JP2001286975A - 熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温制御方法 - Google Patents

熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温制御方法

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JP2001286975A
JP2001286975A JP2000102043A JP2000102043A JP2001286975A JP 2001286975 A JP2001286975 A JP 2001286975A JP 2000102043 A JP2000102043 A JP 2000102043A JP 2000102043 A JP2000102043 A JP 2000102043A JP 2001286975 A JP2001286975 A JP 2001286975A
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furnace
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Setsuo Kuromatsu
節夫 黒松
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KUROMATSU DENKI SEISAKUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】静止保温状態から定常加熱運転を再開する時
に、誘導加熱炉から送り出される加熱焼きムダ材の発生
を低減して、鍛造加工ラインの稼働率を高め、省エネル
ギー化に優れた熱間乃至温間鍛造装置用誘導加熱装置の
保温制御方法を提供することである。 【解決手段】連続的に搬送される複数の鋼材Xを電磁誘
導加熱によって順次加熱する誘導加熱炉11を備える誘
導加熱装置10において、誘導加熱炉11内で鋼材Xが
停止状態にあるときに、誘導加熱炉11内の鋼材の温度
状態が、誘導加熱炉11の定常加熱運転時の加熱昇温パ
ターンに相似する温度分布を保持するようにしたことを
特徴とする熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温制御
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間乃至温間鍛造
用誘導加熱装置における保温制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車、建設機械、電機製品、農
業機械等の各種鋼材部品を、鍛造加工によって製造する
際には、予め、鋼材であるビレット材を誘導加熱炉で加
熱した後に、鍛造する工程による方法が一般的である。
誘導加熱炉では、加熱されたビレット材を鍛造プレスす
る工程における試し打ちや機械のトラブル等によって、
加熱状態にあるビレット材の供給を中断しなければなら
ない場合がある。この場合には、誘導加熱炉による加熱
を完全に停止すれば、ビレット材に対する加熱を再開し
た場合に、誘導加熱炉を所定の加熱温度にまで高めるた
めに長時間を要してしまう。このため、従来、誘導加熱
炉による加熱を停止することなく、誘導加熱炉における
投入エネルギー密度を全体にわたって低減すると共に、
ビレット材の搬送速度を微速送りとする保温モードに切
り換えるようにされていた。保温モード状態の誘導加熱
炉では、ビレット材が減速状態で加熱処理されているた
めに、鍛造プレス加工が再開されるまでの間に、ビレッ
ト材が無駄に加熱されることなく、しかも、投入エネル
ギー密度も低減されているために、省エネルギー化を図
ることができる利点があるとされている。
【0003】誘導加熱装置における電源部としては、単
一台式と複数台式とがある。単一台式は、一台の電源に
より全加熱コイルに電力を配分するものである。この方
式では、加熱炉の昇温パターンを決定する一要素である
