JP2001279241A - 炭酸カルシウム質蛍光体およびその製造方法 - Google Patents
炭酸カルシウム質蛍光体およびその製造方法Info
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- JP2001279241A JP2001279241A JP2000092704A JP2000092704A JP2001279241A JP 2001279241 A JP2001279241 A JP 2001279241A JP 2000092704 A JP2000092704 A JP 2000092704A JP 2000092704 A JP2000092704 A JP 2000092704A JP 2001279241 A JP2001279241 A JP 2001279241A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 きわめて安価に供給できる、新規な炭酸カル
シウム質蛍光体と、それを発光成分とする赤色または青
色蛍光組成物を提供すること。それらの蛍光体を製造す
る方法を提供することも含む。 【解決手段】 水可溶性のカルシウム化合物および3価
のユーロピウム化合物の混合水溶液に炭酸イオンを添加
して、炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出さ
せ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭酸
カルシウムの結晶化を進める。バテライト型構造を主体
とする、Eu3+付活赤色発色炭酸カルシウムの結晶が得
られる。この蛍光体は、ブラックライトすなわち近紫外
光の照射下で、赤色に発光する。これを加熱処理するこ
とにより、バテライト型構造にカルサイト型構造が加わ
ったEu2+付活青色発色炭酸カルシウムの結晶が得られ
る。この蛍光体は、青色に発光する。これらの蛍光体
を、たとえば塗料、コンクリートあるいはプラスチック
に加えることにより、さまざまな形態の蛍光組成物が得
られる。
シウム質蛍光体と、それを発光成分とする赤色または青
色蛍光組成物を提供すること。それらの蛍光体を製造す
る方法を提供することも含む。 【解決手段】 水可溶性のカルシウム化合物および3価
のユーロピウム化合物の混合水溶液に炭酸イオンを添加
して、炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出さ
せ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭酸
カルシウムの結晶化を進める。バテライト型構造を主体
とする、Eu3+付活赤色発色炭酸カルシウムの結晶が得
られる。この蛍光体は、ブラックライトすなわち近紫外
光の照射下で、赤色に発光する。これを加熱処理するこ
とにより、バテライト型構造にカルサイト型構造が加わ
ったEu2+付活青色発色炭酸カルシウムの結晶が得られ
る。この蛍光体は、青色に発光する。これらの蛍光体
を、たとえば塗料、コンクリートあるいはプラスチック
に加えることにより、さまざまな形態の蛍光組成物が得
られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な炭酸カルシ
ウム質蛍光体とその製造方法に関し、この蛍光体を発光
成分とする蛍光組成物を包含する。本発明の蛍光体は、
近紫外光の照射を受けて青色に発光する。
ウム質蛍光体とその製造方法に関し、この蛍光体を発光
成分とする蛍光組成物を包含する。本発明の蛍光体は、
近紫外光の照射を受けて青色に発光する。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物等を母材とし、これに希土類
元素の酸化物を付活剤として添加した在来の無機蛍光体
は、付活剤を固溶置換させるために、たとえば1,70
0℃という高温で処理する必要があること、および添加
する希土類酸化物が高価であるうえに高純度であること
を必要とし、そのために製造コストが高くなることが避
けられなかった。
元素の酸化物を付活剤として添加した在来の無機蛍光体
は、付活剤を固溶置換させるために、たとえば1,70
0℃という高温で処理する必要があること、および添加
する希土類酸化物が高価であるうえに高純度であること
を必要とし、そのために製造コストが高くなることが避
けられなかった。
