JP2001276035A - カソードスキャン型x線発生器及びx線ctスキャナ - Google Patents

カソードスキャン型x線発生器及びx線ctスキャナ

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JP2001276035A
JP2001276035A JP2000100159A JP2000100159A JP2001276035A JP 2001276035 A JP2001276035 A JP 2001276035A JP 2000100159 A JP2000100159 A JP 2000100159A JP 2000100159 A JP2000100159 A JP 2000100159A JP 2001276035 A JP2001276035 A JP 2001276035A
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勝弘 小野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】小型で信頼性が良い超高速X線CTスキャナ用
のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使った超
高速X線CTスキャナを提供する。特に、二次電子の影
響を減らす。 【解決手段】ドーナツ型の真空容器と、陰極側回転体組
立CRと、電子銃組立と、熱電子放出用の陰極と、環状
の陰極給電機構SL1とを有し、高速度で周回するX線
を発生させることが出来る超高速スキャン型X線CTス
キャナ用のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを
使ったX線CTスキャナであって、前記の陰極側回転体
組立の上に集電電極を取り付け、液体金属潤滑剤で潤滑
した動圧滑り軸受で構成される通電機構を介して、この
集電電極に真空容器VVの外部から一定の電位を付与し
て、二次電子の悪影響を防止する。通電機構SL3を構
成する動圧滑り軸受の開口部のギャップのサイズは鉛直
下方のほど小さくなっているので、液体金属潤滑剤を軸
受内部に閉じ込めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、小型でありなが
ら、高速度で周回するX線焦点からX線を放射して超高
速スキャンができるX線CTスキャナ用のX線発生器、
及びそれを使った超高速スキャンができるX線CTスキ
ャナに関する。X線焦点を周回させる機構を真空容器内
の小型の部品に限定することにより、大気中における機
械的な回転機構を持たずにX線焦点を披検体の周囲に高
速度で安定して周回させて被検体を瞬時に撮影して3次
元の画像が得られる小型のX線CTスキャナを提供す
る。真空容器内で周回するX線焦点の近傍に二次電子を
吸収する集電電極を設けることにより、安定な動作を維
持するとともに良好な画像が得られるように成ってい
る。更に、真空容器内で液体金属を潤滑剤とする動圧滑
り軸受を使って陰極を周回させると共に、真空容器内で
回転している部品に真空容器の外部から通電している。
【0002】
【従来の技術】従来のX線CTスキャナについて、概略
の断面を表している図1を参照して説明する。従来のX
線CTスキャナは、固定架台1001と、軸受1003
を介して回転する回転架台1002とを有している。回
転架台1002は制御器1008を用いて制御された回
転駆動機構1009によって空気中において回転させら
れる。X線を発生する為のX線管1004や、これに高
電圧を供給する為の高電圧電源(図示せず)や、X線を
受け取る検出器1006や、その他の電子回路1007
等をこの回転架台1002に取り付けた構造になってい
る。回転架台1002に取り付けられた電子回路の信号
は図示しないスリップリングで固定架台1001に伝達
される。この為に回転架台1002に取り付けられた部
品がの質量の和が大きくなって、X線CTスキャナのス
キャン速度を増そうとすると大きな遠心力が働き、回転
架台1002に取り付けられた部品や回転架台1002
自体が過大な応力に耐えられないのでスキャン速度を高
めることができない欠点を持っている。
【0003】従来構造のX線CTスキャナに使われるX
線管1004は、直径が10cm程度の円板状のX線タ
ーゲットをシリンダー状の真空容器の中で3000rp
m程度の高速度で回転させ、これに電子銃組立の陰極か
ら放射された電子を衝突させてX線1005を一方向に
放出するものであり、全体が円柱状に構成されている。
多量のX線を発生させる必要があるX線CTスキャナ用
のX線管では冷却器が必要であり、両者の質量の和は1
00Kg程度に大きくなり、体積も大きくなり、これを
取り付けて空気中で回転させる為の回転架台1002は
大型になり、X線CTスキャナ全体が大きくなって取り
扱いが不便であるだけでなく、設置スペースも大きくな
り、運転費用も多額であった。更に、近年になってX線
CTスキャナの用途が広がるにしたがって血液や造影剤
の瞬時的な観測が求められてきた。これに応える為に
は、X線管1004を高速度で被検体の周りで周回させ
る必要が生じている。これまでの最高の周回速度は2r
psであり、これが限度と考えられている。一方では、
X線量を増して画質を高めて診断能を高めたいとの要求
があり、従来のX線管1004の寸法と質量がますます
増大する必要がある。この相反する要求を同時に満たす
ことは従来の構造のX線CTスキャナでは不可能であっ
た。
【0004】一方で、スキャン速度を増す為に電子スキ
ャン方式のX線CTスキャナが過去に開発された。これ
は、横倒しに置いた魔法瓶の形をした真空容器の底の位
置に固定した電子銃組立から電子を取り出し、電子を真
空容器内でおよそ100cm走行させながら電磁的に電
子の位置を制御して被検体の周りを周回させた後に、こ
の電子を円弧状のX線ターゲットに入射させて半周回す
るX線を取り出すようになっている。この構造では、ス
キャン時間が0.1秒程度の高速スキャンができるが、
十分なX線量が得られないこと等に起因して画質が劣悪
であることや、X線の焦点が大き過ぎることや、安定な
動作を維持し難いことや、装置全体が大きくて取り扱い
難いことや、高価であること等の欠点を持ち、特殊な用
途に使用されているにすぎない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、X線CTスキャナのスキャン時間を大幅に短縮し
て動きが速い被検体の撮影においてモーションアーチフ
