JP2001276044A - カソードスキャン型x線発生器及びx線ctスキャナ - Google Patents

カソードスキャン型x線発生器及びx線ctスキャナ

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JP2001276044A
JP2001276044A JP2000100168A JP2000100168A JP2001276044A JP 2001276044 A JP2001276044 A JP 2001276044A JP 2000100168 A JP2000100168 A JP 2000100168A JP 2000100168 A JP2000100168 A JP 2000100168A JP 2001276044 A JP2001276044 A JP 2001276044A
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勝弘 小野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】小型で信頼性が良い超高速X線CTスキャナ用
のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使用した
超高速X線CTスキャナを提供する。 【解決手段】ドーナツ型の真空容器と、陰極側回転体組
立と、少なくとも1個の電子銃組立と、熱電子放出用の
陰極と、環状の陰極給電機構とを有し、X線ターゲット
の表面に電子ビームを入射して高速度で周回するX線を
発生させることが出来る超高速スキャン型X線CTスキ
ャナ用のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使
ったX線CTスキャナであって、前記の陰極側回転体組
立CRまたは陰極給電機構SL1の回転部分は、液体金
属潤滑剤で潤滑した動圧滑り軸受から成る軸受機構AB
Gで回転自在に支承されており、真空容器VV内部の回
転部分は、液体金属潤滑剤を通して熱的にも電気的にも
真空容器外部と結合されており、低温度に且つ定電位に
保たれる。小さな回転トルクでスムーズに回転を開始す
ることが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、小型でありなが
ら、高速度で周回するX線焦点からX線を放射して超高
速スキャンができるX線CTスキャナ用のカソードスキ
ャン型X線発生器、及びこれを使った超高速スキャンが
できるX線CTスキャナに関する。X線焦点を周回させ
る為の回転部分を真空容器内の小型の部品に限定するこ
とにより、大気中における機械的な回転機構を持たずに
X線焦点を披検体の周囲に高速度で安定して周回させて
被検体を瞬時に撮影して3次元の画像が得られる小型の
X線CTスキャナを提供する。液体金属を潤滑剤とする
動圧滑り軸受を使って真空容器内で電子銃組立を周回さ
せると共に、真空容器内で周回している部品に真空容器
の外から通電している。
【0002】
【従来の技術】従来のX線CTスキャナについて、概略
の断面を表している図1を参照して説明する。従来のX
線CTスキャナは、固定架台1001と、軸受1003
を介して回転する回転架台1002とを有している。回
転架台1002は制御器1008を用いて制御された回
転駆動機構1009によって空気中において回転させら
れる。X線を発生する為のX線管1004や、これに高
電圧を供給する為の高電圧電源(図示せず)や、X線を
受け取る為の検出器1006や、その他の電子回路10
07等をこの回転架台1002に取り付けた構造になっ
ている。回転架台1002に取り付けられた電子回路の
信号は図示しないスリップリングを介して固定架台10
01に伝達される。この為に回転架台1002に取り付
けられた部品の質量の和が大きくなって、X線CTスキ
ャナのスキャン速度を増そうとすると大きな遠心力が働
き、回転架台1002に取り付けられた部品や回転架台
1002自体が過大な応力に耐えられないのでスキャン
速度を高めることができない欠点を持っている。
【0003】従来構造のX線CTスキャナに使われるX
線管1004は、直径が10cm程度の円板状のX線タ
ーゲットをシリンダー状の真空容器の中で3000rp
m程度の高速度で回転させ、これに電子銃組立の陰極か
ら放射された電子を衝突させてX線1005を一方向に
放出するものであり、全体が円柱状に構成されている。
多量のX線を発生させる必要があるX線CTスキャナ用
のX線管では冷却器が必要であり、両者の質量の和は1
00Kg程度に大きくなり、体積も大きくなり、これを
取り付けて空気中で回転させる為の回転架台1002は
大型になり、X線CTスキャナ全体が大きくなって取り
扱いが不便であるだけでなく、設置スペースも大きくな
り、運転費用も多額であった。更に、近年になってX線
CTスキャナの用途が広がるにしたがって血液や造影剤
の瞬時的な観測が求められてきた。これに応える為に
は、X線管1004を高速度で被検体の周りで周回させ
る必要が生じている。これまでの最高の周回速度は2r
psであり、これが限度と考えられている。一方では、
X線量を増して画質を高めて診断能を高めたいとの要求
があり、従来のX線管1004の寸法と質量がますます
増大する必要がある。この相反する要求を同時に満たす
ことは従来の構造のX線CTスキャナでは不可能であっ
た。
【0004】一方で、スキャン速度を増す為に電子スキ
ャン方式のX線CTスキャナが過去に開発された。これ
は、横倒しに置いた魔法瓶の形をした真空容器の底の位
置に固定した電子銃組立から電子を取り出し、電子を真
空容器内でおよそ100cm走行させながら電磁的に電
子の位置を制御して被検体の周りで周回させた後に、こ
の電子を円弧状のX線ターゲットに入射させて半周回す
るX線を取り出すようになっている。この構造では、ス
キャン時間が0.1秒程度の高速スキャンができるが、
十分なX線量が得られないこと等に起因して画質が劣悪
であることや、X線の焦点が大き過ぎることや、安定な
動作を維持し難いことや、装置全体が大きくて取り扱い