【0003】発明者らは、この問題を解決して製造コス
トの低い蛍光体を提供することを意図し、母材として安
価な炭酸カルシウムを採用するとともに、付活剤として
も安価であって、かつ高温での処理を必要としないか、
少なくともあまり高い温度での処理を必要としないもの
を用い、原料費も製造費もともに低廉ですみ、したがっ
てコストの安い蛍光体を研究して来た。
トの低い蛍光体を提供することを意図し、母材として安
価な炭酸カルシウムを採用するとともに、付活剤として
も安価であって、かつ高温での処理を必要としないか、
少なくともあまり高い温度での処理を必要としないもの
を用い、原料費も製造費もともに低廉ですみ、したがっ
てコストの安い蛍光体を研究して来た。
【0004】その成果の一部として、さきに、カルサイ
ト型の炭酸カルシウムに対する付活剤としてSn2+を用
いることにより青色の発光をする蛍光体を見出し、すで
に開示した(小島ほか,J. Ceram. Soc. Jpn., 105 39
5,1997;特開平10−226786)。炭酸カルシウ
ム蛍光体の利点としては、母体結晶が安価であるこ
と、低温度で合成できるため省エネルギーの要請に合
致すること、合成の初期段階で非晶質の炭酸カルシウ
ムが付活材をとりこみ易いこと、粒子の径や形状の制
御が容易であること、などが挙げられる。
ト型の炭酸カルシウムに対する付活剤としてSn2+を用
いることにより青色の発光をする蛍光体を見出し、すで
に開示した(小島ほか,J. Ceram. Soc. Jpn., 105 39
5,1997;特開平10−226786)。炭酸カルシウ
ム蛍光体の利点としては、母体結晶が安価であるこ
と、低温度で合成できるため省エネルギーの要請に合
致すること、合成の初期段階で非晶質の炭酸カルシウ
ムが付活材をとりこみ易いこと、粒子の径や形状の制
御が容易であること、などが挙げられる。
【0005】続いて、付活剤としてMn2+とPb2+とを
併用すると、赤色の発色をする蛍光体が得られることを
見出し、これについても発表した(川島ほか,「日本セ
ラミックス協会第13回関東支部研究発表講演要旨集」
(1997)p.15)。上記2種の蛍光体は、いずれも水銀原
子から放出される、波長が254nm付近の紫外光の照射
を受けて発光するものである。
併用すると、赤色の発色をする蛍光体が得られることを
見出し、これについても発表した(川島ほか,「日本セ
ラミックス協会第13回関東支部研究発表講演要旨集」
(1997)p.15)。上記2種の蛍光体は、いずれも水銀原
子から放出される、波長が254nm付近の紫外光の照射
を受けて発光するものである。
【0006】一方、バテライト型の結晶構造を有する炭
酸カルシウム質の蛍光体の研究も行ない、付活剤として
Ce3+およびMn2+を使用したCe−Mn付活炭酸カル
シウムが、「ブラックライト」と呼ばれる波長300〜
450nmの近紫外光で赤色の蛍光を発することを見出
し、この事実を利用した炭酸カルシウム質蛍光体をすで
に提案した(特願平11−67358号)。
酸カルシウム質の蛍光体の研究も行ない、付活剤として
Ce3+およびMn2+を使用したCe−Mn付活炭酸カル
シウムが、「ブラックライト」と呼ばれる波長300〜
450nmの近紫外光で赤色の蛍光を発することを見出
し、この事実を利用した炭酸カルシウム質蛍光体をすで
に提案した(特願平11−67358号)。
【0007】付活剤としてCe3+とともにTb3+を使用
したCe−Tb付活炭酸カルシウムは、波長300〜4
50nmの近紫外光で545nm付近に発色ピークをもつあ
ざやかな緑色の蛍光を発する。この事実も発表した(真
智ほか、「日本セラミックス協会第15回関東支部研究
発表講演要旨集」(1999)p.62)。
したCe−Tb付活炭酸カルシウムは、波長300〜4
50nmの近紫外光で545nm付近に発色ピークをもつあ
ざやかな緑色の蛍光を発する。この事実も発表した(真
智ほか、「日本セラミックス協会第15回関東支部研究
発表講演要旨集」(1999)p.62)。
【0008】その後の研究の結果、付活剤としてユーロ
ピウムEu3+を使用したとき、バテライト型の結晶構造
を有するEu3+付活炭酸カルシウムが、波長330nmの
近紫外光により励起されて、620nmに発色ピークを有
する赤色の蛍光を発すること、またこのEu3+付活炭酸
カルシウムを加熱するとEu2+付活炭酸カルシウムに変
化し、これは励起波長330nmに対して、発光ピーク波
長430nmの青色の蛍光を発することを見出した。
