JP2001263357A - 玉軸受と玉軸受の慣らし回転方法 - Google Patents

玉軸受と玉軸受の慣らし回転方法

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JP2001263357A
JP2001263357A JP2000078079A JP2000078079A JP2001263357A JP 2001263357 A JP2001263357 A JP 2001263357A JP 2000078079 A JP2000078079 A JP 2000078079A JP 2000078079 A JP2000078079 A JP 2000078079A JP 2001263357 A JP2001263357 A JP 2001263357A
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ball bearing
raceway
peripheral surface
ring
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Nobuhiko Nishimura
信彦 西村
Koichi Kawakami
耕一 川上
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用開始直後から良好な性能を発揮できる玉
軸受を実現する。 【解決手段】 玉軸受を情報機器等の回転支持部に組み
込む前に、環状空間8内にグリース9を注入する。そし
て、内輪2若しくは外輪4を、この玉軸受を組み込む上
記回転支持部の使用時の回転速度以上の回転速度のまま
継続して、若しくは、回転速度を段階的に上げつつ上記
使用時の回転速度以上に達するまで回転させる。この結
果、グリース9が上記環状空間8内で全周に亙り一様
に、且つ、内輪軌道及び外輪軌道と各玉5、5の転動面
との転がり接触部に十分に行き渡る。従って、使用開始
直後から、良好な潤滑性能を発揮できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る玉軸受は、例
えばハードディスクドライブ装置(HDD)やフレキシ
ブルディスクドライブ装置(FDD)のスピンドルモー
タ、或は、MPU(超小型演算処理装置)やIC(集積
回路)の冷却ファン駆動用モータ等に組み込む玉軸受
(外径20mm以下の玉軸受)の改良に関する。又、玉軸
受の慣らし回転方法は、上記スピンドルモータや冷却フ
ァン駆動用モータ等に組み込んだ状態で使用する玉軸受
を、使用開始直後から良好な性能を発揮できる様にする
為に利用する。
【0002】
【従来の技術】上述の様なHDDやFDDのスピンドル
モータ、或は、MPUやICの冷却ファン駆動用モータ
等、各種情報機器等の回転部分を支持する為に、図6に
示す様な小型の玉軸受(ミニアチュア玉軸受)が広く使
用されている。この玉軸受は、外周面に内輪軌道1を有
する内輪2と、内周面に外輪軌道3を有する外輪4とを
同心に配置し、上記内輪軌道1と外輪軌道3との間に複
数個の玉5、5を転動自在に設ける事で構成されてい
る。これら各玉5、5は、全体を円環状に形成した保持
器6により円周方向に亙り互いに間隔をあけた状態で、
転動自在に保持している。又、上記内輪2の外周面両端
部と上記外輪4の内周面両端部との間にはシールド板
7、7を設け、これら両シールド板7、7によって、上
記内輪2の外周面と上記外輪4の内周面との間に存在し
上記各玉5、5及び上記保持器6を設けた環状空間8の
軸方向両端開口を塞いでいる。そして、この環状空間8
内にグリースを注入し、上記内輪軌道1及び外輪軌道3
と上記各玉5、5の転動面との転がり接触部の潤滑を図
っている。
【0003】ところで、近年、HDDやFDD等の記憶
装置の高密度化、小型化が進み、ハードディスクやフレ
キシブルディスクに信号を記録するトラック幅が益々狭
くなっている。又、磁気記録の読み取り並びに書き込み
の高速化も図られている。この為、上記ハードディスク
を回転駆動する為のスピンドルモータに組み込む玉軸受
は、回転に要するトルクが小さく、回転非同期振れ(1
回転毎に繰り返されないラジアル方向及びアキシアル方
向の微小変位。Non Repeatabule Run-Out =NRRO)
が小さいものが求められている。この為に、上記玉軸受
に注入するグリースの量を極端に少なくしたり、或はグ
リースを潤滑油に代える事により、グリースの攪拌抵抗
