JP2001287031A - 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 - Google Patents

多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置

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JP2001287031A
JP2001287031A JP2000101154A JP2000101154A JP2001287031A JP 2001287031 A JP2001287031 A JP 2001287031A JP 2000101154 A JP2000101154 A JP 2000101154A JP 2000101154 A JP2000101154 A JP 2000101154A JP 2001287031 A JP2001287031 A JP 2001287031A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁さ
れた2本の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアーク
を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接方法にお
いて、2つのアークの相互間に作用する力によるアーク
の相互干渉によってアーク発生状態が不安定になる。 【解決手段】 本発明は、第1のアークのベース電流通
電期間中に、第2のアークにピーク電流BIpが通電す
るときは第1のアークに予め設定した通常値よりも大き
な値のベース電流AIb2を通電し、第2のアークのベー
ス電流通電期間中に、第1のアークにピーク電流AIp
が通電するときは第2のアークに予め設定した通常値よ
りも大きな値のベース電流BIb2を通電する多電極パル
スアーク溶接制御方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つの溶接トーチ
から互いに電気的に絶縁された2本の溶接ワイヤと被溶
接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極
パルスアーク溶接方法において、2つのアークの相互間
に作用する力によるアークの相互干渉によってアーク発
生状態が不安定になることを抑制することができる多電
極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多電極パルスアーク溶接方法では、1つ
の溶接トーチに設けた電気的に絶縁した2つのコンタク
トチップを通して2本の溶接ワイヤを送給して、それら
の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのパルスアークを
発生させて溶接を行う。この溶接方法は、2本の溶接ワ
イヤが同時に溶融するので高溶着量を得ることができる
ので、薄板の溶接では4[m/分]を超える高速溶接を
行うことができ、また、厚板の多層溶接では層数を減ら
して溶接を行うことができ、溶接作業の高効率化を図る
ことができる。しかも、本溶接方法はパルスアーク溶接
方法であるので、スパッタの発生が少なく、美しいビー
ド外観を得ることができる。この溶接方法は、鉄鋼、ス
テンレス鋼、アルミニウム合金等の種々の金属に対して
使用することができる。しかしながら、従来技術の多電
極パルスアーク溶接方法では、後述するように、2つの
アークの相互間に作用する力によるアークの相互干渉に
よってアーク発生状態が不安定になるという解決すべき
課題がある。以下、従来技術の多電極パルスアーク溶接
制御方法及び溶接装置について説明する。
【0003】図1は、従来技術の多電極パルスアーク溶
接装置(以下、従来溶接装置という)の構成図である。
同図に示すように、この溶接装置は、第1の溶接電源装
置APS、第1のワイヤ送給装置AWF、第2の溶接電
源装置BPS、第2のワイヤ送給装置BWF及び溶接ト
ーチ4から構成されている。溶接トーチ4には、相互に
電気的に絶縁された第1のコンタクトチップA41及び
第2のコンタクトチップB41が装着されており、これ
らのコンタクトチップA41及びB41を通して第1の
溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1が送給及び給
電されて、被溶接物2との間に第1のアークA3及び第
2のアークB3が発生する。これらの2つのアークによ
って1つの溶融池21が形成される。
【0004】第1の溶接電源装置APSは、一般的なパ
ルスアーク溶接用の溶接電源装置であり、第1のワイヤ
送給装置AWFに送給制御信号Wcを出力すると共に、
第1の溶接ワイヤA1に第1の溶接電圧AVwを供給し
て、その結果、第1の溶接電流AIwが通電する。第1
のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信号Wcに
従って第1の溶接ワイヤA1の送給を制御する。また、
第2の溶接電源装置BPS及び第2のワイヤ送給装置B
WFについても、上記と同様であるので説明を省略す
る。
【0005】上記の第1の溶接電源装置APS及び第2
の溶接電源装置BPSでは、図2で後述するように、電
圧フィードバック制御によるアーク長制御及び電流フィ
ードバック制御による電流波形制御の2つの制御が同時
に行われている。従来技術においては、これらの制御は
両電源装置間で完全に独立して行われている。
【0006】図2は、上述した第1の溶接電源装置AP
S及び第2の溶接電源装置BPSの出力波形を示す電流
・電圧波形図である。同図(A)は第1の溶接電流AI
wの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電
圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の
溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は
第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。以下、
同図を参照して説明する。
【0007】 時刻t1〜t2の期間(第1のピーク
電流通電時間ATp) 同図(A)に示すように、第1のピーク電流通電時間A
Tpの間は第1のピーク電流AIpが通電する。通常、
この両値としては、溶接ワイヤがアーク熱によって1パ
ルス1溶滴移行するように予め設定する。また、同図
(B)に示すように、第1のピーク電流通電時間ATp
の間は第1のピーク電流AIpに対応した第1のピーク
電圧AVpが第1の溶接ワイヤと被溶接物との間に印加
する。
【0008】 時刻t2〜t3の期間 同図(A)に示すように、時刻t2から第1のパルス周
期ATf期間が終了する時刻t3までの間は、溶滴移行
しない範囲で予め設定した第1のベース電流AIbが通
電する。この第1のパルス周期ATfの継続時間は、第
1の溶接電圧AVwの平均値と電源装置の外部から設定
される第1の電圧設定信号AVsとの誤差による周波数
変調制御又はパルス幅変調制御(電圧フィードバック制
御)によって自動的に決定される。一般的に、溶接電圧
の平均値とアーク長とは比例関係にあるので、上記の電
圧フィードバック制御は、溶接品質に重大な影響を及ぼ
すアーク長の制御を行っている。また、同図(B)に示
すように、この期間中は第1のベース電流AIbに対応
した第1のベース電圧AVbが第1の溶接ワイヤと被溶
接物との間に印加する。時刻t1以前及び時刻t3以後
の期間は、上記の項及び項の動作を繰り返して第1
の溶接電源装置APSによる溶接が行われる。
【0009】 時刻t4〜t5の期間(第2のピーク
電流通電時間BTp) 同図(C)に示すように、第2のピーク電流通電時間B
Tpの間は第2のピーク電流BIpが通電する。上記と
同様に、これら両値は、溶接ワイヤがアーク熱によって
1パルス1溶滴移行するように予め設定する。なお、こ
れら両値はワイヤ送給速度(溶接電流の平均値)によっ
て異なる値に設定されるので、上記の第1の溶接電流A
Iwの平均値と上記の第2の溶接電流BIwの平均値と
が異なれば、第1のピーク電流通電時間ATpと第2の
ピーク電流通電時間BTpとは異なった値となり、第1
のピーク電流AIpと第2のピーク電流BIpとは異な
った値になる。また、同図(D)に示すように、第2の
ピーク電流通電時間BTpの間は第2のピーク電流BI
pに対応した第2のピーク電圧BVpが第2の溶接ワイ
ヤと被溶接物との間に印加する。
【0010】 時刻t5〜t6の期間 同図(C)に示すように、時刻t5から第2のパルス周
