JP2001260221A - 溶接部が補正された溶接缶胴の製造方法及び装置 - Google Patents

溶接部が補正された溶接缶胴の製造方法及び装置

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JP2001260221A
JP2001260221A JP2000072324A JP2000072324A JP2001260221A JP 2001260221 A JP2001260221 A JP 2001260221A JP 2000072324 A JP2000072324 A JP 2000072324A JP 2000072324 A JP2000072324 A JP 2000072324A JP 2001260221 A JP2001260221 A JP 2001260221A
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tape
shaped resin
welding
resin
welded
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JP2000072324A
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English (en)
Inventor
Kenji Matsuno
建治 松野
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Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 段差部でのフランジ加工や巻締加工などに耐
える加工性、更には耐食性や、耐デント性に優れた溶接
部が補正された溶接缶胴の製造方法及び装置を提供する
にある。 【解決手段】 溶接部内面側と対向すべき部位の表面の
曲率半径Rが缶胴の曲率半径Rよりも小さい弾性体
を備えたマンドレルの弾性体上にテープ状樹脂を配置す
る配置工程と、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状樹脂
とが対面する位置関係でマンドレルに装着する装着工程
と、該装着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴
の溶接部及びその近傍を加熱する加熱工程と、テープ状
樹脂が配置された該弾性体と溶接缶胴との間を押圧状態
にして、溶接部に該テープ状樹脂を接着する接着工程と
を含むことを特徴とする溶接部が補正された溶接缶胴の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接缶胴の内面側
溶接部にテープ状の熱可塑性樹脂を接着して、溶接部を
補正する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】所謂スリーピース缶の継ぎ目の形成手段
として、溶接が広く使用されているが、この溶接缶胴の
内面側溶接部においては金属が露出しており、これを樹
脂等で被覆保護することが必要となる。
【0003】この溶接部の被覆保護(補正とも呼ぶ)の
目的で、ロールにてテープ状樹脂を溶接部に接着するこ
とも古くから知られており、例えば特開昭63−192
525号公報には、金属板から溶接によって溶接缶胴を
形成する溶接工程と、溶接缶胴の接合部にテープ状樹脂
を熱貼着する熱貼着工程と、熱貼着された該テープ状樹
脂を押圧した状態で加熱する加熱工程と、加熱されたテ
ープ状樹脂を冷却する冷却工程とを含み、該加熱工程に
おいてテープ状樹脂が押圧体によって複数回押圧される
ことを特徴とする溶接缶胴の溶接部の補正された溶接缶
胴の製造方法が記載されている。
【0004】また、特公昭63−51854号公報に
は、支持部材に回転可能に設置され、回転駆動される回
転部材と、該回転部材に設置され、補正用材料を保持す
る保持部材と、該回転部材に設置され、該保持部材に保
持された補正用材料を缶胴の溶接部に押し付ける押し付
け部材と、該回転部材に設置され、該押し付け部材によ
る押し付け力に対抗する力を加える対抗部材と、該支持
部材に設置され、該補正用材料の温度を調整する温度調
整装置とを具備することを特徴とする溶接部の補正され
た溶接缶胴の製造装置が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】公知の溶接部の補正方
法は、金属缶胴の溶接部を加熱し、テープ状樹脂を溶接
部に弾性体を介して押圧して接着を行うものであり、こ
の接着に際しては、樹脂を溶融、流動させて、溶接段差
凹部を埋め込むことが必要となる。
【0006】この溶接部の被覆に用いるテープ状樹脂
は、溶接部の金属面に優れた密着性を示すと共に、充填
される内容物の腐食性成分に対してバリアー性を示すも
のでなければならず、それと同時に、樹脂の熱接着の
際、溶接部の段差凹部内に流入してこの凹部を隙間なし
に充満し、しかも溶接部の肩部の部分では樹脂が溶融流
動により過度に薄肉化されることなしにカバレッジが確
保されるという一見相対立する要求をも満足するもので
なければならない。
【0007】従来の方法は、押圧バーがテープ状樹脂を
加熱された缶胴の溶接部及び溶接部段差凹部に接触さ
せ、その部位が流動化して段差凹部に樹脂が供給される
ことを期待するものであるが、押圧バーでテープ状樹脂
を缶胴の高さ方向に対して一時に押圧して接着する方法
では、段差凹部に空気が残存して段差部に隙間なしに樹
脂を充填することが困難となり、そのため、段差部での
フランジ加工や巻締加工などに耐える加工性、更には耐
食性や、耐デント性が不十分なものとなる。
【0008】ここで、耐デント性とは、缶詰製品を落下
して、或いは缶詰製品同士が相互に衝突して、缶詰製品
に打痕と呼ばれる凹みが生じた場合にもなお、被覆の密
着性やカバレージが完全に保たれることが要求されると
いう特性である。段差部に前述した空隙部が存在するよ
うな缶胴では、耐デント性に劣ったものとなることは自
明である。
【0009】更に、段差凹部への溶融流動性に優れたテ
ープ状樹脂では、その溶融流動性により、溶接肩部から
樹脂が流動して、肩部上の樹脂が薄肉化して、カバレッ
ジ性の低下が特に問題となる。
【0010】したがって、本発明の目的は、段差部での
フランジ加工や巻締加工などに耐える加工性、更には耐
食性や、耐デント性に優れた溶接部が補正された溶接缶
胴の製造方法及び装置を提供するにある。本発明の他の
目的は、溶接肩部から樹脂の過度の流動による肩部上の
樹脂の薄肉化を防止してカバレッジ性を向上させなが
ら、段差部に隙間なしに樹脂を充填することが可能であ
る方法及び装置を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、溶接部
内面側と対向すべき部位の表面の曲率半径Rが缶胴の
曲率半径Rよりも小さい弾性体を備えたマンドレルの
弾性体上にテープ状樹脂を配置する配置工程と、溶接缶
胴を溶接部内面側とテープ状樹脂とが対面する位置関係
でマンドレルに装着する装着工程と、該装着工程の前、
後または前後にわたって溶接缶胴の溶接部及びその近傍
を加熱する加熱工程と、テープ状樹脂が配置された該弾
性体と溶接缶胴との間を押圧状態にして、溶接部に該テ
ープ状樹脂を接着する接着工程とを含むことを特徴とす
る溶接部が補正された溶接缶胴の製造方法が提供され
る。本発明の製造方法においては、 1.弾性体の曲率半径Rが缶胴の曲率半径Rの0.
