JP2001262304A - プレス成形性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

プレス成形性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法

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JP2001262304A JP2000074315A JP2000074315A JP2001262304A JP 2001262304 A JP2001262304 A JP 2001262304A JP 2000074315 A JP2000074315 A JP 2000074315A JP 2000074315 A JP2000074315 A JP 2000074315A JP 2001262304 A JP2001262304 A JP 2001262304A
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dip galvanized
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Shoichiro Taira
章一郎 平
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaaki Yamashita
正明 山下
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上層に硬質のFe系合金めっきを施すことな
く、摺動性と耐パウダリング性を両立した合金化溶融亜
鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 めっき層の表面Fe濃度の平均値が、重量
%で8.0%以上である金化溶融亜鉛めっき鋼板。前記合金
化溶融亜鉛めっき鋼板は、平坦部を表面に有し、その面
積率が20%以上80%以下である。前記鋼板を製造するにあ
たって、鋼板に亜鉛めっきを施し、めっき層の合金化熱
処理を行う、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程にお
いて、合金化熱処理後に酸性溶液に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プレス成形にお
ける摺動性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっ
き鋼板と比較して塗装性及び溶接性に優れることから、
自動車や家電製品等に広く利用されている。
【0003】このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
プレス成形を施されて目的の用途に供される。しかし、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス
成形性が劣るという欠点を有する。これは合金化溶融め
っき鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、冷延鋼板の場合
に比較して大きいことが原因である。即ち、ビードと亜
鉛系めっき鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分で合金
化溶融亜鉛めっき鋼板がプレス金型に流入しにくくな
り、鋼板の破断が起こりやすい。
【0004】亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布する方
法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑油
の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥
が発生したり、またプレス時の油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のプレス成形性が改善されることが強く
要請されている。
【0005】合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に亜鉛
めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっ
き層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、
Fe-Zn合金相を形成させたものである。このFe-Zn合金相
は、通常、Γ相,δ1相,ζ相からなる皮膜であり、Fe
濃度が低くなるに従い、すなわち、Γ相→δ1相→ζ相
の順で、硬度ならびに融点が低下する傾向がある。この
ため、摺動性の観点からは、高硬度で、融点が高く凝着
の起こりにくい高Fe濃度の皮膜が有効であり、プレス成
形性を重視する合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、皮膜中の
平均Fe濃度を高めに製造されている。
【0006】しかしながら、高Fe濃度の皮膜では、めっ
き−鋼板界面に硬くて脆いΓ相が厚く形成されやすく、
加工時に、界面から剥離する現象、いわゆるパウダリン
グが生じ易い問題を有している。このため、特開平1-31
9661号公報に示されているように、摺動性と耐パウダリ
ング性を両立するために、上層に第二層として硬質のFe
系合金を電気めっきなどの手法により付与する方法がと
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであり、上層に硬質のFe系合金めっ
きを施すことなく、摺動性と耐パウダリング性を両立し
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、皮膜中のFe
濃度としては同程度の皮膜であっても、めっき層の表面
Fe濃度に差があり、この表面Fe濃度が高い合金化溶融め
っき鋼板は、摺動性が良好で安定して優れたプレス成形
性が得られることを知見した。また、このような皮膜を
製造するためには、合金化加熱後のめっき表面を酸性溶
液に接触させるとともに、そのpHを1.0以上3.0以下、又
は接触時間を5秒以上にすることが特に効果的であるこ
とを見出した。
