JP2001288348A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP2001288348A
JP2001288348A JP2000104813A JP2000104813A JP2001288348A JP 2001288348 A JP2001288348 A JP 2001288348A JP 2000104813 A JP2000104813 A JP 2000104813A JP 2000104813 A JP2000104813 A JP 2000104813A JP 2001288348 A JP2001288348 A JP 2001288348A
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polyester
phthalic acid
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phosphorus
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Sachiko Ozaki
幸子 尾崎
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
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Nippon Ester Co Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フタル酸成分を含有していても熱安定性に優
れ、紡糸や成型などの溶融加工により着色することがな
く、かつ、操業性よく得ることができるポリエステル樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】 全酸成分に対して2モル%以上のフタル
酸成分、及びフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分
と、脂肪族ジオールを主たる構成成分とするポリエステ
ルである。このポリエステルには、リン系抗酸化剤、も
しくはリン系抗酸化剤とヒンダードフェノール系抗酸化
剤を全添加量がポリエステルに対して0.01〜0.5質量%
となるように添加されており、樹脂の色調b値が 5.0以
下であり、かつ、窒素雰囲気下、 285℃で30分間溶融し
たときの、溶融前後の樹脂の色調b値の差が 3.5以下で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた接着性を有
するホットメルト型バインダー繊維用、ホットメルト型
接着剤用及び適度な溶融粘性を有するダイレクトブロー
成形用樹脂として好適なポリエステル樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、枕や寝装品用の詰め物、キルティ
ングの詰め物、マットレスの詰め物などを構成する繊維
(主体繊維)を接着する目的で、ホットメルト型バイン
ダー繊維が広く使用されている。また、環境問題を重視
して有機溶剤を使用しないホットメルト型接着剤への要
望が高まっている。さらに、ポリ塩化ビニル製ボトルの
代替の目的で、ダイレクトブロー成形によるポリエステ
ル製ボトルが注目されている。
【0003】ポリエステル系バインダー繊維用、ホット
メルト型接着剤用及びダイレクトブロー成形用の樹脂と
しては、ポリエチレンテレフタレート(PET)に、フ
タル酸成分やイソフタル酸成分を共重合して変性させ、
PETの軟化点や溶融粘性をコントロールしたポリエス
テル樹脂が好適である。
【0004】しかしながら、フタル酸成分を共重合した
ポリエステル樹脂は、フタル酸成分が熱安定性に欠ける
ため、重合時や紡糸及び成型時などの溶融加工時に着色
し、色調や透明性に著しい影響を与えるという問題があ
った。
【0005】このような欠点を解決するための改善方法
として、例えば、フタル酸成分を共重合したPETを製
造する際に、触媒として有機スルホン酸化合物を使用
し、低温で重縮合反応を行う方法が提案されている(特
開平6-309740号公報)。有機スルホン酸化合物を触媒と
して使用すると、重縮合反応とともにエーテル化反応が
促進され、ジエチレングリコール(DEG)が生成す
る。DEGの生成により、樹脂の溶融粘性が低下するた
め、フタル酸成分の共重合量を削減することが可能にな
り、樹脂の溶融加工時の着色をある程度抑制することが
できる。しかしながら、DEGの含有量が多くなるた
め、樹脂の耐光性や耐加水分解性が低下したり、また、
低温で重縮合反応を行う必要があるため、重合時間が長
くなり、操業性が低下するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、フタル酸成分を含有していても熱安
定性に優れ、紡糸や成型などの溶融加工により着色する
ことがなく、かつ、操業性よく製造することができるポ
リエステル樹脂組成物を提供することを技術的な課題と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、全酸成分に対して2モル%以
上のフタル酸成分、及びフタル酸以外の芳香族ジカルボ
ン酸成分と、脂肪族ジオールを主たる構成成分とするポ
リエステルであって、リン系抗酸化剤、もしくはリン系
抗酸化剤とヒンダードフェノール系抗酸化剤を全添加量
がポリエステルに対して0.01〜 0.5質量%となるように
添加されており、樹脂の色調b値が 5.0以下であり、か
つ、窒素雰囲気下、 285℃で30分間溶融したときの、溶
融前後の樹脂の色調b値の差が 3.5以下であることを特
徴とするポリエステル樹脂組成物を要旨とするものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステル樹脂組成物は、全酸成分に
対して2モル%以上のフタル酸成分、及びフタル酸以外
の芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ジオールを主な構
成成分とするポリエステルである。
【0009】フタル酸成分の共重合量が2モル%未満に
なると、樹脂の融点や軟化温度が高くなり、特にバイン
ダー繊維として使用する際、成型時の熱処理温度を高く
しなければならず、主体繊維が軟化して捲縮が損なわ
れ、得られる製品の強度や嵩高性が低下するので好まし
くない。フタル酸成分を形成する原料としては、無水フ
タル酸及び/又はフタル酸が用いられるが、コストの面
では無水フタル酸を用いるのが好ましい。
【0010】フタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分と
しては、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、5-
ナトリウムスルホイソフタル酸、及びナフタレンジカル
ボン酸などが挙げられる。また、脂肪族ジオールとして
は、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、および1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げ
られる。
【0011】本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発
明の効果を損なわない限り、少量の共重合成分を含有し
ていてもよく、これらの共重合成分としては、アジピン
酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフ
ェノールAやビスフェノールSのアルキレンオキサイド
付加物などのグリコール成分、4-ヒドロキシ安息香酸、
ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸成分な
どが挙げられる。
【0012】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、リン系抗酸化剤、もしくは、リン系抗酸化剤とヒン
ダードフェノール系抗酸化剤を全添加量がポリエステル
に対して0.01〜 0.5質量%となるように添加されている
ことが必要である。リン系抗酸化剤、もしくは、リン系
抗酸化剤とヒンダードフェノール系抗酸化剤の全添加量
が0.01質量%未満になると、フタル酸成分の熱分解を抑
制する効果が不十分となり、重合時や紡糸及び成型時に
ポリエステルが着色し、また、0.5質量%を超えると、
重縮合反応速度の低下やポリエステルの着色が起こるの
で好ましくない。
【0013】リン系抗酸化剤の例としては、トリフェニ
ルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、
トリスノニルフェニルフォスファイト、トリラウリルト
リチオフォスファイト、ビス(2,4−ジ-t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスルトール−ジフォスファイト、ビス(3
−メチル-1,5−ジ-t−ブチルフェニル)ペンタエリスリ
トール−ジフォスファイト、トリス(2,4−ジ-t−ブチル
フェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ-t−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトール−ジフェニルフォスファ
イトなどのフォスファイト系抗酸化剤や、3,5-ジ−ブチ
ル-4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチル
エステル、ビス(3,5−ジ-t−ブチル-4−ヒドロキシベン
ジルホスホン酸エチル)カルシウムなどのホスホン酸エ
ステル系抗酸化剤が挙げられる。
【0014】また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の
例としては、トリエチレングリコール−ビス〔3-(3-t−
ブチル-5−メチル-4−ヒドロキシフェニルプロピオネー
ト〕、 1,6ヘキサンジオール−ビス[3-(3,5−ジ-t−ブ
チル-4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタ
デシル-3-(3,5-ジ-t−ブチル-4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3-
(3,5-ジ-t−ブチル-4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕などが挙げられる。
【0015】上記のリン系抗酸化剤のうち、フォスファ
イト系抗酸化剤は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤と
併用することが必要である。ホスホン酸エステル系抗酸
化剤は、単独で使用してもよく、また、ヒンダードフェ
ノール系抗酸化剤と併用しても、フタル酸成分の熱分解
抑制効果を発揮する。
【0016】本発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂
の色調b値が 5.0以下であり、かつ、窒素雰囲気下、 2
85℃で30分間溶融したときの、溶融前後の樹脂の色調b
値の差が 3.5以下であることが必要である。樹脂の色調
が 5.0より大きいと、繊維やボトルなどの製品とした際
の美観や透明性が損なわれるので好ましくない。また、
色調b値の差が 3.5より大きいと、紡糸や成型時などの
溶融加工時の着色度合いが大きくなり、製品の美観や透
明性を損ねるなどの不具合が生じるので好ましくない。
【0017】なお、本発明のポリエステル樹脂組成物に
は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、コバルト
