JP2001262348A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

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JP2001262348A
JP2001262348A JP2000074185A JP2000074185A JP2001262348A JP 2001262348 A JP2001262348 A JP 2001262348A JP 2000074185 A JP2000074185 A JP 2000074185A JP 2000074185 A JP2000074185 A JP 2000074185A JP 2001262348 A JP2001262348 A JP 2001262348A
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Japan
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film
substrate
frequency induction
film forming
support
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JP2000074185A
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English (en)
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Masaaki Obata
正明 小畑
Hidemi Matsumoto
秀美 松本
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長寿命の触媒体を簡便に使用することで、原料
ガスの使用効率を高め、大型部品に対しても高速で成膜
することによって低コスト化の可能な成膜装置とこれを
用いた成膜方法を提供する。 【解決手段】真空容器1と、該真空容器1内に配置され
た被成膜基体5用支持体と、成膜用ガス導入口8bと、
成膜のための反応を促進するための触媒体9と、該触媒
体9を加熱するための高周波誘導加熱装置とを具備した
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速性、均一性に
優れ、原料ガスの使用効率を高めて成膜コストを低減す
ることを可能とした成膜装置に関するものであり、特
に、炭化珪素などのセラミック膜をCVD法によって高
速成膜するための成膜装置および成膜方法に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】CVD(Chemical Vapor Deposition)法
は成膜方法の一種で、化学気相成長法と呼ばれ、半導体
または液晶を製造する工程や表面処理の薄膜形成方法と
して広く用いられている。
【0003】熱CVD法はその一種で、反応機構が単純
で大型および複雑形状品の製造に適した方法である。特
に、この熱CVD法により合成された膜厚が数mmの炭
化珪素は、近年、半導体製造プロセスに高純度材料とし
て使用されており、さらなる低コスト化が要求されてい
る。
【0004】しかし、従来の熱CVD法において作製し
た炭化珪素は、成膜速度が遅く、長時間の成膜が必要で
あったり、原料効率が低く、コスト高となっていた。ま
た、大型被成膜基体への成膜においては、膜厚が不均一
になりやすかった。
【0005】ところで、触媒体CVD法は、ガスの反応
を速めて成膜速度を高める方法で、通電加熱したタング
ステン(以下単にWと記す)ワイヤなどの触媒体に原料
ガスを接触させて成膜するもので、主に、モノシランと
水素とを原料とした珪素が成膜されている(例えばAPPL
IED PHYSICS COMMUNICATIONS, 10(vol1&2), 101-102(19
90))。
【0006】また、この方法は、炭化珪素(以下SiC
と記すことがある)の成膜方法としても効果が期待され
ており、メチルトリクロルシランと水素、四塩化珪素と
水素と炭化水素とを原料とし、通電加熱したWワイヤ上
に高反応率でSiCが成膜するという報告がある(NASA
Technical Memorandum 79277)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
触媒体CVD法ではWワイヤなどの金属に通電して用い
