JP2001281779A - ハロゲン化銀写真要素 - Google Patents

ハロゲン化銀写真要素

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JP2001281779A JP2001085062A JP2001085062A JP2001281779A JP 2001281779 A JP2001281779 A JP 2001281779A JP 2001085062 A JP2001085062 A JP 2001085062A JP 2001085062 A JP2001085062 A JP 2001085062A JP 2001281779 A JP2001281779 A JP 2001281779A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真感度の向上した小サイズの3D乳剤を提
供すること。 【解決手段】 等価球直径0.35μm以下の3D乳剤粒子
を含むハロゲン化銀乳剤層を一層以上含んで成るハロゲ
ン化銀写真要素であって、前記乳剤層がさらに、一般式
X−Y’で表わされるフラグメント化可能な電子供与体
化合物又は一般式−X−Y’で表わされる部分を含有す
る化合物を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真要素
(上式中、Xは電子供与体部分であり、Y’は脱離性プ
ロトンH又は脱離基Yであるが、但し、Y’がプロトン
である場合には、Xに直接又は間接的に塩基β-が共有
結合しており、さらに、1)X−Y’の酸化電位は0〜1.
4 Vの間にあり、2)X−Y’の酸化形は結合開裂反応を
経てラジカルX・と脱離性フラグメントY’を与え、そ
して3)ラジカルX・の酸化電位は≦-0.7 Vである)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、等価球直径0.35μ
m以下の感光性非平板状ハロゲン化銀乳剤にフラグメン
ト化可能な2電子供与体を使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】フラグメント化可能な2電子供与体は、
ハロゲン化銀乳剤において光吸収によって生じた光正孔
を捕捉した後に結合分裂反応を起こすように設計された
化合物である。この結合分裂反応により生じたラジカル
は、ハロゲン化銀乳剤に電子を注入するのに十分なエネ
ルギーを有するように設計される。その結果、フラグメ
ント化可能な2電子供与体を含有するハロゲン化銀乳剤
が1個のフォトンを吸収すると、ハロゲン化銀乳剤中に
2個の電子、すなわちフォトンの初期吸収により生じる
第1電子と、フラグメント化可能な2電子供与体におい
て光正孔が捕捉されることにより起こる一連の反応で生
じる第2電子とが生じることになる。この第2電子の生
成が写真感度(スピード)を高めることになる。フラグ
メント化可能な2電子供与体については、米国特許第5,
747,235号、同第5,747,236号、同第5,994,051号及び同
第6,010,841号並びに欧州特許出願公開第893,731号及び
同第893,732号公報に記載されている。これらの文献に
は、多種多様なハロゲン化銀乳剤においてフラグメント
化可能な2電子供与体を使用したことに関連するスピー
ドの増加が開示されている。しかしながら、フラグメン
ト化可能な2電子供与体を乳剤に添加するとカブリを増
大させることも多いため、過剰なカブリを避けるために
フラグメント化可能な2電子供与体の使用量を制限する
ことが必要である。この場合、フラグメント化可能な2
電子供与体によって得られる実用的なスピードの増加幅
は減少し得る。
【0003】優れた画像構造が必要とされる写真要素に
おいて小さな3D乳剤(すなわち、等価球直径(ESD)が
0.35μm以下である非平板状乳剤)は特に有用である。
これらの乳剤は、その体積が小さいため粒状度が低くな
り、またその光散乱傾向が小さいため鮮鋭性(アキュー
タンス)が高くなる。このため、このような乳剤は、カ
メラ感度のカラーネガ多層フィルムの低感度成分として
使用されることが多い。当該乳剤は、フォトラボや映画
産業で使用されるデュープリケーティングフィルムの場
合に必要な、高感度から低感度までのほとんどの範囲の
乳剤を供給するためにも用いられる。このような乳剤は
マイクロフィルムにも有用である。しかしながら、当該
乳剤のサイズが小さいため、これをベースにした写真材
料のスピードには限界がある。小さい粒径でスピードが
高くなれば、露光時間の短縮及び/又は露光強度の低下
が可能となり、ひいては高速フィルムプリンタでの処理
量の増加や露光源の低コスト化が可能となるであろう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フラグメント化可能な
2電子供与体が存在する場合のカブリ傾向が小さい乳剤
を見出す必要がある。さらに、小さい3D乳剤のスピー
ドを向上するための方法が望まれる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、その一側面と
して、等価球直径0.35μm以下の3D乳剤粒子を含むハ
ロゲン化銀乳剤層を一層以上含んで成るハロゲン化銀写
真要素であって、前記乳剤層がさらに、一般式X−Y’
で表わされるフラグメント化可能な電子供与体化合物又
は一般式−X−Y’で表わされる部分を含有する化合物
を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真要素を構成と
する。上式中、Xは電子供与体部分であり、Y’は脱離
性プロトンH又は脱離基Yであるが、但し、Y’がプロ
トンである場合には、Xに直接又は間接的に塩基β-
共有結合しており、さらに、 1)X−Y’の酸化電位は0〜約1.4 Vの間にあり、 2)X−Y’の酸化形は結合開裂反応を経てラジカルX・
と脱離性フラグメントY’を与え、そして 3)ラジカルX・の酸化電位は≦-0.7 Vである(すなわ
ち、約-0.7 Vであるか又はこれよりも負側にある)。
【0006】本発明は、写真感度の向上した小サイズの
3D乳剤を提供する。当該乳剤は、優れた画像構造(す
なわち、低粒状度及び高鮮鋭性)が必要とされる写真要
素において特に有用である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者らは、小さい(等価球直
径が0.35μm以下の)3D乳剤にフラグメント化可能な
2電子供与体を適用すると、意外にも、ひどいカブリを
伴うことなくスピードが実質的に向上し得ることを見出
した。ここで、3D乳剤とは、総粒子投影面積の50%
以上が3D粒子で占められている乳剤をいう。本明細書
中の用語「3D粒子」とは、非平板形態、例えば、立方
体、八面体、ロッド形及び球体粒子をさす他、アスペク
ト比が2未満である平板状粒子をもさす。本発明者らの
実験で、乳剤の大きさは、Particle Characterizatio
n、第2版、第14〜19頁(1985)に記載の濁度測定法によ
り測定した。当該測定により、等価球体積/濁度平均直
径が得られる。本明細書ではこれらの測定値を「等価球
直径」又はESDと記述する。球体ではない形態を有す
る粒子は、直径がESDに等しい球と体積が同等である
ことにより、上記測定と関連付けられる。本発明の場
合、ESDが0.25μm以下の乳剤が好適であり、さらに
ESDが0.15μm以下の乳剤は特に好適である。カメラ
感度フィルムの低感度記録成分について、デュープリケ
ーティングフィルムの全成分について、そしてマイクロ
フィルムにおいては、これらの小さい3D乳剤に伴う高
アキュータンス及び低粒状性が一層求められる。
【0008】ハロゲン化銀乳剤とその調製法に関する以
下の説明では、リサーチ・ディスクロージャー(Researc
h Disclosure)の1996年9月、第389号、第38957項を参
照するが、当該文献を以降「リサーチ・ディスクロージ
ャーI」と称する。当該文献及び本明細書で参照する他
のすべてのリサーチ・ディスクロージャーは、Kenneth
Mason Publications社(Dudley Annex, 12a North Stree
t, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ,英国)の刊行物であ
る。特に断らない限り、以降参照するセクションはリサ
ーチ・ディスクロージャーIのセクションをさす。
【0009】本発明の写真要素に用いられるハロゲン化
銀乳剤は、表面感性乳剤や未カブリ内部潜像形成乳剤の
ようなネガ型であってもよいし、内部潜像形成タイプ
(処理中にカブらされるもの)のポジ型乳剤であっても
よい。適当な乳剤とその調製法並びに化学増感法及び分
光増感法についてはリサーチ・ディスクロージャーIの
セクションI〜Vに記載されている。色材及び現像調節
剤についてはセクションV〜XXに記載されている。写真
要素に使用できるベヒクルについてはセクションIIに、
また蛍光増白剤、カブリ防止剤、安定剤、吸光剤、光散
乱剤、硬膜剤、塗布助剤、可塑剤、減摩剤及びマット剤
のような各種添加剤についてはセクションVI〜XIIIに、
それぞれ記載されている。製法についてはすべてのセク
ションに、層配置については特にセクションXIに、露光
代替についてはセクションXVIに、そして処理法及び処
理剤についてはセクションXIX及びXXに、それぞれ記載
されている。ネガ型ハロゲン化銀によりネガ像を形成さ
せることができる。通常はネガ像が最初に形成される
が、必要に応じてポジ(又は反転)像を形成させてもよ
い。
【0010】3Dハロゲン化銀粒子は、八面体、立方体
又は多形体の形態をとることができる。立方体形態の乳
剤が好適である。写真要素に用いられるハロゲン化銀
は、ヨウ臭化銀、臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、ヨウ塩化
銀、ヨウ臭塩化銀、等であることができる。臭化銀又は
ヨウ臭化銀の乳剤が好適であり、とりわけヨウ臭化銀乳
剤が好適である。ハロゲン化物を二種以上含むハロゲン
化銀粒子を称する場合には、ハロゲン化物をその濃度昇
順で命名する。
【0011】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は、
当該技術分野で知られている方法、例えば、リサーチ・
ディスクロージャーIやJamesのThe Theory of the Pho
tographic Processに記載されている方法に従って調製
