JP4053753B2 - 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 - Google Patents

多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された2本の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接方法において、2つのアークの相互間に作用する力によるアークが相互干渉するためにアーク発生状態が不安定になることを抑制する多電極パルスアーク溶接制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種溶接構造物の建造において、薄板高速溶接又は厚板高溶着溶接を行うことによって作業能率の向上を図っているが、さらに向上させるために、図2に示すように、1本のトーチから2本のワイヤを送給する2電極1トーチ方式の消耗電極アーク溶接方法が採用されている。図2は、一般的な1本のトーチから2本のワイヤを送給する2電極1トーチ方式の消耗電極アーク溶接方法を示す図である。
同図において、第1のチップA41及び第2のチップB41と被溶接物2との間に図3で説明する第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSからそれぞれ電力を供給し、第1のチップA41及び第2のチップB41からそれぞれ送給される第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1のそれぞれの先端A1a及びB1aから第1のアークA3及び第2のアークB3がそれぞれ発生している。ノズル10は第1のチップA41及び第2のチップB41を囲繞して、ノズル10の内部にシールドガス11を供給する。
【0003】
図2において、第1のワイヤA1から発生している第1のアークA3によって形成される溶融池21の溶融金属が表面張力によって後方へ流れていこうとするが、第2のワイヤB1から発生している第2のアークB3のアーク力がこの後方へ流れようとする溶融金属を第1のワイヤA1から発生する第1のアークA3の直下へ押し戻して、各溶接位置における溶融金属量を均一にしている。
この溶接方法は、2本の溶接ワイヤが同時に溶融するので高溶着量を得ることができるので、薄板の溶接では4[m/分]を超える高速溶接を行うことができ、また、厚板の多層溶接では層数を減らして溶接を行うことができ、溶接作業の高効率化を図ることができる。かつ、本溶接方法はパルスアーク溶接方法であるので、スパッタの発生が少なく、美しいビード外観を得ることができる。この溶接方法は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の種々の金属に対して使用することができる。
【0004】
図3は前述した2電極1トーチ方式の溶接ロボットの一般的な構成を示す図である。同図において、第1のチップA41及び第2のチップB41を有する溶接トーチ4がマニピュレータ12の先端に取付けられ、第1のチップA41に供給する第1の溶接電源装置APS及び第2のチップB41に供給する第2の溶接電源装置BPSが第1のチップA41及び第2のチップB41と被溶接物2との間にそれぞれ電力を供給する。第1のワイヤ送給装置A8及び第2のワイヤ送給装置B8が第1のチップA41及び第2のチップB41にそれぞれワイヤを送給する。ロボット制御装置13がマニピュレータ12及び第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSを制御する。
【0005】
[第1の従来技術]
この溶接方法として、例えば、Welding Journalの1999年5月号の31〜34頁に記載されている「Twin-Wire GMAW:Process Characteristics and Applications」には、2本のワイヤを用いたGMAW(ガスメタルアーク溶接)において、図4に示すパルス電流を2本のワイヤにそれぞれ通電し、この2本のワイヤに通電するそれぞれのパルス電流のピーク期間が重ならないように制御することが提案されている。同図(A)は、第1のワイヤに通電する第1の溶接電流AIwの時間変化を示す図であり、同図(B)は、第2のワイヤに通電する第2の溶接電流BIwの時間変化を示す図である。AIp及びBIpは第1のピーク電流及び第2のピーク電流であり、AIb及びBIbは第1のベース電流及び第2のベース電流であり、ATp及びBTpは第1のピーク電流通電時間及び第2のピーク電流通電時間であり、ATb及びBTbは第1のベース電流通電時間及び第2のベース電流通電時間である。この場合、第1のワイヤに通電される第1の溶接電流AIwが第1のベース電流通電時間ATbでは、第1のワイヤA1のアークの電磁力が第2のワイヤB1のアークに強い影響を与えないために、溶融池は安定し、美麗なビードが得られることが示されている。
【0006】
しかし、溶接速度を向上させるためには、ワイヤの送給速度と平均溶接電流とを増加させて、ワイヤの溶融量を増加させなければならない。そこで、平均溶接電流を大きくするためにパルス周波数を高くして第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとのパルス波形が、図5に示すように密になる場合、次の理由によって大量のスパッタが発生する。図5は、パルス周波数を高くして第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとのパルス波形が密になる場合を示す図である。
【0007】
同図(A)に示す第1の溶接電流AIwの第1のピーク電流AIpを通電した直後に同図(B)に示す第2の溶接電流BIwの第2のピーク電流BIpを通電した場合、第1のワイヤA1の溶滴離脱は、時刻t2の第1のピーク電流AIpから立ち下がった第1のベース電流AIbを通電し始める時期に発生する。この時期は同図(B)に示すように、第2のピーク電流BIpが通電し始める時期である。第2のピーク電流BIpの値が第1のベース電流AIbの値よりもかなり大きな値である。したがって、図6に示すように、第1のアークA3に作用する電磁力Fによって第1のアークA3が第2のアークB3に引き寄せられた状態になる。図6は、図5に示す時刻t2における溶滴1の離脱の状態を説明する図である。同図において、第1のワイヤA1から溶滴1が離脱するとき、溶滴1は第2のワイヤB1の方向に飛び出すために溶融池に落下しないでスパッタに成る。
【0008】
また例えば、ワイヤの直径が1.2[mm]の軟鋼溶接ワイヤの場合、1パルス1溶滴移行を行う適切なパルス条件は、一般的にピーク電流が450[A]乃至500[A]、ピーク電流通電時間が1.5[ms]乃至2.0[ms]であって、ピーク電流が450[A]よりも小さいときは、溶融エネルギ及びピンチ力が不足するために、数個のパルスで1個の溶滴がワイヤ先端から離脱するnパルス1溶滴移行又は短絡移行になる。また、ピーク電流が500[A]よりも大きいときは、溶融エネルギ及びピンチ力が過大となるために、1個のパルスによって数個の溶滴が溶接ワイヤ先端から離脱する1パルスn溶滴移行となる。これらの場合、スパッタの発生が増加し、アーク状態も不安定になる。