るため、線径の細い金属ワイヤを使用する必要があり、
珪素と反応してできた珪化タングステンにより断線しや
すく、ワイヤの寿命が短いという問題があった。
【0008】また、触媒体によるガスの反応率を高める
ために、原料ガスが触媒体と十分に接触し、速やかに被
処理基体の成膜面に達する必要がある。そのため、触媒
体を被処理基体の形状に合わせて配置する必要があっ
た。そして、触媒体のワイヤは高温で軟化しやすく、ワ
イヤのだれを防止する必要があった。
【0009】したがって、Wワイヤを、お互いに接触し
ないように3次元に構成することが、特に大型または複
雑形状の被成膜基体には困難で、使用中にもワイヤが延
びてだれるため、膜質や均一性が低下するという問題が
あった。
【0010】本発明は、長寿命の触媒体を簡便に使用す
ることで、原料ガスの使用効率を高め、大型部品に対し
ても高速で成膜することによって低コスト化の可能な成
膜装置とこれを用いた成膜方法を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、触媒体の作用
により原料ガスの反応を促進し、成膜速度および原料使
用効率が向上する成膜装置において、触媒体を高周波誘
導加熱により加熱することで、信頼性の高い装置を提供
できるとの知見に基づくものである。
【0012】すなわち、本発明の成膜装置は、真空容器
と、該真空容器内に配置された被成膜基体用支持体と、
成膜用ガス導入口と、成膜のための反応を促進するため
の触媒体と、該触媒体を加熱するための高周波誘導加熱
装置とを具備したことを特徴とするものであり、この構
造を有することにより、触媒体を簡便に使用することが
でき、また触媒体の寿命を延ばすとともに、原料ガスの
使用効率を高め、大型製品への高速成膜を可能とする装
置の信頼性を高めることができる。
【0013】ここで用いる触媒体は、その融点が180
0℃以上であることが好ましい。これにより、触媒体作
用が高くなって、成膜速度を高めることができる。
【0014】この触媒体は、複数のワイヤを編んで作製
されたより線からなることが好ましい。単一のワイヤで
発生しやすかった断線を防止してワイヤの寿命を延ばし
て、長時間の成膜を可能とするとともに、装置の信頼性
を延ばすことができる。
【0015】さらに、触媒体が多孔質体であることが好
ましく、原料ガスが効果的にメッシュ形状の触媒体と接
触し、反応が促進されて高速で成膜が可能となる。
【0016】さらにまた、触媒体の高周波誘導加熱に用
いる高周波誘導コイルの巻き数が1乃至2であり、かつ
該高周波誘導コイルが触媒体と略同一の高さにあること
が好ましい。これにより、触媒体以外の加熱に使用され
る無駄な高周波出力を省き、触媒体に効率よく高周波を
吸収させることができる。
【0017】また被成膜基体用支持体が、断熱体からな
り、該断熱体の表面または内部に、少なくとも成膜面が
露出するように被成膜基体が載置されることが好まし
い。これにより、基体および基体近傍のみを急速に加熱
することが可能で、原料効率を高めると共に、製造時間
短縮により製品単価を削減できる。
【0018】さらに、被成膜基体を加熱するための第2
の高周波誘導加熱装置を具備したことが好ましい。これ
により、被成膜基体の温度を単独で制御することによっ
て成膜速度を高めることができる。
【0019】そして、この被成膜基体の高周波誘導加熱
に用いる第2の高周波誘導加熱装置の高周波誘導コイル
の巻き数が1乃至2であり、かつ該高周波誘導コイルが
被成膜基体と略同一の高さにあることが望ましい。これ
により、被成膜基体以外の加熱に使用される無駄な高周
波出力を省き、被成膜基体に効率よく高周波を吸収させ
ることができる。
【0020】また、本発明の成膜装置において、原料ガ
スを供給するためのガス導入口が、前記支持体に支持さ
れる被成膜基体の成膜面と対向する位置に設けられ、前
記触媒体が、前記ガス導入口と前記支持体との間に配置
されたことが好ましい。この構成を採用することによ
り、被成膜基体上への活性化した原料の供給が十分とな
り、成膜速度を顕著に高めることができる。
【0021】本発明の成膜方法は、上記の本発明の成膜
装置を用いて、前記支持体の表面または内部に載置され
た被成膜基体の表面に膜を形成することを特徴とする。
これにより、高速で成膜でき、コストを低減することが
可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の成膜装置は、真空容器
と、該真空容器内に配置された被成膜基体用支持体と、
成膜用ガス導入口と、成膜のための反応を促進するため