の低減による低トルク化と、グリースが前記環状空間8
内で全周に亙り一様に行き渡っていない場合に発生する
上記トルク変動の低減とを図る事が行なわれている。
【0004】ところが、この様にグリースを極端に少な
くしたり、或は、グリースを潤滑油に代えた場合、上記
内輪軌道1及び外輪軌道3と上記各玉5、5の転動面と
の転がり接触部で、グリースや潤滑油が枯渇する可能性
がある。そして、この様に転がり接触部でグリースや潤
滑油が枯渇すると、この転がり接触部の接触状態が金属
接触になり、上記内輪軌道1、外輪軌道3及び各玉5、
5の転動面に局部的な摩耗等の損傷が生じる。
【0005】この様な損傷が生じるのを防止しつつ、低
トルク化並びにトルク変動の低減を図れる構造として、
例えば特開平8−303467号公報に記載された玉軸
受が知られている。この玉軸受は、内輪軌道、外輪軌道
及び各玉の転動面に潤滑油を付着させると共に、これら
内、外両軌道及び各玉の転動面から外れた位置である、
保持器の側面にグリースを付着させている。即ち、この
玉軸受の使用開始直後は、上記内輪軌道及び外輪軌道と
上記各玉の転動面との転がり接触部を上記潤滑油のみが
潤滑する。そして、使用に伴って上記保持器が回転する
と、この保持器の側面に付着した上記グリースやグリー
ス中の基油が遠心力により徐々に上記転がり接触部に行
き渡り、この転がり接触部の潤滑を図る。この為、玉軸
受の低トルク化及びトルク変動の低減を図りつつ、長期
間に亙って転がり接触部の潤滑性能を確保できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
構成する特開平8−303467号公報に記載された玉
軸受の場合、保持器の側面に付着したグリースやグリー
ス中の基油が、内輪軌道及び外輪軌道と各玉の転動面と
の転がり接触部に行き渡るまでの間に、この転がり接触
部で潤滑油が枯渇する可能性がある。この為、この転が
り接触部の接触状態が金属接触になり、上記内輪軌道、
外輪軌道及び各玉の転動面に局部的な摩耗が生じる場合
がある。しかも、HDDのスピンドルモータ等に組み込
む情報機器用の玉軸受の様に、使用開始直後から高温、
高回転で使用される場合は、上記摩耗が急激に進行す
る。又、上記グリースやグリース中の基油が上記内輪軌
道や外輪軌道に十分に行き渡るまでの間は、潤滑剤によ
る洗浄作用を期待できず、これら内輪軌道や外輪軌道に
付着した粉塵等の異物が、これら内輪軌道や外輪軌道か
ら排出されにくい。そして、この様な異物が上記転がり
接触部で噛み込まれると、上記内輪軌道、外輪軌道及び
各玉の転動面に圧痕を生じる。この為、使用開始直後か
ら上記グリース及びグリース中の基油が十分に行き渡る
までの間に生じる上記摩耗や圧痕等の損傷により、玉軸
受から異音や振動が発生し、この玉軸受並びにこの玉軸
受を組み込んだ情報機器の性能が悪化する可能性があ
る。本発明は、この様な事情に鑑みて発明したものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した本発
明の玉軸受は、前述した従来の玉軸受と同様に、外周面
に内輪軌道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する
外輪と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設
けられた複数個の玉と、これら各玉を転動自在に保持す
る保持器と、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との
間に存在する環状空間内に付着させたグリースとを備え
る。そして、情報機器等の各種機器の回転支持部に組み
込まれた状態で使用される。特に、本発明の玉軸受に於
いては、上記回転支持部に組み込む以前に、上記環状空
間内にグリースを注入して上記内輪と上記外輪とを相対
回転させ、このグリースを上記内輪軌道と上記外輪軌道
とに、それぞれの全周に亙って行き渡らせている。
【0008】又、請求項2に記載した本発明の慣らし回
転方法で慣らし回転を行なう玉軸受は、外周面に内輪軌
道を有する内輪と、内周面に外輪軌道を有する外輪と、
上記内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた
複数個の玉と、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面と
の間に存在する環状空間内に付着させたグリースとを備