【0009】
また、本出願の発明者は、溶接学会全国大会講演概要第66集(2000)の240頁に記載しているように、後行ワイヤの平均通電電流値は、第1のワイヤA1の平均通電電流値の約40[%]が適正値であることを提案した。以下、その理由を説明する。
図7は、2電極アーク溶接制御方法における第2のワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示す図である。同図は、被溶接物が軟鋼で、直径が1.2[mm]の軟鋼ワイヤを使用してアルゴンが80[%]と炭酸ガスが20[%]とのシールドガスで、第1のワイヤA1の平均通電電流値を300[A]、350[A]及び400[A]に変化させて溶接したときの第2のワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示している。
上記の3種の平均通電電流値のうち、例えば、第1のワイヤA1の平均通電電流値が400[A]であって、第2のワイヤB1の平均通電電流値が100[A]のときは、第2のワイヤB1のアークB3によって形成される溶接金属の量が不足するために、溶接ビードが全体に亘り細くなり、アンダカットが発生し、又は溶融池後方に流れようとする湯流れを第2のワイヤB1のアークB3のアーク力が抑えきれないためにハンピングビードが発生してしまう。従って、最大溶接速度は2.3[m/min]に制限される。
【0010】
また、第2のワイヤB1の平均通電電流値を200[A]に増加させると、第2のワイヤB1の平均通電電流値が過大になるために、第2のワイヤB1のアークB3による溶融池の掘り下げが大きくなり、溶融金属の流れが乱れて両アーク間に大きな湯溜まりが形成され、この不安定な湯溜まりが溶接ビード形状を悪化させる。従って、最大溶接速度は3.3[m/min]に制限される。
さらに、第2のワイヤB1の平均通電電流値を250[A]まで増加させると、第2のワイヤB1のアーク力がさらに過大になり、アンダカット又はハンピングビードが発生する傾向が増加する。従って、正常な溶接ビードを形成させることができる最大溶接速度は2.2[m/min]に低下してしまう。
【0011】
これに対して、第2のワイヤB1の平均通電電流値が約150[A]のときは、第2のワイヤB1のアーク力が第1のワイヤA1のアーク力によって後方に流れる溶融金属の流れを緩和し、溶接ビードの表面高さを均一にするように作用するので、4.0[m/min]の高速溶接の場合においても、溶接ビード形状が良好である。
【0012】
また同図において、第1のワイヤA1の平均通電電流値が350[A]のときは、第2のワイヤB1の平均通電電流値が約130[A]のときに、最大溶接速度は4.2[m/min]となり溶接ビード形状も良好である。また、第1のワイヤA1の平均通電電流値が300[A]のときは、第2のワイヤB1の平均通電電流値が約120[A]のときに、最大溶接速度は3.2[m/min]となり溶接ビード形状が良好である。
このように、本出願人が提案した技術では、第2のワイヤB1の平均通電電流値と第1のワイヤA1の平均通電電流値との比がそれぞれ、150/400=0.38、130/350=0.37、120/300=0.40となるので、第2のワイヤB1の平均通電電流値が、第1のワイヤA1の平均通電電流値の約40[%]のときに、正常な溶接ビードを最も高速度で形成することが可能であった。
【0013】
そこで、平均溶接電流を大きくするためにパルス周波数を高くした図5の波形において、1パルス1溶滴移行を行う適切なパルス条件を満たすと同時に第2の溶接電流BIwの平均値を第1の溶接電流AIwの平均値の約40[%]に設定しようとした場合、次の問題が有る。
例えば、ワイヤの直径が1.2[mm]の軟鋼溶接ワイヤの場合、第1のピーク電流AIpが500[A]、第1のピーク電流通電時間ATpが2[ms]、第2のピーク電流BIpが450[A]、第2のピーク電流通電時間BTpが1.5[ms]程度にしかならないために、第1のワイヤA1と第2のワイヤB1との平均電流値が略同じ値になり、高速溶接に適した第2の溶接電流BIwの平均値を第1の溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができない。
【0014】
また、第1のワイヤA1と第2のワイヤB1との平均電流値が略同じ値になるために、1ワイヤ当りの平均電流値を最大で(ピーク電流+ベース電流)/2までしか大きくできないために、高速溶接に必要な大電流化を図ることが困難である。
【0015】
上記の問題点を解決するために、本出願人と同一出願人によって平成12年7月28日に特許出願(特願2000−228330)(以下、第2の従来技術という)がされている。
また、高速溶接に適した第2の溶接電流BIwの平均値を第1の溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすために、第2のワイヤB1に通電する電流のパルス周波数を第1のワイヤA1に通電する電流のパルス周波数の1/n(nは2以上の自然数)にする方法も提案した。
以下、第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置について説明する。
【0016】
[第2の従来技術]
図8は、第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置の回路構成を示すブロック図である。同図に示すように、この溶接装置は、第1の溶接電源装置APS、第1のワイヤ送給装置AWF、第1の送給速度設定回路AWS、第2の溶接電源装置BPS、第2のワイヤ送給装置BWF、第2の送給速度設定回路BWS及び溶接トーチ4から構成されている。以下、同図を参照してこれらの構成装置について説明する。
【0017】
溶接トーチ4には、相互に電気的に絶縁された第1のチップA41及び第2のチップB41が装着されており、これらのチップA41及びB41を通して第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1が送給及び給電されて、被溶接物2との間に第1のアークA3及び第2のアークB3が発生する。
【0018】
第1の溶接電源装置APSは、一点鎖線で囲んだ範囲内の各回路ブロックから構成されており、以下、これらの回路ブロックについて説明する。
制御出力回路INVは、商用電源を入力として出力制御し、アーク負荷に適した出力を供給する。一般的に、この制御出力回路INVとしては、インバータ制御出力回路、チョッパ制御出力回路、サイリスタ位相制御出力回路等が慣用されている。例えば、上記のインバータ制御出力回路は以下の回路から形成されている。すなわち、商用電源を整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク負荷に適した電圧に降圧する高周波変圧器と、降圧された交流を再び整流する2次側整流回路と、整流されたリップルのある直流を平滑する直流リアクトルとから形成されており、後述する電流誤差増幅信号Eiに従って上記のインバータ回路を形成する複数組のパワートランジスタが制御されて出力制御が行われる。
