JP2001234249A - 金属帯の熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

金属帯の熱処理方法および熱処理装置

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JP2001234249A
JP2001234249A JP2000047875A JP2000047875A JP2001234249A JP 2001234249 A JP2001234249 A JP 2001234249A JP 2000047875 A JP2000047875 A JP 2000047875A JP 2000047875 A JP2000047875 A JP 2000047875A JP 2001234249 A JP2001234249 A JP 2001234249A
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JP
Japan
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coil
heating
substance
annealing
metal strip
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JP2000047875A
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English (en)
Inventor
Toshiro Tomita
俊郎 富田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半径方向の熱伝達率が小さい金属帯コイルの
熱処理、特に鋼板間に焼鈍分離材が介在したコイルの焼
鈍を必須工程とする{100}集合組織電磁鋼板の製造
に有効な金属帯の熱処理方法とその装置を提供する。 【解決手段】 金属帯と絶縁性を有する物質を交互に巻
き重ねてコイルとし、該金属帯の長手方向に電流を通じ
てその抵抗発熱により上記コイルを加熱する。中間温度
まで通電加熱し、次いで、外部加熱手段により加熱して
もよい。この方法は、特にSi≦6.5質量%を含有す
る電磁鋼板用冷間圧延鋼帯を、脱炭促進物質などを含有
する焼鈍分離材と積層して焼鈍する{100}集合組織
電磁鋼板の最終焼鈍に有効である。上記方法は、通電加
熱手段を備えた加熱室と、外部加熱手段のみを備えた炉
室と、冷却室と、上記室間の被加熱物移送手段と、加熱
室でのコイルに対する電力供給装置と供給電力調整装置
と、各室の雰囲気調節手段を有する設備を用いるのが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属帯コイルの熱
処理方法および熱処理装置に関する。さらに詳しくは、
鋼板間に焼鈍分離材を介在させて焼鈍する電磁鋼板の製
造に好適な熱処理方法およびそれに好適な熱処理装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電動機、発電機、変圧器などの
磁心材料に用いられる電磁鋼板には、交流磁界中で磁気
的なエネルギー損失が少ないこと、実用的な磁界中での
磁束密度が高いこと等、優れた磁気特性が必要とされて
おり、これらを実現するために、鋼の電気抵抗を高め、
結晶の磁化容易方向である<001>軸を使用磁界方向
に集積させることが有効とされている。
【0003】図1は<001>軸の集積状況を説明する
概念図である。同図(a)は、{110}面が鋼板面に
平行で<001>軸が圧延方向に集積した組織で、一方
向性珪素鋼板と称される。これは変圧器の巻き鉄心のよ
うに、圧延方向のみに磁束が流れる用途に適する。
【0004】同図(b)〜(d)は、{100}面が鋼
板面に平行に集積した場合である。この集合組織を有す
る鋼板は{100}集合組織電磁鋼板と称され、鋼板面
内の複数の方向に磁束が流れる用途に適する。同図
(b)は<001>軸の方向が鋼板面内の特定方向に集
積していないもので、{100}面無方向組織とも称さ
れる。同図(c)は鋼板面内の八つの方向に<001>
軸が集積したもので、{100}<021>集合組織と
も称される。これらの集合組織を有する鋼板は特に回転
機の鉄心に理想的である。同図(d)は<001>軸が
鋼板面内の圧延方向および圧延直角方向(以下、幅方
向)に集積したもので、{100}<001>集合組
織、あるいは二方向性電磁鋼板と称される。この集合組