4乃至0.9倍の範囲にあること、 2.テープ状樹脂が溶接缶胴に接触する段階において、
溶接部及びその近傍がテープ状樹脂の接着面を構成する
材料の融点乃至軟化温度以上に加熱されること、 3.接着工程において、テープ状樹脂が溶接缶胴の高さ
方向における溶接部の一方の端部より他方の端部に向か
って順次に押圧されること、 4.テープ状樹脂が表層の熱可塑性樹脂と表層の融点よ
りも少なくとも10℃低い融点乃至軟化温度を有する下
層の熱可塑性樹脂とで構成されること、 5.弾性体表面において、テープ状樹脂の円周方向にお
ける両端部に近接した部位に位置し、且つ高さ方向に一
定の間隔で設けられた一対の吸排気孔群から、テープ状
樹脂を吸引することにより、テープ状樹脂が缶胴体に接
着されるまでの間、弾性体上にテープ状樹脂を保持する
こと、 6.弾性体表面において、吸排気孔を通してテープ状樹
脂を吸引することにより、弾性体上にテープ状樹脂を保
持する工程と、テープ状樹脂が缶胴体と押圧を開始した
時点にて吸排気孔より高圧気体を噴出させることによ
り、吸排気孔部にて接着時にテープ状樹脂を缶胴体に押
圧する工程とを含むこと、が好ましい。本発明によれば
また、溶接部内面側と対向すべき部位の表面の曲率半径
が缶胴の曲率半径Rよりも小さい弾性体を備えた
マンドレルの弾性体上にテープ状樹脂を配置する配置装
置と、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状樹脂とが対面
する位置関係でマンドレルに装着する装着装置と、該装
着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴の溶接部
及びその近傍を加熱する加熱装置と、テープ状樹脂が配
置された該弾性体と溶接缶胴との間を押圧状態にして、
溶接部に該テープ状樹脂を接着する接着装置とを含むこ
とを特徴とする溶接部が補正された溶接缶胴の製造装置
が提供される。本発明の製造装置においては、 1.接着装置がテープ状樹脂を止着した弾性体を含むマ
ンドレルの少なくとも一部を揺動させて押圧する押圧手
段を備えていること、 2.弾性体表面の曲率半径Rが缶胴の曲率半径R
0.4乃至0.9倍の範囲にあること、 3.前記配置装置がテープ状樹脂を弾性体表面に吸着保
持し且つ接着の際にはテープ状樹脂を押圧する吸排気孔
を弾性体に備えていることが好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】本発明による溶接缶胴の断面構造を
示す図1及び溶接部及びその近傍の断面構造を拡大して
示す図2において、この缶胴1は側面継ぎ目となった溶
接部2を備えている。この缶胴1は、内面側に且つ溶接
部2及びその近傍を除いて有機被膜3を備えている。内
面側の溶接部2及びその近傍には、有機被膜3の側方端
部にまたがるように、テープ状樹脂4が被覆されてい
る。
【0013】溶接による側面継ぎ目は、製缶用素材(ブ
ランク)の両端縁部を重ね合わせ、電気抵抗溶接を行う
ことにより形成される。このため、溶接部2には、図2
の拡大断面図に示すとおり、内側端縁部のコーナーに対
応する肩部11と、内側端縁部と外側端縁部との段差部
に対応する凹部12とが必然的に形成される。
【0014】本発明によれば、溶接部内面側と対向すべ
き部位の表面の曲率半径Rが缶胴の曲率半径Rより
も小さい弾性体を備えたマンドレルの弾性体上にテープ
状樹脂を配置し、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状熱
可塑性樹脂とが対面する位置関係でマンドレルに装着
し、装着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴の
溶接部及びその近傍を加熱し、テープ状樹脂が配置され
た該弾性体と溶接缶胴との間を押圧状態にして、溶接部
に該テープ状樹脂を接着することにより、樹脂の熱接着
の際、溶接部の段差凹部12内に流入してこの凹部を隙
間なしに充満し、しかも溶接部の肩部12の部分では樹
脂が溶融流動により過度に薄肉化されることなしにカバ
レッジが確保されるという利点が達成される。
【0015】弾性体によるテープ状樹脂の溶接部への接
着前の状態及び接着後の状態を示す図3及び図4におい
て、テープ状樹脂4を保持して、缶胴の溶接部2へ押圧
するための弾性体27の表面15は、缶胴1の曲率半径
よりも小さい曲率半径R 、好適には、缶胴の曲率
半径Rの0.4乃至0.9倍、特に0.45乃至0.
