JP2001262259A - 高耐食性ジルコニウム合金、原子炉炉心用構造材およびその製造方法 - Google Patents
高耐食性ジルコニウム合金、原子炉炉心用構造材およびその製造方法Info
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- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
Abstract
の耐食性および機械的な性質を向上させることを目的と
する。 【解決手段】 錫、鉄、ニッケルおよびクロムなどの金
属間化合物を形成する析出成分を所定量含有するジルコ
ニウム合金をβ処理する再に、β急冷時の冷媒に液体ナ
トリウムを使用し、冷却速度を早めることで、ジルコニ
ウム合金の表面および内部の結晶粒径を小さくすること
が可能になり、ひいてはジルコニウム合金の耐食性、お
よび機械的な性質を向上させることが可能になる。
Description
ウム合金、原子炉炉心用構造材およびその製造方法に関
する。
管などで使用されている合金は、ジルカロイ−2(S
n:1.20〜1.70wt%、Fe:0.07〜0.
20wt%、Cr:0.05〜0.15wt%、Ni:
0.03〜0.08wt%、O:900〜1400pp
m、残部Zr)、およびジルカロイ−4(Sn:1.2
0〜1.70wt%、Fe:0.18〜0.24wt
%、Ni:0.007wt%以下、O:900〜140
0ppm、残部Zr)である。
には、燃料被覆管、スペーサ、チャネルボックス等のジ
ルコニウム合金からなる炉心用構造材の耐食性をより一
層向上させる必要がある。そのために、最近では、ジル
カロイの合金添加物としての鉄、ニッケル、クロムの量
を増加したジルコニウムの合金が考案されている。
中で高い耐食性を有している。現在これらの合金に更に
高い耐食性を付与するために、工程途中でこの合金がβ
相になる温度まで加熱し、さらに水焼入れによる急冷処
理を施し(β処理)、Zr(Cr,Fe)2、Zr2(N
i,Fe)相などの金属間化合物相を分布させて使用し
ている。
時間使用することが望まれている。現在は燃料被覆管な
どの原子炉炉心用構造材の耐食性に起因して、UO2ペ
レットが十分使用可能な時点で燃料の使用を中止してお
り、燃料経済面での問題がある。
している燃料棒を8年間使用することができれば燃料経
済だけでなく、廃棄物量低減の面においても利点があ
る。
造材の耐食性をより高くすることが強く望まれている。
の炉心用構造材においては、一層の高耐食性が求められ
ている。
りいっそう向上させること、さらにはその機械的な性質
を向上させることを目的とする。
ウム合金は、錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム
0.05〜1.2wt%を析出成分元素として含み、残
部が実質的にジルコニウムからなる高耐食性ジルコニウ
ム合金であって、結晶粒度がASTM No.13以上
で、肉厚方向にジルコニウム結晶粒径および前記析出成
分の粒径が均一であることを特徴とする。
〜2wt%、鉄0.07〜0.7wt%、ニッケル0.
16wt%以下、およびクロム0.05〜1.2wt%
を析出成分として含み、残部が実質的にジルコニウムか
らなる原子炉炉心用構造材であって、結晶粒度がAST
M No.13以上で、肉厚方向にジルコニウム結晶粒
径および前記析出成分の粒径が均一であることを特徴と
する。
方法は、錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7wt
%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム0.0
5〜1.2wt%からなる析出成分と、ジルコニウムと
からなる合金を所望の形状に加工する工程と、加工され
た前記合金をβ相温度にまで加熱する加熱工程と、加熱
された前記合金を液体ナトリウムを接触させて急冷する
急冷工程とを有することを特徴とする。
は、錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7wt%、
ニッケル0.16wt%以下、およびクロム0.05〜
1.2wt%からなる析出成分と、ジルコニウムとから
なる合金を所望の形状に加工する工程と、加工された前
記合金をβ相温度にまで加熱する加熱工程と、加熱され
た前記合金を液体ナトリウムを接触させて急冷する急冷
工程とを有することを特徴とする。
晶粒径および、この合金中に析出される金属間化合物の
粒径を肉厚方向に対して均一化すると共に、その結晶粒
および金属間化合物の粒径を小さくすることで、ジルコ
ニウム合金の耐食性および機械的な性質をより向上させ
るものである。
インゴットから、通常、外径146mmφ、内径44m
mφ、長さ450mm程度の大きさのビレットを作成し
た、前述したように従来はジルコニウム合金からなるビ
