸部18の第1当接面18bと当接
し、開口部17の第1面17aがローラサポート21と
当接すると、転動体11が制御面19の中央部19aと
対応した位置(以下、中立位置(非狭持位置)という)
に配置される。
【0056】尚、突設部13の一側面13bが第1当接
面18bに当接する前に、緩衝部14bの一側面14d
が係合凸部18の第1緩衝面18aに先に接触するた
め、該当接時の衝撃は小さくなる。
【0057】この中立状態では、転動体11は係合凸部
18の制御面19と外輪7aの内周面7dにて挟持され
ないため、係合凸部18を備えた従動側回転体10はク
ラッチハウジング7に対して回転可能となる(図7参
照)。従って、駆動側回転体8が更に反時計回り方向に
回転すると、その回転力が突設部13から従動側回転体
10に伝達され、従動側回転体10が連れ回りする。
尚、このとき転動体11には開口部17の第1面17a
から同方向(矢印X方向)の回転力が伝達され、転動体
11は同方向に移動する。
【0058】逆に、回転軸5が図6の時計回り方向(矢
印Y方向)に回転されると、上記と同様に、図9に示す
ように、突設部13により転動体11が中立位置(非狭
持位置)に配置される。この状態では、転動体11は係
合凸部18の制御面19と外輪7aの内周面7dにて挟
持されないため、係合凸部18を備えた従動側回転体1
0はクラッチハウジング7に対して回転可能となる。従
って、駆動側回転体8の回転力が突設部13から従動側
回転体10に伝達され、従動側回転体10が連れ回りす
る。
【0059】このようにして、従動側回転体10の回転
に伴ってウォーム軸23、連結回転体24、モータ保護
用ゴム25、出力プレート26及び出力軸4が回転し、
出力軸4がレギュレータRを駆動させウインドガラスW
が開閉される。
【0060】一方、モータ1が停止している状態で、ウ
インドガラスWに負荷がかかると、その負荷は従動側回
転体10を回動させようとする。そして、従動側回転体
10が図6の時計回り方向(矢印Y方向であって第1の
方向)に回転されると、転動体11は係合凸部18の制
御面19の側部19b側(中間部19d側)に相対移動
する。やがて、図10に示すように、転動体11が中間
部19d(狭持位置)まで相対移動すると、転動体11
は、制御面19と外輪7aの内周面7dで挟持され、該
内周面7dとの間で所望の摩擦力を発生させる(ロック
状態となる)。そして、外輪7aが固定されているた
め、従動側回転体10のそれ以上の回転は阻止され、駆
動側回転体8を連れ回りさせることはない。
【0061】逆に、従動側回転体10が図6の反時計回
り方向(矢印X方向であって、第2の方向)に回転され
ると、駆動側回転体8が停止しているため、転動体11
は係合凸部18の制御面19の側部19c側(中間部1
9d側)に相対移動する。やがて、図11に示すよう
に、転動体11が中間部19d(狭持位置)まで相対移
動すると、転動体11は、制御面19と外輪7aの内周
面7dで挟持され、該内周面7dとの間で所望の摩擦力
を発生させる(ロック状態となる)。そして、外輪7a
が固定されているため、従動側回転体10のそれ以上の
回転は阻止され、駆動側回転体8も回転しない。
【0062】このように、ウインドガラスWに大きな負
荷をかけても、従動側回転体10の回転は阻止されるた
め、該負荷によってウインドガラスWは開くことはな
い。次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載
する。
【0063】(1)制御面19は、中央部19aが、そ
の両側部19b,19cを結ぶ直線より径方向外側に配
置され、中央部19aと側部19b,19cとの間の中
間部19dが、中央部19aと側部19b,19cとを
結ぶ直線より径方向外側に膨れる弧状に形成される。よ
って、中央部19aと外輪7aの内周面7dの間に介在
される転動体11の径方向の隙間(間隔C−直径B)を
小さく設定することができ、騒音の発生を低減すること
ができる。又、制御面19の中間部19dが転動体11
を外輪7aの内周面7dに押圧するとき、その押圧力の
径方向外側方向成分が大きくなる。これにより、従動側
回転体10の回転時に、転動体11が制御面19と外輪
7aの内周面7dとの間で狭持されないことは低減され
る(確実にロックされる)。即ち、従動側回転体10の
回転力が駆動側回転体8へと伝達されることはより防止
される。
【0064】(2)制御面19全体は、その中央部19
aの回転軌跡Aの径より大きな径の円弧状に形成され
る。これにより、転動体11が制御面19に沿ってスム
ーズに移動する。
【0065】(3)転動体11は、外輪7aの中心軸線
と平行に延びる略円柱形状に形成されるため、その外周
面が外輪7aの内周面7dと制御面19とに線接触で狭
持される。これにより従動側回転体10の回転阻止は、