難いことや、高価であること等の欠点を持ち、特殊な用
途に使用されているにすぎない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、X線CTスキャナのスキャン時間を大幅に短縮し
て動きが速い被検体の撮影においてモーションアーチフ
ァクトを無くするとともに十分なレベルのX線量を確保
してフォトンノイズが少ない良質な画像を得ることがで
き、装置全体が小型であって取り扱い易いX線CTスキ
ャナを提供することである。特に、これを実現する為
に、真空中で信頼性よく使える軸受機構及び真空中で回
転している部品に給電できる給電機構の軸受として、動
作時に液体である液体金属を潤滑剤として使用した環状
の動圧滑り軸受を開発し、真空容器内の回転体の回転始
動時における回転トルクを小さくしてスムーズな回転始
動ができるカソードスキャン型X線発生器、及びこれを
使ったX線CTスキャナを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、X線CTス
キャナの全ての回転部分をドーナツ状の真空容器の中に
取り付けて最小限度まで小さくし、空気中での機械的な
回転部分を無くすることにより超高速スキャンができる
X線CTスキャナを実現している。真空容器はドーナツ
状に作られており、真空容器の中心軸近傍の大気中に在
る寝台上に被検体が置かれている。真空容器の中で周回
する電子銃組立の陰極から電子が放出され、陰極の周回
軌道に対向して真空容器内に取り付けてある環状のX線
ターゲットに、加速された電子が衝突してX線を発生さ
せる。発生したX線は真空容器の小径側の壁に設けられ
たX線放出窓を通って大気中にある被検体に照射され
る。被検体を通過したX線は前記の真空容器と同軸状に
大気中において配設された環状のX線検出器で検出さ
れ、コンピュータで断層像に再構成されて表示装置に表
示される。真空容器内のX線焦点を周回させる為の回転
部分は軽量な電子銃組立などに限定されておりその体積
が小さく、全体としてほぼ対称な形状であるので回転周
期が0.1秒以下の高速回転をしても回転体にかかる応
力が十分に小さくでき、安定して高速回転を続けること
ができる。また、同一の陰極側回転体組立に3個程度の
電子銃組立が取り付けられるのでスキャン時間が0.0
3秒程度の超高速スキャンが行える。
【0007】ドーナツ型の真空容器の内部で電子銃部分
を周回させる方式のX線CTスキャナは過去に提案され
ているがこれまでに実現していない。その理由の一つは
真空中において安定した回転を続ける手段と、回転体の
電位を安定して一定値に設定する確かな手段が見出され
なかった為である。本発明では真空中で信頼性よく使え
る軸受機構として、動作時に液体である液体金属を潤滑
剤として使用した環状の動圧滑り軸受を採用し、この軸
受機構の回転開始時の摩擦を軽減して小さなトルクでス
ムーズに回転を立ち上げることが出来る回転機構とその
制御の手段を提供している。また、液体金属潤滑剤を介
して回転体の電位を一定値に設定している。
【0008】軸受機構の回転部分を構成する軸受回転体
が回転しているときには軸受ギャップに動圧力を生じて
回転部分を浮上させ、良好な回転特性を得ることが出来
る。一方、軸受回転体が静止している時には比較的大き
な静止摩擦が生じて始動時に大きなトルクが必要にな
る。又、軸受の表面に傷が出来る場合もある。これらを
防止する為に、始動時に重力に抗した力を与えて軸受の
表面に生じる圧力を小さくして静止摩擦を小さくした状
態で回転トルクを与える。これを達成する為に、回転力
を発生するステータを電磁石として一時的に利用する。
【0009】本発明を採用すれば、軸受面は真空容器に
熱的に連通しており、真空容器は外部から強制冷却され
ているので軸受での発熱があるにもかかわらず、軸受面
の温度が上がらず、熱膨張が少なく、長時間にわたって
安定な動作を行うことができる。更に、電子銃組立やX
線ターゲットなどのように発熱する部品も軸受ギャップ
内にある液体金属を介して強制冷却され、熱膨張等が抑
制される。また、回転に始動時にも大きなトルクが不必
要であり、スムーズな回転特性が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】カソードスキャン型X線発生器は
ドーナツ型の真空容器で包まれており、この真空容器は
中心軸がほぼ水平になるように設置してあり、その中心
軸の近くの大気中に被検体(人体)が置かれており、真
空容器は被検体を取り囲むように配置されている。真空
容器は回転せずに固定されており、被検体との角度及び
水平方向の位置は変えることができるようになってい
る。この真空容器の内部でX線焦点が被検体の周りを周
回するように、X線焦点が移動しながら被検体に向って
X線が発生される。この周回するX線を使用することに
より大気中に回転機構を持たないX線CTスキャナを実
現している。従来の構造のX線CTスキャナでは実現が
不可能であった超高速スキャンが行えるとともに大出力
が得られるX線CTスキャナ用のカソードスキャン型X
線発生器、及びこれを使った超高速X線CTスキャナを
簡単な構造で安価にしかも信頼性良く実現した。
【0011】
【実施例】以下に、図面を参照して、本発明の一実施例
によるカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使っ
たX線CTスキャナの実施例を説明する。図2(A)は
本発明のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを使
ったX線CTスキャナの全体構造体の概略の断面図であ
り、図2(B)は本発明のカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体を
図2(A)のC’からCの方向に見た概略の図面であ
る。図3は図2(A)の拡大図であり、図4は本発明に
係わるカソードスキャン型X線発生器の、ある瞬間に鉛
直上方に位置する一部分の断面を拡大した図であり、あ
る瞬間に鉛直上方に位置した状態における電子銃組立周
辺の断面の一部を拡大して示している。同じ部分は同じ