期BTf期間が終了する時刻t6までの間は、溶滴移行
しない範囲で予め設定した第2のベース電流BIbが通
電する。通常、この値は、ワイヤ送給速度(溶接電流の
平均値)によって異なる値に設定されるので、上記の第
1の溶接電流AIwの平均値と上記の第2の溶接電流B
Iwの平均値とが異なれば、第1のベース電流AIbと
第2のベース電流BIbとは異なった値となる。上記の
第2のパルス周期BTfの継続時間は、上記の項と同
様に、第2の溶接電圧BVwの平均値と電源装置の外部
から設定される第2の電圧設定信号BVsとの誤差によ
る周波数変調制御又はパルス幅変調制御(電圧フィード
バック制御)によって自動的に決定される。また、同図
(D)に示すように、この期間中は第2のベース電流B
Ibに対応した第2のベース電圧BVbが第2の溶接ワ
イヤと被溶接物との間に印加する。時刻t4以前及び時
刻t6以後の期間は、上記の項及び項の動作を繰り
返して第2の溶接電源装置BPSによる溶接が行われ
る。
【0011】上記の項及び項に示す第1の溶接電源
装置APSにおける電圧フィードバック制御及び溶接電
流の通電を制御する電流波形制御並びに上記の項及び
項に示す第2の溶接電源装置BPSにおける電圧フィ
ードバック制御及び電流波形制御は、各溶接電源装置ご
とに完全に独立して行われる。そのために、第1のピー
ク電流AIp及び第1のベース電流AIbの通電するタ
イミングと、第2のピーク電流BIp及び第2のベース
電流BIbが通電するタイミングとは、同図(A)及び
(C)に示すように、アトランダムになる。なお、第1
のベース電圧AVbが同図(B)のイ部に示すように持
ち上がる期間は、第2のピーク電流BIpの通電期間と
一致し、同様に第2のベース電圧BVbが同図(D)の
ロ部に示すように持ち上がる期間は、第1のピーク電流
AIpの通電期間と一致する。この現象は、第1のアー
クと第2のアークとの間のアークの相互干渉によって発
生しており、この現象の詳細は図8で後述する。
【0012】図3は、前述した従来技術の第1の溶接電
源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSの回路構成
を示すブロック図である。以下、同図を参照して各回路
ブロックについて説明する。
【0013】第1の溶接電源装置APSは、一点鎖線で
囲んだ範囲内の各回路ブロックから構成されており、以
下これらの回路ブロックについて説明する。出力制御回
路INVは、商用電源を入力として出力制御を行い、ア
ーク負荷に適した出力を供給する。一般的に、この出力
制御回路INVとしては、インバータ制御回路、チョッ
パ制御回路、サイリスタ位相制御回路等が慣用されてい
る。例えば、インバータ制御回路は、交流の商用電源を
整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある
電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周
波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアー
ク負荷に適した電圧に降圧する高周波変圧器と、降圧さ
れた交流を再び整流する2次側整流回路と、整流された
リップルのある直流を平滑する直流リアクトルとから構
成されており、後述する電流誤差増幅信号Eiに従って
上記のインバータ回路を形成する複数組のパワートラン
ジスタのオン/オフが制御されて出力制御が行われる。
【0014】第1の電圧検出回路AVDは、第1の溶接
ワイヤA1と被溶接物2との間の第1の溶接電圧AVw
を検出して平均化した第1の電圧検出信号AVdを出力
する。第1の電圧設定回路AVSは、電源装置の外部に
設けられており、第1の電圧設定信号AVsを出力す
る。電圧誤差増幅回路EVは、フィードバック信号であ
る上記第1の電圧検出信号AVdと、目標値である上記
第1の電圧設定信号AVsとの誤差を増幅して、電圧誤
差増幅信号Evを出力する。V/F変換回路VFは、上
記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてV/F変換を行
い、V/F変換信号Vfを出力する。ピーク電流通電時
間設定回路TPは、予め設定したピーク電流通電時間設
定信号Tpを出力する。モノマルチバイブレータMM
は、上記のV/F変換信号VfがLowレベルからHi
ghレベルに変化することをトリガとして、上記のピー
ク電流通電時間設定信号Tpによって設定した時間だけ
Highレベルとなる、図2で前述した第1のパルス周
期信号ATfを出力する。
【0015】上記の電圧誤差増幅回路EV、V/F変換
回路VF、ピーク電流通電時間設定回路TP及びモノマ
ルチバイブレータMMから点線で囲んだ第1の変調回路
AMCが形成される。この第1の変調回路AMCは、上
記の第1の電圧検出信号AVdと上記の第1の電圧設定
信号AVsとを入力として、それらの信号間の誤差によ
る周波数変調制御によって上記の第1のパルス周期信号
ATfを出力する。この変調方式としては、上記の周波
数変調制御の他にパルス幅変調制御も慣用技術として使
用されている。
【0016】第1のピーク電流設定回路AIPは、予め
設定した第1のピーク電流設定信号AIpを出力する。
第1のベース電流設定回路AIBは、予め設定した第1
のベース電流設定信号AIbを出力する。第1の切換回
路ASWは、上記の第1のパルス周期信号ATfがHi
ghレベルのときは、a側に接続されて上記の第1のピ
ーク電流設定信号AIpを第1の電流制御設定信号AI
scとして出力し、上記の第1のパルス周期信号ATfが
Lowレベルのときは、b側に接続されて上記の第1の
ベース電流設定信号AIbを第1の電流制御設定信号A
Iscとして出力する。電流検出回路IDは、第1の溶接
電流AIwを検出して、電流検出信号Idを出力する。
電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である電
流検出信号Idと、目標値である第1の電流制御設定信
号AIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを
出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って出力制御
が行われて、第1の溶接電圧AVwが印加する。
【0017】第1の送給速度設定回路AWSは、電源装
置の外部に設けられており、第1の送給速度設定信号A
Wsを出力する。送給制御回路WCは、第1の送給速度
設定信号AWsを入力として送給制御信号Wcを出力す
る。第1のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信
号Wcに従って第1の溶接ワイヤA1の送給を制御す
る。
【0018】次に、第2の溶接電源装置BPS及び第2
のワイヤ送給装置BWFの回路ブロックの説明は、上記
の第1の溶接電圧AVw及び第1の溶接電流AIwを第
2の溶接電圧BVw及び第2の溶接電流BIwに、第1
の電圧検出回路AVD及び第1の電圧検出信号AVdを
第2の電圧検出回路BVD及び第2の電圧検出信号BV
dに、第1の電圧設定回路AVS及び第1の電圧設定信
号AVsを第2の電圧設定回路BVS及び第2の電圧設
定信号BVsに、第1の変調回路AMCを第2の変調回
路BMCに、第1のピーク電流設定回路AIP及び第1
のピーク電流設定信号AIpを第2のピーク電流設定回
路BIP及び第2のピーク電流設定信号BIpに、第1
のベース電流設定回路AIB及び第1のベース電流設定
信号AIbを第2のベース電流設定回路BIB及び第2
のベース電流設定信号BIbに、第1のパルス周期信号
ATfを第2のパルス周期信号BTfに、第1の切換回
路ASW及び第1の電流制御設定信号AIscを第2の切
換回路BSW及び第2の電流制御設定信号BIscに、そ
れぞれ読み替えることで説明は同様になるので省略す
る。結果的に、上記の第2の溶接電源装置BPSによっ
て第2の溶接電圧BVwが印加すると共に、上記の第2
のワイヤ送給装置BWFによって第2の溶接ワイヤB1
が送給されて、被溶接物2との間に第2のアークB3が
発生して第2の溶接電流BIwが通電する。
【0019】上述したように、第1の溶接電源装置AP
S及び第2の溶接電源装置BPSにおいて、電圧フィー
ドバック制御を行う電圧誤差増幅回路EV及び電流フィ
ードバック制御を行う電流誤差増幅回路EIは、両電源
装置間では独立しているために、図2で前述したよう
に、第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとの
通電タイミングはアトランダムになる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術の多