【0019】
電圧検出回路VDは、第1の溶接電圧AVwを検出して平均化した電圧検出信号Vdを出力する。電圧設定回路VSは、電源装置の外部に設けられており、電圧設定信号Vsを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、フィードバック信号である上記の電圧検出信号Vdと、目標値である上記の電圧設定信号Vsとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。V/F変換回路VFは、上記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてV/F変換を行い、V/F変換信号Vfを出力する。ピーク電流通電時間設定回路TPは、予め設定したピーク電流通電時間設定信号Tpを出力する。モノマルチバイブレータMMは、上記のV/F変換信号VfがLowレベルからHighレベルに変化することをトリガとして、上記のピーク電流通電時間設定信号Tpによって設定した時間の間、Highレベルとなる前述した第1のパルス周期信号ATfを出力する。
【0020】
変調回路MCは、上記の電圧誤差増幅回路EV、V/F変換回路VF、ピーク電流通電時間設定回路TP及びモノマルチバイブレータMMから形成される。この変調回路MCは、上記の電圧検出信号Vdと上記の電圧設定信号Vsとを入力として、それらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって上記の第1のパルス周期信号ATfを出力する。
【0021】
第1のピーク電流設定回路AIPは、予め設定した第1のピーク電流設定信号AIpを出力する。第1のベース電流設定回路AIBは、予め設定した第1のベース電流設定信号AIbを出力する。第1の切換回路ASWは、上記の第1のパルス周期信号ATfがHighレベルのときはa側に接続されて上記の第1のピーク電流設定信号AIpを第1の電流制御設定信号AIscとして出力し、上記の第1のパルス周期信号ATfがLowレベルのときはb側に接続されて上記の第1のベース電流設定信号AIbを第1の電流制御設定信号AIscとして出力する。電流検出回路IDは、第1のパルス周期信号ATfがHighレベル及びLowレベルのときの第1の溶接電流AIwを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である上記の電流検出信号Idと、目標値である上記の第1の電流制御設定信号AIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って上記の制御出力回路INVによって上記の第1の溶接電流の制御が行われて、第1の溶接電圧AVwが印加する。
【0022】
第1の送給速度設定回路AWSは、電源装置の外部に設けられており、第1の送給速度設定信号AWsを出力する。送給制御回路WCは、上記の第1の送給速度設定信号AWsを入力として、送給制御信号Wcを出力する。第1のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信号Wcに従って第1のワイヤA1の送給を制御する。
【0023】
次に、第2の溶接電源装置BPSを構成する各回路ブロックについて説明する。
倍率設定回路NSは、1以上の整数である倍率設定信号nを出力する。周期変換回路TCは、第1の溶接電源装置APSから出力された上記の第1のパルス周期信号ATf及び上記の倍率設定信号nを入力として、第1のパルス周期信号ATfと同期し、かつ、その信号のn倍の周期を有する信号に変換して、第2のパルス周期信号BTfを出力する。この倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号nが第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbを第1のワイヤA1に通電するパルス周波数Faの1/nにする。即ち、BTf=n・ATf、Fb=1/n・Faの関係になる。
【0024】
第2の切換回路BSWは、上記の第2のパルス周期信号BTfがHighレベルのときはa側に接続されて第2のピーク電流設定信号BIpを第2の電流制御設定信号BIscとして出力し、上記の第2のパルス周期信号BTfがLowレベルのときはb側に接続されて上記の第2のベース電流設定信号BIbを第2の電流制御設定信号BIscとして出力する。電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である電流検出信号Idと、目標値である上記の第2の電流制御設定信号BIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って制御出力回路INVによって上記の第2の溶接電流BIwの制御が行われて、第2の溶接電圧BVwが印加する。
【0025】
その他の符号の説明については、上記の第1の溶接電圧AVw及び第1の溶接電流AIwを第2の溶接電圧BVw及び第2の溶接電流BIwに、第1のピーク電流設定回路AIP及び第1のピーク電流設定信号AIpを第2のピーク電流設定回路BIP及び第2のピーク電流設定信号BIpに、第1のベース電流設定回路AIB及び第1のベース電流設定信号AIbを第2のベース電流設定回路BIB及び第2のベース電流設定信号BIbに、第1の切換回路ASW及び第1の電流制御設定信号AIscを第2の切換回路BSW及び第2の電流制御設定信号BIscに、第1の送給速度設定回路AWS及び第1の送給速度設定信号AWsを第2の送給速度設定回路BWS及び第2の送給速度設定信号BWsに、第1のワイヤ送給装置AWFを第2のワイヤ送給装置BWFにそれぞれ読み替えると同様になるので、説明を省略する。
結果的に、上記の第2の溶接電源装置BPSによって第2の溶接電圧BVwを印加すると共に、上記の第2のワイヤ送給装置BWFによって第2のワイヤB1が送給されて、被溶接物2との間に第2のアークB3が発生して第2の溶接電流BIwが通電される。
【0026】
また、図9は図8に示した第2の従来技術において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=1の場合、即ち、第1のワイヤA1に通電するパルス電流のパルス周波数Faと第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbとが同じときの溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。同図において、第2のワイヤに通電する平均溶接電流BIaを第1のワイヤに通電する平均溶接電流AIaの予め定めた比率、例えば約40[%]にしようとすれば、第1のワイヤA1に通電するパルス周波数Faと第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbとが同じであるために、第2のピーク電流BIpを第1のピーク電流AIpの約40[%]にしなければならない。