すればよい。これらの方法は、一般に、水溶性銀塩と水
溶性ハロゲン化物塩とを保護コロイド存在下で混合し
て、当該ハロゲン化銀の析出形成中の温度、pAg値、pH
値、等を適当な値に制御するというものである。
【0012】粒子析出過程において1種以上のドーパン
ト(銀及びハロゲン化物以外の粒子内包物)を導入する
ことにより、粒子の特性を改変させることができる。例
えば、リサーチ・ディスクロージャーIのセクション
I、乳剤粒子とその調製法、サブセクションG、粒子改
変条件と調整、パラグラフ(3)、(4)及び(5)に記載され
ている従来の各種ドーパントのいずれかを本発明の乳剤
中に存在させることができる。さらに、Olmらの米国特
許第5,360,712号に教示されているように、一又は二以
上の有機配位子を含む遷移金属六配位錯体を粒子にドー
プすることが具体的に考えられる。
【0013】特に、1994年11月発行のリサーチ・ディス
クロージャーの第36736項に記載されているように、浅
い電子トラップ(以降「SET」とも称する)を形成す
ることにより画像形成スピードを高めることができるド
ーパントを、粒子の面心立方結晶格子内に取り込ませる
ことが考えられる。
【0014】SETドーパントは、粒子内部のどの場所
にあっても有効である。一般に、SETドーパントが粒
子の銀量基準で外側50%の領域に取り込まれている
と、より良好な結果が得られる。粒子内のSETドーパ
ントの取り込み領域として最適な領域は、当該粒子を形
成する銀全体の50〜85%の範囲にある銀によって形
成される領域である。SETドーパントは、一度に全部
を導入してもよいし、また粒子析出が継続している間に
一定時間をかけて反応容器に流入させてもよい。一般
に、SET形成性ドーパントは、銀1モル当たり1×10
-7モル以上でその溶解度上限値まで、典型的には銀1モ
ル当たり約5×10-4モルまで、の濃度で取り込ませるこ
とが考えられる。
【0015】SETドーパントは、相反則不軌の縮小に
有効であることが知られている。特に、イリジウムの六
配位錯体、すなわちIr+4錯体をSETドーパントとして
使用すると有利である。相反則不軌を縮小させるため、
浅い電子トラップを付与する効果のないイリジウム系ド
ーパント(非SETドーパント)をハロゲン化銀粒子乳
剤の粒子に取り込ませることもできる。
【0016】Irは、粒子構造内のどの場所に存在してい
ても、相反則の改良にとって有効である。Ir系ドーパン
トが相反則を改良する上で好適な粒子構造内の場所は、
当該粒子を形成する全銀量の最初の60%が析出した後
であって最後の1%(最も好ましくは最後の3%)が析
出する前に形成された粒子領域にある。ドーパントは、
一度に全部を導入してもよいし、また粒子析出が継続し
ている間に一定時間をかけて反応容器に流入させてもよ
い。一般に、相反則を改良する非SETIr系ドーパント
は、最低有効濃度で取り込ませることが考えられる。
【0017】McDugleらの米国特許第4,933,272号に記載
されているように、ニトロシル又はチオニトロシル配位
子(NZドーパント)を含む六配位錯体を粒子にドープ
することにより、本発明の写真要素のコントラストをさ
らに高めることができる。
【0018】コントラスト増強性ドーパントは、粒子構
造内の都合のよいいずれの場所に取り込ませてもよい。
しかしながら、NZドーパントが粒子表面に存在する
と、粒子の感度を低下させる可能性がある。したがっ
て、NZドーパントを粒子内に配置するに際し、ヨウ塩
化銀粒子の形成で析出する全銀量の少なくとも1%分
(最も好ましくは少なくとも3%分)は、ドーパントが
粒子表面から離れるようにすることが好ましい。NZド
ーパントのコントラストを増強する好適な濃度は、銀1
モル当たり1×10-11〜4×10-8モルであり、とりわけ
銀1モル当たり10-10〜10-8モルであることが好まし
い。
【0019】各種のSETドーパント、非SETIr系ド
ーパント及びNZドーパントについて一般に好適な濃度
範囲を上述したが、これらの一般的な範囲の中で特に最
適な濃度範囲については、個別具体的用途に合わせて日
常試験により定めることができる。SETドーパント、
非SETIr系ドーパント及びNZドーパントを単独で使
用すること又は併用することが具体的に考えられる。例
えば、SETドーパントと非SETIr系ドーパントを組
み合わせて有する粒子が具体的に考えられる。同様に、
SETドーパントとNZドーパントを併用することもで
きる。また、NZドーパントと、SETドーパントでは
ないIr系ドーパントとを組み合わせて使用することもで
きる。最後に、非SETIr系ドーパントとSETドーパ
ント及びNZドーパントとを組み合わせることもでき
る。後者3通りのドーパントの組合せ方を採用する場合
に、析出法の観点で一般に最も便利な方法は、最初にN
Zドーパントを取り込ませ、次いでSETドーパントを
取り込ませ、そして最後に非SETIr系ドーパントを取
り込ませる方法である。
【0020】本発明の写真要素は、典型的ではあるが、
ハロゲン化銀を乳剤の形で提供するものである。一般
に、写真乳剤はこれを写真要素の層として塗布するため
にベヒクルを含む。有用なベヒクルとして、天然物、例
えば、タンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導
体(例、セルロースエステル)、ゼラチン(例、牛骨も
しくは獣皮ゼラチンのようなアルカリ処理ゼラチン又は
豚皮ゼラチンのような酸処理ゼラチン)、脱イオン化ゼ
ラチン、ゼラチン誘導体(例、アセチル化ゼラチン、フ
タル化ゼラチン、等)、その他リサーチ・ディスクロー
ジャーIに記載されているもの、が挙げられる。また、
ベヒクル又はベヒクル増量剤として有用なものに親水透
水性コロイドがある。これらには、リサーチ・ディスク
ロージャーIに記載されているように、合成高分子解こ
う剤、キャリヤ、及び/又はバインダー、例えば、ポリ
(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルラクタム)、アク
リルアミドポリマー、ポリビニルアセタール、アクリル
酸やメタクリル酸のアルキルエステルやスルホアルキル
エステルのポリマー、ポリ酢酸ビニル加水分解物、ポリ
アミド、ポリビニルピリジン、メタクリルアミドコポリ
マー、等が含まれる。ベヒクルは、写真乳剤において有
用な任意の量で乳剤中に存在することができる。乳剤
は、写真乳剤において有用であることが知られている任
意の添加物を含有することもできる。
【0021】本発明において用いられるハロゲン化銀を
化学増感すると有利な場合がある。ハロゲン化銀の化学
増感に有用な化合物及び方法については、リサーチ・デ
ィスクロージャーIとその中に引用されている文献に記
載されている。化学増感剤として有用な化合物には、例
えば、活性ゼラチン、硫黄、セレン、テルル、金、白
金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、レニウム、
リン又はこれらの組合せが含まれる。一般に化学増感
は、リサーチ・ディスクロージャーIのセクションIV
(第510〜511頁)に記載されているように、pAgレベル
を5〜10、pHレベルを4〜8、そして温度を30〜80℃
にして実施される。
【0022】ハロゲン化銀の増感色素による増感は、リ
サーチ・ディスクロージャーIに記載されているよう
に、当該技術分野で知られているいずれの方法でも行う
ことができる。増感色素は、ハロゲン化銀粒子と親水性
コロイドの乳剤に、これを写真要素上に塗布する前の
(例、化学増感中又は化学増感後の)任意の時点で、又
は塗布と同時に、添加することができる。色素は、例え
ば、水溶液又はアルコール溶液として、添加することが
できる。色素/ハロゲン化銀乳剤には色像形成用カプラ
ーの分散体を、塗布直前に又は塗布の前(例、2時間
前)に、混合することができる。フラグメント化可能な
電子供与体と共に用いられる典型的な増感色素について
は、米国特許第5,747,236号に記載されている。
【0023】本発明によると、ハロゲン化銀乳剤には、
その感度を高めるフラグメント化可能な電子供与性(F
ED)化合物が含まれる。フラグメント化可能な電子供
与性化合物は、一般式X−Y’で表わされるもの又は一
般式−X−Y’で表わされる部分を含有する化合物であ
る。ここで、Xは電子供与体部分であり、Y’は脱離性
プロトンH又は脱離基Yであるが、但し、Y’がプロト
ンである場合には、Xに直接又は間接的に塩基β-が共
有結合しており、さらに、 1)X−Y’の酸化電位は0〜約1.4 Vの間にあり、 2)X−Y’の酸化形は結合開裂反応を経てラジカルX・
と脱離性フラグメントY’を与え、そして、必要に応じ
て、 3)ラジカルX・の酸化電位は≦-0.7 Vである(すなわ
ち、約-0.7 Vであるか又はこれよりも負側にある)。
【0024】X−Y’が上記条件(1)及び(2)を満たす
が、(3)は満たさない化合物は、1個の電子を供与する
ことができるので、本明細書ではフラグメント化可能な
1電子供与性化合物と称する。上記三つの条件をすべて
満たす化合物は、2個の電子を供与することができるの
で、本明細書ではフラグメント化可能な2電子供与性化
合物と称する。
【0025】本明細書中、酸化電位を「V」で報告する
が、これは「飽和カロメル参照電極に対するボルト」を
表わす。Y’がYである本発明の態様では、下記のよう
に、X−Yが酸化及び分裂を経てラジカルX・を生じ、
これが好適な態様ではさらに酸化を受けるという反応が
起こるものと考えられる。
【0026】
【化6】
【0027】上式中、E1はX−Yの酸化電位であり、
またE2はラジカルX・の酸化電位である。E1は約1.4
V以下であることが好ましく、さらに約1.0 V未満である
とより好ましい。当該酸化電位は0より高いことが好ま
しく、さらに約0.3 Vより高いと一層好ましい。E1は約
0〜約1.4 Vの範囲にあることが好ましく、さらに約0.3
V〜約1.0 Vの範囲にあるとより好ましい。
【0028】本発明の特定の実施態様では、ラジカルX
・の酸化電位E2が-0.7 Vであるか又はこれよりも負側
にあり、さらに約-0.9 Vよりも負側にあることが好まし
い。E2は、約-0.7 V〜約-2 Vの範囲にあることが好ま
しく、また約-0.8 V〜約-2 Vの範囲にあるとより好まし
く、さらに約-0.9 V〜約-1.6 Vの範囲にあると最も好ま
しい。
【0029】X−Yの構造的特徴は、二つの部分、すな
わちフラグメントXとフラグメントYの特性によって定
義される。フラグメントXの構造的特徴が、X−Y分子