ァクトを無くするとともに十分なレベルのX線量を確保
してフォトンノイズが少ない良質な画像を得ることがで
き、装置全体が小型であって取り扱い易いX線CTスキ
ャナを提供することである。特に、真空中で回転する電
極の電位を安定して一定値に定める確かな手段を提供
し、電子銃組立から出た電子がX線ターゲットに衝突し
たときに発生する二次電子の軌道を制御して、安定な動
作をさせると共に焦点外X線を減少して良質なCT画像
を得るカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使っ
たX線CTスキャナを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、X線CTス
キャナの全ての回転部分をドーナツ状の真空容器の中に
取り付けて最小限度まで小さくし、空気中での機械的な
回転部分を無くすることにより超高速スキャンができる
X線CTスキャナを実現している。真空容器はドーナツ
状に作られており、真空容器の中心軸近傍の大気中に在
る寝台上に被検体が置かれている。真空容器の中で周回
する電子銃組立の陰極から電子が放出され、陰極の周回
軌道に対向して真空容器内に取り付けてある環状のX線
ターゲットに加速された電子が衝突してX線を発生させ
る。発生したX線は真空容器の小径側の壁に設けられた
X線放出窓を通って大気中に在る被検体に照射される。
被検体を通過したX線は前記の真空容器と同軸状に大気
中において取り付けられた環状のX線検出器で検出さ
れ、コンピュータで断層像に再構成されて表示装置に表
示される。真空容器内のX線焦点を周回させる為の回転
部分は軽量な電子銃組立などに限定されておりその体積
が小さく、全体としてほぼ対称な形状であるので回転周
期が0.1秒以下の高速回転をしても回転体にかかる応
力が十分に小さくでき、安定して高速回転を続けること
ができる。また、同一の陰極側回転体組立に3個程度の
電子銃組立が取り付けられるのでスキャン時間が0.0
3秒程度の高速スキャンが行える。
【0007】ドーナツ型の真空容器の内部で電子銃部分
を周回させる方式のX線CTスキャナは過去に提案され
ているがこれまでに実現していない。その理由の一つは
真空中において安定した回転を続ける手段と、回転体の
電位を安定して一定値に定める確かな手段が見出されな
かった為である。特に、前記の電子銃組立の陰極から出
た電子が加速されて前記のX線ターゲットに衝突したと
きに発生する二次電子の軌道を制御することができなか
った。例えば、X線ターゲットを接地電位に、電子銃組
立の陰極をー150KVに設定した場合、X線の放射方
向においてX線ターゲットに近接して配設された集電電
極の電位をー75KVに設定しても前記のX線ターゲッ
トに入射した電子のおよそ10%の電子がこの集電電極
内に流れ込む。まして、この集電電極が無い場合には遥
かに多量の電子、例えば入射電子の30%、がX線ター
ゲットの周辺にある部品に流入してこの部分を過熱して
ガスを放出させ、放電の原因となって動作が不安定とな
る。また、これらの二次電子は焦点外X線を発生させ、
これを使ったX線CTスキャナの画質が劣化する問題が
ある。
【0008】本発明では、前記のX線ターゲットの表面
に在るX線焦点と対面するような状態で集電電極を前記
の陰極側回転体組立に取り付け、この集電電極の電位を
真空中で信頼性よく設定する為の通電機構として、液体
金属潤滑剤を使用した環状の動圧滑り軸受を開発して、
この液体金属潤滑剤を介して真空中で回転する前記の集
電電極の電位を真空容器の外部と確かな通電を行うこと
ができ、上記の問題点を除去したカソードスキャン型X
線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナを提供し
ている。
【0009】前記の通電機構に使用する動圧滑り軸受の
直径が大きく、高低差が大きいにもかかわらず液体金属
潤滑剤が通電機構の外に漏出しない手段を提供してい
る。動圧滑り軸受の回転部分が回転しているときには回
転する部分と固定の部分との間に設けられた動圧滑り軸
受の表面に設けられた軸受溝の吸引作用によって液体金
属潤滑剤が軸受の内部に閉じ込められる。一般には動圧
滑り軸受の回転部分が回転を停止した時には軸受の端部
に在る開口部において生じる液体金属潤滑剤の表面張力
によって漏出が防止される。しかるに、本発明のX線C
Tスキャナでは通電機構の回転部分の回転中心軸が実質
的に水平方向にあり、通電機構を構成する動圧滑り軸受
の直径がおよそ100cmと大きい為に軸受の開口部の
高低落差が大きく、前記の軸受の開口部の鉛直下方に位
置する部分では重力加速度により大きな静圧力を受け
る。軸受の開口部における表面張力の圧力効果が前記の
静圧力に打ち勝つように、前記の軸受の開口部の対向面
間のギャップのサイズは鉛直下方の位置で極めて小さく
してある。これを実現する手段の一つとして、動圧滑り
軸受の回転する部分を動圧滑り軸受の固定部分の内側に
取り付けた。回転中心軸が水平方向であるので重力加速
度の影響で、動圧滑り軸受の開口部の対向面間のギャッ
プのサイズは、鉛直下方に位置する部分において鉛直上
方に位置する部分よりも常に小さくなる。この影響で、
鉛直下方に位置するに従って軸受の開口部における表面
張力の圧力効果が大きくなり、液体金属潤滑剤が外部に
漏出するのが防止され、安定な動作が保証される。
【0010】前記の通電機構を構成する動圧滑り軸受の
軸受面は真空容器に熱的に結合されており、真空容器は
外部から強制冷却されているので、軸受部分に発熱があ
るにもかかわらず、軸受面の温度が上がらず、熱膨張が
少なく、長時間にわたって安定な動作を続けることがで
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】カソードスキャン型X線発生器は
ドーナツ型の真空容器で包まれており、この真空容器は
中心軸がほぼ水平になるように設置してあり、その中心
軸の近くの大気中に被検体(人体)が置かれており、真
空容器は被検体を取り囲むように配置されている。真空
容器は回転せずに固定されており、被検体との角度及び
水平方向の位置は変えることができるようになってい
る。この真空容器の内部でX線焦点が被検体の周りを周
回するように、X線焦点が移動しながら被検体に向かっ
てX線が発生される。この周回するX線を使用して大気
中に回転機構を持たないX線CTスキャナを実現してい
る。また、X線ターゲットから出てくる二次電子の悪影
響を無くすることにより、安定な動作を維持するととも
