JP2001264005A - 車輪検知装置 - Google Patents

車輪検知装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レールを流れる電流の影響を排して検出精度
を高める。 【解決手段】 導電性のレール20の側方に配置される
受信コイル14を含み、該受信コイル14によって近傍
磁界の変化を検出し、その検出結果に基づき、前記受信
コイル14の近傍の前記レール上に車輪があるか否かを
検出する車輪検知装置10において、前記レール20の
側方であって前記受信コイル14とは離隔した位置にノ
イズ検出コイル18を設ける。そして、前記ノイズ検出
コイル18で検出される磁界変化に対応する磁界変化だ
けが前記受信コイル14で検出される場合には、前記受
信コイル14の近傍の前記レール20上に車輪がないと
判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車輪検知装置に関
し、特にレールを流れる電流の影響を受けないようにし
た車輪検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道レールの両側方に送信コイルと受信
コイルを設置しておき、送信コイルによって生成される
磁界を受信コイルで検出し、その検出される磁界の変化
から両コイル間に鉄道車輪が存在しているか否かを検出
するようにした車輪検知装置が知られている。特公昭6
2−24306号公報や特公昭58−44229号公報
には、同種の車輪検知装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電気鉄道の
レールには、パンタグラフより列車に取り入れられた駆
動電流が帰線電流として流れている。その他、鉄道のレ
ールは、軌道回路の一部として用いられる等して、各種
の電流が流れている。
【0004】このようにレールに電流が流れるとレール
近傍に磁界が発生する。このため、上述した車輪検知装
置では、受信コイルがレールを流れる電流によって生じ
る磁界の影響を受けてしまい、誤検出が生じる虞があ
る。この点、送信コイルにおいて比較的早い周期で変動
する磁界を生成し、それを受信コイルで検出するように
して、送信コイルによって生じる磁界を、レールを流れ
る電流によって生じる磁界から区別できるようにすれ
ば、ある程度このような影響を少なくできる。しかしな
がら、帰線電流等には高調波成分が含まれことが多く、
このような策にも限界がある。
【0005】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あって、その目的は、レールを流れる電流の影響を排す
ることにより検出精度を高めることができる車輪検知装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る車輪検知装置は、導電性のレールの側
方に配置される受信コイルを含み、該受信コイルによっ
て近傍磁界の変化を検出し、その検出結果に基づき、前
記受信コイルの近傍の前記レール上に車輪があるか否か
を検出する車輪検知装置において、前記レールの側方で
あって前記受信コイルとは離隔して配置されるノイズ検
出コイルと、該ノイズ検出コイルで検出される磁界変化
と前記受信コイルで検出される磁界変化とに基づき、前
記受信コイルの近傍の前記レール上に車輪があるか否か
を検出する検出手段と、をさらに含むことを特徴とす
る。
【0007】本発明では、レール側方に配置される受信
コイルによって該受信コイルの近傍に生じている磁界の
変化が検出される。そして、レール上に車輪が存在する
場合と存在しない場合とでは周囲の磁界に変化が生じる
ことから、その検出結果に基づいて、受信コイルの近傍
のレール上に車輪があるか否かが検出されるようになっ
ている。本発明では、特にノイズ検出コイルがレールの
側方にて受信コイルとは離隔して配置されている。この
場合、受信コイルの近傍のレール上に車輪が存在してい
て該受信コイルで磁界変化が検出された場合でも、ノイ
ズ検出コイルでは車輪が受信コイルの近傍のレール上に
存在していることに起因する磁界変化は検出されない。
一方で、レールに電流が流れる場合、ノイズ検出コイル
と受信コイルとで対応する磁界変化が検出される。本発
明では、この点に着目して、ノイズ検出コイルで検出さ
れる磁界変化と受信コイルで検出される磁界変化とに基