75倍の範囲の曲率半径Rを有している。テープ状樹
脂4は、図3に示すとおり、弾性体27の表面15に、
弾性体の内部を通る吸引孔28からの吸引により保持さ
れ、この状態で溶接部に対して押圧され、図4に示すと
おり、テープ状樹脂による溶接部の被覆が進行する。
【0016】既に指摘したとおり、テープ状樹脂4の溶
接部2への熱接着に際しては、樹脂が溶接部の凹部12
内に流入してこの凹部を隙間なしに充満し、しかも前記
肩部11の部分では樹脂が過度に薄肉化されることなし
にカバレッジが確保されるという一見相対立する要求が
存在するが、この凹部12に空気が残留すると、単なる
押圧手段では空気の排除が困難となり、どうしても空隙
部の残留が避けられない。
【0017】これに対して、本発明では、弾性体27と
して上記の曲率半径を有するものを用いるとにより、テ
ープ状樹脂と溶接段差部との接触点を段差凹部12に近
づけることが可能となり、これにより段差凹部12への
樹脂の供給が容易となり、更に排除すべき空気量が少な
くなって、空気の排除が容易となるという利点が奏され
る。更に、上記曲率半径の弾性体を用いることにより、
円周方向にみて、溶接部を中心とし、次第に外側に向け
て接着が進行するため、段差凹部12からの空気の排除
と樹脂の流入とが最も望ましい順序で行われることにな
る。しかも、テープ押圧後には、弾性体表面の曲率半径
は大きくなり、押圧前後にて弾性体の円周方向の見掛け
上の表面長さが短くなる。このため、溶接部の段差に沿
ってテープが変形しやすくなり、段差凹部への樹脂の供
給がしやすくなり、更に溶接肩部11上の樹脂層の薄肉
化が緩和されるという利点がある。
【0018】本発明の接着工程においては、テープ状樹
脂が溶接缶胴の高さ方向における溶接部の一方の端部よ
り他方の端部に向かって順次に押圧されることが好まし
い。このような押圧接着方式を採用すると、溶接部の段
差凹部における空気の排除が缶胴の高さ方向に順次行わ
れながら、接着が進行するので、テープ状樹脂による被
覆構造が空隙のない完璧なものとなり、この被覆構造は
機械的な構造においても、また耐腐食性の見地からも優
れたものとなる。
【0019】本発明においては、テープ状樹脂が溶接缶
胴に接触する段階において、溶接部及びその近傍がテー
プ状樹脂の接着面を構成する材料の融点乃至軟化温度以
上に加熱されることが好ましい。上記の加熱タイミング
では、テープ状樹脂の一部が缶胴に接触した時点で、テ
ープ状樹脂の局部的な溶融が始まり、これにより溶接段
差凹部の埋め込みが容易になると共に、接着時間が短く
て済むという生産性での利点も達成される。
【0020】本発明においてはまた、テープ状樹脂が表
層の熱可塑性樹脂と表層の融点よりも少なくとも10℃
低い融点乃至軟化温度を有する下層の熱可塑性樹脂とで
構成されることが好ましい。本発明に用いる溶接部の被
覆テープは、種類の異なる少なくとも2層の複合樹脂被
覆層よりなる。即ち、下層(II)の樹脂の融点または軟
化温度が表層(I)の融点よりも10℃以上、好ましく
は20℃以上低い組み合わせが使用される。テープ表層
(I)の熱可塑性樹脂は、缶内面に露出するものである
ので、耐腐食性、バリアー性、耐熱性、加工性等に優れ
たものが選択使用される。ここでいう加工性とは、テー
プ補正時の加工性は勿論のこと、テープ補正後に缶体に
行う種々の加工、例えばネツクイン/フランジ加工、巻
締め加工などについての加工性が含まれる。上記の特性
は、用いる樹脂の融点乃至軟化温度と関連しており、一
般に融点や軟化温度の高い樹脂は耐腐食性、バリアー
性、耐熱性等の特性に優れている。表層(I)の樹脂と
して、相対的に高融点のものを用いるのはこの理由によ
る。一方、テープ下層(II)の熱可塑性樹脂は、溶接缶
の溶接部に密着されるべきものであり、被覆時に溶融軟
化し、金属表面に流動して密着性に優れた被覆を形成す
ることが要求される。この見地から、テープ下層の樹脂
は、その融点または軟化温度が表層(I)の融点よりも
10℃以上、好ましくは20℃以上低いものでなければ
ならない。尚、本明細書において、融点乃至軟化温度と
は、ポリエステルが溶融流動を開始する温度であり、融
点が明確な熱ポリエステルについては一義的な融点(示
差操作熱量計測定における融解ピーク温度)を示し、融
点の明確でないものについては、熱機械分析手段を用い
て得られるペネトレーションカーブから作図して、後常
法により求められる軟化温度を意味する。
【0021】複合樹脂層からなるテープ状樹脂を用いた
被覆構造の例を示す図5において、このテープ状樹脂4
は、相対的に高融点の樹脂表層5と、相対的に低融点乃
至低軟化温度の樹脂下層6とからなっており、上記の低
融点乃至低軟化温度テープ下層6を用いることにより、
テープの接着時に下層樹脂が優先的に溶融軟化し、流動
して、溶接部の段差凹部12を埋め込んで隙間のない接
着構造を形成し、また高融点のテープ表層5を用いるこ
とにより、溶接部の肩部11に樹脂被覆層を薄肉化させ
ずに保持させることが可能となる。
【0022】[溶接缶胴]本発明に用いる溶接缶胴は、
図1及び図2に示す断面構造を有している。この溶接缶
胴は、溶接による継ぎ目となる端縁部分を除いて、少な
くとも缶内面となるべき部分が樹脂フィルムで被覆され
た缶用金属素材(ブランク)を円筒状に成形し、その端
縁部同士を重ね合わせ、この重ね合わせ部を溶接するこ
とにより形成される。図1及び図2に示す例では、溶接
部2及びその近傍を除く内面には、樹脂フィルムからな
る有機被膜3が形成されているが、溶接部2及びその近
傍を除く外面にも、樹脂フィルムからなる有機被膜が同
様に形成されていてもよい。
【0023】(1)金属基体 缶胴を構成する金属板としては各種表面処理鋼板等が使
用される。表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍後
二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッ
キ、錫−ニッケルメッキ鋼板、電解クロム酸処理、クロ
ム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったもの
を用いることができる。
【0024】表面処理鋼板の好適な例は、0.5乃至1
1.2g/mの錫メッキ量を有する硬質ブリキ板であ
る。このブリキ板は、金属クロム換算で、クロム量が1
乃至30mg/mとなるようなクロム酸処理或いはク
ロム酸−リン酸処理が行われていることが望ましい。好
適な表面処理鋼板の他の例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/mの金属クロム層と