に良質な画像を得ることができた。従来の構造のX線C
Tスキャナでは実現が不可能であった超高速スキャンが
行えてかつ大出力が得られるX線CTスキャナ用のカソ
ードスキャン型X線発生器、及びこれを使った超高速X
線CTスキャナを簡単な構造で安価にしかも信頼性良く
実現した。
【0012】
【実施例】以下に、図面を参照して、本発明の一実施例
によるカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使っ
たX線CTスキャナの実施例を説明する。図2(A)は
本発明のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使
ったX線CTスキャナの全体構造体の概略の断面図であ
り、図2(B)は本発明のカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体を
図2(A)のC’からCの方向に見た概略の図面であ
る。図3は図2(A)の拡大図であり、図4は本発明に
係わるカソードスキャン型X線発生器の、ある瞬間に鉛
直上方に位置する一部分の断面を拡大した図であり、あ
る瞬間に鉛直上方に位置した状態における陰極部分の断
面の一部を拡大して示している。同じ部分は同じ記号を
付している。図5は本発明のカソードスキャン型X線発
生器の主要部である通電機構SL3の一部を拡大した断
面図である。
【0013】図2又は図3に示すように、ドーナツ型の
真空容器VVは中心軸がほぼ水平になるように設置して
あり、図示しない真空ポンプによって排気口VCから高
真空状態にいつも排気されている。図3又は図4に示す
ように、この真空容器VVの内部の真空空間に円筒状の
陰極側回転体組立CRがあり、陰極側回転体組立CRは
常温で液体である液体金属を潤滑剤とした動圧滑り軸受
から成る軸受機構CBGによって真空中で回転自在に支
承されており、これらの中心軸はCC’に一致してい
る。図2(B)のF1,F2,F3で示すように、陰極
側回転体組立CRには電子銃組立EGが周方向に分離し
て3個取り付けてある。図3及び図4に示すように、陰
極側回転体組立CRには銅でできた円筒状のロータRT
2が同軸状に取り付けられており、これと同軸状に磁性
体から成る磁路円筒MT2が取り付けられている。図2
(B)に示すように、ロータRT2に対向した状態で真
空容器VVの外側において真空容器壁に沿って円弧状の
ステータLM2が3個取り付けられている。前記のロー
タRT2は前記の磁路円筒MT2とステータLM2で挟
まれた状態に配設されている。ロータRT2はステータ
LM2から真空容器VVの非磁性の材質で出来た壁を通
して電磁誘導作用を受けて回転トルクを与えられるので
陰極側回転体組立CRは回転する。陰極側回転体組立C
Rは動圧滑り軸受から成る軸受機構CBG内の液体金属
潤滑剤を通して電気的にも熱的にも真空容器VVに結合
されている。
【0014】図4に示すように、電子銃組立EGの先端
部には熱電子2を放出する陰極1が取り付けられてい
る。この陰極1の周回軌道に対向した状態で環状のX線
ターゲットTGが取り付けられている。図3又は図4に
示すように、X線ターゲットTGは円筒状の陽極側回転
体組立ARに機械的に結合されている。陽極側回転体組
立ARは常温で液体である液体金属を潤滑剤とした動圧
滑り軸受から成る軸受機構ABGを介して真空容器VV
の一部に回転自在に取り付けられている。陽極側回転体
組立ARには銅管でできたロータRT1が取り付けられ
ており、これと同軸状に磁性体から成る磁路円筒MT1
が取り付けられている。ロータRT1に対向した状態で
真空容器VVの外側において真空容器壁に沿って円弧状
のステータLM1が3個取り付けられている。前記のロ
ータRT1は前記の磁路円筒MT1とステータLM1で
挟まれた状態に配設されている。ロータRT1はステー
タLM1から真空容器VVの非磁性の材質で出来た壁を
通して電磁誘導作用を受けることによって回転トルクを
与えられるので、陽極側回転体組立ARは回転する。X
線ターゲットTGの回転中心軸と前記の電子銃組立EG
に含まれる陰極1の周回中心軸CC’とは一致してお
り、陰極1は常にX線ターゲットTGの表面と対向した
状態で両者は互いに反対方向に回転する。
【0015】図3又は図4を参照して陰極給電機構SL
1について説明する。図3又は図4に示す実施例では3
個の陰極給電機構SL1が同軸状に取り付けられてお
り、3本の独立した電流通路を形成している。これらの
図では陰極給電機構SL1の内部構造は簡略化して表し
ている。電子銃組立EGの陰極1は、真空容器VV内で
電子銃組立EGの周回中心軸CC’と同じ中心軸を持つ
環状の陰極給電機構SL1を通して高電圧端子HTに電
気的に接続されている。高電圧端子HTには真空容器V
Vの外に在る図示しない高電圧電源からおよそー150
KVの負の高電圧と電子銃組立EGの陰極1を加熱する
電力が供給される。それぞれの陰極給電機構SL1は固
定部と回転部とを有し、固定部は絶縁体220を介して
電気絶縁を保ちながら真空容器VVの一部に機械的に固
定されている。陰極給電機構SL1の回転部と固定部
は、液体金属を潤滑剤とする動圧滑り軸受を構成してお
り、液体金属潤滑剤を介して両者間で通電される。陰極
給電機構SL1の回転部が電子銃組立EGに弾力性のあ
る回転トルク伝達機構217で機械的に連結されてお
り、陰極給電機構SL1は、ある程度の偏芯及び軸方向
の変位を許容した状態で電子銃組立と共に回転する。
【0016】X線ターゲットTGは陽極側回転体組立A
Rの動圧滑り軸受から成る軸受機構ABG内に在る液体
金属潤滑剤を介して電気的にも熱的にも真空容器VVに
結合されている。真空容器VVは接地電位になってお
り、冷却水等で強制冷却されている。従って、X線ター
ゲットTGは接地電位に固定されると共に、X線ターゲ
ットTGから発生した多量の熱は液体金属潤滑剤を介し
て真空容器VVの壁の部分を流れる冷却水で効率良く取
り去られる。X線ターゲットTGと冷却水との間の熱抵
抗は十分に小さいのでX線ターゲットTGの温度は低く
保たれる為に大きな入力が許容され、極めて多量のX線
を短時間に発生することができる。
【0017】電子銃組立EGは、図2(B)に示すF
1,F2,F3のように陰極側回転体組立CRの周囲に
等配に3個取り付けられている。ここで、F1,F2,
F3は前記の電子2が加速されてX線ターゲットTGに
衝突してできるX線の3つの焦点を示している。X線焦
点F1,F2,F3は同時にX線を発生させながら図2
(B)に示すように同時に同じ方向に周回する。これら