記号を付している。図5は本発明のカソードスキャン型
X線発生器の主要部を拡大した断面図である。
【0012】図2又は図3に示すように、ドーナツ型の
真空容器VVは中心軸CC’がほぼ水平になるように設
置してあり、図示しない真空ポンプによって排気口VC
から高真空状態にいつも排気されている。図2又は図3
又は図4に示すように、この真空容器VVの内部の真空
空間に円筒状の陰極側回転体組立CRがあり、陰極側回
転体組立CRは常温で液体である液体金属を潤滑剤とし
た動圧滑り軸受から成る軸受機構CBGによって真空中
で回転自在に支承されており、これらの中心軸はCC’
に一致している。陰極側回転体組立CRには電子銃組立
EGが周方向に分離して3個取り付けてある。図4又は
図5に示すように、陰極側回転体組立CRには銅ででき
た円筒状のロータRT2が同軸状に取り付けられてお
り、これと同軸状に磁性体から成る磁路円筒MT2が取
り付けられている。図2(B)に示すように、円筒状の
ロータRT2に対向した状態で真空容器VVの外側にお
いて真空容器壁に沿って円弧状のステータLM2が3個
取り付けられている。前記の円筒状のロータRT2は前
記の磁路円筒MT2とステータLM2で挟まれた状態に
配設されている。円筒状のロータRT2はステータLM
2から真空容器VVの非磁性の材質で出来た壁を通して
電磁誘導作用を受けて回転トルクを与えられるので陰極
側回転体組立CRは回転する。陰極側回転体組立CRは
動圧滑り軸受から成る軸受機構CBG内の液体金属潤滑
剤を通して電気的にも熱的にも真空容器VVに接続され
ている。
【0013】図4に示すように、電子銃組立EGの先端
部には熱電子2を放出する陰極1が取り付けられてい
る。この陰極1の周回軌道に対向した状態で環状のX線
ターゲットTGが取り付けられている。図3又は図4に
示すように、X線ターゲットTGは円筒状の陽極側回転
体組立ARに機械的に結合されている。陽極側回転体組
立ARは常温で液体である液体金属を潤滑剤とした動圧
滑り軸受から成る軸受機構ABGを介して真空容器VV
の一部に回転自在に取り付けられている。陽極側回転体
組立ARには銅管でできた円筒状のロータRT1が取り
付けられており、これと同軸状に磁性体から成る磁路円
筒MT1が取り付けられている。円筒状のロータRT1
に対向した状態で真空容器VVの外側において真空容器
壁に沿って円弧状のステータLM1が3個取り付けられ
ている。前記の円筒状のロータRT1は前記の磁路円筒
MT1とステータLM1で挟まれた状態に配設されてい
る。円筒状のロータRT1はステータLM1から真空容
器VVの非磁性の材質で出来た壁を通して電磁誘導作用
を受けることによって回転トルクを与えられるので、陽
極側回転体組立ARは回転する。X線ターゲットTGの
回転中心軸と前記の電子銃組立EGに含まれる陰極1の
周回中心軸CC’とは一致しており、陰極1は常にX線
ターゲットTGの表面と対向した状態で両者は互いに反
対方向に回転する。
【0014】図3又は図4を参照して陰極給電機構SL
1について説明する。図3又は図4に示す実施例では3
個の陰極給電機構SL1が同軸状に取り付けられてお
り、3本の独立した電流通路を形成している。これらの
図では陰極給電機構SL1の内部構造は簡略化して表し
ている。電子銃組立EGの陰極1は、真空容器VV内の
真空空間で電子銃組立EGの周回中心軸CC’と実質的
に同じ中心軸を持つ環状の陰極給電機構SL1を通して
高電圧端子HTに電気的に接続されている。高電圧端子
HTには真空容器VVの外に在る図示しない高電圧電源
からおよそー150KVの負の高電圧と電子銃組立EG
の陰極1を加熱する電力が供給される。それぞれの陰極
給電機構SL1は固定部と回転部を有し、固定部は絶縁
体220を介して電気絶縁を保ちながら真空容器VVの
一部に機械的に固定されている。陰極給電機構SL1の
回転部と固定部は液体金属を潤滑剤とする動圧滑り軸受
を構成しており、液体金属潤滑剤を介して両者間で通電
される。陰極給電機構SL1の回転部が電子銃組立EG
に弾力性のある回転トルク伝達機構217で機械的に連
結されており、陰極給電機構SL1は、ある程度の偏芯
及び軸方向の変位を許容した状態で電子銃組立EGと共
に回転する。
【0015】X線ターゲットTGは陽極側回転体組立A
Rの軸受機構ABG内に在る液体金属潤滑剤を介して電
気的にも熱的にも真空容器VVに結合されている。真空
容器VVは接地電位になっており、冷却水等で強制冷却
されている。従って、X線ターゲットTGは接地電位に
設定されると共に、X線ターゲットTGから発生した多
量の熱は液体金属潤滑剤を介して真空容器VVの壁の部
分を流れる冷却水で効率良く取り去られる。X線ターゲ
ットTGと冷却水との間の熱抵抗は十分に小さいのでX
線ターゲットTGの温度は低く保たれる為に大電力の入
力が許容され、極めて多量のX線を短時間に発生するこ
とができる。
【0016】電子銃組立EGは、図2(B)に示すF
1,F2,F3のように陰極側回転体組立CRの周囲に
等配に3個取り付けられている。ここで、F1,F2,
F3は前記の電子2が加速されてX線ターゲットTGに
衝突してできるX線の3つの焦点を示している。X線焦
点F1,F2,F3は同時にX線を発生させながら図2
(B)に示すように同時に同じ方向に周回する。これら
のX線焦点の現在位置は陰極側回転体組立CRに取り付
けられた角度検出機構(図示せず)によって検出され
る。X線焦点F1,F2,F3から放射されたX線は、
図2(A)又は図3又は図4に示すようにX線ターゲッ
トTGの内側にあるX線分布制限機構によってファン状
に整形され、陰極側回転体組立CRに取り付けられたフ
ァン方向分布整形器WF(図4参照)を通過してファン
方向のX線強度分布を適正化された後に真空容器VVの
X線放出窓XW(図4参照)を通過し、外部の環状のス
リットSLTを通過した後に、被検体Mを通過してX線
ターゲットTGと同軸状に取り付けられた2個の環状の
X線検出器DF,DBのそれぞれの対向面に到達する。
【0017】図2(B)に示すように、X線焦点F1,
F2,F3から出たX線は、それぞれが検出器の対向す