より確実とされる。
【0066】(4)緩衝部材14の緩衝部14bによ
り、一側面13bが第1当接面18bに当接する際の衝
撃が小さくされる。 (5)複数(3つ)の転動体11の相対位置関係はサポ
ート部材12により保持される。これにより、転動体1
1のがたつきが防止され、ひいては、がたつきに伴う異
音や振動の発生が防止される。
【0067】(6)クラッチ6はモータ本体2の回転軸
5とウォーム軸23との間に設けられるため、クラッチ
6に必要とされる強度は低減される。その結果、クラッ
チ6を小型化することができ、ひいてはコストの低減を
図ることができる。
【0068】(7)各転動体11は、従動側回転体10
が第1の方向(矢印Y方向)及びそれとは逆の第2の方
向(矢印X方向)に回転するときのいずれの回転時にお
いても、狭持位置に配置される。よって、転動体11の
数を増加させることなく、第1の方向(矢印Y方向)及
び第2の方向(矢印X方向)の回転時に所望の摩擦力を
発生させることができる。
【0069】(8)制御面19と転動体11は、一対一
で対応するように(3個ずつ)設けられるため、1つの
制御面に対して複数の転動体が設けられるクラッチに比
べてクラッチ6の部品点数が少なくなる。
【0070】上記実施の形態は、以下のように変更して
実施してもよい。・上記実施の形態の制御面19は、中
央部から側部に向かうほど外輪からの距離が短くなり、
その中央部が、両側部を結ぶ直線より径方向外側に配置
されるように、且つ中央部と側部との間の中間部が、中
央部と側部を結ぶ直線より径方向外側に膨れる弧状とな
るように形成されていれば、他の形状に変更してもよ
い。
【0071】・制御面19は、図13に示す制御面31
に変更してもよい。制御面31は、中央部31aが平面
状に形成されている。そして、制御面31の中央部31
aと側部31bとの間の中間部31cは、その中央部3
1aの回転方向両側の回転軌跡(従動側回転体の軸中心
に回転したときの軌跡であって、図中破線で示す)Hの
径より大きな径の円弧状で同回転軌跡Hより外輪7a側
に形成されている。尚、転動体11の直径Bと、中間部
31cと外輪7aの内周面7dとの間の間隔Fとは等し
くなるように設定されている。このようにしても、上記
実施の形態の効果(1),(3)〜(8)と同様の効果
を得ることができる。
【0072】・制御面19は、図14に示す制御面32
に変更してもよい。制御面32は、前記制御面31に比
べて、その中央部32aが前記回転軌跡Hと重なる円弧
状となっている点のみ異なる。言い換えると、中央部3
2aは、外輪7aの内周面7dと同心軸の円弧状に形成
されている。尚、転動体11の直径Bと、中間部(中央
部32aと側部32bとの間)32cと外輪7aの内周
面7dとの間の間隔Fとは等しくなるように設定されて
いる。このようにしても、上記実施の形態の効果
(1),(3)〜(8)と同様の効果を得ることができ
る。
【0073】・上記実施の形態の係合凸部18は、図1
5に示す係合凸部33に変更してもよい。係合凸部33
は、その外周面に前記制御面19と同様の制御面34を
備える。そして、係合凸部33は、その周方向両側部に
外輪7a側に膨出し、転動体11が外輪7aの内周面7
dと制御面34との間から外れることを防止する保持部
としての膨出部35とを備える。尚、転動体11の直径
Bと、制御面34の中間部(中央部34aと側部34b
との間)34cと外輪7aの内周面7dとの間の間隔F
とは等しくなるように設定されている。このようにして
も、上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることがで
きる。しかも、各部材が若干撓むこと等により、転動体
11が外輪7aの内周面7dと制御面34との間から外
れようとしても、転動体11がその間から外れることは
膨出部35により防止される。
【0074】・上記実施の形態では、制御面19と転動
体11は、一対一で対応するように(3個ずつ)設けら
れるとしたが、1つの制御面に対して複数の転動体が設
けられるクラッチに変更してもよい。このようにして
も、騒音の発生を低減することができるとともに、従動
側回転体10の回転時に、転動体11が制御面19と外
輪7aの内周面7dとの間で狭持されないことは低減さ
れる(確実にロックされる)。
【0075】・上記実施の形態では、転動体11を略円
柱形状のものとしたが、球形状のものに変更してもよ
い。このようにしても上記実施の形態の効果(1),
(2),(4)〜(8)と同様の効果を得ることができ
る。しかも、駆動側回転体8の回転時における転動体と
外輪7aの内周面7dとの摺接部分が小さくなるため、
その摺動音は低減される。
【0076】・上記実施の形態では、転動体11を、金
属材料にて形成したが、樹脂材料にて形成してもよい。
