JP2001275936A - 内視鏡用可撓管 - Google Patents

内視鏡用可撓管

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JP2001275936A
JP2001275936A JP2001012408A JP2001012408A JP2001275936A JP 2001275936 A JP2001275936 A JP 2001275936A JP 2001012408 A JP2001012408 A JP 2001012408A JP 2001012408 A JP2001012408 A JP 2001012408A JP 2001275936 A JP2001275936 A JP 2001275936A
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Shinji Hayakawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗菌性に優れた内視鏡用可撓管を提供するこ
と。 【解決手段】挿入部可撓管1は、構造体2と、その外周
部を被覆する外皮3とで構成されている。この外皮3
は、可撓性を有する樹脂と抗菌性を有する植物抽出物を
含む材料で構成される。樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリ
ウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポ
リオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、
ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、フ
ッ素ゴムのうちの、少なくとも1種を含むものであるこ
とが好ましい。また、植物抽出物としては、種子植物門
・被子植物亜門・双子葉植物網・離弁花植物亜網・キン
ポウゲ目に属する植物から抽出されたものであることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、生体内に
挿入して使用される内視鏡に用いられる内視鏡用可撓管
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内視鏡検査では、挿入部可撓管(体腔内
に挿入される部分)を、例えば、胃、十二指腸、小腸あ
るいは大腸といった体腔の深部まで挿入する必要があ
る。
【0003】このため、挿入部可撓管の表面は、体腔内
に常在する病原菌(例えば、大腸菌等)に接触すること
になり、病原菌が付着してしまう。
【0004】また、内視鏡は、繰り返し使用されるた
め、従来、付着した病原菌の除去に主眼を置いて、過酸
化物系の消毒液による消毒あるいは高温殺菌処理を行っ
ている。
【0005】しかしながら、医療現場では、繰り返し内
視鏡を使用するにあたり、安全性の観点から更なる病原
菌への対策が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抗菌
性に優れた内視鏡用可撓管を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明により達成される。
【0008】(1) 外皮を有する内視鏡用可撓管であ
って、前記外皮は、少なくともその外周面が、可撓性を
有する樹脂と、抗菌性を有する植物抽出物とを含む材料
で構成されることを特徴とする内視鏡用可撓管。これに
より、抗菌性に優れた内視鏡用可撓管を提供することが
できる。
【0009】(2) 前記外皮の材料は、前記植物抽出
物を0.1〜30重量%含有する上記(1)に記載の内
視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の表面は、
十分な抗菌性を有する。
【0010】(3) 外皮を有する内視鏡用可撓管であ
って、前記外皮は、可撓性を有する樹脂を含む材料で構
成され、前記外皮の外周部に、抗菌性を有する植物抽出
物を含む被覆層が形成されていることを特徴とする内視
鏡用可撓管。これにより、抗菌性に優れた内視鏡用可撓
管を提供することができる。
【0011】(4) 前記被覆層は、厚さ0.01〜
0.25mmである上記(3)に記載の内視鏡用可撓
管。これにより、内視鏡用可撓管の表面は、十分な抗菌
性を有する。
【0012】(5) 前記被覆層は、前記植物抽出物を
0.1〜30重量%含有する上記(3)または(4)に
記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の
表面は、十分な抗菌性を有する。
【0013】(6) 前記樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポ
リウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、
ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマ
ー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマ
ー、フッ素ゴムのうちの、少なくとも1種を含むもので
ある上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡
用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管は、高い可撓性
を有する。
【0014】(7) 前記植物抽出物は、種子植物門・
被子植物亜門・双子葉植物網・離弁花植物亜網・キンポ
ウゲ目に属する植物のうちの、少なくとも1種から抽出
されたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに
記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の
表面は、抗菌性が向上する。
【0015】(8) 前記キンポウゲ目に属する植物
は、スイレン科あるいはキンポウゲ科に属するものであ
る上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の内視鏡用
可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の表面は、抗菌性
が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内視鏡用可撓管の
好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】本発明の内視鏡用可撓管を、挿入部可撓管
を例として説明する。図1は、挿入部可撓管の第1実施
形態を示す拡大縦断面図である。
【0018】挿入部可撓管1は、生体の管腔内に挿入し
て使用されるものである。この挿入部可撓管1は、図1
に示すように、構造体2と、その外周部を被覆する外皮
3を有している。
【0019】また、挿入部可撓管1には、内部に、例え
ば、光ファイバ束(バンドル)、電線ケーブル、操作ワ
イヤまたはチューブ類等の内蔵物等(図中省略)を配
置、挿通することができる空間4が設けられている。
【0020】構造体2は、螺旋管5と、螺旋管5の外周
部を被覆する網状管6とで構成され、全体として管状長
尺物として形成されている。
【0021】この構造体2は、挿入部可撓管1を補強す
る効果を有する。特に、螺旋管5と網状管6を組合わせ
たことにより、挿入部可撓管1は、管腔への追従性(湾
曲性)、トルク伝達性が得られ、十分な機械的強度を確
保できる。
【0022】螺旋管5は、例えば、帯状体を均一な径で
螺旋状に隙間をあけて巻いて形成したものである。螺旋
管5を構成する材料としては、特に限定されないが、例
えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。
【0023】なお、螺旋管5は、十分な機械的強度を確
保できるものであれば、図示のものに限定されない。
【0024】また、螺旋管5の厚さ(管壁の厚さ)は、
特に限定されないが、通常、0.10〜0.5mm程度
であることが好ましく、0.12〜0.4mm程度であ
ることがより好ましい。螺旋管5の厚さ(管壁の厚さ)
が、前記の下限値より薄いと、十分な追従性、トルク伝
達性が得られない場合がある。一方、螺旋管5の厚さ
が、前記の上限値より厚くなると、挿入部可撓管1の外
径が大きくなり、細径化に不利となる。
【0025】網状管6は、例えば、金属細線単独あるい
は金属細線と非金属繊維を編組みして形成したものであ
る。金属細線を構成する材料としては、例えば、ステン
レス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。また、非金属
繊維を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、
ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂繊維が好まし
く用いられる。
【0026】網状管6の厚さ(管壁の厚さ)としては、
特に限定されないが、通常、0.03〜0.22mm程
度であることが好ましく、0.035〜0.20mm程
度であることがより好ましい。網状管6の厚さ(管壁の
厚さ)が、前記の下限値より薄いと、十分な追従性、ト
ルク伝達性が得られない場合がある。一方、網状管6の
厚さが、前記の上限値より厚くなると、挿入部可撓管1
の外径が大きくなり、細径化に不利となる。
【0027】外皮3は、構造体2の外周部を被覆するも
のである。これにより、挿入部可撓管1の挿入操作のし
易さ(可撓性)の向上を図り、患者の負担を軽減すると
ともに、体液等の液体が、挿入部可撓管1の内部へ侵入
するのを防ぐことができる。
【0028】本実施形態では、外皮3を構成する材料
(以下、「外皮材料」という。)は、可撓性を有する樹
脂と抗菌性を有する植物抽出物を含むものである。
【0029】樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ
スチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、エチレ
ン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹
脂、ポリイミド等各種可撓性を有する樹脂や、ポリウレ
タンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオ
レフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリ
スチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム、ラテックスゴム等の各種エラス
トマー、またはこれらのうちの2種以上を組み合わせた
ものが使用可能である。
【0030】この中でも、樹脂としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラス
トマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラスト
マー、フッ素ゴムのうちの、少なくとも1種を含むもの
が好ましい。
【0031】このような樹脂は、適度な弾性力を有する
ため、外皮材料の主成分として使用した場合、外皮3
は、良好な可撓性が得られる。
【0032】ポリ塩化ビニルとしては、光やα線等の照
射、あるいは過酸化物等の遊離基重合触媒の存在下で、
例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等により作製し