織を有する鋼板は、変圧器の積み鉄心のように圧延方向
と幅方向に磁束が流れる用途に好適である。
【0005】本発明者らは、特開平7−173542号
公報、特開平9−20966号公報、あるいはWO98
/20179号公報などにおいて、特定量のC、Siお
よびMnを含有する鋼を冷間圧延し、この冷間圧延鋼帯
と、脱炭促進物質もしくは脱炭促進物質と脱Mn促進物
質を含有する焼鈍分離材とを交互に巻き重ねてコイルと
し、これを減圧した雰囲気下で焼鈍する工程を含む{1
00}集合組織電磁鋼板の製造方法を開示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】金属帯を巻き重ねたコ
イルとして熱処理する際には、金属間の密着を防止した
り、金属の改質などの目的で金属帯間に焼鈍分離材を介
在させて熱処理することがある。以下、本発明では、金
属帯と焼鈍分離材など他の物質とを交互に巻き重ねて形
成されるコイルを「積層コイル」と記す。
【0007】図2は積層コイルの概念を説明する外観図
およびその部分拡大図であり、符号1は積層コイル、符
号2は金属帯、符号3は焼鈍分離材を表す。
【0008】例えば、上記{100}集合組織電磁鋼板
の製造における最終焼鈍工程では、電磁鋼板用冷間圧延
鋼帯は、脱炭促進物質もしくは脱炭促進物質と脱Mn促
進物質を含有する焼鈍分離材とからなる積層コイルとし
て熱処理される。前記最終焼鈍時に焼鈍分離材を鋼板間
に介在させる目的は、最終焼鈍時に鋼板同士の密着を防
止するとともに、鋼の脱炭または脱炭と脱マンガンを促
進することにある。
【0009】しかしながら焼鈍分離材には断熱性がある
ために積層コイル半径方向での熱伝達率が小さく、従来
一般的におこなわれている電気加熱や化石燃料の燃焼熱
などの熱源により外部から被加熱物を加熱する方法(以
下、外部加熱方式と記す)では積層コイル内部の昇温速
度が小さく、急速加熱や均一加熱が困難であった。
【0010】また、上記{100}集合組織電磁鋼板の
製造における最終焼鈍は減圧雰囲気下でおこなわれる
が、このような場合には雰囲気ガスによる対流伝熱がな
いことも急速加熱を阻害する要因であった。特に700
℃以下の低温での加熱効率が低かった。本発明者らの研
究結果によれば、例えば質量が10トン程度の鋼板から
なる積層コイルに対する昇温速度の上限は、従来の方法
では30℃/時間もしくはそれ以下にとどまっていた。
【0011】さらに、{100}集合組織は加熱速度が
ある程度大きい方がよく発達するが、従来の外部加熱方
式での加熱では急速加熱が困難であるために{100}
集合組織の改善にも限界があった。
【0012】本発明の目的は、上記問題点を解決し、金
属帯と焼鈍分離材からなる積層コイルを急速かつ均一に
加熱できる金属帯の熱処理方法およびそれに好適な熱処
理装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】金属帯に電流を通じてそ
の電気抵抗による抵抗発熱を利用してこれらを直接的に
加熱する方法(以下、「通電加熱」と記す)が知られて
いる。例えば特開平5−36467号公報、特開平5−
69160号公報などには帯状の被加熱材を連続送給し
つつ近接して設けられた複数の通電ロール間で通電加熱
する方法が開示されている。しかしながらこれらに開示
されている技術は展開した金属板を加熱する方法に関す
るものであり、コイル状に巻き取った金属帯(焼鈍分離
材などを介在させていないで巻き取ったコイル、以下、
「金属コイル」、「鋼帯コイル」などと記す)を通電加
熱する技術については未だ開示されていない。
【0014】従来、通電加熱が例えば鋼帯コイルの加熱
手段として用いられなかった理由は、鋼の電気抵抗値が
非常に小さいことにある。例えば幅:1000mm、質
量:10トンの鋼帯コイルの端面間で板幅方向に電流を
流したときの抵抗値は10-7Ωであり、加熱に要する電
力を100kWオーダーとすると、0.1Vで106
もの大電流を必要とする。鋼帯コイル内では鋼板同士が
接触しているために鋼帯長手方向に通電することも困難
である。
【0015】鋼帯間に絶縁性を有する物質を交互に巻き
重ねてコイルとしたものであれば、鋼帯の長手方向に通
電することが可能である。鋼帯の長手方向に通電する
と、その電気抵抗は鋼帯長さに応じて高くできるので、
通電距離を適切に設定することにより通電加熱に最適な
抵抗値とすることができる。例えば上記の幅:1000
mm、質量:10トンの鋼帯コイルで鋼板の厚さが0.
