JP2001270120A - サーマルインクジェットプリンタヘッド - Google Patents

サーマルインクジェットプリンタヘッド

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JP2001270120A
JP2001270120A JP2000084520A JP2000084520A JP2001270120A JP 2001270120 A JP2001270120 A JP 2001270120A JP 2000084520 A JP2000084520 A JP 2000084520A JP 2000084520 A JP2000084520 A JP 2000084520A JP 2001270120 A JP2001270120 A JP 2001270120A
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JP2000084520A
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Kazuyoshi Arai
一能 新井
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】保護膜が良好なステップカバレッジで強固に被
着された発熱素子を備える信頼性に優れたサーマルイン
クジェットプリンタヘッドを提供する。 【解決手段】絶縁性基板10上に下部密着層としてWT
i膜11を成膜し、その上にAu電極層12を成膜し、
更にその上に上部密着層としてWTi膜13を成膜す
る。これら三層の膜をパターニングして下部のWTi層
11、Au電極層12及び上部のWTi層13から成る
三層構造の共通配線電極16と個別配線電極17を形成
する。これらの上から基板10全面にTa−Si−O−
N系の発熱抵抗体膜14を成膜し、これをパターニング
して共通配線電極16及び個別配線電極17を被覆する
部分と発熱部14aとなる部分とを形成した後、アニー
ル処理して発熱抵抗体膜14の抵抗特性を安定化させ、
これらの上にTa−Si−O系の絶縁性保護膜15を成
膜し、パターニングにより不要部分を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性保護膜が良
好なステップカバレッジで強固に被着された発熱素子を
備える信頼性に優れたサーマルインクジェットプリンタ
ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、印字ヘッドからインクを用紙
面に吐出して印字を行うインクジェットプリンタがあ
る。このインクジェットプリンタによる印字方法は、印
字ヘッドのインク吐出面に多数配列されている微細な孔
(吐出ノズル)からインクの液滴を吐出させ、このイン
ク滴(印字ドット)を紙、布などの被記録材に着弾させ
て吸収させ、これにより文字や画像等の印字を行なうも
のであり、騒音の発生が少なく、特別な定着処理を要す
ることもなく且つフルカラー記録も比較的容易な記録方
法である。
【0003】インクの液滴を吐出させる方法としては、
微細なインク加圧室に発熱部を配して、この発熱部に電
気パルスを与え高速でインクと発熱部の界面に気泡を発
生させ、その気泡の成長力を利用して吐出ノズルから液
滴を吐出させるサーマル式のインクジェットプリンタヘ
ッドがある。
【0004】上記のサーマル式のインクジェットプリン
タヘッドには、インク滴の吐出方向により、二通りの構
成があり、一つは発熱部の発熱面に平行な方向へインク
を吐出する構成のものであり、他の一つは発熱部の発熱
面に垂直な方向にインクを吐出する構成のものである。
中でも発熱部の発熱面に垂直な方向にインク滴を吐出す
る構成のものは、ルーフシュータ型インクジェットプリ
ンタヘッドと呼称されており、発熱部の発熱面に平行な
方向へインクを吐出する構成のものに比較して、消費電
力が極めて小さくて済むことが知られている。
【0005】図4(a) は、そのような従来のルーフシュ
ータ型インクジェットプリンタヘッドの主要部であるイ
ンクを加熱して気泡を発生させる発熱部とその近傍の構
成を模式的に示す平面図であり、同図(b) は、同図(a)
のA−A′断面矢視図である。
【0006】図5は、上記従来のインクジェットプリン
