JP2001262282A - 焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステンレス鋼板およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼き入れ−焼もどし処理あるいは焼き入れ処
理を施すことなく、ヴィッカース硬さHv=250〜3
00を満たすステンレス鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.1 %以下、N:0.1 %
以下、Cr:10.0〜20.0%を含有するクロム系ステンレス
鋼スラブを、熱間圧延し、得られた熱延鋼板をフェライ
ト単相の組織としてから、圧下率15〜70%で冷間圧
延することにより、ヴィッカース硬さ(Hv)を 250〜
300 とする。さらに、Nb:0.05〜1.0 %を添加すると、
熱を受けても軟質化しにくくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二輪車ディスクブレー
キ用ステンレス鋼板に関し、特に、小型バイク、スクー
ター、自転車等のディスクブレーキに使用して好適な、
硬さが比較的低く冷間圧延したままで用いる、焼入れ不
要のステンレス鋼板(鋼帯を含む、以下同じ)に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、二輪車のディスクブレーキに
は、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されるのが一
般的である。さて、ディスクブレーキ材料に必要なおも
な特性は、耐食性、靱性、耐磨耗性である。一般に、耐
磨耗性は硬さが高くなるに従って良くなるが、靱性は硬
さの上昇とともに低下する傾向にあるので、これら双方
の観点から、一般的なディスクブレーキはヴィッカース
硬さHv=310〜380の硬さ範囲に調整して用いて
いる。具体的には、例えば、SUS420J1やSUS
420J2(いずれもマルテンサイト系ステンレス鋼)
の場合には、ディスクブレーキの形状に打ち抜き成形
後、焼入れ−焼戻しの処理を行うことによりマルテンサ
イト組織として硬さを調整して使用される。また、特開
昭57−198429号公報、特開昭60−106951号公報に示され
るような、焼入れのみで適正な硬さが得られる、焼戻し
処理の不要な低Cマルテンサイト系ステンレス鋼も使用
されている。
【0003】上述した二輪車のディスクブレーキ材料
は、比較的高級なスポーツバイクや中型〜大型のオート
バイのディスクブレーキに使用されてさたものである
が、最近になって、このディスクブレーキが低価格の小
型バイク、スクーターおよび自転車等にも使用されるよ
うになってきている。これらの二輪車は車体重量が軽い
ため、ディスクブレーキの性能には従来の二輪車ほどの
ものは必要なく、したがって用いられる材料の硬さもで
あれば比較的低いレベル (Hv:250以上) でよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
軽量の二輪車を対象に設計した材料は今まではなく、も
っぱら、従来の中型、大型バイク用の硬質(Hv=31
0〜380)マルテンサイト系ステンレス鋼を用いる
か、またはHv=250〜300となるように低C量に
成分調整したマルテンサイト系ステンレス鋼を用いてい
るのが実状であった。しかしながら、これらのマルテン
サイト系ステンレス鋼は、いずれも所定の硬さを確保す
るためには焼入れ処理が不可欠であること、また、必要
以上硬質に焼入れ処理された場合、ディスクブレーキに
仕上げる際の研削、研磨工程での負荷が大きいという問
題があった。これらの問題はいずれも、製造コストを引
き上げる要因ともなっていた。なお、ディスクブレーキ
全般については、ブレーキ使用時におけるディスクブレ
ーキとパッドとの摺動発熱のために、ディスクブレーキ
の温度が上昇して、長時間使用すると、材料が次第に焼
き戻されて軟質化し、ブレーキ性能が劣化するという問
題は依然として残されていた。
【0005】本発明は、ディスクブレーキに用いるステ
ンレス鋼板が抱えている上記問題を解決することにあ
り、焼き入れ−焼もどし処理あるいは焼き入れ処理を施