加熱コイルの印加電圧配分が固定されているので、誘導
加熱炉の低温域、高温域及び均温域の各温度域のコイル
への印加電圧は略同一電圧配分のまま変化する。複数台
式は、複数台の電源を備え、この電源数と同数のコイル
導体を有する。この方式では、各加熱コイル毎に印加電
圧配分が変化する。
【0004】いずれの方式による場合でも、定常時の加
熱昇温パターンについて相似し、局所的な加熱が生じな
いようにコイル印加電圧で誘導加熱炉を保温モード状態
とし、保温モード中の微速送りによる加熱焼きムダ材の
個数の低減を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、誘導加熱炉の
昇温パターンがほぼ同じであれば、ビレット材に対する
加熱処理量が少ない微速送り保温時には、コイル導体に
よる電力密度に対するビレット材表面からの放射伝熱損
失比が大きくなる。誘導加熱炉内での放射伝熱損失量の
大きさの配分は、ビレット材に対する加熱処理量と無関
係にほぼ一定だからである。
【0006】短い炉長の誘導加熱炉で短時間にかつ均熱
状態で加熱するためには、コイル導体の加熱能力を決定
する一要素である単位長さ当りのコイル巻き数比、即ち
磁界強度を選定することによって、加熱コイルに対する
電力密度の配分を工夫する必要がある。定常加熱運転時
には、誘導加熱炉の低温域については高電力密度(強磁
界)で急速に加熱し、誘導加熱炉の均温域については、
均熱度が加熱コイルの電力密度に支配されるため、低い
電力密度(弱磁界)となっている。従来の低速送り時に
は、均温域において放射伝熱損失量が加熱コイルの電力
を上回り、冷却現象が生じることが知られている。この
冷却現象は、定格最高処理量の約50%処理以下で発生
する。
【0007】また、微小送り保温時に、低温域では、定
常加熱時に比べて比透磁率が大きくなって、加熱効率が
高くなるから、定常加熱運転時より温度状態が高くな
る。また、誘導加熱炉の均温域では、反対に定常加熱運
転時より温度状態が低くなる。この温度状態で微速送り
が継続され均温域温度を定常加熱運転時に維持すると、
遂には、加熱コイルの高温域に存在するビレット材が過
熱状態となる。このような微速送り時の過熱現象は、前
記した従来の単一台式の誘導加熱炉では、避けられない
とされている。
【0008】従来の単一台式の誘導加熱炉での微速送り
時の保温は、定格処理量の約30%の送り量を標準とし
て、微速送り保温時の加熱焼きムダ材の低減を図ってい
る。しかし、この場合の保温状態は、安定した昇温パタ
ーンの限界を下回っているため、均熱域のビレット材は
冷却状態で温度が低下してしまう。
【0009】従来の単一台式の誘導加熱装置では、保温
中及び再加熱初期の過熱を防止するため、誘導加熱炉の
低温域の温度が定常加熱運転時の低温域での温度を超え
ない加熱電力密度となるように設定されている。このた
め、誘導加熱炉の均温域では、定常加熱運転時より小さ
い加熱電力密度によって保温加熱されることになる結
果、ビレット材表面からの放射伝熱損失による温度低下
はさらに大きくなってしまう。このような大きな放射伝
熱損失が生じたビレット材は、再加熱時において、急に
昇温パターンに復帰させることができないため、加熱焼
きムダ材となってしまう。加熱焼きムダ材は、誘導加熱
炉から放出されて大気中で冷却されるが、この冷却中に
発生する高温酸化スケールが、鋼材の品質管理上の問題
となっていた。
【0010】前記した複数台式の誘導加熱装置では、誘
導加熱炉の低温域と高温域及び均温域のコイル導体に対
する電力密度配分を区別して制御できるので、原理的に
は、微速送り保温時の加熱焼きムダ材の発生を低減する
ことが可能である。しかし、従来の誘導加熱装置におけ
る誘導加熱炉では、図14に示すように、コイル導管1
00の外周面に絶縁層102を介して耐火材103を設
けただけのものであり、耐火材103の内面での温度を
高く保つことができない。耐火材103の内面の表面温
度が低いと、放射伝熱損失量及びその変動幅が大きくな
るので、これを補正する各コイル導体101に対する電