1乃至50mg/m(金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。更に他の例としては、
アルミニウムメッキ、アルミニウム圧接等を施したアル
ミニウム被覆鋼板が用いられる。
【0025】金属板の厚みは、金属の種類、容器の用途
或いはサイズによっても相違するが、一般に0.05乃
至0.5mm、特に0.1乃至0.35mmの厚みを有
するのがよい。
【0026】(2)内面有機被膜 内面有機被膜としては、それ自体公知の熱可塑性樹脂フ
ィルムや、缶用塗料が何れも使用されるが、環境ホルモ
ン物質フリーの有機被膜として、熱可塑性樹脂フィルム
が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、フィルム
形成能を有する各種樹脂、例えば低密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテ
ン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、
ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等
のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重
合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・
塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合
体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合
体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等
のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリ
ル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化
合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−1
0、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフ
エニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれ
かの樹脂でもよい。
【0027】しかしながら、溶接缶胴の耐腐食性、耐熱
性、加工性、有機被膜の機械的強度などの点では、有機
内面被膜は熱可塑性ポリエステルを主たる成分として含
有する樹脂フィルムからなることが好ましい。このよう
な熱可塑性ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸
を主体とするカルボン酸成分と脂肪族ジオールを主体と
するアルコール成分とから誘導されたポリエステル、特
に前記カルボン酸成分の50モル%以上がテレフタール
酸成分からなり且つ前記アルコール成分の50モル%以
上がエチレングリコール成分からなるポリエステルが挙
げられる。上記条件を満足する限り、このポリエステル
は、ホモポリエステルでも、共重合ポリエステルでも、
或いはこれらの2種類以上のブレンド物であってもよ
い。
【0028】テレフタル酸成分以外のカルボン酸成分と
しては、イソフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、P
−β−オキシエトキシ安息香酸、ビフェニル−4,4’
−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0029】一方、エチレングリコール以外のアルコー
ル成分としては、1,4−ブタンジオール、プロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド付加物、グリセロール、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビタンなどのアルコール成分を
挙げることができる。
【0030】適当な熱可塑性ポリエステルの例は、決し
てこれに限定されないが、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート/テレフタ
レート、ポリエチレン/ブチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート/イソフタレート、ポリブチレン
テレフタレート/アジペート、或いはこれらの2種以上
のブレンド物である。
【0031】用いるポリエステルは、フィルム形成範囲
の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール
/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘
度〔η〕は0.5以上、特に0.6乃至1.5の範囲に
あるのが腐食成分に対するバリアー性や機械的性質の点
でよい。
【0032】熱可塑性ポリエステルは、種々の形態で金
属基体の有機被膜として用いることができる。例えば、
前に示した熱可塑性ポリエステルフィルムを単独で金属
基体の被覆に用いることができるし、また、複数の熱可
塑性ポリエステルの積層フィルムを金属基体の被覆に用
いることができる。更に、プライマーを施した熱可塑性
ポリエステルフィルムを金属基体の被覆に用いることも
できる。これらの何れの場合においても、熱可塑性ポリ
エステルは、未延伸のフィルム層であってもよいし、ま
た分子配向された、好適には二軸方向に分子配向された
フィルム層であってよい。フィルム層の厚みは特に限定
されないが、一般的にいって、5〜50μm、特に8〜
35μmの範囲にあるのがよい。フィルム層の厚みが上
記範囲を下回ると耐腐食性が低下し、厚みが上記範囲を
上回ると加工性が低下するのでいずれも好ましくない。
【0033】熱可塑性ポリエステルフィルム単層を用い
る場合には、エチレンテレフタレート系の共重合ポリエ
ステル、特に50モル%以上、好適には60モル%以上
のエチレンテレフタレート単位を有するコポリエステル
またはコポリエステルブレンドが使用される。テレフタ
ル酸以外の二塩基酸成分及びエチレングリコール以外の
ジオール成分としては、前に例示したものが使用され
る。適当な共重合ポリエステルの例は、これに限定され
ないが、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート
(PET/IA)、ポリエチレンテレフタレート/ナフ
