JP2001261845A - ハイドロゲル微粒子 - Google Patents

ハイドロゲル微粒子

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JP2001261845A JP2000070649A JP2000070649A JP2001261845A JP 2001261845 A JP2001261845 A JP 2001261845A JP 2000070649 A JP2000070649 A JP 2000070649A JP 2000070649 A JP2000070649 A JP 2000070649A JP 2001261845 A JP2001261845 A JP 2001261845A
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water
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English (en)
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Toshifumi Shiratani
俊史 白谷
Kimiya Takeshita
公也 竹下
Kanji Shimizu
完二 清水
Munehiro Sakamoto
宗寛 坂本
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン性基を有する水溶性化合物を大量に担
持し、且つ、分散安定性に優れた微粒子を提供する。 【解決手段】 イオン性ポリマーからなる芯部と、該芯
部の周囲に形成された温度応答性ポリマーのゲルからな
る殻層を有する微粒子に、芯部のイオン性ポリマーと反
対の電荷を持つ化合物を内包させてなるハイドロゲル微
粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン性官能基を
有する芯部と水溶性高分子のゲル層からなる複合微粒子
に芯部と反対電荷のイオン性官能基を有する水溶性化合
物を含有する微粒子に関する。詳しくは、水溶性高分子
ゲルのマイクロカプセル内に、イオン性基を有する水溶
性化合物を内包させた微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】置換(メタ)アクリルアミド等のポリマ
ーは、水の存在下、低温度で水和して膨潤するが、温度
を上げると脱水和して収縮する性質を有するため温度応
答性樹脂として知られている。温度応答性樹脂の微粒子
には、温度応答性樹脂の単一層からなる粒子、コア粒子
と温度応答性樹脂の殻からなるコアシェル型粒子が知ら
れている。また、藤本、川口等は、温度応答性樹脂の微
粒子は高温では水和層の収縮とその表面の疎水化のため
著しく分散安定性が低下するが、コアに電荷を持つ温度
応答性樹脂微粒子は、コアに電荷を持たない温度応答性
樹脂微粒子に比し分散安定性が高いことを報告している
(第10回高分子ゲル研究討論会,p11)。近年、係る温
度応答性樹脂の性質を利用し薬剤、食品、染料等をマイ
クロカプセル化する技術が開発されている。即ち、温度
応答性樹脂のハイドロゲル微粒子を、ある温度(下限臨
界共溶温度「LCST」という)以下の温度で膨潤さ
せ、水溶性染料や薬物などの水溶性化合物をハイドロゲ
ル微粒子内に拡散させ、その後、LCST以上の温度に
昇温してハイドロゲル微粒子を収縮させて水溶性化合物
をハイドロゲル微粒子に内包させる技術である。例え
ば、特開平7-228639には、温度応答性高分子を架橋して
なる構造体部(殻)と無機高分子からなる構造体部
(芯)とが共有結合により一体化した温度応答型ハイド
ロゲルが提案され、係るハイドロゲルに薬剤等を内包さ
せ、温度変化に応答した薬剤の放出制御システム(DD
S)に利用することが開示されている。また特開平6−
296856には、エチルアクリレート/メチルメタク
リレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートのコポ
リマーを芯とし、感温性水溶性高分子を殻とする温度応
答性活性成分放出制御マイクロカプセルの皮膜材料とし
て有用なラテックスが提案されている。
【0003】これらの材料を皮膜材料として水溶性化合
物を内包させたハイドロゲル微粒子は、LCST以下の
温度ではハイドロゲル微粒子に内包された水溶性化合物
が拡散によってハイドロゲル微粒子外に放出されるの
で、温度制御により薬剤放出を制御することが出来る。
しかし、所望の成分の酸化や分解を防止するためにマイ
クロカプセル化する場合等では、LCST以下の温度で
ハイドロゲル微粒子に内包された水溶性化合物が拡散に
よってハイドロゲル微粒子外に放出されることは成分の
損失となり望ましくない。一方、イオン性基を有する水
溶性化合物や水溶性染料を微粒子に坦持させる際には、
該水溶性化合物、水溶性染料と反対の電荷を有するイオ
ン性基を微粒子に導入し、静電的な結合力によって坦持
させる方法が広く用いられている。この方法は、強固な
静電力によって水溶性化合物が粒子に固定されているた
め、上記ハイドロゲル内に物理的に水溶性化合物を閉じ
込めた場合のような拡散による水溶性化合物の流失は少
ない。しかし、水溶性化合物、特に水溶性染料等を大量
に微粒子に坦持させる場合、微粒子の分散安定性が損な