の触媒体と、該触媒体を加熱するための高周波誘導加熱
装置とを具備したことを特徴とするものである。
【0023】図1に本発明の成膜装置の一実施例の概略
配置図を示した。図1の成膜装置によれば、真空容器1
がフランジ2と壁体3からなり、真空容器1の内部に設
けられた断熱体からなる支持体4の中に被成膜基体5を
埋設し、成膜面5aが露出するように固定治具6で支持
体4に固定している。また、支持体4は支持治具7によ
って支持され、支持治具7はフランジ2に固定されてい
る。
【0024】原料ガスを供給するためにガス配管8aが
下方のフランジ2に設けられている。そして、ガス配管
8aから分岐されて複数のガス導入口8bが設けられて
おり、ガス導入口8bは、成膜面5aから所望の距離に
配置されている。なお、図1において、ガスの流れは矢
印で示されている。
【0025】また、触媒体9は、支持体4に載置される
被成膜基体5の成膜面5aに対向するように設けられて
いる。そして、真空容器1の周囲に触媒体加熱用高周波
誘導コイル10が設けられ、このコイル10によって触
媒が加熱される。また、ガス導入口8bから導入された
ガスは、廃ガスとしてガス排気口12から排出される。
【0026】真空容器1は、図1においてはフランジ2
と壁体3とから構成されているが、それらの接合部はバ
イトンゴムなどにより真空シールされている。フランジ
2はステンレスなど一般の金属材料で良いが、塩素系ガ
スを使用するため、SUS316などの耐腐食性材料を
使用することが好ましい。また、真空シール部の温度上
昇を避けるためにフランジ2を水冷などにより冷却する
ことが好ましい。
【0027】また、壁体3は、高周波を吸収しにくい材
料、例えば石英ガラス、窒化珪素、アルミナ、窒化アル
ミニウム、YAGまたはスピネルなどのセラミックスを
用いることができる。塩素系ガスを使用するため、高純
度アルミナやYAGなどの耐腐食性材料を使用すること
が好ましい。
【0028】支持体4を構成する断熱体は、成膜するた
めに十分な温度となる部位を被成膜基体5に限定する作
用があり、成膜面5a以外の面に成膜を避けるために、
支持体4で被成膜基体5の周囲を覆っている。図1にお
いては、被成膜基体5がリング形状であって、成膜する
面が1面のみであるが、被成膜基体5の形状がどのよう
なものでも、その成膜面以外の面は支持体4の断熱体で
覆い、成膜面にのみ成膜するようにすることが原料効率
を高める上で好ましい。また、被成膜基体5が複雑形状
をしている場合、複数の断熱体を組合せて支持体4を構
成し、被成膜基体5の非成膜面を覆っても良い。なお、
被成膜基体5は、支持体4の内部に埋設すればよいが、
成膜面が多い場合には支持体4の上に設置するだけでも
良い。
【0029】支持体4を構成する断熱体は、熱抵抗の大
きいものがよいが、例えば黒鉛やセラミックを用いたも
のを使用でき、酸化物繊維系断熱材や黒鉛繊維などの繊
維質のものを含有したものが好ましい。特に、コストの
面で黒鉛繊維を用いた断熱体が好ましい。
【0030】導電性を有する黒鉛繊維を用いた断熱体を
使用した場合、周波数や出力によっては支持体4自体が
高周波で加熱されることがあり、支持体4の温度が成膜
温度以上となると、支持体4表面に膜が形成される。そ
こで、高周波で誘起された電流が表面で流れにくくする
ために、支持体4を構成する断熱体の表面に、高周波誘
導コイル面に垂直な方向に複数のスリットを設けること
が好ましい。なお、スリットの数、深さは、使用周波数
や許容温度を考慮して決定すればよい。
【0031】また、支持体4を構成する断熱体における
繊維の方向が被成膜基体5表面に対して略平行であるこ
とが好ましい。すなわち、被成膜基体5の端面が、その
端面と略並行に2次元織物の積層体が配置してなる支持
体4と当接するため、2次元織物の面内方向には熱が伝
わりやすく、逆に2次元織物間では熱が伝わり難いた
め、被成膜基体5以外の部材の温度を低く保つことがで
きる。
【0032】支持体4は、被成膜基体5と接しているた
めに支持体4近傍は加熱され、また支持体4全体も時間
の経過と共に温度が上昇することがある。このようなと
きには、支持体4の表面温度を下げるために、支持体4
表面および/または内部に不活性ガスを流す等の冷却機
構を設けることが好ましい。これにより、支持体4表面
の成膜を防ぐことができる。
【0033】また、触媒体9はガスを活性化し、成膜反
応を助長する働きがあり、その作用を効率的に行うため
に、使用する原料ガスにもよるが、例えばメチルトリク