35mmである場合、鋼帯の長手方向全長の抵抗値は5
Ω前後であるので、100A前後の電流値で所望の電力
を投入することができる。
【0016】このように鋼帯の長手方向に通電加熱すれ
ば長手方向全長にわたって鋼自体が抵抗発熱するため、
鋼帯コイルの巻厚方向内部でも均一な昇温が可能となり
急速加熱が可能となる。また、焼鈍雰囲気を減圧雰囲
気、好ましくは真空状態とすれば雰囲気ガスによる対流
熱損失がないので、加熱効率も改善される。これらのこ
とから、積層コイルを熱処理する際の生産性を大幅に向
上させることができる。
【0017】通電加熱方式の他の利点は、加熱速度を従
来では不可能であった30℃/時以上に増加することで
{100}集合組織の発達が顕著になり製品の磁気特性
の向上が可能となることである。
【0018】本発明はこれらの新たな知見を基にして完
成されたものであり、その要旨は下記(1)〜(3)に
記載の金属帯の熱処理方法および(4)に記載の金属帯
の熱処理装置にある。
【0019】(1)金属帯と絶縁性を有する物質を交互
に巻き重ねてコイルとし、該金属帯の長手方向に電流を
通じてその抵抗発熱により上記コイルを加熱する工程を
含むことを特徴とする金属帯の熱処理方法。
【0020】(2)金属帯と絶縁性を有する物質を交互
に巻き重ねてコイルとし、該金属帯の長手方向に電流を
通じてその抵抗発熱により上記コイルを加熱し、次い
で、外部加熱手段のみにより上記コイルをさらに加熱ま
たは均熱する工程を含むことを特徴とする金属帯の熱処
理方法。
【0021】(3)金属帯が、6.5質量%以下のSi
を含有し、50%以上の圧延率で冷間圧延して得られた
電磁鋼板用冷間圧延鋼帯であり、絶縁性を有する物質
が、脱炭促進物質もしくは脱炭促進物質と脱Mn促進物
質を含有するものであることを特徴とする上記(1)ま
たは(2)に記載の金属帯の熱処理方法。
【0022】(4)金属帯の長手方向に電流を通じるた
めの金属帯への通電手段を備えた加熱室と、外部加熱手
段のみを備えた炉室と、冷却装置を備えた冷却室と、上
記各室間に設けられた被加熱物移送手段と、上記各室に
対する雰囲気調節手段とを備えたことを特徴とする金属
帯の熱処理装置。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の対象とする金属帯は、電
磁鋼板用鋼の他、普通鋼や、ステンレス鋼その他の特殊
鋼、あるいはアルミニウムなどの非鉄金属など、導電性
を有する金属で、その形態が帯状のものであればよい。
特に熱処理時に金属帯間の焼付きを防止するなどの目的
で、金属帯間に焼鈍分離材を介在させる必要がある金属
帯が好適である。
【0024】特に、6.5質量%以下のSiを含有した
鋼からなる冷間圧延鋼帯と、脱炭あるいは脱炭と脱Mn
を促進する物質を含有する焼鈍分離材とからなる積層コ
イルを減圧雰囲気下で最終焼鈍する必要がある{10
0}集合組織電磁鋼板の製造に際しては、本発明の規定
する熱処理方法を適用するのが好適である。
【0025】絶縁性を有する物質としては、少なくとも
コイル状に巻き重ねられた金属帯間の通電を妨げる物で
あればよく、絶縁性以外に、金属帯同士の熱処理時の焼
付きを防止するいわゆる焼鈍分離材としての機能や、熱
処理時の脱炭などの化学反応を促進させる機能を兼ね備
えているものでも構わない。
【0026】絶縁性を有する物質としては、金属帯間に
介在して熱処理温度に加熱された際に金属帯同士の接触
を妨げ、金属帯間での絶縁性を発揮できるものであれば
よく、例えば比抵抗が1Ω・cm以上の、Si、Ti、
Fe、Mn、V、Nb、Al、Cr、Mgなどの金属元
素の酸化物、窒化物、炭化物を使用するのが好適であ
る。比抵抗が1×102 Ω・cm以上のものであればな
およい。絶縁性を有する物質の形態は特に限定するもの
ではなく、粉末、粒状、繊維状、繊維を織ったシート
状、もしくはこれらの繊維やシートに粉末を混入させた
ものなど、任意の形態の固形物として金属帯を巻き取る