【0027】
図10は倍率設定信号n=2の場合、即ち、第1のワイヤA1に通電するパルス電流のパルス周波数Faが第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbの2倍のときの溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。
同図において、倍率設定信号n=2とすると、第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbが第1のワイヤA1に通電するパルス周波数Faの1/2になるので、第2のピーク電流BIpが第1のピーク電流AIpと同一であっても、後行ワイヤに通電する平均溶接電流BIaを先行ワイヤに通電する平均溶接電流AIaの約40[%]にすることができる。
【0028】
図11に示すように、時刻t2乃至t4の期間は第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1に第1のピーク電流AIp及び第2のピーク電流BIpをそれぞれ通電する。この第1のピーク電流AIp及び第2のピーク電流BIpを通電する期間は、電流値が大きいためにアークの硬直性の性質によって図12に示すように、第1のアークA3及び第2のアークB3は第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1の送給方向に発生する。したがって、一方のアークが他方のアークの方向に引っ張られることがなく、安定したアーク長制御を行うことができる。図11は、従来技術2の第1の溶接電流AIw及び第2の溶接電流BIwの詳細を示す図であり、図12は図11の時刻t2乃至t4の期間の第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1の第1のアークA3及び第2のアークB3の状態を示す図である。さらに、第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1からの溶滴離脱が図11に示す時刻t5付近で発生し、アークの磁気的干渉の最も少ない第1のベース電流AIb及び第2のベース電流BIbの通電期間に近い時期に溶滴離脱するので、図13に示すように、溶滴1が溶融池内に落下して、スパッタの発生を著しく減少させることができる。図13は図11の時刻t5における第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1の溶滴1の移行状態を示す図である。
【0029】
また、第2の従来技術の第1のワイヤA1と第2のワイヤB1とに第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとを同時に通電する溶接方法において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号nが第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbを第1のワイヤA1に通電するパルス周波数Faの1/nにすることによって、高速溶接に適した第2の溶接電流BIwの平均値BIaを第1の溶接電流AIwの平均値AIaの約40[%]にするという条件を満たしている。即ち、Fb=1/n・Fa、BTf=n・ATf、BIa=40/100・AIaの関係になっている。
【0030】
このように、第2の従来技術は、高速溶接に適した第2の溶接電流BIwの平均値BIaを第1の溶接電流AIwの平均値AIaの約40[%]にするという条件を満たしているが、後述する[発明が解決しようとする課題]に記載するようなアーク切れの問題点が残されている。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
図10の時刻t3乃至t4の期間のように、第1ワイヤA1の第1のピーク電流AIpが第2のワイヤB1の第2のベース電流BIbと重なるときは、図14に示すように、第2のアークB3に作用する電磁力Fによって第2のアークB3が第1のアークA3に引き寄せられた状態になる。図14は、図10の時刻t3乃至t4の期間におけるアークA3及びアークB3の状態を示す図である。このように、第2のアークB3が第1のアークA3に引き寄せられた場合、図10に示すように、第2のベース電圧BVbが上昇し、第2の溶接電源BPSの無負荷電圧を超えてアーク切れが発生しやすくなる。その結果、第2のワイヤB1が被溶接物2に突っ込むことがあり、溶接ビード9が不整になる。
【0032】
【課題を解決するための手段】
出願時の請求項1に記載の発明は、図15に示すように、第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1のピーク電流の通電期間を一致させ、第2のワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数Fbを第1のワイヤA1に通電するパルス周波数Faの1/n(図15ではn=2として図示)にした場合(即ち、Fb=1/2×Fa及びBTf=2×ATf)であり、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1のワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2のワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1のワイヤA1及び上記第2のワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2のワイヤB1に、 1 回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は上記第2のピーク電流BIpを通電し、上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電流BIbを通電し、
続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間及び上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電流BIbを通電し、
上記第2回目の第1のピーク電流(以下、第1のワイヤ第2ピーク電流 AIp2 という)を上記第1回目の第1のピーク電流(以下、第1のワイヤ第1ピーク電流 AIp1 という)よりも小さな値に設定して上記第1回目及び第2回目の通電を1組として繰り返して通電し、
第2のワイヤB1を通電する第2の溶接電流の平均値BIaを第1のワイヤA1を通電する第1の溶接電流の平均値AIaよりも小さくする多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0033】