える。そして、情報機器等の各種機器の回転支持部に組
み込まれた状態で使用される玉軸受の内部にグリースを
行き渡らせる為に、この玉軸受を上記回転支持部に組み
込む以前に、上記環状空間内で、上記保持器の側面と、
上記外輪の内周面と、上記内輪の外周面と、上記各玉の
転動面とのうちの少なくとも1個の面に上記グリースを
付着させた後、上記内輪と外輪とのうちの一方の軌道輪
を静止させた状態で、上記内輪と外輪とのうちの他方の
軌道輪を、この玉軸受を組み込む上記回転支持部の使用
時の回転速度と同等若しくはそれ以上の回転速度のまま
継続して、若しくは、回転速度を段階的に大きくしつつ
上記使用時の回転速度以上の速度に達するまで回転させ
る。
【0009】
【作用】上述の様に構成する本発明の慣らし回転方法で
慣らし回転を行なった本発明の玉軸受の場合、使用開始
直後から良好な性能を発揮できる。即ち、この玉軸受を
情報機器等の各種機器の回転支持部に組み込む以前に、
内輪と外輪とを慣らし回転(相対回転)させる為、この
玉軸受の使用開始以前に、上記内輪の外周面と外輪の内
周面との間に存在する環状空間内に付着させたグリース
を、この環状空間内で全周に亙り一様に、且つ、上記内
輪軌道及び外輪軌道と各玉の転動面との転がり接触部に
十分に行き渡らせる事ができる。従って、回転非同期振
れを小さくできるだけでなく、上記転がり接触部でグリ
ースが枯渇して、上記内輪軌道、外輪軌道、各玉の転動
面に局部的な摩耗や圧痕等の損傷が生じる事を確実に防
止できる。又、上記玉軸受を上記回転支持部に組み込む
以前に慣らし回転を行なう為、この玉軸受の製造時に
は、グリースを保持器の側面の他、外輪の内周面、内輪
の外周面、各玉の転動面に付着させる事ができる。即
ち、この様に外輪の内周面、内輪の外周面、各玉の転動
面にグリースを付着させても、回転支持部に組み込んだ
状態では、上記玉軸受の初期トルクが大きくなる事はな
い。従って、上記情報機器等の各種機器の使用開始直後
から長期間の使用後に至るまで、低トルクでしかも回転
非同期振れ、異音、振動が発生しにくい玉軸受を実現で
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示している。尚、本発明の特徴は、情報機器等の
回転支持部に組み込まれた状態で使用される玉軸受を、
情報機器等の回転支持部に組み込む以前に慣らし回転
(相対回転)させ、この玉軸受の低トルク化並びに回転
非同期振れ、異音、振動等の発生を防止する点にある。
玉軸受の基本構成自体は、前述の図6に示した従来構造
と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複
する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴
部分を中心に説明する。
【0011】玉軸受を情報機器等の回転支持部に組み込
む以前に、先ず、内輪2の外周面と外輪4の内周面との
間に存在する環状空間8内にグリース9を注入する。本
例の場合は、複数個の玉5、5を転動自在に保持する保
持器6の側面で、これら各玉5、5同士の間部分に、そ
れぞれグリース9を付着させている。即ち、合成樹脂等
により円環状に形成された保持器6の側面で、上記各玉
5、5を弾性的に狭持する各弾性片10、10同士の間
部分に、それぞれグリース9を付着させている。尚、こ
の玉軸受内に注入するグリース9の量(体積)は、上記
環状空間8の容積の12%以下(好ましくは6〜9%)
とする。グリース9の量が上記環状空間8の容積の12
%(好ましくは9%)を越えた場合は、グリース9の攪
拌抵抗が増大し、低トルク化を図りにくい。逆に、グリ
ース9の量が上記環状空間8の容積の6%未満の場合
は、内輪軌道1及び外輪軌道3(図6参照)と上記各玉
5、5の転動面との転がり接触部でグリース9が枯渇
し、これら内輪軌道1、外輪軌道3及び各玉5、5の転
動面に局部的な摩耗や圧痕等の損傷が発生し易くなる可
能性がある。
【0012】そして、上述の様に保持器6の側面にグリ
ース9を付着させた後、上記内輪2と外輪4とのうちの
一方の軌道輪を静止させた状態で、上記内輪2と外輪4
とのうちの他方の軌道輪を、この玉軸受を組み込む上記
回転支持部の使用時の回転速度以上の回転速度のまま継
続して、若しくは、回転速度を段階的に大きくしつつこ
の使用時の回転速度以上に達するまで回転させ、玉軸受
の慣らし回転を行なう。尚、この慣らし回転の際には、
この玉軸受にアキシアル方向若しくはラジアル方向の予