のX線焦点の現在位置は陰極側回転体組立CRに取り付
けられた角度検出機構(図示せず)によって検出され
る。X線焦点F1,F2,F3から放射されたX線は、
図3又は図4に示すように、X線ターゲットTGの内側
にある集電電極403,404によってファン状に整形
され、陰極側回転体組立CRに取り付けられたファン方
向分布整形器WF(図4参照)を通過した後に真空容器
VVのX線放出窓XW(図4参照)を通過し、外部の環
状のスリットSLTを通過した後に、被検体Mを通過し
てX線ターゲットTGと同軸状に取り付けられた2個の
環状のX線検出器DF,DBのそれぞれの対向面に到達
する。
【0018】図2(B)に示すように、X線焦点F1,
F2,F3から出たX線は、それぞれが検出器の対向す
る部分D1,D2,D3にある細分化された検出素子で
受信される。検出器の部分D1,D2,D3が互いに重
ならないように照射野範囲などが決められている。検出
器の部分D1,D2,D3の合計は環状検出器のほとん
ど全体を占めるのでX線検出器DF,DB内の全ての検
出素子が有効に活用され、コスト対性能比が改善され
る。環状の検出器DF,DBはそれぞれが中心軸CC’
の方向にも多数の検出素子列に分けられており、それぞ
れの検出素子で検出された信号は図示しない電子回路で
デジタル信号に変換され、図示しないコンピュータで断
層像に再構成され、図示しない画像表示装置に表示され
てマルチスライスのCT画像を得ることができるように
なっている。
【0019】ある瞬間に鉛直上方に位置した状態におけ
る電子銃組立の周辺の断面の一部を拡大して図4に示し
ており、同じ部分は同じ記号を付している。陰極側回転
体組立CRは全体的に見ると概略回転対称構造であり、
これに取り付けられた電子銃組立EG等の部品は小型で
軽量であるので10rps程度の高速回転に十分耐える
ことができる。この場合、X線焦点が3個であるのでス
キャン時間は0.03秒まで短縮することができる。X
線ターゲットTGは直径が120cmと大型であり、X
線焦点F1,F2,F3と反対方向に回転しており、前
記のように強制冷却されているのでX線ターゲットTG
の表面温度が高くなり難く、大電力の入力が許容される
ので短時間に十分な量のX線を発生することができ、超
高速スキャンであるにもかかわらずフォトンノイズが少
ない良質なCT画像を得ることができる。例えば240
0mAの管電流を得ることができる。また、マルチスラ
イスを実現しているのでX線の有効利用ができ、中心軸
CC’と平行な方向の解像度を高めることもできるだけ
でなく、広い範囲の撮影を短時間で完了して3次元のリ
アルタイムCT画像を得ることができる。
【0020】上記の構成のX線CTスキャナを実現する
為に避けて通れないのは、前記の集電電極403,40
4の電位を、前記のX線ターゲットTGとも前記の陰極
1の電位とも異なる第三の電位に保ち、この集電電極4
03,404に入射する二次電子の量を減少させ、入射
した二次電子を真空容器VVの外部に確実に導く手段を
確立することである。陰極1から放出された電子2は陰
極1とX線ターゲットTGとの電位差によっておよそ1
50KeVのエネルギーに加速されてX線ターゲットT
Gに入射する。X線ターゲットTGの表面では最高15
0KeVのエネルギーを持つ反跳電子をはじめとしてよ
り低いエネルギーを持つ多量の二次電子が飛び出す。こ
れらの二次電子は周辺の部品に入射して過熱し、特に、
熱容量が小さな部品では高温になり過ぎるという不都合
が生じる。その結果、部品内のガスが放出され、放電が
発生して安定な動作が得られない。特に、前記のX線焦
点F1,F2,F3と陰極1の回転中心軸CC’とを結
ぶ方向に進む二次電子は前記の陰極側回転体組立CRに
入射するが、陰極側回転体組立CRの熱容量を大きくす
るのは困難であるので、過熱を防止するためにここに入
射する二次電子をできる限り減少させる必要がある。ま
た、これらの二次電子は焦点外X線を発生させる原因と
なりCT画像が劣化する問題があるので、X線の放射方
向ではこれら二次電子の入射を減少させることが不可欠
である。
【0021】これを実現する為に、図4に示すように、
集電電極403,404を前記の陰極側回転体組立CR
上に絶縁体401,402を介して取り付けた。集電電
極403,404は前記のX線焦点F1,F2,F3と
前記の陰極側回転体組立CRとの間に位置しており、こ
れらは通電機構SL3に電気的に結合されている。図5
に示すように、この通電機構SL3の一部である軸受回
転体411は前記の陰極側回転体組立CRと共に回転
し、他の一部である軸受固定体412は絶縁体425を
介して真空容器VVの一部に結合されている。この軸受
固定体412は真空容器VVに取り付けられた図示しな
い電流導入端子を介して真空容器VVの外に導かれる。
この電流導入端子には図示しない電源が取り付けてあ
り、この電源からあらかじめ決められた電位が与えられ
る。このようにして前記の集電電極403,404の電
位を特定の値に設定されている。これらの電位は前記の
陽極の電位よりも低いほうが好ましい。例えば、前記の
電位配分の場合にはこれらの電位をー75KVに設定す
ると、ここに入射する電子は陰極1からX線ターゲット
TGに入射する電子の10%以下に減少させることがで
きる。
【0022】更に、前記のX線焦点F1,F2,F3の
周回軌道から成る平面に対して、前記のX線ターゲット
TGの側に位置する集電電極404と、前記の陰極1の
側に位置する集電電極403とを分離し、これらに別々
の通電機構SL3を介して異なる電位を与えると、前記
の二次電子の軌道を適正に定めることができてより良質
のCT画像を得ることができる。本実施例ではこの場合
を示している。
【0023】前記の通電機構SL3を実現する為には真
空中で高速度に回転できる部分を持つスリップリングの
働きをする機構の開発が不可欠であった。本発明では、
常温で液体の金属を潤滑剤とする動圧滑り軸受を使い、
液体金属潤滑剤を介して通電できる通電機構を開発し
た。従来技術では真空中で使用でき、かつこのように大
きな直径の回転機構に採用できる動圧滑り軸受は存在し
なかった。従来は直径が5cm以下である小型でかつ開
口部が片側のみにある動圧滑り軸受は実用化されてい
る。この場合には動圧滑り軸受の内部に挿入された液体
金属潤滑剤は軸受の開口部における表面張力の作用で軸
受の開口部より内側に留められていた。動圧滑り軸受の
十分な動圧力を得る為には回転部分と固定部分の軸受ギ
ャップのサイズは数十μmに限定されていた。例えば軸
受の開口部におけるギャップのサイズが50μmの場合