出願時の請求項2に記載の発明は、
出願時の請求項1に記載の第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が第1のワイヤA1が1パルス1溶滴移行する値である多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0034】
出願時の請求項3に記載の発明は、図16に示す実施例であって、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1のワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2のワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1のワイヤA1及び上記第2のワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3をそれぞれ発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、
上記第1のワイヤA1と被溶接物2との間の第1の溶接電圧AVwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、
電圧設定信号Vsを出力する電圧設定回路VSと、
上記電圧検出信号Vd及び上記電圧設定信号Vsを入力としてそれらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって第1のパルス周期信号ATfを出力する変調回路MCと、
第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1を出力する第1のワイヤ第1ピーク電流設定回路AIP1と、
第1のワイヤ第1ピーク電流よりも小さい第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2を出力する第1のワイヤ第2ピーク電流設定回路AIP2と、
第1のベース電流設定信号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIBと、
第2の溶接電源装置BPSから出力される第2のパルス周期信号BTfと上記第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1と上記第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2とを入力として上記第2のパルス周期信号BTfがピーク電流信号のときは上記第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1を第1のピーク電流設定信号AIpとして出力し上記第2のパルス周期信号BTfがベース電流信号のときは上記第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2を第1のピーク電流設定信号AIpとして出力する第1のパルスピーク切換回路ASWPと、
第1のパルス周期信号ATfと上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを入力として上記第1のパルス周期信号ATfによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路ASWとから成り、
上記第1の電流制御設定信号AIscによって第1の溶接電流AIwを制御する第1の溶接電源装置APS並びに
2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路NSと、
上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその信号と同期しかつその信号の上記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して上記第2のパルス周期信号BTfを出力する周期変換回路TCと、
第2のピーク電流設定信号BIpを出力する第2のピーク電流設定回路BIPと、
第2のベース電流設定信号BIbを出力する第2のベース電流設定回路BIBと、
上記第2のパルス周期信号BTfと上記第2のピーク電流設定信号BIpと上記第2のベース電流設定信号BIbとを入力として上記第2のパルス周期信号BTfによって上記第2のピーク電流設定信号BIpと上記第2のベース電流設定信号BIbとを切り換えて第2の電流制御設定信号BIscとして出力する第2の切換回路BSWとから成り、
上記第2の電流制御設定信号BIscによって第2の溶接電流BIwを制御する上記第2の溶接電源装置BPSから構成される多電極パルスアーク溶接装置である。
【0035】
出願時の請求項4に記載の発明は、
出願時の請求項3に記載の第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2が第1のワイヤA1が1パルス1溶滴移行を行う電流信号である多電極パルスアーク溶接装置である。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本出願に係る発明の特徴を最もよく表す図である。後述する図15と同じなので、説明は図15で後述する。
発明の実施の形態は、出願時の請求項1に記載の多電極パルスアーク溶接制御方法であって、1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1のワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2のワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1のワイヤA1及び上記第2のワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、上記第2のワイヤB1に、第1回目の第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1の通電期間は上記第2のピーク電流BIpを通電し、上記第1のベース電流AIbの通電期間は第2のベース電流BIbを通電し、続いて上記第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1よりも小さい第2回目の第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2の通電期間及び上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電流BIbを通電し、上記第1回目及び第2回目の通電を1組として繰り返して通電し、上記第2の溶接電流の平均値BIaを上記第1の溶接電流の平均値AIaの予め定めた比率とする多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0037】
【実施例】