ロルシランの場合には1800℃以上の温度にすると効
果が高いため、触媒体の融点が1800℃以上であるこ
とが好ましい。特に、触媒がタングステンおよび/また
はタンタルであることが、触媒体効率を考慮して好まし
い。
【0034】この触媒体9は、被成膜基体5の成膜面5
aの大きさに対して同等以上の大きさであることことに
より、原料ガスの活性化を十分行うことができ、成膜速
度を高め、かつ均一に成膜することができる。したがっ
て、成膜面5aに投影された触媒体9の投影面積が、前
記被成膜基体5の成膜面5aよりも大きいことが好まし
い。
【0035】また、触媒体9として複数のワイヤを編ん
で作製したより線を用いると強度を向上でき、また太い
線を用いるため断線しにくいので好ましい。また、この
より線は、線単体でも用いることができるが、このより
線を編んでメッシュ形状の多孔質体にしたり、太い単線
を編んでメッシュ形状ににしたり、または多孔質の焼結
体などであることが望ましい。多孔質体を用いることに
より、原料ガスとの接触面積が増え、かつ原料ガスの進
路妨害が小さくなるため、活性化したガスが効率よく被
成膜基体5の成膜面5aに到達することが可能となる。
なお、多孔質体の気孔率を20%以上、特に30%以
上、さらには40%であることが好ましく、最も好適に
は50%以上である。
【0036】真空容器1への原料ガスの導入方法は特に
限定するものではなく、被成膜基体5表面に原料ガスが
供給されれば良いが、未反応の原料ガスを減らし、原料
効率をより高めるためには、被成膜基体5の温度を高め
に設定し、かつ被成膜基体5表面より特定の距離にガス
導入口8bの先端を設けることが好ましい。そして、被
成膜基体5の成膜面5aとガス導入口8bとの間に触媒
体9を配置することが好ましく、原料ガスを効率的に活
性化することができる。
【0037】ガス導入口8bはガス配管8aと同一材質
および異なる材質のいずれでもよく、例えば、耐食性が
強く加工しやすいSUSを両者に使用できる。しかし、
高周波を吸収してガス導入口8b温度が上昇する場合
は、ガス導入口8bの少なくとも先端部にアルミナや窒
化珪素などのセラミックスを用いることが好ましい。こ
のようなセラミックスをガス導入口として用いる場合、
チューブ形状でガス配管8aに接続しても良いが、多孔
質体を利用してもよい。
【0038】ガスの排気には、一般の真空ポンプを用い
ることができる。例えば、油回転ポンプ、メカニカルブ
ースターポンプ、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、水
封式ポンプなどを真空度に応じて用いることができる。
この中で、減圧下で成膜を行い、ハロゲン化物を多量に
原料として使用する場合には、初期の真空引き用のポン
プとCVD時のポンプと別個に設けることが好ましい。
【0039】図1の成膜装置によれば、被成膜基体5
は、高周波加熱された触媒体9から放出される熱で加熱
され、その温度で被成膜基体5表面に成膜されるが、成
膜する材料によっては、被成膜基体5を単独で加熱制御
したほうが好ましい。この単独加熱でより高速な成膜が
可能となり、膜の均一性も改善することができる。すな
わち、被成膜基体5の温度が成膜時間と共に変化しない
ように被成膜基体5の温度を制御することにより、均一
な製品を得ることが可能となり、かつ温度を高く設定す
ることによってより高速な成膜が可能となる。
【0040】被成膜基体5の加熱には、真空容器1の周
囲に基体加熱用高周波誘導コイル11を配置し、触媒体
9と被成膜基体5とを別個に、単独でそれぞれ加熱する
ことが好ましい。これにより、触媒体温度と被成膜基体
温度をそれぞれ精密に、また別々の温度に制御すること
ができ、それぞれの最適温度に設定することができるた
め、均一成膜および高速成膜が改善できる。
【0041】高周波誘導加熱は被成膜基体5の表面に電
流を流し、直接加熱させるためにエネルギー効率が良
く、しかも被成膜基体のみに高周波を投入するため無駄
なエネルギーを節約し、製品コストを低減することがで
きる。さらに、被成膜基体がリング形状であると高周波
が効率よく吸収されるので好ましい。
【0042】高周波誘導加熱では、その周波数により表
面電流浸透深さが異なるため、効率良く被成膜基体5を
加熱するためには、被成膜基体5形状に合わせた周波数
の選定が必要になる。したがって、被成膜基体5は、特
に指定するものではないが、高周波による高周波誘導加
熱においては被成膜基体5表面に電流が発生する必要が
あり、そのためには被成膜基体5が導電性材料でなけれ