われ、微粒子が凝集する場合が多い。そのため、この方
法は簡便ではあるが、水溶性化合物を大量に微粒子に坦
持させたい場合には適当ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事情に鑑
みなされたものであって、イオン性基を有する水溶性化
合物を大量に担持することが出来、且つ、分散安定性に
優れた微粒子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題の解決手段】本発明者らは、イオン性基を有する
水溶性化合物を大量に坦持した場合に分散安定性が損な
われるのは、分散安定性に大きく寄与している微粒子表
面のイオン性基が水溶性化合物によって電気的に中和さ
れるためと考え、微粒子の分散安定性をこのような電気
的効果ではなく、高分子鎖の立体的な反発によって達成
すれば、上記課題を解決しうることを着想し、本発明を
達成した。即ち本発明の要旨は、イオン性ポリマーから
なる芯部と、該芯部の周囲に形成された温度応答性ポリ
マーのゲルからなる殻層を有する微粒子に、芯部のイオ
ン性ポリマーと反対の電荷を持つ化合物を内包させてな
るハイドロゲル微粒子に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のハイドロゲル微粒子を形
成するイオン性ポリマーからなる芯部と温度応答性ポリ
マーのゲルからなる殻層を有する微粒子の製法は特に限
定されるものではないが、例えば、以下の(1)又は
(2)の方法で製造することが出来る。 (1)最初に分子内にエポキシ基等の官能基を有するモ
ノマーからなる芯部微粒子を製造し、芯部微粒子の周囲
に温度応答性ポリマーゲルの殻層を形成した後に、エポ
キシ基等の官能基を改質してイオン性基を導入する方
法。 (2)最初に電荷を有するモノマーを用いて芯部微粒子
を製造し、芯部粒子の周囲に温度応答性ポリマーゲルの
殻層を形成する方法。
【0007】(1)の方法では、芯部微粒子をグリシジ
ルメタクリレート、グリシジルアクリレート等の単独重
合体、グリシジル(メタ)アクリレートとN−置換(メ
タ)アクリルアミド誘導体との共重合体、グリシジル
(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル系モノマーと
の共重合体、グリシジル(メタ)アクリレートと共重合
可能な他のモノマーとの共重合体で製造することが好ま
しい。芯部のエポキシ基等の官能基の改質は公知の方法
が採用され、殻を形成後イオン性基が導入できる方法で
あれば特に限定されるものではない。例えば、エポキシ
基にイオン性基を導入する場合、具体的には、システア
ミン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-メ
ルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトピ
リミジン等のチオール化合物、エチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヒドラジ
ン等のジアミンを用いる方法を挙げることができる。
【0008】(2)の方法では、酸性もしくは塩基性化
合物からなるモノマーの重合、或いは電荷を有する開始
剤を用いてモノマーを重合することにより、イオン性基
を有する芯部微粒子を製造する方法が挙げられる。酸性
もしくは塩基性化合物からなるモノマーの例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アリル
スルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン
酸、2-アクリルアミド-2-フェニルプロパンスルホン
酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等
の酸及びそれらの塩、アミノスチレン及びその4級塩、
ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環
含有モノマー、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジ
メチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド等のアミン及びそれらの
塩を挙げることができる。芯部微粒子はこれらの酸性又
は塩基性モノマーの単独重合或いはこれらのモノマーと
電荷を持たないモノマーとの共重合により製造される。
電荷を持たないモノマーの例としては、スチレン、メチ
ルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のス
チレン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アク
リル酸プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル等を挙
げることができる。なお、本明細書において、「(メ
タ)アクリル」はアクリル及び、又はメタクリルを意味
する。電荷を有する開始剤の例としては、例えば過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2'-ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、アゾビスシア