力密度配分の設定が困難である。このため、現実的に
は、その機能は十分に活用できない状況にある。
【0011】加熱焼きムダ材が多量に発生する場合に
は、誘導加熱炉内から排出される時間が、後の鍛造工程
の待ち時間となり、これが鍛造加工ラインの稼働率が低
下さていると共に、エネルギー効率の低下の原因となっ
ている。
【0012】そこで、本発明は、静止保温状態から定常
加熱運転を再開する時に、誘導加熱炉から送り出される
加熱焼きムダ材の発生を低減して、鍛造加工ラインの稼
働率を高め、省エネルギー化に優れた熱間乃至温間鍛造
装置用誘導加熱装置の保温制御方法を提供することを目
的とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温
制御方法は、連続的に搬送される複数の鋼材を電磁誘導
加熱によって順次加熱する誘導加熱炉を備える誘導加熱
装置において、誘導加熱炉内で鋼材が停止状態にあると
きに、誘導加熱炉内の鋼材の温度状態が、誘導加熱炉の
定常加熱運転時の加熱昇温パターンに相似する温度分布
を保持するようにしたことを特徴とする。
【0014】上記した本発明の誘導加熱装置の保温制御
方法においては、加熱炉内で鋼材が停止状態にあるとき
に、誘導加熱炉内の均温域及び高温域の鋼材表面からの
放射伝熱損失量を極小値に低減できたので、誘導加熱炉
内の温度状態が、誘導加熱炉の定常加熱運転時の加熱昇
温パターンに相似する温度分布を保持するようになっ
た。このため、再加熱に際して、誘導加熱炉内で保温時
の鋼材を、迅速かつ効率的に鍛造加工に適した温度状態
にまで昇温させることができる。この際、誘導加熱炉内
の鋼材の温度状態が、誘導加熱炉の定常加熱運転時の加
熱昇温パターンに相似する温度分布に保持されているか
ら、特に、誘導加熱炉の高温域のビレット材が保温中に
過熱状態となってしまうことが防止される。
【0015】本発明の保温制御方法では、鋼材が静止す
る状態で、例えば、高電力パルスによる加熱により、誘
導加熱炉を間欠的かつ短時間に適温にまで加熱すること
によって、加熱炉内で鋼材が停止状態にあるときに、鋼
材の温度状態が、誘導加熱炉の定常加熱運転時の加熱昇
温パターンに相似する温度分布を保持させることを含
む。
【0016】鋼材が磁性鋼である場合に、静止保温時
に、鋼材の比透磁率の値が定常加熱運転時における鋼材
の比透磁率の値を超えない範囲、例えば、比透磁率6〜
8の範囲になるように、誘導加熱炉に間欠的かつ短時間
に高電力パルスを印加して、鋼材表面の放射伝熱損失に
よる温度低下分を補償することにより、静止保温時の誘
導加熱炉内の温度分布が通常の加熱昇温パターンから逸
脱してしまうのを防止することができる。
【0017】即ち、誘導加熱は、磁性鋼である鋼材に生
じた誘起磁束による起電力に基づくジュール熱による。
従って、誘導加熱においては、鋼材の比透磁率が大きい
方が加熱効率が高い。磁性鋼は、保温時の加熱温度が変
位点(キュリー点、以下同じ。)を超える場合には、比
透磁率が(μr=)1となり、非磁性鋼と同じく、加熱
エネルギーは磁界のみに支配され、加熱効率は低い。変
位点以下では、比透磁率が磁界強度に反比例する。
【0018】この場合、本発明の誘導加熱装置の保温制
御方法では、強い磁界強度で短時間に加熱するので、誘
導加熱炉の低温域では、定常加熱運転時の比透磁率より
小さい比透磁率で加熱される。また、誘導加熱炉の高温
域及び均温域では、定常加熱運転時の磁界強度より大き
い磁界強度で加熱される。従って、誘導加熱炉では、低
温域での加熱エネルギーの付加が抑えられるが、高温域
にはより多くの加熱エネルギーが付加されることにな
る。この結果、誘導加熱炉内の鋼材の温度状態が、誘導
加熱炉の運転中の加熱昇温パターンに相似する温度分布
が保持される。
【0019】本発明の誘導加熱装置の保温制御方法にお
ける1つの性能は、誘導加熱炉の加熱昇温パターンに相
似する温度分布を保持させるように、誘導加熱炉の炉心
管として設置されている耐火材の外周と、誘導加熱炉を
構成するコイル導体の内周部との間に断熱材層を設けて
なる誘導加熱炉を使用することによって達成することが
