JP2001284274A - シリコン膜パターンの形成方法 - Google Patents

シリコン膜パターンの形成方法

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JP2001284274A JP2000098154A JP2000098154A JP2001284274A JP 2001284274 A JP2001284274 A JP 2001284274A JP 2000098154 A JP2000098154 A JP 2000098154A JP 2000098154 A JP2000098154 A JP 2000098154A JP 2001284274 A JP2001284274 A JP 2001284274A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミクロンオーダーの精度を有し、尚且つ、簡
便な工程で良質なシリコン膜パターンを形成する方法を
提供する。 【解決手段】 基板11表面に有機分子膜12を用い
て、親液部と撥液部とを所定のパターンに形成するとと
もに、有機ケイ素化合物を含有した液体を親液部に選択
的に塗布し、熱処理および/または光処理によって塗布
膜をシリコン膜に変換することにより、親液部のみにシ
リコン膜16を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積回路、薄膜ト
ランジスタ、光電変換装置、及び感光体用途等に応用さ
れるシリコン膜パターンの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】集積回路や薄膜トランジスタ等に応用さ
れるシリコン薄膜のパターン形成は、熱CVD法、プラ
ズマCVD法、光CVD法などにより基板全面にアモル
ファスやポリシリコンの膜を形成した後、フォトリソグ
ラフィーにて不要なシリコン膜部分を除去することによ
って行われるのが一般的である。これらのCVD法に
は、モノシランガスやジシランガスの熱CVD法やプラ
ズマCVD、光CVD等が利用されている。一般的には
ポリシリコンは熱CVDで、またアモルファスシリコン
はプラズマCVDが広く用いられており、薄膜トランジ
スターを有する液晶表示素子、太陽電池などの製造に利
用されている。
【0003】しかしこれらのCVD法とフォトリソグラ
フィーによるシリコン膜パターンの形成においては、プ
ロセス面では以下の点で更なる改良が待たれていた。
気相反応を用いるため気相でシリコンの粒子が発生する
ため装置の汚染や異物の発生による生産歩留まりが低
い。原料がガス状であるため、表面に凹凸のある基板
上には均一膜厚のものが得られにくい。膜の形成速度
が遅いため生産性が低い。プラズマCVD法において
は複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要で
ある。フォトリソグラフィーはプロセスが複雑であ
り、原料の使用効率も低く、レジストやエッチング液な
どの大量の廃棄物が発生する。
【0004】また、材料面では毒性、反応性の高いガス
状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるの
みでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要で
ある。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体
が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大の
エネルギーを消費するため製品のコスト高に繋がってい
る。
【0005】近年、これに対して真空系を使わずに液体
状の水素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。特
開平1―29661号公報にはガス状の原料を冷却した
基板上に液体化して吸着させ、化学的に活性な原子状の
水素と反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開
示されているがが、原料の水素化ケイ素を気化と冷却を
続けて行うため複雑な装置が必要になるのみでなく、膜
厚の制御が困難である。
【0006】また、特開平7―267621号公報に
は、低分子量の液体状の水素化ケイ素を基板に塗布する
方法が開示されているが、この方法は系が不安定なため
に取り扱いに難点があるとともに、液体状であるため、
大面積基板に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難で
ある。
【0007】一方、固体状の水素化ケイ素ポリマーの例
が英国特許GB−2077710Aに報告されている
が、溶媒に不溶なためコーティングによる膜を形成する
ことができない。
【0008】更に、太陽電池の製造を目的として特開平
9―237927号公報にはポリシランの溶液を基板上
に塗布した後、熱分解してシリコン膜を遊離させる方法
が開示されている。しかし、炭素を含有するケイ素化合
物では、熱分解或いは紫外線照射による光分解では炭素
が不純物として多量に残ってしまうため電気特性の優れ
たアモルファス或いは多結晶シリコン膜を得ることが困
難である。
【0009】シリコン膜は通常、周期律表の第3族元素
や第5族元素でドーピングし、p型またはn型の半導体
として使用される。これらのドーピングは通常は、シリ
コン膜を形成した後、熱拡散やイオン注入法により行わ
れるが、上記のように液体から成膜する場合には、特開
平9―237927号公報に開示されているようにp