ノ吉草酸等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。
【0009】これらのモノマーの重合方法は公知の任意
の方法が使用出来るが、粒状重合体の製造に適したソー
プフリー乳化重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、逆
相懸濁重合、マイクロエマルション重合等が好ましい。
重合反応に使用される重合開始剤は通常の水溶性開始剤
を使用できる。水溶性開始剤としては、例えば過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2'-アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスシア
ノ吉草酸等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。さらに
は、レドックス系開始剤としては、例えば、有機ハイド
ロパーオキサイド系開始剤/アスコルビン酸、有機ハイ
ドロパーオキサイド系開始剤/鉄イオン、過硫酸塩/亜硫
酸塩、過酸化水素/鉄イオン等の組み合わせ等を挙げる
ことができる。グリシジルメタクリレートの様なエポキ
シ基を持つモノマーを使用する場合には、重合中の反応
液中のpHの低下によるエポキシ基の開環を防ぐために、
2,2'-アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を使
用することが特に望ましい。また、必要に応じてリン酸
塩や炭酸塩等を重合系のpH緩衝剤として使用できる。ま
た、重合物の分子量を調整する目的でドデシルメルカプ
タン等のラジカル連鎖移動剤を併用することができる。
重合温度はモノマーの組成および開始剤の種類によって
異なるが、約40〜90℃の範囲が適当である。また、重合
時間は同様にモノマー、開始剤、重合温度で異なるもの
であるが、一般に1〜10時間が適当である。
【0010】芯部粒子の周囲に温度応答性ポリマーゲル
からなる殻層を形成するには、芯部粒子を含有する媒体
中で、温度応答性を呈するモノマーを単独で重合する
か、或いは温度応答性モノマーと他のモノマーとを共重
合すればよい。温度応答性ポリマーを与えるモノマーと
しては、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニ
ルメチルエーテルのうち少なくとも1種を用いることが
好ましい。N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体とし
ては、例えば、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソ
プロピルメタクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミ
ド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-エチルアクリル
アミド、N-エチルメタクリルアミド、N-シクロプロピル
アクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、
N,N-ジエチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルアク
リルアミド、N-メチル-N-イソプロピルアクリルアミ
ド、N-メチル-N-n-プロピルアクリルアミド、N-アクリ
ロイルピペリジン等より選ばれる一種類又は二種類以上
が好ましく、特にN-イソプロピルアクリルアミドが好ま
しい。これらの温度応答性を呈するモノマーと共重合さ
せるモノマーとしては、親水性モノマー及び疎水性モノ
マーがあり、それら1種類以上のモノマーを使用するこ
とができる。この場合、共重合モノマーの種類と量を選
ぶことにより温度応答性樹脂のLCSTを調節可能であ
る。例えば、疎水性モノマーとの共重合によりLCST
を低温側へ、親水性モノマーとの共重合でLCSTを高
温側に移動させることが可能となる。
【0011】共重合可能な親水性モノマーとしては、例
えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピル
メタクリレート、N-ビニル-2-ピロリドン、各種メトキ
シポリエチレングリコールアクリレート、各種メトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート等のグループよ
り選ばれる一種又は二種以上が好ましい。また、疎水性
モノマーとしては、例えば、N-n-ブチルアクリルアミ
ド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-n-ヘキシルアクリル
アミド、N-t-オクチルアクリルアミド、N-n-オクチルア
クリルアミド、N-n-ドデシルアクリルアミド、N-n-ブチ
ルメタクリルアミド、N-t-ブチルメタクリルアミド、N-
n-ヘキシルメタクリルアミド、N-n-オクチルメタクリル
アミド、N-t-オクチルメタクリルアミド、N-n-ドデシル
メタクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミ
ド誘導体;N,N-ジグリシジルアクリルアミド、N-(4−