できる。
【0020】即ち、誘導加熱炉において、断熱材を耐火
材の外周と誘導加熱炉の構成するコイル導体の内周部と
の間に設けることによって、誘導加熱炉内で静止保温状
態にある鋼材からの放射伝熱損失を減少させることがで
きる。即ち、静止保温時の鋼材からの放射伝熱損失の量
は、鋼材の絶対温度の四乗とこれに対面する誘導加熱炉
内の耐火材の絶対温度の四乗との差と、耐火材の黒体係
数の値とによって決まる。従って、断熱材層を設けるこ
とにより耐火材の温度が高く維持されることにより、放
射伝熱損失の量は小さくなる。これにより、放射伝熱損
失の量と変動幅が共に小さくなるから、鋼材の種類によ
る仕様変更(形状、サイズ、熱放射率等)の場合におい
ても、定常加熱運転のための制御設定の変更を小さな範
囲に止めることが可能となる。
【0021】上記した本発明の保温制御方法に使用する
誘導加熱装置として、断熱材層は、断熱シート、断熱ブ
ランケット及び耐火シートを組み合わせることによるこ
とができる。断熱材層の厚さは、3〜5mmの範囲内で
あることが好ましい。この厚さが2mm以下では、必要
な放射伝熱損失の減少を図ることができず、その厚さが
5mmを超えると、加熱炉のコイル巻用のコイル導管の
内径が大きくなってしまい、却って、加熱効率が低下し
てしまうことががある。
【0022】耐火材の材質としては、キャスター、セラ
ミック等を使用することができるが、高温状態で熱放射
率の低い素材、あるいは熱放射率の低く抑えるように表
面が改質されたものであることが好ましい。耐火材とし
て薄肉高強度のセラミックが使用される場合、従来のコ
イル巻き用導管の内径を拡大することなく、断熱材層の
スペースを確保できるので、より好ましい。
【0023】本発明に係る誘導加熱装置の保温制御方法
においては、誘導加熱炉を構成するコイル函体の接合部
で、誘導加熱炉のコイル導管の占有長さとコイル函体の
外形長さを略等しくすることにより、誘導加熱炉のコイ
ルが作る電磁場の磁場強度が連続的に傾斜するようにし
た誘導加熱炉を使用する場合を含む。
【0024】上記した誘導加熱装置の保温制御方法によ
れば、静止保温時に、誘導加熱炉内でコイル函体の接合
部付近に静止状態となっている鋼材に保温ムラが生じる
ことが解消される。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図に基づい
て説明する。図1に、実施の形態に係る保温制御方法に
使用する単一台式の誘導加熱装置10を示した。誘導加
熱装置10は、誘導加熱炉11と、誘導加熱炉11の搬
送路20にまでビレット材Xを順次搬送するピンチロー
ラ21の組と検知ローラ22とによってなる搬送部と、
この搬送部にビレット材を供給する材料供給部30と、
装置全体に電力を供給する電源部40と、整合コンデン
サー部50と、制御装置60とからなる。誘導加熱装置
10の前方には、鍛造加工ラインを構成する鍛造機70
が配置されている。
【0026】誘導加熱炉11は、図2及び図3に示すよ
うに、隣接するコイル函体11a、11aが端面板11
b、11bを介して連結されて構成されている。コイル
函体11aの軸方向の長さrは500〜1000mm程
度であり、これに可及的に一致させるようにコイル導体
13の占有長さpを490〜990mmとした。誘導加
熱炉11のコイル導管12の端部間の隙間qは10mm
とした。
【0027】ビレット材Xの形状、加熱温度、加熱処理
量等の加熱仕様が決まると、制御部60で、定常加熱の
ための条件が設定される。ピンチローラ21により加熱
炉11の搬送路20にまで搬送されたビレット材Xは、
設定した加熱条件に基づいて順次所定の温度にまで加熱
され、加熱炉11の出口から送り出される。この送り出
されてきた加熱ビレット材Yは、鍛造機70に投入さ
れ、ここで所定の塑性加工が実行される。
【0028】制御部60では、何らかの理由で加熱停止
の要求があった場合の保温加熱条件についても設定され
ている。即ち、静止保温時の加熱条件は、制御部60の
PLCシークエンス制御回路で、搬送速度零を指令する