たものを用いることができる。この場合、加工温度とし
ては、例えば、150〜170℃程度とするのが好まし
く、反応に用いる溶媒としては、例えば、シクロヘキサ
ノン、テトラヒドロフラン、ニトロベンゼン等を用いる
ことができる。
【0033】また、ポリ塩化ビニルには、柔軟性を向上
させるために、例えば、フタル酸ジ(2−エチルヘキシ
ル)のようなフタル酸エステル等の可塑剤を混合するの
が好ましい。
【0034】このようなポリ塩化ビニルとしては、重量
平均分子量が、例えば、25,000〜30,000程
度のものを用いるのが好ましい。
【0035】ポリウレタンエラストマーとしては、例え
ば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共重
合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)を用い
ることができる。
【0036】ハードセグメントとしては、例えば、ジイ
ソシアネートと短鎖グリコールとを含む重合体、また
は、短鎖グリコール単独のもの等が挙げられる。
【0037】ジイソシアネートとしては、例えば、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、
2,4’−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,
6−トルエンジイソシアネート(TDI)、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HDI)、3,3’−
ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(T
ODI)、1,5’−ナフタレンジイソシアネート(N
DI)等が挙げられる。この中でも、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)がより好まし
い。
【0038】短鎖グリコールとしては、例えば、エチレ
ングリコール(EO)、1,3−プロピレングリコール
(PG)、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチ
レングリコール、1,6−ヘキシルグリコール、1,4
−ジメチロールベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールA/EO等が挙げられる。この中でも、1,4−
ブチレングリコールがより好ましい。
【0039】一方、ソフトセグメントとしては、例え
ば、ジイソシアネートと長鎖グリコールとを含む重合
体、または、長鎖グリコール単独のもの等が挙げられ
る。
【0040】ジイソシアネートとしては、ハードセグメ
ントで記載したものと同じものが挙げられる。その中で
も、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)がより好ましい。
【0041】長鎖グリコールとしては、例えば、ポリテ
トラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリ
(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(エチレンアジ
ペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペ
ート)グリコール、ポリ(エチレン−1,4−アジペー
ト)グリコール、ポリ(ヘキサンジオール−1,6−カ
ーボネート)グリコール、ポリカプロラクトングリコー
ル、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)グリコー
ル、(ヘキサンジオール−1,6−カーボネート)グリ
コール等が挙げられる。この中でも、ポリテトラメチレ
ンエーテルグリコール(PTMG)がより好ましい。
【0042】ポリエステルエラストマーとしては、例え
ば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共重
合体(ランダム共重合体、ブロック重合体等)を用いる
ことができる。
【0043】また、ポリエステルエラストマーは、ポリ
エステル・ポリエーテル型、ポリエステル・ポリエステ
ル型、液晶性型に分類される。
【0044】ポリエステル・ポリエーテル型のハードセ
グメントとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)
等が挙げられる。
【0045】一方、ポリエステル・ポリエーテル型のソ
フトセグメントとしては、例えば、ポリテトラメチレン
エーテルグリコール(PTMG)、ポリ(1,2−プロ
ピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシ
ド)グリコール等が挙げられる。
【0046】ポリエステル・ポリエステル型のハードセ
グメントとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)等が挙げられる。
【0047】一方、ポリエステル・ポリエステル型のソ
フトセグメントとしては、例えば、ポリカプロラクトン
等が挙げられる。
【0048】また、液晶性型のハードセグメントとして
は、例えば、ジヒドロキシパラクォーターフェニル(D
HQ)等が挙げられる。
【0049】一方、液晶性型のソフトセグメントとして
は、例えば、芳香族系ポリエステル(例えば、ポリエチ
レンテレフタレート等)等が挙げられる。
【0050】これらの中でも、ポリエステルエラストマ
ーのハードセグメントとしては、ポリブチレンテレフタ
レートがより好ましい。一方、ポリエステルエラストマ
ーのソフトセグメントとしては、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコールがより好ましい。