型、n型の導電型を与えるアルキル化合物をポリシラン
溶液に添加し塗布する方法或いはドーパント源を含有す
る雰囲気中でポリシラン溶液を塗布した膜を熱分解する
方法がある。しかし、前者ではポリシランとドーパント
含有アルキル化合物の溶解性の違いから均一にドープさ
れた膜が得られなかったり、炭素を含有しているため上
述したように最終的に形成された膜に多量の炭素が不純
物として残ってしまう。また、後者ではドープ量の制御
が困難である。
【0010】これに対しては、特願平11−09031
2のように、環系を有する比較的安定なシラン化合物や
変性シラン化合物を含む液体を塗布した後、熱分解によ
りドープ量の制御されたシリコン膜を成膜する方法があ
る。
【0011】通常、このようにして成膜されたシリコン
薄膜は、用途に応じた所望の形状にパターニングする必
要がある。パターニングの方法としては、通常はフォト
リソグラフィーが用いられる。一般的に、フォトリソグ
ラフィーは次のような工程を経てパターニングが行われ
る。まず、パターニングを行う薄膜を基板全面に形成す
る。さらに、レジストコート、露光、現像、リンスなど
を経てレジストパターンを形成する。その後に、レジス
トパターンをマスクとしてエッチングを行い不要な部分
を除去して所望のパターン形状を得る。フォトリソグラ
フィーでは高精細のパターニングが可能であるが、一般
的に、以上で述べたように、非常に多くの工程を必要と
するのに加えて、エッチングの工程で問題が発生しやす
い。いろいろな材料の薄膜に対してオールマイティーな
エッチング条件というもうのは存在しないため、各薄膜
に対して、エッチングガスなど各種のエッチング条件を
調整する必要がある。さらに、エッチング時の機能性薄
膜へのダメージ、レジストに対する選択比などの問題
も、所望のパターンの機能性薄膜を得る上で大きな課題
となる。また、レジスト、現像液、洗浄液などの廃棄物
を生じ得るという問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、う
に、シリコン膜を液体材料から成膜してパターニングを
行うにあたって、ミクロンオーダーの精度を有し、尚且
つ、簡便な工程で良質な特性のシリコン膜パターンを得
る方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では、従来のシリ
コン膜パターンの形成方法と本質的に異なる新しい方法
を提供するもので、有機ケイ素化合物を含有する溶液を
基板上に塗布した後、熱分解および/または光処理によ
って、基板上に電子材料としての特性を有する所望のシ
リコン膜を形成する方法において、従来のようにフォト
リソグラフィーによってパターニングするのではなく、
あらかじめ撥液部と親液部のパターンを形成した基板上
に液体材料をスピンコート法やインクジェット法などに
よって、親液部のみに選択的に液体を塗布し、その後の
熱処理などによってシリコン膜パターンに変換すること
により、簡単な工程で精度よくシリコン膜パターンを形
成する方法を提供することにある。
【0014】即ち、本発明者らは、上記の目的を達成す
るために鋭意研究した結果、基板表面に有機分子膜を用
いて、親液部と撥液部とを所定のパターンに形成する工
程と、有機ケイ素化合物を含有した液体を前記基板上の
親液部に選択的に塗布する工程と、熱処理および/また
は光処理によって前記液体の塗布膜をシリコン膜に変換
する工程と、から成るシリコン膜パターンの形成方法に
よって、簡単な工程で精度よくシリコン膜パターンを形
成できることを見出し、本発明を完成した。
【0015】本発明に用いられる基板としては、Siウ
エハー、石英ガラス、ガラス、プラスチックフィルム、
金属基板など各種のものを用いることができ、また、基
板表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下
地層として形成されていても問題はない。
【0016】本発明の有機分子膜とは、基板上でフォト
リソグラフィー等のパターニング技術によって、所定の
有機分子膜のパターンを形成できるものである。有機分
子膜は基板に結合可能な官能基と、その反対側に親液基
あるいは撥液基といった基板の表面性を改質する(表面
エネルギーを制御する)官能基と、これらの官能基を結
ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖を備えてお
り、基板に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分
子膜を形成する。
【0017】本発明において基板表面に形成される自己
組織化膜とは、基板など下地層等構成原子と反応可能な
結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、該直鎖
分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物
を、配向させて形成された膜である。前記自己組織化膜
はフォトレジスト材等の樹脂膜とは異なり、単分子を配
向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くするこ
とができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。即
ち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均
一でしかも優れた撥液性や親液性を付与することがで
き、微細なパターニングをする際に特に有用である。
【0018】例えば、前記の高い配向性を有する化合物