には液体金属潤滑剤の高低落差がおよそ18cmを超え
ると、液体金属潤滑剤の重力加速度による静圧力が軸受
の開口における表面張力に打ち勝って液体金属潤滑剤が
外部に漏出する。このことは、軸受の回転部分が回転を
停止したときに深刻な問題となる。特に、本発明の場合
のように軸受の開口部の高低落差が100cm程度の動
圧滑り軸受は従来の技術では実現不可能であった。
【0024】図5を参照して通電機構SL3に使う動圧
滑り軸受の実施例について説明する。図5は通電機構S
L3の1個を構成する動圧滑り軸受の断面の一部を拡大
して表している。図5の上方の部分は実使用時におい
て、ある瞬間に鉛直上方に位置する部分を示し、下方の
部分は同じ瞬間に鉛直下方に位置する部分を示してい
る。図5においては中央部を省略して短縮して表示して
いる。軸受回転体411には軸受固定体412がギャッ
プを有して嵌めあわせてある。軸受固定体412の一部
は固定環424により絶縁体425を介して真空容器V
Vに機械的及び熱的に接続されている。絶縁体425は
熱伝導率が大きな例えば窒化アルミ等で出来ている。真
空容器VVは図示しない架台に取り付けられており、設
置床に対して適正な姿勢が保てるようになっている。軸
受固定体412と軸受回転体411は互いに対向した面
を有し、この対向した面は第一の軸受ギャップ413、
418、第二の軸受ギャップ414,419、第三の軸
受ギャップ416、421を有している。これらのギャ
ップを構成する対向面の少なくとも一方にはヘリンボー
ン状の軸受溝がある。第一、第二、第三の軸受ギャップ
内には常温で液体である液体金属、好適にはガリウム、
インジューム、鈴の合金からなる潤滑剤が充填されてお
り、それぞれラジアル軸受と、これを挟んで互いに対向
して取り付けられた第一及び第二のスラスト軸受の軸受
ギャップと成っている。軸受ギャップ413と418、
軸受ギャップ414と419、軸受ギャップ416と4
21とはそれぞれ同一のものであり、異なる番号は示す
位置の違いを表している。ここで、軸受ギャップとは対
向する面の少なくとも一方に前記の軸受溝を有している
ことを示している。
【0025】陰極側回転体組立CRに回転トルクが与え
られた場合には回転トルク伝達機構427と絶縁体42
6を介して回転力が軸受回転体411に伝えられるが、
これにより軸受回転体411と軸受固定体412の間に
在る液体金属潤滑剤に動圧力が生じて、軸受回転体41
1が浮上して回転自在に支承される。軸受回転体411
が回転している場合にはそれぞれのギャップ内の液体金
属潤滑剤は、軸受の内部に閉じ込める作用を受けるので
軸受のギャップから外部の真空空間に漏出することは無
い。
【0026】図5に示すように、前記の軸受固定体41
2と軸受回転体411が構成する対向面には第一の端部
ギャップ415、420、第二の端部ギャップ417、
422があり、ラジアル軸受の軸受ギャップ413、4
18と、第一の端部ギャップ415、420と、第二の
端部ギャップ417,422とを構成する対向面の中心
軸は概略水平方向になった状態でCC’に一致してい
る。第一のスラスト軸受の軸受ギャップ414,419
及び第二のスラスト軸受の軸受ギャップ416,421
を構成するそれぞれの対向面は平面状になっており、第
一のスラスト軸受の軸受ギャップ414,419はラジ
アル軸受の軸受ギャップ413,418と第一の端部ギ
ャップ415、420とに、第二のスラスト軸受の軸受
ギャップ416,421はラジアル軸受の軸受ギャップ
413,418と第二の端部ギャップ417、422と
に連通している。第一の端部ギャップ415、420と
第二の端部ギャップ417、422を構成する対向面の
直径はラジアル軸受の軸受ギャップ413,418を構
成する対向面の直径より小さくなっている。第一の端部
ギャップ415、420のサイズと第二の端部ギャップ
417、422のサイズはラジアル軸受の軸受ギャップ
413,418のサイズよりも大きくなっており、第一
の端部ギャップ415、420と第二の端部ギャップ4
17、422は両方とも真空空間と連通しており、それ
らを構成する対向面には前記の液体金属潤滑剤で濡れな
い表面(図示せず)を持っている。第一のスラスト軸受
の軸受ギャップ414,419と第一の端部ギャップ4
15、419との境界には環状の軸受開口451、45
1’があり、第二のスラスト軸受の軸受ギャップ41
6、421と第二の端部ギャップ417、422との境
界には環状の軸受開口450、450’がある。これら
の軸受開口は、前記の液体金属潤滑剤で濡れない互いに
対向する表面と、これで挟まれたギャップを持ってい
る。端部ギャップ415と420、端部ギャップ417
と422、軸受開口450と450’、軸受開口451
と451’とはそれぞれ同一のものであり、異なる番号
は示す位置の違いを表している。ここで、端部ギャップ
とは対向する面の少なくとも一方に前記の濡れない面を
有していることを示している。
【0027】前記の軸受回転体411が回転を停止した
場合には前記の軸受開口450、450’、451、4
51’において液体金属潤滑剤に表面張力が作用し、液
体金属潤滑剤が外部に漏出するのが防止される。重力加
速度による液体金属潤滑剤内の静圧力は液体金属潤滑剤
の喫水線からの深さに比例する。言い換えると、鉛直下
方での液体金属潤滑剤内の圧力ほど大きいことになる。
一方、前記の表面張力の圧力効果は軸受開口のギャップ
のサイズに反比例する。従って、軸受開口のギャップの
サイズが極端に大きくない場合には、軸受開口のギャッ
プのサイズを鉛直下方に位置する部分ほど小さくしてお
くと大きな直径を持つ動圧滑り軸受の内部から液体金属
潤滑剤が漏出するのを防止することができる。それぞれ
の軸受開口のギャップのサイズは第一の端部ギャップ4
15,420のサイズ及び第二の端部ギャップ417、
422のサイズに概略等しくなっている。ここで、第一
及び第二の端部ギャップのサイズはラジアル軸受の軸受
ギャップ413,418のサイズよりも僅かだけ大きく
なっているに過ぎないのでので、軸受開口のギャップの
サイズは概略ラジアル軸受の軸受ギャップ413,41
8のサイズに等しくなっている。
【0028】上記を簡単に実現する手段の一つは、図5
に示すように、動圧滑り軸受の軸受固定体412の内側
に軸受回転体411を装着することである。このように
すると、軸受回転体411が回転を停止した場合には重
力加速度の影響で軸受回転体411が鉛直下方に移動し
て第一の軸受ギャップの鉛直最下端部分418で軸受固