る部分D1,D2,D3に在る細分化された検出素子で
受信される。検出器の部分D1,D2,D3は互いに重
ならないように照射野範囲などが決められている。検出
器の部分D1,D2,D3の合計は環状の検出器のほと
んど全体を占めるのでX線検出器DF,DB内の全ての
検出素子が有効に活用され、コスト対性能比が改善され
る。環状検出器DF,DBはそれぞれが中心軸CC’の
方向にも多数の検出素子列に分けられており、それぞれ
の検出素子で検出された信号は図示しない電子回路でデ
ジタル信号に変換され、図示しないコンピュータで断層
像に再構成され、図示しない画像表示装置に表示されて
マルチスライスのCT画像を得ることができるようにな
っている。
【0018】ある瞬間に鉛直上方に位置した状態におけ
る陰極部分の断面の一部を拡大して図4に示しており、
同じ部分は同じ記号を付している。図4において、軸受
機構CBGの内部構造は簡略化して表している。陰極側
回転体組立CRは全体的に見ると概略回転対称構造であ
り、これに取り付けられた電子銃組立EG等の部品は小
型で軽量であるので10rps程度の高速回転に十分耐
えることができる。この場合、X線焦点が3個であるの
でスキャン時間は0.03秒まで短縮することができ
る。X線ターゲットTGは直径が120cmと大型であ
り、X線焦点F1,F2,F3と反対方向に回転してお
り、前記のように強制冷却されているのでX線ターゲッ
トTGの表面温度が高くなり難く、大電力の入力が許容
されるので短時間に十分な量のX線を発生することがで
き、超高速スキャンであるにもかかわらずフォトンノイ
ズが少ない良質なCT画像を得ることができる。また、
マルチスライススキャンを実現しているのでX線の有効
利用ができ、中心軸CC’と平行な方向の解像度を高め
ることもできるだけでなく、広い範囲の撮影を短時間で
完了して3次元のリアルタイムCT画像を得ることがで
きる。
【0019】上記の構成のX線CTスキャナを実現する
為に避けて通れないのは、前記の機器構成で実用できる
軸受機構CBG、ABG、及び前記の陰極給電機構SL
1の回転部分を真空中で回転自在に支承する動圧滑り軸
受を実現させることである。従来は、直径が5cm以下
である小型で且つ軸受の開口が片側のみにある動圧滑り
軸受は実用化されている。この場合には、動圧滑り軸受
の内部に挿入された液体金属潤滑剤は軸受の開口におけ
る表面張力の作用で軸受の開口より内側に留められてい
た。動圧滑り軸受の十分な動圧力を得る為には回転部分
と固定部分のギャップのサイズは数十μmに限定されて
いた。例えば軸受の開口におけるギャップのサイズが5
0μmの場合には液体金属潤滑剤の高低落差がおよそ1
8cmを超えると、重力加速度による液体金属潤滑剤の
静圧力が軸受の開口における表面張力に打ち勝って液体
金属潤滑剤が外部に漏出する。このことは、軸受の回転
部分が回転を停止したときに深刻な問題となる。特に、
本発明の場合のように軸受の開口の周方向における高低
落差が100cm程度の動圧滑り軸受は従来の技術では
実現不可能であった。
【0020】図5を参照して動圧滑り軸受から成る軸受
機構CBGの実施例について説明する。図5は陰極側回
転体組立CRと陰極側の軸受機構CBGの断面の一部を
拡大して表している。図5の上方の部分は実使用時にお
いて、ある瞬間に鉛直上方に位置する部分を示し、下方
の部分は同じ瞬間に鉛直下方に位置する部分を示してい
る。図5においては中央部を省略して短縮して表示して
いる。陰極側回転体組立CRには軸受機構CBGの回転
部分である軸受回転体102が同軸状に取り付けてあ
る。軸受回転体102には軸受機構CBGの固定部分で
ある軸受固定体101がギャップを有して嵌め合わせて
ある。軸受固定体101の一部は真空容器VVに機械的
及び熱的に結合されている。真空容器VVは図示しない
支持架台に取り付けられており、設置床に対して適正な
姿勢及び水平方向の位置が保てるようになっている。軸
受固定体101と軸受回転体102とは互いに対向した
面を有し、この対向した面は第一の軸受ギャップ10
3、108、第二の軸受ギャップ104,109、第三
の軸受ギャップ106、111を有している。これらの
軸受ギャップを構成する対向面の少なくとも一方にはヘ
リンボーン状の軸受溝がある。第一、第二、第三の軸受
ギャップ内には常温で液体である液体金属、好適にはガ
リウム、インジューム、鈴の合金からなる潤滑剤が充填
されており、それぞれの軸受ギャップは、ラジアル軸受
と、これを挟んで互いに距離をもって対向して取り付け
られた第一のスラスト軸受、及び第二のスラスト軸受の
それぞれの軸受ギャップを構成している。軸受ギャップ
103と108、軸受ギャップ104と109、軸受ギ
ャップ106と111とはそれぞれ同一のものであり、
異なる番号は示す位置の違いを表している。ここで、軸
受ギャップとは対向する面の少なくとも一方に前記の軸
受溝を有していることを示している。
【0021】陰極側回転体組立CRに回転トルクが与え
られた場合には、これらの軸受内に動圧力が生じるので
回転部分を浮上させて回転自在に支承することができ
る。軸受回転体102が回転している場合にはそれぞれ
の軸受ギャップ内の液体金属潤滑剤は、軸受の内部に閉
じ込める作用を受けるので軸受ギャップから外部の真空
空間に漏出することは無い。
【0022】図5に示すように、前記第一のスラスト軸
受の軸受ギャップ104,109、第二スラスト軸受の
軸受ギャップ106,111を構成するそれぞれの対向
面は平面状になっており、第一のスラスト軸受の軸受ギ
ャップ104,109はラジアル軸受の軸受ギャップ1
03,108と隣接しており、第二のスラスト軸受の軸
受ギャップ106、111はラジアル軸受の軸受ギャッ
プ103,108とに隣接している。言い換えると、第
一のスラスト軸受と第二のスラスト軸受が軸受組立の端
部に構成されている。第一のスラスト軸受には軸受の実
質的な境界となる軸受開口121、121’が、第二の
スラスト軸受には実質的な軸受の境界となる軸受開口1
20、120’がある。
【0023】軸受開口120、120’、及び軸受開口
121、121’における前記の液体金属潤滑剤で濡れ