ばならず、例えばカーボンやMoなどの高融点金属が好
ましい。
【0043】また、基体加熱用高周波誘導コイルの高さ
は、高周波エネルギーの熱への変換効率に影響する。し
たがって、リング形状等の薄い被成膜基体5を加熱する
場合には、基体加熱用高周波誘導コイル11も薄いリン
グ形状にし、しかも巻き数を1乃至2にし、基体加熱用
高周波誘導コイル11を加熱される被成膜基体5と略同
一の高さに配置することで、被成膜基体5に高周波エネ
ルギーを集中することができ、被成膜基体を効率的に加
熱することができる。これらの設計により、被成膜基体
5の形状と材質にもよるが、5〜30分という短時間で
成膜温度まで加熱することができる。また、触媒体9に
対する触媒体加熱用高周波誘導コイル10の位置関係も
同様である。
【0044】ところで、図1における被成膜基体5の加
熱手段は高周波誘導加熱であり、被成膜基体5が導電体
の場合に限られるが、被成膜基体5の加熱方法は、被成
膜基体5が所定の温度になれば他の方法でもかまわな
い。例えば、被成膜基体5が絶縁体の場合、被成膜基体
5の直下に支持体4に覆われるように導電体からなる発
熱体を配置し、この発熱体を高周波誘導加熱により加熱
させ、被成膜基体5を間接加熱することもできる。ま
た、真空容器1内における基体近傍に抵抗加熱によるヒ
ータを設置しても良く、また、被成膜基体5に直接通電
して加熱を行ってもかまわない。例えば、被成膜基体5
を支持体4に埋設するように配置し、かつ支持体4の内
部に抵抗加熱のヒータを設け、通電によりヒータを加熱
し、その熱で被成膜基体5を加熱することができる。そ
の一例を図2に示す。
【0045】図2は、本発明の他の成膜装置の概略配置
図である。図によれば、真空容器21がフランジ22と
壁体23からなり、真空容器21内部に設けられた断熱
体からなる支持体24の中に被成膜基体25を埋設し、
成膜面25aが露出するよう配置している。また、支持
体24は支持治具27によって支持され、支持治具27
はフランジ22に固定されている。
【0046】原料ガスを供給するためにガス配管28a
と廃ガスを排出するガス排気口31とがフランジ22に
設けられている。また、ガス導入口28bは、成膜面2
5aから所望の距離に配置され、かつ多孔質セラミック
スからなっている。また、被成膜基体25の加熱は、支
持体24の内部に設けられたヒータ30により加熱され
る。そして、被成膜基体25、ヒータ30、支持体24
および支持治具27は一体となって回転することができ
る。回転速度は、例えば10〜500rpmに設定する
ことができる。このように被成膜基体を回転させる手段
を具備していることが、膜厚と膜質との均一性を向上さ
せることができるので好ましい。
【0047】原料ガスは、ガス配管28aを経由して空
洞部28cに入り、多孔質セラミックス製のガス導入口
28bからシャワー状に吹き出され、触媒体29を経由
して被成膜基体25の成膜面25aに供給され、膜が形
成される。多孔質セラミックスは、例えば気孔率8〜4
0%の炭化珪素質焼結体などにより、比較的大きな面積
にわたって均一なガス流を供給できる。
【0048】なお、本発明の成膜装置で使用する固定治
具や支持治具など、真空装置内で成膜原料ガスに接触す
る部材は、所望の材質を選択することができる。例え
ば、高純度CVD膜を作製する場合、金属不純物の混入
を抑制することが要求されるため、固定治具や支持治具
などの部材には高純度材料、例えば高純度黒鉛や石英ガ
ラス等の使用が求められる。また、配管等の金属材料の
使用が不可欠な部材には、SUS、ハステロイ、インコ
ネル等の特殊合金を使用することが好ましい。
【0049】また、本発明の成膜方法によれば、上記に
示した本発明の成膜装置を用いて膜を形成するものであ
り、比較的大型の部品に対しても原料の効率が高く、高
速で成膜をすることができ、製品コストを改善すること
ができる。例えば図1に示した装置を用いて、以下のよ
うな方法で所望の膜を得ることができる。
【0050】まず、真空容器1内を真空ポンプによって
排気し、所定の真空度に達した時、水素または不活性ガ
スを導入し、触媒体加熱用高周波誘導コイル10および
基体加熱用高周波誘導コイル11に高周波電力を印加し
て被成膜基体5を加熱する。
【0051】次に、被成膜基体5および触媒体9を所定
の温度で保持し、原料ガスをガス配管8aを経由してガ
ス導入口8bから真空容器1内に導入する。原料ガスは
触媒体9との接触後に、被成膜基体5表面で分解および
/または反応して成膜する。未反応ガスと反応で生成し
た反応生成ガスはガス排気口12から排出される。