圧を付与する。この理由は、上記各玉5、5が、回転す
る軌道輪に沿って、自転せずに公転のみする事を防止す
る為である。尚、回転させる軌道輪は、上記内輪2と外
輪4とのうちのどちらでも良い。但し、このうちの外輪
4を回転させる場合の方が、上記保持器6の回転速度が
大きくなり、この保持器6の側面に付着したグリース9
が上記外輪4の外周面に行き渡り易くなる為、好まし
い。
【0013】例えばHDDのスピンドルモータやMPU
の冷却ファン駆動用モータ等に組み込んで、使用時に4
200min-1 の速度で回転する、内径が4mm、外径が9
mm、幅が2.6mmの情報機器用の玉軸受の場合は、例え
ば次の〜の様な回転条件のうちの何れかの回転条件
で、慣らし回転を行なう。 回転速度4200min-1 (r.p.m.)で継続して5分
間。 回転速度10000min-1 で継続して3分間。 回転速度4200min-1 で継続して1分間の後に加速
して、回転速度10000min-1 で継続して1分間。 尚、温度は常温で、予圧荷重はアキシアル方向に9.8
N(1kgf )付与する。回転軌道輪は、内輪2、外輪
4、どちらでも良い。
【0014】先ず、上記の回転条件の場合は、慣らし
回転は5分間継続して行なう。この理由は、上記玉軸受
を使用時の回転速度4200min-1 で回転させた場合
に、この玉軸受のトルクが一定になる(落ち着く)まで
の時間、即ち、玉軸受内のグリース9及びグリース9中
の基油が上記内輪軌道1と外輪軌道3とに、それぞれの
全周に亙り一様に行き渡る時間が、凡そ5分である事に
基づく。
【0015】又、前記の回転条件の場合に、上記の
条件よりも回転継続時間が短い理由は、回転速度の増大
に伴う遠心力の増大により、前記保持器6の側面に付着
したグリース9及びグリース9中の基油が、上記外輪4
の内周面に早く行き渡る為である。又、遠心力の増大に
伴って、この外輪4の内周面に行き渡るグリース9やグ
リース9中の基油の量も増え、この外輪4の内周面の内
輪軌道3から各玉5、5の転動面に移り、更に内輪2外
周面の内輪軌道1に移るグリース9やグリース9中の基
油の量も増える為、前記内輪軌道1や外輪軌道3に形成
されるグリース9の膜(油膜)が厚くなる。この為、よ
り確実に前記転がり接触部の潤滑性能を確保できる。
【0016】そして、前記の回転条件の様に、段階的
に回転速度を大きくする場合は、上記内輪軌道1、外輪
軌道3、各玉5、5の転動面に摩耗や圧痕等の損傷が生
じない程度の回転速度で回転させた後、回転速度を大き
くする。即ち、回転速度の低い状態では、上記保持器6
の側面に付着させたグリース9及びグリース9中の基油
が、上記外輪軌道3及び内輪軌道1に徐々に行き渡る。
そこで、この様に徐々に行き渡ったグリース9及びグリ
ース9中の基油が、上記内輪軌道1、外輪軌道3、各玉
5、5の転動面に付着した異物を十分に排出した後、回
転速度を大きくする。そして、この様に回転速度を大き
くする事により、上記保持器6の側面に付着したグリー
ス9を上記転がり接触部に確実に行き渡らせる。尚、こ
のの回転条件の場合は、回転速度の上限を玉軸受の使
用時の回転速度以上(10000min-1 )にしている
が、この回転速度の上限を玉軸受の使用時の回転速度
(4200min-1 )にすると共に、この使用時の回転速
度に達するまで回転速度を段階的に大きくしても良い。
又、回転速度の変化を3段階以上に分けて、漸次回転速
度を大きくしても良い。
【0017】上述の様に構成する本発明の慣らし回転方
法で慣らし回転を行なった本発明の情報機器用の玉軸受
の場合、情報機器の使用開始直後から、良好な性能を発
揮できる。即ち、この玉軸受を情報機器等の回転支持部
に組み込む以前に、内輪2と外輪4とを慣らし回転(相
対回転)させる為、この玉軸受を組み込んだ情報機器等
の使用開始以前に、上記内輪2の外周面と外輪4の内周
面との間に存在する前記環状空間8内に付着させたグリ
ース9を、この環状空間8内で全周に亙りほぼ均一に、
且つ、上記内輪軌道1及び外輪軌道3と各玉5、5の転
動面との転がり接触部に十分に行き渡らせる事ができ
る。従って、回転非同期振れを小さくできるだけでな
く、上記転がり接触部でグリース9が枯渇して、上記内
輪軌道1、外輪軌道3、各玉5、5の転動面に局部的な
摩耗や圧痕等の損傷が生じる事を有効に防止できる。
又、上記玉軸受を上記回転支持部に組み込む以前に慣ら
し回転を行なう為、この玉軸受の初期トルクが大きくな
る事もない。従って、使用開始直後から長期間の使用後
に至るまで、低トルクでしかも回転非同期振れ、異音、