際に金属帯間に巻き込んでもよいし、絶縁性物質を含有
する塗料組成物を作製し、これを金属帯に塗装し、乾燥
させてコイル状に巻き取ったものでもよい。
【0027】その厚さは、金属帯をコイル状に巻き重ね
て熱処理温度に加熱した際に金属同士の接触を妨げ、金
属帯間を物理的に隔離できるだけの厚さを有し、隣接す
る金属帯間で電流が通じない程度の絶縁性を発揮できる
ものであればよく、例えば5μm以上の厚さがあればよ
い。
【0028】{100}集合組織電磁鋼板の製造工程に
おける最終焼鈍時には、脱炭を促進させる物質または脱
炭を促進させる物質と脱Mnを促進させる物質を含有す
る焼鈍分離材を、鋼板間に介在させて、水素、不活性ガ
ス、又は両者の混合ガスを主体とする雰囲気、または真
空中で1300℃以下の温度量域で焼鈍される。
【0029】脱炭を促進させる物質として、SiO2
Cr23 、TiO2 、FeO、MnO、V23 、V
25 、VOなどの酸化物が好適であり、脱Mnを促進
させる物質として、TiO2 、Ti23 、ZrO2
の酸化物が好適であることが知られている。また、上記
焼鈍分離材には、例えばAl23 、BNやSiCなど
他の高温で安定な酸化物、窒化物あるいは炭化物を混合
してもよいことも知られている。
【0030】これらの酸化物、窒化物、炭化物などの無
機物は高温状態でも絶縁性を有するので本発明の絶縁性
を有する物質として好適である。
【0031】絶縁性を有する物質を金属帯間に介在させ
た積層コイルは、加熱炉に装入され、実質的に金属帯の
長手方向に沿って電流が通過するよう通電して加熱され
る。「実質的に金属帯の長手方向」とは、金属帯間の絶
縁性を有する物質を通過してコイルの半径方向に流れる
僅かな電流があっても、それは考慮しないという意味で
ある。
【0032】通電加熱を交流でおこなうと、金属帯コイ
ル外に交流磁束が発生し、炉壁などを誘導加熱してエネ
ルギーロスが生じる。従って通電加熱は直流によるのが
好ましいが、炉壁などの誘導加熱防止処置などを講じて
交流を用いても構わない。
【0033】通電加熱は、通電加熱のみによって最終焼
鈍の全期間の加熱をおこなってもよいが、コイル外部か
らの輻射や対流による外部加熱手段と併用したり、昇温
工程などの一部の期間のみ通電加熱を用い、他の期間は
外部加熱手段によってもよい。
【0034】高温で絶縁体や半導体から金属伝導へと電
気的性質が変化する物質を絶縁性を有する物質として用
いるときは、昇温工程やその一部にのみに通電加熱を用
いるのが好ましい。金属帯間の絶縁性が低下して金属伝
導へと遷移すると、金属帯間の抵抗値が激減して大きな
電流が流れるので通電加熱が不可能になることがあるか
らである。
【0035】例えば、絶縁性を有する物質としてTiO
2 を使用する場合、TiO2 は1000℃以上の高温真
空中で長時間加熱するとTi35 やTiO等の電気伝
導率のより大きな酸化物へと変態する。したがって、こ
の場合の通電加熱は焼鈍分離材の電気伝導率が過度に大
きくならない昇温期間、もしくは昇温期間と均熱の初期
の期間までとすることが好ましい。
【0036】酸化物の電気伝導率が増加し通電加熱が不
可能な状態になると、逆にコイル内の熱伝導は焼鈍分離
材の熱伝導が良好になるので(焼鈍分離材の熱伝導率が
電気伝導率の増加に伴って増加するため)、通常の外部
加熱により効率的に加熱できるようになる。
【0037】本発明の熱処理方法を通電加熱設備を保護
しつつ効率よくおこなうには、通電加熱設備を主な加熱
手段としコイルの昇温を主目的とする昇温室と、電気ヒ
ータやバーナ加熱等の外部熱源を主な加熱方法とし、高
温域での均熱を主目的とする均熱室と、冷却装置を備え
た冷却室とを有する連続式の熱処理設備を用いるのが好
適である。
【0038】図3は、本発明の熱処理を施すのに好適な
熱処理設備の構成例を説明するための概念図である。図
3で符号1は積層コイル、符号6は装入部、符号10は