ピウムEu3+を使用したとき、バテライト型の結晶構造
を有するEu3+付活炭酸カルシウムが、波長330nmの
近紫外光により励起されて、620nmに発色ピークを有
する赤色の蛍光を発すること、またこのEu3+付活炭酸
カルシウムを加熱するとEu2+付活炭酸カルシウムに変
化し、これは励起波長330nmに対して、発光ピーク波
長430nmの青色の蛍光を発することを見出した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した発明者らの新しい知見を活用し、ブラックライト下
で有用である新規な赤色または青色発光炭酸カルシウム
質蛍光体と、それらを発光成分とする赤色または青色蛍
光組成物を提供することにある。そのような蛍光体を製
造する方法を提供することもまた、本発明の目的に含ま
れる。
した発明者らの新しい知見を活用し、ブラックライト下
で有用である新規な赤色または青色発光炭酸カルシウム
質蛍光体と、それらを発光成分とする赤色または青色蛍
光組成物を提供することにある。そのような蛍光体を製
造する方法を提供することもまた、本発明の目的に含ま
れる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の赤色発光炭酸カ
ルシウム質蛍光体は、バテライト型構造を有する炭酸カ
ルシウムであって、Eu3+により付活したことにより、
近紫外光の照射を受けて赤色の蛍光を発することを特徴
とする。
ルシウム質蛍光体は、バテライト型構造を有する炭酸カ
ルシウムであって、Eu3+により付活したことにより、
近紫外光の照射を受けて赤色の蛍光を発することを特徴
とする。
【0011】本発明の青色発光炭酸カルシウム質蛍光体
は、バテライト型構造を有する炭酸カルシウムであっ
て、Eu2+により付活したことにより、近紫外光の照射
を受けて青色の蛍光を発することを特徴とする。
は、バテライト型構造を有する炭酸カルシウムであっ
て、Eu2+により付活したことにより、近紫外光の照射
を受けて青色の蛍光を発することを特徴とする。
【0012】本発明の赤色または青色蛍光組成物は、こ
れらの炭酸カルシウム質蛍光体を発光成分として含有す
る、さまざまな形態の、たとえば塗料基礎成分に蛍光体
を添加した塗料、プラスチックに混練したマスターバッ
チ、それを成形したもの、あるいはコンクリートに混練
したものをも包含する。
れらの炭酸カルシウム質蛍光体を発光成分として含有す
る、さまざまな形態の、たとえば塗料基礎成分に蛍光体
を添加した塗料、プラスチックに混練したマスターバッ
チ、それを成形したもの、あるいはコンクリートに混練
したものをも包含する。
【0013】上記の赤色発光炭酸カルシウム質蛍光体す
なわちEu3+付活炭酸カルシウム質蛍光体を製造する本
発明の方法は、水可溶性のカルシウム化合物と、3価の
ユーロピウムの化合物との混合水溶液に、炭酸イオンを
添加して炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出
させ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭
酸カルシウムの結晶化を進め、バテライト型構造を有す
る炭酸カルシウムの結晶を得ることからなる。
なわちEu3+付活炭酸カルシウム質蛍光体を製造する本
発明の方法は、水可溶性のカルシウム化合物と、3価の
ユーロピウムの化合物との混合水溶液に、炭酸イオンを
添加して炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出
させ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭
酸カルシウムの結晶化を進め、バテライト型構造を有す
る炭酸カルシウムの結晶を得ることからなる。
【0014】上記の青色発光炭酸カルシウム質蛍光体す
なわちEu2+付活炭酸カルシウム質蛍光体を製造する本
発明の方法は、上記のようにして得られたEu3+付活炭
酸カルシウム質蛍光体を、20〜700℃、好ましくは
300〜400℃の温度に加熱して、バテライト型構造
を主体とし、それにカルサイト型構造が加わったEu 2+
付活炭酸カルシウム質蛍光体に変化させることからな
る。
なわちEu2+付活炭酸カルシウム質蛍光体を製造する本
発明の方法は、上記のようにして得られたEu3+付活炭
酸カルシウム質蛍光体を、20〜700℃、好ましくは
300〜400℃の温度に加熱して、バテライト型構造