グリシドキシブチル)アクリルアミド、N-(5−グリシ
ドキシペンチル)アクリルアミド、N-(6−グリシドキ
シヘキシル)アクリルアミド、N,N-ジグリシジルメタク
リルアミド、N-(4−グリシドキシペンチル)メタクリ
ルアミド、N-(5−グリシドキシヘキシル)メタクリル
アミド等のN-(ωーグリシドキシアルキル)(メタ)ア
クリルアミド誘導体;エチルアクリレート、メチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート等の(メタ)アクリレート誘導体;アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類;
スチレン、αーメチルスチレン、ブタジエン、イソプレ
ン等のグループより選ばれる一種又は二種以上が好まし
い。
【0012】更に、本発明微粒子の芯部及び/又は殻層
は、架橋されていることが好ましい。架橋方法として
は、上記モノマーを重合して芯部、殻層を製造する際、
多官能性モノマーを共重合させる方法が好ましい。多官
能性モノマーとは、分子内に2個以上のラジカル重合可
能なエチレン性不飽和基を有するモノマーで、重合によ
って3次元架橋を形成する。多官能性モノマーとして
は、例えばN,N'-メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ジ
アリルアクリルアミド、N,N'-ジアクリロイルイミド、
トリアリルホルマール、ジアリルナフタリン、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、各種ポリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プ
ロピレングリコールジメタクリレート、各種プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリ
コールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタ
クリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレー
ト、各種プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、
ジビニルベンゼン等のジビニル化合物等が挙げられる。
好ましい架橋剤はビニル基、アクリロイル基、メタクリ
ロイル基から選ばれる官能基を合計で2個以上有する化
合物である。
【0013】これらのモノマーを重合或いは共重合する
方法としては、前記芯部粒子の重合の際と同様の重合
法、開始剤、添加剤、重合条件を用いることが出来る。
好ましくは、芯部の粒子をミニエマルション重合、マイ
クロエマルション重合、ソープフリー乳化重合、乳化重
合、分散重合、沈殿重合等で製造した後、所謂、シード
重合によって殻層を形成させる方法である。その中でも
ソープフリー乳化重合が好ましく、特にソープフリー乳
化重合により芯部粒子の重合及びシード重合を行うこと
が好ましい。なお、シード重合は、予じめ調製した種粒
子(シード)の存在下で、新たな粒子が形成されないよ
うにして、種粒子の上で新たに重合させる方法であり、
コア/シェル構造やミクロドメイン構造の粒子の製法と
して一般に知られた手段である。本発明微粒子の芯部粒
子の粒径は、10nm〜1000nmであることが好ま
しい。10nm未満の場合には、良好な温度応答性粒子
を合成できないおそれがある。一方1000nmよりも
大きい場合には、ハイドロゲル微粒子の分散安定性が悪
く、凝集や沈降等の不具合を生じるおそれがある。好ま
しくは、下限が20nm、上限が800nm、また、一
層好ましくは、下限が30nm、上限が400nmであ
る。芯部粒子の周囲に形成される殻層の厚さは、溶液中
で膨潤した状態で10nm〜1000nmであることが
望ましい。10nm未満の場合には、良好な安定性を微
粒子に与えられないおそれがある。一方1000nmよ
りも大きい場合にはハイドロゲル微粒子の凝集や沈降等
の不具合を生じるおそれがある。好ましくは下限が20
nm、上限が800nmである。一層好ましくは下限が
30nm、上限が400nmである。また、本発明の微
粒子が有する官能基量は、殻層が膨潤した状態で0.1
〜35個/nm2であることが望ましい。好ましくは
0.5〜30個/nm2、より好ましくは1〜25個/
nm2である
【0014】このようにして得られた微粒子は温度応答
性を有し(該微粒子を温度応答性微粒子と称す)、水性
溶液中、LCST以上の温度で収縮し、LCST以下の
温度で膨潤する。本発明は係る性質を利用して下記方法
により、この微粒子に、芯部のイオン性ポリマーと反対
の電荷を持つ化合物を内包させる。即ち、温度応答性微
粒子を水性媒体中に分散させ、これに内包させる化合物
を添加し、溶液の温度をLCST以上に昇温して、温度
応答性ゲル微粒子の殻層を収縮させると、芯部の電荷が
表面に現れる。内包させる反対電荷を有する化合物と、
この表面電荷がイオン対を形成することで温度応答性ゲ
ル微粒子の芯部に吸着させる。この際、多量の反対電荷
の化合物を吸着させると、温度応答性ゲル微粒子の芯部
の電荷が化合物の電荷で打ち消され、温度応答性ゲル微
粒子の分散安定性は低下し凝集する。しかし、再度、溶
液の温度を殻層のLCST以下に下げて殻層を膨潤させ
ると、立体反発力により温度応答性ゲル微粒子は再分散