レットを水焼き入れによりβ処理を行っていた。
ルコニウム合金を分析したところ、合金の肉厚方向で、
合金の結晶粒や、合金中に析出される金属間化合物の粒
径に勾配が見られ、合金内部において合金の結晶粒や金
属間化合物の粒径が大きくなっていることを確認した。
用いる冷媒として、水に代えて液体ナトリウムを用いる
と、合金の結晶粒、および合金中に析出される金属間化
合物の粒径が小さく、かつ膜厚方向に均一となることが
分かり、さらにこのジルコニウム合金の耐食性を調べた
ところ、合金の耐食性および機械的な性質が著しく向上
することを確認し本発明に至った。
成について説明する。
カロイ2あるいはジルカロイ4に限られず、錫0.3〜
2wt%、鉄0.07〜0.7wt%、ニッケル0.1
6wt%以下、およびクロム0.05〜1.2wt%を
含み、残部が実質的にジルコニウムを用いることができ
る。
元素であり、合金中にZr(Cr,Fe)2、Zr2(N
i,Fe)などの金属間化合物相を析出するなどして、
ジルコニウム合金の耐食性を高めており、その添加量が
前述の範囲から外れると、ジルコニウム合金の水蒸気に
よる腐蝕に対する耐食性を十分に高めることができなく
なる。
て、析出された金属間化合物の粒径を150nm以下と
することで、ジルコニウム合金の耐食性をより向上させ
ることが可能になる。
から内部へと進行するため、金属間化合物の粒径が肉厚
方向に向けて傾斜的に大きくなる合金は、腐蝕が合金の
肉厚方向に進むにしたがって、その腐蝕速度が加速され
る。本発明のジルコニウム合金は、金属間化合物の結晶
粒径が膜厚方向に均一とすることで、合金の腐蝕速度が
加速されること無く、耐食性を向上させることができ
る。
ため、原子炉炉心用構造材として用いた際に、寿命予測
を行うことが容易になるという利点もある。
結晶粒サイズが膜厚方向において均一であり、かつ結晶
粒度がJIS規格のASTM No.13以上、すなわ
ち、より微結晶とすることで、機械的な性質をより高め
ている。
径は厳密に均一である必要はなく、結晶粒サイズをAS
TM粒度番号で示す時、合金表面と内部との差が1以
内、合金表面と内部とに析出される金属間化合物の平均
粒径の差が10nm以内であれば実質的に均一であると
言え、その効果は十分に得られる。
原子炉炉心用構造材の製造方法、すなわち結晶粒径およ
び金属間化合物の粒径が、小さく、かつ肉厚方向に均一
なジルコニウム合金製の原子炉炉心用構造材の製造方法
を説明する。
り、合金成分である、ジルコニウムと、前述した所定の
範囲となる、析出成分である錫、鉄、クロム、ニッケル
を準備する。
ニウム合金を得る。ジルコニウム合金の均一性を高める
ために、再度、あるいは再々度アーク溶解してインゴッ
トを得る。例えば、ここで得られるインゴットの径は6
00〜690mm程度にする。
温に加熱した後、熱間鍛造し、切断、表面削り、穴あけ
などの加工を施し小型ビレットを製造する。
小型ビレットをβ相温度(約1000℃以上の温度)に
過熱した後に急冷する。これはβ処理あるいはβ焼き入
れと呼ぶ溶体化処理工程で、金属間化合物を微細分化さ
せたり、結晶粒径を小さくするものであり、このβ処理
における急冷速度を早めることで、金属間化合物やジル
コニウムの結晶粒径を小さくすることが可能となる。
体ナトリウムを使用することを特徴とするものであり、
液体ナトリウム中にジルコニウム合金よりなるビレット
を投入するなどして、両者を接触させることで、冷却速
度を速めることが可能になる。
ジルコニウム合金を急冷できる理由は、液体ナトリウム
の次の三つの特性による。
℃と高いことにある。高温のジルコニウム合金が液体ナ
トリウム中に投入されたとき、沸点の高いナトリウムは
ジルコニウム合金の周りで沸騰せず、したがってジルコ
ニウム合金表面に蒸気膜が出来ない。そのためにジルコ
ニウム合金から液体ナトリウムヘの熱の伝達が極めて良
くすることができ、ひいては、ジルコニウム合金内部に
いたるまで十分な速度で急冷を行うことが可能になる。
ルコニウムが水に投入された時、水の沸点は100℃で
あるためジルコニウム合金の周りで水が沸騰して蒸気膜
を形成し、熱の伝達を妨げ冷劫が速やかには行われなく
なる。
の熱伝導率に比べ高いことにある。そのため熱の拡散が
速く、冷媒としてのナトリウムの温度は均一となるた
め、十分な速度でジルコニウム合金内部まで急冷するこ
とが可能になる。
と合金を作り難い材料であるためであり、そのため、製
造される合金の組成を変化させること無くジルコニウム
合金を得ることができる。
媒として用いた焼き入れは、水を冷媒とした焼き入れよ
りも金属内部まで急冷することが可能なため、均一かつ
結晶粒径の小さな本発明のジルコニウム合金を得ること
が可能になる。
ウムで冷却されたビレットを600〜700℃程度に加
熱し熱間押出しを行い、押出し素管とする。素管の寸法
は、例えば燃料被覆管として規格化された、外径63.