づき、受信コイルの近傍のレール上に車輪があるか否か
を検出するようにしている。こうすれば、レールを流れ
る電流の影響を排して、検出精度を高めることができる
ようになる。
【0008】本発明の一態様では、前記検出手段は、前
記ノイズ検出コイルで検出される磁界変化に対応する磁
界変化だけが前記受信コイルで検出される場合に、前記
受信コイルの近傍の前記レール上に車輪がないと判断す
る。レールに流れる電流によって生じる磁界は受信コイ
ルに影響を及ぼすとともに、ノイズ検出コイルにも対応
する影響を及ぼす。この態様では、受信コイルで検出さ
れる磁界変化がノイズ検出コイルで検出される磁界変化
に対応するものだけである場合に、受信コイルの近傍の
レール上に車輪がないと判断し、ノイズ検出コイルで検
出される磁界変化に対応しない磁界変化が受信コイルで
検出される場合に、受信コイルの近傍のレール上に車輪
があると判断する。こうすれば、より高精度に車輪を検
知できるようになる。
【0009】この態様においては、前記検出手段に、前
記ノイズ検出コイルで生じる誘導電圧を前記受信コイル
で生じる誘導電圧から打ち消すためのハイブリッドトラ
ンスを含めるようにし、該ハイブリッドトランスの出力
電圧に基づき、前記受信コイルの近傍の前記レール上に
車輪があるか否かを検出するようにしてもよい。こうす
れば、簡単な構成で、ノイズ検出コイルで検出される磁
界変化に対応する磁界変化だけが受信コイルで検出され
る場合、受信コイルの近傍のレール上に車輪がないと判
断できるようになる。
【0010】また、本発明の一態様では、前記ノイズ検
出コイルは、他の前記車輪検知装置に含まれる前記受信
コイルと共用される。こうすれば、車両検知装置のコス
トダウンを図ることができる。
【0011】さらに、本発明の一態様では、前記レール
の側方であって前記受信コイルとは逆側に配置され、前
記受信コイルと電磁結合する送信コイルをさらに含む。
こうすれば、受信コイルにて好適に近傍磁界の変化を検
出することができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施の形態に係る車輪
検知装置の構成を示す図である。同図に示すように、こ
の車輪検知装置10は、送受信装置12と、受信コイル
14と、送信コイル16と、ノイズ検出コイル18と、
ハイブリッドトランス22と、を含んで構成されてい
る。送受信装置12の受信部12aは、抵抗減衰器24
と、バンドパスフィルタ26と、増幅器28と、整流器
30と、検知処理部32と、を含んでいる。一方、送受
信装置12の送信部12bは、発振器38と、増幅器3
6と、トランス34と、を含んでいる。
【0014】受信コイル14と送信コイル16は列車が
走行するレール20の両側方に設置されている。図2
は、図1のII−II切断線における断面図であり、受信コ
イル14、送信コイル16及びレール20の関係を示し
ている。同図に示すように、受信コイル14及び送信コ
イル16は、それらのコイル軸がレール20の踏面と略
垂直となるよう設置されている。そして、送信コイル1
6から発せられる磁力線はレール20の上方を迂回して
受信コイル14により捕捉されるようになっている。こ
うして、送信コイル16と受信コイル14とが電磁結合
するようになっている。また車輪検知装置10は、ノイ
ズ検出コイル18も備えている。このノイズ検出コイル
18は、受信コイル14とは離れた位置に設置されてい
る。ノイズ検出コイル18は、レール20を流れる電
流、特に帰線電流に起因する磁界を検出することができ
るよう、送信コイル16から発せられる磁力線の及ばな
い範囲、すなわち受信コイル14から離れた位置に設置
されている。また、帰線電流に起因する磁界を受信コイ
ル14とほぼ同様の状態で受けるようにするため、ノイ
ズ検出コイル18の構成及び設置状況は受信コイル14
とほぼ等しくなっている。
【0015】送信部12bにおいて、発振器38はレー
ル20に流れる電流等、送信コイル16から発せられる
もの以外の磁界の影響を、車輪検知装置10が出来るだ
け受けないよう、比較的高い周波数(例えば30kHz
以上)の交流電圧を発生する。この交流電圧は増幅器3
6により増幅されトランス34に供給される。トランス
34の二次側は送信コイル14に接続されており、これ
により送信コイル14からは所定周波数の変動磁界が発
せられるようになっている。この変動磁界を受けて受信