タヘッドの製造工程の流れを示す図である。これらの図
4(a),(b) 及び図5を用いて、従来のインクジェットプ
リンタヘッド(以下、単に印字ヘッドという)の製造方
法を簡単に説明する。
【0007】先ず、工程1として、ガラス等の絶縁性基
板1の上にTa−Si−O−N系の抵抗体層2を成膜す
る。この抵抗体層2の厚さはおよそ4000〜5000
Åである。
【0008】次に、工程2として、抵抗体層2の上にW
Tiの下部密着層3を成膜する。一般にサーマルインク
ジェットプリンタに適したTa−Si−O−N系の抵抗
体層2と、この後の工程3で成膜される同じくサーマル
インクジェットプリンタに適した抵抗が小さいAu電極
層4とは、極めて密着性が悪い。このため、抵抗体層2
とAu電極層4との密着性を得るために上記のWTiの
下部密着層3を設けている。この下部密着層3の厚さは
およそ1000〜2000Åである。
【0009】尚、後述する抵抗発熱部2aを発熱駆動す
るLSI駆動回路が基板1上に形成されている場合は、
LSI駆動回路にはこれも後述する個別配線電極8と接
続するための内部接続パッド及び将来外部の信号線と接
続するためのボンディング用パッドが形成されている。
このボンディング用パッド部分で、パッドのAl端子と
Ta−Si−O−Nの抵抗体層との密着性が悪いため、
ここにもWTi密着層を設ける必要がある。
【0010】続いて、工程3では、上述したようにAu
電極層4を成膜する。このAu電極層4の厚さはおよそ
6000〜7000Åである。そして、工程4として、
このAu電極層4の上に更にWTiの上部密着層5を成
膜する。上記の下部密着層4とこの上部密着層5は同一
材料のものである。この上部密着層5は、後の工程でA
u電極層4の上に設けられるTa−Si−O系の絶縁性
保護膜6がAu電極層4との密着性が極めて悪いため
に、その密着性を高めるために設けられる。この上部密
着層5の厚さもおよそ1000〜2000Åである。
【0011】続いて、工程5として、上記WTiの下部
密着層3、Au電極層4及びWTiの上部密着層5の三
層をパターニングして電極配線をパターン化する。これ
によって、WTiの下部密着層3、Au電極層4及びW
Tiの上部密着層5から成る多層構造の共通配線電極7
と個別配線電極8が形成される。共通配線電極7と個別
配線電極8は、抵抗発熱部となる領域の両端から反対方
向に夫々延びるストライプ形状をなしている。これによ
り、抵抗発熱部の電極配線延在方向の位置が決まる。
【0012】更に続いて、工程6として、Ta−Si−
O−N系の抵抗体層2の上記の工程5で露出した部分を
パターニングして抵抗発熱部を最終的にパターン化す
る。これにより形状と位置が決まった抵抗発熱部2aが
形成される。これにより、多数(設計上の理由にもよる
が通常64個、128個、256個等)の抵抗発熱部2
aとこれに接続する個別配線電極8及び共通配線電極7
からなる発熱素子が、抵抗発熱部2aの数だけ形成され
る。
【0013】この後、工程7として上記パターン化後の
抵抗体層2へのアニール(熱処理)を行う。このアニー
ルの処理は、例えば温度は400℃で10分間行う。ア
ニールの目的は抵抗発熱部2aの性能(抵抗特性)を安
定させるために行われるものある。
【0014】しかし、この後の工程8におけるTa−S
i−O系の絶縁性保護膜6の形成において、本来はTa
−Si−O系の絶縁性保護膜6とWTiの上部密着層5
とは極めて良好な密着性を有しているが、アニールによ
ってWTiの上部密着層5の表面が酸化され、絶縁性保
護膜6との密着性が極めて悪くなり、絶縁性保護膜6の
剥離という不具合が発生する。したがって上記のアニー
ルでは上部密着層5の表面が酸化されることを防止する
ため、大気中の雰囲気は避け、不活性ガス中または真空
中で行うようにしていた。
【0015】そして、工程8において、絶縁性基板1上
の略全面にわたりTa−Si−O系の絶縁性保護膜6を
成膜被着した後、工程9で、その絶縁性保護膜6をパタ
ーニングして不要な部分(ダイボンディング用端子部分
等)を除去する。このようにして、抵抗発熱部2a、共
通配線電極7及び個別配線電極8を形成する一連の工程
が終了する。
【0016】この後、特には図示しないが、高さ10μ
m程度の隔壁が積層されてインク流路が形成され、この
インク流路に外部からインクを供給するためのインク供