電極パルスアーク溶接方法では、2つのアークの相互間
に作用する力によってアークの形状が変形するアークの
相互干渉に起因して、アーク長が変動してアーク発生状
態が不安定になる現象が生じる。以下、まずこのアーク
の相互干渉の発生原因について説明し、続いてアークの
相互干渉によって発生する従来技術の問題点について説
明する。
【0021】図4は、単独で発生しているアーク3に作
用する力を説明するためのアーク発生部模式図である。
同図(A)は、発生しているアーク3の形状が溶接ワイ
ヤ1の送給方向(以下、送給方向という)a−bを中心
線として対称形状である場合であり、同図(B)は、発
生しているアーク3の形状が送給方向a−bを中心線と
して対称形状でない場合である。同図(A)に示すよう
に、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間にアーク3が発生
しており、溶接電流Iwが通電している。この溶接電流
Iwは、溶接電源装置の図示していないプラス端子から
溶接ワイヤ1→アーク3→被溶接物2と順次に通電した
後にマイナス端子へと戻る。溶接ワイヤ1を通電する電
流によって同図(A)に示すような磁界が形成される。
しかしこの場合は、アーク3の形状が対称形状であるの
で、この磁界によってアーク3に力は作用しない。一
方、アーク3を通電する電流により形成された磁界によ
って、同図(A)に示すようにアーク3を収縮させる力
(以下、アークによる収縮力という)FXが作用する。
したがって、対称形状のアークには、アークによる収縮
力のみが作用する。
【0022】次に、同図(B)においては、溶接ワイヤ
1と被溶接物2との間に、後述する図8(B)の第2の
アークB3のように非対称形状のアーク3がa−c方向
に発生して溶接電流Iwが通電している。この溶接ワイ
ヤ1を通電する電流によって、図示するような磁界が形
成される。この場合には同図(A)とは異なり、アーク
3の形状が対称形状でないので、この磁界によってアー
ク3には力(以下、磁界による力という)FYが作用す
る。一方、アーク3を通電する電流により形成される磁
界によって、同図(B)に示すようにアーク3にはアー
クによる収縮力FXが作用する。上記の磁界による力F
Yはアーク3を送給方向a−bに引き戻すように作用
し、かつ、上記のアークによる収縮力FXはアークの形
状を維持するように作用するので、アークは同図(A)
に示すような対称形状に戻り、その形状を保持する性質
(アークの硬直性)を有する。また、上記の磁界による
力FY及びアークによる収縮力FXの力の大きさは、磁
界を形成する電流値の大きさに比例する。
【0023】次に、従来技術の多電極パルスアーク溶接
方法における2つのアーク相互間に作用する力について
図5〜図8を参照して説明する。図5は、前述した図2
と同様に、従来技術の多電極パルスアーク溶接方法の電
流・電圧波形図であり、同図(A)は第1の溶接電流A
Iwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接
電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2
の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)
は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。前述
したように、第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流B
Iwとはアトランダムに通電しているために、それぞれ
のピーク電流とベース電流との通電の組み合わせは下記
の4通りとなる。
【0024】すなわち、同図の時刻t1においては、第
1の溶接電流AIwとして第1のピーク電流AIpが通
電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2のピーク
電流BIpが通電している。この状態でのアークの相互
干渉については図6で後述する。次に、時刻t2におい
ては、第1の溶接電流AIwとして第1のベース電流A
Ibが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2
のベース電流BIbが通電している。この状態でのアー
クの相互干渉については図7で後述する。
【0025】さらに、時刻t3においては、第1の溶接
電流AIwとして第1のピーク電流AIpが通電し、か
つ、第2の溶接電流BIwとして第2のベース電流BI
bが通電している。また、時刻t4においては、上記と
は逆に、第1の溶接電流AIwとして第1のベース電流
AIbが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第
2のピーク電流BIpが通電している。これらの状態で
のアークの相互干渉については図8で後述する。
【0026】図6は、2つのアークに通電する第1及び
第2の溶接電流が共にピーク電流である前述した図5の
時刻t1におけるアーク発生部の模式図である。以下、
同図を参照して、この状態でのアークの相互干渉につい
て説明する。同図に示すように、第1の溶接ワイヤA1
には第1のピーク電流AIpが通電して、前述した図4
(A)のときと同様に第1のアークA3が対称形状で発
生している。他方、第2の溶接ワイヤB1には第2のピ
ーク電流BIpが通電して、上記と同様に第2のアーク
B3が対称形状で発生している。
【0027】この状態では、前述した図4(A)のとき
と同様に、第1のアークA3には、第1の溶接ワイヤA
1を通電する第1のピーク電流AIpによる磁界による
力は作用せず、第1のアークA3を通電する第1のピー
ク電流AIpによるアークによる収縮力AFX1のみが
作用する。また、第1のアークA3の周囲には第2の溶
接ワイヤB1を通電する第2のピーク電流BIpによっ
て磁界が形成されており、この磁界に対しては第1のア
ークA3は対称形状ではないために、第1のアークA3
には、上記のアークによる収縮力AFX1に加えて磁界
による力AFZ1が作用する。通常、2つのアークを通
電する電流値が略等しいときは、アーク形状を維持する
力であるアークによる収縮力AFX1が、アーク形状を
変形させる力である磁界による力AFZ1よりも大きい
ので、第1のアークA3の形状は変化しない。同様に、
第2のアークB3の形状も変化しない。
【0028】上述したように時刻t1の状態では、自己
のアークによる収縮力(AFX1及びBFX1)が他方
のアークからの干渉である磁界による力(AFZ1及び
BFZ1)よりも大きいので、アークの形状は変化しな
い。すなわち、2つのアークに略等しい値の電流が通電
しているときは、アークの相互干渉によるアーク発生状
態への影響はほとんどない。
【0029】図7は、2つのアークに通電する第1及び
第2の溶接電流が共にベース電流である前述した図5の
時刻t2におけるアーク発生部の模式図である。同図に
示す状態は、上述した図6において2つのアークを通電
する電流がピーク電流からベース電流に代わっただけで
あり、その動作は同様である。すなわち、自己のアーク
による収縮力(AFX2及びBFX2)が他方のアーク
からの干渉である磁界による力(AFZ2及びBFZ
2)よりも大きいので、アークの形状は変化しない。し
たがって、図6のときと同様に、2つのアークに略等し
い値の電流が通電しているときは、アークの相互干渉に
よるアーク発生状態への影響はほとんどない。
【0030】図8は、第1のアークA3に第1のピーク
電流AIpが通電し、第2のアークB3に第2のベース
電流BIbが通電する前述した図5の時刻t3における
アーク発生部の模式図であり、同図(A)は時刻t3の
時点でのアーク発生状態を示しており、同図(B)は時
刻t3直後のアーク発生状態を示している。以下、同図
を参照して、この状態でのアークの相互干渉について説
明する。
【0031】 同図(A)に示すように、第1の溶接
ワイヤA1には第1のピーク電流AIpが通電し、前述
した図4(A)のときと同様に、第1のアークA3が対
称形状で発生している。他方、第2の溶接ワイヤB1に
は第2のベース電流BIbが通電し、前述した図4
(A)のときと同様に、第2のアークB3が対称形状で
発生している。
【0032】この状態では、第1のアークA3には、第
1のアークA3を通電する第1のピーク電流AIpによ
るアークによる収縮力AFX1が作用する。さらに、第
1のアークA3には、他方の第2の溶接ワイヤB1を通
電する第2のベース電流BIbによる磁界による力AF
Z2が作用する。ここで、第1のピーク電流AIpの値