すことなく、ヴィッカース硬さHv=250〜300を
満たすステンレス鋼板を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、さらに高温で軟質化しにくいステンレス
鋼板を提供することをも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、冷間圧延に
よる加工硬化を利用することにより、従来実施してきた
焼入れ処理を省略できること、またNb添加が高温での
軟質化を抑制する上で大きな効果を有していることを知
見し、本発明に想到した。すなわち、本発明は以下のと
おりである。
【0007】(1)質量%で、C:0.1 %以下、N:0.1
%以下、Cr:10.0〜20.0%を含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物からなる鋼組成であるとともに、金属組織
が加工フェライト組織であり、ヴィッカース硬さ(H
v)が 250〜300 であることを特徴とする、焼入れ不要
の二輪車ディスクブレーキ用ステンレス鋼板。
【0008】(2)質量%で、C:0.1 %以下、N:0.1
%以下、Cr:10.0〜20.0%、Nb:0.05〜1.0 %を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成であ
るとともに、金属組織が加工フェライト組織であり、ヴ
ィッカース硬さ(Hv)が 250〜300 であることを特徴
とする、焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステン
レス鋼板。
【0009】(3) (1)または (2)に記載の鋼板におい
て、上記成分に加えてさらに、下記a〜fのグループか
ら選ばれる少なくとも1種または2種以上を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成であるとと
もに、金属組織が加工フェライト組織であり、ヴィッカ
ース硬さ(Hv)が 250〜300 であることを特徴とす
る、焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステンレス
鋼板。 記 a…Si:1.5 %以下、 b…Mn:2.5 %以下、 c…Ni:2.0 %以下、Co:1.0 %以下、B:0.005 %以
下 d…Cu:2.0 %以下、Mo:2.0 %以下 e…V:1.0 %以下、Zr:1.0 %以下、Ti:1.0 %以下 f…Al:2.0 %以下
【0010】(4)質量%で、C:0.1 %以下、N:0.1
%以下、Cr:10.0〜20.0%を含有するクロム系ステンレ
ス鋼スラブを、熱間圧延し、得られた熱延鋼板をフェラ
イト単相の組織としてから、圧下率15〜70%で冷間
圧延することにより、ヴィッカース硬さ(Hv)を 250
〜300 とすることを特徴とする、焼入れ不要の二輪車デ
ィスクブレーキ用ステンレス鋼板の製造方法。
【0011】なお、 (4)に記載の鋼組成には、C:0.1
%以下、N:0.1 %以下、Cr:10.0〜20.0%で残部が実
質的にFeからなるもののほか、さらにNb:0.05〜1.0 %
を含有するもの、これらに加えてさらに、下記a〜fの
グループから選ばれる少なくとも1種または2種以上を
含有するものが含まれる。 記 a…Si:1.5 %以下、 b…Mn:2.5 %以下、 c…Ni:2.0 %以下、Co:1.0 %以下、B:0.005 %以
下 d…Cu:2.0 %以下、Mo:2.0 %以下 e…V:1.0 %以下、Zr:1.0 %以下、Ti:1.0 %以下 f…Al:2.0 %以下
【0012】また、本発明でいうフェライト単相組織と
は、オーステナイト相、マルテンサイト相を含まないフ
ェライト組織で、再結晶状態、未再結晶状態のいずれも
これに該当する。さらに、加工フェライト組織とは、上
記フェライト単相組織に対して冷間圧延等の加工を施し
た未再結晶状態であるものを言い、組織を観察すると圧
延長手方向に延伸されているのでそれとわかる。
【0013】
【作用】以下、本発明において、クロム系ステンレス鋼
の組成を上記範囲に限定した理由について説明する。な
お、本発明におけるクロム系ステンレス鋼とは、多量の