振動が発生しにくい情報機器用の玉軸受を実現できる。
尚、本例は、冠型の保持器6を使用する構造を示した
が、保持器の側面にグリースを付着させられる形状であ
れば、何れの形状の保持器でも良い。例えば、玉に付着
したグリースが掻き取られにくい形状の保持器や、高速
回転時にも保持器音が小さいもの等を必要に応じて使用
すれば、より大きな効果を発揮できる。又、上記各玉
5、5は、セラミック製、ステンレス製、表面に窒化層
を形成したもの等、何れでも良い。又、上記グリース9
の種類も特に限定せず、このグリース9を構成する基油
や、この基油の働きを助ける添加剤等も、自由に選んで
良い。
【0018】次に、図2は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の場合、外輪4の内周面で複数個
の玉5、5の間部分にグリース9を付着させた後、玉軸
受の慣らし回転(相対回転)を行なう。即ち、本例の玉
軸受は、図2の(A)に示す様に上記外輪4の内周面で
上記各玉5、5同士の間部分の中央部、若しくは、同じ
く(B)に示す様に上記外輪4の内周面で上記各玉5、
5寄り部分にグリース9を付着させた後、慣らし回転を
行なう。この様に外輪4の内周面にグリース9を付着さ
せても、この玉軸受を情報機器等の回転支持部に組み込
む以前に慣らし回転を行なう為、この玉軸受の初期トル
クが大きくなる事はない。又、上記グリース9を上記外
輪4の内周面に付着させる分、このグリース9が、内輪
軌道1及び外輪軌道3(図6参照)と上記各玉5、5の
転動面との転がり接触部に行き渡り易くなる。その他の
構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0019】次に、図3は、本発明の実施の形態の第3
例を示している。本例の場合、内輪2の外周面で複数個
の玉5、5の間部分にグリース9を付着させた後、玉軸
受の慣らし回転(相対回転)を行なう。即ち、本例の玉
軸受は、図3の(A)に示す様に上記内輪2の外周面で
上記各玉5、5同士の間部分の中央部、若しくは、同じ
く(B)に示す様に上記内輪2の外周面で上記各玉5、
5寄り部分にグリース9を付着させた後、慣らし回転を
行なう。この様に内輪2の外周面にグリース9を付着さ
せても、この玉軸受を情報機器等の回転支持部に組み込
む以前に慣らし回転を行なう為、この玉軸受の初期トル
クが大きくなる事はない。又、上記グリース9を上記内
輪2の外周面に付着させる分、このグリース9が、内輪
軌道1及び外輪軌道3(図6参照)と上記各玉5、5の
転動面との転がり接触部に行き渡り易くなる。その他の
構成及び作用は、上述した第2例の場合と同様である。
【0020】次に、図4は、本発明の実施の形態の第4
例を示している。本例の場合、複数個の玉5、5の転動
面にグリース9を付着させた後、玉軸受の慣らし回転
(相対回転)を行なう。即ち、本例の玉軸受は、図4に
示す様に上記各玉5、5の転動面にグリース9を付着さ
せた後、慣らし回転を行なったものである。この様に各
玉5、5の転動面にグリース9を付着させても、この玉
軸受を情報機器等の回転支持部に組み込む以前に慣らし
回転を行なう為、この玉軸受の初期トルクが大きくなる
事はない。その他の構成及び作用は、前述した第1例の
場合と同様である。
【0021】
【実施例】次に、本発明の効果を確認する為に、本発明
者が行なった実験に就いて説明する。実験は、内径が4
mm、外径が9mm、幅が2.6mmのミニアチュア玉軸受を
使用し、表1に示す条件でそれぞれ慣らし回転を行なっ
た。尚、グリースは、図1に示す様に、保持器6の側面
に付着させた。又、このグリースの注入量は、環状空間
8の容積の6〜9%とした。そして、本発明の慣らし回
転を行なった本発明品1〜4と、慣らし回転を行なわな
い比較品1とを、以下に示す試験条件で使用し、これら
本発明品1〜4及び比較品1の使用時の振動加速度(音
響量)を測定した。その結果を、図5に示す。 回転軌道輪 : 内輪 予圧 : アキシアル方向9.8N(1kgf ) 回転速度 : 4200min-1 温度 : 70℃ 試験時間 : 200時間
【0022】
【表1】
【0023】この図5から明らかな通り、本発明の慣ら
し回転方法で慣らし回転を行なった本発明品1〜4は、
慣らし回転を行なわない比較品1に比べて振動加速度
(音響量)の上昇が少ない。即ち、本発明品1〜4は、
使用開始直後から長期間の使用後に至るまで、比較品1
に比べて優れた振動特性(音響特性)を有する。