は第2のベース電流BIbの値に比べてかなり大きな値
であるので、上記のアークによる収縮力AFX1が上記
の磁界による力AFZ2よりも大きくなり、その結果、
第1のアークA3の形状は変化しない。
【0033】他方、第2のアークB3には、第2のアー
クB3を通電する第2のベース電流BIbによるアーク
による収縮力BFX2が作用する。さらに、第2のアー
クB3には、他方の第1の溶接ワイヤA1を通電する第
1のピーク電流AIpによる磁界による力BFZ1が作
用する。ここで、第2のベース電流BIbの値は第1の
ピーク電流AIpの値に比べてかなり小さい値であるの
で、上記のアークによる収縮力BFX2は上記の磁界に
よる力BFZ1よりも小さくなり、その結果、第2のア
ークB3の形状は次の項で説明する同図(B)のよう
に変形する。
【0034】 同図(B)に示すように、時刻t3直
後においても、第1のアークA3の形状は上記項と同
様に変化しない。他方、第2のアークB3は上記項の
動作によって第1のアークA3方向に吸引されるため
に、同図(B)に示すようにアークの陰極点がb点から
c点に移動して、アークの形状も非対称形状に大きく変
形する。この変形した第2のアークB3の状態は、図4
(B)で前述した状態と同じであるので、第2のアーク
B3には、上記項で説明した力に加えて第2の溶接ワ
イヤB1を通電する第2のベース電流BIbによる磁界
による力BFY2が新たに作用する。その結果、BFZ
1=BFX2+BFY2となり第2のアークB3に作用
する力の均衡が保たれることになるので、第2のアーク
B3は同図(B)に示す形状を保持することになる。
【0035】また、第2のアークB3が同図(B)に示
すように変形してアーク長がa−bからa−cに変化す
るために、アーク長は変形前よりも長くなる。アーク長
が長くなると、アーク長に比例する溶接電圧値が大きく
なるので、図5(D)の時刻t3に示すように、第2の
溶接電圧BVwの値は、通常の値よりも持ち上がって大
きな値となる。
【0036】上述したように、自己のアークを通電する
電流値よりも、他方のアークを通電する電流値が大きい
ときは、自己のアークは他方のアークの干渉によって吸
引されて、その形状が変形すると共にアーク長も長くな
る。特に、パルスアーク溶接では、一般的にピーク電流
値は400〜600[A]程度に設定し、ベース電流値
は30〜60[A]程度に設定するために、その電流差
はかなり大きくなり、その結果、上記のアークの相互干
渉は強くなり、アークの変形も大きくなる。
【0037】 上記項及び項の場合とは逆に、第
1のアークA3に第1のベース電流AIbが通電し、第
2のアークB3に第2のピーク電流BIpが通電する前
述した図5の時刻t4においては、第2のアークB3の
形状は変化しないが、他方、第1のアークA3は第2の
アークB3からの干渉によって吸引されて、そのアーク
の形状は変形してアーク長は長くなる。そのために、図
5(B)の時刻t4に示すように、第2の溶接電圧BV
wは持ち上がり通常値よりも大きな値となる。
【0038】上述したように、2つのアークに略等しい
値の電流が通電しているときは、アークの相互干渉の影
響は少ないが、通電する電流値の差が大きいときには、
アークの相互干渉によって通電する電流値の小さな方の
アークは大きく影響されて、その形状が大きく変形す
る。この後者の状態が発生すると、以下に説明するよう
に、アーク発生状態が不安定になり、溶接品質が不良と
なる。すなわち、前述した図5の時刻t3では第2のア
ークB3の形状が、また時刻t4では第1のアークA3
の形状が、上述したアークの相互干渉によって変形して
アーク長も長くなるために、溶滴移行が1パルス1溶滴
移行の安定状態から外れて不安定になり、その結果、ス
パッタの大量発生、ビード外観の悪化、溶け込み不良等
が生じて溶接品質が著しく悪化する。さらに、図5の時
刻t5に示すように、上述したアークの相互干渉によっ
てアーク長が長くなり過ぎるとアークを維持することが
できなくなり、ついにはアーク切れが発生する。溶接中
にアーク切れが頻繁に発生すると、溶け込み不良、ビー
ド外観の悪化等の溶接欠陥が生じる。
【0039】そこで、本発明は、多電極パルスアーク溶
接方法において、2つのアークの相互干渉によって生じ
るアーク発生状態の不安定を抑制することができ、常に
良好な溶接品質を得ることができる多電極パルスアーク
溶接制御方法及び溶接装置を提供する。
【0040】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1の発明
は、図9に示すように、1つの溶接トーチ4から互いに
電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶
接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給
し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1の
ピーク電流AIpの通電と第1のベース電流AIbの通
電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の
溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BI
pの通電と第2のベース電流BIbの通電とを1周期と
する通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上
記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのア
ークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスア
ーク溶接制御方法において、上記第1の溶接ワイヤA1
に上記第1のベース電流AIbが通電する期間中に、上
記第2の溶接ワイヤB1に上記第2のピーク電流BIp
が通電するときは上記第1の溶接ワイヤA1に予め設定
した通常値よりも大きな値の第1のベース電流AIb2を
通電し、上記第2の溶接ワイヤB1に上記第2のピーク
電流BIpが通電しないときは上記第1の溶接ワイヤA
1に予め設定した通常値の第1のベース電流AIb1を通
電し、かつ、上記第2の溶接ワイヤB1に上記第2のベ
ース電流BIbが通電する期間中に、上記第1の溶接ワ
イヤA1に上記第1のピーク電流AIpが通電するとき
は上記第2の溶接ワイヤB1に予め設定した通常値より
も大きな値の第2のベース電流BIb2を通電し、上記第
1の溶接ワイヤA1に上記第1のピーク電流AIpが通
電しないときは上記第2の溶接ワイヤB1に予め設定し
た通常値の第2のベース電流BIb1を通電する多電極パ
ルスアーク溶接制御方法である。
【0041】出願時の請求項2の発明は、図9に示すよ
うに、通常値よりも大きな値の第1のベース電流AIb2
の値が第2のピーク電流BIpの値に対応して定まり、
通常値よりも大きな値の第2のベース電流BIb2の値が
第1のピーク電流AIpの値に対応して定まる出願時の
請求項1の多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0042】出願時の請求項3の発明は、図10及び図
11に示すように、1つの溶接トーチ4から互いに電気
的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワ
イヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上
記第1の溶接ワイヤA1には第1のピーク電流AIpの
通電と第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする
通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には
第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電流BI
bの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の
溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接
物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させる溶
接であって、上記第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2と
の間の溶接電圧AVwを検出して第1の電圧検出信号A
Vdを出力する第1の電圧検出回路AVDと、第1の電
圧設定信号AVsを出力する第1の電圧設定回路AVS