を主体とし、それにカルサイト型構造が加わったEu 2+
付活炭酸カルシウム質蛍光体に変化させることからな
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の炭酸カルシウム質蛍光体
において、母材となる炭酸カルシウムに対する付活剤の
割合は、Eu/Caの原子比にして0.1以下、たとえ
ば後記する実施例の0.05とか、0.07とかの値が
適当である。適切な量の付活剤が使用されたとき、高い
相対発光強度が得られる。
において、母材となる炭酸カルシウムに対する付活剤の
割合は、Eu/Caの原子比にして0.1以下、たとえ
ば後記する実施例の0.05とか、0.07とかの値が
適当である。適切な量の付活剤が使用されたとき、高い
相対発光強度が得られる。
【0016】製造に当たり使用するカルシウム化合物、
3価のユーロピウム化合物は、水可溶性であり、かつ混
合によって変化しないものである限り、任意のものを選
択することができる。通常は、塩化物のような、水易溶
性の物質が好適である。炭酸イオンの添加は、下記の実
施例に見るような水可溶性な炭酸塩の水溶液の添加によ
って行なうのが便宜であるが、二酸化炭素ガスまたは二
酸化炭素含有ガスの吹き込みによって行なうこともでき
る。
3価のユーロピウム化合物は、水可溶性であり、かつ混
合によって変化しないものである限り、任意のものを選
択することができる。通常は、塩化物のような、水易溶
性の物質が好適である。炭酸イオンの添加は、下記の実
施例に見るような水可溶性な炭酸塩の水溶液の添加によ
って行なうのが便宜であるが、二酸化炭素ガスまたは二
酸化炭素含有ガスの吹き込みによって行なうこともでき
る。
【0017】Eu3+付活炭酸カルシウム質蛍光体は、使
用中に温度が高い環境に置かれると、Eu2+付活炭酸カ
ルシウム質蛍光体に変化することがある。それほど高い
温度でなくても、長期間が経過すれば変質する可能性が
ある。従って、前者を発光成分とする蛍光組成物の用途
には、おのずから制限がある。後者は安定形態であり、
もはや変化しないから、それを発光成分とする蛍光組成
物は、安心して長期間使用することができる。
用中に温度が高い環境に置かれると、Eu2+付活炭酸カ
ルシウム質蛍光体に変化することがある。それほど高い
温度でなくても、長期間が経過すれば変質する可能性が
ある。従って、前者を発光成分とする蛍光組成物の用途
には、おのずから制限がある。後者は安定形態であり、
もはや変化しないから、それを発光成分とする蛍光組成
物は、安心して長期間使用することができる。
【0018】
【実施例】[実施例1] Eu3+付活赤色発光炭酸カル
シウム質蛍光体 CaCl2の濃度0.1モル/dm3の溶液を用意し、これ
に所定の濃度のEuCl3溶液を添加して、混合溶液と
した。このとき、添加するEuCl3溶液量を変化させ
て、Eu/Caの原子比を0〜0.02の範囲内で調節
した。温度35℃において、この混合溶液に(NH4)2
CO3の濃度0.1モル/dm3の溶液を、Ca/CO3の
モル比が1.0となるように急激に加えた。白色のゲル
状物質(非晶質炭酸カルシウム)が生成したので、その
懸濁液を400rpmで10分間攪拌して結晶化を促し
た。
シウム質蛍光体 CaCl2の濃度0.1モル/dm3の溶液を用意し、これ
に所定の濃度のEuCl3溶液を添加して、混合溶液と
した。このとき、添加するEuCl3溶液量を変化させ
て、Eu/Caの原子比を0〜0.02の範囲内で調節
した。温度35℃において、この混合溶液に(NH4)2
CO3の濃度0.1モル/dm3の溶液を、Ca/CO3の
モル比が1.0となるように急激に加えた。白色のゲル
状物質(非晶質炭酸カルシウム)が生成したので、その
懸濁液を400rpmで10分間攪拌して結晶化を促し
た。
【0019】結晶化した生成物を濾過分離し、乾燥し
て、X線回折、原子吸光などの装置で分析した。蛍光特
性は、分光蛍光光度計を用い、発光ピーク波長および励
起波長を、250〜400nmの範囲で測定した。ゲルか
ら結晶化させて得た炭酸カルシウムは、95%がバテラ
イト型の構造を有していた。
て、X線回折、原子吸光などの装置で分析した。蛍光特
性は、分光蛍光光度計を用い、発光ピーク波長および励
起波長を、250〜400nmの範囲で測定した。ゲルか
ら結晶化させて得た炭酸カルシウムは、95%がバテラ
イト型の構造を有していた。
【0020】発光強度を測定したところ、図1に示すよ