【0024】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、使用開始直後から長期間の使用後に至るま
での間、回転非同期振れ、異音、振動が発生しにくい玉
軸受を提供できる。そして、この玉軸受を組み込んだ各
種情報機器等、各種機器の、耐久性及び信頼性を含む性
能向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す部分側面
図。
【図2】本発明の実施の形態の第2例を示しており、
(A)は、外輪の内周面で各玉同士の間部分の中央部に
グリースを付着させた状態で、(B)は、同じく各玉寄
り部分に付着させた状態で示す、部分側面図。
【図3】本発明の実施の形態の第3例を示しており、
(A)は、内輪の外周面で各玉同士の間部分の中央部に
グリースを付着させた状態で、(B)は、同じく各玉寄
り部分に付着させた状態で示す、部分側面図。
【図4】本発明の実施の形態の第4例を示す部分側面
図。
【図5】振動特性(音響特性)に関して本発明の効果を
確認する為に行なった実験の結果を示すグラフ。
【図6】本発明の対象となる玉軸受の1例を示す断面
図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 内輪 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 保持器 7 シールド板 8 環状空間 9 グリース 10 弾性片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 CA01 CA15 DA20 FA01 FA32 GA53 5H605 AA04 AA05 BB05 CC04 EB10 EB18 EB23

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周
    面に外輪軌道を有する外輪と、上記内輪軌道と外輪軌道
    との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、これら各
    玉を転動自在に保持する保持器と、上記内輪の外周面と
    上記外輪の内周面との間に存在する環状空間内に付着さ
    せたグリースとを備え、回転支持部に組み込まれた状態
    で使用される玉軸受に於いて、この回転支持部に組み込
    む以前に、上記環状空間内にグリースを注入して上記内
    輪と上記外輪とを相対回転させ、このグリースを上記内
    輪軌道と上記外輪軌道とに、それぞれの全周に亙って行
    き渡らせている玉軸受。
  2. 【請求項2】 外周面に内輪軌道を有する内輪と、内周
    面に外輪軌道を有する外輪と、上記内輪軌道と外輪軌道
    との間に転動自在に設けられた複数個の玉と、上記内輪
    の外周面と上記外輪の内周面との間に存在する環状空間
    内に付着させたグリースとを備え、回転支持部に組み込
    まれた状態で使用される玉軸受の内部にグリースを行き
    渡らせる、玉軸受の慣らし回転方法であって、この玉軸
    受を回転支持部に組み込む以前に、上記環状空間内で、
    上記保持器の側面と、上記外輪の内周面と、上記内輪の
    外周面と、上記各玉の転動面とのうちの少なくとも1個
    の面に上記グリースを付着させた後、上記内輪と外輪と
    のうちの一方の軌道輪を静止させた状態で、上記内輪と
    外輪とのうちの他方の軌道輪を、この玉軸受を組み込む
    上記回転支持部の使用時の回転速度以上の回転速度のま
    ま継続して、若しくは、回転速度を段階的に大きくしつ
    つ上記使用時の回転速度以上の速度に達するまで回転さ
    せる、玉軸受の慣らし回転方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012157196A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Shinano Kenshi Co Ltd モータの慣らし方法及びモータ駆動装置
CN111520295A (zh) * 2020-05-20 2020-08-11 许东滇 一种风力发电风车不易断裂的转轴
JP7369511B2 (ja) 2017-10-19 2023-10-26 Ntn株式会社 シール付玉軸受

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