【0051】ポリオレフィンエラストマーとしては、例
えば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共
重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)を用
いることができる。
【0052】ハードセグメントとしては、例えば、ポリ
プロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチ
レン(PS)、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリ
ル(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SA
N)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。この
中でも、ハードセグメントとしては、ポリエチレン(P
E)がより好ましい。
【0053】一方、ソフトセグメントとしては、例え
ば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、天然
ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−酢
酸ビニル(EVA)、クロロプレンゴム(CR)、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ
る。この中でも、ソフトセグメントとしては、エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)がより好ま
しい。
【0054】ポリアミドエラストマーとしては、例え
ば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共重
合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)を用い
ることができる。
【0055】ハードセグメントとしては、例えば、ナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン1
1、ナイロン12等が挙げられる。この中でも、ハード
セグメントとしては、ナイロン66がより好ましい。
【0056】一方、ソフトセグメントとしては、例え
ば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTM
G)、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(エ
チレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,
4−アジペート)グリコール等が挙げられる。この中で
も、ソフトセグメントとしては、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール(PTMG)がより好ましい。
【0057】ポリスチレンエラストマーとしては、例え
ば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共重
合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)を用い
ることができる。
【0058】ハードセグメントとしては、例えば、ポリ
スチレン等が挙げられる。一方、ソフトセグメントとし
ては、例えば、ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソ
プレン等)等が挙げられる。この中でも、ソフトセグメ
ントとしては、ポリブタジエンがより好ましい。
【0059】フッ素系エラストマーとしては、例えば、
ハードセグメントとソフトセグメントとを含む共重合体
(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)を用いるこ
とができる。
【0060】ハードセグメントとしては、例えば、フッ
素樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体ポ
リマー、ポリフッ化ビニリデン等)等が挙げられる。こ
の中でも、ハードセグメントとしては、テトラフルオロ
エチレン−エチレン共重合体ポリマーがより好ましい。
【0061】一方、ソフトセグメントとしては、例え
ば、フッ素ゴム(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合ポリマー
等)等が挙げられる。
【0062】フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニ
リデン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン/プロピ
レン系ゴム、パーフルオロフッ素ゴム、フルオロシリコ
ーンゴム、フルオロフォスファゼンゴム等が挙げられ
る。この中でも、フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデ
ン系フッ素ゴムがより好ましい。
【0063】植物抽出物としては、例えば、病原菌等の
細菌やウイルス等(以下、これらを総称して「細菌等」
という。)に対して抗菌性を有するものが好ましい。
【0064】ここで、抗菌性とは、細菌等を死滅させ、
その生菌数を減少させる場合を含む他、細菌等の増殖を
抑制する制菌作用をも含む概念である。
【0065】本発明において用いられる植物としては、
抗菌性物質を含有しているものであれば、特に限定され
ないが、例えば、種子植物門・被子植物亜門・双子葉植
物網・離弁花植物亜網・キンポウゲ目のうちの、スイレ
ン科、キンポウゲ科、ツヅラフジ科、メギ科等に属する
植物、またはこれらのうちの2種以上を組合わせて使用
することができる。この中でも、前記の植物としては、