このようにすると、上記実施の形態の効果に加えて、駆
動側回転体8の回転時に転動体が壁面(外輪7aの内周
面7dや制御面19)と衝突しても、その騒音が小さく
なる。
【0077】・上記実施の形態の緩衝部材14は、一側
面13b(他側面13c)が第1当接面18b(第2当
接面18d)に当接する際の衝撃を小さくすることがで
きれば、他の形状に変更してもよい。例えば緩衝部14
bがそれぞれ独立した部材であってもよい。このように
しても上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることが
できる。又、緩衝部材14を省略してもよい。このよう
にしても上記実施の形態の効果(1)〜(3),
(5),(6)と同様の効果を得ることができる。
【0078】・上記実施の形態のサポート部材12は、
複数(3つ)の転動体11の相対位置関係を保持できれ
ば、他の形状に変更してもよい。このようにしても上記
実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
又、サポート部材12を省略してもよい。このようにし
ても上記実施の形態の効果(1)〜(4),(6)と同
様の効果を得ることができる。
【0079】・上記実施の形態では、転動体11を3つ
備えるとしたが、1つ以上であればいくつでもよい。
尚、この場合、係合溝15及び係合凸部18は、転動体
の数以上形成されていればよい。
【0080】・上記実施の形態では、転動体11が制御
面19と外輪7aの内周面7dとの間で狭持されると、
従動側回転体10のそれ以上の回転が阻止されるクラッ
チ6に具体化したが、転動体11が制御面19と外輪7
aの内周面7dとの間で狭持されたとき、従動側回転体
10の回転を確実に阻止しなくても、転動体11と外輪
7aの内周面7dとの間で所望の摩擦力を発生させた状
態で該従動側回転体10の回転を許容するクラッチに変
更してもよい。この場合、上記摩擦力により、従動側回
転体10は回転し難くなる。そして、このようなクラッ
チを組み付けるモータを、モータ全体で従動側の回転を
阻止するものとする。即ち、モータを、前記クラッチの
摩擦力と、モータ内のクラッチや各摺動部分(ギヤ噛合
部や軸受部)等における全ての駆動力のロスとによっ
て、従動側(出力軸4)が回転しないように設定する。
このようなモータにすると、例えば出力軸4側に負荷が
かかり、その負荷が従動側回転体10を僅かに回動させ
ても、転動体11が制御面19と外輪7aの内周面7d
との間で狭持されると、前記摩擦力及び前記駆動力のロ
スによって出力軸4のそれ以上の回転が阻止される。し
かも、このようなクラッチとすると、上記実施の形態の
クラッチ6(クラッチ単体で従動側回転体10の回転を
阻止するもの)に比べて、各構成部品に高い寸法精度を
必要としない。又、転動体の剛性を弱く設定できる。こ
れらのことから、クラッチのコストを低減することがで
きる。又、クラッチを小型化することができる。
【0081】・上記実施の形態のモータ1では、クラッ
チ6を、モータ本体2の回転軸5とウォーム軸23との
間に設けたが、連結回転体24と出力軸4との間に設け
たモータに変更してもよい。このようにしても上記実施
の形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を得ることが
できる。又、負荷からの回転力が駆動源であるモータ本
体2に伝達されることは、モータ本体2の回転軸5に対
して負荷側に近い段階で阻止される。
【0082】・上記実施の形態のクラッチ6は、モータ
1に備えられるものとしたが、他の装置に備えられるも
のとしてもよい。又、モータ1はパワーウインド装置に
備えられるものとしたが、他の装置に備えられるものと
してもよい。
【0083】上記実施の形態から把握できる請求項記載
以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記
載する。 (イ)請求項1乃至9のいずれか1項に記載のクラッチ
において、前記転動体は、前記外輪の中心軸線と平行に
延びる略円柱体であることを特徴とするクラッチ。
【0084】このようにすると、転動体はその外周面が
外輪と制御面とに線接触で狭持される。これにより従動
側回転体の回転阻止は、より確実とされる。 (ロ)請求項1乃至9のいずれか1項に記載のクラッチ
において、前記転動体は、球体であることを特徴とする
クラッチ。
【0085】このようにすると、駆動側回転体の回転時
における転動体と外輪との摺接部分が小さくなるため、
その摺動音は低減される。 (ハ)請求項1に記載のクラッチにおいて、前記係合溝
と前記係合凸部が係合するときの衝撃を小さくするため
の緩衝部材(14)を備えたことを特徴とするクラッ
チ。
【0086】このようにすると、係合溝と係合凸部が係