コイル14には誘導電圧が発生する。
【0016】受信コイル14で発生する誘導電圧はハイ
ブリッドトランス22に印加されている。このハイブリ
ッドトランス22にはノイズ検出コイル18も接続され
ている。この際、受信コイル14とノイズ検出コイル1
8とは逆極性でハイブリッドトランス22に接続されて
おり、受信コイル14とノイズ検出コイル18とに同時
期にほぼ同じ大きさの誘導電圧が発生すると、ハイブリ
ッドトランス22にて両電圧が打ち消し合い、出力側に
は電圧が現れないようになっている。このため、レール
20に帰線電流が流れて受信コイル14及びノイズ検出
コイル18にて該帰線電流に起因する誘導電圧が発生し
ても、送受信装置12側にはそれが伝わらないようにな
っている。
【0017】図3は、ハイブリッドトランス22の回路
構成が示されている。同図に示されるように、ハイブリ
ッドトランス22では、ノイズ検出コイル18と直列に
コイルL1及びL2が接続されている。また、送受信装
置12の受信部12a側にはコイルL8が直列に接続さ
れている。このコイルL8にはコイルL7が対向配置さ
れており、両者が電磁誘導結合している。コイルL7に
は、コイルL3,L4、抵抗R、コイルL6,L5がこ
の順で直列に接続されており、最後のコイルL5の一端
は再びコイルL7に接続され、閉回路を構成している。
コイルL1とコイルL3、コイルL2とコイルL4、は
共に電磁誘導結合している。また、コイルL3とコイル
L4との中点、及びコイルL5とコイルL6との中点に
は、受信コイル14の両端子が接続されている。抵抗R
は、受信コイル14で生じる誘導電流のコイルL4,L
6への分流量とコイルL3,L7,L5への分流量との
バランスを調整するものであり、レール20に帰線電流
が流れて受信コイル14及びノイズ検出コイル18にて
該帰線電流に起因する誘導電圧が発生した場合に、両誘
導電圧が打ち消し合い、コイルL7やコイルL8の両端
には電圧が現れないよう、その値が設定されている。
【0018】送受信装置12の受信部12aでは、ハイ
ブリッドトランス22の出力が抵抗減衰器24にて減衰
された後、バンドパスフィルタ26に入力されている。
抵抗減衰器24の減衰量はバンドパスフィルタ26の動
作域に応じて設定される。バンドパスフィルタ26では
発振器38の発振周波数付近の信号を取り出す。その
後、増幅器28で信号増幅を受け、増幅出力が整流器3
0で整流される。整流器0の出力は検知処理部32に供
給されている。検知処理部32は、例えばコンピュータ
と所定制御ソフトウェアにより構成されており、整流器
30の出力から受信コイル14の近傍のレール20上に
列車の車輪が存在しているか否かを判断する。具体的に
は、電圧レベルが所定しきい値以上である場合には車輪
が存在しないと判断し、電圧レベルが所定しきい値を下
回る場合には車輪が存在すると判断する。その他、検知
処理部32は、車輪が検知された回数を計数し、受信コ
イル14が設置されている位置を幾つの車輪が通過した
かを判断する。これにより、列車を構成する各車両が通
過したか否か、列車が通過したか否かを判断する。
【0019】以上説明した車輪検知装置10によれば、
受信コイル14とノイズ検出コイル18とでそれぞれ検
出される帰線電流に起因する磁界変動はハイブリッドト
ランス22でキャンセルされ、それが送受信装置12の
受信部12aに伝わらないようになっているので、帰線
電流の影響により車輪検知の精度が劣化することを防止
することができる。
【0020】なお、本発明は以上説明した車輪検知装置
10に限定されるものではない。
【0021】例えば、以上の説明では車輪検知装置10
に専用のノイズ検出コイル18を設けるようにしたが、
他の車輪検知装置10に設けられた受信コイル14を共
用するようにしてもよい。図4は、この様子を説明する
図である。同図において、車輪検知装置10Aと車輪検
知装置10Bは異なる周波数の変動磁界を利用して車輪
検知をするようになっている。例えば車輪検知装置10
Aの発振器38に33kHzの発信周波数が設定されて
いる場合、車輪検知装置10Bの発振器38には36k
Hzの発信周波数が設定される。そして、車輪検知装置
10Aのバンドパスフィルタ26では33kHz付近の
磁界変動を取り出し、車輪検知装置10Bのバンドパス
フィルタ26では36kHz付近の磁界変動を取り出
す。そして、車輪検知装置10Bに設けられた受信コイ
