JP2001288506A - 溶融金属の攪拌処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融金属を効率的に攪拌して反応効率の改善を
図る。 【解決手段】溶融金属中に浸漬、配置したインペラーに
よって該溶融金属を攪拌処理するに当たり、インペラー
として、傾斜角を有する複数の翼を持つプロペラ状のイ
ンペラーを用いるとともに、このインペラーを取り囲む
円筒状もしくは筒状の整流板を配置するこによって溶融
金属に対し、その上方から下方へ向かうスムーズな巻き
込み流を形成するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属の攪拌処
理方法に関し、かかる溶融金属の的確な攪拌を実現し、
反応効率の向上を図ろうとするものである。

【０００２】

【従来の技術】溶融金属の攪拌処理としては、例えば、
溶銑中の硫黄を除去する脱硫処理があり、かかる脱硫処
理は、従来は、インペラーを用いて溶銑を回転攪拌させ
つつ脱硫剤を添加してその反応を促進するようにしてお
り、この点に関しては、溶銑を収容する鍋の内壁面もし
くはインペラーと鍋の内壁面の相互間に整流板を設け、
溶湯の攪拌に際して下降流を生じさせようにして攪拌効
率の改善を図った、特公昭５７−２０３６９号公報に開
示の技術が参照される。

【０００３】ところで、溶湯の比重に比較しその上面に
浮遊するスラグの比重は小さく、上記のような従来技術
に従う攪拌方式においては若干の改善効果は見られるも
のの、スラグを溶湯の浴面から下方へ巻き込むための能
力が不足していたため、所望の処理を完了するまでに長
時間を要するのが避けられず、攪拌効率のより一層の改
善が求められていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、溶融
金属の攪拌処理に際して効率的な攪拌を実現できる新規
な攪拌処理方法を提案するところにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、溶融金属中に
浸漬、配置したインペラーによって該溶融金属を攪拌処
理するに当たり、インペラーとして、傾斜角を有する複
数の翼を持つプロペラ状のインペラーを用いるととも
に、このインペラーを取り囲む円筒状もしくは筒状の整
流板を配置することによって溶融金属に対し、その上方
から下方へ向かうスムーズな巻き込み流を形成すること
を特徴とする溶融金属の攪拌処理方法である。

【０００６】上記の攪拌処理方法において、整流板はイ
ンペラーとの相対位置の調整可能な少なくとも２分割形
式からなるものとするのが好ましい。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明においては、傾斜角を有す
る複数の翼をもったインペラーとそれを取り囲む整流板
を用いることにより溶湯の浴面から底面ヘ向かうスムー
ズな巻き込み流を形成することが可能になり、効果的な
攪拌を行うことができる結果として反応効率を高めるこ
とができる。

【０００８】以下、図面を用いて本発明をより具体的に
説明する。図１（ａ）（ｂ）は本発明を実施するのに用
いて好適な装置の構成を模式的に示したものであり、１
は溶湯Ｍを収容する鍋、２は回転攪拌用シャフトによっ
て回転可能なインペラーであって、このインペラー２は
傾斜角θを有する複数の翼２ａを持つプロペラ状になっ
ている。

【０００９】また、３はインペラー２を取り囲むように
配置される４分割形式を例として示した整流板であり、
この整流板３は図１（ｂ）の矢印で示すごとく、それぞ
れが独立して移動できる構造になっている。

【００１０】図示しない駆動源による作動にてシャフト
が回転するとそれに従いインペラー２も回転し、この
時、鍋１内では、整流板３に沿って、溶湯の浴面から底
面に向かうスムーズな巻き込み流が形成され、効率的な
攪拌が行われることになり、反応効率のより一層の改善
が図られる。

【００１１】インペラー２の径Ｌ_１は処理する鍋の容量
にもよるが、１．５〜２．０ｍのものが適用され、この
際、整流板３は内径Ｌ_２が少なくも３．０ｍとするのが
望ましい。というのは、それらの相互間に０．５〜０．
７５ｍ程度のすき間を確保しておかないと、整流板３に
溶湯の凝固分が付着したり、あるいはインペラー２や整
流板３の損耗が避けられないからである。かかるすき間
を設けても凝固分等の付着が大きく、攪拌処理に支障を
きたすような場合には、分割した整流板３をそれぞれ移
動させてインペラー２と整流板３の相対位置の調整を行
うようにする。

【００１２】インペラー２、整流板３は何れにおいても
耐スラグ溶損性、強度、補修性の観点から、アルミナキ
ャスタブル等からなるものが適用できる。

【００１３】とくに、整流板３に関しては、溶湯が整流
板３内に流入しやすくするためその上端が溶湯の浴面よ
りも低くなるように浸漬、配置する必要がある。

【００１４】整流板３を上記のように浸漬、配置するこ
とにより、例えば脱硫処理においてＣａＯ やＣａＣ_２
等を溶湯の浴面上から添加したりノズルインジェクショ
ンにより吹き込む場合においても効率よく混合、攪拌さ
せることが可能になる。

【００１５】

【実施例】上掲図１（ａ）（ｂ）に示した装置を適用し
て、溶銑の脱硫処理を行い溶銑の脱硫率につき、従来の
インペラー攪拌にて処理した場合の結果とともに調査し
た。その結果を図２に示す。

【００１６】鍋の容量：３２０ｔ 溶銑の量：３００ｔ インペラーの径Ｌ_１：２０００ｍｍ 傾斜角θ：３０ ｄｅｇｒｅｅ 回転数rpm：２０ｒｐｍ 整流板の内径Ｌ_２：２５００ｍｍ 整流板の上端から溶銑浴面に至るまでの距離：７００ｍ
ｍ

【００１７】図２より明らかな如く、本発明に従う攪拌
処理では、ほぼ１５分程度で脱硫率が９０％にも及んだ
のに対して、従来方式に従う攪拌処理では、処理開始か
ら２０分が経過した時点でも脱硫率が８０％程度であっ
て、本発明に従う攪拌処理方法が有用であることが確認
できた。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、効率的な攪拌が可能な
ので、反応効率をより一層改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 （ａ）（ｂ）は本発明を実施するのに用いて
好適な装置の構成説明図である。

【図２】 処理時間と脱硫率（％）の関係を示した図で
ある。

【符号の説明】

１ 鍋 ２ インペラー ３ 整流板 Ｍ 溶湯

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属中に浸漬、配置したインペラー
   によって該溶融金属を攪拌処理するに当たり、 インペラーとして、傾斜角を有する複数の翼を持つプロ
   ペラ状のインペラーを用いるとともに、このインペラー
   を取り囲む円筒状もしくは筒状の整流板を配置すること
   によって溶融金属に対し、その上方から下方へ向かうス
   ムーズな巻き込み流を形成することを特徴とする溶融金
   属の攪拌処理方法。
2. 【請求項２】 整流板がインペラーとの相対位置の調整
   可能な少なくとも２分割形式からなるものである、請求
   項１記載の攪拌処理方法。