給孔が基板1を貫通して形成され、更に絶縁性基板1と
略同じ大きさの天板が上記の隔壁の上に設置され、その
天板の抵抗発熱部2aに対応する部分にインクを外部に
吐出するインク吐出ノズルが抵抗発熱部2aの数だけ穿
設されて、印字ヘッドが完成する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述した抵抗
発熱部2a、共通配線電極7及び個別配線電極8からな
る発熱素子に被覆する絶縁性保護膜6は、電解質である
インクに配線電極から電流が流れてインクの電気分解を
引き起こし気泡を発生させる不都合を長期的に防止する
ために、発熱素子の少なくともインクと接触する表面を
確実に被覆して絶縁性を確保しなければならない。
【0018】しかし、一般に電極膜は絶縁性保護膜との
密着性に難点があることは上述した通りであり、この問
題を解決するために上述のようにWTi等の密着層5を
介して配線電極上に絶縁性保護膜6を形成してはいる
が、配線電極の端面7−1及び8−1(図4(b) 参照)
に密着層を形成することは製造工程上から困難であり、
この端面部分において絶縁性保護膜6の密着不良が発生
することが多い。
【0019】また、三層構造の配線電極では、特に上記
の端面7−1及び8−1部分に、図4では図示していな
いが、オーバーハング状の段差が形成される場合が多
い、そのため、端面7−1及び8−1部分における絶縁
性保護膜6のステップカバレッジ性が悪く被覆不良が発
生し、上述した密着不良と相俟って一層絶縁性の確保が
困難になるという問題があった。
【0020】したがって、上述したようにWTi等の密
着層を介しただけでは端面7−1及び8−1の絶縁性保
護膜との密着性は改善されず、この問題を解決すべき何
等かの対策が望まれていた。
【0021】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
保護膜が良好なステップカバレッジで強固に被着された
発熱素子を備える信頼性に優れたサーマルインクジェッ
トプリンタヘッドを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発
明のサーマルインクジェットプリンタヘッドは、インク
を加熱して発生させた気泡の圧力によりインクを所定方
向に噴射させて記録を行うサーマルインクジェットプリ
ンタヘッドであって、基板と、該基板上の所定領域を除
いてその両端に延在させて積層された電極膜と、上記基
板上の所定領域表面及び上記電極膜表面に積層された発
熱抵抗体膜と、少なくとも上記発熱抵抗体膜上に積層さ
れた絶縁性保護膜と、を有して構成される。
【0023】上記電極膜は、例えば請求項2記載のよう
に、電極層の表裏両面に密着層を積層してなる多層電極
膜である。また、請求項3記載のように、上記電極膜は
Auであり、上記密着層はWTiである。
【0024】そして、上記多層電極膜の発熱部となる上
記所定領域の側の端面は、例えば請求項4記載のよう
に、表面側密着層と電極層の端面が裏面側密着層の端面
より上記所定領域に対して後退して段差面を形成してい
ることが好ましい。
【0025】また、例えば請求項5記載のように、上記
発熱抵抗体膜はTa−Si−O−N系抵抗体膜で構成
し、上記絶縁性保護膜はTa−Si−O系絶縁膜で構成
することが好ましい。尚、上記基板は、例えば請求項6
記載のように、ガラス基板であっても良い。
【0026】次に、請求項7記載の発明のサーマルイン
クジェットプリンタヘッドの製造方法は、インクを加熱
して発生させた気泡の圧力によりインクを所定方向に噴
射させて記録を行うサーマルインクジェットプリンタヘ
ッドの製造方法であって、基板上に電極層の表裏両面に
密着層を積層してなる多層電極膜を形成する工程と、上
記多層電極膜の所定領域を除去する工程と、上記多層電
極膜表面及び上記基板の上記所定領域の表面に発熱抵抗
体膜を被着し、上記所定領域を発熱部とする工程と、を
有し、更に、少なくとも、上記発熱抵抗体膜上に絶縁性
保護膜を被着する工程と、上記発熱抵抗体膜をアニール
処理する工程と、を有して構成される。
【0027】上記発熱抵抗体膜は、例えば請求項8記載
のように、Ta−Si−O−N系膜であることが好まし
い。また、上記絶縁膜は、例えば請求項9記載のよう