スイレン科、キンポウゲ科に属する植物を用いるのがよ
り好ましい。
【0066】また、このような科に属する植物として
は、例えば、ハス、オウレンまたはその同属植物、ヒド
ラスチス等が挙げられ、この中でも、ハス、オウレンま
たはその同属植物がより好ましく用いられる。これらの
植物は、主成分として高い抗菌性を有する抗菌性物質を
含んでいる。このため、これらの植物からの植物抽出物
を外皮材料中に混合した場合、細菌等に対して、優れた
抗菌性を有する外皮3が得られる。
【0067】また、このような植物抽出物は、前記のよ
うな樹脂と混合した場合、樹脂との間で不活性であり、
細菌等に対する抗菌性が損なわれるようなことはない。
このため、外皮3は、抗菌性が長期間持続する。
【0068】抽出に用いる植物の部位としては、用いる
植物により適宜選択され、特に限定されないが、例え
ば、全草、根茎、根、地下茎、葉、果実、種子、皮、材
部、油脂、花等のうちの、1部位または2部位以上を組
合わせて用いることができる。
【0069】このような植物としては、例えば、生のま
ま直接使用してもよく、乾燥させて用いてもよい。ま
た、種子を用いる場合には、焙煎してから用いてもよ
い。
【0070】植物抽出物の抽出方法としては、特に限定
されないが、例えば、各種溶媒による抽出法、圧搾法、
水蒸気蒸留法等を用いることができる。この中でも、抽
出方法としては、溶媒による抽出法がより好ましく用い
られる。
【0071】抽出に用いる溶媒としては、特に限定され
ないが、例えば、水、水に無機塩を添加した塩溶液、エ
タノール、メタノール等のアルコールまたはこれらの水
溶液、石油エーテル、酢酸エチル、アセトン等の有機溶
媒等を用いることができる。この中でも、水、エタノー
ル水溶液がより好ましく用いられる。
【0072】抽出時の溶媒温度としては、特に限定され
ないが、例えば、水を溶媒として用いる場合には、4〜
100℃であるのが好ましく、15〜70℃であるのが
より好ましい。
【0073】なお、溶媒として、水以外のものを用いる
場合は、前記の温度に限定されることはない。
【0074】このようにして得られた植物抽出物は、例
えば、植物抽出物の抽出溶液を濃縮した濃縮液、さらに
この濃縮液を乾燥させた乾燥エキス等の状態で用いるこ
とができる。
【0075】前記の抽出溶液の濃縮方法としては、特に
限定されないが、例えば、溶媒を沸点以上に加温し濃縮
する方法、減圧下に溶媒を加温して濃縮する方法等を用
いることができる。この中でも、抽出溶液の濃縮方法と
しては、減圧下に溶媒を加温して濃縮させる方法を用い
るのがより好ましい。溶媒を減圧下に加温し、濃縮する
方法は、比較的低温で容易に溶媒を除去することができ
る。このため、特に、大量の溶媒を取り扱う場合には有
利である。
【0076】外皮材料中の植物抽出物の含有量として
は、特に限定されないが、例えば、0.1〜30重量%
であるのが好ましく、0.5〜25重量%であるのがよ
り好ましい。外皮材料中の植物抽出物の含有量が少ない
と、外皮3は、細菌等の種類によっては、それに対する
抗菌性を十分に発揮できない場合がある。一方、外皮材
料中の植物抽出物の含有量が多いと、外皮材料の物理的
特性、例えば、可撓性を阻害する場合がある。
【0077】また、外皮材料中には、必要に応じて、任
意に添加物が含まれていてもよい。添加物としては、例
えば、無機フィラー、顔料、各種安定剤(例えば、酸化
防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、
滑剤等)、X線造影剤等が挙げられる。
【0078】このような挿入部可撓管1は、例えば、次
のように製造することができる。まず、例えば、螺旋管
5の外周部を網状管6で被覆し、構造体2を製造する。
【0079】次に、外皮材料を、例えば、押出成形機で
溶融または軟化し、均一に混練する。
【0080】混練時の外皮材料温度としては、特に限定
されないが、例えば、160〜220℃程度であるのが
好ましく、180〜210℃程度であるのがより好まし
い。混合時の外皮材料温度が、低すぎると、外皮材料が
十分に混合されない場合がある。一方、混合時の外皮材
料温度が、高すぎると、外皮材料中に含有される植物抽
出物が変質する場合がある。
【0081】続いて、均一に混合された外皮材料は、例
えば、連続する管状の長尺物(外皮3)として押出成形
され、構造体2の外周部を均一な厚さで被覆する。これ
により、挿入部可撓管1が得られる。
【0082】押出成形時の外皮材料温度としては、例え
ば、前述の混練時の外皮材料温度とほぼ同様とすること
ができる。
【0083】外皮3の厚さとしては、構造体2およびそ
の内部に挿通される内蔵物等を体液から保護することが
でき、かつ、挿入部可撓管1の湾曲性を妨げなければ、
特に限定されず、通常は、0.05〜0.95mm程度
であることが好ましく、0.1〜0.85mm程度であ
ることがより好ましい。
【0084】なお、挿入部可撓管1の製造方法として
は、このようなものに限定されず、例えば、まず、押出
成形により外皮3を中空の管体(パイプ状)として形成
し、次に、この外皮3の中空部に、構造体2を挿通し、
その後、例えば、加熱等により密着固定するようにして
もよい。
【0085】また、このような外皮3は、単一の層で構
成されているものに限らず、複数の層で構成されていて
もよい。以下、その例について説明する。
【0086】図2に示すように、外皮3は、内層31
と、内層31の外周部に設置される外層32の2層で構
成されていてもよい。
【0087】この場合、外層32は、植物抽出物を含有
する外皮材料で構成するようにし、内層31は、植物抽
出物を含有しない外皮材料で構成するようにするのが好
ましい。
【0088】内層31および外層32を構成する樹脂と
しては、例えば、前述した樹脂と同様のものを用いるこ
とができる。
【0089】外層32の厚さとしては、0.01〜0.
