JP5163217B2 - 亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板の製造方法

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本発明は、プレス成形時の摺動性に優れた亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
亜鉛系めっき鋼板は自動車車体用途を中心に広範な分野で広く利用され、そのような用途では、プレス成形を施されて使用に供される。しかし、亜鉛系めっき鋼板は冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。これはプレス金型での表面処理鋼板の摺動抵抗が冷延鋼板に比べて大きいことが原因である。すなわち、金型とビードでの摺動抵抗が大きい部分で表面処理鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりやすい。
ここで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、その他の亜鉛系めっき鋼板と比較して溶接性および塗装性に優れることから、自動車車体用としてはより好適に用いられている。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に亜鉛めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっき層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、Fe−Zn合金相を形成させたものである。このFe−Zn合金相は、通常、Γ相、δ相、ζ相からなる皮膜であり、Fe濃度が低くなるに従い、すなわち、Γ相→δ1相→ζ相の順で、硬度ならびに融点が低下する傾向がある。このため、摺動性の観点からは、高硬度で、融点が高く凝着の起こりにくい高Fe濃度の皮膜が有効であり、プレス成形性を重視する合金化溶融亜鉛めっき鋼板は皮膜中のFe濃度が高めに製造されている。
しかしながら、高Fe濃度皮膜では、めっき鋼板界面に硬くて脆いΓ相が形成されやすく、加工時に界面から剥離する現象、いわゆるパウダリングが生じやすい問題を有している。このため特許文献1に示されているように、摺動性と耐パウダリング性を両立するために上層に第二層として硬質のFe系合金を電気めっきの手法などにより付与する方法などがとられている。
亜鉛系めっき鋼板使用時のプレス成形性を向上させる方法としては、この他に、高粘度の潤滑油を塗布する方法が広く用いられる。しかし、この方法では、潤滑油の高粘性のために塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥が発生したり、また、プレス時の油切れにより、プレス性能が不安定になる等の問題がある。従って、合金化溶融亜鉛めっき鋼板自身のプレス成形性が改善されることが強く要請されている。
上記の問題を解決する方法として、特許文献1および特許文献2には、亜鉛めっき鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すことにより、ZnOを主体とする酸化膜を形成させて溶接性、加工性を向上させる技術を開示している。
しかしながら、特許文献1および2の技術を合金化溶融亜鉛めっき鋼板に適用した場合、合金化溶融めっき鋼板はAl酸化物が存在することにより、表面の反応性が劣ること、及び表面の凹凸が大きいためにプレス成形性の改善効果を安定して得ることはできない。即ち、表面の反応性が低いため、電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理及び加熱処理等を行っても、所定の皮膜を表面に形成することは困難であり、反応性の低い部分、すなわち、Al酸化物量が多い部分では膜厚が薄くなってしまう。また、表面の凹凸が大きいため、プレス成型時にプレス金型と直接接触するのは表面の凸部となるが、凸部のうち膜厚の薄い部分と金型との接触部での摺動抵抗が大きくなり、プレス成形性の改善効果が十分には得られない。
そこで、特許文献3では、鋼板を溶融亜鉛めっき後、加熱処理により合金化し、さらに調質圧延を施した後に、pH緩衝作用を有する酸性溶液と接触させ、1〜30秒保持し、水洗することで、めっき表層に酸化物層を形成させる技術を開示している。同じく合金化処理を施さない溶融亜鉛めっき鋼板の表面平坦部に均一に酸化物層を形成させる手法としては、調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼板をpH緩衝作用を有する酸性溶液と接触させ、その後、鋼板表面に酸性溶液の液膜が形成された状態で所定時間保持した後水洗、乾燥する特許文献4の方法が有効である。また、電気亜鉛めっき鋼板の表面に均一に酸化物層を形成される方法としては、電気亜鉛めっき鋼板を、pH緩衝作用を有する酸性溶液もしくは酸性の電気亜鉛めっき浴と接触させ、その後に所定時間保持した後水洗、乾燥する特許文献5の方法が有効である。
特開昭53-60332号公報 特開平2−190483号公報 特開2003−306781号公報 特開2004−3004号公報 特開2005-248262号公報
しかしながら、上記先行技術を適用した場合、従来の製造条件においては良好なプレス成形性を得ることができるが、近年のさらなる高速での製造条件においては、酸化物形成時間の不足により、酸化物層が薄くなり、良好なプレス成形性が得られない場合があることが明らかになった。