化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタ
ンのような顔料などの添加剤を含有させてもよい。
【0018】本発明のポリエステル樹脂組成物は、例え
ば、次のような方法により製造することができる。ま
ず、温度 230〜 250℃で窒素ガス制圧下、ビス-(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレート及び/又はその低重合
体(PETオリゴマー)の存在するエステル化反応槽
に、グリコール成分/酸成分のモル比 1.1〜 2.0のエチ
レングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)のス
ラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエステル化反応
物を得る。
【0019】また、撹拌装置と充填塔を備えた反応缶
に、グリコール成分/酸成分のモル比1.1〜 2.0のEG
と無水フタル酸及び/又はフタル酸のスラリーを投入
し、常圧下で撹拌しながら、反応温度 200〜 230℃、反
応時間5〜7時間でエステル化反応物を得る。
【0020】これらのエステル化反応物を重合反応缶に
移送し、これに、リン系抗酸化剤、もしくは、リン系抗
酸化剤とヒンダードフェノール系抗酸化剤を所定量添加
し、その後、重合反応缶の温度を 260〜 285℃に昇温
し、0.01〜13.3hPa の減圧下にて、所定の極限粘度とな
るまで重縮合反応を行う。重縮合反応は、通常、重縮合
反応触媒の存在下で行われ、触媒としてはアンチモン、
ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、コ
バルトなどの金属化合物が好適に用いられる。
【0021】
【作用】本発明のポリエステル樹脂組成物が、フタル酸
成分を含有しているにもかかわらず、紡糸や成型などの
溶融加工を施しても、良好な色調と透明性を備えている
理由として、本発明者らは次のように推定している。フ
タル酸成分が共重合されたポリエステルの熱安定性が悪
いのは、フタル酸成分が着色原因物質を形成するためで
あると考えられる。通常のフェノール系抗酸化剤のみで
も、この着色原因物質を生成させるラジカルを捕捉し、
着色原因物質の生成をある程度抑制することはできる
が、生成した着色原因物質を還元することはできない。
【0022】一方、リン系抗酸化剤は着色原因物質を還
元する効果があり、このためにフタル酸成分共重合ポリ
エステルに対し、樹脂の着色を抑制する特異な効果があ
るものと認められる。なお、リン系抗酸化剤のうちホス
ホン酸エステル系抗酸化剤は、ラジカルの捕捉と着色原
因物質の還元を同時に行うことができるため、単独で使
用しても樹脂の着色抑制に優れた効果を示すものと推定
している。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値の測定法と評価方法は、
次のとおりである。 (a) 極限粘度〔η〕 フェノールとテトラクロロエタンとの当重量混合物を溶
媒とし、温度20℃で測定した。(b) 色調b値 日本電色工業(株)製色差計NDΣ80型を用い、ペレット
状の樹脂で測定した。b値は黄青系の色相(+側は黄
色、−側は青色)を示す。 (c) 軟化温度(Ts) 柳本社製自動融点測定装置 AMP-1型を使用し、昇温速度
10℃/分でシリコーン浴中での針入温度を求めた。 (d) ガラス転移温度(Tg) パーキンエルマー社製示差走査熱量計 DSC-7型を用い、
昇温速度20℃/分で測定した。 (e) 溶融前後の樹脂の色調b値の差(Δb) 70℃で2日間減圧乾燥した樹脂50gを窒素雰囲気下、 2
85℃で30分間溶融保持し、溶融したポリマーを水で急冷
してペレット状とした後、(b) の方法で色調b値を測定
し、次式より求めた。 Δb=(溶融試験後のb値)−(溶融試験前のb値)
【0024】実施例1 無水フタル酸(PA)とEGのスラリー(モル比1/1.
5)を撹拌装置と充填塔を備えた反応缶に投入し、常圧下
で撹拌しながら反応温度 200℃にて、生成してくる水を
反応系外に除去しながら、5時間エステル化反応を行
い、反応率95%のエステル化物(A)を得た。また、P
ETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAと
EGのスラリー(モル比1/1.6)を連続的に供給し、温
度 250℃、圧力0.1MPaG の条件で反応させ、滞留時間を
8時間として、反応率95%のエステル化物(B)を連続
的に得た。
【0025】次いで、表1に示した組成比となるよう
に、エステル化物(A)、(B)を重縮合反応缶に移送
し、ホスホン酸エステル系抗酸化剤として3,5-ジ−ブチ
ル-4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチル
エステル(日本チバスペシャリティケミカルズ社製、
「イルガノックス1222」)を0.015 質量%と、重縮合触
媒として三酸化アンチモンを3×10-4モル/酸成分モ
ル、酢酸コバルトを4×10-4モル/酸成分モル、及びト
リエチルホスフェートを15×10-4モル/酸成分モル添加
した。次いで、反応缶の温度を30分で 285℃に昇温し、
反応缶内の圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下にし
た。この条件下で撹拌しながら重縮合反応を3時間行
い、常法により払い出してペレット化した。
【0026】実施例2 酸成分の組成比を表1に示すように変更し、また、フォ
スファイト系抗酸化剤としてトリフェニルフォスファイ
ト(住友化学工業(株)社製、「スミライザーP-16」)
を0.05質量%と、ヒンダードフェノール系抗酸化剤とし
てトリエチレングリコール−ビス〔3-(3-t−ブチル-5−