うに、620nmをピーク波長とし、590nmにも低いピ
ークを有する発光が観測された。励起波長は、330nm
程度であった。Eu/Caの原子比は、0.003〜
0.010の範囲が好適であった。 [実施例2] Eu2+付活青色発光炭酸カルシウム質蛍
光体 実施例1で得た結晶を管状炉に入れ、窒素気流中で20
〜700℃の温度に0.5〜3時間加熱した。炭酸カル
シウムの構造が、一部バテライト型からカルサイト型に
変化し、バテライト:カルサイトの比が7:3となって
いた。
うに、620nmをピーク波長とし、590nmにも低いピ
ークを有する発光が観測された。励起波長は、330nm
程度であった。Eu/Caの原子比は、0.003〜
0.010の範囲が好適であった。 [実施例2] Eu2+付活青色発光炭酸カルシウム質蛍
光体 実施例1で得た結晶を管状炉に入れ、窒素気流中で20
〜700℃の温度に0.5〜3時間加熱した。炭酸カル
シウムの構造が、一部バテライト型からカルサイト型に
変化し、バテライト:カルサイトの比が7:3となって
いた。
【0021】この蛍光体は、励起波長330nmにおい
て、430nmにピークを有する発光を示した。図2に、
図1に対応する相対発光強度を示す。
て、430nmにピークを有する発光を示した。図2に、
図1に対応する相対発光強度を示す。
【0022】上記の窒素気流中の加熱を、温度を300
℃、350℃および400℃と変化させ、加熱時間は4
5分間の一定とし、得られた蛍光体の相対発光強度を測
定した。図3に示すように、加熱温度350℃の場合に
最大の発光が認められた。
℃、350℃および400℃と変化させ、加熱時間は4
5分間の一定とし、得られた蛍光体の相対発光強度を測
定した。図3に示すように、加熱温度350℃の場合に
最大の発光が認められた。
【0023】
【発明の効果】本発明の蛍光体は、原料の主体がCa塩
であってきわめて安価であり、付活剤Euはそれほど安
価とは言えないが、入手は容易であり、しかも使用量は
多くないから、原料のコストは高くない。製造は、常温
ないしわずかに温めた温度で、これらの水溶性塩の混合
水溶液に炭酸イオンを添加し、析出したゲル状物の懸濁
液を短い時間攪拌するという簡単な操作で可能であり、
加熱する場合でも300℃台の温度で足り、高温に加熱
する必要がないから、製造コストも最低限で足りる。
であってきわめて安価であり、付活剤Euはそれほど安
価とは言えないが、入手は容易であり、しかも使用量は
多くないから、原料のコストは高くない。製造は、常温
ないしわずかに温めた温度で、これらの水溶性塩の混合
水溶液に炭酸イオンを添加し、析出したゲル状物の懸濁
液を短い時間攪拌するという簡単な操作で可能であり、
加熱する場合でも300℃台の温度で足り、高温に加熱
する必要がないから、製造コストも最低限で足りる。
【0024】このように安価に提供できる蛍光体は、す
でに提案したいくつかの炭酸カルシウム質蛍光体と同様
に、従来の蛍光体ではコスト面で使用が困難であった分
野にも使用することができる。たとえば、塗料として、
紙、金属、木材、ガラス、布その他の材料の表面に塗布
したり浸透させたりして使用することができるし、セメ
ントモルタルやコンクリートへの混練物として、あるい
はプラスチック成形品として、道路や駐車場の標識、公
共建築物や一般住宅の各種表示、インテリア、エクステ
リアなど、任意の場面に適用できる。
でに提案したいくつかの炭酸カルシウム質蛍光体と同様
に、従来の蛍光体ではコスト面で使用が困難であった分
野にも使用することができる。たとえば、塗料として、
紙、金属、木材、ガラス、布その他の材料の表面に塗布
したり浸透させたりして使用することができるし、セメ
ントモルタルやコンクリートへの混練物として、あるい
はプラスチック成形品として、道路や駐車場の標識、公
共建築物や一般住宅の各種表示、インテリア、エクステ
リアなど、任意の場面に適用できる。
【0025】本発明の蛍光体の特徴は、紫外線のなかで
もブラックライト、すなわち肉眼で明るさを感じないが
紫外線としての有害性は低い近紫外光の照射により発光
することである。この特徴は、きわめて安価に提供でき
るという利点とあいまって、本発明の蛍光体を道路、看
板、各種の構築物・建築物に適用して、景観を改善した
り交通安全に役立てたりすることを可能にする。
もブラックライト、すなわち肉眼で明るさを感じないが
紫外線としての有害性は低い近紫外光の照射により発光
することである。この特徴は、きわめて安価に提供でき