の酸化電位及びラジカルX・の酸化電位を決め、一方、
フラグメントXとフラグメントYの双方が酸化形分子X
−Y・+の分裂速度に影響を及ぼす。Y’がHである本
発明の態様では、下記のように、X−Hが酸化及び塩基
β-によるプロトン引抜きを経てラジカルX・を生じ、
これが好適な態様ではさらに酸化を受けるという反応が
起こるものと考えられる。
【0030】
【化7】
【0031】好適なX基は下記一般式で表わされるもの
である。
【化8】
【0032】本明細書中のすべての構造式に用いられて
いる記号「R」(添字のないもの)は、水素原子又は無
置換アルキル基もしくは置換アルキル基を表わす。構造
式(I)において、mは0又は1であり、ZはO、S、S
e又はTeを表わし、Arはアリール基(例、フェニ
ル、ナフチル、フェナントリル、アントリル)又は複素
環式基(例、ピリジン、インドール、ベンズイミダゾー
ル、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、
等)を表わし、R1はR、カルボキシル、アミド、スル
ホンアミド、ハロゲン、NR2、(OH)n、(OR’)
n又は(SR)nを表わし、R’はアルキル又は置換アル
キルを表わし、nは1〜3であり、R2はR又はAr’
を表わし、R3はR又はAr’を表わし、R2とR3とで
5〜8員環を形成することができ、R2とArとが結合
して5〜8員環を形成することができ、R3とArとが
結合して5〜8員環を形成することができ、Ar’はア
リール基(例、フェニル、置換フェニル)又は複素環式
基(例、ピリジン、ベンゾチアゾール、等)を表わし、
そしてRは水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基
を表わす。
【0033】構造式(II)において、Arはアリール基
(例、フェニル、ナフチル、フェナントリル)又は複素
環式基(例、ピリジン、ベンゾチアゾール、等)を表わ
し、R4はハメットシグマ値が-1〜+1の範囲内(好まし
くは-0.7〜+0.7の範囲内)にある置換基、例えば、R、
OR、SR、ハロゲン、CHO、C(O)R、COO
R、CONR2、SO3R、SO2NR2、SO2R、SO
R、C(S)R、等を表わし、R5はR又はAr’を表
わし、R6及びR7はR又はAr’を表わし、R5とAr
とが結合して5〜8員環を形成することができ、R6
Arとが結合して5〜8員環を形成することができ(こ
の場合、R6は異種原子であることができ)、R5とR6
とが結合して5〜8員環を形成することができ、R6
7とが結合して5〜8員環を形成することができ、A
r’はアリール基(例、フェニル、置換フェニル)又は
複素環式基を表わし、そしてRは水素原子又は無置換も
しくは置換アルキル基を表わす。ハメットシグマ値に関
する説明については、C. Hansch及びR.W. TaftのChem.R
ev. Vol. 91(1991) p.165に記載されている。
【0034】構造式(III)において、WはO、S又はS
eを表わし、Arはアリール基(例、フェニル、ナフチ
ル、フェナントリル、アントリル)又は複素環式基
(例、インドール、ベンズイミダゾール、等)を表わ
し、R8はR、カルボキシル、NR2、(OR)n又は
(SR)n(n=1〜3)を表わし、R9及びR10はR又
はAr’を表わし、R9とArとが結合して5〜8員環
を形成することができ、Ar’はアリール基(例、フェ
ニル、置換フェニル)又は複素環式基を表わし、そして
Rは水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基を表わ
す。
【0035】構造式(IV)において、「ring」は置換され
た又は無置換の5〜7員不飽和環、好ましくは複素環式
環、を表わす。以下は、一般構造式IのX基の具体例で
ある。
【0036】
【化9】
【化10】
【0037】本明細書中の構造式に含まれるOR(NR
2)のような表示は、−OR又は−NR2のいずれかが存
在し得ることを示している。以下は、一般構造式IIのX
基の具体例である。
【0038】
【化11】
【化12】 1は共有結合、S、O、Se、NR、CR2、CR=C
R又はCH2CH2を表わす。
【0039】
【化13】 2はS、O、Se、NR、CR2又はCR=CRを表わ
し、R13はアルキル、置換アルキル又はアリールを表わ
し、そしてR14はH、アルキル、置換アルキル又はアリ
ールを表わす。以下は、一般構造式IIIのX基の具体例
である。
【0040】
【化14】
【化15】
【0041】以下は、一般構造式IVのX基の具体例であ
る。
【化16】
【0042】上式中、Z3はO、S、Se又はNRであ
り、R15はR、OR又はNR2であり、そしてR16はア
ルキル又は置換アルキルである。好適なY’基は以下の
通りである。(1)X’(ここで、X’は構造式I〜IVで定
義したXであり、それが結合しているX基と同一であっ
ても異なってもよい。)
【0043】
【化17】 (ここで、MはSi、Sn又はGeであり、またR’は
アルキル又は置換アルキルである。)
【0044】
【化18】 (ここで、Ar”はアリール又は置換アリールであ
る。)
【0045】
【化19】
【0046】本発明の好ましい実施態様では、Y’が−
H、−COO-もしくは−Si(R’)3又は−X’であ
る。特に好ましいY’基は−H、−COO-又は−Si
(R’)3である。Y’がプロトンである本発明の実施
態様では、Xに直接又は間接的に塩基β-が共有結合し
ている。当該塩基はpKaが約1〜約8(好ましくは約2
〜約7)の酸の共役塩基であることが好ましい。pKa値
の集合(collections)が利用できる[例えば、Dissociati
on Constants of Organic Bases in Aqueous Solution,
D.D.Perrin (Butterworths, London, 1965); CRC Hand
book of Chemistry and Physics、第77版、D.R.Lide(CR
C Press, Boca Raton, Fl, 1996)参照]。有用な塩基の
例を表1に示す。
【0047】表1:一部の有用な塩基の共役酸の水中pK
a値
【化20】
【0048】塩基β-はカルボキシレート、スルフェー
ト又はアミンオキシドであることが好ましい。本発明の
実施態様の一部では、フラグメント化可能な電子供与性
化合物は、Xに直接又は間接的に結合される吸光性基
Z、Xに直接又は間接的に結合されるハロゲン化銀吸着
性基、又はXに結合される発色団形成基Qを含有する。
このようなフラグメント化可能な電子供与性化合物は、
下記一般式で表わされるものであることが好ましい。
【0049】
【化21】
【0050】上式中、Zは吸光性基を表わし、kは1又
は2であり、Aはハロゲン化銀吸着性基であって、好ま
しくはハロゲン化銀に対する吸着を促進するN、S、
P、Se又はTe原子を少なくとも1つ含むものを表わ
し、Lは、少なくとも1つのC、N、S、P又はO原子
を含有する結合基を表わし、そしてQは、X−Y’との
共役時にアミジニウムイオン、カルボキシルイオン又は
双極アミドの(dipolar-amidic)発色団系を含む発色団を
形成するのに必要な原子群を表わす。
【0051】Zは吸光性基であって、例えば、シアニン
色素、複合シアニン色素、メロシアニン色素、複合メロ
シアニン色素、等極シアニン色素、スチリル色素、オキ
ソノール色素、ヘミオキソノール色素及びヘミシアニン
色素が含まれる。好ましいZ基は下記の色素から誘導さ
れる。
【0052】
【化22】
【化23】
【化24】
【0053】結合基Lは、当該異種原子の一つ(もしく
は二つ以上)、当該芳香族環もしくは複素環式環の一つ
(もしくは二つ以上)又は当該ポリメチン鎖の原子の一
つ(もしくは二つ以上)において、色素に結合されるこ
とができる。簡略化するため、また結合可能部位が複数
あるため、一般式ではL基の結合部位を特定することは
しない。ハロゲン化銀吸着性基Aは、銀イオン配位子部
分又はカチオン界面活性剤部分であることが好ましい。
好適な実施態様において、Aは、(1)硫黄酸及びそのSe
及びTe類似体、(2)窒素酸、(3)チオエーテル及びそのSe
及びTe類似体、(4)ホスフィン、(5)チオナミド、セレナ
ミド及びテルラミド、並びに(5)炭素酸からなる群より
選ばれる。A基の具体例を示す。
【0054】
【化25】
【化26】
【0055】結合基Lのハロゲン化銀吸着性基Aへの結
合点は、当該吸着性基の構造によって異なり、当該異種
原子の一つ(もしくは二つ以上)又は当該芳香族環もし
くは複素環式環の一つ(もしくは二つ以上)であること
ができる。Lで表わされる結合基は、当該吸光性基を当
該フラグメント化可能な電子供与性基XYへ共有結合に
より結合させるものであるが、少なくとも1つのC、
N、S又はO原子を含有する有機基であることが好まし
い。また、当該結合基は、Z部分とXY部分との間にπ
共役系が存在し得ないように、芳香族性又は不飽和性が
完全ではないことが望ましい。結合基の好適な例とし
て、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−
C=O、−SO2−、−NH−、−P=O及び−N=が
挙げられる。これら結合成分の各々は、必要に応じて置
換されていてもよいし、また単独で使用しても組み合わ
せて使用してもよい。これらの基の好適な組合せの例を
下に示す。
【0056】
【化27】
【0057】結合基の長さは、原子1個分に制限される
場合もあれば、例えば最長で原子30個分のように、かな
り長くすることもできる。好適な長さは原子約2〜20個
分であり、そして最も好適な長さは原子3〜10個分であ
る。Lの好適な例の中には、下記一般式で表わすことが
できるものがある。
【0058】
【化28】
【0059】Qは、X−Y’との共役時にアミジニウム
イオン、カルボキシルイオン又は双極アミドの発色団系
を含む発色団を形成するのに必要な原子群を表わす。当
該発色団系は、F.M. HamerのThe Cyanine Dyes and Rel
ated Compounds (Interscience Publishers, New York,
1964)に記載されているシアニン、複合シアニン、ヘミ
シアニン、メロシアニン及び複合メロシアニン色素にお
いて一般に見出されるタイプのものであることが好まし
い。Q基の例を以下に示す。
【0060】
【化29】
【0061】特に好ましいものは下式のQ基である。
【化30】
【0062】上式中、X2は、O、S、N又はC