として、後述するフルオロアルキルシランを用いた場合
には、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように
各化合物が配向されて自己組織化膜が形成されるので、
膜の表面に均一な撥液性が付与される。
【0019】自己組織化膜を形成する化合物としては、
ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシ
ラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロ
ロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリ
クロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラ
ン等のフルオロアルキルシラン(以下、「FAS」とい
う)を挙げることができる。使用に際しては、一つの化
合物を単独で用いるのも好ましいが、2種以上の化合物
を組み合わせて使用しても、本発明の所期の目的を損な
わなければ制限されない。また、本発明においては、前
記の自己組織化膜を形成する化合物として、前記FAS
を用いるのが、基板との密着性及び良好な撥液性を付与
する上で好ましい。FASをパターニングすることによ
って親液部と撥液部のパターンを作ることができる。F
ASが存在する部分が撥液部となる。
【0020】FASは、RnSiX(4-n)(Xは加水分解
基)の構造式を持ち、加水分解によりシラノールを形成
して、基板(ガラス、シリコン)等の下地のヒドロキシ
ル基と反応してシロキサン結合で基板と結合する。一
方、Rは(CF3)(CF2)等のフルオロアルキル基を
有するため、基板等の下地表面を濡れない(表面エネル
ギーが低い)表面に改質する。
【0021】次いで、親液部について述べる。後述する
紫外線などにより自己組織化膜が除去された領域は、ヒ
ドロキシル基が表面に存在する。このため、FASの領
域に比べて非常に濡れ易い性質を示す。従って、基板全
面にFASを形成した後に、一部の領域のFASを除去
すると、その領域は親液性を示し、親液性と撥液性のパ
ターンが形成されることになる。
【0022】さらに、FASが除去された領域に第2の
自己組織化膜を形成することも可能である。第2の化合
物の結合性官能基が、ヒドロキシル基と結合して第2の
自己組織化膜を形成する。第2の化合物の表面を改質す
る官能基として、より親液性を示すもの、あるいは、機
能性液体原料と親和性の高いものを選ぶことにより、よ
り安定なパターニングが可能となる。
【0023】なお、自己組織化膜は、例えば、‘An Int
roduction to ULTRATHIN ORGANIC FILMS: Ulman, ACADE
MIC PRESS’に詳しく開示されている。
【0024】本発明では、上記のような有機分子膜を用
いて、基板上に親液部と撥液部とを所定のパターンに形
成した後、有機ケイ素化合物を含有した液体を前記基板
上の親液部に選択的に塗布し、その後の熱処理および/
または光処理によって塗布膜がシリコン膜に変換され
る。ここで用いられる有機ケイ素化合物は、一般式Si
nm(ここで、Xは水素原子および/またはハロゲン原
子を表し、nは3以上の整数を表し、mはnまたは2n
−2または2nまはた2n+2の整数を表す)で表され
る環系を有するシラン化合物であることを特徴とする。
ここでnは3以上であるが、熱力学的安定性、溶解性、
精製の容易性などの点でnは5〜20程度、特に5ある
いは6の環状シラン化合物が好ましい。5より小さい場
合にはシラン化合物自体が環による歪みにより不安定に
なるため取り扱いに難点が生じる。またnが20より大
きい場合にはシラン化合物の凝集力に起因する溶解性の
低下が認められ使用する溶媒の選択が狭まる。また、本
発明に使用するシラン化合物の一般式Sinm中のXは
水素原子および/またはハロゲン原子である。これらの
シラン化合物はシリコン膜への前駆体化合物であるた
め、熱処理および/または光処理で最終的にはアモルフ
ァス或いは多結晶状シリコンにする必要があり、ケイ素
−水素結合、ケイ素−ハロゲン結合は上記の処理で開裂
し新たにケイ素−ケイ素結合が生じ最終的にシリコンへ
と変化されるものである。ハロゲン原子としては、通常
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子であり、上
記結合開裂の点で塩素、臭素が好ましい。Xは水素原子
単独またはハロゲン原子単独でもよいし、水素原子とハ
ロゲン原子の総和がmとなるような部分ハロゲン化シラ
ン化合物でもよい。
【0025】本発明の一般式Sinmで表されるシラン
化合物の具体例として、m=2n+2である具体例とし
ては、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、ヘキ
サシラン、ヘプタシランなどの水素化シラン、またこれ
らの水素原子の一部またはすべてをハロゲン原子に置換
したものが、m=2nである具体例としてはシクロトリ
シラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シ
リルシクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シリル
シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン、などの一個
の環系を有する水素化シラン化合物およびこれらの水素
原子の一部またはすべてをハロゲン原子に置換したヘキ
サクロルシクロトリシラン、トリクロルシクロトリシラ
ン、オクタクロルシクロテトラシラン、テトラクロルシ