本発明は上記の問題点を改善し、優れたプレス成形性を有する亜鉛系めっき鋼板を短時間で安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
特許文献3〜5の方法では、酸性溶液に接触させることで亜鉛系めっき鋼板表面にZnを主体とする酸化物層を形成させ摩擦係数を低下させているが、高速の製造条件では酸化物形成時間不足のため、十分な酸化物層が生成できない。そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく、酸化物層の生成に着目し、鋭意研究を重ねた。その結果、亜鉛系めっき鋼板表面に接触させる溶液中に亜鉛イオンおよびヘキサメチレンテトラミンを含有し、接触させる溶液として弱酸性の水溶性処理液を用いることで、酸化物層の生成時間を短縮することが可能であることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1] 亜鉛系めっき鋼板を溶液に接触させ、接触処理終了後1〜60秒間保持した後、水洗・乾燥を行うことにより、亜鉛系めっき鋼板表面に酸化物層を形成する亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、前記溶液は、亜鉛イオンとヘキサメチレンテトラミンを含有し、pHが1〜6であり、液温が20〜70℃であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[2]前記[1]において、前記亜鉛イオンの濃度は0.01〜0.30mol/lであり、前記ヘキサメチレンテトラミンの濃度は0.01〜0.30mol/lであることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[3]前記[1]から[2]のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法により生産され、鋼板表面に、金属成分として亜鉛を主体として含み平均厚さが10nm以上の酸化物層を有することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板。
なお、本発明の亜鉛系めっき鋼板とは、鋼板上に亜鉛を主体とするめっき皮膜が形成された鋼板であり、電気亜鉛系めっき鋼板、溶融亜鉛系めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等である。
本発明によれば、高速での製造条件において酸化物層を形成させる時間が短時間しか確保できない場合においても、プレス成形時の摺動抵抗が小さく優れたプレス成形性を有する亜鉛系めっき鋼板を安定して製造できる。
本発明は、亜鉛系めっき鋼板を溶液に接触させ、接触処理終了後1〜60秒間保持した後、水洗・乾燥を行うことにより、亜鉛系めっき鋼板表面に酸化物層を形成するに際し、前記溶液として、亜鉛イオンとヘキサメチレンテトラミン(以下、HMTAと称す)を含有し、pHが1〜6であり、液温が20〜70℃とする。このように、鋼板を接触処理する溶液として、亜鉛イオンとHMTAを含み、pHと液温を規定した溶液とすることは、本発明において、重要な要件であり、特徴である。これにより、良好なプレス成形性を確保するために十分な酸化物層を短時間で形成させることができる。
なお、接触処理終了後とは、浸漬処理の場合は浸漬工程を終了した後を、スプレー処理の場合はスプレー工程が終了した後を、ロール塗布の場合は塗布工程が終了した後を示すものである。
HMTAを含有しない溶液を用いる特許文献3には、酸化物層の形成機構として、鋼板側からは亜鉛の溶解が生じ、この亜鉛の溶解は、同時に水素発生反応を生じるため、亜鉛の溶解が進行すると、溶液中の水素イオン濃度が減少し、その結果、溶液のpHが上昇し、鋼板表面にZnを主体とする酸化物層を形成するとの記載がある。
これに対し、本発明では、鋼板を接触処理する溶液中に亜鉛イオンとHMTAとを含有することにより酸化物の生成速度が向上する。この機構は未だ明確ではないが、以下のように考えられる。本発明での酸化物生成は特許文献3と同様に、表面近傍の亜鉛イオンがpHの上昇により水酸化亜鉛となって析出する反応が主体となっていると考えられる。そして、HMTAは水中で加水分解してアンモニアとホルムアルデヒドを分解することが知られていることから分解生成したアンモニアがpHを上昇させる。そして、亜鉛イオン添加により表面近傍の亜鉛イオン濃度が高くなる。これらにより必要な亜鉛の溶解時間を短時間化出来るため、結果として酸化物の生成速度が向上しているものと推察される。
ここで、本発明では、接触処理する溶液(水溶性溶液と称することもある)中に含有する亜鉛イオンの濃度は0.01〜0.30mol/lが好ましい。亜鉛イオン濃度が0.01mol/l未満であると、亜鉛イオン量が不足するため良好なプレス成形性を得るために必要な酸化物層を形成することができない。一方で、0.30mol/lを超えると膜厚の増加には有効であるが、膜厚の成膜速度が大きくなりすぎるため、所望の膜厚へ制御することが困難となる。
また、使用する水溶性溶液中にHMTAを0.01〜0.30mol/lの濃度範囲で含有することが好ましい。HMTA濃度が0.01mol/l未満であると、HMTAの加水分解反応によるpH上昇効果が小さいため、短時間で良好なプレス成形性を確保することができない。一方で、0.30mol/lを超えると、膜厚の成膜速度が大きくなりすぎるため、所望の膜厚へ制御することが困難となる。