(R192(R19は置換もしくは無置換アルキル)を表
わし、R17は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原
子、置換もしくは無置換アルキル基又は置換もしくは無
置換アリール基を表わし、aは1〜4の整数であり、そ
してR18は、置換もしくは無置換アルキル基又は置換も
しくは無置換アリール基を表わす。フラグメント化可能
な電子供与性化合物の具体例を下に示す。
【0063】
【化31】
【0064】
【化32】
【0065】
【化33】
【0066】
【化34】
【0067】
【化35】
【0068】
【化36】
【0069】本発明のフラグメント化可能な電子供与体
は、これを直接乳剤に分散させることによりハロゲン化
銀乳剤に含めてもよいし、又はこれを水、メタノールも
しくはエタノールのような溶剤もしくはこれら溶剤の混
合物に溶かして得られた溶液を乳剤に添加してもよい。
本発明の化合物は、塩基及び/又は界面活性剤を含有す
る溶液から添加してもよいし、また水性スラリーもしく
はゼラチン分散液に混入してから乳剤へ添加してもよ
い。フラグメント化可能な電子供与体は、乳剤中の唯一
の増感剤として使用することができる。しかしながら、
本発明の好適な実施態様では、さらに乳剤に増感色素を
添加する。当該化合物は、増感色素の添加前、添加中又
は添加後に添加することができる。本発明に用いられる
電子供与体の量は、乳剤中、銀1モル当たり1×10-8
度の少量から銀1モル当たり約0.1モル程度の多量まで
の範囲、好ましくは銀1モル当たり約5×10-7〜約0.05
モルの範囲とすることができる。電子供与性増感剤のX
Y部分の酸化電位E1が比較的低い場合、その活性が高く
なるため、剤の所要量は比較的少なくて済む。反対に、
電子供与性増感剤のXY部分の酸化電位が比較的高い場
合には、その銀1モル当たりの使用量が多くなる。さら
に、ハロゲン化銀吸着性基A又は吸光性基Z又はXに直
接もしくは間接的に結合した発色団基Qを有するXY部
分の場合には、フラグメント化可能な電子供与性増感剤
とハロゲン化銀粒子との関連性が一層親密となるため、
剤の所要量は比較的少なくて済む。フラグメント化可能
な1電子供与体の場合には、銀1モル当たりの使用量が
比較的多くなる。フラグメント化可能な電子供与体のハ
ロゲン化銀乳剤への添加時期としてはコーティングの製
造前とすることが好ましいが、場合によっては、露光後
に予備現像浴又は現像浴自身によって電子供与体を乳剤
に取り込ませることも可能である。
【0070】フラグメント化可能な電子供与性化合物に
ついては、米国特許第5,747,235号、同第5,747,236号、
同第5,994,051号及び同第6,010,841号並びに欧州特許出
願公開第893,731号及び同第893,732号公報にさらに詳し
く記載されている。本発明の写真材料には、そのカブリ
を減少させるため、製造中、保存中又は処理中に、各種
の化合物を添加することができる。典型的なカブリ防止
剤がリサーチ・ディスクロージャーIのセクションVIに
記載されており、例えば、テトラアザインデン、メルカ
プトテトラゾール、ポリヒドロキシベンゼン、ヒドロキ
シアミノベンゼン、チオスルホネートとスルフィネート
の組合せ、等が挙げられる。
【0071】本発明の場合、乳剤感度を低下させること
なくカブリを減少させるのに有効であることから、ポリ
ヒドロキシベンゼンとヒドロキシアミンベンゼンの化合
物(以降「ヒドロキシベンゼン系化合物」という)が好
適である。ヒドロキシベンゼン系化合物の例を下に示
す。
【0072】
【化37】
【0073】上式中、VとV’は、各々独立に、−H、
−OH、ハロゲン原子、−OM(Mはアルカリ金属イオ
ン)、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボニル
基、スルホン基、スルホン化フェニル基、スルホン化ア
ルキル基、スルホン化アミノ基、カルボキシフェニル
基、カルボキシアルキル基、カルボキシアミノ基、ヒド
ロキシフェニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルエ
ーテル基、アルキルフェニル基、アルキルチオエーテル
基又はフェニルチオエーテル基を表わす。より好ましく
は、これらは各々独立に−H、−OH、−Cl、−B
r、−COOH、−CH2CH2COOH、−CH3、−
CH2CH3、−C(CH33、−OCH3、−CHO、
−SO3K、−SO3Na、−SO3H、−SCH3又は−
フェニルを表わす。特に好ましいヒドロキシベンゼン系
化合物を下に示す。
【0074】
【化38】
【0075】
【化39】
【0076】
【化40】
【0077】
【化41】
【0078】ヒドロキシベンゼン系化合物は、乳剤層そ
の他本発明の写真材料を構成する任意の層に添加するこ
とができる。好適な添加量は、ハロゲン化銀1モル当た
り、1×10-3〜1×10-1モルの範囲であり、これが1×
10-3〜2×10-2の範囲であると一層好ましい。
【0079】本発明の写真要素の乳剤層は、写真要素の
感光層の任意の一つ又は二つ以上を含むことができる。
本発明による写真要素は、黒白要素、単色要素又は多色
要素であることができる。多色要素は、スペクトルの三
つの主領域の各々に対して感光する色素画像形成ユニッ
トを含有する。各ユニットは、スペクトルの特定領域に
感光する単一乳剤層または多重乳剤層を含むことができ
る。画像形成ユニットの層をはじめとする写真要素の層
は、当該技術分野で知られている様々な順序で配置する
ことができる。別のフォーマットでは、スペクトルの三
つの主領域の各々に対して感光する乳剤を、セグメント
化された単一層として配置することもできる。
【0080】典型的な多色写真要素は、少なくとも1種
のシアン色素生成カプラーが組み合わされている1層以
上の赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像形
成ユニットと、少なくとも1種のマゼンタ色素生成カプ
ラーが組み合わされている1層以上の緑感性ハロゲン化
銀乳剤層を含むマゼンタ色素画像形成ユニットと、少な
くとも1種のイエロー色素生成カプラーが組み合わされ
ている1層以上の青感性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエ
ロー色素画像形成ユニットとを担持する支持体を含む。
該要素は、フィルター層、中間層、オーバーコート層、
下塗層、等のような別の層をさらに含有してもよい。こ
れらはいずれも、透明であっても反射性(例、紙支持
体)であってもよい支持体上に被覆されることができ
る。
【0081】本発明の写真要素は、リサーチ・ディスク
ロージャー、第34390項、1992年11月に記載の磁気記録
材料又は、米国特許第4,279,945号及び同第4,302,523号
に記載の透明支持体の下側に磁気粒子を含有する層のよ
うな透明磁気記録層、を含むと有用となる場合もある。
当該要素の全体厚(支持体を除く)は5〜30μmの範囲
内にあることが典型的である。感色層の順序は変更が可
能であるが、透明支持体上では赤感性層、緑感性層及び
青感性層の順に(すなわち、青感性層が支持体から最も
離れる)、また反射性支持体上ではその反対の順に配置
することが一般的である。
【0082】本発明は、よくシングルユースカメラ(又
は「フィルム付きレンズ」ユニット)と呼ばれているも
のにおいて本発明の写真要素を使用することも企図して
いる。これらのカメラは、予めフィルムを装填した状態
で販売され、そして露光済フィルムをカメラ内部に残し
たままカメラ全体が処理業者に戻される。このようなカ
メラは、写真要素を露光するためのガラスレンズ又はプ
ラスチックレンズを有することができる。
【0083】本発明の写真要素は、着色カプラー(例、
中間層補正のレベル調整のため)やマスキングカプラ
ー、例えば、欧州特許第213,490号、特開昭58-172,647
号、米国特許第2,983,608号、独国特許第2,706,117C
号、英国特許第1,530,272号、特願昭58-113935号、米国
特許第4,070,191号及び独国特許第2,643,965号に記載さ
れているもの、を使用することもできる。マスキングカ
プラーはシフト又はブロックされていてもよい。
【0084】写真要素は、漂白もしくは定着等の処理工
程を促進もしくは改良して画質を改善する材料をさらに
含有することができる。欧州特許第193389号、同
301477号、米国特許第4,163,669号、同
4,865,956号及び同4,923,784号の各
明細書に記載されるような漂白促進剤が特に有用であ
る。また、核形成剤、現像促進剤もしくはその前駆体
(英国特許第2,097,140号、同2,131,1
88号);現像抑制剤とその前駆体(米国特許第5,4
60,932号、同第5,478,711号);電子移
動剤(米国特許第4,859,578号、同4,91
2,025号);ヒドロキノン、アミノフェノール、ア
ミン、没食子酸の誘導体等のようなカブリ防止剤及び混
色防止剤;カテコール;アスコルビン酸;ヒドラジド;
スルホンアミドフェノール;及び非発色性カプラーを用
いることも考えられる。
【0085】また、写真要素は、コロイド状銀ゾル又は
イエロー及び/もしくはマゼンタフィルター色素及び/
又はハレーション防止色素を(特に支持体のすべての感
光層が配置されている側とは反対側に又はすべての感光
層の下方のアンダーコートに)水中油型分散体、ラテッ
クス分散体としてか、固体粒子分散体としてを含んでな
るフィルター色素層を含有することもできる。更に、写
真要素は、「スミアリング(smearing)」カプラー(例
えば、米国特許第4,366,237号、欧州特許9
6,570号、米国特許第4,420,556号及び同
4,543,323号明細書に記載されているようなも
の)と共に使用することができる。また、当該組成物
は、例えば、特願昭61−258249号もしくは米国
特許第5,019,492号明細書に記載されるような
保護された形態で、ブロックもしくは塗布されていても
よい。
【0086】写真要素は、さらに、他の画像改良化合
物、例えば、「現像抑制剤放出型」化合物(DIR)を
含有することができる。本発明の要素に有用な追加のD
IRは、当該技術分野では公知であり、それらの例は、
米国特許第3,137,578号、同3,148,02
2号、同3,148,062号、同3,227,554
号、同3,384,657号、同3,379,529
号、同3,615,506号、同3,617,291
号、同3,620,746号、同3,701,783