ない表面において液体金属潤滑剤の表面に表面張力が作
用し、前記の軸受回転体102が回転を停止した場合に
も液体金属潤滑剤が外部に漏出するのが防止される。重
力加速度による液体金属内の静圧力は液体金属の喫水線
からの深さに比例する。言い換えると、鉛直下方に位置
するに従って液体金属内の静圧力がより大きいことにな
る。一方、前記の液体金属潤滑剤を押し戻す表面張力の
圧力効果は軸受開口のギャップのサイズに反比例する。
従って、軸受開口120、120’、及び軸受開口12
1、121’のギャップのサイズを十分に小さくしてお
くと大きな直径を持つ動圧滑り軸受の内部から液体金属
が漏出するのを防止することができる。
【0024】本発明に使用される第一のスラスト軸受と
第二のスラスト軸受の間隔は10cm以下であり、軸受
の温度が低いので、熱膨張の影響を小さく保つことがで
き、スラスト軸受の軸受ギャップのサイズを十分に小さ
く保つことができる。また、軸受ギャップを構成する面
は回転中心軸CC’の方向に垂直であるので遠心力の影
響を無視できる。更に、スラスト軸受の軸受面は平面で
あるので加工精度を十分に高めることも容易であり、軸
受ギャップのサイズを高精度に小さな値の保つことは容
易にできる。軸受開口をスラスト軸受の端部に設ける
と、軸受開口のギャップのサイズはスラスト軸受の軸受
ギャップのサイズと同じ程度に小さくできる。例えば、
軸受開口のギャップのサイズを17μmに保った場合に
は、120cm以上の高低差がある液体金属に打ち勝つ表
面張力を発生させることができる。従って、真空空間と
の全ての境界をこのようにギャップのサイズが小さいス
ラスト軸受の端部にある軸受開口120、120’、及
び軸受開口121、121’に限定することにより、簡
単に前記の液体金属を軸受機構CBGの内部に閉じ込め
ることができ、どの場合においても液体金属が漏出しな
い動圧滑り軸受を提供することができる。
【0025】次に回転駆動機構について図3と図5とを
参照して説明する。陰極側回転体組立CRの回転中心軸
CC’は実質的に水平の方向になっているので、これが
回転を停止しているときには陰極側動圧滑り組立CBG
の鉛直下方の部分のみで陰極側回転体組立CRの全重力
が支えられることになる。また、陰極側回転体組立CR
が回転を停止している時には、ラジアル軸受の軸受ギャ
ップの鉛直下方部分108を構成する対向面は、極めて
薄い液体金属潤滑剤の膜を介して互いに接触している。
これとは反対に、ラジアル軸受の軸受ギャップの鉛直上
方部分103のサイズは大きな値となっている。この理
由は、軸受回転体が回転しているときには遠心力による
応力で直径が大きくなり、ラジアル軸受の軸受ギャップ
が狭くなるので、この悪影響を避ける為にラジアル軸受
のギャップのサイズは必要以上に大きくしてあるからで
ある。又、軸受ギャップ103,108を構成する対向
面は液体金属潤滑剤で濡れた状態になっているので鉛直
上方に在った液体金属潤滑剤は重力の影響で鉛直下方に
移動し、鉛直上方に在る軸受ギャップ103は液体金属
潤滑剤で満たされない状態と成る。従って、陰極側回転
体組立CRが回転を開始しようとするときには極めて大
きなトルクが必要となることがある。また、鉛直下方の
部分では過大な圧力を受けるので、陰極側回転体組立C
Rが回転を開始するときに軸受ギャップ108を構成す
る対向面に傷を生じ、回転特性が劣化することがある。
【0026】上記の不都合を無くする為に、次の工夫を
した。第一の工夫は、陰極側回転体組立CRが回転を開
始する直前に、陰極側回転体組立CRに鉛直上方の外力
を加えて持ち上げるか又は鉛直下方に位置する軸受ギャ
ップを構成する対向面にかかる圧力を減少させることで
ある。これを達成する簡単な手段は、図2(B)に示す
ようにステータLM2を3個配設しておき、鉛直下方に
位置するものを電磁石として動作させて陰極側回転体組
立CRに取り付けた磁路円筒MT2を吸引することであ
る。電磁石として動作させる為には、このステータLM
2に直流を流すか、又はステータLM2で回転磁界を生
じない磁路構成に切り替えて交流を流すことである。こ
の状態で、他のステータLM2により円筒状のロータR
T2に回転力を与える。この場合には、軸受ギャップの
鉛直下方の部分108に働く圧力が小さくなっているの
で小さなトルクを受けると容易に回転を開始する。回転
を開始すると、全ての軸受ギャップに動圧力が生じ、陰
極側回転体組立CRが液体金属潤滑剤に浮上した状態で
良好な回転特性をもって回転し、上記の鉛直下方にある
ステータの電磁石としての作用は不要となるので、この
ステータも通常の回転力を発生するステータとして作動
させる。ステータのコイルの過熱を防ぐ為に、電磁石と
して作用させるのはごく短時間であることが好ましい。
これらの制御は真空容器の外部に在る図示しない制御器
で行う。
【0027】第二の工夫は、陰極側回転体組立CRが回
転を開始しようとする時に、陰極側回転体組立CRに微
小振動を加えながら回転トルクを与えることである。こ
れを達成する簡単な手段は、図2(B)に示すように、
ステータLM2を3個配設しておき、鉛直下方に位置す
るものを交流の電磁石として動作させて、陰極側回転体
組立CRに取り付けた磁路円筒MT2を繰り返して吸引
することである。交流の電磁石として動作させる為に
は、このステータLM2で回転磁界を生じない磁路構成
に切り替えて交流を流すことである。この状態で、他の
ステータLM2によって円筒状のロータRT2に回転力
を与える。振動の方向は鉛直方向であることが好ましい
が、水平方向でも効果がある。陰極側回転体組立CRが
振動すると、軸受回転体の振動で軸受ギャップ内に在る
液体金属潤滑剤が移動すると共に軸受ギャップを構成す
る対向面間の摩擦が減少するので容易に回転を開始す
る。回転を開始した後は上記と同様である。
【0028】真空容器VVを傾斜している場合には、上
記の第一のスラスト軸受及び第二のスラスト軸受に陰極
側回転体組立CRの重力がかかる為に上記の効果が小さ
くなる。これを避ける為に、陰極側回転体組立CRが回
転を開始する前に、陰極側回転体組立CRの回転中心軸
CC’が水平になるように前記の真空容器VVの姿勢を