定体412と接触し、実質的に第一の軸受ギャップの鉛
直下端部分418でのギャップのサイズがゼロになる。
この影響で第一の端部ギャップの鉛直最下端に位置する
部分420においても、第二の端部ギャップの鉛直最下
端に位置する部分422においてもギャップのサイズが
最小になり、軸受開口の鉛直最下端部分450,451
で十分に大きな表面張力を得ることができ、液体金属潤
滑剤が真空領域に漏出するのを防止することができる。
鉛直上方の位置になるに従って軸受開口のギャップのサ
イズは大きくなって表面張力が小さくなるが、液体金属
潤滑剤の静圧力も小さくなる。軸受開口の鉛直方向の最
上部450’、451’におけるギャップのサイズはほ
ぼ第一の軸受ギャップのサイズの周方向における平均値
の2倍であり、最大値となっているのでここにおける液
体金属潤滑剤の表面張力が最小になるが、ここでの高低
落差が第二及び第三の軸受の幅(例えば1cm以下)に
ほぼ等しいので、ここで生じる静圧力は小さな値であ
り、表面張力の圧力効果の方が大きい。このように、軸
受開口のギャップのサイズが過度に大きくない場合に
は、周方向のどの位置においても表面張力の圧力効果を
液体金属潤滑剤の静圧力よりも大きくすることができ、
軸受開口のどの位置においても液体金属潤滑剤が漏出し
ない動圧滑り軸受を有する通電機構SL3を提供するこ
とができる。
【0029】上記の軸受開口のギャップのサイズが大き
く作ってある場合には、軸受回転体411が回転を停止
した場合に前記の液体金属潤滑剤の喫水線を前記の第一
の鉛直上方に位置する端部ギャップ415の高さ、又は
第二の鉛直上方に位置する端部ギャップ417の高さよ
りも低くなるように液体金属潤滑剤の量を設定しておく
とこの効果が大きくなる。これを実現するには、軸受回
転体411と軸受固定体412と軸受開口450,45
0’、と軸受開口451,451’で囲まれてできる潤
滑剤存在領域の容積よりもこの潤滑剤存在領域の中に充
填してある液体金属潤滑剤の体積を小さくしておくとよ
い。更に、軸受回転体411が回転を停止したときに液
体金属潤滑剤が待機できる空間を前記の潤滑剤存在領域
内に含めておき、軸受回転体411が回転しているとき
には前記の全ての軸受ギャップに液体金属潤滑剤が満た
されるようにしておくと良い。更に別な手段について述
べる。前記の潤滑剤存在領域の鉛直最下端に開口する管
を前記の軸受固定体412に取り付け、この管を前記の
真空容器VVの外に導いておき、この管を真空容器VV
の外に設けた潤滑剤収容容器に接続しておく。この潤滑
剤収容容器内に前記の液体金属潤滑剤が移動できるよう
にしておき、この潤滑剤収容容器の鉛直方向の高さを変
えられるようにして、真空容器VV内は高真空状態に保
ちながら、連通管の原理に従って前記の潤滑剤存在領域
における液体金属潤滑剤の液面高さHを真空容器VVの
外から制御する。例えば、前記の軸受回転体411が回
転を停止している時には前記の潤滑剤収容容器を鉛直下
方に移動して前記の潤滑剤存在領域における液面高さH
を低くし、反対に前記の軸受回転体411が回転いる時
には前記の潤滑剤収容容器を鉛直上方に移動して前記の
潤滑剤存在領域における液面高さHを高くする。このよ
うにすると、軸受開口の周方向のどの位置においても表
面張力の圧力効果を液体金属潤滑剤の静圧力よりも大き
くすることができ、どの位置においても液体金属潤滑剤
が漏出しない動圧滑り軸受から成る通電機構SL3提供
することができる。又、真空容器内の液体金属潤滑剤の
量を真空容器の外から制御できるようになるので、常に
最良の潤滑状態を保つことができるだけでなく、軸受の
保守が容易になる。
【0030】軸受回転体411が十分な高速度で回転し
ている場合には、前記の第一、第二、第三の軸受ギャッ
プにおいて比較的大きな軸受損失が発生するが、軸受固
定体412は、外部から強制冷却されている真空容器V
Vに熱伝導率が大きい絶縁体425を介して熱的にも結
合されているので、低い温度に保たれる。軸受回転体4
11は、第一、第二、第三の軸受ギャップ内に在る液体
金属潤滑剤を介して軸受固定体412に熱的に結合され
ており、十分に低い温度に保たれる。しかしながら、軸
受回転体411の温度は軸受固定体412の温度よりも
相対的に高くなるので動作時に軸受ギャップのサイズが
小さくなるのを防止する必要がる。これを達成する為
に、軸受回転体411を構成する材質の熱膨張率を、軸
受固定体412を構成する材質の熱膨張率よりも小さく
してある。特に、軸受回転体411の回転速度が大きく
なった場合には遠心力による膨張が発生じて軸受ギャッ
プが狭くなろうとすると軸受損失が増大してこの部分で
の発熱が増大し、前記の軸受固定体412の膨張が軸受
回転体411よりも大きくなり軸受ギャップのサイズが
小さくなるのが防止される。
【0031】図4を参照して、他の実施例について説明
する。前記の実施例では集電電極403,404は両方
とも陰極側回転構造体CR上に取り付けられていたが、
前記のX線ターゲットの表面に在るX線発生点の軌跡を
含む平面に対してX線ターゲット側に位置する集電電極
404を環状の構造にして、絶縁体を介してX線ターゲ
ットTGと同軸状に真空容器VVに固定しても良い。タ
ーゲット側に位置する集電電極404は、前記の陰極側
回転構造体CR上に取り付けられて回転する、陰極側に
位置する集電電極403と対面している。真空容器VV
に取り付けた図示しない電流導入端子を通して真空容器
VVの外からX線ターゲット側集電電極404の電位を
設定するようにすると、陰極側回転構造体CRを軽量化
できると共にX線ターゲット側に位置する集電電極40
4の熱容量を大きくできるのでより大きな効果を得るこ
とができる。
【0032】本発明を実施例に関連して説明したが、本
発明は、ここに例示した実施例の構造及び形態に限定さ
れるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱する
ことなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろ
な変更及び改変を加えることができることを理解された
い。例えば、この発明では電子銃組立が3個取り付けて
あるが1個でも3個以上でも良い。また、この発明では
陰極側回転体組立CRとX線ターゲットTGの両方を回
転させる構造を示しているが、X線ターゲットTG及び
これに繋がっている部分を固定にした構造のカソードス
キャン型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャ
ナを含む事は勿論である。また、上記の実施例では常温