タレンジカルボキシレート(PET/NDC)等であ
り、これらのコポリエステルは、金属基体への熱接着性
に優れていると共に、腐食性成分等に対するバリアー性
に優れており、また内容品中の芳香成分を収着する傾向
も少ない。
【0034】熱可塑性ポリエステルの積層フィルムを用
いる場合、表層の熱可塑性ポリエステル樹脂は、耐腐食
性、バリアー性、耐熱性、機械的特性に優れたものが使
用され、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート
(PET/IA)、ポリエチレンテレフタレート/ナフ
タレンジカルボキシレート(PET/NDC)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタ
レート/ポリエチレンナフタレート・ブレンド乃至ラミ
ネート(PET+PEN)が挙げられる。積層フィルム
の表層は、例えば二軸延伸により分子配向結晶化されて
いることが好ましい。表層は、一般に5〜40μm、好
適には10〜30μmの厚みを有することが望ましい。
一方、積層フィルムの下層は、熱接着性に優れた熱可塑
性コポリエステル樹脂、特に50モル%以上、好適には
60モル%以上のエチレンテレフタレート単位を有する
コポリエステルが使用される。下層用のコポリエステル
の適当な例は、 ポリエチレンナフタレート/イソフタレート[PET/
IA(5〜40モル%)] ポリエチレン/シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト[PET/CHDM(5〜40モル%)] ポリエチレンテレフタレート/ナフタレンジカルボキシ
レート[PET/NDC(5〜50モル%)] などである。下層の厚みは、0.5〜20μm、好適に
は1〜10μmの範囲にあるのがよい。
【0035】内面有機被膜としては、熱硬化性プライマ
ー付き熱可塑性ポリエステルフィルムを用いることがで
きる。表層の熱可塑性ポリエステル樹脂としては、積層
フィルムの表層に使用される樹脂、例えばPET、PE
T/IA、PET/NDC、PET+PENが好適に使
用される。この表層樹脂も二軸延伸により分子配向結晶
化されていることが望ましく、その厚みは5〜40μm
の範囲にあるのが適当である。下層の熱硬化性プライマ
ーとしては、それ自体公知の任意のプライマー、特にエ
ポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の熱硬化性樹
脂が使用される。その厚みは一般に0.1〜5μmの範
囲にあるのがよい。
【0036】さらに、内面有機皮膜としては、従来から
内面保護皮膜として用いられている熱硬化性塗料または
熱可塑性塗料を用いることができる。熱硬化性塗料とし
ては、エポキシ、フェノール樹脂、熱硬化型ポリエステ
ル樹脂或いは熱硬化性アクリル樹脂等の樹脂が好適であ
る。その塗膜の厚みは0.1乃至30μm、特に1乃至
15μmの範囲にあることが好ましい。
【0037】(3)被覆ブランクの製造 溶接缶製造用のブランクは、金属基体の溶接すべき端縁
部を被覆することなく残して、他の部分に前述した樹脂
フィルムを貼り合わせる方法(マージンラミネートと呼
ぶ)により製造される。熱可塑性樹脂フィルムと金属基
体との貼り合わせは熱接着で行う。例えば、加熱された
金属基体の表面に予め形成された延伸或いは未延伸の単
層または多層の熱可塑性樹脂フィルムを供給し、ラミネ
ートロールで圧着して積層体とする。また、加熱された
金属基体の表面に単層或いは多層の熱可塑性樹脂を溶融
押出し、ラミネートロールで圧着して積層体とする。多
層の熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の種類に対応す
る数の押出機を使用し、多層多重ダイを通して、製膜す
るか或いは押し出しコートする。
【0038】溶接缶胴用の塗装ブランクは金属基体の溶
接すべき端縁部を被覆することなく残して、他の部分に
内面保護用塗料を塗布し、焼き付ける、いわゆるマージ
ン塗装により製造することができる。内面保護塗膜は同
種または異種の塗料を重ね塗りして設けることが可能で
ある。さらに、予めマージン塗装されたブランクから溶
接缶胴を作成し、その溶接缶胴の溶接継ぎ目を前記テー
プ状樹脂を被覆した後に、トップコートをスプレーして
焼き付けて多量のベース塗膜を設けることができる。
【0039】(4)溶接による継ぎ目の形成 側面継目の形成は、電気抵抗溶接によって好適に行わ
れ、この側面継目の電気抵抗溶接は、缶用素材を円筒状
に形成し、形成される重ね合わせ部を1対の電極ローラ
ー間に通過せしめるか、或は電極ワイヤーを介して上下
1対の電極ローラー間に通過せしめることによって行わ
れる。この際溶接操作を不活性雰囲気中で行い、且つ溶
接部の表面温度が550℃に低下するまでの雰囲気を不
活性雰囲気とすることが、継目外表面にポーラスな金属
酸化物層が形成させるのを防止し、補正用テープ状樹脂
の密着性を向上させるために望ましい。不活性雰囲気と
しては、窒素、アルゴン、ネオン、水素、二酸化炭素等
を使用することができる。上述した不活性気体の気流中
に溶接接合部を保持して作業を行うのが好ましいが、上
記気体を充填した密閉容器内で作業を行ってもよい。
【0040】この溶接缶の側面継目の幅は缶の径によっ
ても相違するが、0.2 乃至1.2 mmのような比較的小さい
幅でよく、この継目形成法によれば、缶用素材の使用量
を少なくできることが顕著な利点の一つでもある。ま
た、継目の厚みは、素材厚みの2倍から1.2 倍迄変形し
得る。即ち、溶接時に重ね合せ部を高圧力で押圧するこ
とにより、継目の厚みを減小させ、これにより二重巻締
に際して継目部とそれ以外の部分との段差を小さくし得
ることも、この溶接法の利点である。
【0041】本発明は、前記の電気抵抗溶接法に限定さ
れることはない。重ね溶接法としては、高周波抵抗溶接
法、摩擦圧接法、超音波溶接法あるいはレーザ溶接法等
が適用できる。また、突合せ溶接法としては、レーザ、
電子ビームのごとき高エネルギービームを用いた溶接法
あるいは各種電気抵抗溶接法等が適用できる。例えば、
突合せレーザ溶接法にて得られる突合せ溶接部の厚みは
ほぼ板厚と同じであり、重ね溶接の溶接部に見られる溶
接段差がないため、補正テープの接着が容易になると共
に、テープの厚みを減少できる利点を有する。
【0042】[補正用テープ状樹脂]本発明において、
溶接部の補正用テープ状樹脂としては、有機被膜につい
て例示した任意のテープ状の熱可塑性樹脂を使用しうる
が、既に指摘したとおり、種類の異なる少なくとも2層
の複合樹脂層、即ち、下層(II)の融点または軟化温度