号、同3,733,201号、同4,049,455
号、同4,095,984号、同4,126,459
号、同4,149,886号、同4,150,228
号、同4,211,562号、同4,248,962
号、同4,259,437号、同4,362,878
号、同4,409,323号、同4,477,563
号、同4,782,012号、同4,962,018
号、同4,500,634号、同4,579,816
号、同4,607,004号、同4,618,571
号、同4,678,739号、同4,746,600
号、同4,746,601号、同4,791,049
号、同4,857,447号、同4,865,959
号、同4,880,342号、同4,886,736
号、同4,937,179号、同4,946,767
号、同4,948,716号、同4,952,485
号、同4,956,269号、同4,959,299
号、同4,966,835号、同4,985,336号
明細書、並びに特許公報英国特許第1,560,240
号、同2,007,662号、同2,032,914
号、同2,099,167号、ドイツ国特許第2,84
2,063号、同2,937,127号、同3,63
6,824号、及び同3,644,416号、並びにヨ
ーロッパ特許公開公報272,573号、同335,3
19号、同336,411号、同346,899号、同
362,870号、同365,252号、同365,3
46号、同373,382号、同376,212号、同
377,463号、同378,236号、同384,6
70号、同396,486号、同401,612号、同
401,613号に記載されている。
【0087】また、DIR化合物は、「Developer-Inhi
bitor-Releasing (DIR )Couplersfor Color Photogra
phy」、C.R. Barr, J.R. Thirtle 及びP.W. VittuminPh
otographic Scienceand Enginieering、第13巻、174 頁
(1969)にも記載されている。
【0088】本発明の概念は、リサーチ・ディスクロー
ジャー(1979年11月、第18716項)に記載されて
いるように、反射カラープリントを得るために使用する
こともできる。本発明の要素を形成する乳剤及び材料
は、米国特許第4,917,994号明細書に記載され
ているようなpH調整済支持体上に、欧州特許第16
4,961号明細書に記載されているようなエポキシ溶
剤と共に、例えば米国特許第4,346,165号、同
第4,540,653号及び同第4,906,559号
明細書に記載されているような別の安定剤と共に、カル
シウムなどの多価カチオンに対する感度を低下させるた
めの米国特許第4,994,359号明細書に記載され
ているようなバラスト化キレート化剤と共に、そして米
国特許第5,068,171号及び同第5,096,8
05号明細書に記載されているようなステイン低減性化
合物と共に、塗布することができる。本発明の要素に有
用となりえる他の化合物については、以下の日本特許出
願公開公報に開示されている:83−9959、83−
62586、90−72629、90−72630、9
0−72632、90−72633、90−7263
4、90−77822、90−78229、90−78
230、90−79336、90−79338、90−
79690、90−79691、90−80487、9
0−80489、90−80490、90−8049
1、90−80492、90−80494、90−85
928、90−86669、90−86670、90−
87361、90−87362、90−87363、9
0−87364、90−88096、90−8809
7、90−93662、90−93663、90−93
664、90−93665、90−93666、90−
93668、90−94055、90−94056、9
0−101937、90−103409、90−151
577。
【0089】本発明の写真要素は、リサーチ・ディスク
ロージャーIに記載されているものをはじめとする既知
の技術のいずれかによって像様露光することが好まし
い。この方法は、典型的には、スペクトルの可視領域の
光に晒すことであり、一般にはレンズを通した生画像の
露光であるが、露光は発光装置(例、発光ダイオード、
CRT、等)による保存画像に対する露光であってもよ
い。本発明の写真要素がフィルムの複製又はプリント材
料を目的とする場合、露光は、可視領域の光をカラーネ
ガ又はポジ像及び適当な焦点レンズに通して行うことが
典型的である。
【0090】本発明の組成物を含む写真要素は、例え
ば、リサーチ・ディスクロージャーIやT.H. James編の
The Theory of the Photographic Process、第4版(Mac
millan, New York, 1977)に記載されている周知の処理
組成物のいずれかを使用した周知の写真処理法のいずれ
かにおいて処理することができる。ネガ型要素を処理す
る場合、要素を発色現像主薬(すなわち、カラーカプラ
ーにより着色画像色素を形成するもの)で処理した後
に、酸化剤及び溶剤で処理して銀とハロゲン化銀を除去
する。反転カラー要素を処理する場合、要素をまず黒白
現像主薬(すなわち、カプラー化合物による着色色素を
生成しない現像主薬)で処理し、次にハロゲン化銀をカ
ブらせる処理(通常は化学的又は光学的なカブらせ処
理)を行い、その後に発色現像主薬で処理を行う。好適
な発色現像主薬はp−フェニレンジアミンである。好適
な具体例を以下に示す。4−アミノ−N,N−ジエチル
アニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N,N−ジ
エチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メチル−N−
エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)
アニリンセスキスルフェート水和物、4−アミノ−3−
メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)ア
ニリン硫酸塩、4−アミノ−3−β−(メタンスルホン
アミド)エチル−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、及
び4−アミノ−N−エチル−N−(2−メトキシエチ
ル)−m−トルイジン ジ−p−トルエンスルホン酸で
ある。
【0091】色素像は、色素像生成性還元剤と共に、Bi
ssonetteの米国特許第3,748,138号、同第3,
826,652号、同第3,862,842号及び同第
3,989,526号並びにTravisの米国特許第3,7
65,891号に記載されているように不活性遷移金属
イオン錯体酸化剤を、及び/又はMatejecの米国特許第
3,674,490号、リサーチ・ディスクロージャ
ー、第116巻、1973年12月、第11660項及びBis
sonetteのリサーチ・ディスクロージャー、第148
巻、1976年8月、第14836項に記載されているよう
に過酸化物系酸化剤を使用する方法によって形成又は増
幅することができる。写真要素は、Dunnらの米国特許第
3,822,129号、Bissonetteの米国特許第3,8
34,907号及び同第3,902,905号、Bisson
etteらの米国特許第3,847,619号、Mowreyの米
国特許第3,904,413号、Hiraiらの米国特許第
4,880,725号、Iwanoの米国特許第4,95
4,425号、Marsdenらの米国特許第4,983,5
04号、Evansらの米国特許第5,246,822号、T
wistの米国特許第5,324,624号、Fysonの欧州
特許第0 487 616号、Tannahillらの国際公開
第WO90/13059号、Marsdenらの国際公開第W
O90/13061号、Grimseyらの国際公開第WO9
1/16666号、Fysonの国際公開第WO91/17
479号、Marsdenらの国際公開第WO92/0197
2号、Tannahillの国際公開第WO92/05471
号、Hensonの国際公開第WO92/07299号、Twis
tの国際公開第WO93/01524号及び同第WO9
3/11460号並びにWingenderらの独国OLS
4,211,460号に記載されているような処理法に
より色素像を形成するように特別に適合させることがで
きる。現像工程に続いて、銀又はハロゲン化銀を除去す
る漂白−定着工程、水洗工程及び乾燥工程を行う。
【0092】
【実施例】以下の例は、本発明による乳剤及び写真要素
の製造を説明するものである。緑増感用乳剤の析出 乳剤E−1 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
5%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−1)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.1リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
7gのNaBr、0.58gのPLURONIC 31R1(商標)
(BASFより入手可能なポリアルキレンオキシドブロック
コポリマー系界面活性剤)、0.86gのチオエーテル
(エタノール、2,2’−(1,2−エタンジイルビス
(チオ)ビス−) B:4.0リットルの1.425モルAgNO3 C:4.5リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.5モル%) D:30mLの水に溶かした1.60mgのK2IrC
6
【0093】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
44℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェット方
式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAg
を9.00に保ちながら、一定流速で添加した。1分
後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止して
から1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.65まで低下するように、制御した。さらに24.