と、上記第1の電圧検出信号AVd及び上記第1の電圧
設定信号AVsを入力としてそれらの信号間の誤差によ
る周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって第1の
パルス周期信号ATfを出力する第1の変調回路AMC
と、第1のピーク電流設定信号AIpを出力する第1の
ピーク電流設定回路AIPと、第1のベース電流設定信
号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIB
と、上記第1のパルス周期信号ATf及び上記第1のピ
ーク電流設定信号AIp及び上記第1のベース電流設定
信号AIbを入力として上記第1のパルス周期信号AT
fによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記
第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の
電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路
ASWとから成り、上記第1の電流制御設定信号AIsc
によって上記第1のピーク電流AIp及び上記第1のベ
ース電流AIbの通電を制御する第1の溶接電源装置A
PS並びに上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との
間の溶接電圧BVwを検出して第2の電圧検出信号BV
dを出力する第2の電圧検出回路BVDと、第2の電圧
設定信号BVsを出力する第2の電圧設定回路BVS
と、上記第2の電圧検出信号BVd及び上記第2の電圧
設定信号BVsを入力としてそれらの信号間の誤差によ
る周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって第2の
パルス周期信号BTfを出力する第2の変調回路BMC
と、第2のピーク電流設定信号BIpを出力する第2の
ピーク電流設定回路BIPと、第2のベース電流設定信
号BIbを出力する第2のベース電流設定回路BIB
と、上記第2のパルス周期信号BTf及び上記第2のピ
ーク電流設定信号BIp及び上記第2のベース電流設定
信号BIbを入力として上記第2のパルス周期信号BT
fによって上記第2のピーク電流設定信号BIpと上記
第2のベース電流設定信号BIbとを切り換えて第2の
電流制御設定信号BIscとして出力する第2の切換回路
BSWとから成り、上記第2の電流制御設定信号BIsc
によって上記第2のピーク電流BIp及び上記第2のベ
ース電流BIbの通電を制御する第2の溶接電源装置A
PSから構成される多電極パルスアーク溶接装置におい
て、上記第1のベース電流設定回路AIBが、上記第2
のパルス周期信号BTfを入力としてその入力信号が上
記第2のピーク電流設定信号BIpに切り換える信号で
あるときは予め設定した通常値よりも大きな値の第1の
ベース電流設定信号AIb2を出力し、その入力信号が上
記第2のベース電流設定信号BIbに切り換える信号で
あるときは予め設定した通常値の第1のベース電流設定
信号AIb1を出力する第1のベース電流設定回路AIB
であり、かつ、上記第2のベース電流設定回路BIB
が、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその
入力信号が上記第1のピーク電流設定信号AIpに切り
換える信号であるときは予め設定した通常値よりも大き
な値の第2のベース電流設定信号BIb2を出力し、その
入力信号が上記第1のベース電流設定信号AIbに切り
換える信号であるときは予め設定した通常値の第2のベ
ース電流設定信号BIb1を出力する第2のベース電流設
定回路BIBである多電極パルスアーク溶接装置であ
る。
【0043】出願時の請求項4の発明は、図12及び図
13に示すように、第1のベース電流設定回路AIB
が、第2のパルス周期信号BTf及び第2のピーク電流
設定信号BIpを入力として上記第2のパルス周期信号
BTfが第2のピーク電流設定信号BIpに切り換える
信号であるときは上記第2のピーク電流設定信号BIp
の値に対応して定まる通常値よりも大きな値の第1のベ
ース電流設定信号AIb2を出力し、上記第2のパルス周
期信号BTfが第2のベース電流設定信号BIbに切り
換える信号であるときは予め設定した通常値の第1のベ
ース電流設定信号AIb1を出力する第1のベース電流設
定回路AIBであり、かつ、第2のベース電流設定回路
BIBが、第1のパルス周期信号ATf及び第1のピー
ク電流設定信号AIpを入力として上記第1のパルス周
期信号ATfが第1のピーク電流設定信号AIpに切り
換える信号であるときは上記第1のピーク電流設定信号
AIpの値に対応して定まる通常値よりも大きな値の第
2のベース電流設定信号BIb2を出力し上記第1のパル
ス周期信号ATfが第1のベース電流設定信号AIbに
切り換える信号であるときは予め設定した通常値の第2
のベース電流設定信号BIb1を出力する第2のベース電
流設定回路BIBである出願時の請求項3の多電極パル
スアーク溶接装置である。
【0044】
【発明の実施の形態】[第1の実施の形態]図9は、本
発明の第1の実施の形態(以下、実施形態1という)の
多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形
図であり、同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変
化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの
時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流B
Iwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接
電圧BVwの時間変化を示している。同図において、前
述した図2と同様の時刻には同一符号を付しており、以
下、同図及び図2を参照して説明する。
【0045】 第1のアークを通電する第1の溶接電
流AIw 同図(A)に示すように、時刻t1〜t2期間(第1の
ピーク電流通電時間ATp期間)中は、第1のアークに
は前述した図2のときと同様に、第1のピーク電流AI
pが通電する。続いて、時刻t2〜t3期間中(第1の
パルス周期ATfが終了する時刻まで)は、第1のアー
クには第1のベース電流AIbが通電する。このベース
電流通電期間中であって、第2のアークに第2のピーク
電流BIpが通電する時刻t2〜t21期間中には、予
め設定した通常値よりも大きな値の第1のベース電流A
Ib2を通電し、第2のアークに第2のベース電流BIb
が通電する時刻t21〜t3期間中には、予め設定した
通常値の第1のベース電流AIb1を通電する。また、同
図(B)に示すように、第1の溶接電圧AVwは、上記
の第1の溶接電流AIwに対応した電圧が印加する。
【0046】上述した第1の溶接電流AIwの通電によ
って、第1のアークの発生状態は以下のようになる。す
なわち、時刻t1〜t2期間中は大きな値の第1のピー
ク電流AIpが通電してアークによる収縮力が大きいの
で、この期間中の第1のアークの発生状態は、第2のア
ークに通電する電流値によらず第2のアークからの干渉
の影響はなく、良好である。次に、時刻t21〜t3期
間中には小さな値の通常値の第1のベ−ス電流AIb1が
通電してアークによる収縮力jは小さいが、このときの
第2のアークを通電する通常値の第2のベース電流BI
b1の値も同程度であるために、図7で前述したときと同
様に、第1のアークの発生状態は、第2のアークからの
干渉の影響はなく、良好である。
【0047】一方、時刻t2〜t21期間中の第1のア
ークの発生状態は、図2で前述した従来技術では、前述
した図8(A)において第1のアークと第2のアークと
を入れ替えた状態と同様である。すなわち、第1のアー
クA3には、第2のピーク電流BIpの通電による磁界
による力AFZ1及び通常値の第1のベース電流AIb
の通電によるアークによる収縮力AFX2が作用してお
り、このときAFZ1>AFX2であるので、第1のア
ークA3は変形することになる。しかし、本発明では、
第1のアークA3には通常値よりも大きな値の第1のベ
ース電流AIb2が通電するので、上記のアークによる収
縮力AFX2は上記のときよりも大きくなる。その結
果、AFZ1<AFX2となるので、第1のアークA3
は変形しないで安定したアーク発生状態を維持する。上
記の通常値よりも大きな値の第1のベース電流AIb2の
値は、AFZ1<AFX2となるように設定する。その
設定値の一例としては、80〜150[A]程度とな
る。
【0048】 第2のアークを通電する第2の溶接電