クロテトラシラン、デカクロルシクロペンタシラン、ペ
ンタクロルシクロペンタシラン、ドデカクロルシクロヘ
キサシラン、ヘキサクロルシクロヘキサシラン、テトラ
デカクロルシクロヘプタシラン、ヘプタクロルシクロヘ
プタシラン、ヘキサブロモシクロトリシラン、トリブロ
モシクロトリシラン、ペンタブロモシクロトリシラン、
テトラブロモシクロトリシラン、オクタブロモシクロテ
トラシラン、テトラブロモシクロテトラシラン、デカブ
ロモシクロペンタシラン、ペンタブロモシクロペンタシ
ラン、ドデカブロモシクロヘキサシラン、ヘキサブロモ
シクロヘキサシラン、テトラデカブロモシクロヘプタシ
ラン、ヘプタブロモシクロヘプタシランなどのハロゲン
化環状シラン化合物が、m=2n−2である具体例とし
ては、1、1’−ビスシクロブタシラン、1、1’−ビ
スシクロペンタシラン、1、1’−ビスシクロヘキサシ
ラン、1、1’−ビスシクロヘプタシラン、1、1’−
シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1’−シク
ロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロブ
タシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロペンタ
シリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロペンタシ
リルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロヘキサシリ
ルシクロヘプタシラン、スピロ[2、2]ペンタシラ
ン、スピロ[3、3]ヘプタタシラン、スピロ[4、
4]ノナシラン、スピロ[4、5]デカシラン、スピロ
[4、6]ウンデカシラン、スピロ[5、5]ウンデカ
シラン、スピロ[5、6]ドデカシラン、スピロ[6、
6]トリデカシランなどの2個の環系を有する水素化シ
ラン化合物およびこれらの水素原子の一部またはすべて
をSiH3基やハロゲン原子に置換したシラン化合物
が、m=nである具体例としては下記式の化合物1〜化
合物5で表される多環系を有する水素化シラン化合物お
よびこれらの水素原子の一部またはすべてを部分的にS
iH3基やハロゲン原子に置換したシラン化合物を挙げ
ることができ、これらは2種以上を混合して使用するこ
ともできる。これらの内、溶媒への溶解性の点で1、
1’−ビスシクロペンタシラン、1、1’−ビスシクロ
ヘキサシラン、スピロ[4、4]ノナシラン、スピロ
[4、5]デカシラン、スピロ[5、5]ウンデカシラ
ン、スピロ[5、6]ドデカシランおよびこれらの骨格
にSiH3基を有するケイ素化合物が特に好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】さらに、これらのシラン化合物は必要に応
じてホウ素やリンなどの第三族あるいは第五族の元素で
変性した化合物を使用することもできる。変性シラン化
合物の具体例としては、炭素原子を含まないものが好ま
しく、一般式Siabc(ここで、Xは水素原子およ
び/またはハロゲン原子を表し、Yはホウ素原子または
リン原子を表し、aは3以上の整数を表し、bはa以上
で2a+c+2以下の整数を表し、cは1以上でa以下
の整数を表す)で表される変性シラン化合物が挙げられ
る。ここで、熱力学的安定性、溶解性、精製の容易性な
どの点でaとcの和が5〜20程度、特に5あるいは6
の変性シラン化合物が好ましい。a+cが5より小さい
場合には変性シラン化合物自体が環による歪みにより不
安定になるため取り扱いに難点が生じる。またa+cが
20より大きい場合には変性シラン化合物の凝集力に起
因する溶解性の低下が認められ使用する溶媒の選択が狭
まる。また、上記変性シラン化合物の一般式Siab
c中のXは、上記のSinmで表される無変性のシラン
化合物の一般式中におけるXと同様に水素原子および/
またはハロゲン原子であり、通常フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、沃素原子であり、上記結合開裂の点で塩
素、臭素が好ましい。Xは水素原子単独またはハロゲン
原子単独でもよいし、水素原子とハロゲン原子の総和が
bとなるような部分ハロゲン化シラン化合物でもよい。
【0028】これらの変性シラン化合物の具体例として
は、下記式で表される化合物6〜27を挙げることがで
きる。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】ここで、化合物8、9、10、18、1
9、20中のnは0以上の整数を表し、化合物26およ
び化合物27中のmは2以上の整数を表す。なお、これ
らの式ではホウ素による変性シラン化合物のみを挙げた
が、リンによる変性シラン化合物としてもホウ素による
変性シラン化合物と同様の骨格を有する変性シラン化合
物を挙げることができる。
【0032】本発明の変性シラン化合物は、変性シラン
化合物のみで使用してもよいし、変性されていない前記
シラン化合物と混合して使用することができる。変性シ
ラン化合物と変性されていないシラン化合物との混合割
合はホウ素あるいはリンの変性元素の含有率により異な
るが、ケイ素原子に対して変性元素が1ppb〜25%
程度である。本発明では上記のシラン化合物または上記
のシラン化合物と上記の変性シラン化合物の混合物を溶
媒に溶解した液体を、基板上の親液部にのみ選択的に塗
布する。ここで使用する溶媒は室温での蒸気圧が0.0
01〜200mmHgであるものが好ましい。蒸気圧が
200mmHgより高い場合には、塗布膜を形成する時
