JP2001273893A - ガス発生量の少ないアルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 - Google Patents
ガス発生量の少ないアルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法Info
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Abstract
ことによりガス発生量を低減した負極用亜鉛合金粉が知
られているが、それらは反面亜鉛の酸化により放電持続
時間の減少と過放電後のガス発生量の増加を伴うもので
あった。 【解決手段】 熱処理における温度、雰囲気等の熱処理
条件を適正化して亜鉛の酸化を防ぎつつ再結晶により結
晶粒子を粗大化させ、これによって得られる結晶粒子の
サイズが所定範囲内の大きさとなるようにすることによ
り、電池使用前の初期ガス発生量だけでなく、使用中お
よび使用後のガス発生量が低減され、かつ放電持続時間
が改善されたアルカリ電池用亜鉛合金粉末を提供する。
Description
分に長く且つ使用前、使用中および使用後のどの段階に
おいてもガス発生量の少ないアルカリ電池用亜鉛合金粉
末およびその製造方法に関するものである。
としては亜鉛または亜鉛合金が用いられている。亜鉛は
水素過電圧が高いことや価格が比較的低廉であることか
ら好んで負極剤として用いられてきたが、亜鉛を使用す
ることのみでは電池使用時における水素ガスの多量発生
を十分に抑制することは困難であってそれに伴う電解液
漏れなどの問題を生じていた。
発生抑制の方法として亜鉛をアマルガム化することが長
年行われてきた。しかしながら、この方法は廃乾電池を
処分する際水銀による公害の問題が伴うため無水銀で所
望の効果が得られる亜鉛合金の開発が求められるように
なった。
マス、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、ガリ
ウム、タリウム、カルシウム、ストロンチウム、カドミ
ウム、錫からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属
を例えば0.0005〜0.1wt%添加した無汞化亜
鉛合金粉末を熱処理することによって、ガス発生量の少
ない亜鉛合金粉末を製造する技術が開発されている。
平7−123043には、電池用として使用する際のガ
ス発生量を低減する目的で亜鉛合金粉末をガス雰囲気中
で熱処理し、水素ガス発生量を低減させ得たことが開示
されている。しかし、この場合の水素ガス発生の抑制効
果はいわゆる「初期ガス発生量」に基づく評価であり、
実際の電池に当てはめると、使用前電池のガス発生量を
低減できたことを開示しているに過ぎない。すなわち、
上記先行技術文献においては、ゲル化した亜鉛合金粉を
用いて電池を形成し、放電させた場合のガス発生の状況
や、放電特性については言及されていない。
する場合250℃以上の温度では不活性ガス中の微量な
酸素と亜鉛が反応し、酸化が促進される。このため、該
亜鉛合金粉を電池に用いた場合の電池の放電性能が悪化
し、さらに放電後の電池のガス発生量が増加してしまう
等の問題がある。したがって、従来の熱処理法によって
はガス発生量の低減と電池放電性能の維持または改善と
いう2大重要特性の両立が達成できなかった。
としてAr、Ne等の希ガスを用いた場合は、N2に比
べて高価である。一方、水素等の還元性ガスを用いても
酸化亜鉛の還元は理論的に起こらないこと、作業時の危
険性が高いこと、などの理由から工業的に不利である。
一方、特公平4−71312に開示された方法では、亜
鉛粉末を150〜450℃で熱処理してガス発生量を低
減しているが、雰囲気が大気中であるため、熱処理する
と容易に亜鉛の酸化が起こり、放電後のガス発生量や放