と共に、誘導加熱炉のコイルに、定常運転時の装置の定
格最高設定値の間の適切なパルス電圧を発振するように
指令する。また、ビレット材Xの放射加熱損失を補正す
るための投入電力の大きさは、加熱時間で決まるので、
そのパルス電圧の印加間隔と印加時間を自動演算するよ
うに設定されている。
【0029】誘導加熱炉11のコイル導管12は、図4
に示すように、コイル導体12の絶縁層14によってな
る内周部と耐火キャスター18の外周との間に、セラミ
ックファイバー材からなる1.5〜2mm厚さの断熱シ
ートを2〜3枚積層した断熱シート層16と、キャスタ
ー流し込み打設用枠としての1.5mm厚さの1層の耐
熱シート層17とからなる断熱層15が設けられてい
る。
【0030】誘導加熱炉11については、図5に示すコ
イル導管12Aのように構成することもできる。コイル
導管12Aは、コイル導体13の絶縁層14によってな
る内周部に設けたセラミックファイバー材の断熱ブラン
ケット層16aと断熱ブランケット層16aの内周部に
設けたセラミック耐火材18aとからなる構成である。
【0031】
【実施例】(実施例1)磁性鋼からなる42mmφ×6
6mmのビレット材Xに対する加熱処理を誘導加熱装置
10により、送り速度4.5cm/秒(処理量80%)
の定常加熱運転条件で実行した。この定常加熱運転時
に、誘導加熱炉11のコイル導管12の入口からの距離
に位置するビレット材ごとに、ビレット材X表面に付加
される電力密度分布Pa1 、誘導加熱炉のネット電力密
度分布Pn1 、ビレット材Xの表面からの放射伝熱損失
Pr1 (=Pa1 −Pn1 )、及びビレット材Xの温度
分布Th1 を求めて図6に示した。
【0032】同じビレット材Xに対する送り速度2.3
cm/秒(処理量40%)の定常加熱運転の誘導加熱炉
11のコイル導管12からの距離に位置するビレット材
ごとに、ビレット材X表面に付加される電力密度分布P
2 、誘導加熱炉のネット電力密度分布Pn2 、ビレッ
ト材X表面からの放射伝熱損失Pr2 (=Pa2 −Pn
2 )、及びビレット材Xの温度分布Th2 を求めて図7
に示した。
【0033】誘導加熱炉10によれば、処理量80%と
処理量40%の定常運転時の電力密度分布Paがほぼ相
似形となっていることを確認できる。
【0034】図8に、送り速度4.5cm/秒の定常加
熱運転状態を停止して、静止保温状態移行させ、高電力
パルスを印加した場合の電力密度分布Pa3 、誘導加熱
炉のネット電力密度分布Pn3 、ビレット材X表面から
の放射伝熱損失Pr3 及びビレット材Xの温度分布Th
3 を示した。
【0035】(比較例1)図15に示す従来の誘導加熱
装置を使用した。この誘導加熱装置の誘導加熱炉110
は、隣接するコイル函体110a、110aが端面板1
10b、110bを介して連結されて構成されている。
コイル函体110aの軸方向長さは、500mmであ
る。誘導加熱炉110のコイル導管100の端部間の隙
間q1 は45mmとなっている。コイル導体101の占
有長さは455mmである。
【0036】誘導加熱炉110により、ビレット材Xに
対する送り速度5.6cm/秒(処理量100%)で定
常加熱運転状態で実行した。この定常加熱運転時に、誘
導加熱炉110のコイル導管100の入口からの距離に
位置するビレット材Xごとに、ビレツト材X表面に付加
される電力密度分布Pa4 、誘導加熱炉のネット電力密
度分布Pn4 、ビレット材X表面からの放射伝熱損失P
4 (=Pa4 −Pn 4 )、及びビレット材Xの温度分
布Th4 を求めて図16に示した。
【0037】同じビレット材Xを誘導加熱炉内で定常運
転時の30%の速度で微速送りした。この微速送り時の
誘導加熱炉110のコイル導管100の入口からの距離
に位置するビレット材Xごとに、ビレット材X表面に付
加される電力密度分布Pa5、誘導加熱炉のネット電力
密度分布Pn5 、ビレット材X表面からの放射伝熱損失
Pr5 (=Pa5 −Pn5 )、及びビレット材Xの温度
Th5 を求めて図17に示した。
【0038】図6及び図7と、図16及び図17との対