に溶媒が先に蒸発してしまい良好な塗布膜を形成するこ
とが困難となるためである。一方、室温での蒸気圧が
0.001mmHgより低い溶媒の場合、乾燥が遅くな
り塗布膜中に溶媒が残留しやすくなり、後工程の熱およ
び/または光処理後に良質のシリコン膜が得られ難い。
また、上記溶液の塗布を後述のインクジェット装置によ
って行う場合には、溶媒の蒸気圧は0.001〜50m
mHgであることが望ましい。蒸気圧が50mmHgよ
り高い場合には、インクジェット装置で液滴を吐出する
際に乾燥によるノズル詰まりが起こりやすく、安定な吐
出が困難となるためである。一方、蒸気圧が0.001
mmHgより低い場合には吐出したインクの乾燥が遅く
なりシラン化合物に溶媒が残留し易くなり、後工程の熱
および/または光処理後にも良質のシリコン膜が得られ
難い。本発明で使用する溶媒としては、上記シラン化合
物を溶解し溶媒と反応しないものであれば特に限定され
ないが、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエ
ン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテ
ン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、
シクロへキシルベンゼンなどの炭化水素系溶媒の他、エ
チレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコー
ルジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチル
エーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリ
コールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタ
ン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキ
サンなどのエーテル系溶、さらにプロピレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリド
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シ
クロヘキサノンなどの極性溶媒を挙げることができる。
これらの内、有機ケイ素化合物の溶解性と該溶液の安定
性の点で炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、
さらに好ましい溶媒としては炭化水素系溶媒を挙げるこ
とができる。これらの溶媒は、単独でも、或いは2種以
上の混合物としても使用できる。
【0033】上記シラン化合物を溶媒に溶解する場合の
濃度は1〜80重量%程度であり、所望のシリコン膜厚
に応じて調整することができる。80重量%を超えると
析出しやすく均一な塗布膜が得られない。
【0034】本発明で用いられる、上記シラン化合物の
溶液は、目的の機能を損なわない範囲で必要に応じてフ
ッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節
材を微量添加することができる。このノニオン系表面張
力調節材は、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好化し、
塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつ
の発生、ゆず肌の発生などを防止しに役立つものであ
る。
【0035】かくして調製したシラン化合物の溶液の粘
度は1〜50mPa・sであることが好ましい。後述の
インクジェット装置にて溶液を塗布する場合、粘度が1
mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの
流出により汚染され易く、また粘度が50mPa・sよ
り大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり
円滑な液滴の吐出が困難となるためである。
【0036】さらに、かくして調製したシラン化合物の
溶液の表面張力は20〜70dyn/cmの範囲に入る
ことが望ましい。後述のインクジェット装置にて溶液を
塗布する場合、表面張力が20dyn/cm未満である
と、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大する
ため飛行曲がりが生じ易くなり、70dyn/cmを超
えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないた
めインク組成物の吐出量、吐出タイミングの制御が困難
になるためである。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明のシリコン膜パター
ンの製造方法を図1〜6を参照して説明する。シリコン
膜のパターン形成工程は次のような〜の工程で行わ
れる、基板11表面に有機分子膜12を形成し、有機
分子膜12を利用して親液部11aと撥液部11bとを
所定のパターンで形成するパターン形成工程(図1〜
3)、スピンコート法やインクジェット法などによ
り、親液部11aに選択的に有機ケイ素化合物の溶液1
4を塗布する工程(図4、5)、塗布膜を熱処理およ
び/または光処理によってシリコン膜16に変換する工
程(図5、6)。
【0038】有機分子膜のパターン形成工程 まず、図1に示すように、基板11表面に前述のFAS
などからなる有機分子膜12を形成する。有機分子膜1
2は、既述の原料化合物と基板とを同一の密閉容器中に