で液体である液体金属を潤滑剤として使用した例を示し
ているが、やや高い融点を持っており常温で固体であっ
ても動作の前に加熱して液化させてから動作させれば同
じ効果が得られることは勿論である。更に、前記のX線
ターゲットから発生したX線を前記の真空容器の外に取
り出す為のX線放出窓は真空容器と一体になっていて
も、真空容器の一部として構成されていてもこの部分で
のX線の減衰率が小さければX線放出窓と見なすことが
出来るのは勿論である。真空容器VVは回転対称な形状
でなくても良い事は勿論である。真空容器の中心軸と陰
極側回転体組立又は陽極側回転体組立の中心軸がある程
度ずれていても良い事は勿論である。X線ターゲットが
分割して構成されており、それぞれの分割された部分に
隙間があっても良い事は勿論である。尚、本発明では、
ギャップのサイズとは、ギャップを構成する対向面の一
方の面上の任意の点から、このギャップを構成する対向
面の他方の面への最短の距離を意味している。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカソード
スキャン型X線発生器を採用すると、回転する部分を真
空容器内部の概略回転対称な構造体に軽い部品を取り付
けた構造にできるので遠心力の影響が少なくなり、例え
ばスキャン時間が0.03秒の超高速スキャン型X線C
Tスキャナを簡単な構造で安価に実現させることができ
る。特に、複数のX線焦点から同時に短時間に多量のX
線を発生することができ、フォトンノイズが少ない十分
に良質な画像を得ることができる。発生したX線は環状
の面検出器で有効に受信され、広い範囲の領域の多数の
断面を瞬時に撮影することができ、このデータを使用し
て被検体の3次元の内部構造を瞬時に検査できるように
なる。その為に例えば人間の心臓のように動きが速い部
分が被検体の内部にあっても、これを忠実に即時性をも
って撮影できるX線CTスキャナを提供することができ
る。集電電極にX線ターゲットTGと陰極1との中間の
電位に設定することができるので前記のX線ターゲット
TGから出てくる二次電子が入射して過熱することによ
り動作が不安定になる不都合と、焦点外X線によって画
質が劣化する不都合とを除去できる。通電機構に液体金
属を潤滑剤とした動圧滑り軸受を採用しているので真空
中で長時間安定に使用できる。さらに、動圧滑り軸受を
通して内部で発生した熱を有効に真空容器の外部に導い
て冷却することができる。外部に機械的な回転機構がな
く、これに関連した電源や電子回路は静止状態で使用で
きるので全体として信頼性がよく、X線CTスキャナ全
体がコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のX線CTスキャナの概略の断面を表す図
である。
【図2】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体の
主要部を表す概略の断面図及び正面図である。
【図3】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体を
表す概略の断面図であり、図2(A)の拡大図である。
【図4】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生器
の、ある瞬間に鉛直上方に位置する一部分の概略の断面
を拡大した図である。
【図5】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生器
の主要部である通電機構の一部を拡大した断面図であ
る。
【符号の説明】 ABG 陽極側の軸受機構 AR 陽極側回転体組立 B 寝台 CBG 陰極側の軸受機構 CR 陰極側回転体組立 DB 後方検出器組立 DF 前方検出器組立 D1 検出器DF,DBの一部 D2 検出器DF,DBの一部 D3 検出器DF,DBの一部 EG 電子銃組立 F1 X線焦点 F2 X線焦点 F3 X線焦点 HT 高電圧端子 LM1 円弧状のステータ LM2 円弧状のステータ M 被検体 MT1 磁路円筒 MT2 磁路円筒 RT1 ロータ RT2 ロータ SL1 陰極給電機構 SL3 通電電機構 SLT スリット TG X線ターゲット VC 排気口 VV 真空容器 WF ファン方向分布整形器 XW X線放出窓 1 陰極 2 電子ビーム 217 回転トルク伝達機構 220 絶縁体 401 絶縁体 402 絶縁体 403 集電電極 404 集電電極 411 軸受回転体 412 軸受固定体 413 第一の軸受ギャップの鉛直上方の部分 414 第二の軸受ギャップの鉛直上方の部分 415 第一の端部ギャップ の鉛直上方の部分 416 第三の軸受ギャップの鉛直上方の部分 417 第二の端部ギャップの鉛直上方の部分 418 第一の軸受ギャップの鉛直下方の部分 419 第二の軸受ギャップの鉛直下方の部分 420 第一の端部ギャップの鉛直下方の部分 421 第三の軸受ギャップの鉛直下方の部分 422 第二の端部ギャップの鉛直下方の部分 423 回転環 424 固定環 425 絶縁体 426 絶縁体 427 回転トルク伝達機構 450 環状の軸受開口の鉛直下方部分 450’ 環状の軸受開口の鉛直上方部分 451 環状の軸受開口の鉛直下方部分 451’ 環状の軸受開口の鉛直上方部分 1001 従来のX線CTスキャナの固定架台 1002 従来のX線CTスキャナの回転架台 1003 従来のX線CTスキャナの軸受 1004 従来のX線CTスキャナのX線管 1005 従来のX線CTスキャナのX線 1006 従来のX線CTスキャナの検出器 1007 従来のX線CTスキャナの電子回路 1008 従来のX線CTスキャナの制御器 1009 従来のX線CTスキャナの回転駆動機構

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を真空の状態に保持して真空空間を
    形成するドーナツ形状の真空容器と、この真空容器の内
    部の真空空間において真空容器の中心軸と同軸的に回転
    できるように支承された陰極側回転体組立と、この陰極
    側回転体組立の一部に取り付けられた電子銃組立と、こ
    の電子銃組立に取り付けられており電子を放出する陰極
    と、この陰極に前記の真空容器の外部から給電する為の
    陰極給電機構と、前記の陰極の周回軌道と対向して取り
    付けられた環状のX線ターゲットと、このX線ターゲッ
    トの表面で発生したX線を前記の真空容器の外に取り出
    す為のX線放出窓と、前記の陰極側回転体組立に回転力