に、Ta−Si−O系膜であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a) は、第1の実施の形
態におけるサーマルインクジェットプリンタヘッドの主
要部の構成を模式的に示す平面図であり、配線電極と発
熱部を形成した後の状態を示している。同図(b) は、そ
の上に更に絶縁性保護膜を形成した後の同図(a) のB−
B′断面矢視図である。
【0029】図2は、上記のインクジェットプリンタヘ
ッドの製造工程の流れを示す図である。これらの図1
(a),(b) 及び図2を用いて、本例のインクジェットプリ
ンタヘッド(以下、単に印字ヘッドという)の構成及び
その製造方法を説明する。
【0030】本例の特徴として、先ず最初に工程1で、
ガラス等の絶縁性基板10の上にWTiの裏面側密着層
11を成膜する。この裏面側密着層11は、この上に次
の工程2で成膜されるAu電極層を直接では密着性の悪
い絶縁性基板10に間接的に密着させるために設けられ
る。すなわち、裏面側密着層11を形成しているWTi
は絶縁性基板10とAu電極層の双方に極めて密着性が
良い。尚、この裏面側密着層11の厚さはおよそ100
0〜2000Åが好ましい。このように、絶縁性基板1
0に裏面側密着層11を被着する構成は、絶縁性基板と
してシリコン等の半導体基板上に酸化絶縁膜を被着した
ものを用いる場合に、特に適している。即ち、半導体基
板中にLSIを作り込んでその配線電極としてAl電極
膜を形成した場合、Al電極膜の例えば端子部等の電気
接続部に選択的に密着層を設ける必要があったが、本発
明の様に絶縁性基板上に密着層を被着する構成であれ
ば、電気接続部に選択的に密着層を形成する専用工程が
不要となる。
【0031】次に、工程2として、上記裏面側密着層1
1の上にAu電極層12を成膜する。このAu電極層1
2の厚さはおよそ6000〜7000Åが好ましい。そ
して更に、工程3として、上記Au電極層12の上にW
Tiの表面側密着層13を成膜する。上記の裏面側密着
層11とこの表面側密着層13は同一の組成のものであ
る。前述したように、Au膜と後段の工程5で成膜され
るTa−Si−O−N系膜とは極めて密着性が悪い。し
かし、このAu電極層12の上に成膜される表面側密着
層13のWTi膜は、Au膜とTa−Si−O−N系膜
との両方に良い密着性を有している。この表面側密着層
13も厚さはおよそ1000〜2000Åが好ましい。
【0032】上記に続いて、工程4として、上記WTi
の裏面側密着層11、その上のAu電極層12及びWT
iの上部密着層5の三層をパターニングして電極配線を
パターン化する。これにより、WTiの裏面側密着層1
1、Au電極層12及びWTiの表面側密着層13から
成る多層構造の共通配線電極16と個別配線電極17
が、絶縁性基板10上の所定領域(これより後の工程で
抵抗発熱部が形成される部分)を除いてその両端に延在
させてストライプ状(共通配線電極16は接続部近傍の
みがストライプ状、個別配線電極17は全体がストライ
プ状)に形成される。
【0033】このように、配線電極を形成しておいてか
ら、次の工程5において、Ta−Si−O−N系の発熱
抵抗体膜14を基板10の全面に成膜する。この発熱抵
抗体膜14の好適な厚さはおよそ4000〜5000Å
であり、膜厚の比較的厚いものである。したがって、配
線電極の端面16−1及び17−1には密着層は形成さ
れていないが、これらの端面部分をその厚みによって充
分に被覆する。また、表面側密着層13が介在している
から全体として共通配線電極16及び個別配線電極17
との密着性に問題は無い。
【0034】次に、工程6として、絶縁性基板10の上
一面を覆っている上記のTa−Si−O−N系発熱抵抗
体膜14をパターニングして、共通配線電極16と個別
配線電極17を被覆する発熱抵抗体膜14部分と、上記
所定領域に形成される発熱部14a部分とをパターン化
する。発熱部14aは図1(b) に示す所定領域としての
幅Yの部分である。
【0035】続いて、工程7として上記パターン化後の
発熱抵抗体膜14へのアニールを行う。このアニールの
処理条件としては、温度は400℃、時間は10分、が
好適である。そして、このアニールでは、本例の特徴と
して、最も簡単で容易に形成できる雰囲気である大気中
でアニールを行う。
【0036】そのように、大気中の雰囲気でアニールを
行っても、表面側密着層13は、既に発熱抵抗体膜14