設定し、陰極側回転体組立CRが回転を開始した後で、
前記の回転中心軸CC’を傾斜させてチルトスキャンが
出来るようになっている。同様に、陰極側回転体組立C
Rが回転を停止する前に回転中心軸CC’が水平になる
ように真空容器VVの姿勢を設定する。又、本発明のカ
ソードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX線C
Tスキャナでは液体金属を潤滑剤とした動圧滑り軸受を
採用しているので、軸受機構CBGの信頼性が高く、陰
極側回転体組立CRを常時回転を継続させておくことが
出来る。このようにしておくと任意の瞬間に待ち時間無
しで撮影できるので都合が良い。
【0029】この発明を採用すると、真空空間と連通す
る前記の軸受開口120、120’、及び軸受開口12
1、121’の直径が100cmを超える場合も、液体
金属が真空領域に漏出しないで安定な動作をし、且つ、
始動時に回転トルクが十分に小さく、軸受面の磨耗や損
傷が無い動圧滑り軸受を用いた軸受機構CBGを実現す
ることができる。陽極側回転体組立ARもステータLM
1,円筒状のロータRT1,磁路円筒MT1を使って同
様に作動させる。
【0030】軸受回転体102が十分な高速度で回転し
ている場合には前記のラジアル軸受、第一のスラスト軸
受、第二のスラスト軸受において比較的大きな軸受損失
が発生するが、軸受固定体101は外部から強制冷却さ
れている真空容器VVに熱的にも結合されているので低
い温度に保たれる。軸受回転体102は、ラジアル軸
受、第一のスラスト軸受、第二のスラスト軸受のそれぞ
れの軸受ギャップ内にある液体金属を介して軸受固定体
101に熱的に結合されており、十分に低い温度に保た
れる。また、軸受回転体102には陰極側回転体組立C
Rが機械的に結合してあり、陰極回転体組立CRには電
子銃組立EGなどの発熱体が取り付けてある。特に、陽
極側の軸受機構AGBでは多量の熱を発生するX線ター
ゲットTGから多量の熱が流入する。これらの場合で
も、上記の理由により軸受部分の温度を十分に低くする
ことができる。
【0031】本発明を実施例に関連して説明したが、本
発明は、ここに例示した実施例の構造及び形態に限定さ
れるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱する
ことなく、いろいろな実施形態が可能であり、いろいろ
な変更及び改変を加えることができることを理解された
い。例えば、この発明では電子銃組立が3個取り付けて
あるが1個でも3個以上でも良い。また、この発明では
陰極側回転体組立CRとX線ターゲットTGの両方を回
転させる構造を示しているが、X線ターゲットTG及び
これに繋がっている部分を固定にした構造のカソードス
キャン型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャ
ナを含む事は勿論である。また、上記の実施例では常温
で液体である液体金属を潤滑剤として使用した例を示し
ているが、やや高い融点を持っており常温で固体であっ
ても動作の前に加熱して液化させてから動作させれば同
じ効果が得られることは勿論である。更に、前記のX線
ターゲットから発生したX線を前記の真空容器の外に取
り出す為のX線放出窓は真空容器と一体になっていて
も、真空容器の一部として構成されていてもこの部分で
のX線の減衰率が小さければX線放出窓と見なすことが
出来るのは勿論である。本発明の実施例では、回転駆動
機構を使って前記の陰極側回転体組立CR又は前記の陽
極側回転体組立ARを鉛直方向の外力を与える場合を示
しているが、鉛直方向の外力だけを発生させる部品が用
いられていても本発明の範囲内に含まれるのは勿論であ
る。真空容器VVは回転対称な形状でなくても良い事は
勿論である。真空容器VVの中心軸と陰極側回転体組立
CR又は陽極側回転体組立ARの中心軸がある程度ずれ
ていても良い事は勿論である。X線ターゲットTGが分
割して構成されており、それぞれの分割された部分に隙
間があっても良い事は勿論である。陰極給電機構SL1
の回転部分は、この陰極給電機構SL1の軸受機構を構
成する軸受回転体そのものであっても良い事は勿論であ
る。陰極給電機構SL1は、軸受機構CBGと一体に構
成されていても良い事は勿論である。尚、本発明では、
ギャップのサイズとは、ギャップを構成する対向面の一
方の面上の任意の点から、このギャップを構成する対向
面の他方の面への最短の距離を意味している。
【0032】この発明は、これまで述べてきたように超
高速スキャンができるX線CTスキャナを実現させるも
のであるが、次のように小変更することにより周回中心
軸方向に向かって全周囲方向から電子線を照射する電子
線照射装置に応用することができる。即ち、前記の実施
例で説明した機器構成からX線ターゲット及びこれに関
する部分と、X線のX線分布制限機構及びファン方向分
布整形器WF及びその他のX線に関する部品を省略し
て、X線放出窓XWを薄いチタン板から成る電子線放出
窓に変更し、電子銃組立EGから電子を放出する方向を
電子線放出窓の方向に変えるだけでそのまま実用にな
る。これを使用すると、プラスチックやガラスやその他
の改質処理に使用できて工業的に大きな効果を得る電子
線照射装置を提供することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカソード
スキャン型X線発生器を採用すると、回転する部分を真
空容器内部の概略回転対称な構造体に軽い部品を取り付
けた構造にできるので遠心力の影響が少なくなり、例え
ばスキャン時間が0.03秒の超高速スキャン型X線C
Tスキャナを簡単な構造で安価に実現させることができ
る。特に、複数のX線焦点から同時に短時間に多量のX
線を発生することができ、フォトンノイズが少ない十分
に良質な画像を得ることができる。発生したX線は環状
の面検出器で有効に受信され、広い範囲の領域における
多数の断面を瞬時に撮影することができ、このデータを
使用して被検体の3次元の内部構造を瞬時に検査できる
ようになる。その為に例えば人間の心臓のように動きが