5分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法(discrete wavelength turbidimetry)で測
定したところ、0.15μmであった。
【0094】乳剤E−2 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
4%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−2)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:9.1リットルの水、202.8gの骨ゼラチン、
4.79gのNaBr、2.25gのPLURONIC 31R1
(商標)、1.57gのチオエーテル(エタノール、
2,2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス
−) B:3.92リットルの2.96モルAgNO3 C:4.59リットルの2.65モル全NaBr/KI
(KI中3.4モル%) D:7.98gの4.0モルHNO3及び41.2mL
の水で溶かした1.59mgのK2IrCl6
【0095】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
50℃に加熱した。34mLの溶液B及びCを、ダブル
ジェット方式により同一の一定流速で30秒間添加し
た。次の3分間、溶液Bの添加速度を42.6mL/分
に保ち、そして溶液Cの流速をpAgが7.73に上昇
するように制御した。pAgが7.73になった後、溶
液Bの流速を21.3mL/分に低下させ、次いで2分
間かけて23mL/分まで上昇させ、その間に溶液Dを
一定速度で添加し、そして溶液Cの流速をpAgが7.
73で制御されるように調整した。その後、溶液Bの流
速を45.9mL/分に設定し、そして続く33.1分
間かけて155.5mL/分まで直線的に上昇させ、そ
の間に溶液Cの流速をpAgが7.73で一定に維持さ
れるように制御した。この後、添加を停止し、溶液を4
0℃まで冷却して限外濾過にかけた。単分散形立方体乳
剤粒子の平均ESDを離散波長濁度法で測定したとこ
ろ、0.33μmであった。
【0096】乳剤E−3 乳剤E−3の調製は、溶液Aを下記のように変更した点
を除き、E−2と同様にした。 A:9.1リットルの水、202.8gの骨ゼラチン、
4.79gのNaBr、2.25gのPLURONIC 31R1
(商標)、2.13gのチオエーテル(エタノール、
2,2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス
−) このようにして得られた単分散形立方体乳剤粒子の平均
ESDを離散波長濁度法で測定したところ、0.40μ
mであった。
【0097】緑増感:化学及び分光 下記a〜fを用いて乳剤E−1、E−2及びE−3を化
学及び分光増感した。 a:色素G1及びG2 b:ベンゾルチアゾリウム仕上げ調節剤(ベンゾチアゾ
リウム、5,6−ジメトキシ−3−(3−スルホプロピ
ル)−、内部塩) c:ジチオ硫酸金ナトリウム d:チオ硫酸ナトリウム5水和物 e:一般にブロモ−TAIとして知られているアザイン
デン化合物[(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)
ピリミジン−7−オール、6−ブロモ−5−メチル−] f:一般にTAIとして知られているアザインデン化合
物[(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)ピリミジ
ン−7−オール、5−メチル−、ナトリウム塩] さらに、コーティングする前に、カブリ防止剤と金属イ
オン封鎖剤、HB−3を添加した。実験用バリエーショ
ンとして、2電子供与性増感剤FED−2をコーティン
グ前に添加したものも調製した。
【0098】
【化42】
【化43】
【0099】緑増感乳剤の塗布/評価 次いで、被覆量75mg/ft2(0.825g/m2
の緑増感ハロゲン化銀乳剤と、150mg/ft
2(1.65g/m2)のシアン色素生成性カプラーC1
と、300mg/ft2(3.3g/m2)のゼラチンベ
ヒクルとからなるコーティングを調製した。その後、ビ
スビニルスルホニルメチルエーテル硬膜剤をゼラチンに
対して1.8質量%含有する250mg/ft2(2.
75g/m2)のゼラチンオーバーコートを被覆した。
写真評価のため、色温度3000Kのタングステンラン
プを濾過して実効色温度5500Kにし、さらにKodak
Wrattenフィルター第9番と濃度段階0.2で0〜4の
濃度単位にわたるステップウェッジで濾過した光で各コ
ーティングストリップを0.01秒間露光した。露光し
たフィルムストリップを標準のC−41試薬で処理し
た。写真感度(スピード)をdminより濃度単位で0.
15高い点で測定し、log相対感度(log S)で報告
した。
【0100】すべてのコーティングについて、FED−
2を添加したことを除いて同様に処理したコーティング
に対するdminの成長と獲得したスピードを比較するこ
とにより、FED−2添加の効果を評価した。スピード
が高くなり、dminの成長が抑えられるほど、結果は良
好となる。これらの実験では、dminの成長が濃度単位
で0.05よりも大きい場合には、許容できないものと
みなされる。
【0101】表1に、緑増感乳剤のデータをまとめた。
乳剤E−1では、FED−2濃度がスピード増分0.1
1log Sを与える最高レベルにある場合でさえ、対応す
るdminの上昇は0.014にすぎなかったことがわか
る。乳剤E−2では、最低レベルのFED−2が同様の
スピード増分0.10log Sを与えたが、dmin上昇は
中程度(しかし許容できる)0.047であった。しか
しながら、最も大きな乳剤では、最低レベルのFED−
2が同様のスピード増分(0.13log S)を与えた
が、dmin上昇は濃度単位で0.094となり許容でき
ない値であった。比較的小さい二種類の乳剤のFED−
2による応答は、最大乳剤と比べて、有用なスピード増
加を許容できるdmin上昇で与える点で、有利である。
この点、最も小さい乳剤のE−1が最高の性能を示して
いる。
【0102】表1:緑増感乳剤E−1、E−2、E−3
と共に塗布した各種レベルのFED−2について得られ
たΔdmin及びΔ着色スピード
【表1】
【0103】青増感用乳剤の析出 乳剤E−4 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−4)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.1リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
7gのNaBr、0.58gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.92gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.0リットルの1.425モルAgNO3 C:4.5リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:30mLの水に溶かした1.60mgのK2IrC
6
【0104】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
46℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェット方
式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAg
を8.94に保ちながら、一定流速で添加した。1分
後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止して
から1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.60まで低下するように、制御した。さらに24.
5分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.17μmであっ
た。
【0105】乳剤E−5 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−5)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.1リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
7gのNaBr、0.58gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.86gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.0リットルの1.425モルAgNO3 C:4.5リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:30mLの水で溶かした0.80mgのK2IrC
6
【0106】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
60℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェット方
式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAg
を8.55に保ちながら、一定流速で添加した。1分
後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止して
から1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.26まで低下するように、制御した。さらに24.
5分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.20μmであっ
た。
【0107】乳剤E−6 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−6)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.1リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
7gのNaBr、0.58gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.91gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.0リットルの1.425モルAgNO3 C:4.5リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:30mLの水で溶かした0.50mgのK2IrC
6
【0108】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
79℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェット方
式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAg
を8.08に保ちながら、一定流速で添加した。1分
後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止して
から1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
6.86まで低下するように、制御した。さらに24.
5分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.27μmであっ
た。
【0109】青増感:化学及び分光 下記a〜gを用いて乳剤E−4、E−5及びE−6を化
学及び分光増感した。 a:ジチオ硫酸金ナトリウム b:チオ硫酸ナトリウム5水和物 c:2−ベンゾオキサゾールアミン、N−2−プロピニ
ル− d:色素B1 e:ベンゾチアゾリウム、3,3’−(1,10−デカ
ンジイル)ビス−、ジブロミド f:一般にブロモ−TAIとして知られているアザイン
デン化合物[(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)
ピリミジン−7−オール、6−ブロモ−5−メチル−] g:一般にTAIとして知られているアザインデン化合
物[(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)ピリミジ
ン−7−オール、5−メチル−、ナトリウム塩] さらに、コーティングする前に、カブリ防止剤と金属イ
オン封鎖剤、HB−3を添加した。実験用バリエーショ
ンとして、2電子供与性増感剤FED−2をコーティン
グ前に添加したものも調製した。
【0110】
【化44】
【0111】青増感乳剤の塗布/評価 次いで、被覆量75mg/ft2(0.825g/m2
の増感ハロゲン化銀乳剤と、150mg/ft2(1.