本発明では、pHを1〜6とする必要がある。pHが6を超える場合には溶液中で亜鉛イオンは沈殿(水酸化物の形成)し、鋼板表面に酸化物として形成されなくなる。また、pHが1未満の場合は、pH上昇の遅延による酸化物層の形成の阻害となる。pH4〜5.5範囲で成膜速度は最も早くなるので、この範囲が望ましい。
溶液の温度については、20〜70℃とする。酸化物層の形成反応は、溶液への接触後、所定時間保持する際に生じるため、保持時の板温を20〜70℃の範囲に制御することは有効である。20℃未満であると、酸化物層の生成反応に長時間を有し、生産性の低下を招く。一方、70℃を超える場合には、反応は比較的すばやく進行するが、逆に鋼板表面に処理ムラを発生しやすくなる。
水溶性溶液への亜鉛イオンの供給は、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛等で行なうことが出来る。
また、本発明では、鋼板表面に接触する溶液中に亜鉛以外の金属イオンや無機化合物などを不純物として、あるいは故意に含有していても本発明の効果が損なわれない限り許容される。そして、N、P、B、Cl、Na、Mn、Ca、Mg、Ba、Sr、Siなどが酸化物層中に取り込まれても、本発明の効果が損なわれない限り適用可能である。
亜鉛系めっき鋼板を水溶性溶液に接触させた後に、その溶液が薄い液膜状で鋼板表面に存在することが望ましい。これは、鋼板表面に存在する溶液の量が多いと溶液のpHが上昇しにくく、酸化物層を形成するまでに長時間を有するためである。この観点から、鋼板表面に形成する溶液膜の量は、30g/m以下に調整することが好ましく有効である。また、液膜の乾燥を防ぐ目的で5g/m2以上の液膜量が適している。以上より、好ましくは、前記溶液に接触後に鋼板表面に形成する液膜は5〜30g/m2とする。なお、溶液膜量の調整は、絞りロール、エアワイピング等で行うことができる。
また、溶液に接触終了後、水洗までの時間(水洗までの保持時間)は、1〜60秒間とする。水洗までの時間が1秒未満であると、十分な酸化物層が形成される前に、溶液が洗い流されるため、摺動性の向上効果が得られない。一方、60秒を超えた場合の保持時間では生産性を落としてしまう。短時間でも安定的に製造することを本発明の目的とするため、本発明の効果を十分に発揮する点から保持時間は60秒以下とする。
以上より、本発明のめっき鋼板の表面には、金属成分として亜鉛を主体として含み、平均厚さが10nm以上の酸化物層が得られることになる。
なお、亜鉛を主体とするとは、金属成分としては亜鉛を50質量%以上含むことである。
また、本発明における酸化物層とは、金属成分として亜鉛を主体として含んだ酸化物及び/又は水酸化物などからなる層のことである。酸化物層中に硫酸イオン等の浴中成分を含有しても良い。この酸化物層の平均厚さが10nm以上であることが必要である。酸化物層の平均厚さが10nm未満に薄くなると摺動抵抗を低下させる効果が不十分となる。一方、亜鉛を必須成分として含む酸化物層の平均厚さが100nmを越えると、プレス加工中に皮膜が破壊し摺動抵抗が上昇し、また溶接性が低下する傾向にあるため好ましくない。
なお、亜鉛系めっき鋼板を水溶性溶液に接触処理させる方法には特に制限はなく、めっき鋼板を溶液に浸漬する方法、めっき鋼板に溶液をスプレーする方法、塗布ロールを介して溶液をめっき鋼板に塗布する方法等があり、最終的に薄い液膜状で鋼板表面に存在することが望ましい。
また、本発明に係る亜鉛系めっき鋼板には、例えば、溶融めっき法、電気めっき法、蒸着めっき法、溶射法などの各種の製造方法によるものがあり、めっき組成として純Znのほか、Zn-Fe、Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Mgなどがある。しかし、本発明の実施においては、Znを主成分とする亜鉛系めっき鋼板であれば、Znの溶解が起こり、酸化物層を形成させることができるので、めっきの種類を限定するものではない。
さらに、使用する水溶性溶液中に不純物が含まれることによりS、N、Pb、Cl、Na、Mn、Ca、Mg、Ba、Srなどが酸化物層中に取り込まれても、本発明の効果が損なわれるものではない。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
板厚0.8mmの合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、酸化物層形成処理として、水溶性溶液に3秒浸漬した。水溶性溶液としては、硫酸亜鉛を表1に示す各濃度添加した水溶性溶液にHMTAを表1に示す各濃度添加し硫酸を用いてpHを5.2に調整した弱酸性の水溶性溶液を用いた。その後、ロール絞りを行い、室温(25℃)にて10秒間放置し、十分水洗を行った後、乾燥を実施した。
次に、以上のように作製した鋼板について、自動車用外板として十分な外観を有するかを目視にて判定するとともに、めっき表層の酸化物層の膜厚を測定した。また、プレス成形性を簡易的に評価する手法として摩擦係数の測定を次のようにして実施した。
(1)摺動性評価試験(摩擦係数測定試験)
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