が表層(I)の融点よりも10℃以上、好ましくは20
℃以上低い組み合わせを使用するのが好ましい。
【0043】表層(I)の熱可塑性樹脂としては、上記
の融点を前に例示したポリエステルの内、耐腐食性、ガ
スバリア性、耐熱性、加工性等に優れたポリエステル樹
脂が選択使用される。表層(I)に適したポリエステル
樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のホモポ
リエステルや、ポリエチレンテレフタレート/イソフタ
レート(PET/IA)、ポリエチレンテレフタレート
/ナフタレンジカルボキシレート(PET/NDC)等
のコポリエステルや、ポリエチレンテレフタレートとポ
リエチレンナフタレートとのラミネートまたはブレンド
(PET+PEN)などが挙げられる。表層(I)のポ
リエステルは二軸延伸されていることが好ましく、この
延伸ポリエステルでは、延伸による分子配向結晶化によ
り、腐食成分に対するバリアー性が向上する結果とし
て、耐食性が向上し、更に接着時における表層の溶融流
動が抑制されて、溶接部肩部のカバレツジ性が確保され
るという利点がある。
【0044】本発明に用いる補正テープ状樹脂における
表層(I)厚みは、平均の元の厚みとして、3μm〜5
0μm、好適には5μm〜30μmの範囲にあること
が、被覆の完全さ及び耐腐食性の点で好ましい。表層
(I)の厚みが3μmを下回ると、腐食成分に対するバ
リアー性が不十分で耐食性が低下し、また溶接肩部のカ
バレッジ性が低下するので好ましくない。一方、表層
(I)の厚みが50μmを越えると、テープの変形抗カ
が過大となり、溶接段差部への下層樹脂の埋め込みが不
安定となり、好ましくない。
【0045】一方、下層(II)の熱可塑性ポリエステル
樹脂は、前述したポリエステルの内、金属及びポリエス
テル表層(I)との密着性に優れたものが使用され、表
層(I)の融点よりも10℃以上、好ましくは20℃以
上低い融点乃至軟化温度を有するコポリエステルまたは
コポリエステルブレンドが使用される。下層(II)のコ
ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位を50モ
ル%以上、好ましくは60モル%以上含有しているもの
であり、このコポリエステルは、テレフタル酸以外の二
塩基酸成分及び/またはエチレングリコール以外のジオ
ール成分を含有している。このようなエチレンテレフタ
レート系のコポリエステルは、金属に対する優れた接着
性及び溶融流動性を有すると共に、バリアー性及び耐熱
性にも優れている。
【0046】下層コポリエステルにおけるテレフタル酸
以外の二塩基酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン
酸等が適当であり、一方エチレングリコール以外のジオ
ール成分としては、ブタンジオール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール等が適当である。
【0047】特に好適な下層(II)用コポリエステルと
しては、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート
(PET/IA)であって、イソフタレート単位の含有
量が5〜40モル%、特に10〜25モル%のものが挙
げられる。イソフタレート単位の含有量が上記の範囲内
のものでは、優れた性能が発揮されるが、イソフタレー
トの含有量が5モル%を下回ると、金属への密着性が低
下したり、下層(II)の融点が高くなりすぎて、接着時
に溶接肩部近傍での表層(I)の温度上昇が大きく、表
層(I)が破損して、その部位でのカバレッジ性が低下
するおそれがある。一方、イソフタレートの含有量が4
0モル%を上回ると、軟化点が低下して、被覆の耐熱性
が低下したり、バリア性が低下したりする傾向がある。
【0048】他に、好適な下層(II)用コポリエステル
またはコポリエステルブレンドとして、ポリエチレン/
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(P
ET/CHDM)、特にCHDM成分の含有量が5〜4
0モル%、好適には10〜35モル%のものや、ポリエ
チレンテレフタレート/2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート(PET/NDC)、特にNDC成分の含有量
が5〜50モル%、好適には10〜40モル%のものが
挙げられる。
【0049】補正用テープにおける下層(II)の元の平
均厚みは、5μm以上、好ましくは10〜50μmの範
囲にあるのが溶接部への密着性の点でよい。下層の厚み
が5μmを下回ると、溶接段差部の埋め込み量の不足ま
たは溶接肩部のカバレッジ性の不足をもたらすので好ま
しくなく、一方、下層(II)の厚みが50μmを上回る
と、テープ端部での下層樹脂のはみ出し量が多くなっ
て、局部的に厚肉部が形成され、溶接缶端部のネックイ
ン等の加工時のしわが増大するので好ましくない。
【0050】溶接部補正用テープ状樹脂の全体の厚み、
即ち表層(I)+下層(II)の厚みは、平均の厚みで、
8〜100μm、好ましくは15〜60μmの範囲にあ
るのがよい。この範囲内の厚みであれば、溶接肩部での
薄肉化を防止しつつ、テープを溶接段差部に沿わせて密
着させることが可能となる。
【0051】本発明で用いる補正用テープ状樹脂には、
所望により、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば、充
填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、
老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金
属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、
等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って
配合できる。例えば、溶接部を隠蔽する目的で、チタン
ホワイト、酸化亜鉛等の着色剤乃至顔料、またテープの
アンチブロッキングを防止する目的で、アルミナ粉、炭
酸カルシウム、シリカ、タルク等の滑剤乃至アンチブロ
ッキング剤を配合することができる。このような樹脂配
合剤の配合は、缶内面被覆用のポリエステルフィルムに
対しても同様に行うことができる。
【0052】本発明に用いる積層構造の溶接部補正テー
プは、それ自体公知の手段、例えば共押出法、押出コー
ト法、サンドイッチラミネーション法等で製造すること
ができる。共押出法の場合、表層ポリエステルと下層コ