電時間維持能力に影響の出ることは必至である。これら
のことからわかるように、ガス発生量低減と放電時間の
維持または改善という2大特性の両立は未だ達成されて
いない。
全性の観点から、負極用亜鉛合金粉のガス発生量の一層
の低減が望まれている。その処方のひとつである熱処理
により、ガス発生量低減の効果が得られることは知られ
ている。しかしその反面、熱処理という処方には亜鉛の
酸化による放電持続時間の減少と過放電後のガス発生量
の増加という欠点が伴っている。
効果はいわゆる「初期ガス発生量」で評価されていた。
これは実際の電池で考えると、使用前の電池の状態を評
価することに相当する。「初期ガス発生量」は亜鉛合金
粉末の粉末状態での評価であり、ゲル化して電池に組み
込んだ状態での評価ではない。すなわち、実用状態での
測定値ではない。しかるに、電池は生産されてから安全
に廃棄されるまで、液漏れ等の故障を起こしてはならな
いのであるから、「初期ガス発生量」のデータに十分に
余裕を持った設計が必要であった。何故なら、放電深度
によりガス発生量も変わると考えられるので、それらの
データがないと電池の安全性が保証できないからであ
る。
前:「初期ガス発生量」、使用中:「一部放電後ガス発
生量」、使用後:「過放電後のガス発生量」の3段階で
評価するのが妥当であると考え、少なくともこれら3段
階のいずれの段階においても水素ガスの発生量の少ない
亜鉛合金粉末を得ることを目的として研究を進めた。よ
って、本発明の目的は、熱処理などの製造条件を適正化
することにより、放電特性を維持したまま初期ガス発生
量だけでなく電池の各段階において水素ガス発生量の少
ない亜鉛合金粉およびその製造方法を提供することにあ
る。
達成すべく研究の結果、熱処理温度および熱処理時の雰
囲気酸素濃度を適正化して亜鉛の酸化促進を防止しなが
ら熱処理すれば熱処理における再結晶効果により結晶粒
の粗大化が生じ、この粗大化の効果により粒界起点のガ
ス発生が抑制されること、一方、熱処理温度、熱処理時
間によっては結晶成長が不十分となり、結晶粒粗大化に
よるガス発生量の低減効果が発揮されないので、熱処理
条件決定要素の一つとして熱処理によって得られる結晶
の粒子サイズを規定する必要があることを見出した。
鉛合金粉の結晶粒径と、初期、一部放電後など電池のそ
れぞれの段階における水素ガス発生量との関係を調べた
グラフである。これらのグラフから電池用亜鉛合金粉末
の結晶粒径は50μm以上が望ましく、一方、110μ
mを越えると熱処理温度を250℃以上に上げる必要が
あり、亜鉛粉の酸化の原因となり、かつ処理期間も長く
なることから生産性が悪くなる。なお、図中の説明にお
いてBは合金組成のビスマスを、数字は含有量(pp
m)を示すものである。
ンジウム、アルミニウム、マグネシウム、ガリウム、タ
リウム、カルシウム、ストロンチウム、カドミウムおよ
び錫からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を合
計で0.0005〜0.1wt%含み、残部が亜鉛およ
び不可避不純物からなる熱処理された亜鉛合金粉末であ
って、熱処理後の粉末の結晶粒径が50〜110μmで
あり、熱処理前の放電特性を少なくとも維持したまま水
素ガス発生量が低減された亜鉛合金粉末であることを特
徴とするアルカリ電池用亜鉛合金粉末;第2に、ビスマ
ス、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、ガリウ
ム、タリウム、カルシウム、ストロンチウム、カドミウ
ムおよび錫からなる群より選ばれた少なくとも1種の金
属を合計で0.0005〜0.1wt%含み、残部が亜
鉛および不可避不純物からなる亜鉛合金粉末を、酸素濃
度100ppm未満の不活性ガス雰囲気中、150〜2
50℃の温度で2時間以上熱処理することにより、熱処