25mm程度とするのが好ましく、0.015〜0.2
0mm程度とするのがより好ましい。外層32の厚さ
が、薄すぎると、外皮3は、細菌等に対する抗菌性を十
分に発揮できない場合がある。一方、外層32の厚さ
が、厚すぎると、挿入部可撓管1の外径が大きくなり、
細径化に不利となる。
【0090】このような外皮3は、内層31を構成する
外皮材料と、外層32を構成する外皮材料とを、例え
ば、二色成形により、一体として製造してもよく、ま
た、例えば、内層31と外層32とを、それぞれ、中空
の管体(パイプ状)として形成し、その後、内層31に
外層32を被せ、例えば、加熱等により熱融着するよう
にしてもよい。。
【0091】次に、挿入部可撓管の第2実施形態を説明
する。図3は、挿入部可撓管1の第2実施形態を示す拡
大縦断面図である。
【0092】以下、図3に示す挿入部可撓管1につい
て、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様
の事項については、その説明を省略する。
【0093】第2実施形態の挿入部可撓管1は、構造体
2と、その外周部を被覆する外皮3を有し、さらに、外
皮3の外周部に、植物抽出物を含有する被覆層7が形成
されている。
【0094】本実施形態では、外皮3は、前記の植物抽
出物を含有しない以外、前述した外皮材料と同様のもの
で構成されている。
【0095】被覆層7は、前記の植物抽出物と、ポリマ
ーとを含む材料で構成されているのが好ましい。
【0096】このポリマーは、植物抽出物を被覆層7中
に保持するために用いられるものである。
【0097】ポリマーとしては、特に限定されないが、
例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース
誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース)等が挙
げられる。この中でも、ポリビニルアルコールがより好
ましく用いられる。このようなポリマーは、前記の外皮
を構成する樹脂と相溶性が高い。このため、被覆層7
は、外皮3への密着性が向上する。
【0098】被覆層7の厚さとしては、特に限定されな
いが、例えば、0.01〜0.25mm程度であるのが
好ましく、0.015〜0.2mm程度であるのがより
好ましい。被覆層7の厚さが、薄すぎると、細菌等に対
する、十分な抗菌性が発揮できない場合がある。一方、
被覆層7の厚さが厚すぎると、挿入部可撓管1の外径が
大きくなり、細径化に不利となる。
【0099】被覆層7中の植物抽出物の含有量として
は、特に限定されないが、例えば、0.1〜30重量%
であるのが好ましく、0.5〜25重量%であるのがよ
り好ましい。被覆層7中の植物抽出物の含有量が、少な
すぎると、被覆層7は、細菌等の種類によっては、それ
らに対する十分な抗菌性を発揮することができない場合
がある。一方、被覆層7中の植物抽出物の含有量を、前
記の上限値を越えて高くしても、それ以上の抗菌性の向
上が見られない。
【0100】このような被覆層7を外皮3の外周部に形
成する方法としては、例えば、次のようにすることがで
きる。
【0101】まず、必要に応じて、外皮3の表面に、例
えば、押出口金の形状の選択、梨地加工、薬品処理(例
えば、塩酸処理のような酸処理)、ショットブラスト、
サンドブラスト等の方法により、微少な凹凸を形成する
ことができる。これにより、被覆層7の外皮3への密着
性が向上する。
【0102】次に、例えば、植物抽出物およびポリマー
を溶解した有機溶媒を、外皮3の表面に、塗布(または
浸漬)し、乾燥する。これにより、外皮3の外周部に、
被覆層7が効果的に形成される。
【0103】有機溶媒としては、例えば、外皮を構成す
る樹脂を適度に溶融または膨潤させるものが好ましく用
いられる。このような有機溶媒としては、例えば、テト
ラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が好ましく用
いられる。このような有機溶媒を用いることにより、被
覆層7は、外皮3への密着性が向上する。
【0104】以上、本発明の内視鏡用可撓管を、図示の
各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0105】例えば、本発明の内視鏡用可撓管は、光源
装置に接続されるライトガイド可撓管のような他の部位
にも適用することができるものである。
【0106】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0107】(実施例1) [1.1]植物抽出物(濃縮液)の調整 まず、ハスの葉の乾燥物5gとオウレンの根茎の乾燥物
5gを、細切し、25℃に保持した水500mLに浸漬
させ、1時間攪拌した。
【0108】次に、かかる液を、ろ紙を用いてろ過し、
60℃の加温下に、真空エバポレーターを用いて濃縮し
た濃縮液1.2gを得た。
【0109】[1.2]内視鏡用可撓管の製造 単一層の外皮を有する内視鏡用可撓管を、以下のように
して製造した。
【0110】外皮を構成する樹脂としては、下記のもの
を使用した。 ポリ塩化ビニル :乳化重合物、フタル酸ジ
(2−エチルヘキシル)可塑化、重量平均分子量=2
8,000 ポリウレタンエラストマー :1,4−ブチレングリコ
ールからなるハードセグメントと、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールからなるソフトセグメントのブロッ
ク共重合体 ポリエステルエラストマー :ポリブチレンテレフタレ
ートからなるハードセグメントと、ポリテトラメチレン
エーテルグリコールからなるソフトセグメントとのブロ
ック共重合体 ポリオレフィンエラストマー:ポリエチレンからなるハ
ードセグメントと、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合体からなるソフトセグメントのブロック共重合体 ポリアミドエラストマー :ナイロン66からなるハ
ードセグメントと、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールからなるソフトセグメントのブロック共重合体 ポリスチレンエラストマー :ポリスチレンからなるハ
ードセグメントと、ポリブタジエンからなるソフトセグ
メントのブロック共重合体 フッ素系エラストマー :テトラフルオロエチレン
−エチレン共重合体ポリマーからなるハードセグメント
と、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テ
トラフルオロエチレン三元共重合ポリマーからなるソフ
トセグメントのブロック共重合体 フッ素ゴム :フッ化ビニリデン系フッ
素ゴム
【0111】まず、ステンレス製の螺旋管と、ステンレ
ス製の金属細線とポリエステル製の非金属繊維を編組み
した網状管からなる構造体を製造した。
【0112】次に、外皮を構成する樹脂と、植物抽出物
(濃縮液)とを、押出成形機に投入し、180℃で混練
した。
【0113】なお、樹脂の組み合わせ、および植物抽出
物(濃縮液)の配合率は、表1に示す通りである。
【0114】次に、押出成形時の外皮材料温度を180
℃とし、構造体の外周部に押出成形により、厚さ0.5
mmの外皮を被覆して、内径7mm、外径9mm、長さ
1.5mの内視鏡用可撓管を製造した。
【0115】(実施例2) [2.1] 植物抽出物(乾燥エキス)の調整 まず、実施例1と同様の植物および同様の手順にしたが
って、濃縮液を得た。
【0116】次に、かかる濃縮液1.2gを、70℃で
24時間乾燥させ、0.8gの乾燥エキスを得た。
【0117】[2.2] 内視鏡用可撓管の製造 内層および外層の2層で構成される外皮を有する内視鏡
用可撓管を、以下のようにして製造した。
【0118】内層を構成する樹脂としては、エチレン−
酢酸ビニル共重合体を用いた。外層を構成する樹脂とし
ては、実施例1と同様のものを用いた。
【0119】まず、ステンレス製の螺旋管と、ステンレ
ス製の金属細線とポリエステル製の非金属繊維を編組み
した網状管からなる構造体を製造した。
【0120】次に、外層を構成する樹脂と、植物抽出物
(乾燥エキス)とを、押出成形機に投入し、180℃で
混練した。
【0121】なお、樹脂の組み合わせ、および植物抽出
物(乾燥エキス)の配合率は、表2に示す通りである。
また、内層を構成する樹脂を、押出成形機に投入し、1
80℃で溶融した。
【0122】次に、押出成形時の内層および外層の外皮
材料温度を、いずれも、180℃とし、構造体の外周部
に二色成形により、内層の厚さ0.3mm、外層の厚さ
0.2mmの2層で構成される外皮を被覆して、内径7
mm、外径9mm、長さ1.5mの内視鏡用可撓管を製
造した。
【0123】(実施例3) [3.1] 植物抽出物(濃縮液)の調整 実施例1と同様の手順にしたがって、濃縮液を得た。
【0124】[3.2] 内視鏡用可撓管の製造 外皮の外周部に被覆層が形成された内視鏡用可撓管を、
以下のようにして製造した。外皮を構成する樹脂として
は、実施例1と同様のものを用いた。
【0125】まず、ステンレス製の螺旋管と、ステンレ
ス製の金属細線とポリエステル製の非金属繊維を編組み
した網状管からなる構造体を製造した。
【0126】次に、外皮を構成する樹脂を、押出成形機
に投入し、180℃で混練した。なお、樹脂の組み合わ
せは、表3に示す通りである。
【0127】次に、押出成形時の外皮材料温度を180
℃とし、構造体の外周部に押出成形により、厚さ0.5
mmの外皮を被覆して、内径7mm、外径9mm、長さ
1.5mの内視鏡用可撓管を製造した。
【0128】次に、塩酸処理にて、外皮の表面を粗面処
理した。次に、植物抽出物(濃縮液)とポリビニルアル
コールとを溶解したジメチルホルムアミド溶液を、外皮
の表面に塗布し、170℃で乾燥させた。これにより、
外皮の外周部に、被覆層を形成した。
【0129】なお、被覆層の厚さおよび被覆層中の植物
抽出物(濃縮液)の含有量(いずれも、乾燥時)は、表
3に示す通りである。
【0130】(実施例4) [4.1] 植物抽出物(乾燥エキス)の調整 実施例2と同様の手順にしたがって、乾燥エキスを得
た。
【0131】[4.2] 内視鏡用可撓管の製造 外皮の外周部に被覆層が形成された内視鏡用可撓管を、
以下のようにして製造した。外皮を構成する樹脂として
は、実施例1と同様のものを用いた。
【0132】植物抽出物として、濃縮液の代わりに乾燥
エキスを用いたこと以外は、実施例3と同様の手順にし
たがって、外皮の外周部に被覆層が形成された内視鏡用
可撓管を製造した。
【0133】なお、被覆層の厚さおよび被覆層中の植物
抽出物の含有量(いずれも、乾燥時)は、表4に示す通
りである。
【0134】(評価)実施例1〜4で製造した各内視鏡
用可撓管(No.1〜96)について、JISZ291