ポリエステルとを共押出してキャストフィルムを製造
し、このキャストフィルムを延伸温度にて二軸延伸し
て、少なくとも表層が分子配向された積層フィルムとす
る。この積層フィルムを所定の幅にスリットして、溶接
部補正用のテープとする。押出コート法では、予め形成
された延伸ポリエステルフィルムの表層(I)に、下層
(II)となるコポリエステルを押出コートして、同様に
溶接部補正用のテープを形成させる。サンドイッチラミ
ネーションでは、予め形成された延伸ポリエステルフィ
ルムの表層(I)と、コポリエステルフィルムの下層
(II)との間に、コポリエステルを溶融押出し、両フィ
ルムをサンドイッチして、同様に溶接部補正用のテープ
を形成させる。
【0053】[溶接部の被覆(補正)]溶接部の被覆
は、溶接部内面側と対向すべき部位の表面の曲率半径R
が缶胴の曲率半径Rよりも小さい弾性体を備えたマ
ンドレルの弾性体上にテープ状樹脂を配置し、溶接缶胴
を溶接部内面側とテープ状樹脂とが対面する位置関係で
マンドレルに装着し、該装着工程の前、後または前後に
わたって溶接缶胴の溶接部及びその近傍を加熱し、テー
プ状樹脂が配置された該弾性体と溶接缶胴との間を押圧
状態にして、溶接部に該テープ状樹脂を接着することに
より行われる。
【0054】弾性体としては、シリコーンゴム、ポリウ
レタンゴム、フッ素樹脂系ゴム等の耐熱性に優れた任意
のゴムが使用される。用いる弾性体のゴム硬度(JIS
K6253)は一般に60乃至85度の範囲にあるこ
とが、溶接部の肩部の薄肉化を防止しながら、段差部へ
の樹脂の埋め込みを有効に行う上で望ましい。
【0055】補正テープ(テープ状樹脂)の位置決めは
弾性体表面上で行うが、溶接部及びその近傍及び円周上
にてそれに連なる内面有機被膜の一部が幅方向(円周方
向)に補正テープで覆われ、且つ溶接部の高さ方向の実
質上全てが補正テープで覆われるようなものである。補
正テープと内面有機被膜との重なりは、片側において、
少なくとも0.5mm、好適には1mm以上確保するこ
とが、金属露出を確実に防止する上で好ましい。弾性体
表面での補正テープの保持は、弾性体に設けた吸引機構
で行うのが望ましい。
【0056】この位置決めが行われた後、補正テープを
シリコーンゴム等の弾性体で溶接部に対して押圧し、溶
接部を含む継ぎ目を加熱して補正テープを継ぎ目に熱接
着させる。補正テープの接着に際して、予め、缶胴の溶
接部近傍をテープ接着面の材料の溶融温度或いは軟化温
度以上に加熱しておくことが好ましい。テープの一部が
缶胴に接触した時点でテープ状樹脂の局部的な溶融が始
まり、溶接段差凹部の埋め込みが容易に行われると共
に、接着時間も短くて済むという利点がある。
【0057】本発明では、弾性体の表面温度をテープが
変形しない程度に下げておくことが有効であり、好まし
くは弾性体の表面温度をテープ表層のガラス転移点以下
の温度に維持しておくのがよい。また、接着に先だっ
て、予め缶胴を加熱することにより、接着時のテープの
表層の温度を比較的低く抑えることができる。これによ
り、溶接肩部の薄肉化を防止し、溶接肩部のカバレツジ
性を向上させることができる。
【0058】テープ接着時に缶胴の溶接部を加熱するこ
とが好ましい。即ち、接着中に接着部に熱を供給するこ
とにより、好ましい接着強度を得ることができる。熱の
供給時間は、一般に0.5秒以下のような短時間でよ
く、熱の供給手段としては、高周波誘導加熱や、溶接部
外面の抑え治具からの熱伝導等を利用することができ
る。溶接部の補正に積層テープを用いる場合、加熱温度
及び加熱時間は、補正テープの下層(II)が溶融流動
し、一方表層(I)の配向結晶が実質上維持されるよう
に決定されるのがよい。
【0059】本発明による接着工程においては、テープ
状樹脂を溶接缶胴の高さ方向における溶接部の一方の端
部より他方の端部に向かって順次に押圧するのが、溶接
部の段差凹部から空気を有効に排出するために好まし
い。このために、接着装置としては、弾性体が取り付け
られたマンドレルを揺動可能に支持する支点とマンドレ
ルを揺動させるための駆動手段とを備えたものが好適に
使用される。補正テープによる被覆が完了した溶接缶
は、加熱部分を冷却して被覆を固定し、ネックイン加
工、フランジ加工、蓋との巻締加工などの残りの製缶工
程に付する。
【0060】[用途]本発明による溶接部補正溶接缶胴
は、内容物をレトルト殺菌するバキューム缶、炭酸飲料
等の自生圧力を有する内容物を充填するための内圧缶、
エアゾール缶などの種々の用途に用いることができる。
また、缶径としては、202径の小径缶から603径の
大型缶或いは18リットル缶のような大口径の缶にも適
用できる。
【0061】
【実施例】本発明を添付図面に示す実施例に基づいて以
下に詳細に説明する。以下の実施例において、図3は缶
胴溶接部、テープ状樹脂及び弾性体の押圧前の配置を拡
大して示す断面図であり、図4は缶胴溶接部、テープ状
樹脂及び弾性体の押圧後の配置を拡大して示す断面図で
あり、図5は溶接部が補正された缶胴の拡大断面図であ
り、図6は溶接缶胴、テープ押圧用マンドレル及び溶接
部加熱用電磁コイルの押圧開始前の配置を示す側面配置
図であり、図7は溶接缶胴、テープ押圧用マンドレル及
び溶接部加熱用電磁コイルの押圧開始後の配置を示す側
面配置図であり、図8は溶接缶胴、テープ押圧用マンド
レル及び溶接部加熱用電磁コイルの押圧開始後の配置を
示す垂直断面図であり、図9は溶接部加熱用電磁コイル
の水平方向配置を示す説明図であり、図10は缶胴溶接
部、テープ状樹脂及び弾性体の吸引孔の部分の配置を拡
大して示す断面図であり、図11は本発明に用いる装置
の全体の配置を示す上面図であり、図12はテープのマ
ンドレルへの配置及びマンドレルへの溶接缶胴の装着を
説明するための側面図であり、図13はテープのマンド
レルへの配置を説明するための垂直断面図であり、図1
4は本発明に用いるマンドレル押圧装置の他の例の押圧
開始前の状態を示す側面配置図であり、図15は図14
のマンドレル押圧装置の押圧時の状態を示す側面配置図
であり、図16は図15における垂直方向断面図であ
る。
【0062】本発明に用いる装置は、図11に示すとお
り、大まかにいって、溶接缶胴の位置合わせ供給装置2
0、溶接部のテープ補正装置21及び補正溶接缶胴の排
出装置22からなっている。
【0063】溶接部のテープ補正装置21は、図におい
て時計方向に回転される回転ターレット23を備えてお
り、この回転ターレット23には、その周囲に多数のマ
ンドレル24(図11においては8個)が配置されてい
る。このマンドレル24は回転ターレット24に対して
垂直方向にスライド可能に設けられている。