入れておき、室温の場合は2〜3日程度の間放置すると
基板上に形成される。また、密閉容器全体を100℃程
度に保持することにより、3時間程度で基板上に形成さ
れる。以上に述べたのは、気相からの有機分子膜の形成
法であるが、液相からも有機分子膜は形成可能である。
例えば、原料化合物を含む溶媒中に基板を浸積し、洗
浄、乾燥することで基板上に有機分子膜が得られる。
【0039】次いで、図2、3に示すように、後で形成
するシリコン膜のパターンに合わせて有機分子膜12を
パターニングする。基板表面が露出した露出部分が液体
材料に対して濡れ性を持った親液部11aとなり、有機
分子膜12が残存している部分は液体材料に対して濡れ
性を持っていない撥液部11bとなる。
【0040】有機分子膜のパターニング方法としては、
紫外線照射法、電子ビーム照射法、X線照射法、Scanni
ng Probe microscope(SPM)法等が適用可能であ
る。本発明においては、紫外線照射法が好ましく用いら
れる。紫外線照射法は、図2に示すように、シリコン膜
のパターンを形成するための開口が形成されているフォ
トマスク13を介して所定の波長の紫外光を有機分子膜
12に対して照射することにより行われる。このように
紫外光を照射することにより、有機分子膜12を形成し
ている分子が分解、除去されてパターニングが行われ
る。従って、紫外線照射法では、親液部11a及び撥液
部11bのパターンは、それぞれのフォトマスクに形成
されたパターンに合わせて形成できる。
【0041】この際採用される紫外光の波長及び照射時
間は、有機分子膜の原料化合物に応じて適宜決定される
が、FASの場合は200nm以下の波長の紫外光が好
ましく用いられる。
【0042】また、有機分子膜を最初に基板全面に形成
する前に、基板表面に紫外光を照射したり、溶媒により
洗浄したりして、前処理を施すことが望ましい。
【0043】有機ケイ素化合物溶液の塗布工程 次に、上記のように有機分子膜がパターニングされた基
板の親液部11aのみに有機ケイ素化合物の溶液14を
選択的に塗布する(図4)。塗布の方法としては、スピ
ンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディ
ップコート法、スプレー法、インクジェット法などの方
法を用いることができる。塗布は一般には室温以上の温
度で行われる。室温以下の温度では有機ケイ素化合物の
溶解性が低下し一部析出する場合がある。また塗布する
場合の雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活
性ガス中で行うことが好ましい。さらに必要に応じて水
素などの還元性ガスを混入したものが好ましい。スピン
コート法を用いる場合のスピナーの回転数は形成する薄
膜の膜厚、塗布溶液の組成により決まるが一般に100
rpm〜5000rpm、好ましくは300rmp〜3
000rpmが用いられる。
【0044】また、本発明の有機ケイ素化合物溶液の塗
布方法として、インクジェット法を用いることは特に好
ましい。親液部11aのみをねらって、必要量だけ塗布
できるためである。これにより、スピンコート法などの
場合とちがって、膜厚のコントロールが容易となり、基
板上の異なった場所には異なった膜厚のシリコン膜を形
成することが可能となる。また、必要な場所のみに塗布
するため、材料の使用量が少なくてすむというメリット
もある。
【0045】本発明で使用するインクジェット方式の液
滴吐出装置は任意の液滴を一定量吐出できるものであれ
ば如何なる機構のものでもよく、特に数十ng程度の液
滴を形成、吐出できる圧電素子を用いたインクジェット
方式、ヒーターの熱エネルギーを利用して気泡を発生さ
せるバブルジェット(登録商標)方式などいづれの方式
のものでも構わない。さらに必要に応じて上記のスピン
コート、ディップコート、スプレーコート、ロールコー
ト、カーテンコート等の一般的な塗布方式を組み合わせ
ることもできる。上記インクジェット方式で上記有機ケ
イ素化合物の溶液を塗布するときの雰囲気は通常アルゴ
ン、ヘリウム、窒素などの不活性ガス中であり、温度は
溶液の特性により室温から100℃程度まで適宜選ぶこ
とができる。
【0046】塗布後、必要に応じて乾燥させて塗布膜1
5を得る(図5)。
【0047】熱処理および/または光処理によって塗
布膜をシリコン膜に変換する工程本発明の有機ケイ素化
合物の塗布膜を形成された基板は、熱処理および/また
は光処理に供される。これらの処理を行う場合の雰囲気
としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス
雰囲気中で行うが、必要に応じて水素などの還元性ガス
をこれらに少量混合して使用することもできる。熱処理
は、溶液を塗布後、溶媒の除去と金属シリコン膜への変
換を目的に行うものである。溶媒を除去する場合の熱処
理温度は溶媒の沸点(蒸気圧)、圧力および有機ケイ素
化合物の熱的挙動により適宜定めれば良く、特に限定さ
れるものではないが300℃以下で行うことが望まし
い。金属シリコン膜への変換は通常アルゴン雰囲気中あ
るいは水素を含有したアルゴン中で100〜800℃程
度で、好ましくは200〜600℃程度で、さらに好ま
しくは300℃〜500℃程度で処理され、一般に到達
温度が約550℃以下の温度ではアモルファス状、それ
以上の温度では多結晶状のシリコン膜が得られる。到達
温度が300℃未満の場合は、有機ケイ素化合物の熱分
解が十分に進行せず、十分な厚さのシリコン膜を形成で
きない場合がある。多結晶状のシリコン膜を得たい場合
は、上記で得られたアモルファス状シリコン膜のレーザ
ーアニールによって多結晶シリコン膜に変換することが