1の試験法により、カビの抵抗性試験を実施し、以下の
3段階の基準に従って、内視鏡用可撓管の表面の抗菌性
を評価した。 1:試料又は試験片の接種した部分に菌糸の発育が認め
られない。 2:試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の
発育面積は、全面積の1/3を超えない。 3:試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の
発育面積は、全面積の1/3を超える。 抗菌性の評価結果を、表1〜表4に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】表1〜4に示す結果から、本発明の内視鏡
用可撓管(No.1〜12、25〜36、49〜60、
73〜84)は、いずれも、細菌等に対して優れた抗菌
性を発揮することが明らかとなった。これに対し、比較
例の内視鏡用可撓管(No.13〜24、37〜48、
61〜72、85〜96)は、いずれも、細菌等に対す
る抗菌性が劣っていた。
【0140】また、外皮材料中に植物抽出物を含有する
本発明の内視鏡用可撓管(No.1〜12、25〜3
6)は、その外皮が高温下を経て製造されたにもかかわ
らず、植物抽出物の変質が抑制され、そのため、細菌等
に対する十分な抗菌性を発揮していることが明らかとな
った。
【0141】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の内視鏡用可
撓管は、細菌等に対して優れた抗菌性を発揮する。
【0142】また、本発明の内視鏡用可撓管は、その外
皮を構成する樹脂と植物抽出物がそれらの間で不活性で
あるため、細菌等に対する抗菌性が長期間持続する。
【0143】さらに、本発明の内視鏡用可撓管は、例え
ば、製造過程あるいは高温殺菌処理等の高温環境下を経
ても、細菌等に対する十分な抗菌性を発揮することがで
きる。
【0144】このようなことから、本発明の内視鏡用可
撓管は、例えば、体腔に挿入して使用した場合でも、そ
の表面に存在する生菌数をより少なく抑えることでき、
さらに、例えば、過酸化系の消毒液による消毒あるいは
高温殺菌処理した後においても、生菌数をより少なくす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】挿入部可撓管の第1実施形態を示す拡大縦断面
図である。
【図2】挿入部可撓管における外皮の構成例を示す横断
面図である。
【図3】挿入部可撓管の第2実施形態を示す拡大縦断面
図である。
【符号の説明】
1 挿入部可撓管 2 構造体 3 外皮 31 内層 32 外層 4 空間 5 螺旋管 6 網状管 7 被覆層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外皮を有する内視鏡用可撓管であって、 前記外皮は、少なくともその外周面が、可撓性を有する
    樹脂と、抗菌性を有する植物抽出物とを含む材料で構成
    されることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  2. 【請求項2】 前記外皮の材料は、前記植物抽出物を
    0.1〜30重量%含有する請求項1に記載の内視鏡用
    可撓管。
  3. 【請求項3】 外皮を有する内視鏡用可撓管であって、 前記外皮は、可撓性を有する樹脂を含む材料で構成さ
    れ、 前記外皮の外周部に、抗菌性を有する植物抽出物を含む
    被覆層が形成されていることを特徴とする内視鏡用可撓
    管。
  4. 【請求項4】 前記被覆層は、厚さ0.01〜0.25
    mmである請求項3に記載の内視鏡用可撓管。
  5. 【請求項5】 前記被覆層は、前記植物抽出物を0.1
    〜30重量%含有する請求項3または4に記載の内視鏡
    用可撓管。
  6. 【請求項6】 前記樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリウレ
    タンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリオ
    レフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリ
    スチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、フッ素
    ゴムのうちの、少なくとも1種を含むものである請求項
    1ないし5のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
  7. 【請求項7】 前記植物抽出物は、種子植物門・被子植
    物亜門・双子葉植物網・離弁花植物亜網・キンポウゲ目
    に属する植物のうちの、少なくとも1種から抽出された
    ものである請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡
    用可撓管。
  8. 【請求項8】 前記キンポウゲ目に属する植物は、スイ
    レン科あるいはキンポウゲ科に属するものである請求項
    1ないし7のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
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