【0009】本発明は、以上の知見に基いてなされたも
ので、第1発明は、めっき層の表面Fe濃度の平均値が、
重量%で8.0%以上であることを特徴とする合金化溶融亜
鉛めっき鋼板を提供する。
【0010】第2発明は、第1発明において、平坦部を表
面に有し、その面積率が20%以上80%以下であることを特
徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
【0011】第3発明は、第1発明および第2発明に記載
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するにあたり、鋼板
に亜鉛めっきを施し、めっき層の合金化熱処理を行う、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程において、合金化
熱処理後に酸性溶液に接触させることを特徴とする合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0012】第4発明は、第3発明において、合金化熱処
理時に生成した酸化物を始めとする不活性皮膜を除去し
た後に酸性溶液に接触させる処理を行うことを特徴とす
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0013】第5発明は、第3および第4発明において、
酸性溶液のpHが1.0以上3.0以下であることを特徴とする
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0014】第6発明は、第3〜5発明において、酸性溶
液への接触時間が5秒以上であることを特徴とする合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層はFe-Zn
合金相からなり、Fe-Zn合金相のFe含有率の増加にとも
ない融点、ならびに硬度が増加する。また、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を実際のプレス成形に供する際には、金
型との摺動はめっき層表面のみで生じることから、めっ
き表層のFe濃度が高い皮膜は硬質・高融点であるため、
プレス成形の際に金型との凝着が生じにくく、良好な摺
動性を示し、プレス成形性に優れている。この観点から
は、めっき層の表面Fe濃度の平均値が8.0%以上となる皮
膜は摺動性に優れている。一方、めっき層の表面Fe濃度
が低く、その平均値が8.0%未満の皮膜では、プレス時の
金型の温度の上昇などが生じた場合に、軟質・低融点の
Fe-Zn合金が凝着し、プレス割れなどを生じ易く、安定
したプレス成形性が得られない。なお、特に摺動性が向
上することから、めっき層の表面Fe濃度は10.0%以上で
あることがより好ましい。
【0016】なお、めっき層の表面Fe濃度は、EPMA分
析,オージェ分光分析法やSIMS分析などの方法により定
量することができるが、中でもEPMA分析が最も簡便で信
頼性が高い。これは、加速電圧を低くすることにより表
層のみの情報が得られる上、ビームの走査により広範囲
の領域の分析が可能なためである。なお、本明細書中に
示すめっき層の表面Fe濃度は、電気めっき法により銅板
上に形成したFe-Zn合金めっき板を標準試料とし、EPMA
の検量線法により得られためっき表面より深さ0.2μm以
内のFe濃度(重量%)を示すものとする。
【0017】本発明のような、めっき層の表面Fe濃度の
平均値が8.0%以上となる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、
常法の溶融亜鉛めっきを施した後の加熱処理のみで製造
することは困難である。これは、加熱処理時に、めっき
皮膜中へ鋼板からのFeの拡散が生じるため、めっき皮膜
中にはFe濃度分布が生じ、めっき表層では最もFe濃度が
低くなることに起因する。すなわち、表面Fe濃度を本発
明範囲になるようFeの拡散を促進した加熱処理を施す
と、めっき−鋼板界面に非常に脆弱なFe-Zn合金相(Γ
相)が形成され、耐パウダリング性に劣るためである。
【0018】この観点から考えると、めっき層の表面Fe
濃度の平均値を8.0%以上にするには、常法の溶融亜鉛め
っきを施し合金化熱処理を行った後の低Fe濃度の表層
を、研削などの手法により物理的に除去する手法や、酸
性溶液と接触させて化学的に除去する手法が有効であ
る。また、鉄を含有する酸性溶液と接触させて、Znの溶
解とFeの置換析出を生じさせる方法も有効である。しか
しながら、本発明による合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
めっき層の表面Fe濃度の平均値が上記範囲に入っていれ
ばよく、その製造方法により本発明が限定されるもので
はない。
【0019】以下、加熱処理後の合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を酸性溶液に接触させて、前記のような表層Fe濃度
が高い皮膜を形成する方法について具体的に説明する。
このメカニズムについては、明らかではないが、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接触させることによ
り、表層の亜鉛が優先的に溶解し、表面Fe濃度が高い皮
膜を形成できるものと考えられる。すなわち、この手法
は、酸性溶液中への亜鉛めっき層の溶解反応を利用する
ものであるため、反応時間、温度などにより溶解量を容
易に調整できる上に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板全体で
均一に反応が生じる利点がある。
【0020】酸洗溶液中での処理時間は、5秒未満では
反応が不十分であることから、5秒以上の処理時間が必
要である。処理溶液のpHが1.0未満であると、めっき層
の溶解反応速度が速く過エッチングが生じ易い欠点があ
り、pHが3.0を超えると、反応が不均一に生じたり、長
時間の処理を必要とするなど実用上問題があることか
ら、pHは1.0以上3.0以下に調整することが必要である。
【0021】また、この他に、電気めっきによりFe-Zn
皮膜を形成する際に用いるめっき浴に接触させることも
有効である。これは、めっき液に接触させると、Znの溶