るという利点とあいまって、本発明の蛍光体を道路、看
板、各種の構築物・建築物に適用して、景観を改善した
り交通安全に役立てたりすることを可能にする。
【図1】 本発明のEu3+付活赤色発色炭酸カルシウム
質蛍光体の、励起波長330nmにおける相対発光強度を
示すグラフ。
質蛍光体の、励起波長330nmにおける相対発光強度を
示すグラフ。
【図2】 本発明のEu2+付活青色発色炭酸カルシウム
質蛍光体の、励起波長330nmにおける相対発光強度を
示すグラフ。
質蛍光体の、励起波長330nmにおける相対発光強度を
示すグラフ。
【図3】 本発明のEu2+付活青色発色炭酸カルシウム
質蛍光体の、製造時の加熱温度が、相対発光強度に与え
る影響を示すグラフ。
質蛍光体の、製造時の加熱温度が、相対発光強度に与え
る影響を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 義宏 栃木県安蘇郡葛生町宮下町7−10 吉澤石 灰工業株式会社内 (72)発明者 松永 仁 栃木県安蘇郡葛生町宮下町7−10 吉澤石 灰工業株式会社内 Fターム(参考) 4H001 CF01 CF02 XA06 XA08 XA20 YA63
Claims (7)
- 【請求項1】 バテライト型構造を有する炭酸カルシウ
ムであって、ユーロピウムEu3+により付活したことに
より、近紫外光の照射を受けて赤色の蛍光を発すること
を特徴とする炭酸カルシウム質蛍光体。 - 【請求項2】 バテライト型構造を有する炭酸カルシウ
ムであって、ユーロピウムEu2+により付活したことに
より、近紫外光の照射を受けて青色の蛍光を発すること
を特徴とする炭酸カルシウム質蛍光体。 - 【請求項3】 Eu/Caの原子比が0.1以下である
請求項1または2の炭酸カルシウム質蛍光体。 - 【請求項4】 請求項1の炭酸カルシウム質蛍光体を発
光成分として含有する赤色蛍光組成物。 - 【請求項5】 請求項2の炭酸カルシウム質蛍光体を発
光成分として含有する青色蛍光組成物。 - 【請求項6】 水可溶性のカルシウム化合物と、3価の
ユーロピウムの化合物との混合水溶液に、炭酸イオンを
添加して炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出
させ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭
酸カルシウムの結晶化を進め、バテライト型構造をした
炭酸カルシウムの結晶を得ることからなるEu3+付活赤
色発光炭酸カルシウム質蛍光体の製造方法。 - 【請求項7】 水可溶性のカルシウム化合物と、3価の
ユーロピウムの化合物との混合水溶液に、炭酸イオンを
添加して炭酸カルシウムを主体とするゲル状物質を析出
させ、ついで、このゲルが懸濁している液を攪拌して炭
酸カルシウムの結晶化を進め、バテライト型構造をした
炭酸カルシウムの結晶を得、得られたEu3+付活炭酸カ
ルシウム質蛍光体を20〜700℃の温度に加熱して、
バテライト型構造を主体とし、それにカルサイト型構造
が加わったEu2+付活炭酸カルシウム質蛍光体とするこ
とからなるEu2+付活青色発光炭酸カルシウム質蛍光体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000092704A JP2001279241A (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | 炭酸カルシウム質蛍光体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
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JP2010007085A (ja) * | 2005-08-23 | 2010-01-14 | Samsung Electro Mech Co Ltd | 複合蛍光体粉末、及びこれを用いた発光装置並びに複合蛍光体粉末の製造方法 |
CN102585816A (zh) * | 2011-12-23 | 2012-07-18 | 浙江工业大学 | 一种重质碳酸钙基的铋铕共掺黄色荧光粉 |
JP2013006920A (ja) * | 2011-06-23 | 2013-01-10 | Nihon Univ | 蛍光体、及び蛍光体の製造方法 |
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