比から、誘導加熱装置10によれば、処理量80%及び
処理量40%の定常運転時のいずれの場合にも、放射伝
熱損失Prは、従来の誘導加熱装置による場合と比較し
て、極端に小さくなっていることが分かる。また、誘導
加熱炉10による場合には、図7から、処理量40%時
のビレット材Xの加熱温度Th2 は、誘導加熱炉11の
均熱域においても右上がりの加熱状態が維持されること
が分かる。
【0039】図9は、本発明に係る加熱炉における、処
理量40%の定常運転処理時のネット電力密度D3 を1
とした場合のネット電力密度比を示したものである。ネ
ット電力密度D1 は静止保温時の場合、ネット電力密度
2 は処理量80%の定常加熱運転時の場合である。静
止保温時のネット電力密度D1 の特性によれば、高電力
パルスの加熱により、放射伝熱損失が大きい高温域及び
均温域で効果的に電力が供給されていることが分かる。
【0040】図10には、加熱初期から定常運転時に至
るまでのビレット材Xの温度がほぼ1250℃である誘
導加熱炉の区域における、セラミック耐火材18の表面
温度Tc1 と、耐火キャスター103の表面温度Tc2
の経時的変化をそれぞれ示した。この耐火材温度は、そ
の他の誘導加熱炉の区域についても同じ傾向を示してい
た。図10の結果から、セラミック耐火材18における
表面温度Tc1 が耐火キャスター103の表面温度Tc
2 より常に高い状態にあることが分かる。
【0041】図11には、加熱初期から定常加熱運転時
に至るまでのビレット材Xの温度がコイル導管12の入
口から216cmの位置でほぼ1250℃である誘導加
熱炉の全域にわたる、セラミック耐火材18への放射伝
熱損失Pr11と、耐火キャスター103への放射伝熱損
失Pr21の経時的変化をそれぞれ示した。図11の結果
から、セラミック耐火材18への放射伝熱損失Pr11
経時的変化は、耐火キャスター103への放射伝熱損失
Pr21よりほぼ常に小さい状態にあることが分かる。
【0042】また、図10と図11とから、耐火材の表
面温度Tcと放射伝熱損失Prとの経時的変化は、それ
ぞれ相関関係にあることが分かる。従って、定常加熱運
転時における高温均熱域での放射伝熱損失Prの低減、
即ち、誘導加熱炉11の省エネルギー化には、セラミッ
ク耐火材18の表面温度が高い方が効果的であることが
分かる。
【0043】図12には、誘導加熱炉11内で静止時の
ビレット材Xの経時的温度変化Th 31と、従来の誘導加
熱炉内で静止時のビレット材Xの経時的温度変化Th51
と、大気中に放置した場合におけるビレット材Xの経時
的温度変化Thaを示した。図12の結果から、ビレッ
ト材Xの温度が1250℃から1150℃まで低下する
のに、誘導加熱炉11における静止時では約5分間であ
るのに対し、従来の静止時では約1分間であることが分
かる。即ち、静止保温方法によれば、ビレット材Xの温
度低下を効果的に低減でき、これによって、誘導加熱炉
での搬送停止における加熱したビレット材Xについて加
熱焼きムダ材の発生をほとんど零にすることが可能とな
る。
【0044】図13には、静止保温時に300W/cm
2 の高い電力密度を間欠的に10秒間の短時間で高電力
パルスを印加した場合のビレット材Xの比透磁率μr1
を示した。比透磁率μr2 は定常加熱運転した場合、比
透磁率μr3 は従来の装置による微速送り処理時の場合
である。特に、加熱炉11のコイル導管入口から72c
m付近までの低温部では、比透磁率μr2 及びμr3
比べて、高電力パルス印加後の比透磁率μr1 はより小
さくなっていることが分かる。
【0045】
【発明の効果】上述したように本発明は構成されるか
ら、次のような効果が発揮される。まず、熱間乃至温間
鍛造用誘導加熱装置の保温制御方法において、鋼材が磁
性鋼である場合に、鋼材が静止する状態で、この鋼材の
比透磁率の値が定常加熱運転時の値を超えないように、
誘導加熱炉のコイル導体に大電力を間欠的かつ短時間に
印加する等により、誘導加熱炉内の鋼材の温度状態が、
誘導加熱炉の定常加熱運転中の加熱昇温パターンに相似