    を与える回転駆動機構と、前記の陰極側回転体組立を真
    空容器内で回転自在に支承する軸受機構と、前記の陰極
    側回転体組立に取り付けられた、前記のX線ターゲット
    から出てくる二次電子を受け取る集電電極と、この集電
    電極の電位を真空容器の外から設定する為の通電機構を
    有して構成されたことを特徴とするカソードスキャン型
    X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  2. 【請求項2】 前記の通電機構は、動作時に液体である
    液体金属を潤滑剤とした動圧滑り軸受を含んでおり、こ
    の液体金属潤滑剤を介して前記の通電電極の電位を前記
    の真空容器の外から設定できるように構成されているこ
    とを特徴とする特許請求項1に記載のカソードスキャン
    型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  3. 【請求項3】 前記の通電機構は、これを固定する部分
    である環状の軸受固定体と、この軸受回転体に嵌め合わ
    されて回転する環状の軸受回転体とを含んでおり、これ
    らの軸受固定体と軸受回転体のそれぞれの表面はギャッ
    プを有して対向する軸受面を含んでおり、これらの軸受
    面の少なくとも一方にはヘリンボーン状の軸受溝が設け
    られており、前記の軸受面で挟まれて成る軸受ギャップ
    には前記の液体金属潤滑剤が充填されており、前記の軸
    受固定体と前記の軸受回転体は、前記の液体金属潤滑剤
    の実質的な存在境界となる2個の軸受開口を構成した部
    分を含んでおり、これらの軸受開口は、前記の軸受固定
    体と前記の軸受回転体のそれぞれの表面に含まれた互い
    に対向する面を有しており、前記の軸受固定体と前記の
    軸受回転体のそれぞれの表面で挟まれて構成されている
    通路を経由して真空空間と連通していることを特徴とす
    る特許請求項2に記載のカソードスキャン型X線発生
    器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  4. 【請求項4】 前記の軸受開口の、互いに対向する面で
    出来るギャップのサイズは、鉛直下方に位置するにした
    がって小さくなっていることを特徴とする特許請求項3
    に記載のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使
    ったX線CTスキャナ。
  5. 【請求項5】 前記の軸受回転体に在る、軸受開口の面
    は、前記の軸受固定体に在る、軸受開口の面より小さな
    径を有することを特徴とする特許請求項4に記載のカソ
    ードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX線CT
    スキャナ。
  6. 【請求項6】 前記の通電機構の回転部分が回転を停止
    したときに、前記の動圧滑り軸受の対向する軸受面間の
    軸受ギャップの内、鉛直上方にある部分には前記の液体
    金属潤滑剤で満たされていない部分があることを特徴と
    する特許請求項4に記載のカソードスキャン型X線発生
    器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  7. 【請求項7】 前記の通電機構に含まれる軸受回転体
    は、前記の陰極側回転体組立又は前記の陰極側回転体組
    立に取り付けられた部品から、偏芯又は回転中心軸方向
    の変位を許容する回転トルク伝達機構を介して、回転ト
    ルクを与えられることを特徴とする特許請求項3に記載
    のカソードスキャン型X線発生器及びこれを使ったX線
    CTスキャナ。
  8. 【請求項8】 前記の軸受固定体は前記の真空容器の外
    側に熱的に結合されており、前記の軸受回転体は動圧滑
    り軸受内の前記の液体金属潤滑剤と前記の軸受固定体と
    を介して強制冷却されていることを特徴とする特許請求
    項3に記載のカソードスキャン型X線発生器、及びこれ
    を使ったX線CTスキャナ。
  9. 【請求項9】 前記の陰極側回転体組立には、複数の集
    電電極が、前記のX線ターゲットの表面に在るX線発生
    点の軌跡から成る平面に近接した位置に取り付けてあ
    り、各々の集電電極は同電位に設定されていることを特
    徴とする特許請求項1又は2のいずれか一つに記載のカ
    ソードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX線C
    Tスキャナ。
  10. 【請求項10】 前記の集電電極は、前記の陰極側回転
    体組立の回転中心軸に平行な方向に複数の電極に分割さ
    れており、それらに異なる電位が与えられることを特徴
    とする特許請求項1に記載のカソードスキャン型X線発
    生器及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  11. 【請求項11】 前記の集電電極を、前記のX線ターゲ
    ットの表面に在るX線発生点の軌跡から成る平面に対し
    て、X線ターゲット側に在る集電電極と陰極側に在る集
    電電極とに分割し、ターゲット側に在る集電電極を真空
    容器に固定的に取り付け、陰極側に在る集電電極を前記
    の陰極側回転体組立に取り付けたことを特徴とする特許
    請求項1又は2のいずれか1つに記載のカソードスキャ
    ン型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  12. 【請求項12】 前記の集電電極は、前記のX線ターゲ
    ットの表面に在るX線発生点と前記の陰極側回転体組立
    との間に位置するように取り付けられており、前記のX
    線発生点から照射されるX線の分布を前記の陰極の周回
    中心軸の方向に制限する機能を持っていることを特徴と
    する特許請求項1又は2又は11のいずれか1つに記載
    のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX
    線CTスキャナ。
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