合するときの衝撃が小さくなる。 (ニ)請求項1乃至9、上記(イ)〜(ハ)のいずれか
に記載のクラッチにおいて、前記転動体は、複数設けら
れ、前記複数の転動体の相対位置関係を保持するための
サポート部材(12)を設けたことを特徴とするクラッ
チ。
【0087】このようにすると、複数の転動体の相対位
置関係はサポート部材により保持される。これにより、
転動体のがたつきが防止される。 (ホ)請求項10に記載のモータであって、回転軸
(5)を有するモータ本体(2)と、前記回転軸に連動
するウォーム軸(23)を有し該回転軸の回転速度を減
速して負荷に伝達する出力部(3)とを備え、前記クラ
ッチは、前記回転軸と前記ウォーム軸との間に設けたこ
とを特徴とするモータ。
【0088】このようにすると、クラッチは回転軸とウ
ォーム軸との間に設けられる。従って、クラッチに必要
とされる強度は低減される。 (ヘ)請求項10に記載のモータであって、回転軸を有
するモータ本体と、前記回転軸に連動するウォーム軸及
びウォームホイールを有し該回転軸の回転速度を減速し
て負荷に伝達する出力部とを備え、前記クラッチは、前
記ウォームホイールと負荷との間に設けたことを特徴と
するモータ。
【0089】このようにすると、負荷からの回転力が駆
動源であるモータ本体に伝達されることはモータ本体の
回転軸に対して負荷側に近い段階で阻止される。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜9に記
載の発明によれば、騒音を低減することができ、従動側
の回転時に転動体が狭持されないことをより防止するこ
とができるクラッチを提供することができる。
【0091】請求項10に記載の発明によれば、騒音を
低減することができ、従動側の回転時に転動体が狭持さ
れないことをより防止することができるモータを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のモータの分解斜視図。
【図2】本実施の形態のモータの要部断面図。
【図3】本実施の形態のクラッチの分解斜視図。
【図4】本実施の形態のモータの要部断面図。
【図5】本実施の形態のサポート部材を説明するための
説明図。
【図6】本実施の形態のクラッチの要部断面図。
【図7】本実施の形態のクラッチを説明するための模式
図。
【図8】本実施の形態の動作を説明するための説明図。
【図9】本実施の形態の動作を説明するための説明図。
【図10】本実施の形態の動作を説明するための説明
図。
【図11】本実施の形態の動作を説明するための説明
図。
【図12】本実施の形態のパワーウインド装置の概要を
示す略図。
【図13】別例のクラッチを説明するための模式図。
【図14】別例のクラッチを説明するための模式図。
【図15】別例のクラッチを説明するための模式図。
【符号の説明】
8…駆動側回転体、10…従動側回転体、11…転動
体、15…係合溝、17…開口部、18,33…係合凸
部、19,31,32,34…制御面、35…膨出部、
7a…外輪、7d…内周面、19a,31a,32a,
34a…中央部、19b,19c,31b,32b,3
4b…側部、19d,31c,32c,34c…中間
部、A…回転軌跡、X…反時計回り方向(第2の方
向)、Y…時計回り方向(第1の方向)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動不能に固定され内周面(7d)を有
    する外輪(7a)と、 駆動源に連結されて前記外輪内に回転可能に収容され、
    開口部(17)を外周側に有する係合溝(15)が形成
    された駆動側回転体(8)と、 負荷に連結されて前記外輪内に回転可能に収容され、前
    記係合溝(15)に係合して所定の範囲に前記駆動側回
    転体の相対回動を規制する係合凸部(18,33)が形
    成され、該係合凸部の外周側壁面には、前記外輪の内周
    面に対向する制御面(19,31,32,34)が形成
    された従動側回転体(10)と、 前記開口部において、前記外輪の内周面と前記制御面と
    の間に収容され、直径が前記制御面の回転方向の中央部
    (19a,31a,32a,34a)と外輪の内周面間
    の間隔より短く、前記制御面の回転方向の側部(19
    b,19c,31b,32b,34b)と外輪の内周面
    間の間隔より長い転動体(11)と、 を備え、前記駆動側回転体の回転時には、前記転動体を
    前記開口部の内壁面にて押圧して前記制御面の略中央部
    に配置して、該駆動側回転体の回転力を前記係合溝から
    前記係合凸部を介して前記従動側回転体に伝達し、 該従動側回転体の回転時には、該転動体を前記制御面に
    て押圧して前記外輪の内周面と該制御面との間で挟持さ
    せ、該従動側回転体の回転を阻止するクラッチにおい