する温度分布を保持するようにしたことから、保温後に
定常加熱を再開する時には、定常加熱運転時と同様に加
熱処理を効率的に実行することができるから、ビレット
材等の鋼材の加熱焼きムダ材の発生を低減させることが
できると共に、省エネルギー化を図ることが可能とな
る。これにより、従来の誘導加熱装置による微速送り保
温による方法では、装置を1回停止させた時に、ビレッ
ト材について20個の加熱焼きムダ材が発生していた事
例について、上記した本発明の保温制御方法によれば、
これを約1/3に低減することが可能であった。
【0046】本発明の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置
の保温制御方法において、誘導加熱炉の加熱昇温パター
ンに相似する温度分布を保持させるように、誘導加熱炉
の炉心管として設置されている耐火材の外周と、誘導加
熱炉を構成するコイル導体の内周部との間に断熱材層を
設けてなる誘導加熱炉を使用する場合には、停止時の静
止保温状態での、鋼材からの放射伝熱損失量を低減させ
ることができる。これによって、加熱再開時の加熱焼き
ムダ材の発生をさらに低減させることができる。この加
熱焼きムダ材の低減効果は、前記従来装置による場合の
加熱焼きムダ材の量を約1/2に低減させるものであっ
た。
【0047】上記したような本発明に係る熱間乃至温間
鍛造用誘導加熱装置の保温制御方法を組み合わせる場合
には、前記従来装置による場合の加熱焼きムダ材の量を
トータル約1/6に低減させることが可能となる。
【0048】このような加熱再開時の加熱焼きムダ材の
低減は、それだけ誘導加熱装置の稼動開始のための待ち
時間を短縮することになり、これにより鍛造加工の生産
性を向上させることにつながると共に、加熱焼きムダ材
が冷却されることによる品質管理上の問題にも対処でき
ることになる。
【0049】前記した放射伝熱損失量の低減は、省エネ
ルギーの効果にも寄与する。この省エネルギー効果は、
前記した従来装置による場合と比較して、約8〜15%
にもなる。
【0050】上記した本発明の保温制御方法を複数電源
式仕様の誘導加熱装置に応用する場合には、静止保温時
のビレット材の温度低下を小さくし、かつ鋼材の種類に
応じた加熱仕様の変更による変更幅も狭くなるので、容
易に電力配分の設定作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保温制御方法に使用した熱間乃至温間
鍛造用誘導加熱装置の正面図である。
【図2】本発明の保温制御方法に使用した誘導加熱炉の
部分正面図である。
【図3】本発明の保温制御方法に使用した誘導加熱炉の
縦断面側面図である。
【図4】本発明の保温制御方法に使用した誘導加熱炉の
コイル導管の縦断面側面図である。
【図5】本発明の保温制御方法に使用できる他の例の誘
導加熱炉のコイル導管の縦断面側面図である。
【図6】本発明の保温制御方法による定常加熱運転時
(処理量80%)のビレット材表面に付加される電力密
度分布の特性図である。
【図7】本発明の保温制御方法による定常加熱運転時
(処理量40%)のビレット材表面に付加される電力密
度分布の特性図である。
【図8】本発明の保温制御方法による静止保温時のビレ
ット材表面に付加される電力密度分布の特性図である。
【図9】本発明の保温制御方法による場合の誘導加熱炉
におけるネット電力密度比の特性図である。
【図10】本発明の保温制御方法による定常加熱運転時
の誘導加熱炉の耐火材の経時的温度変化の比較特性図で
ある。
【図11】本発明の保温制御方法による定常加熱運転時
のビレット材からの放射伝熱損失量の経時的温度変化の
特性図である。
【図12】本発明の保温制御方法による静止時の誘導加
熱炉内のビレット材の経時的温度変化の比較特性図であ
る。
【図13】本発明の保温制御方法による静止保温時と定
常加熱運転時の変位点以下におけるビレット材の比透磁
率の変化特性図である。
【図14】従来の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置にお