する。それと同時に、反対電荷の化合物は粒子内部に内
包され、温度応答性ゲル微粒子によるカプセル化が容易
に行われることとなる。温度応答性ゲル微粒子に内包可
能な反対電荷の化合物としては、染料(色素)、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、医薬、農薬等のイオン性の水溶性
化合物であれば特に限定されない。
【0015】染料の例としては、直接染料、酸性染料、
塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、
バット染料、可溶性建染染料、硫化染料、酸化染料、ア
ゾイック染料、アゾ色素、アントラキノン色素、フタロ
シアニン色素、インジゴイド色素、キサンテン色素、ト
リフェニルメタン色素、アジン色素、蛍光増白染料等が
挙げられる。カラーインデックスの分類では、酸性染
料、直接染料及び食用染料が好適である。かくして得ら
れる本発明のハイドロゲル微粒子は、多量のイオン性の
水溶性化合物を容易に粒子内に内包することが出来、し
かも内包されたイオン性の水溶性化合物は、芯部粒子と
イオン対を形成して結合しているので、LCST以下の
温度においても拡散による流出は殆どない。一方、本発
明のハイドロゲル微粒子は、多量の水溶性化合物を内包
していても、LCST以下の温度においては、殻層が十
分水和、膨潤して安定な分散体を形成することが出来
る。従って、例えば水溶性色素を内包させたハイドロゲ
ル微粒子の分散体を、各種記録方法に用いるインクに使
用することが出来る。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に制約されるものではない。 製造例1 <温度応答性ゲル粒子の製造>N-イソプロピルアクリル
アミド0.2gとグリシジルメタクリレート2.2gとメチレン
ビスアクリルアミド0.04gを純水100gに溶解した溶液を4
つ口フラスコに入れ、300rpmで攪拌しながら30分間、70
℃にて窒素置換を行った。これに10gの純水に溶解した
重合開始剤2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩
酸塩(和光純薬工業株式会社製)0.06gを加え、同温度
で2時間攪拌し、重合反応を行った。その後、ポリマー
分散液を15000rpm,15分の条件で遠心分離し、ゲル微粒
子を沈殿させた。上澄み液を捨て、純水での再分散を3
回繰り返してゲル粒子を洗浄した。このゲル粒子をシー
ド粒子として、さらに温度応答性殻層の重合を行った。
上記シード粒子2.0gとN-イソプロピルアクリルアミド0.
6gとメチレンビスアクリルアミド0.015gを純水100gに
溶解・分散した溶液を4つ口フラスコ中に入れ、300rpm
で攪拌しながら30分間、70℃にて窒素置換を行った。こ
れに10gの純水に溶解した重合開始剤 2,2'-アゾビス
(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会
社製)0.011gを加え、6時間重合を行った。その後、ポ
リマー分散液を15000rpm,15分の条件で遠心分離を行
い、ゲル粒子を沈殿させた。上澄み液を捨て、純水でゲ
ル粒子を再分散させる操作を3回繰り返して温度応答性
ゲル微粒子を得た。得られた温度応答性ゲル微粒子0.1g
を100mlの純水中に分散させた溶液中に、システアミン
塩酸塩0.54gを添加し、1N NaOHで溶液のpHを9に調整し
た。スターラーで攪拌しながら約12時間反応させ、ハイ
ドロゲル微粒子のエポキシ基とシステアミンの反応によ
りカチオン基を導入した。反応後、ポリマー分散液を15
000rpm,15分間遠心分離し粒子を沈殿させた。上澄み液
を捨て、純水でゲル微粒子を再分散させる操作を3回繰
り返し洗浄を行った。最終的に温度応答性ゲル粒子を一
日透析することによって精製した。
【0017】実施例1 <赤色色素内包ハイドロゲル微
粒子> Acid Red 35(関西染料社製、アゾ染料)の1000ppmの溶
液 1.5mlに,乾燥重量5mgの製造例1で得られた温度応答
性ゲル微粒子を入れ、溶液の温度を温度応答性ゲル微粒
子の殻層のLCST以上の温度である50℃に昇温し1分
間攪拌した。この時ゲル微粒子は凝集したが、温度を室
温に下げ殻層を膨潤させるとゲル微粒子は再分散し、同
時にAcid Red 35はゲル微粒子内に取り込まれた。次い
で分散液を5000rpm,15分間遠心分離して微粒子を沈降さ
せ、これに1.5mlの純水を添加して再分散させて粒子を
洗浄した。温度応答性微粒子に取り込まれた色素量は、
仕込みの色素量から残存している色素量を差し引くこと
で求めた。上澄み中に残存している色素量と洗浄液中の
色素量は510nmの吸光度より決定した。かくして、温度
応答性ゲル微粒子5mgあたりAcid Red 35を1mg内包した
ハイドロゲル微粒子が得られた。
【0018】実施例2 <青色色素内包ハイドロゲル微
粒子> 青色色素としてDirect Blue-199(三菱化学製、シアン
染料)を用い、上記方法と同じ方法で青色色素を温度応
答性ゲル微粒子に導入した。取り込まれた色素量は上記
方法と同様に、上澄み中に残存している色素量と洗浄液
中の色素量を610nmの吸光度より求めることで決定し
た。ハイドロゲル微粒子5mgあたりDirect Blue-199は1.