65g/m2)のシアン色素生成性カプラーC1と、3
00mg/ft2(3.3g/m2)のゼラチンベヒクル
とからなるコーティングを調製した。その後、ビスビニ
ルスルホニルメチルエーテル硬膜剤をゼラチンに対して
1.8質量%含有する250mg/ft2(2.75g
/m2)のゼラチンオーバーコートを被覆した。写真評
価のため、色温度3000Kのタングステンランプを濾
過して実効色温度5500Kにし、さらにKodak Wratte
nフィルター第2B番と濃度段階0.2で0〜4の濃度
単位にわたるステップウェッジで濾過した光で各コーテ
ィングストリップを0.01秒間露光した。露光したフ
ィルムストリップを標準のC−41試薬で処理した。写
真感度(スピード)をdminより濃度単位で0.15高
い点で測定し、log相対感度(log S)で報告した。
【0112】FED−2を添加したことを除いて同様に
処理したコーティングに対するdminの成長と獲得した
スピードを比較することにより、FED−2添加の効果
を評価した。スピードが高くなり、dminの成長が抑え
られるほど、結果は良好となる。表2に、青増感乳剤の
データをまとめた。最小乳剤E−4では、FED−2濃
度がスピード増分0.24log Sを与える最高レベル
(48mg/Ag−モル)にある場合でさえ、対応する
dminの上昇は0.06にすぎなかったことがわかる。
dmin上昇が同等である場合、ESDが0.20μmの乳
剤E−5は、銀1モル当たり24mgのFED−2で処
理した時にスピード増分0.18log Sを与えた。最大
乳剤は、実質的に少ないレベルのFED−2(6mg/
Ag−モル)で処理した場合に、スピード増分が小さく
(0.04log S)、しかもdmin上昇は濃度単位で
0.12であった。これらのデータは、ESDが0.2
5μm以下の乳剤は、dmin上昇が比較的低いのにスピー
ドが増加するので、有利であることを示している。
【0113】表2:青増感乳剤E−4、E−5、E−6
と共に塗布した各種レベルのFED−2について得られ
たΔdmin及びΔ着色スピード
【表2】
【0114】赤増感用乳剤の析出 乳剤E−7 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−7)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.1リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
5gのNaBr、0.48gのPLURONIC 31R1(商標) B:4.6リットルの1.425モルAgNO3 C:4.6リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:46.5mLの水に溶かした9.60mgのK2
rCl6
【0115】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
36℃にした。溶液B及びCを、ダブルジェット方式
で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAgを
9.23に保ちながら、一定流速で添加した。1分後、
溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止してから
1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて7.8
5まで低下するように、制御した。さらに24.1分
後、添加を停止し、溶液を40℃に温めて限外濾過にか
けた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離散波長
濁度法で測定したところ、0.07μmであった。
【0116】乳剤E−8 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−8)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.0リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
4gのNaBr、0.48gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.40gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.6リットルの1.425モルAgNO3 C:4.6リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:28.6mLの水で溶かした1.44mgのK2
rCl6
【0117】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
41.5℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェッ
ト方式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のp
Agを9.06に保ちながら、一定流速で添加した。1
分後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止し
てから1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.70まで低下するように、制御した。さらに24.
1分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.11μmであっ
た。
【0118】乳剤E−9 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−9)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.0リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
4gのNaBr、0.48gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.575gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.6リットルの1.425モルAgNO3 C:4.6リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:46.5mLの水で溶かした3.3mgのK2Ir
Cl6
【0119】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
40℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェット方
式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のpAg
を9.11に保ちながら、一定流速で添加した。1分
後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止して
から1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.74まで低下するように、制御した。さらに24.
1分後、添加を停止し、溶液を40℃に維持して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.13μmであっ
た。
【0120】乳剤E−10 ヨウ化物相が均質に分布している全ヨウ化物含有量3.
3%のヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−10)を調製し
た。下記溶液を調製した。 A:6.0リットルの水、118gの骨ゼラチン、2.
4gのNaBr、0.48gのPLURONIC 31R1(商
標)、0.86gのチオエーテル(エタノール、2,
2’−(1,2−エタンジイルビス(チオ)ビス−) B:4.6リットルの1.425モルAgNO3 C:4.6リットルの1.430モル全NaBr/KI
(KI中3.3モル%) D:28.5mLの水で溶かした1.24mgのK2
rCl6
【0121】溶液Aを20リットルの反応容器に入れて
51.5℃に加熱した。溶液B及びCを、ダブルジェッ
ト方式で、溶液Cの流速を調整することにより溶液のp
Agを8.77に保ちながら、一定流速で添加した。1
分後、溶液Dを1分間添加した。溶液Dの添加を停止し
てから1分後、溶液Cの流速を、pAgが3分間かけて
7.44まで低下するように、制御した。さらに24.
1分後、添加を停止し、溶液を40℃に冷却して限外濾
過にかけた。単分散形立方体乳剤粒子の平均ESDを離
散波長濁度法で測定したところ、0.18μmであっ
た。
【0122】赤増感:化学及び分光 下記a〜gを用いて乳剤E−7〜E−10を化学及び分
光増感した。 a:ジチオ硫酸金ナトリウム b:チオ硫酸ナトリウム5水和物 c:2−ベンゾオキサゾールアミン、N−2−プロピニ
ル− d:色素R1 e:ベンゾチアゾリウム、3,3’−(1,10−デカ
ンジイル)ビス−、ジブロミド f:一般にブロモ−TAIとして知られているアザイン
デン化合物[(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)
ピリミジン−7−オール、6−ブロモ−5−メチル−] g:(E−10を除き)ベンゼンスルホノチオン酸、4
−メチル−、カリウム塩とベンゼンスルフィン酸、4−
メチル−、ナトリウム塩との質量比10対1の混合物 さらに、コーティングする前に、カブリ防止剤と金属イ
オン封鎖剤、HB−3を添加した。実験用バリエーショ
ンとして、2電子供与性増感剤FED−2をコーティン
グ前に添加したものも調製した。
【0123】
【化45】
【0124】赤増感乳剤の塗布/評価 次いで、被覆量40mg/ft2(0.44g/m2)の
増感ハロゲン化銀乳剤と、60mg/ft2(0.66
g/m2)のシアン色素生成性カプラーC1と、300
mg/ft2(3.3g/m2)のゼラチンベヒクルとか
らなるコーティングを調製した。その後、ビスビニルス
ルホニルメタン硬膜剤をゼラチンに対して1.4質量%
含有する50mg/ft2(0.55g/m2)のゼラチ
ンオーバーコートを被覆した。写真評価のため、色温度
3000Kのタングステンランプを濾過して実効色温度
5500Kにし、さらにKodak Wrattenフィルター第2
B番と濃度段階0.2で0〜4の濃度単位にわたるステ
ップウェッジで濾過した光で各コーティングストリップ
を0.01秒間露光した。露光したフィルムストリップ
を標準のC−41試薬で処理した。写真感度(スピー
ド)をdminより濃度単位で0.15高い点で測定し、
log相対感度(log S)で報告した。
【0125】FED−2を添加したことを除いて同様に
処理したコーティングに対するdminの成長と獲得した
スピードを比較することにより、FED−2添加の効果
を評価した。スピードが高くなり、dminの成長が抑え
られるほど、結果は良好となる。表3に、赤増感乳剤の
データをまとめた。最小乳剤E−7では、FED−2濃
度がスピード増分0.33log Sを与える最高レベル
(25mg/Ag−モル)にある場合でさえ、dminの
有意な上昇はまったくなかったことがわかる。ESDが
0.11μmの乳剤E−8は、銀1モル当たり2mgの
FED−2で処理した時にスピード増分0.10log S
を与えた。補間すると、約0.20log Sのスピード増
加が、約0.05のdmin上昇で達成できるであろうこ
とが予想できる。ESDが0.13μmの乳剤E−9
は、E−8と同等の結果を与えたが、そのFED−2レ
ベルは約半分であった。最大乳剤は、銀1モル当たりの
FED−2レベル0.1〜0.25mgの範囲で許容で
きるdmin成長を超えている。これらのデータは、ES
Dが0.15μm以下の乳剤は、dmin上昇が比較的低い
のにスピードが増加するので、特に有利であることを示
している。
【0126】表3:赤増感乳剤E−7〜E−10と共に
塗布した各種レベルのFED−2について得られたΔd
min及びΔ着色スピード
【表3】
【0127】追加の乳剤の析出及び赤増感 乳剤E−11 析出に用いられるK2IrCl6の量と増感に用いられる