メチル-4−ヒドロキシフェニルプロピオネート〕(日本
チバスペシャリティケミカルズ社製、「イルガノックス
245 」)を 0.1質量%添加するように変更した以外は、
実施例1と同様に行った。
【0027】実施例3 酸成分の組成比及び抗酸化剤の添加量を表1に示すよう
に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0028】実施例4 イソフタル酸(IPA)とEGのスラリー(モル比1/
3)を撹拌装置と充填塔を備えた反応缶に投入し、常圧
下で撹拌しながら反応温度 200℃にて、生成してくる水
を反応系外に除去しながら5時間エステル化反応を行
い、反応率95%のエステル化物(C)を得た。このエス
テル化物(C)とエステル化物(A)、(B)を、表1
に示した組成比となるように重縮合反応缶に移送し、ペ
ンタエリスリトールジフォスファイト系抗酸化剤として
ビス(2,4−ジ-t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ル−ジフェニルフォスファイト(ジーイースペシャリテ
ィケミカルズ社製、「ウルトラノックス626A」)を0.1
重量%と、ヒンダードフェノール系抗酸化剤として「イ
ルガノックス245 」を 0.2質量%添加するように変更し
た以外は、実施例1と同様に行った。
【0029】実施例5 抗酸化剤の種類と添加量を表1に示すように変更した以
外は、実施例4と同様に行った。
【0030】比較例1〜3 酸成分の組成比及び抗酸化剤の種類と添加量を表1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0031】比較例4 抗酸化剤の種類と添加量を表1に示すように変更した以
外は、実施例4と同様に行った。実施例1〜5及び比較
例1〜4で得られたポリエステルの〔η〕、b値、Ts、
Tg及びΔb値を表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1から明らかなように、実施例1〜5で
は、色調が良好で、バインダー繊維やホットメルト型接
着剤及びダイレクトブロー成形用として好適に用いられ
るポリエステル樹脂組成物を操業性よく得ることができ
た。また、溶融試験のΔb値は 3.1以下と小さいもので
あった。
【0034】一方、比較例1は、フタル酸成分の共重合
量が少なすぎたため、得られたポリエステルは軟化温度
が 200℃以上となり、バインダー繊維やホットメルト型
接着剤などとしては不適当であった。また、比較例2
は、抗酸化剤の添加量が少なすぎたため、得られたポリ
エステルのb値が高いものとなり、溶融試験のΔb値も
大きくなった。さらに、比較例3と比較例4は、抗酸化
剤の添加量が多すぎたため、得られたポリエステルは重
合度の低いものであり、b値も高いものであった。
【0035】参考例1 実施例1で得たポリエステル樹脂組成物から、次の方法
でバインダー繊維及び不織布を作製し、評価を行った。
実施例1で得たポリエステル樹脂組成物と〔η〕0.68、
融点 256℃のPETとを同心芯鞘型複合溶融紡糸装置を
用いて、吐出孔数 225の紡糸口金により、紡糸温度 270
℃、吐出量250g/分、複合重量比1:1で、前者が鞘と
なるように溶融紡糸し、冷却後、800m/分の速度で巻き
取り、複合未延伸糸を得た。
【0036】この未延伸糸を11万デシテックスのトウに
集束し、延伸温度45℃、延伸倍率3.2 で延伸し、押し込
み式クリンパーにて捲縮を与えた後、長さ51mmに切断し
て繊度4デシテックスのバインダー繊維を得た。得られ
たバインダー繊維について、ミノルタ社製色彩色差計CR
-100型で色調b値を測定したところ、 3.2と良好な色調
であった。
【0037】次に、このバインダー繊維30重量%と、長
さ51mm、繊度2デシテックスのPET繊維70重量%とを
混綿し、カードに通して50g/m2の目付のウエブとし、
200℃の回転乾燥機で2分間熱処理して不織布を得た。
この不織布を幅25mm、長さ 100mmの試料とし、オリエン
テック社製定速伸長型引っ張り試験機 UTM-4-100型を用
い、測定温度25℃、引張速度 100mm/分で強力を測定し
たところ、2310gと良好な強力を有し、接着性も良好な
ものであった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、フタル酸成分を含有し
ていても良好な色調を有し、かつ、溶融加工を施して
も、色調の悪化を抑制することが可能であり、バインダ
ー繊維やホットメルト型接着剤及びダイレクトブロー成
形用として好適なポリエステル樹脂組成物が提供され
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全酸成分に対して2モル%以上のフタル
    酸成分、及びフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分
    と、脂肪族ジオールを主たる構成成分とするポリエステ
    ルであって、リン系抗酸化剤、もしくはリン系抗酸化剤
    とヒンダードフェノール系抗酸化剤を全添加量がポリエ
    ステルに対して0.01〜 0.5質量%となるように添加され
    ており、樹脂の色調b値が 5.0以下であり、かつ、窒素
    雰囲気下、 285℃で30分間溶融したときの、溶融前後の
    樹脂の色調b値の差が 3.5以下であることを特徴とする
    ポリエステル樹脂組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010018781A (ja) * 2008-06-11 2010-01-28 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物、およびその製造方法

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