図15は、本発明の倍率設定信号n=2の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。同図において、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2を第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1よりも小さく設定することによって、第2のアークB3に作用する電磁力Fを抑制し、その結果、第2のアークB3が第1のアークA3に引き寄せられる程度を抑制し、ベース期間中の第2の溶接電圧BVwが上昇して第2の溶接電源BPSの無負荷電圧を超えてアーク切れが発生することを防いでいる。
【0038】
図16は、本発明の多電極パルスアーク溶接装置の実施例のブロック図を示す図である。同図において、図8の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置と異なる箇所は、図8の第1のピーク電流設定回路AIPの代わりに、▲1▼第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1を出力する第1のワイヤ第1ピーク電流設定回路AIP1と、▲2▼第1のワイヤ第1ピーク電流よりも小さい第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2を出力する第1のワイヤ第2ピーク電流設定回路AIP2と、▲3▼第2の溶接電源装置から出力される第2のパルス周期信号BTfと第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1と第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2とを入力として、第2のパルス周期信号BTfがピーク電流信号のときは第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号AIp1を第1のピーク電流設定信号AIpとして出力し、第2のパルス周期信号BTfがベース電流信号のときは第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号AIp2を出力する第1のピーク電流設定信号AIpとして出力する第1のパルスピーク切換回路ASWPとを設けたことである。
【0039】
この結果、第2のワイヤB1に第2のピーク電流BIpが通電しているときには第1のワイヤA1に第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1が通電し、第2のワイヤB1に第2のベース電流BIbが通電しているときには第1のワイヤA1に第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が通電する。
【0040】
図17は、ワイヤに通電するピーク電流[A](縦軸)とピーク電流通電時間[ms](横軸)との関係における溶滴移行の分布を示す図である。同図の分布を算出した溶接条件は、YGW−15のワイヤの直径が1.2[mm]の軟鋼ワイヤで平均溶接電流が300[A]、ベース電流が50[A]、溶接電圧が30[V]である。その結果、ピーク電流が400[A]以上の領域ではパルス電流に同期して1個の溶滴をワイヤ先端から離脱させる1パルス1溶滴移行を行うことができる。また、ピーク電流が350[A]においては、数個のパルスで1個の溶滴をワイヤ先端から離脱させるnパルス1溶滴移行を行うことができ、ピーク電流が350[A]未満においては、パルス電流に同期して溶滴移行を行うことができない。したがって、ピーク電流の設定値は350[A]以上でなければならない。
【0041】
図18は、本発明の第1の溶接電流AIwの第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2[A](横軸)と第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1[A](縦軸)とを変化させたときの第2のワイヤB1のアーク切れが発生するかどうかを示す分布図である。
同図の分布を算出した溶接条件は、第1の溶接電流の平均値が360[A]、第2の溶接電流の平均値が180[A]、第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1と第2のピーク電流BIpとが同じ電流値で第1のベース電流AIbと第2のベース電流BIwとが50[A]である。
【0042】
図18において、第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1が500[A]のときは、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が350[A]乃至470[A]の間で第2のワイヤB1のアーク切れが発生しない。また、第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1が450[A]のときは、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が350[A]乃至420[A]の間で第2のワイヤB1のアーク切れが発生しない。また、第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1が400[A]のときは、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が350[A]乃至370[A]の間で第2のワイヤB1のアーク切れが発生しない。
したがって、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2を350[A]と第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1から30[A]小さい値との間に設定すると第2のワイヤB1のアーク切れが発生しない。とくに、アーク切れの時間が10[ms]以上になると多量のスパッタを発生させるが、このようなアーク切れは発生しない。
【0043】
図19は、従来技術と本発明による多電極パルスアーク溶接方法を実施した結果を示す図であり、同図(A)は従来技術であり、同図(B)は本発明である。
従来技術と本発明に共通の溶接条件は、シールドガスがアルゴンが80%でCO2が20%で、被溶接物2の上板が厚さ2.6[mm]の軟鋼材、下板が厚さ3.2[mm]の軟鋼材、第1の溶接電流AIwの平均値が360[A]、第1の溶接電圧の平均値が32[V]、第1のベース電流AVwが50[A]、第2の溶接電流の平均値が180[A]、第2の溶接電圧の平均値が28[V]、第2のピーク電流BIpが500[A]、第2のピーク電流通電時間BTpが2[ms]、第2のベース電流BVwが50[A]、溶接速度が300「cm/min」、第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1のワイヤ突出し長さが20[mm]である。