速い部分が被検体の内部にあっても、これを忠実に即時
性をもって撮影できるX線CTスキャナを提供すること
ができる。軸受機構には液体金属を潤滑剤とした動圧滑
り軸受を採用しているので、真空中で長時間にわたって
安定に使用できるだけでなく、回転している部分の電位
を一定に保つことができて微小放電などの不安定な現象
の発生を防止できる。さらに、動圧滑り軸受を通して内
部で発生した熱を有効に真空容器の外部に導いて冷却す
ることができる。更に、回転の開始時にも小さな回転ト
ルクで容易に回転させることが出来る。外部に機械的な
回転機構がなく、これに関連した電源や電子回路は静止
状態で使用できるので全体として信頼性がよく、X線C
Tスキャナ全体がコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のX線CTスキャナの概略の断面を表す図
である。
【図2】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体の
主要部の概略の断面及び正面図である。
【図3】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生
器、及びこれを使ったX線CTスキャナの全体構造体を
表す概略の断面図であり、図2(A)の拡大図である。
【図4】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生器
の、ある瞬間に鉛直上方に位置した一部分の断面を拡大
した図である。
【図5】本発明に係わるカソードスキャン型X線発生器
の主要部である陰極側回転体組立の部分を拡大した断面
図である。
【符号の説明】
ABG 陽極側の軸受機構 AR 陽極側回転体組立 B 寝台 CBG 陰極側の軸受機構 CR 陰極側回転体組立 DB 後方検出器組立 DF 前方検出器組立 D1 検出器DF,DBの一部 D2 検出器DF,DBの一部 D3 検出器DF,DBの一部 EG 電子銃組立 F1 X線焦点 F2 X線焦点 F3 X線焦点 HT 高電圧端子 LM1 円弧状のステータ LM2 円弧状のステータ M 被検体 MT1 磁路円筒 MT2 磁路円筒 RT1 円筒状のロータ RT2 円筒状のロータ SL1 陰極給電機構 SLT スリット TG X線ターゲット VC 排気口 VV 真空容器 WF ファン方向分布整形器 XW X線放出窓 1 陰極 2 電子ビーム 101 軸受固定体 102 軸受回転体 103 ラジアル軸受ギャップの鉛直上方部分 104 第一スラスト軸受の軸受ギャップの鉛直上
方部分 105 端部ギャップの鉛直上方部分 106 第二スラスト軸受の軸受ギャップの鉛直上
方部分 107 端部ギャップの鉛直上方部分 108 ラジアル軸受ギャップの鉛直下方部分 109 第一スラスト軸受の軸受ギャップの鉛直下
方部分 110 端部ギャップの鉛直下方部分 111 第二スラスト軸受の軸受ギャップの鉛直下
方部分 112 端部ギャップの鉛直下方部分 120 軸受開口の鉛直下方部分 120’ 軸受開口の鉛直上方部分 121 軸受開口の鉛直下方部分 121’ 軸受開口の鉛直上方部分 217 回転トルク伝達機構 220 絶縁体 1001 従来のX線CTスキャナの固定架台 1002 従来のX線CTスキャナの回転架台 1003 従来のX線CTスキャナの軸受 1004 従来のX線CTスキャナのX線管 1005 従来のX線CTスキャナのX線 1006 従来のX線CTスキャナの検出器 1007 従来のX線CTスキャナの電子回路 1008 従来のX線CTスキャナの制御器 1009 従来のX線CTスキャナの回転駆動機構

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部を真空の状態に保持して真空空間を
    形成するドーナツ形状の真空容器と、この真空容器の内
    部の真空空間において真空容器の中心軸と同軸的に回転
    できるように支承された陰極側回転体組立と、この陰極
    側回転体組立の一部に取り付けられた電子銃組立と、こ
    の電子銃組立に取り付けられており電子を放出する陰極
    と、この陰極に前記の真空容器の外部から給電する為の
    陰極給電機構の回転部分と、前記の陰極の周回軌道を含
    む面と対面して取り付けられた環状のX線ターゲット
    と、このX線ターゲットの表面で発生したX線を前記の
    真空容器の外に取り出す為のX線放出窓と、前記の陰極
    側回転体組立に回転力を与える回転駆動機構と、前記の
    陰極側回転体組立を真空容器内で回転自在に支承する軸
    受機構と、前記の陰極給電機構の回転部分を真空容器内
    で回転自在に支承する軸受機構とを有して構成されてお
    り、これらの軸受機構の内の少なくとも一方の軸受機構
    は動作時に液体である液体金属を潤滑剤とした動圧滑り
    軸受を有しており、この動圧滑り軸受はギャップを有し
    て対向する軸受面を有し、これらの軸受面の少なくとも
    一方にはヘリンボーン状の軸受溝が設けられており、前
    記の陰極側回転体組立は、回転中心軸に垂直な方向の外
    力を与えられるようになっていることを特徴とするカソ
    ードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX線CT
    スキャナ。
  2. 【請求項2】 内部を真空の状態に保持して真空空間を
    形成するドーナツ形状の真空容器と、この真空容器の内
    部の真空空間において真空容器の中心軸と同軸的に回転
    できるように支承された陽極側回転体組立と、この陽極
    側回転体組立に取り付けられた環状のX線ターゲット
    と、このX線ターゲットの表面に対向した軌道を成して
    周回できるように取り付けられた電子銃組立と、この電
    子銃組立に取り付けられており電子を放出する陰極と、
    この陰極に前記の真空容器の外部から給電する為の陰極
    給電機構と、前記のX線ターゲットの表面で発生したX
    線を前記の真空容器の外に取り出す為のX線放出窓と、