解にともないFeの置換析出を生じさせることができるた
めであると推定される。いずれにしろ、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板に接触させる酸性溶液のpHや接触時間が本発
明範囲内にあれば効果があり、溶液中に含まれるその他
の元素には特に制限はない。
【0022】合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接
触させる方法は、特に限定されるものではなく、上記水
溶液中への浸漬、水溶液の吹き付けなどの方法を採用す
ることができる。また、これらの処理を2つ以上組み合
わせることもできる。
【0023】また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、加熱
合金化処理過程において、雰囲気との反応により表層に
酸化物層が形成されるため、表面の反応性が十分ではな
い。この観点から、酸化物層などの不活性皮膜を除去し
た後に、酸性溶液に接触させるとより効果的である。表
層の不活性皮膜を除去する手法としては、研磨などの機
械的に除去する方法やアルカリ液に浸漬あるいはスプレ
ーなどで処理することにより化学的に除去する手法など
が考えられるが、その後の酸性溶液に接触させるまでに
表層の不活性皮膜が除去されていればよく、その手法に
制限はない。
【0024】また、合金化処理後の合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、一般的に調質圧延が施されるため、めっき表
面には平坦な部分とそうでない部分が共存する。このめ
っき表面における平坦部の面積率は、20〜80%とするの
が望ましい。20%未満では、合金化処理時のめっき−鋼
板界面の合金化反応性の差による凹凸が緩和されておら
ず、金型との摺動とともにめっき表面形状の変形も同時
に生じるため、めっき表層の表面Fe濃度の平均値が8.0%
以上でもプレス成形性の改善効果が小さくなる。また、
平坦部を除く部分は、プレス成型時にプレス油を保持す
る役割を持つ。従って、平坦部を除く部分の面積率が20
%未満になると(平坦部の面積率が80%を超えると)プレ
ス成形時に油切れを起こしやすくなり、プレス成形性の
改善効果が小さくなる。
【0025】なお、めっき表面の平坦部は、光学顕微鏡
あるいは走査型電子顕微鏡で表面を観察することで容易
に識別可能である。めっき表面における平坦部の面積率
は、上記顕微鏡写真を画像解析することにより求めるこ
とができる。
【0026】本発明で対象とする合金化溶融亜鉛めっき
鋼板は、Fe-Zn合金を基本とするめっき層が形成されて
いるが、通常、亜鉛めっき浴中に添加されるAlの他にP
b,Sb,Si,Sn,Mg,Mn,Ni,Ti,Li,Cuなどが、めっ
き層中に含まれていても、本発明の効果が損なわれるも
のではない。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 (実施例1)板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化
溶融亜鉛めっき皮膜を形成し、さらに調質圧延を行っ
た。この際に、調質圧延の圧下荷重を変化させること
で、表面における平坦部面積率を変化させた。引き続
き、Fe2+イオンを1.0mol/l含有する硫酸酸性溶液中に所
定時間浸漬し、表層Fe濃度を変化させた。このような手
法により作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、
化学分析によりめっき皮膜中のFe濃度、EPMAによりめっ
き層の表面Fe濃度の測定及びプレス成形性試験を行なっ
た。なお、めっき層の表面Fe濃度の測定およびプレス成
形性試験は次のようにして行った。
【0028】(1)めっき層表面Fe濃度の測定 EPMAを用いて、加速電圧5kVの一定条件下で、めっき表
面を3μmピッチで200点×200点のZn強度の測定を行っ
た。得られたZn強度に対して、電気めっき法により銅板
上に形成したFe-Zn合金めっき層のZn濃度とZn強度の関
係から作製した検量線をもとに、各測定点のZn濃度を算
出した。全測定点の平均値をめっき層表面のZn濃度と
し、100から引いた値をめっき層の表面Fe濃度の平均値
として求めた。
【0029】(2)プレス成形性評価試験(摩擦係数測定
試験) プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を
以下のようにして測定した。
【0030】図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面
図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦
係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水
平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されてい
る。スライドテーブル3の下面には、これに接したロー
ラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設
けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩
擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1
ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられ
ている。上記押付力を作用させた状態でスライドテーブ
ル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定す
るための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方
の端部に取付けられている。なお、潤滑油として、日本
パーカライジング社製ノックスラスト550HNを試料1の表
面に塗布して試験を行った。
【0031】図2は使用したビードの形状・寸法を示す
概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押し