また、従来技術において、第1のピーク電流AIpが500[A]、第1のピーク電流通電時間ATpが2[ms]である。
また、本発明において、第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1が500[A]、第1のワイヤ第1ピーク電流通電時間ATp1が2[ms]、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2が400[A]、第1のワイヤ第2ピーク電流通電時間ATp2が2[ms]である。
【0044】
図19の(A)に示すように、従来技術においては、第2ワイヤB1のアーク切れが発生するために、溶接ビード9が不整になり、多量のスパッタ3が発生している。これに対して、同図(B)に示す本発明においては、第2ワイヤB1のアーク切れが発生しないので、美麗な溶接ビードが形成され、スパッタがほとんど発生していない。
【0045】
図20は、従来技術と本発明の第2のワイヤB1のアーク切れ回数を示す図である。溶接条件は、図19と同じであるので省略する。同図において、従来技術では、多量のスパッタを発生させる10[ms]以上のアーク切れが30[回/min]も発生し、全体のアーク切れ回数が40[回/min]である。これに対して、本発明では、多量のスパッタを発生させる10[ms]以上のアーク切れが零であり、微小なアーク切れが僅かに発生するだけである。
図21は、従来技術と本発明のスパッタの発生量を示す図である。溶接条件は、図19と同じであるので省略する。同図において、従来技術では、スパッタの発生量が7[g/min]であるのに対して、本発明では、アーク切れによる不安定現象が発生しないので、スパッタの発生量がかなり低減されている。
【0046】
【発明の効果】
本発明の多電極パルスアーク溶接制御方法は、第2の溶接電流BIwを第1の溶接電流AIwの予め定めた比率、例えば約40[%]にするような多電極パルスアーク溶接をする場合に、第1の溶接電流AIwがピーク電流であって第2の溶接電流BIwがベース電流のときに、第1の溶接電流AIwのピーク電流を1パルス1溶滴移行を行えるピーク電流の範囲で低い第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2に設定している。したがって、第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2の通電期間が第2の溶接電流BIwの第2のベース電流BIbの通電期間と重なるとき、第2のアークB3が第1のアークA3に引き寄せられることを抑制するので、ベース期間中の第2の溶接電圧BVwの上昇を抑制し、第2のワイヤのアーク切れを低減させることができ、スパッタの発生量を低減し、美麗な溶接ビード9を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願に係る発明の特徴を最もよく表す図である。
【図2】一般的な1本のトーチから2本のワイヤを送給する2電極1トーチ方式の消耗電極アーク溶接方法を示す図である。
【図3】2電極1トーチ方式の溶接ロボットの一般的な構成を示す図である。
【図4】第1のワイヤに通電する第1の溶接電流AIwの時間変化及び第2のワイヤに通電する第2の溶接電流BIwの時間変化を示す図である。
【図5】パルス周波数を高くして第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとのパルス波形が密になる場合を示す図である。
【図6】図5に示す時刻t2における溶滴1の離脱の状態を説明する図である。
【図7】2電極アーク溶接制御方法における第2のワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示す図である。
【図8】第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置の回路構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=1の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。
【図10】図8に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定信号n=2の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形をに示す図である。
【図11】図11は、従来技術2の第1の溶接電流AIw及び第2の溶接電流BIwの詳細を示す図である。
【図12】図11の時刻t2乃至t4の期間の第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1のアークA3及びアークB3の状態を示す図である。
【図13】図11の時刻t5における第1のワイヤA1及び第2のワイヤB1の溶滴1の移行状態を示す図である。
【図14】図10の時刻t3乃至t4の期間におけるアークA3及びアークB3の状態を示す図である。
【図15】本発明の倍率設定信号n=2の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。
【図16】本発明の多電極パルスアーク溶接装置の実施例のブロック図を示す図である。
【図17】ワイヤに通電するピーク電流[A](縦軸)とピーク電流通電時間[ms](横軸)との関係における溶滴移行の分布を示す図である。
【図18】本発明の第1の溶接電流AIwの第1のワイヤ第2ピーク電流AIp2[A](横軸)と第1のワイヤ第1ピーク電流AIp1[A](縦軸)とを変化させたときの第2のワイヤB1のアーク切れが発生するかどうかを示す分布図である。
【図19】従来技術と本発明による多電極パルスアーク溶接方法を実施した結果を示す図である。
【図20】従来技術と本発明の第2のワイヤB1のアーク切れ回数を示す図である。
【図21】従来技術と本発明のスパッタの発生量を示す図である。
【符号の説明】
1 溶滴
2 被溶接物
3 スパッタ
4 溶接トーチ
9 溶接ビード
10 ノズル
11 シールドガス
12 マニピュレータ
13 ロボット制御装置
21 溶融池
A1 第1のワイヤ
A3 第1のアーク
A41 第1のチップ
A8 第1のワイヤ送給装置
Ad 切換信号
AIB 第1のベース電流設定回路
AIb 第1のベース電流、第1のベース電流設定信号
AIP 第1のピーク電流設定回路
AIp 第1のピーク電流、第1のピーク電流設定信号
AIsc 第1の電流制御設定信号
AIw 第1の溶接電流
APS 第1の溶接電源装置
ASW 第1の切換回路
ASWP 第1のパルスピーク切換回路
ATf 第1のパルス周期、第1のパルス周期信号
ATb 第1のベース電流通電時間
ATp 第1のピーク電流通電時間
AVw 第1の溶接電圧
AWF 第1のワイヤ送給装置
AWS 第1の送給速度設定回路
AWs 第1の送給速度設定信号
B1 第2のワイヤ
B3 第2のアーク
B41 第2のチップ