理前の放電特性を維持したまま水素ガス発生量が低減さ
れた亜鉛合金粉末とすることを特徴とするアルカリ電池
用亜鉛合金粉末の製造方法を提供するものである。
素としてBi、In、Al、Mg、Ga、Tl、Ca、
Sr、Cd、Snからなる群より選ばれた少なくとも1
種の金属を添加し、亜鉛と混合溶融して噴霧法で粉末化
した後、熱処理炉によってアルゴン、窒素などの不活性
ガス中、O2濃度100ppm以下の雰囲気で150〜
250℃の温度で熱処理して製造される。
囲である。150℃未満の温度では、再結晶の時間がか
かりすぎ、生産性が悪くなってしまう。一方250℃を
越えた温度では亜鉛の酸化が促進され、雰囲気中の微量
な酸素と反応して酸化亜鉛となる。この酸化亜鉛等の酸
化物は電池の内部抵抗の増大、重負荷放電時の持続時間
の低下、過放電後のガス発生量の増加といった悪影響を
及ぼす。
雰囲気中で酸素濃度が100ppm未満に保たれるよう
にして行うが、さらに望ましくは酸素濃度が10ppm
以下に保たれるようにして行う。酸素濃度が100pp
m以上であると亜鉛の酸化が起こり、上述の如き酸化亜
鉛の悪影響を生じる。熱処理時間は温度により異なる
が、2〜8時間が望ましい。時間経過とともに再結晶化
が進行し、結晶粒が粗大化する。熱処理炉は所定の処理
雰囲気、温度を保てるものであればどんなものでもよ
い。
径が少なくとも50μmとなるようにすることが必要で
あり、一方粗大化は一定の大きさでその効果が頭打ちに
なるので、本発明における熱処理は亜鉛粉末の結晶粒径
が50〜200μm、さらに好ましくは50〜110μ
mとなるように熱処理条件を決定する。結晶粒径が小さ
すぎると初期ガス、放電前ガス、及び一部放電後のガス
発生量が増加する。一方大きすぎると過放電後のガス発
生量が増加する。このことから、温度や時間などの具体
的な熱処理条件は予備試験によって決定すればよいこと
がわかる。
通常の噴霧法で製造する。本実施例では溶湯温度500
℃の亜鉛合金溶湯を圧力3kg/cm2の空気で噴霧し
た後、得られた粉末を粒度75〜425μmに篩分けし
て試料粉末を製造し、その後試料粉末を酸素濃度10p
pmのN2ガス雰囲気下、200℃で4時間熱処理し
た。得られた亜鉛合金粉末の平均粒径は約100μmで
あった。これを酸化亜鉛を飽和した40%KOH溶液お
よびポリアクリル酸と混合、ゲル化して負極剤とし、二
酸化マンガンを正極剤として電池を作製した。
分放電後、10Ωで48時間放電の過放電後の各段階に
おけるガス発生量をそれぞれ測定した。また、放電持続
時間は2Ωの負荷で放電したときの電池の電圧が1.2
Vに低下するまでの時間を測定して放電持続時間とし
た。いずれも結果を表1に示した。結晶粒は粒子断面写
真から、ゼフェリー・プラニメーター法にて測定した。
図5および図6は熱処理品(本発明の亜鉛合金粉)およ
び非熱処理品(従来の亜鉛合金粉末)の結晶組織観察結
果をそれぞれ示す顕微鏡写真である。
て、熱処理を施さなかったこと以外は実施例1と同じ要
領で亜鉛合金粉を得てから電池を作製し、実施例1と同
様にガス発生量を測定し、結果を同じく表1に示した。
亜鉛合金粉に対して、300℃で2時間、酸素濃度10
ppmのN2ガス雰囲気下で熱処理を行った以外は実施
例1と同様にして亜鉛合金粉を作製し、それぞれの特性
を評価した。結果を表1に示す。
例2とを比較するため、処理温度と、放電前ガス発生
量、一部放電後ガス発生量、過放電後ガス発生量および
2Ωで放電して1.2Vになるまでの持続時間との各関
係をそれぞれ図示したのが図8〜図11である。また同
様に処理温度と結晶粒径との関係を図7に示した。以上
のように、比較例1、2と実施例1を比較すると、実施
例1に見られるように、本発明によれば、放電性能を損
なうことなく電池使用上の各段階におけるガス発生量を
それぞれ低減して、全使用過程を通じて好ましい特性を