搬送用ローラ、符号11はコイル置き台、符号7は加熱
室、符号41および42は炉内電極、符号73および8
3は外部加熱用の電気ヒータ、符号8は主として均熱を
おこなう炉室、符号9は冷却室、符号12は雰囲気攪拌
用ファン、符号71、81、91および92は開閉が可
能な扉である。
【0039】積層コイル1は、搬送用ローラにより装入
部6から加熱室7に搬送され、コイルの内径部および外
径部に予め設けられた炉内電極41および42に通電加
熱用の電源を接続し、雰囲気圧力などを調整した後、通
電加熱される。通電加熱と共に発熱体73を利用した外
部加熱を併用しても構わない。
【0040】コイル温度が中間温度に達した後、炉内電
極41および42と通電加熱用電源間の接続を断ち、隔
壁81を開いてコイルを炉室8に移送し、発熱体83に
よる外部加熱により所定の均熱温度まで加熱し、所定の
時間均熱保持した後、隔壁91を開いてコイルを冷却室
に移送して所定の温度までコイルを冷却する。各室の数
は1である必要はなく、所要の処理時間が加熱、均熱、
冷却の各段階で異なる場合には、それぞれの処理時間比
率に合わせて室数を決めればよい。これにより連続して
効率よく熱処理することができる。
【0041】各室間の扉は必須ではないが、扉を設ける
ことにより、各室の雰囲気や温度制御を効率よくおこな
える利点がある。
【0042】
【実施例】(実施例1)質量%で(以下、化学組成を表
す%表示は質量%を意味する)、C:0.055%、S
i:2.98%、Mn:1.03%、P:0.010
%、S:0.001%、sol.Al:0.0015%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化
学組成を有する鋼を熱間圧延して熱間圧延鋼板とし、そ
の表面のスケールを除去した後、冷間圧延して、厚さ:
0.35mm、幅:1000mm、長さ:2200m、
質量:6トンの冷間圧延鋼板を得た。
【0043】焼鈍分離材として、Al23 :45%、
SiO2 :55%からなる非晶質繊維を30%、アナタ
ーゼ型TiO2 粉末を40%、PVAバインダーを8%
含有し、残部が、上記非晶質繊維と同一組成の非晶質粉
末および不可避不純物からなる抄紙を用意した。この抄
紙の幅は鋼帯コイルの幅と同じで、厚さは約0.2mm
であった。
【0044】積層コイルとした際のコイルの座屈を防止
するために、コイル内径部に、内径:500mm、厚
さ:10mmの炭素鋼製の円筒(以下、スリーブと記
す)を作製し、これをコイル内径部に配した。
【0045】図4は本発明の実施例に係わるスリーブと
コイル内径部の鋼板との巻き付け状況例を説明する概念
図である。図4で符号5はスリーブ、符号15は鋼板挿
入口である。
【0046】鋼板を脱脂後、その先端の一部を鋼板挿入
口15を経てスリーブ内側に通して鋼板の先端を内心内
面に溶接し、その後焼鈍分離材としての抄紙を挟み込み
ながらコイルに巻き取った。コイルの外径は1300m
mとなった。
【0047】熱処理炉として、外部加熱手段としての電
気ヒータを備えた真空焼鈍炉に、通電加熱用の電源と炉
内電極を設置した熱処理炉を準備した。この真空焼鈍炉
内の耐火物製の台座の上に、上記スリーブを有する積層
コイルを装入し、通電加熱用の電極を炭素鋼スリーブと
鋼帯コイル外周に接続した。また、温度分布測定用の熱
電対をコイル外周部とコイル中央部(鋼帯長手方向中央
部で、かつ板幅方向中央部)に設置し、焼鈍過程での温
度変化を測定した。
【0048】真空焼鈍炉内を0.0133Paまで減圧
し、鋼板の長手方向に直流電流を通電し、コイル外周部
の温度で400℃まで120℃/時の加熱速度で昇温し
た後、焼鈍分離材に含有されているバインダーを蒸発・
除去するために400℃で5時間保持し、その後、12
0℃/時の加熱速度で1000℃まで昇温した。その
後、鋼板への直接通電を停止し、電気ヒータに電力を供
給してコイル外周部の温度で60℃/時の昇温速度で1