N−2−プロピニル−2−ベンゾオキサゾールアミンの
量を変動させる基準として、乳剤E−7とまったく同様
にしてヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−11)を調製し
た。乳剤E−12 増感工程でN−2−プロピニル−2−ベンゾオキサゾー
ルアミンを一切使用しなかったことを除き、乳剤E−1
1と同様に調製した。乳剤E−13 溶液Dを下記組成としたことを除き、乳剤E−11とま
ったく同様にしてヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E−1
3)を調製した。D:46.5mLの水に溶かした1
9.2mgのK2IrCl6(すなわち、乳剤E−11の
2倍量)乳剤E−14 増感工程でN−2−プロピニル−2−ベンゾオキサゾー
ルアミンを一切使用しなかったことを除き、乳剤E−1
3と同様に調製した。乳剤E−15 溶液Dを省略したことを除き、乳剤E−11及びE−1
3とまったく同様にしてヨウ臭化銀立方体乳剤(乳剤E
−15)を調製した(すなわち、乳剤E−15はK2
rCl6を一切含まない)。乳剤E−16 増感工程でN−2−プロピニル−2−ベンゾオキサゾー
ルアミンを一切使用しなかったことを除き、乳剤E−1
5と同様に調製した。
【0128】乳剤E−11〜E−16を、乳剤E−7〜
E−10と同様に塗布して評価した。表4は、まず、析
出におけるK2IrCl6の使用量の変動による効果が比
較的小さかったことを示している。実際、K2IrCl6
量の増加に伴うスピード低下量は小さかった。K2Ir
Cl6レベルを高めることによるFED−2効果の若干
の増大は、乳剤E−11、E−13及びE−15がいず
れも実験誤差範囲内のFED−2による同一スピードを
示したように、K2IrCl6にまつわるスピード低下分
をほぼ完全に相殺した。
【0129】表4はまた、N−2−プロピニル−2−ベ
ンゾオキサゾールアミンを増感工程で省略すると多少の
スピード低下を招くけれども、コーティングにFED−
2を使用することにより実現されるスピード増加の方が
実質的に大きく、実際に増感工程での変化による低下分
を大幅に相殺したことも示している。総合すると、表4
は、この小さな立方体乳剤におけるFED−2の有利な
効果が、Irドーパントの有無にもN−2−プロピニル
−2−ベンゾオキサゾールアミンの有無にもかかわら
ず、認められ得ることを示している。
【0130】表4:赤増感乳剤E−11〜E−16と共
に塗布したFED−2について得られたΔdmin及びΔ
着色スピード
【表4】
【0131】以下、本発明の好ましい実施態様を項分け
記載する。 [1]等価球直径0.35μm以下の3D乳剤粒子を含むハ
ロゲン化銀乳剤層を一層以上含んで成るハロゲン化銀写
真要素であって、前記乳剤層がさらに、一般式X−Y’
で表わされるフラグメント化可能な電子供与体化合物又
は一般式−X−Y’で表わされる部分を含有する化合物
を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真要素。(上式
中、Xは電子供与体部分であり、Y’は脱離性プロトン
H又は脱離基Yであるが、但し、Y’がプロトンである
場合には、Xに直接又は間接的に塩基β-が共有結合し
ており、さらに、 1)X−Y’の酸化電位は0〜1.4 Vの間にあり、 2)X−Y’の酸化形は結合開裂反応を経てラジカルX・
と脱離性フラグメントY’を与え、そして 3)ラジカルX・の酸化電位は≦-0.7 Vである。)
【0132】[2]3D乳剤粒子の形態が立方体であ
る、[1]項に記載の写真要素。 [3]ハロゲン化銀が臭化銀又はヨウ臭化銀を含むもの
である、[1]又は[2]項に記載の写真要素。 [4]ハロゲン化銀がヨウ臭化銀を含むものである、
[3]項に記載の写真要素。 [5]Xが下記構造式(I)、(II)、(III)又は(IV)で表わ
されるものである、[1]〜[4]項のいずれか1項に
記載の写真要素。
【0133】
【化46】
【0134】(上式中、R1はR、カルボキシル、アミ
ド、スルホンアミド、ハロゲン、NR2、(OH)n
(OR’)n又は(SR)nを表わし、R’はアルキル又
は置換アルキルを表わし、nは1〜3であり、R2はR
又はAr’を表わし、R3はR又はAr’を表わし、R2
とR3とで5〜8員環を形成することができ、mは0又
は1であり、ZはO、S、Se又はTeを表わし、R2
とArとが結合して5〜8員環を形成することができ、
3とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
き、Ar’はアリール基又は複素環式基を表わし、そし
てRは水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基を表
わす。)
【0135】
【化47】
【0136】(上式中、Arはアリール基又は複素環式
基を表わし、R4はハメットシグマ値が-1〜+1の範囲内
にある置換基を表わし、R5はR又はAr’を表わし、
6及びR7はR又はAr’を表わし、R5とArとが結
合して5〜8員環を形成することができ、R6とArと
が結合して5〜8員環を形成することができ(この場
合、R6は異種原子であることができ)、R5とR6とが
結合して5〜8員環を形成することができ、R6とR7
が結合して5〜8員環を形成することができ、Ar’は
アリール基又は複素環式基を表わし、そしてRは水素原
子又は無置換もしくは置換アルキル基を表わす。)
【0137】
【化48】
【0138】(上式中、WはO、S又はSeを表わし、
Arはアリール基又は複素環式基を表わし、R8はR、
カルボキシル、NR2、(OR)n又は(SR)n(n=
1〜3)を表わし、R9及びR10はR又はAr’を表わ
し、R9とArとが結合して5〜8員環を形成すること
ができ、Ar’はアリール基又は複素環式基を表わし、
そしてRは水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基
を表わす。)
【0139】
【化49】
【0140】(上式中、「ring」は置換された又は無置
換の5〜7員不飽和環を表わす。) [6]Y’が下記(1)〜(5)のいずれかである、[1]〜
[5]項のいずれか1項に記載の写真要素。 (1)X’(ここで、X’は構造式I〜IVで定義したXであ
り、それが結合しているX基と同一であっても異なって
もよい。)
【0141】
【化50】
【0142】(ここで、MはSi、Sn又はGeであ
り、またR’はアルキル又は置換アルキルである。)
【0143】
【化51】 (ここで、Ar”はアリール又は置換アリールであ
る。)
【0144】
【化52】
【0145】[7]前記フラグメント化可能な電子供与
体化合物が下記一般式で表わされる化合物の中から選ば
れた、[1]項に記載の写真要素。
【0146】
【化53】
【0147】(上式中、Zは吸光性基を表わし、kは1
又は2であり、Aはハロゲン化銀吸着性基を表わし、L
は、少なくとも1つのC、N、S、P又はO原子を含有
する結合基を表わし、そしてQは、X−Y’との共役時
にアミジニウムイオン、カルボキシルイオン又は双極ア
ミドの発色団系を含む発色団を形成するのに必要な原子
群を表わす。)
【0148】
【発明の効果】本発明は、写真感度の向上した小サイズ
の3D乳剤を提供する。当該乳剤は、優れた画像構造
(すなわち、低粒状度及び高鮮鋭性)が必要とされる写
真要素において特に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロジャー ダブリュ.ネルソン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14450, フェアポート,クラークス クロッシング 10 (72)発明者 アンナベル エー.ミューエンター アメリカ合衆国,ニューヨーク 14625, ロチェスター,パーク プレイス 9

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 等価球直径0.35μm以下の3D乳剤粒子
    を含むハロゲン化銀乳剤層を一層以上含んで成るハロゲ
    ン化銀写真要素であって、前記乳剤層がさらに、一般式
    X−Y’で表わされるフラグメント化可能な電子供与体
    化合物又は一般式−X−Y’で表わされる部分を含有す
    る化合物を含むことを特徴とするハロゲン化銀写真要
    素。(上式中、Xは電子供与体部分であり、Y’は脱離
    性プロトンH又は脱離基Yであるが、但し、Y’がプロ
    トンである場合には、Xに直接又は間接的に塩基β-
    共有結合しており、さらに、 1)X−Y’の酸化電位は0〜1.4 Vの間にあり、 2)X−Y’の酸化形は結合開裂反応を経てラジカルX・
    と脱離性フラグメントY’を与え、そして 3)ラジカルX・の酸化電位は≦-0.7 Vである。)
  2. 【請求項2】 Xが下記構造式(I)、(II)、(III)又は(I
    V)で表わされるものである、請求項1に記載の写真要
    素。 【化1】 (上式中、 R1はR、カルボキシル、アミド、スルホンアミド、ハ
    ロゲン、NR2、(OH)n、(OR’)n又は(SR)n
    を表わし、 R’はアルキル又は置換アルキルを表わし、 nは1〜3であり、 R2はR又はAr’を表わし、 R3はR又はAr’を表わし、 R2とR3とで5〜8員環を形成することができ、 mは0又は1であり、 ZはO、S、Se又はTeを表わし、 R2とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 R3とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 Ar’はアリール基又は複素環式基を表わし、そしてR
    は水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基を表わ
    す。) 【化2】 (上式中、 Arはアリール基又は複素環式基を表わし、 R4はハメットシグマ値が-1〜+1の範囲内にある置換基
    を表わし、 R5はR又はAr’を表わし、 R6及びR7はR又はAr’を表わし、 R5とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 R6とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
    き(この場合、R6は異種原子であることができ)、 R5とR6とが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 R6とR7とが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 Ar’はアリール基又は複素環式基を表わし、そしてR
    は水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基を表わ
    す。) 【化3】 (上式中、 WはO、S又はSeを表わし、 Arはアリール基又は複素環式基を表わし、 R8はR、カルボキシル、NR2、(OR)n又は(S
    R)n(n=1〜3)を表わし、 R9及びR10はR又はAr’を表わし、 R9とArとが結合して5〜8員環を形成することがで
    き、 Ar’はアリール基又は複素環式基を表わし、そしてR
    は水素原子又は無置換もしくは置換アルキル基を表わ
    す。) 【化4】 (上式中、 「ring」は置換された又は無置換の5〜7員不飽和環を
    表わす。)
  3. 【請求項3】 前記フラグメント化可能な電子供与体化
    合物が下記一般式で表わされる化合物の中から選ばれ
    た、請求項1に記載の写真要素。 【化5】 (上式中、 Zは吸光性基を表わし、 kは1又は2であり、 Aはハロゲン化銀吸着性基を表わし、 Lは、少なくとも1つのC、N、S、P又はO原子を含
    有する結合基を表わし、そしてQは、X−Y’との共役
    時にアミジニウムイオン、カルボキシルイオン又は双極
    アミドの発色団系を含む発色団を形成するのに必要な原
    子群を表わす。)
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