【0052】具体的に、炭化珪素膜の形成に当たって
は、被成膜基体5として、例えば、内径190mm、外
径210mmのリング形状で、高純度カーボン製の被成
膜基体5を図1のようにカーボン製の支持体4に埋設す
るように設置する。
【0053】そして、真空装置1内を油回転ポンプ、メ
カニカルブースタポンプまたはドライポンプなどの一般
の真空ポンプにより減圧にする。そして、例えば真空度
1Pa以下になったところで、水素ガスを導入し、ポン
プを水封式ポンプに切り替え、真空容器1内の圧力を例
えば0.1〜20kPaに保つ。ここで、水封式ポンプ
を用いたのは、CVDで発生するHClの処理を行いや
すいために用いているが、原料や処理設備および作動圧
力により、所望のポンプを使用することができる。
【0054】次に、水素ガスを流しながら、高周波を巻
き数1の触媒体加熱用高周波誘導コイル10および巻き
数1で基体加熱用高周波誘導コイル11にそれぞれ印加
し、高周波誘導加熱により触媒体9および被成膜基体5
の加熱をそれぞれ行う。ここで、基体加熱用高周波誘導
コイル11に印加する周波数は、形状や材質にもよる
が、カーボンリングを加熱する場合は効率の点で0.5
〜100kHz、特に1〜50kHz、さらには5〜3
0kHzが好ましい。
【0055】高周波印加10分後に被成膜基体温度が1
500℃、触媒体温度が1800℃に達したところで、
ガス導入口8bから水素とメチルトリクロルシランとの
混合ガスを導入し、炭化珪素膜を成膜することができ
る。この方法によれば、1時間で1mm以上の炭化珪素
膜を成膜することができる。また、被成膜基体5を機械
的または化学的に除去することにより、短時間かつ低コ
ストで炭化珪素のバルク材料を製造することもできる。
【0056】
【実施例】実施例1 図1に示した本発明の成膜装置を用いてリング形状のカ
ーボン被成膜基体上に、以下の方法で炭化珪素膜を形成
した。なお、フランジ2はSUS316製で水冷されて
おり、壁体3は石英ガラス製である。また、被成膜基体
5は、外径210mm、内径190mm、厚さ10mm
の高純度黒鉛であり、外径260mm、内径150m
m、厚さ35mmの黒鉛フェルト成形支持体4に埋設さ
れ、カーボン製固定治具6により固定されている。
【0057】また、支持体4は、カーボンファイバーか
らなる2次元織物の積層体からなり、その2次元織物の
面方向、すなわち繊維方向が成膜面5aと略平行となる
ように配置され、また、支持体4は、石英ガラス製の支
持治具7により支えられており、ガス導入口8bは石英
ガラス製で、直径200mmの円周上に16個配置され
いる。このガス導入口8bは、被成膜基体5の直下20
mm位置にセットした。
【0058】触媒体9は、Wワイヤ(0.05mm径、
融点3000℃)を3本で編んだより線を折り曲げて、
外径220mm、内径180mm、厚み10mm程度の
大きさのリング形状とし、被成膜基体5の成膜面5aか
ら20mm離れた位置で、ガス導入口8bと被成膜基体
5との間に位置するように、断熱体からなる支持体4か
ら吊して配置した。
【0059】真空容器1内を、1Pa以下の真空度に達
するまでロータリー空ポンプで排気した。水素ガスを流
量5l/minで導入した。ポンプを水封式ポンプに切
り替え、圧力を1kPaに保ち、触媒体加熱用高周波誘
導コイル10および基体加熱用高周波誘導コイル11に
高周波電力を別々の高周波発信機から印加した。高周波
の周波数はいずれも20kHzで、出力をそれぞれ制御
できるため、被成膜基体5の温度を1500℃、触媒体
9の温度を1900℃となるように出力をそれぞれ調整
した。加熱を開始して5分間にはいずれも所望の温度に
達した。
【0060】被成膜基体5および触媒体9の温度をそれ
ぞれ1500℃、1900℃で保持し、原料ガスとして
メチルトリクロルシランガスと水素ガスの混合ガスをそ
れぞれ1.5l/min、10l/minの流量で流す
とともに、真空容器1内の圧力がほぼ2.7kPaにな
るように調節した。そして、3時間後にメチルトリクロ
ルシランガスの導入を停止し、次いで加熱を停止した。
【0061】成膜終了後、被成膜基体の重量を測定し、
重量増加分をCVDされたSiC量とし、メチルトリク
ロルシランが完全にSiCになった場合を100とし
て、原料効率を計算した。また、リング形状の被成膜基
体とともに炭化珪素膜をおよそ8等分に破断し、それぞ
れの断面を顕微鏡で写真撮影して成膜面に形成された膜
の厚みを測定し、その平均値を算出した。
【0062】その結果、原料効率が25%、膜厚は3.