Niを含まないCr主体のステンレス鋼であり、オーステナ
イト系ステンレス鋼は含まない。 C:0.1 %以下 Cは、母相の硬さを高めて耐磨耗性を向上させるのに有
効な元素である。また、Cは後述するNbと炭化物を形成
して、ブレーキとして使用する際の摺動加熱による軟質
化を抑制する。しかし、多すぎるとCr炭化物を形成し、
耐食性を劣化させるため、その上限を0.1 %とする。
【0014】N:0.1 %以下 Nは、Cと同様に、母相の硬さを高めて耐磨耗性を向上
させるのに有効な元素である。また、Nは後述するNbと
窒化物を形成して、ブレーキとして使用する際の摺動加
熱による軟質化を抑制する。ただし、多すぎるとCr窒化
物を形成し、耐食性を劣化させるため、その上限を0.1
%とする。
【0015】Cr:10.0〜20.0% Crは、耐食性を付与するために少なくとも10.0%は添加
する必要があるが、過剰に添加すると靱性の低下を招く
のでその上限は20.0%とする。
【0016】Nb:0.05〜1.0 % Nbは、炭化物や窒化物を形成し、加工フェライト組織の
軟質化を抑制する元素である。Nbの添加効果に関する実
験結果を以下に説明する。連続鋳造設備を用いて、表1
に示す成分のステンレス鋼スラブを製造し、これを1100
℃に再加熱した後、熱延終了温度を720 ℃とする熱間圧
延により板厚7mmの熱延鋼板とした。この熱延鋼板
に、連続式焼鈍炉により、1050℃×1分の焼鈍を施し、
フェライト単相組織とした。次いで、スケールを酸洗除
去してから、圧下率60%で冷間圧延した。得られた鋼
板のヴィッカース硬さを測定するとともに、ブレーキ使
用中の昇温による材質変化を想定して、400 〜700 ℃の
各温度に加熱し、1時間保持して、硬さの変化を測定し
た。これらの測定結果を図1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】図1に示すように、冷間圧延ままの鋼板の
硬さは、Nb添加の有無にかかわらず、Hv=250 〜300
の範囲にあり、ディスクブレーキとしての適正な硬さ範
囲にあることがわかる。これを加熱保持した後の硬さに
は、Nb添加有無の差異が大きく現れている。すなわち、
Nb無添加の場合(鋼B)には600 ℃以上で軟質化がみら
れるのに対し、Nbを添加した場合(鋼A)には700 ℃ま
で軟質化せず材質劣化が少ないことがわかる。このよう
なNbによる軟質化抑制の機構については必ずしも明確で
はないが、比較的高温域まで安定しているNb炭化物、Nb
窒化物により、冷間圧延で導入された加工歪みの回復が
抑制されたためであると考えられる。なお、加熱保持し
たときの硬さが冷間圧延ままの硬さよりも上昇したの
は、Nbを含む析出物が新たに生成したことによる析出硬
化の影響であると推察される。このようなNbの添加効果
は、0.05%未満では得られず、また1.0 %を超えて過剰
に加えてもその効果は飽和するので、Nbは0.5 〜1.0 %
の範囲で添加する。
【0019】本発明のステンレス鋼板には、上述した基
本成分以外の元素は必ずしも添加する必要はないが、以
下に示す含有範囲であれば、本発明の効果を損なうもの
ではないので、必要に応じて添加もしくは混入されても
差し支えない。 Si:1.5 %以下 Siは、硬さを上昇させ耐磨耗性を向上させるのに有効な
元素であるが、靱性を低下させるため、その上限を1.5
%とする。
【0020】Mn:2.5 %以下 Mnは、熱間圧延における割れを抑制するのに有用な元素
であるが、過剰に添加しても、その効果が飽和するのみ
ならず、高温でのスケール生成量を増して表面性状を低
下させるため、その上限を2.5 %とする
【0021】Ni:2.0 %以下、Co:1.0 %以下、B:0.
005 %以下 Ni、CoおよびBは、靱性向上に寄与する元素であるが、
過剰に添加しても、その効果は飽和するので、それらの
添加量はそれぞれNi:2.0 %以下、Co:1.0 %以下、
B:0.005 %以下とする。
【0022】Cu:2.0 %以下、Mo:2.0 %以下 CuおよびMoは、耐食性を向上させる元素であるが、過剰
に添加してもその効果は飽和するため、上限をいずれも
2.0 %とする。
【0023】V:1.0 %以下、Zr:1.0 %以下、Ti:1.