    前記の陽極側回転体組立に回転力を与える回転駆動機構
    と、前記の陽極側回転体組立を真空容器内で回転自在に
    支承する軸受機構とを有して構成されており、この軸受
    機構は動作時に液体である液体金属を潤滑剤とした動圧
    滑り軸受を有しており、この動圧滑り軸受はギャップを
    有して対向する軸受面を有し、これらの軸受面の少なく
    とも一方にはヘリンボーン状の軸受溝が設けられてお
    り、前記の陽極側回転体組立は、回転中心軸に垂直な方
    向の外力を与られるようになっていることを特徴とする
    カソードスキャン型X線発生器、及びこれを使ったX線
    CTスキャナ。
  3. 【請求項3】 前記の回転駆動機構は複数の分離したス
    テータを含んでおり、そのうちの少なくとも1個は前記
    の陰極側回転体組立または陽極側回転体組立を回転させ
    る力を発生し、少なくとも1個は前記の陰極側回転体組
    立または陽極側回転体組立の少なくとも一方を回転中心
    軸と垂直な方向に引き付け又は引き離す力を発生させる
    ようにしたことを特徴とする特許請求項1または2のい
    ずれか1つに記載のカソードスキャン型X線発生器、及
    びこれを使ったX線CTスキャナ。
  4. 【請求項4】 前記の回転駆動機構は少なくとも1個の
    ステータを含んでおり、このステータは、前記の陰極側
    回転体組立または陽極側回転体組立の少なくとも一方を
    回転させる力と、これを回転中心軸と垂直な方向に引き
    付け又は引き離す力の両方を発生させるように制御され
    ることを特徴とする特許請求項1または2のいずれか1
    つに記載のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを
    使ったX線CTスキャナ。
  5. 【請求項5】 前記の回転駆動機構を構成するステータ
    の内の少なくとも1個は、前記の陰極側回転体組立また
    は陽極側回転体組立の少なくとも一方の回転速度が小さ
    くなった時または回転を停止している時に、これらを半
    径方向に引き付け又は引き離す力を発生させ、又は強め
    ることを特徴とする特許請求項3または4のいずれか1
    つに記載のカソードスキャン型X線発生器、及びこれを
    使ったX線CTスキャナ。
  6. 【請求項6】 前記の回転駆動機構を構成するステータ
    の内の少なくとも1個は、電磁石の吸引力または反発力
    によって前記の陰極側回転体組立または陽極側回転体組
    立の少なくとも一方を、回転中心軸と垂直な方向に引き
    付け又は引き離す力を発生させることを特徴とする特許
    請求項3から5のいずれか1つに記載のカソードスキャ
    ン型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  7. 【請求項7】 前記の回転駆動機構を構成するステータ
    の内の少なくとも1個には、前記の陰極側回転体組立ま
    たは陽極側回転体組立の少なくとも一方が回転を開始す
    る前に、直流の電流が流れることを特徴とする特許請求
    項3または4のいずれか1つに記載のカソードスキャン
    型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  8. 【請求項8】 前記の回転駆動機構を構成するステータ
    の内の少なくとも1個には、前記の陰極側回転体組立ま
    たは陽極側回転体組立の少なくとも一方に、振動を与え
    るような電流が流されることを特徴とする特許請求項1
    から6のいずれか1つに記載のカソードスキャン型X線
    発生器、及びこれを使ったX線CTスキャナ。
  9. 【請求項9】 前記の陰極側回転体組立または陽極側回
    転体組立の少なくとも一方は、これらと同軸的に取り付
    けられた環状の磁性体を含んでいることを特徴とする特
    許請求項1から8のいずれか1つに記載のカソードスキ
    ャン型X線発生器、及びこれを使ったX線CTスキャ
    ナ。
  10. 【請求項10】 前記の陰極側回転体組立が回転を開始
    する前に、陰極側回転体組立の回転中心軸が水平になる
    ように前記の真空容器の姿勢を設定し、陰極側回転体組
    立が回転を開始した後で、前記の回転中心軸を傾斜させ
    ることが出来ことを特徴とする特許請求項1から9のい
    ずれか1つに記載のカソードスキャン型X線発生器、及
    びこれを使ったX線CTスキャナ。
  11. 【請求項11】 内部を真空の状態に保持して真空空間
    を形成するドーナツ形状の真空容器と、この真空容器の
    内部の真空空間において真空容器の中心軸と同軸的に回
    転できるように支承された陰極側回転体組立と、この陰
    極側回転体組立の一部に取り付けられた電子銃組立と、
    この電子銃組立に取り付けられており電子を放出する陰
    極と、この陰極に前記の真空容器の外部から給電する為
    の陰極給電機構の回転部分と、前記の陰極から放出され
    て加速された電子を取り出す為の電子線放出窓と、前記
    の陰極側回転体組立に回転力を与える回転駆動機構と、
    前記の陰極側回転体組立を真空容器内で回転自在に支承
    する軸受機構と、前記の陰極給電機構の回転部分を真空
    容器内で回転自在に支承する軸受機構とを有して構成さ
    れており、これらの軸受機構の内の少なくとも一方の軸
    受機構は動作時に液体である液体金属を潤滑剤とした動
    圧滑り軸受を有しており、この動圧滑り軸受はギャップ
    を有して対向する軸受面を有し、これらの軸受面の少な
    くとも一方にはヘリンボーン状の軸受溝が設けられてお
    り、前記の陰極側回転体組立は、回転中心軸に垂直な方
    向の外力を与えられるようになっていることを特徴とす
    る電子線照射装置。
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