によって全面を覆われており、アニールによって酸化す
ることは無く悪影響は受けない。また、発熱抵抗体膜1
4はアニールによっても極めて酸化し難く、通常形成さ
れている0.1μm程度の自然酸化膜はアニールによっ
ても変化しない。そして、この発熱抵抗体膜14は、こ
の後の工程で成膜される組成が似ているTa−Si−O
系の絶縁性保護膜と極めて良い密着性を有している。
【0037】すなわち、この後の工程8においては、T
a−Si−O系の絶縁性保護膜15を成膜する。そし
て、更にその後の工程9で、その絶縁性保護膜15をパ
ターニングして不要な部分(図外のインク供給溝となる
部分やダイボンディング用端子部分等)を除去する。こ
のようにして、発熱部14a、共通配線電極16、個別
配線電極17及び絶縁性保護膜15からなる発熱素子を
形成する一連の工程が終了する。
【0038】この後、特には図示しないが、高さ10μ
m程度の隔壁によるインク流路が形成され、このインク
流路に外部からインクを供給するためのインク供給孔が
基板10を貫通して形成され、更に隔壁の上に天板が設
置され、その天板の発熱部14aに対応する部分にイン
クを外部に吐出するインク吐出ノズルが発熱部14aの
数だけ穿設されて、印字ヘッドが完成する。
【0039】尚、上記のアニールは、上記のように発熱
部14aのパターン化直後に行っても良く、また、絶縁
性保護膜15を形成した後に行っても良い。図3は、第
2の実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッド
の主要部の構成を模式的に示す断面図であり、配線電
極、発熱部及びその上の絶縁性保護膜を形成した後の状
態を示している。同図に示すサーマルインクジェットプ
リンタヘッドにおける発熱素子の製造工程の流れは、図
2に示した製造工程の流れとほぼ同様であるが、工程4
における配線電極のパターニングが異なる。
【0040】すなわち、本例では、裏面側密着層11、
Au電極層12及びWTiの表面側密着層13から成る
多層構造の共通配線電極16と個別配線電極17の発熱
部14aとなる所定領域Yの側の端面において、それぞ
れ、表面側密着層13′と電極層12′の端面が、裏面
側密着層11の端面より発熱部14aとする所定領域Y
に対し寸法Xだけ後退して段差が2段に緩和された端面
を形成している。なお、上記後退寸法Xは、発熱部14
aの寸法Yが20〜30μmの場合には、10〜20μ
mが好適である。
【0041】これにより、その後の工程5以降において
形成される発熱抵抗体膜14及び絶縁性保護膜15の被
覆工程において、良好なステップカバレッジが得られ、
これにより、十分なステップカバレッジで強固に被着さ
れた一層良好な絶縁性保護膜を備えた信頼性に優れた発
熱素子を有するサーマルインクジェットプリンタヘッド
が得られる。
【0042】尚、上記の実施の形態において、基板は絶
縁性を有する形態のものであればよく、例えば、ガラ
ス、セラミック、或いはシリコン等の半導体基板の表面
に絶縁膜を形成したもの等を好適に用いることができ
る。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、絶縁性基板上に先に配線電極を形成してから発熱
抵抗体膜を成膜し、その上に絶縁性保護膜を被着する構
成とするので、絶縁性保護膜が強固に固着されると共に
配線電極の発熱部側の端面と発熱抵抗体膜を介した絶縁
性保護膜表面との間の絶縁性が十分に確保された発熱素
子を備えることにより信頼性に極めて優れたサーマルイ
ンクジェットプリンタヘッドを得ることができる。
【0044】又、密着層を発熱抵抗体膜によって外部か
ら被覆して保護するので、発熱抵抗体膜を大気中の雰囲
気でアニール処理することが可能となり、したがって、
製造工程が簡略化できて製造能率が向上する。
【0045】更に、三層構造の発熱部側電極端面の表面
側二層を発熱部から後退させて形成することにより、発
熱部側電極端面の段差を2段に分けて緩和できるので、
絶縁性保護膜のステップカバレッジを更に向上させてよ
り良好な絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は第1の実施の形態におけるインクジェッ
トプリンタヘッドの主要部の構成を模式的に示す平面