できる。上記レーザーアニールを行う場合の雰囲気も、
ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、もしくはそれら
に水素などの還元性ガスを混入したものが好ましい。
【0048】本発明の有機ケイ素化合物の塗布膜(1
5)は、塗布膜中の溶媒を除去する前および/または溶
媒を除去した後に、不活性ガス雰囲気中で光処理に供さ
れる場合もある。溶媒可溶性の有機ケイ素化合物は本光
処理による開環反応により溶媒不溶性の強靱な塗膜にな
るだけでなく、光処理の後におよび/または同時に行わ
れる熱処理によって光学的電気的特性に優れたシリコン
膜(16)に変換される。
【0049】本発明で使用する光の光源としては、低圧
あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアル
ゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、
YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザ
ー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、
ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源と
して使用することができる。これらの光源は一般には、
10〜5000Wの出力のものが用いられるが、通常1
00〜1000Wで十分である。これらの光源の波長は
有機ケイ素化合物および光開環した有機ケイ素化合物塗
膜が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが
通常170nm〜600nmであり、レーザー光の使用
が特に好ましい。これらの光処理時の温度は通常室温〜
500℃であり、得られるシリコン膜の半導体特性に応
じて適宜選ぶことができる。
【0050】なお、本発明は、上述の実施形態に制限さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々変更可能である。
【0051】
【実施例】以下、実施例を参照して本発明を具体的に説
明する。
【0052】(実施例1)石英ガラス基板上に、前処理
として172nmの波長の紫外光を10mWで10分間
照射して、クリーニングを行った。次いで、有機分子膜
のパターン形成工程を以下のように行った。即ち、前記
石英ガラス基板とFAS原料の一つであるヘプタデカフ
ルオロテトラヒドロオクチルトリエトキシシランとを、
同一の密閉容器に入れて48時間室温で放置することに
より、該石英ガラス基板表面にフルオロアルキル基を有
する自己組織化膜を形成した。そして、更に、所定のパ
ターンを有するフォトマスクを介して、172nmの波
長の紫外光を照射して、マスクしていない部位の自己組
織化膜のみを選択的に除去して、親液部と撥液部とを形
成した。ここで、用いたフォトマスクの詳細は次の通り
である。基板は、石英を用い、172nmの波長の紫外
光を約60%を透過する。ラインアンドスペースと呼ば
れる線状のパターンで、ラインのピッチは20μmとし
た。ラインの幅を変化させた領域を設け、その幅は、2
μmから18μmまで2μm刻みで変化させた。パター
ンはクロム膜で作成されており、紫外光はクロム膜で遮
られる。ライン状のパターンの幅を変えることにより、
紫外光が照射される領域の面積の比率は、0.1から
0.9の範囲を変化する。また、後述のインクジェット
法による液滴塗布の場合の位置合わせ用に、合わせマー
クがフォトマスクの周辺部に4個所設けられている。次
に、シリコン膜パターンの形成工程を次のように行っ
た。シクロペンタシラン1gをトルエン20gに溶解し
た溶液を、アルゴン雰囲気中で上記のFASがパターン
された石英基板にスピンコートした。回転数は1000
rpmであった。その結果、溶液は基板の親液部のみに
付着した。この基板をアルゴン中で150℃で5分間乾
燥し、引き続きアルゴン中で500℃で10分間熱処理
を行った。その結果、親液部のみに膜厚60nmのシリ
コン膜が生じ、この膜をラマン分析すると100%アモ
ルファス状態であった。さらに、上記基板を水素3%含
有アルゴン雰囲気中で800℃にて10時間熱処理を行
い、再びラマン測定を行ったところ、上記のアモルファ
ス状シリコン膜パターンは100%多結晶シリコン膜に
変換されていた。
【0053】(実施例2)実施例1と同じ工程にて、基
板上にフルオロアルキル基を有する自己組織化膜のパタ
ーニングを行った。フォトマスクは実施例1と同じもの
を用いた。その後、この自己組織化膜がパターニングさ
れた基板上にシリコン膜パターンの形成を以下のように
行った。1−ボラシクロヘキサシラン(化合物7)10
mgとシクロヘキサシラン1gをテトラヒドロナフタレ
ン20gに溶解した溶液を、水素3%含有アルゴン雰囲
気中で上記のFASがパターンされた石英基板にスピン
コートした。回転数は1000rpmであった。その結
果、溶液は基板の親液部のみに付着した。基板温度は室
温のままこの基板に500Wの高圧水銀灯で30分間紫
外線を照射したところ、溶媒不溶のポリヒドロシランの
膜が基板上の親液部のみに形成された。さらに引き続い
て水素3%含有アルゴン雰囲気中で500℃で10分間
熱処理を行った。その結果、上記のポリヒドロシランの
膜はシリコン膜に変換された。このシリコン膜の膜厚は
70nmで、ラマン分析の結果は100%アモルファス
状態であった。また、このシリコン膜の組成分析の結
果、ケイ素原子とホウ素原子の比は600:1であっ
た。
【0054】(実施例3)実施例1と同じ工程にて、基