ル14を車輪検知装置10Bに接続するとともに、並列
してハイブリッドトランス22にもノイズ検出コイル1
8として接続するようにする。こうすれば、車輪検知装
置10Aの検知処理部32において、車輪検知装置10
Bの送信コイル16の影響を受けないようにできるた
め、車輪検知装置10Bに設けられた受信コイル14を
車輪検知装置10Aのノイズ検出コイル18として共用
できるようになる。
【0022】また、以上の説明ではハイブリッドトラン
ス22によって受信コイル14及びノイズ検出コイル1
8で得られた誘導電圧を打ち消すようにしたが、ノイズ
検出コイル18で検出される磁界変化に対応しない磁界
変化を受信コイル14で検出した場合に近傍に車輪があ
ると判断し、ノイズ検出コイル18で検出される磁界変
化に対応する磁界変化だけが受信コイル14で検出され
る場合に近傍に車輪があると判断するようにすれば、ど
のような手段を採用してもよい。例えば受信コイル14
及びノイズ検出コイル18で各々独立して所定周波数の
磁界変動を捕らえたか否かを判断し、その判断結果に上
記基準を用いたソフトウェア処理を施すことにより車輪
を検知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る車輪検知装置の構
成を示す図である。
【図2】 図1のII−II切断線における断面図である。
【図3】 ハイブリッドトランスの回路図である。
【図4】 変形例に係る車輪検知装置の構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
10,10A,10B 車輪検知装置、12 送受信装
置、12a 受信部、12b 送信部、14 受信コイ
ル、16 送信コイル、18 ノイズ検出コイル、20
レール、22 ハイブリッドトランス、24 抵抗減
衰器、26 バンドパスフィルタ、28,36 増幅
器、30 整流器、32 検知処理部、34 トラン
ス。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性のレールの側方に配置される受信
    コイルを含み、該受信コイルによって近傍磁界の変化を
    検出し、その検出結果に基づき、前記受信コイルの近傍
    の前記レール上に車輪があるか否かを検出する車輪検知
    装置において、 前記レールの側方であって前記受信コイルとは離隔して
    配置されるノイズ検出コイルと、 該ノイズ検出コイルで検出される磁界変化と前記受信コ
    イルで検出される磁界変化とに基づき、前記受信コイル
    の近傍の前記レール上に車輪があるか否かを検出する検
    出手段と、 をさらに含むことを特徴とする車輪検知装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車輪検知装置におい
    て、 前記検出手段は、前記ノイズ検出コイルで検出される磁
    界変化に対応する磁界変化だけが前記受信コイルで検出
    される場合に、前記受信コイルの近傍の前記レール上に
    車輪がないと判断することを特徴とする車輪検知装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の車輪検知装置におい
    て、 前記検出手段は、前記ノイズ検出コイルで生じる誘導電
    圧を前記受信コイルで生じる誘導電圧から打ち消すため
    のハイブリッドトランスを含み、該ハイブリッドトラン
    スの出力電圧に基づき、前記受信コイルの近傍の前記レ
    ール上に車輪があるか否かを検出することを特徴とする
    車輪検知装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の車輪
    検知装置において、 前記ノイズ検出コイルは、他の前記車輪検知装置に含ま
    れる前記受信コイルと共用されることを特徴とする車輪
    検知装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の車輪
    検知装置において、 前記レールの側方であって前記受信コイルとは逆側に配
    置され、前記受信コイルと電磁結合する送信コイルをさ
    らに含むことを特徴とする車輪検知装置。
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