図、(b) は(a) のB−B′断面矢視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるインクジェットプリ
ンタヘッドの製造工程の流れを示す図である。
【図3】第2の実施の形態におけるインクジェットプリ
ンタヘッドの主要部の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【図4】(a) は従来のインクジェットプリンタヘッドの
主要部の構成を模式的に示す平面図、(b) は(a) のA−
A′断面矢視図である。
【図5】従来のインクジェットプリンタヘッドの製造工
程の流れを示す図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 抵抗体層 2a 抵抗発熱部 3 下部密着層 4 Au電極層 5 上部密着層 6 絶縁性保護膜 7 共通配線電極 7−1 端面 8 個別配線電極 8−1 端面 10 絶縁性基板 11 裏面側密着層 12 Au電極層 13 表面側密着層 14 発熱抵抗体膜 14a 発熱部 15 絶縁性保護膜 16 共通配線電極 17 個別配線電極

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを加熱して発生させた気泡の圧力
    によりインクを所定方向に噴射させて記録を行うサーマ
    ルインクジェットプリンタヘッドであって、 基板と、 該基板上の所定領域を除いてその両端に延在させて積層
    された電極膜と、 前記基板上の所定領域表面及び前記電極膜表面に積層さ
    れた発熱抵抗体膜と、 少なくとも前記発熱抵抗体膜上に積層された絶縁性保護
    膜と、 を有することを特徴とするサーマルインクジェットプリ
    ンタへッド。
  2. 【請求項2】 前記電極膜は電極層の表裏両面に密着層
    を積層してなる多層電極膜であることを特徴とする請求
    項1記載のサーマルインクジェットプリンタヘッド。
  3. 【請求項3】 前記電極膜はAuであり、前記密着層は
    WTiであることを特徴とする請求項2記載のサーマル
    インクジェットプリンタヘッド。
  4. 【請求項4】 前記多層電極膜の発熱部となる前記所定
    領域の側の端面は、表面側密着層と電極層の端面が裏面
    側密着層の端面より前記所定領域に対して後退して段差
    面を形成していることを特徴とする請求項2記載のサー
    マルインクジェットプリンタヘッド。
  5. 【請求項5】 前記発熱抵抗体膜はTa−Si−O−N
    系抵抗体膜であり、前記絶縁性保護膜はTa−Si−O
    系絶縁膜であることを特徴とする請求項1記載のサーマ
    ルインクジェットプリンタヘッド。
  6. 【請求項6】 前記基板はガラス基板であることを特徴
    とする請求項1記載のサーマルインクジェットプリンタ
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 インクを加熱して発生させた気泡の圧力
    によりインクを所定方向に噴射させて記録を行うサーマ
    ルインクジェットプリンタヘッドの製造方法であって、 基板上に電極層の表裏両面に密着層を積層してなる多層
    電極膜を形成する工程と、 前記多層電極膜の所定領域を除去する工程と、 前記多層電極膜表面及び前記基板の前記所定領域の表面
    に発熱抵抗体膜を被着し、前記所定領域を発熱部とする
    工程と、 を有し、更に、少なくとも、 前記発熱抵抗体膜上に絶縁性保護膜を被着する工程と、 前記発熱抵抗体膜をアニール処理する工程と、 を有することを特徴とするサーマルインクジェットプリ
    ンタヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記発熱抵抗体膜はTa−Si−O−N
    系膜であることを特徴とする請求項7記載のサーマルイ
    ンクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記絶縁膜はTa−Si−O系膜である
    ことを特徴とする請求項8記載のサーマルインクジェッ
    トプリンタヘッドの製造方法。
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