示す電池を提供できることがわかる。なお、図7〜11
において、添加金属であるビスマス、インジウムおよび
アルミニウムをそれぞれB、I、Aと略記し、各成分含
有量をppmを表す数値で表示した。
加元素をそれぞれ、Al−Bi−In、Bi−In、A
l−In,Al−Bi,Al,Bi,Inとしたこと、
さらに無添加としたこと以外は実施例1と同様にして、
同様の実験を繰り返した。いずれの場合も熱処理によっ
て各段階でのガス発生量は低下した。無添加の場合も、
熱処理により結晶粒子を粗大化した効果によってガス発
生量が電池使用の各段階で低下することが認められた。
従ってこの熱処理の効果は添加元素の種類如何にかかわ
らず生じるものと考えられる。従って本発明による熱処
理の効果は、Bi,In,Al,Mg,Ge,Te,C
a,Sr,Cd,Snのうちから選んだ少なくとも1種
の金属を0.0005〜0.1wt%添加された亜鉛合
金粉末全てについてほぼ同様に得られるものと結論でき
る。ただし、無添加の亜鉛粉では実用上有効な水素ガス
発生抑制効果が得られないので、本発明は上記の添加元
素を含む亜鉛合金粉末を用いることとした。
化した亜鉛合金粉を熱処理することによりガス発生量を
低減した負極剤亜鉛合金粉が知られているが、それらは
反面亜鉛の酸化による放電持続時間の減少と過放電後の
ガス発生量の増加という欠点を伴うものであった。これ
に対し本発明の方法では、熱処理条件の適正化により亜
鉛の酸化を防ぎながら、結晶粒の粗大化を促すことによ
り、電池の初期ガス発生量だけでなく、使用中および使
用後の段階におけるガス発生量をも低減し、さらに放電
持続時間も改善されたアルカリ電池用亜鉛合金粉末を提
供することができた。
フである。
ラフである。
すグラフである。
グラフである。
示す顕微鏡写真である。
状態を示す顕微鏡写真である。
比較グラフである。
発生量との関係を示す比較グラフである。
ガス発生量との関係を示す比較グラフである。
ガス発生量との関係を示す比較グラフである。
が1.2Vに低下するまでの持続時間との関係をそれぞ
れ示す比較グラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 ビスマス、インジウム、アルミニウム、
マグネシウム、ガリウム、タリウム、カルシウム、スト
ロンチウム、カドミウムおよび錫からなる群より選ばれ
た少なくとも1種の金属を合計で0.0005〜0.1
wt%含み、残部が亜鉛および不可避不純物からなる亜
鉛合金粉末であって、粉末の結晶粒径が50〜110μ
mであるアルカリ電池用亜鉛合金粉末。 - 【請求項2】 ビスマス、インジウム、アルミニウム、
マグネシウム、ガリウム、タリウム、カルシウム、スト
ロンチウム、カドミウムおよび錫からなる群より選ばれ
た少なくとも1種の金属を合計で0.0005〜0.1
wt%含み、残部が亜鉛および不可避不純物からなる亜
鉛合金粉末を、酸素濃度100ppm未満の不活性ガス
雰囲気中、150〜250℃の温度で2時間以上熱処理
することにより、水素ガス発生量が低減された亜鉛合金
粉末とすることを特徴とするアルカリ電池用亜鉛合金粉
末の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2000085659A JP4639304B2 (ja) | 2000-03-27 | 2000-03-27 | ガス発生量の少ないアルカリ電池用亜鉛合金粉末およびその製造方法 |
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- 2000-03-27 JP JP2000085659A patent/JP4639304B2/ja not_active Expired - Lifetime
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