B8 第2のワイヤ送給装置
BIB 第2のベース電流設定回路
BIb 第2のベース電流、第2のベース電流設定信号
BIP 第2のピーク電流設定回路
BIp 第2のピーク電流、第2のピーク電流設定信号
BIsc 第2の電流制御設定信号
BIw 第2の溶接電流
BPS 第2の溶接電源装置
BSW 第2の切換回路
BTf 第2のパルス周期、第2のパルス周期信号
BTp 第2のピーク電流通電時間
BVw 第2の溶接電圧
BWF 第2のワイヤ送給装置
BWS 第2の送給速度設定回路
BWs 第2の送給速度設定信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
F 電磁力
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
INV 制御出力回路
MC 変調回路
MM モノマルチバイブレータ
NS 倍率設定回路
n 倍率、倍率設定信号
TC 周期変換回路
TP ピーク電流通電時間設定回路
Tp ピーク電流通電時間設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF V/F変換回路
Vf V/F変換信号
VS 電圧設定回路
Vs 電圧設定信号
WC 送給制御回路
Wc 送給制御信号

Claims (4)

  1. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1のワイヤ及び第2のワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1のワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2のワイヤには予め設定した第2のピーク電流の通電と予め設定した第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
    前記第2のワイヤに、第1回目の前記第1ピーク電流の通電期間は前記第2のピーク電流を通電し、前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電流を通電し、続いて第2回目の前記第1のピーク電流の通電期間及び前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電流を通電し、前記第2回目の第1のピーク電流(以下、第1のワイヤ第2ピーク電流という)を前記第1回目の第1のピーク電流(以下、第1のワイヤ第1ピーク電流という)よりも小さな値に設定して前記第1回目及び第2回目の通電を1組として繰り返して通電し、
    第2のワイヤを通電する第2の溶接電流の平均値を第1のワイヤを通電する第1の溶接電流の平均値よりも小さくする多電極パルスアーク溶接制御方法。
  2. 請求項1に記載の第1のワイヤ第2ピーク電流が第1のワイヤが1パルス1溶滴移行する値である多電極パルスアーク溶接制御方法。
  3. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1のワイヤ及び第2のワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1のワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2のワイヤには予め設定した第2のピーク電流の通電と予め設定した第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤと被溶接物との間に2つのアークをそれぞれ発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、前記第1のワイヤと被溶接物との間の第1の溶接電圧を検出して電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、電圧設定信号を出力する電圧設定回路と、前記電圧検出信号及び前記電圧設定信号を入力としてそれらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって第1のパルス周期信号を出力する変調回路と、第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号を出力する第1のワイヤ第1ピーク電流設定回路と、第1のワイヤ第1ピーク電流よりも小さい第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号を出力する第1のワイヤ第2ピーク電流設定回路と、第1のベース電流設定信号を出力する第1のベース電流設定回路と、第2の溶接電源装置から出力される第2のパルス周期信号と前記第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号と前記第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号とを入力として前記第2のパルス周期信号がピーク電流信号のときは前記第1のワイヤ第1ピーク電流設定信号を第1のピーク電流設定信号として出力し前記第2のパルス周期信号がベース電流信号のときは前記第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号を第1のピーク電流設定信号として出力する第1のパルスピーク切換回路と、第1のパルス周期信号と前記第1のピーク電流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを入力として前記第1のパルス周期信号によって前記第1のピーク電流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを切り換えて第1の電流制御設定信号として出力する第1の切換回路とから成り、前記第1の電流制御設定信号によって第1の溶接電流を制御する第1の溶接電源装置並びに2以上の整数である倍率設定信号を出力する倍率設定回路と、前記第1のパルス周期信号を入力としてその信号と同期しかつその信号の前記倍率設定信号倍の周期を有する信号に変換して前記第2のパルス周期信号を出力する周期変換回路と、第2のピーク電流設定信号を出力する第2のピーク電流設定回路と、第2のベース電流設定信号を出力する第2のベース電流設定回路と、前記第2のパルス周期信号と前記第2のピーク電流設定信号と前記第2のベース電流設定信号とを入力として前記第2のパルス周期信号によって前記第2のピーク電流設定信号と前記第2のベース電流設定信号とを切り換えて第2の電流制御設定信号として出力する第2の切換回路とから成り、前記第2の電流制御設定信号によって第2の溶接電流を制御する前記第2の溶接電源装置から構成される多電極パルスアーク溶接装置。
  4. 請求項3に記載の第1のワイヤ第2ピーク電流設定信号が第1のワイヤが1パルス1溶滴移行を行う電流信号である多電極パルスアーク溶接装置。
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