付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は
幅10mm、試料の摺動方向長さ12mm、摺動方向両端の下部
は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられる
ビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有す
る。
【0032】摩擦係数測定試験は、押し付け荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移
動速度):100cm/minとした。供試材とビードとの間の
摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。試験結果を表1
に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、めっき層の表面Fe濃度
および平坦部面積率が本発明範囲内にある場合(本発明
例5〜22)には、摩擦係数はすべて非常に低い値であ
り、良好な摺動特性を示していた。これに対して、めっ
き層の表面Fe濃度が本発明範囲をはずれる比較例1〜4
は、いずれの摩擦係数も高い値を示し、摺動特性は低下
した。一方、めっき層の表面Fe濃度が本発明範囲内であ
っても、平坦部面積率が本発明範囲をはずれる場合(本
発明例1〜4)は、摩擦係数は比較例1〜4より若干低下す
るものの、摺動特性の改善効果は本発明例5〜22より小
さかった。
【0035】(実施例2)板厚0.8mmの冷延鋼板上に、
常法の合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成し、さらに平坦
部面積率が20〜80%の範囲にあるように調質圧延を行っ
た後、酸性溶液中へ浸漬処理を行った。また、酸性溶液
中で浸漬処理を行う前に、pH=12.0の水酸化ナトリウム
水溶液中に浸漬し、合金化処理時の加熱により生成した
酸化物層を除去したものについても一部作製した。この
ような手法により作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼板に
ついて、化学分析によりめっき皮膜中のFe濃度、EPMAに
よりめっき層の表面Fe濃度の測定及びプレス成形性試験
を行なった。なお、表層Fe濃度の測定およびプレス成形
性試験は、実施例1と同様の条件で行った。試験結果を
表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すように、酸性溶液への接触条件
が本発明範囲内にあり、前処理として表層残存酸化物を
アルカリ処理により除去した場合(本発明例8〜25)に
は、摩擦係数はすべて非常に低い値であり、良好な摺動
特性を示していた。
【0038】これに対して、アルカリ処理、および酸性
溶液への接触を行わない場合(比較例1)は、摩擦係数
は非常に高い値を示し、摺動特性は低下した。また、酸
性溶液への処理条件が本発明範囲内にあっても、前処理
としてアルカリ処理を行わない場合(本発明例1)で
は、摩擦係数は若干低下するものの、摺動特性の改善効
果は小さかった。さらに、アルカリ処理を行った後に、
酸性溶液への接触を行っても、接触時間が短い場合(本
発明例2〜4)や、酸性溶液のpHが本発明範囲をはずれる
場合(本発明例5〜7)には、まったく処理を施さない場
合(比較例1)と比較して、摩擦係数は若干低下するも
のの、摺動特性の改善効果は本発明例8〜25より小さか
った。
【0039】
【発明の効果】本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
耐パウダリング性に劣ることなく、プレス成形時の摺動
抵抗が小さく、安定して優れたプレス性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図2】図1中のビード形状・寸法を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 摩擦係数測定用試料 2 試料台 3 スライドテーブル 4 ローラ 5 スライドテーブル支持台 6 ビード 7 第1ロードセル 8 第2ロードセル 9 レール N 押付荷重 F 摺動抵抗力 P 引張荷重
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA22 AB02 AB28 AB38 AB42 AC32 AC73 AC82 AC87

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき層の表面Fe濃度の平均値が、重量%
    で8.0%以上であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっ
    き鋼板。
  2. 【請求項2】 平坦部を表面に有し、その面積率が20%以
    上80%以下であることを特徴とする請求項1に記載の合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1及び2に記載の合金化溶融亜鉛め
    っき鋼板を製造するにあたり、鋼板に亜鉛めっきを施
    し、めっき層の合金化熱処理を行う、合金化溶融亜鉛め
    っき鋼板の製造過程において、合金化熱処理後に酸性溶
    液に接触させることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 合金化熱処理時に生成した酸化物を始め
    とする不活性皮膜を除去した後に酸性溶液に接触させる
    処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸性溶液のpHが1.0以上3.0以下であるこ
    とを特徴とする請求項3および請求項4に記載の合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸性溶液への接触時間が5秒以上であるこ
    とを特徴とする請求項3〜5に記載の合金化溶融亜鉛めっ
    き鋼板の製造方法。
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