図1は摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押し上げることによりビード6による摩擦係数測定用試料1への押し付け荷重Nを測定するための第1ロードセル7がスライドテーブル支持台5に取り付けられている。上記押し付け力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するために第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取り付けられている。なお、潤滑油としてスギムラ化学社製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを摩擦係数測定用試料1の表面に塗布して試験を行った。
図2、3は使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押し付けられた状態で摺動する。図2に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ12mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。図3に示すビード6の形状は幅10mm、試料の摺動方向長さ69mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押し付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ60mmの平面を有する。
摩擦係数測定試験は下に示す2条件で行った。
[条件1]
図2に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル13の水平移動速度):100cm/minとした。
[条件2]
図3に示すビードを用い、押し付け荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル13の水平移動速度):20cm/minとした。
供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
(2)酸化膜厚の測定
膜厚が96nmの熱酸化SiO2膜が形成されたSiウエハを参照物質として用い、蛍光X線分析装置でO・Kα X線を測定することで、SiO2換算の酸化層の平均厚さを求めた。分析面積は30mmφである。
以上より得られた試験結果を表1に示す。
Figure 0005163217
表1に示す試験結果から下記事項が明らかとなった。
No.1の比較例は、酸性溶液による処理を行っていないため、条件1・条件2の双方で摩擦係数が高い。
No.2、6、10の比較例は水溶性溶液中に硫酸亜鉛を含むがHMTAを含まないため、十分な酸化膜が形成せず、条件1・条件2の双方で摩擦係数が高い。
一方、No.3〜5、7〜9、11〜13の本発明例は、水溶性溶液中に硫酸亜鉛およびHMTAを含有するため、十分な酸化膜が形成され、条件1・条件2の双方で摩擦係数が低い。また、外観も良好である。
板厚0.8mmの合金化溶融亜鉛めっき鋼板上に、酸化物層形成処理として、水溶性溶液に3秒浸漬した。水溶性溶液としては、硝酸亜鉛を表2に示す各濃度添加した水溶性溶液にHMTAを表2に示す各濃度添加し硝酸を用いてpHを4.8に調整した弱酸性の水溶性溶液を用いた。その後、ロール絞りを行い、室温(25℃)にて10秒間放置し、十分水洗を行った後、乾燥を実施した。
次に、以上のように作製した鋼板について、実施例1と同じ方法で、自動車用外板として十分な外観を有するかを目視にて判定するとともに、めっき表層の酸化物層の膜厚を測定し、プレス成形性を簡易的に評価する手法として摩擦係数の測定を実施した。
以上より得られた試験結果を表2に示す。
Figure 0005163217
表2に示す試験結果から下記事項が明らかとなった。
No.1の比較例は、酸性溶液による処理を行っていないため、条件1・条件2の双方で摩擦係数が高い。
No.2、6、10の比較例は、水溶性溶液中に硝酸亜鉛を含むが尿素を含まないため、十分な酸化膜が形成せず、条件1・条件2の双方で摩擦係数が高い。
No.3〜5、7〜9、11〜13の本発明例は、水溶性溶液中に硝酸亜鉛および尿素の双方を含有するため、十分な酸化膜が形成され、条件1・条件2の双方で摩擦係数が低い。また、外観も良好である。
本発明の亜鉛系めっき鋼板はプレス成形性に優れることから、自動車車体用途を中心に広範な分野で適用できる。
摩擦係数測定装置を示す概略正面図 図1中のビード形状・寸法を示す概略斜視図 図1中のビード形状・寸法を示す概略斜視図
符号の説明
1 摩擦係数測定用試料
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 摺動抵抗力

Claims (2)

  1. 亜鉛系めっき鋼板を溶液に接触させ、接触処理終了後1〜60秒間保持した後、水洗・乾燥を行うことにより、亜鉛系めっき鋼板表面に酸化物層を形成する亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、前記溶液は、亜鉛イオンとヘキサメチレンテトラミンを含有し、pHが1〜6であり、液温が20〜70℃であることを特徴とする亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記亜鉛イオンの濃度は0.01〜0.30mol/lであり、前記ヘキサメチレンテトラミンの濃度は0.01〜0.30mol/lであることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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