100℃まで加熱し、1100℃で16時間均熱した
後、炉内で放冷して常温まで冷却した。
【0049】コイル外周部の温度が1000℃に達する
までの加熱に要した最大電流は約150A、最大電圧は
900V、最大電力は135kWであった。1100℃
まで昇温した直後のコイル外周部とコイル中心部の温度
差は約30℃でコイル外表面の温度が内部よりも低かっ
た。
【0050】従来例として、同様の積層コイルを、同一
の真空焼鈍炉を用いて外部加熱手段である電気ヒータの
みにより加熱して、コイル外表面が上記と同じパターン
で昇温するように、同じ真空度の真空中で加熱した。1
100℃昇温直後、コイル中央部の温度は約820℃で
あり、外周部に比較して約300℃に達する大きな温度
差(加熱遅れ)が生じていた。
【0051】冷却終了後、コイルの外周部と中央部か
ら、幅:30mm、長さ:100mmの短冊試験片を切
り出し、歪み取り焼鈍後、単板磁気測定装置を用いて磁
化測定をおこなった。
【0052】表1に上記測定結果を示す。中間温度まで
の加熱を通電加熱とした場合の最終焼鈍後の鋼板の磁気
特性は、コイルの外周部と中央部で差が殆どなく、いず
れも良好な特性となっている。一方、電気ヒータのみに
よる従来加熱方法を用いたときの磁気特性は外周部と中
央部で大きな差を示し、コイル中央部であった鋼板は磁
束密度が小さく、鉄損が大きく、磁気特性が大きく劣化
していた。
【0053】
【表1】
【0054】(実施例2)実施例1に記載の通電加熱装
置を備えた真空焼鈍炉を用いて、通電加熱室−電気ヒー
ター均熱室−強制対流冷却室の3室からなる半連続炉を
模擬する実験をおこなった。実施例1に記載したのと同
様の寸法で、同様の焼鈍分離材を巻き込んだ積層コイル
を用い、昇温過程を通電加熱でおこない、所定の温度に
鋼帯コイル外表面が達した時点で通電を遮断し、直ちに
電気ヒータに電流を通じて均熱した。その後ガス冷却と
した。
【0055】半連続炉では、各室での滞留時間が等しい
とき、各室を1室とし、最小の設備で効率よく焼鈍する
ことができる。これを実現するべく、以下に記す焼鈍パ
ターンでの最終焼鈍を施した。 a.真空引き(到達真空度0.013Pa):2.4時
間、 b.通電加熱(室温→400℃、200℃/時:2時
間、400℃→640℃(脱バインダー工程)、40℃
/時:6時間、640℃→1100℃、100℃/時:
4.6時間):合計12.6時間、 c.電気ヒータ加熱(1100℃での均熱):15時
間、 d.強制対流冷却(窒素ガスをその圧力が1気圧に達す
るまで炉内に導入し、炉内の循環ファンを作動させ
た):15時間 このとき、b項の通電加熱が終了した1100℃に昇温
した直後のコイル外周部と中央部の温度差は約40℃で
あった。通電加熱に要した最大電力は150kWであっ
た。また、15時間の強制対流冷却でコイル表面の温度
は100℃以下になり、炉外へと取り出せる温度になっ
ていた。真空引き開始から冷却終了までの焼鈍全体の時
間は45時間であった。
【0056】従来例として、外部加熱方式としての電気
ヒータのみによる加熱実験もおこなった。2.4時間の
真空引きの後、コイル外周部が1100℃になるまで電
気ヒータによる外部加熱を施し、コイル外周部と中央部
の温度差が40℃以下になった時点を均熱開始と判断
し、15時間均熱して、上記と同様にガス冷却した。均
熱開始までに要した時間は90時間であり、真空引き開
始から冷却終了までの焼鈍全体の時間は122.4時間
であった。
【0057】これらの結果は、6トンのコイルを3室か
らなる通電加熱を利用する連続式箱型焼鈍炉で焼鈍する
とすると、その処理能力は0.4トン/時(6トン/1
5時)であり、外部加熱方式としての電気ヒータ装置を
有する1室炉の処理能力、0.05トン/時、の約8倍
にもなることを示す。また、3室からなる半連続炉を使
用しても、従来の外部加熱方式のみによれば、均熱入り
までに要する時間が長すぎ、処理能力はさほど向上しな