0 %以下 V、ZrおおよびTiは、炭化物、窒化物を形成し、高温域
での軟質化を抑制する作用を有している。しかし、過剰
に添加すると粗大な炭化物、窒化物を形成し、靱性を低
下させるので、いずれも上限を1.0 %とする。
【0024】Al:2.0 %以下 Alは、製鋼工程での脱酸効果のほか、耐酸化性、耐食性
を向上させる効果を有しているが、過剰に添加すると A
lO系介在物が増えて、靱性を低下させる。よって、
その上限を2.0 %とする。
【0025】本発明鋼板は、上記成分を含有するクロム
系ステンレス鋼スラブを、熱間圧延し、得られた熱延鋼
板をフェライト単相の組織としてから、圧下率15〜7
0%で冷間圧延することにより、ヴィッカース硬さ(H
v)を 250〜300 に調整することにより製造される。ま
ず、熱間圧延の条件については、特に制限する必要はな
く、通常実施される範囲でよい。すなわち、スラブ加熱
温度は1000〜1300℃、熱延終了温度は650 〜1050℃、巻
き取り温度は500 〜800 ℃が標準的な条件である。
【0026】熱間圧延して得られた熱延鋼板は、冷間圧
延の前にフェライト単相の組織としておく必要がある。
熱延鋼板がマルテンサイト相を少しでも含む場合(おお
むね熱延鋼板のHv硬さで200 以上の場合)には、硬さ
が板内で不均一となりそのままでの使用性能が十分でな
く、また延性が不十分なために冷間圧延が困難であるか
らである。このため、本発明では、熱延鋼板にマルテン
サイト相が出現した場合には、この鋼板をいったん焼鈍
することにより、フェライト単相の組織とする。熱延鋼
板にマルテンサイト相が存在しないときには焼鈍を省略
してもよい。なお、熱延鋼板にマルテンサイト相が存在
しない場合でも、熱延鋼板の長手方向における再結晶状
態が大きく変動するようなときには、冷間圧延に先立っ
て焼鈍することは、より均質な製品を得る上で望まし
い。こうした熱延鋼板の焼鈍条件としては、650 〜1100
℃の温度で1分〜10時間の範囲が好適である。
【0027】このようにして、必要に応じて熱間圧延後
に焼鈍を行って、熱延鋼板の組織をフェライト単相とし
たのち、酸洗し、冷間圧延することにより硬さを適正な
範囲になるように調整して加工フェライト組織の製品と
する。冷間圧延後の鋼板硬さの範囲は、ディスクブレー
キの耐磨耗性を確保するためにヴィッカース硬さ(H
v)で 250以上は必要である。しかし、過度に硬質にす
ると、研削、研磨工程の負荷を高めるばかりでなく、打
抜き金型の寿命に悪影響を与えるので、Hv:300 を上
限とする。
【0028】本発明では、上記範囲の硬さを、冷間圧延
により加工歪みを導入し、加工フェライト組織とするこ
とによって達成する。その際、冷間圧延の圧下率が低過
ぎると、適正な硬さが得られないだけでなく、硬さのば
らつきが大きく品質が安定しなくなる。さらに、板厚方
向表層部の硬さが優先的に上昇して、板厚方向の歪みが
不均一となり反りを生じてしまう。このようなことを考
慮して、冷間圧延の圧下率は15%以上とする。また、
圧下率の上限は通常の冷間圧延設備の能力を想定して70
%とする。
【0029】上述した冷延圧下率を定める根拠となる実
験結果について説明する。連続鋳造設備を用いて製造し
た、表2に示す成分のステンレス鋼スラブを、1150℃に
再加熱し、熱延終了温度を880 ℃(鋼C)、 790℃(鋼
D)とした熱間圧延により板厚5mmの熱延鋼板とし
た。次いで、鋼Cは連続式焼鈍炉により1100℃×1分の
焼鈍を施し、また鋼Dは750 ℃×8時間の箱焼鈍を実施
して、フェライト単相組織とし、酸洗によりスケール除
去した。この熱延鋼板を、さらに実験室圧延機により冷
間圧延し、冷延圧下率と硬さの関係を調査した。その結
果を図2に示す。図2からわかるように、圧下率15%
に満たない冷間圧延では板厚中心の硬さが表面のそれよ
り低く、また圧下率に対する硬さの変化が急峻なために
安定した品質の製品を得るための圧下率の許容範囲が狭
く製造上の管理が困難となる。したがって、冷間圧延し
た鋼板の表層、板厚中心とも均一な硬さで、ばらつきが
少なく、ディスクブレーキ用に適した材料を得るには、
冷延圧下率を15%以上とすることが必要である。
【0030】
【表2】
【0031】
【実施例】連続鋳造設備を用いて、表3に示す成分のス
テンレス鋼スラブを製造し、これを表4に示す各温度で
スラブ加熱、熱延終了、巻取りし、板厚6mmの熱延鋼
板とした。この熱延鋼板をそのまま、または焼鈍したの
ち、酸洗して脱スケールして各圧下率で冷間圧延した。
得られた鋼板について、表面と板厚中心のヴィッカース
硬さを測定した。また、硬さは冷間圧延後だけでなく、
500 〜700 ℃の温度で1時間保持した後でも測定した。
これらの製造条件と得られた硬さの測定結果を表4に併
せて示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】以上の表から、発明例はすべて、表面、板
厚中心とも、Hv=250 〜300 の適正範囲にあることが