板上にフルオロアルキル基を有する自己組織化膜のパタ
ーニングを行った。フォトマスクは実施例1と同じもの
を用いた。その後、この自己組織化膜がパターニングさ
れた基板上にシリコン膜パターンの形成を以下のように
行った。1−ホスホシラヘキサプリズマン1mgとシリ
ルシクロペンタシラン1gをテトラヒドロナフタレン2
0gに溶解した溶液を、アルゴン雰囲気中で上記のFA
Sがパターンされた石英基板に圧電素子からなるインク
ジェット装置を用いてパターン塗布を行った。この際、
前述の合わせマークが所定の位置になるように基板を保
持しているステージを調整した後、上記自己組織化膜の
パターニングに用いたフォトマスクのパターンを記憶さ
せてあるコントローラーからインクジェット装置のヘッ
ドを制御して、上記基板の親液部のみに液滴を塗布し
た。その結果、溶液は基板の親液部のみに付着した。こ
の基板をアルゴン中で500Wの高圧水銀灯にて紫外線
照射を行いながら、150℃で30分間乾燥した。その
後、引き続きアルゴン中で500℃で10分間熱処理を
行った。その結果、親液部のみに膜厚80nmのシリコ
ン膜が生じ、この膜をラマン分析すると100%アモル
ファス状態であった。また、このアモルファス状シリコ
ン膜の組成分析の結果、ケイ素原子とホウ素原子の比は
6000:1であった。さらに、上記基板にアルゴン雰
囲気中で波長308nmのエキシマレーザーを250m
J/cm2のエネルギー密度で照射し、再びラマン測定
を行ったところ、上記のアモルファス状シリコン膜パタ
ーンは結晶化率90%多結晶シリコン膜に変換されてい
た。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、現
像、リンス等といったフォトリソグラフィーとエッチン
グの工程が必要なく、簡便なプロセスでミクロンオーダ
ーの精度を有するシリコン膜のパターニング技術を提供
することができる。これにより、液体材料からのシリコ
ン膜パターンの形成にインクジェット法を用いた場合で
も高精度にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板上に形成された有機分子膜の断面図。
【図2】有機分子膜のパターニングの工程を示す断面
図。
【図3】有機分子膜がパターニングされた状態を示す断
面図。
【図4】基板の親液部のみに液体材料が塗布された状態
を示す断面図。
【図5】溶液を乾燥後、親液部に形成された有機ケイ素
化合物の塗布膜の断面図。
【図6】有機ケイ素化合物の塗布膜を熱処理して形成さ
れたシリコン膜の断面図。
【符号の説明】 11 基板 11a 親液部 11b 撥液部 12 自己組織化膜 13 フォトマスク 14 有機ケイ素化合物の溶液 15 有機ケイ素化合物の塗布膜 16 シリコン膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AB16 AB17 AC01 BD20 4G072 AA01 BB09 GG03 HH28 MM01 UU01 5F053 AA06 BB08 DD01 FF01 GG02 GG03 GG06 HH05 PP01 PP03 PP20 RR05 RR13 RR20 5F110 AA16 DD01 DD02 DD03 DD05 DD25 GG02 GG13 GG15 GG42 GG57 PP03 PP04 PP13 QQ01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に有機分子膜を用いて、親液部
    と撥液部とを所定のパターンに形成する工程と、有機ケ
    イ素化合物を含有した液体を前記基板上の親液部に選択
    的に塗布する工程と、熱処理および/または光処理によ
    って前記液体の塗布膜をシリコン膜に変換する工程と、
    からなることを特徴とするシリコン膜パターンの形成方
    法。
  2. 【請求項2】 前記有機分子膜が、自己組織化膜である
    ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン膜パターン
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記有機分子膜の撥液部が、フルオロア
    ルキル基を有する自己組織化膜であることを特徴とする
    請求項1と2に記載のシリコン膜パターンの形成方法。
  4. 【請求項4】 前記有機ケイ素化合物が、一般式Sin
    m(ここで、Xは水素原子および/またはハロゲン原
    子を表し、nは3以上の整数を表し、mはnまたは2n
    −2または2nまたは2n+2の整数を表す)で表され
    る環系を有するシラン化合物であることを特徴とする請
    求項1ないし3に記載のシリコン膜パターンの形成方
    法。
  5. 【請求項5】 前記有機ケイ素化合物が、一般式Sia
    bc(ここで、Xは水素原子および/またはハロゲン
    原子を表し、Yはホウ素原子またはリン原子を表し、a
    は3以上の整数を表し、bは1以上a以下の整数を表
    し、cはa以上で2a+b+2以下の整数を表す)で表
    される変性シラン化合物であることを特徴とする請求項
    1ないし4に記載のシリコン膜パターンの形成方法。
  6. 【請求項6】 前記液体を親液部に塗布する工程はイン
    クジェット装置にて液滴を所望の位置に滴下する方法で
    あることを特徴とする請求項1ないし5に記載のシリコ
    ン膜パターンの形成方法。
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