かった。通電加熱を利用することにより生産性がよく経
済性にすぐれた熱処理を施すことができた。
【0058】表2に上記熱処理材の磁気特性を実施例1
と同じ方法で測定した結果を示す。表2に示すように昇
温速度の大きい通電加熱を用いて処理した材料の磁気特
性が、電気ヒータによる外部加熱方式で徐加熱した材料
の特性よりも優れていた。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明の熱処理方法は焼鈍分離材などを
介在させて積層した半径方向の熱伝達能が小さいコイル
を迅速に加熱できる。また本発明の熱処理設備によれ
ば、通電加熱を利用することにより生産性がよく経済性
にすぐれた熱処理を施すことができる。特に二方向性電
磁鋼板の効率的な生産の実現に大きく寄与することがで
きるうえ、最終焼鈍を急速加熱として施すことができる
ので、優れた磁気特性を有する二方向性電磁鋼板が得ら
れる。従って本発明の製造方法および熱処理装置は電動
機、発電機、変圧器などの磁心材料の性能と経済性を大
きく改善し、社会の発展に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】<001>軸が特定方向に集積した種々の集合
組織を説明する概念図であり、(a)は、{110}面
が鋼板面に平行で<001>軸が圧延方向に集積した組
織、(b)は<001>軸の方向が鋼板面内の特定方向
に集積していない組織、(c)は鋼板面内の八つの方向
に<001>軸が集積した組織、(d)は<001>軸
が鋼板面内の圧延方向および幅方向に集積した組織を説
明する概念図である。
【図2】積層コイルの概念を説明する外観図およびその
部分拡大図である。
【図3】本発明の熱処理を施すのに好適な熱処理設備の
構成例を説明するための概念図である。
【図4】本発明の実施例に係わるスリーブとコイル内径
部の鋼板との巻き付け状況例を説明する概念図である。
【符号の説明】
1:積層コイル、2:鋼板、3:焼鈍分離材、41およ
び42:炉内電極、5:スリーブ、6:装入部、7:加
熱室、8:主として均熱をおこなう炉室、9:冷却室、
10:搬送用ローラ、11:コイル置き台、71、8
1、91および92:扉、73および83:外部加熱用
の電気ヒータ、12:雰囲気攪拌用ファン。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯と絶縁性を有する物質を交互に巻
    き重ねてコイルとし、該金属帯の長手方向に電流を通じ
    てその抵抗発熱により上記コイルを加熱する工程を含む
    ことを特徴とする金属帯の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 金属帯と絶縁性を有する物質を交互に巻
    き重ねてコイルとし、該金属帯の長手方向に電流を通じ
    てその抵抗発熱により上記コイルを加熱し、次いで、外
    部加熱手段のみにより上記コイルをさらに加熱または均
    熱する工程を含むことを特徴とする金属帯の熱処理方
    法。
  3. 【請求項3】 金属帯が、6.5質量%以下のSiを含
    有し、50%以上の圧延率で冷間圧延して得られた電磁
    鋼板用冷間圧延鋼帯であり、絶縁性を有する物質が、脱
    炭促進物質もしくは脱炭促進物質と脱Mn促進物質を含
    有するものであることを特徴とする請求項1または2に
    記載の金属帯の熱処理方法。
  4. 【請求項4】 金属帯の長手方向に電流を通じるための
    金属帯への通電手段を備えた加熱室と、外部加熱手段の
    みを備えた炉室と、冷却装置を備えた冷却室と、上記各
    室間に設けられた被加熱物移送手段と、上記各室に対す
    る雰囲気調節手段とを備えたことを特徴とする金属帯の
    熱処理装置。
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