5mm、肉厚10.9mmに設定する。
繰り返すことで原子炉用構造材である燃料被覆管を形成
することができる。
%、クロム1.0%含有し、残部が実質的にジルコニウ
ムからなるジルコニウム合金製の燃料被覆管を製造し
た。
ニウム合金の結晶粒度及び合金中に析出された金属間化
合物の粒径を測定したところ、結晶粒度はASTM粒度
番号が15であり、析出された金属間化合物の平均粒径
は約100nmであった。さらに得られた燃料被覆管を
切断し、切断面の結晶粒径を測定したところ、ジルコニ
ウムのASTM粒度番号は15、金属間化合物の平均粒
径は約100nmであり、肉厚方向の結晶粒径が均一で
あることが確認された。
したところ、常温での引張り強さは57.3kg/mm
2、伸び38.2%と高い値を示した。
水蒸気試験を行ったところ、腐蝕増量はわずかに25m
g/dm2であった。
して水を使用したことを除き、全く同様にして燃料被覆
管を作成した。
金の結晶粒度および合金中に析出された金属間化合物の
粒径を測定したところ、ジルコニウムはASTM粒度番
号が11.5であり、析出された金属間化合物の平均粒
径は約200nmであった。さらに得られた燃料被覆管
を切断し、切断面の結晶粒径を測定したところ、結晶粒
径は肉厚方向に勾配を持っており、肉厚方向の略中心部
でのジルコニウム合金のASTM粒度番号は12、金属
間化合物の平均粒径は約230nmであった。
厚方向で小さくなっており(結晶粒サイズは大きくなっ
ており)、金属間化合物の平均粒径も肉厚方向で大きく
なっていた。
ところ、常温での引張強さは53.8kg/mm2、伸
び34.2%であり、本発明の液体ナトリウムを用いて
β処理を施した燃料被覆管の機械的な性質が向上してい
ることが分かる。
水蒸気試験を行ったところ、腐蝕増量は1825mg/
dm2であり、本発明の燃料被覆管の腐蝕量が従来のも
のに比べ約1/70程度に軽減されていることが分か
る。
な性質が良好で、且つ耐食性の良好なジルコニウム合金
とそれで形成した原子炉炉心構造材を得ることが出来
る。
は原子炉炉心用構造材は、肉厚方向のジルコニウムおよ
び金属間化合物の粒径が均一であるため、長期間の使用
によりたとえ表面層が腐蝕しても、肉厚方向に腐蝕速度
(酸化速度)が一定であるため、長時間の使用による腐
蝕量を予測することができる。
管を例示して説明したが、本発明の原子炉炉心用構造材
は、燃料被覆管に限らず燃料被覆管を固定するスペーサ
や燃料被覆管を収納するチャネルボックスなど他の構造
材に使用することも可能である。
性、および機械的な性質の高いジルコニウム合金、ある
いは原子炉炉心用構造材を得ることが可能になる。
Claims (4)
- 【請求項1】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム
0.05〜1.2wt%を析出成分元素として含み、残
部が実質的にジルコニウムからなる高耐食性ジルコニウ
ム合金であって、 結晶粒度がASTM No.13以上、前記析出成分元
素を含む金属間化合物の粒径が150nm以下であり、
前記結晶粒度および前記金属間化合物の粒径が、肉厚方
向に均一であることを特徴とする高耐食性ジルコニウム
合金。 - 【請求項2】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム
0.05〜1.2wt%を析出成分元素として含み、残
部が実質的にジルコニウムからなる原子炉炉心用構造材
において、 結晶粒度がASTM No.13以上、前記析出成分元
素を含む金属間化合物の粒径が150nm以下であり、
前記結晶粒度および前記金属間化合物の粒径が肉厚方向
に均一であることを特徴とする原子炉炉心用構造材。 - 【請求項3】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム
0.05〜1.2wt%からなる析出成分元素と、ジル
コニウムとからなる合金を所望の形状に加工する工程
と、 加工された前記合金の結晶状態がβ相になる温度にまで
加熱する加熱工程と、 加熱された前記合金に液体ナトリウムを接触させる急冷
工程とを有することを特徴とする高耐食性ジルコニウム
合金の製造方法。 - 【請求項4】錫0.3〜2wt%、鉄0.07〜0.7
wt%、ニッケル0.16wt%以下、およびクロム
0.05〜1.2wt%からなる析出成分元素と、ジル
コニウムとからなる合金を所望の形状に加工する工程
と、 加工された前記合金をβ相温度にまで加熱する加熱工程
と、 加熱された前記合金に液体ナトリウムを接触させる急冷
工程とを有することを特徴とする原子炉炉心用構造材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000077206A JP3692006B2 (ja) | 2000-03-17 | 2000-03-17 | 高耐食性ジルコニウム合金、原子炉炉心用構造材およびその製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1413641A1 (en) * | 2002-10-22 | 2004-04-28 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Method and apparatus for heat treating nonferrous alloys using liquid sodium |
JP2008026182A (ja) * | 2006-07-21 | 2008-02-07 | Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd | 高燃焼度用燃料被覆管およびその製造方法 |
JP2009092620A (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-30 | Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd | ジルコニウム基合金並びにこれを用いた水冷却型原子炉用燃料集合体およびチャンネルボックス |
US8989339B2 (en) | 2010-11-08 | 2015-03-24 | Hitachi, Ltd. | Zirconium alloy material |
-
2000
- 2000-03-17 JP JP2000077206A patent/JP3692006B2/ja not_active Expired - Fee Related
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