5mmであった。 実施例2 実施例1と同じ装置において、触媒体9としてWメッシ
ュを用いて成膜を行った。Wメッシュは、線径0.05
mmで、50メッシュで、外径220mm、内径180
mm、厚み10mm程度の大きさのリング形状にしたも
のを10枚重ねて触媒体9とした。これ以外の条件およ
び評価方法は、実施例1と同様であった。
【0063】その結果、原料効率が35%、膜厚は4.
9mmであった。 比較例 触媒体9としてWワイヤ(直径0.02mm)を用い
た。これを、外径220mm、内径80mmの範囲にお
互いに接触しないように張り巡らせ、支持体4からつり
下げて固定した。その際、ワイヤ同士が接触しないよう
に間隔を置いて配置した。そして、通電加熱により18
00℃まで加熱した。それ以外は、実施例1と同様にし
て成膜を行った。また、評価法も実施例1と同様に行っ
た。
【0064】その結果、42分でWワイヤが断線した。
【0065】
【発明の効果】本発明では、触媒体を高周波誘導加熱し
て触媒体の寿命を延ばすことにより、コストを抑えて信
頼性を高め、高速成膜の可能な成膜装置を実現すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成膜装置の概略配置図である。
【図2】本発明の他の成膜装置の概略配置図である。
【符号の説明】
1・・・真空容器 2・・・フランジ 3・・・壁体 4・・・支持体 5・・・被成膜基体 5a・・・被成膜基体の成膜面 8a・・・ガス配管 8b・・・ガス導入口 9・・・触媒体 10・・・触媒体加熱用高周波誘導コイル 11・・・基体加熱用高周波誘導コイル 12・・・ガス排出口

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器と、該真空容器内に配置された被
    成膜基体用支持体と、成膜用ガス導入口と、成膜のため
    の反応を促進するための触媒体と、該触媒体を加熱する
    ための高周波誘導加熱装置とを具備したことを特徴とす
    る成膜装置。
  2. 【請求項2】前記触媒体の融点が1800℃以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 【請求項3】前記触媒体が、複数のワイヤを編んで作製
    されたより線からなることを特徴とする請求項1または
    2記載の成膜装置。
  4. 【請求項4】前記触媒体が多孔質体であることを特徴と
    する請求項1乃至3のうちいずれかに記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】高周波誘導加熱に用いる高周波誘導コイル
    の巻き数が1乃至2であり、かつ該高周波誘導コイルが
    触媒体と略同一の高さにあることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 【請求項6】前記支持体が、断熱体からなり、該断熱体
    の表面または内部に、少なくとも成膜面が露出するよう
    に被成膜基体が載置されることを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれかに記載の成膜装置。
  7. 【請求項7】前記被成膜基体を加熱するための第2の高
    周波誘導加熱装置を具備したことを特徴とする請求項1
    乃至6のいずれかに記載の成膜装置。
  8. 【請求項8】前記第2の高周波誘導加熱装置に用いる高
    周波誘導コイルの巻き数が1乃至2であり、かつ該高周
    波誘導コイルが前記被成膜基体と略同一の高さにあるこ
    とを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成膜
    装置。
  9. 【請求項9】前記ガス導入口が、前記支持体に支持され
    る被成膜基体の成膜面と対向する位置に設けられ、前記
    触媒体が、前記ガス導入口と前記支持体との間に配置さ
    れたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載
    の成膜装置。
  10. 【請求項10】請求項1乃至9のうちいずれかに記載の
    成膜装置を用いて、前記支持体の表面または内部に載置
    された被成膜基体の表面に膜を形成することを特徴とす
    る成膜方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012130984A (ja) * 2010-12-21 2012-07-12 Mitsubishi Materials Corp ダイヤモンド皮膜の剥離方法

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