ける誘導加熱炉のコイル導管の縦断面側面図である。
【図15】従来の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の誘
導加熱炉の部分正面図である。
【図16】従来の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置によ
る定常加熱運転時のビレット材表面に付加される電力密
度分布の特性図である。
【図17】従来の熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置によ
る微速送り保温時のビレット材表面に付加される電力密
度分布の特性図である。
【符号の説明】
10 熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置 11 誘導加熱炉 11a コイル函体 11b 端面板 12 コイル導管 13 コイル導体 14 絶縁層 15 断熱材層 16 断熱シート層 16a 断熱ブランケット層 17 耐熱シート層 17a セラミック耐火材 18 耐火キャスター 18a セラミック耐火材 X、Y ビレツト材 Pa1 、Pa2 、Pa3 電力密度分布 Pn1 、Pn2 、Pn3 ネット電力密度分布 Pr1 、Pr2 、Pr3 放射伝熱損失 Th1 、Th2 、Th3 ビレット材の温度 Tc1 セラミック耐火材の表面温度 Tc2 耐火キャスターの表面温度 μr1 、μr2 、μr3 変位点以下のビレット材の比
透磁率 Pr11、Pr21 放射伝熱損失 D1 、D2 、D3 ネット電力密度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続的に搬送される複数の鋼材を電磁誘導
    加熱によって順次加熱する誘導加熱炉を備える誘導加熱
    装置において、誘導加熱炉内で鋼材が停止状態にあると
    きに、誘導加熱炉内の鋼材の温度状態が、誘導加熱炉の
    定常加熱運転時の加熱昇温パターンに相似する温度分布
    を保持するようにしたことを特徴とする熱間乃至温間鍛
    造用誘導加熱装置の保温制御方法。
  2. 【請求項2】鋼材が磁性鋼である場合に、鋼材が静止す
    る状態で、この鋼材の比透磁率の値が定常加熱運転時に
    おける鋼材の比透磁率の値を超えないように、誘導加熱
    炉のコイル導体に大電力を間欠的かつ短時間に印加する
    請求項1に記載された熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置
    の保温制御方法。
  3. 【請求項3】誘導加熱炉の定常運転時の加熱昇温パター
    ンに相似する温度分布を保持させるように、誘導加熱炉
    の炉心管として設置されている耐火材の外周と、誘導加
    熱炉を構成するコイル導体の内周部との間に断熱材層が
    設けられてなる誘導加熱炉を使用する請求項1又は2に
    記載された熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温制御
    方法。
  4. 【請求項4】誘導加熱炉を構成するコイル函体の接合部
    において、誘導加熱炉のコイルの占有長さとコイル函体
    の外形長さを略等しくすることにより、誘導加熱炉のコ
    イルが作る電磁場の磁場強度が連続的に傾斜するように
    した誘導加熱炉を使用する請求項1、2又は3に記載さ
    れた熱間乃至温間鍛造用誘導加熱装置の保温制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101862805A (zh) * 2010-07-06 2010-10-20 杨少华 一种内加热炉
CN113510211A (zh) * 2021-07-06 2021-10-19 山东威玛装备科技股份有限公司 一种钻杆管体管端加热镦粗连续作业工艺

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