流BIw 図9(C)に示すように、時刻t4〜t5期間(第2の
ピーク電流通電時間BTp期間)中は、第2のアークに
は、前述した図2のときと同様に第2のピーク電流BI
pが通電する。続いて、時刻t5〜t6期間中(第2の
パルス周期BTfが終了する時刻まで)は、第2のアー
クには、第2のベース電流BIbが通電する。このベー
ス電流通電期間中であって、第1のアークに第1のピー
ク電流AIpが通電する時刻t5〜t51及び時刻t5
2〜t6の期間中には、予め設定した通常値よりも大き
な値の第2のベース電流BIb2を通電し、第1のアーク
に第1のベース電流AIbが通電する時刻t511〜t
52期間中には予め設定した通常値の第2のベース電流
BIb1を通電する。また、図9(D)に示すように、第
2の溶接電圧BVwは、上記の第2の溶接電流BIwに
対応した電圧が印加する。
【0049】上述した第2の溶接電流BIwの通電によ
って、第2のアークの発生状態は以下のようになる。す
なわち、時刻t4〜t5期間中には、大きな値の第2の
ピーク電流BIpが通電してアークによる収縮力が大き
いので、第2のアークの発生状態は、第1のアークから
の干渉の影響はなく、良好である。次に、時刻t51〜
t52期間中には、小さな値の通常値の第2のベ−ス電
流BIb1が通電してアークによる収縮力は小さいが、こ
のときの第1のアークを通電する通常値の第1のベース
電流AIb1の値も同程度であるために、図7で前述した
ときと同様に、第2のアークの発生状態は、第1のアー
クからの干渉の影響はなく、良好である。
【0050】一方、時刻t5〜t51及び時刻t52〜
t6期間中の第2のアークの発生状態は、図2で前述し
た従来技術では、前述した図8(A)の状態と同様であ
る。すなわち、第2のアークB3には、第1のピーク電
流AIpの通電による磁界による力BFZ1及び通常値
の第2のベース電流BIbの通電によるアークによる収
縮力BFX2が作用しており、このときBFZ1>BF
X2であるので、第2のアークB3は変形することにな
る。しかし、本発明では、第2のアークB3には通常値
よりも大きな値の第2のベース電流BIb2が通電するの
で、上記のアークによる収縮力BFX2は上記のときよ
りも大きくなる。その結果、BFZ1<BFX2となる
ので、第2のアークB3は変形しないで安定したアーク
発生状態を維持する。上記の通常値よりも大きな値の第
2のベース電流BIb2の値は、BFZ1<BFX2とな
るように設定する。その設定値の一例としては、80〜
150[A]程度となる。
【0051】上述したように、実施形態1の発明では、
2つのアークの発生状態は、アークによる相互干渉の影
響を受けないので、常に良好である。そのために、図9
においては、前述した図2(B)のイ部及び図2(D)
のロ部のようなアーク長の変動に伴うベース電圧の持ち
上がり現象は発生しない。また、本発明ではアークの相
互干渉を抑制した上で、2つのアークに対して独立した
電圧フィードバック制御によるアーク長制御を行うこと
ができるので、2つのアークそれぞれに対して溶接電流
設定値及び溶接電圧設定値を独立して設定することがで
き、本溶接方法の適応範囲が広くなる。
【0052】図10は、上述した実施形態1の多電極パ
ルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブ
ロック図である。同図において、図3で前述した従来溶
接装置と同一の回路ブロックには同一の符号を付してお
り、説明は省略する。以下、点線で示す図3とは異なる
回路ブロックである第1の溶接電源装置APSの第1の
ベース電流設定回路AIB及び第2の溶接電源装置BP
Sの第2のベース電流設定回路BIBについて説明す
る。
【0053】第1のベース電流設定回路AIBは、第2
の溶接電源装置BPSの第2の変調回路BMCの出力信
号である第2のパルス周期信号BTfを入力として、そ
の入力信号BTfが第2のピーク電流設定信号BIpに
切り換える信号(Highレベル)であるときは、予め
設定した通常値よりも大きな値の第1のベース電流設定
信号AIb2を第1のベース電流設定信号AIbとして出
力し、その入力信号BTfが第2のベース電流設定信号
BIbに切り換える信号(Lowレベル)であるとき
は、予め設定した通常値の第1のベース電流設定信号A
Ib1を第1のベース電流設定信号AIbとして出力す
る。
【0054】第2のベース電流設定回路BIBは、第1
の溶接電源装置APSの第1の変調回路AMCの出力信
号である第1のパルス周期信号ATfを入力として、そ
の入力信号ATfが第1のピーク電流設定信号AIpに
切り換える信号(Highレベル)であるときは、予め
設定した通常値よりも大きな値の第2のベース電流設定
信号BIb2を第2のベース電流設定信号BIbとして出
力し、その入力信号ATfが第1のベース電流設定信号
AIbに切り換える信号(Lowレベル)であるとき
は、予め設定した通常値の第2のベース電流設定信号B
Ib1を第2のベース電流設定信号BIbとして出力す
る。
【0055】図11は、上述した第1のベース電流設定
回路AIBの詳細なブロック図である。以下、同図を参
照して説明する。通常値の第1のベース電流設定回路A
IB1は、通常値の第1のベース電流設定信号AIb1を
出力する。通常値よりも大きな値の第1のベース電流設
定回路AIB2は、通常値よりも大きな値の第1のベー
ス電流設定信号AIb2を出力する。ベース電流切換回路
SWIBは、第2のパルス周期信号BTfがHighレ
ベルのときはa側に切り換えられて、上記の通常値より
も大きな値の第1のベース電流設定信号AIb2を第1の
ベース電流設定信号AIbとして出力し、第2のパルス
周期信号BTfがLowレベルのときはb側に切り換え
られて、上記の通常値の第1のベース電流設定信号AI
b1を第1のベース電流設定信号AIbとして出力する。
また、第2のベース電流設定回路BIBについても、上
記と同様の構成となる。
【0056】[第2の実施の形態]第2の実施の形態
(以下、実施形態2という)は、前述した図9と同様の
第1の溶接電流AIw及び第2の溶接電流BIwを通電
し、かつ、通常値よりも大きな値の第1のベース電流A
Ib2の値を第2のピーク電流BIpの値に対応させて設
定し、通常値よりも大きな値の第2のベース電流BIb2
の値を第1のピーク電流AIpの値に対応させて設定す
る多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0057】上記の対応関係の一例を下式に示す。 AIb2=f(BIp)=(7/20)×BIp−60 (1)式 上式において、BIp=400〜600[A]のとき、
対応するAIb2=80〜150[A]となる。他方、B
Ib2=f(AIp)の対応関係も、上式と同様に又は異
なった関数として定めることができる。なお、
【0058】上述したように、通常値よりも大きな値の
ベース電流の値を、他方のアークを通電するピーク電流
の値に対応させて適正値に設定することができる。その
ために、上記の設定値が大きすぎて、その電流の通電に
よって溶滴が大きく成長してアーク発生状態が不安定に
なることはなく、また逆に、上記の設定値が小さすぎ
て、アークの相互干渉を抑制する効果が不十分になりア
ーク発生状態が不安定になることもなく、常に良好なア
ーク発生状態を維持することができる。
【0059】図12は、上述した実施形態2の多電極パ
ルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブ
ロック図である。同図において、前述した図3及び図1
0と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、
説明は省略する。以下、点線で示す異なる回路ブロック
である第1の溶接電源装置APSの第1のベース電流設
定回路AIB及び第2の溶接電源装置BPSの第2のベ
ース電流設定回路BIBについて説明する。
【0060】第1のベース電流設定回路AIBは、第2
の溶接電源装置BPSの第2のパルス周期信号BTf及
び第2のピーク電流設定信号BIpを入力として、上記
第2のパルス周期信号BTfが第2のピーク電流設定信
号BIpに切り換える信号(Highレベル)であると
きは、上記第2のピーク電流設定信号の値に対応して定
まる通常値よりも大きな値の第1のベース電流設定信号
AIb2を第1のベース電流設定信号AIbとして出力
し、上記第2のパルス周期信号Tfが第2のベース電流
設定信号BIbに切り換える信号(Lowレベル)であ
るときは、予め設定した通常値の第1のベース電流設定
信号AIb1を第1のベース電流設定信号AIbとして出
力する。
【0061】第2のベース電流設定回路BIBは、第1