2mg取り込まれた。
【0019】実施例3 <黄色色素内包ハイドロゲル微
粒子> 黄色色素としてDY-86(三菱化学製,、ジスアゾ染料)を
用い、上記方法と同様にして黄色色素を温度応答性ゲル
微粒子に導入した。取り込まれた色素量は上記方法と同
様に、上澄み中に残存している色素量と洗浄液中の色素
量を396nmの吸光度より求めることで決定した。ハイド
ロゲル微粒子5mgあたりDY-86は0.8mg取り込まれた。
【0020】比較例1 スチレン/ブチルアクリレート/トリメチルアミノエチ
ルメタクリレート・塩酸塩/蒸留水を21/12/3.
75/300(g)で含有する混合液に、2、2’ーア
ゾビス(2ーアミジノプロパン)二塩酸塩0.63gを
添加し、70℃にてソープフリー乳化重合してミクロス
フェアを得た。このミクロスフェア表面がカチオン性で
あることは電気泳動測定によって確認した。実施例1と
同様の方法で、このミクロスフェアに各色素の導入を試
みたが、色素をミクロスフェアに吸着させると同時にミ
クロスフェアは凝集した。その後、温度を室温に下げて
もミクロスフェアは分散せず、凝集したままであった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、色素等のイオン性水溶
性化合物を、粒子内部に多量に且つ強固に吸着し、安定
な分散性を示すハイドロゲル微粒子が得られる。従っ
て、本発明は、水溶性の色素その他各種の薬剤等を内包
したマイクロカプセルとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/00 110 C09K 3/00 110B C08L 33:26 C08L 33:26 (72)発明者 清水 完二 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 坂本 宗寛 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4F070 AA32 AA35 AC45 AE04 CA01 CA16 CB02 CB12 4G065 AB09X AB13X AB18X AB38X AB40X BA20 BB08 CA15 DA01 DA02 DA06 EA05 FA01 4J039 AD03 AD06 AD09 AD10 AD12 AD23 AE05 BD03 BE02 BE03 BE04 BE05 BE06 EA44

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン性ポリマーからなる芯部と、該芯
    部の周囲に形成された温度応答性ポリマーのゲルからな
    る殻層を有する微粒子に、芯部のイオン性ポリマーと反
    対の電荷を持つ化合物を内包させてなるハイドロゲル微
    粒子。
  2. 【請求項2】 殻層となる温度応答性ポリマーを構成す
    るモノマーが、N−置換アクリルアミド誘導体、N−置
    換メタクリルアミド誘導体及びビニルメチルエーテルか
    ら選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする
    請求項1記載のハイドロゲル微粒子。
  3. 【請求項3】 芯部のイオン性ポリマーと反対の電荷を
    有する化合物が水溶性染料であることを特徴とする請求
    項1又は2記載のハイドロゲル微粒子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のハイドロゲル微粒子を
    水に分散してなるハイドロゲル微粒子分散体。
  5. 【請求項5】 イオン性ポリマーからなる芯部と、該芯
    部の周囲に形成された温度応答性ポリマーのゲルからな
    る殻層を有する微粒子と、該微粒子の芯部のイオン性ポ
    リマーと反対の電荷を持つ化合物を含有する水性液の温
    度を、該温度応答性ポリマーの下限臨界共溶温度以上に
    昇温して、該微粒子の殻層を収縮させ、反対の電荷を持
    つ化合物を芯部ポリマーとイオン対を形成させて芯部に
    吸着させた後、下限臨界共溶温度以下に降温して殻層を
    膨潤させ、水溶性化合物を微粒子内に内包させることを
    特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のハイドロゲ
    ル微粒子の製造方法。
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