わかる。また、所定量のNbを添加した発明例は、700 ℃
に1時間保持しても、板厚中心の硬さが低下することな
くHv:250 以上の良好な値を維持しており、ブレーキ
使用時の昇温による品質劣化が小さいことがわかる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
焼入れ処理を施すことなく、表面、板厚中心ともHv=
250 〜300 の硬さ範囲を達成することが可能となる。ま
た、特にNbを適正量添加することにより、使用時の昇温
が大きくても硬さの低下が少ない、安定した硬さを維持
した鋼板を提供できる。したがって、本発明によれば、
Hv=250 〜300 の範囲で安定した硬さを有し、製造時
に焼入れ不要な二輪車ディスクブレーキ用ステンレス鋼
板を安価に提供することが可能になる。
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】昇温によるヴィッカース硬さの変化に及ぼすNb
含有量の影響を示すグラフである。
【図2】冷延圧下率とヴィッカース硬さとの関係を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 65/12 F16D 65/12 E (72)発明者 宮崎 淳 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 3J058 CB11 EA04 EA17 EA37 FA02 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA10 EA12 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA27 EA28 EA31 EA32 EA35 EB07 EB13 FA02 FA03 FC02 FC03 FC04 FC05 FE01 FE02 FE03 FF02 FF03 FG01 FH01 FJ07 JA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、 C:0.1 %以下、 N:0.1 %以下、 Cr:10.0〜20.0% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼組
    成であるとともに、金属組織が加工フェライト組織であ
    り、ヴィッカース硬さ(Hv)が 250〜300 であること
    を特徴とする、焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用
    ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】質量%で、 C:0.1 %以下、 N:0.1 %以下、 Cr:10.0〜20.0%、 Nb:0.05〜1.0 % を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼組
    成であるとともに、金属組織が加工フェライト組織であ
    り、ヴィッカース硬さ(Hv)が 250〜300 であること
    を特徴とする、焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用
    ステンレス鋼板。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の鋼板において、
    上記成分に加えてさらに、下記a〜fのグループから選
    ばれる少なくとも1種または2種以上を含有し、残部は
    Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成であるととも
    に、金属組織が加工フェライト組織であり、ヴィッカー
    ス硬さ(Hv)が 250〜300 であることを特徴とする、
    焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステンレス鋼
    板。 記 a…Si:1.5 %以下、 b…Mn:2.5 %以下、 c…Ni:2.0 %以下、Co:1.0 %以下、B:0.005 %以
    下 d…Cu:2.0 %以下、Mo:2.0 %以下 e…V:1.0 %以下、Zr:1.0 %以下、Ti:1.0 %以下 f…Al:2.0 %以下
  4. 【請求項4】質量%で、 C:0.1 %以下、 N:0.1 %以下、 Cr:10.0〜20.0% を含有するクロム系ステンレス鋼スラブを、熱間圧延
    し、得られた熱延鋼板をフェライト単相の組織としてか
    ら、圧下率15〜70%で冷間圧延することにより、ヴ
    ィッカース硬さ(Hv)を 250〜300 とすることを特徴
    とする、焼入れ不要の二輪車ディスクブレーキ用ステン
    レス鋼板の製造方法。
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