の溶接電源装置APSの第1のパルス周期信号ATf及
び第1のピーク電流設定信号AIpを入力として、上記
第1のパルス周期信号ATfが第1のピーク電流設定信
号AIpに切り換える信号(Highレベル)であると
きは、上記第1のピーク電流設定信号AIpの値に対応
して定まる通常値よりも大きな値の第2のベース電流設
定信号BIb2を第2のベース電流設定信号BIbとして
出力し、上記第1のパルス周期信号ATfが第1のベー
ス電流設定信号AIbに切り換える信号(Lowレベ
ル)であるときは、予め設定した通常値の第2のベース
電流設定信号BIb1を第2のベース電流設定信号BIb
として出力する。
【0062】図13は、上述した実施形態2における第
1のベース電流設定回路AIBの詳細なブロック図であ
る。同図において、前述した図11と同一の回路ブロッ
クには同一符号を付しており、説明は省略する。以下、
点線で示す異なる回路ブロックである通常値よりも大き
な値の第1のベース電流設定回路AIB2について、同
図を参照して説明する。
【0063】通常値よりも大きな値の第1のベース電流
設定回路AIB2は、第2のピーク電流設定信号BIp
を入力として、AIb2=f(BIp)の対応関係によっ
て定まる通常値よりも大きな値の第1のベース電流設定
信号AIb2を出力する。この対応関係を上記(1)式で
例示した。また、通常値よりも大きな値の第2のベース
電流設定回路BIB2も、上記と同様の構成となる。
【0064】図14は、本発明の効果を示すためのアー
ク切れ回数の比較図である。図3に示す従来溶接装置及
び図13に示す本発明(実施形態2)の溶接装置を使用
して、溶接中に発生したアーク切れ回数の比較を行っ
た。このときの主な溶接条件は以下のとおりである。す
なわち、第1の溶接電流AIwの平均値は400[A]
であり、第1の溶接電圧AVwの平均値は32[V]で
あり、また、第2の溶接電流BIwの平均値は200
[A]であり、第2の溶接電圧BVwの平均値は28
[V]である。試験方法は、溶接速度5[m/分]で溶
接長が50[cm]の溶接を10回繰り返して行い、その
測定結果から1回の溶接当りのアーク切れ回数を計算し
て比較した。
【0065】試験結果は、同図に示すように、従来技術
では1回の溶接当り18回もアーク切れが発生して、ス
パッタも多く発生し不良なビード外観となった。これに
対して、本発明では、アーク切れは1回も発生しないで
良好なビード外観となった。
【0066】図15は、本発明の効果を示すためのスパ
ッタ発生量の比較図である。図3に示す従来溶接装置及
び図13に示す本発明(実施形態2)の溶接装置を使用
して、溶接中に発生したスパッタ発生量の比較を行っ
た。このときの主な溶接条件は前述した図14のときと
同様である。試験方法は、溶接速度5[m/分]の溶接
を行い、その溶接中に発生した1分間当りのスパッタ発
生量を測定して比較した。試験結果は、同図に示すよう
に、従来技術では22[g/分]と大量のスパッタが発
生して不良なビード外観となった。これに対して、本発
明では9[g/分]と従来技術のときの約40[%]に
減少して、良好なビード外観となった。
【0067】
【発明の効果】本発明は、多電極パルスアーク溶接方法
において、2つのアークの相互干渉によって発生するア
ーク形状の変形、アーク長の変動等のアーク発生状態の
不安定を抑制することができるので、常に良好な溶接品
質を得ることができる。さらに、請求項2及び4の発明
では、アークの相互干渉を抑制するための通常値よりも
大きな値のベース電流の値を、他方のアークを通電する
ピーク電流の値に対応させて定めるので、その値が大き
すぎて溶滴が大きく成長してアーク発生状態が不安定に
なることはなく、また逆に、その値が小さすぎてアーク
の相互干渉の抑制効果が不十分になりアーク発生状態が
不安定になることもなく、常に良好なアーク発生状態を
維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の多電極パルスアーク溶接装置の構成
図である。
【図2】従来技術の電流・電圧波形図である。
【図3】従来技術の溶接電源装置のブロック図である。
【図4】単独で発生しているアークに作用する力を説明
するためのアーク発生部の模式図である。
【図5】従来技術の電流・電圧波形図である。
【図6】従来技術の2つのアーク共にピーク電流が通電
するときに、アークに作用する力を説明するためのアー
ク発生部の模式図である。
【図7】従来技術の2つのアーク共にベース電流が通電
するときに、アークに作用する力を説明するためのアー
ク発生部の模式図である。
【図8】従来技術の一方のアークにピーク電流、他方の
アークにベース電流が通電するときに、アークに作用す
る力を説明するためのアーク発生部の模式図である。
【図9】本発明の電流・電圧波形図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態のブロック図であ
る。
【図11】第1の実施の形態におけるベース電流設定回
路の詳細なブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態のブロック図であ
る。
【図13】第2の実施の形態におけるベース電流設定回
路の詳細なブロック図である。
【図14】本発明の効果を示すためのアーク切れ回数の
比較図である。
【図15】本発明の効果を示すためのスパッタ発生量の
比較図である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ 2 被溶接物 21 溶融池 3 アーク 4 溶接トーチ A1 第1の溶接ワイヤ A3 第1のアーク A41 第1のコンタクトチップ AFZ1〜2、BFZ1〜2 磁界による力 AIB 第1のベース電流設定回路 AIb 第1のベース電流(設定信号) AIB1 通常値の第1のベース電流設定回路 AIb1 通常値の第1のベース電流(設定信号) AIB2 通常値よりも大きな値の第1のベース電流設
定回路 AIb2 通常値よりも大きな値の第1のベース電流(設
定信号) AIP 第1のピーク電流設定回路 AIp 第1のピーク電流(設定信号) AIsc 第1の電流制御設定信号 AIw 第1の溶接電流 AMC 第1の変調回路 APS 第1の溶接電源装置 ASW 第1の切換回路 ATf 第1のパルス周期(信号) ATp 第1のピーク電流通電時間 AVb 第1のベース電圧 AVD 第1の電圧検出回路 AVd 第1の電圧検出信号 AVp 第1のピーク電圧 AVS 第1の電圧設定回路 AVs 第1の電圧設定信号 AVw 第1の溶接電圧 AWF 第1のワイヤ送給装置 AWS 第1の送給速度設定回路 AWs 第1の送給速度設定信号 B1 第2の溶接ワイヤ B3 第2のアーク B41 第2のコンタクトチップ BIB 第2のベース電流設定回路 BIb 第2のベース電流(設定信号) BIB1 通常値の第2のベース電流設定回路 BIb1 通常値の第2のベース電流(設定信号) BIB2 通常値よりも大きな値の第2のベース電流設
定回路 BIb2 通常値よりも大きな値の第2のベース電流(設
定信号) BIP 第2のピーク電流設定回路 BIp 第2のピーク電流(設定信号) BIsc 第2の電流制御設定信号 BIw 第2の溶接電流 BMC 第2の変調回路 BPS 第2の溶接電源装置 BSW 第2の切換回路 BTf 第2のパルス周期(信号) BTp 第2のピーク電流通電時間 BVb 第2のベース電圧 BVD 第2の電圧検出回路 BVd 第2の電圧検出信号 BVp 第2のピーク電圧 BVS 第2の電圧設定回路 BVs 第2の電圧設定信号 BVw 第2の溶接電圧 BWF 第2のワイヤ送給装置 BWS 第2の送給速度設定回路 BWs 第2の送給速度設定信号 EI 電流誤差増幅回路 Ei 電流誤差増幅信号 EV 電圧誤差増幅回路 Ev 電圧誤差増幅信号 FX、AFX1〜2、BFX1〜2 アークによる収縮
力 FY、BFY2 磁界による力 ID 電流検出回路 Id 電流検出信号 INV 出力制御回路 Iw 溶接電流 MM モノマルチバイブレータ SWIB ベース電流切換回路 TP ピーク電流通電時間設定回路 Tp ピーク電流通電時間設定信号 VF V/F変換回路 Vf V/F変換信号 WC 送給制御回路 Wc 送給制御信号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶
    縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれ
    ぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワ
    イヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と第1の
    ベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共
    に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピー
    ク電流の通電と第2のベース電流の通電とを1周期とす
    る通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2
    の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生さ
    せて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法におい
    て、前記第1の溶接ワイヤに前記第1のベース電流が通
    電する期間中に、前記第2の溶接ワイヤに前記第2のピ
    ーク電流が通電するときは前記第1の溶接ワイヤに予め
    設定した通常値よりも大きな値の第1のベース電流を通
    電し、前記第2の溶接ワイヤに前記第2のピーク電流が
    通電しないときは前記第1の溶接ワイヤに予め設定した
    通常値の第1のベース電流を通電し、かつ、前記第2の
    溶接ワイヤに前記第2のベース電流が通電する期間中
    に、前記第1の溶接ワイヤに前記第1のピーク電流が通
    電するときは前記第2の溶接ワイヤに予め設定した通常
    値よりも大きな値の第2のベース電流を通電し、前記第
    1の溶接ワイヤに前記第1のピーク電流が通電しないと
    きは前記第2の溶接ワイヤに予め設定した通常値の第2
    のベース電流を通電する多電極パルスアーク溶接制御方
    法。
  2. 【請求項2】 通常値よりも大きな値の第1のベース電
    流の値が第2のピーク電流の値に対応して定まり、通常
    値よりも大きな値の第2のベース電流の値が第1のピー
    ク電流の値に対応して定まる請求項1の多電極パルスア
    ーク溶接制御方法。
  3. 【請求項3】 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶
    縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれ
    ぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワ
    イヤには第1のピーク電流の通電と第1のベース電流の
    通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2
    の溶接ワイヤには第2のピーク電流の通電と第2のベー
    ス電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第
    1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物と
    の間に2つのアークを発生させる溶接であって、前記第
    1の溶接ワイヤと被溶接物との間の溶接電圧を検出して
    第1の電圧検出信号を出力する第1の電圧検出回路と、
    第1の電圧設定信号を出力する第1の電圧設定回路と、
    前記第1の電圧検出信号及び前記第1の電圧設定信号を
    入力としてそれらの信号間の誤差による周波数変調制御
    又はパルス幅変調制御によって第1のパルス周期信号を
    出力する第1の変調回路と、第1のピーク電流設定信号
    を出力する第1のピーク電流設定回路と、第1のベース
    電流設定信号を出力する第1のベース電流設定回路と、
    前記第1のパルス周期信号及び前記第1のピーク電流設
    定信号及び前記第1のベース電流設定信号を入力として
    前記第1のパルス周期信号によって前記第1のピーク電
    流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを切り換
    えて第1の電流制御設定信号として出力する第1の切換
    回路とから成り、前記第1の電流制御設定信号によって
    前記第1のピーク電流及び前記第1のベース電流の通電
    を制御する第1の溶接電源装置並びに前記第2の溶接ワ
    イヤと被溶接物との間の溶接電圧を検出して第2の電圧
    検出信号を出力する第2の電圧検出回路と、第2の電圧
    設定信号を出力する第2の電圧設定回路と、前記第2の
    電圧検出信号及び前記第2の電圧設定信号を入力として
    それらの信号間の誤差による周波数変調制御又はパルス
    幅変調制御によって第2のパルス周期信号を出力する第
    2の変調回路と、第2のピーク電流設定信号を出力する
    第2のピーク電流設定回路と、第2のベース電流設定信
    号を出力する第2のベース電流設定回路と、前記第2の
    パルス周期信号及び前記第2のピーク電流設定信号及び
    前記第2のベース電流設定信号を入力として前記第2の
    パルス周期信号によって前記第2のピーク電流設定信号
    と前記第2のベース電流設定信号とを切り換えて第2の
    電流制御設定信号として出力する第2の切換回路とから
    成り、前記第2の電流制御設定信号によって前記第2の
    ピーク電流及び前記第2のベース電流の通電を制御する
    第2の溶接電源装置から構成される多電極パルスアーク
    溶接装置において、前記第1のベース電流設定回路が、
    前記第2のパルス周期信号を入力としてその入力信号が
    前記第2のピーク電流設定信号に切り換える信号である
    ときは予め設定した通常値よりも大きな値の第1のベー
    ス電流設定信号を出力し、その入力信号が前記第2のベ
    ース電流設定信号に切り換える信号であるときは予め設
    定した通常値の第1のベース電流設定信号を出力する第
    1のベース電流設定回路であり、かつ、前記第2のベー
    ス電流設定回路が、前記第1のパルス周期信号を入力と
    してその入力信号が前記第1のピーク電流設定信号に切
    り換える信号であるときは予め設定した通常値よりも大
    きな値の第2のベース電流設定信号を出力し、その入力
    信号が前記第1のベース電流設定信号に切り換える信号
    であるときは予め設定した通常値の第2のベース電流設
    定信号を出力する第2のベース電流設定回路である多電
    極パルスアーク溶接装置。
  4. 【請求項4】 第1のベース電流設定回路が、第2のパ
    ルス周期信号及び第2のピーク電流設定信号を入力とし
    て前記第2のパルス周期信号が第2のピーク電流設定信
    号に切り換える信号であるときは前記第2のピーク電流
    設定信号の値に対応して定まる通常値よりも大きな値の
    第1のベース電流設定信号を出力し、前記第2のパルス
    周期信号が第2のベース電流設定信号に切り換える信号
    であるときは予め設定した通常値の第1のベース電流設
    定信号を出力する第1のベース電流設定回路であり、か
    つ、第2のベース電流設定回路が、第1のパルス周期信
    号及び第1のピーク電流設定信号を入力として前記第1
    のパルス周期信号が第1のピーク電流設定信号に切り換
    える信号であるときは前記第1のピーク電流設定信号の
    値に対応して定まる通常値よりも大きな値の第2のベー
    ス電流設定信号を出力し前記第1のパルス周期信号が第
    1のベース電流設定信号に切り換える信号であるときは
    予め設定した通常値の第2のベース電流設定信号を出力
    する第2のベース電流設定回路である請求項3の多電極
    パルスアーク溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108746944A (zh) * 2018-07-18 2018-11-06 华南理工大学 高低频脉冲相位可调的大功率双丝双脉冲mig焊电源系统及其控制方法
CN109848519A (zh) * 2018-11-30 2019-06-07 北京新立机械有限责任公司 一种机器人双丝四脉冲新型焊接方法

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CN109848519B (zh) * 2018-11-30 2021-09-07 北京新立机械有限责任公司 一种机器人双丝四脉冲新型焊接方法

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