    て、 前記制御面を、前記中央部が前記両側部を結ぶ直線より
    径方向外側に配置され、且つ前記中央部と前記側部との
    間の中間部(19d,31c,32c,34c)が前記
    中央部と前記側部を結ぶ直線より径方向外側に膨れる弧
    状となるように形成したことを特徴とするクラッチ。
  2. 【請求項2】 回動不能に固定され内周面(7d)を有
    する外輪(7a)と、 駆動源に連結されて前記外輪内に回転可能に収容される
    駆動側回転体(8)と、 負荷に連結されて前記外輪内に回転可能に収容され、前
    記駆動側回転体に対し回転方向に所定範囲内で相対回転
    可能に連結され、外周側壁面の一部に、前記外輪の内周
    面に対向する制御面(19,31,32,34)が形成
    された従動側回転体(10)と、 外形寸法が前記制御面の回転方向の中央部(19a,3
    1a,32a,34a)と前記外輪の内周面間の間隔よ
    り短く、且つ前記制御面の回転方向の側部(19b,1
    9c,31b,32b,34b)と前記外輪の内周面間
    の間隔より長く、前記外輪の内周面と前記制御面との間
    において、前記外輪の内周面と前記制御面とで狭持され
    る狭持位置、又は、前記外輪の内周面と前記制御面とで
    狭持されない非狭持位置に配置される転動体(11)と
    を備え、 前記駆動側回転体の回転時には、該駆動側回転体の回転
    により前記転動体を前記非狭持位置に配置して周回させ
    るとともに、前記従動側回転体と回転方向に係合して、
    該駆動側回転体の回転力を前記従動側回転体に伝達し、 前記従動側回転体の回転時には、前記転動体を前記狭持
    位置に配置して、該転動体と前記外輪の内周面との間で
    所望の摩擦力を発生させ、その状態で該従動側回転体の
    回転を許容する、又は、前記摩擦力にて該従動側回転体
    の回転を阻止するようにしたクラッチにおいて、 前記制御面を、前記中央部が前記両側部を結ぶ直線より
    径方向外側に配置され、且つ前記中央部と前記側部との
    間の中間部(19d,31c,32c,34c)が前記
    中央部と前記側部を結ぶ直線より径方向外側に膨れる弧
    状となるように形成したことを特徴とするクラッチ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のクラッチにおい
    て、 前記制御面(19)全体を、その中央部(19a)の回
    転軌跡(A)の径より大きな径の円弧状に膨らむように
    したことを特徴とするクラッチ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のクラッチにおい
    て、 前記制御面(31)の前記中央部(31a)を、平面状
    に形成したことを特徴とするクラッチ。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載のクラッチにおい
    て、 前記制御面(32)の前記中央部(32a)を、前記外
    輪の内周面と同心軸の円弧状に形成したことを特徴とす
    るクラッチ。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のクラッチにおいて、 前記係合凸部(33)の周方向側部には、前記転動体が
    前記外輪の内周面と前記制御面との間から外れることを
    防止する保持部(35)を設けたことを特徴とするクラ
    ッチ。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載のクラッチにおいて、 前記転動体は前記外輪に沿って複数設けられ、それら各
    転動体は、前記従動側回転体が第1の方向(Y)及びそ
    れとは逆の第2の方向(X)に回転するときのいずれの
    回転時においても、前記狭持位置に配置されることを特
    徴とするクラッチ。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    クラッチにおいて、 前記制御面と前記転動体は、一対一で対応するように設
    けられたことを特徴とするクラッチ。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    クラッチにおいて、 前記転動体を、樹脂材料で形成したことを特徴とするク
    ラッチ。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれか1項に記載
    のクラッチを備えたモータ。
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