【0064】テープ補正装置21の回転ターレット23
の周囲には、図11の最上部から時計方向に180度の
位置にテープ配置(供給)ステーションA、270度の
位置に溶接缶胴装着ステーションB、最上部に接着ステ
ーションC及び90度の位置に補正溶接缶胴の排出ステ
ーションDがこの順序に設けられている。
【0065】上記の溶接部のテープ補正装置は、テープ
配置、缶胴装着及び接着の全てにおいて、このマンドレ
ルの動作を中心にして行われるので、以下その機構及び
動作について詳細に説明する。マンドレル24の詳細な
構造を示す図6、図7及び図8において、マンドレル2
4は溶接缶胴1に挿入可能な断面形状及び寸法と溶接缶
胴1の高さよりも長い軸方向寸法とを有しており、ブラ
ケット25に支点26を介して揺動可能に設けられてい
る。ブラケット25は、回転ターレット23に対して垂
直方向に、図示していない摺動機構(例えば摺動軸とス
ライドベアリング)により、スライド可能に設けられて
いる。マンドレル24には、缶胴1が装着された状態
で、缶胴の溶接部2と対面する位置関係で、テープ状樹
脂を保持し、且つテープ状樹脂を溶接部内面に向けて押
圧するための弾性体27が装着されている。既に指摘し
たとおり、弾性体27の曲率半径Rは缶胴1の曲率半
径Rよりも小さく、好ましくは、R/Rの比率
が0.4〜0.9、特に0.45〜0.75となるよう
に設けられている。
【0066】弾性体27には、ほぼ径方向に延びる複数
の吸排気口28が形成されており、この吸排気口28は
マンドレル内の空気通路29、その先端の吸圧用電磁弁
29a及び加圧用電磁弁29bを経由して、外部の吸排
気装置及び圧空供給装置(図示せず)に接続されてい
る。この吸排気口28は、図8によく示されるとおり、
テープ状樹脂4の円周方向の両端部に近接して位置し、
しかも図6によく示されるように、マンドレルの軸方向
に一定間隔をおいて複数個位置するように配置されてい
る。
【0067】マンドレル24には、マンドレルと反対方
向に延びるようにリンク30aの一端部が接続されてお
り、リンク30aの他端部には、マンドレルを揺動させ
るための流体圧機構30が接続されている。
【0068】テープ状樹脂の供給装置は、図13に示す
とおり、一定幅の樹脂フィルム4aを引き出す供給ロー
ラ31と、供給ローラ31から受け取った樹脂フィルム
4aをテープ状樹脂4に切断した後、マンドレル24の
弾性体27の表面に転移させる転移ロール32と、転移
ロール32上の樹脂フィルムを一定の間隔で切断するた
めのカッターロール33とからなっている。カッターロ
ール33は円周方向に所定間隔をおいて複数の切断刃3
4を備えており、この切断刃34に対応して、転移ロー
ル32には溝35が形成されており、転移ロール32及
びカッターロール33の回転に伴って、この溝35の部
分に切断刃34が入り込むことにより、樹脂フィルムの
切断が行われる。樹脂フィルム4aの幅は、缶胴の溶接
部に施すテープ状樹脂の長さに対応するものであり、一
方、転移ロール32における溝間の弧の長さ(周長)は
溶接部及びその近傍に施すテープ状樹脂4の円周方向の
幅に相当するものである。所定の円周方向の幅に切断さ
れたテープ状樹脂4は、転移ロール32の表面に保持さ
れ、次いでマンドレル24の弾性体27の表面に転移す
る。
【0069】溶接部補正装置21の接着ステーションC
には、加熱装置36が設けられている。この加熱装置
は、図8及び図9に示す実施例では、高周波誘導加熱装
置であって、電磁コイル(高周波コイル)37と磁性体
コア38とからなっている。加熱装置36は、溶接缶胴
の溶接部2及びテープ状樹脂4を間に挟んで、マンドレ
ルの弾性体27と対向するように配置されている。電磁
コイル37は、中央の第一のコイル要素39とその両側
の第二のコイル要素40、40とからなっており、第一
のコイル要素39の一方の端部は高周波電源41の一方
の端子に、また第二のコイル要素40、40の一方の端
部は高周波電源41の他方の端子に接続されている。第
一のコイル要素39の他方の端部と第二のコイル要素4
0、40の他方の端部とは電気的に連結されている。中
央の第一のコイル要素39とその両側の第二のコイル要
素40、40との間には、高周波コイルと缶胴の溶接部
との電磁連結を強めるための磁性体コア38が設けられ
ている。上述した高周波コイル37と磁性体コア38と
の配置により、缶胴の溶接部2には渦電流が集中的に発
生し、溶接部2乃至その近傍の発熱が選択的に行われ
る。尚、図8に示すように、高周波コイルの第一のコイ
ル要素39と第二のコイル要素40、40には、冷却水
のような冷媒を通す冷却通路42が形成されていて、コ
イル自体の過熱を防止し、テープ接着後の溶接部の冷却
を直ちに行うことができるようになっている。
【0070】缶胴1の溶接部の補正に際して、溶接缶胴
1は、溶接部の位置合わせ供給装置20に供給され、溶
接部2が円周上の一定の位置に位置決めされ、缶胴の供
給ステーションB(図6及び図12参照)に送られる。
【0071】一方、溶接部補正装置21のテープ配置
(供給)ステーションAにおいては、マンドレル24は
後退位置、即ち図11において紙面に対して垂直方向下
方位置、図12において左方向位置にあり、また接着ス
テーションCにおいては、マンドレル24は前進位置、
即ち図11において紙面に対して垂直方向上方位置、図
12において右方向位置にある。更に、溶接缶胴装着ス
テーションBにおいては、マンドレル24の後退位置か
ら前進位置への移動が行われ、補正溶接缶胴の排出ステ
ーションDにおいては、マンドレル24の前進位置から
後退位置への移動が行われる。尚、上に説明した前進位
置及び後退位置は、説明の都合上便宜的なものであり、
これらが逆の位置関係にあってもよいことが了解される
べきである。
【0072】先ず、テープ配置(供給)ステーションA
において、テープ状樹脂4の転移ロール32からマンド
レルの弾性体27表面への転移が行われる。テープ状樹
脂4の弾性体表面への転移は、図6に示される吸圧用電
磁弁29aを開いて吸排気通路29を減圧状態とし、弾
性体27に設けられた吸引孔28を通してテープ状樹脂
4の吸引を行うことにより達成される。このようなテー
プの吸引による転移を行った後、そのまま吸引孔28か
らの吸引を続行することにより、続いて行う接着工程ま
での間、テープを位置ズレを生じることなしに弾性体表
面に止着しておくことが可能となる。吸引孔28とテー
プ状樹脂4との配置関係は、図3乃至4及び図10に示
したとおりのものである。特に、吸引によりテープ状樹
脂4に形成される吸引痕部13は、その他の補正部位に
比べて、通常接着力が低下するため、吸引痕13を缶胴
体の高さ方向に渡って、テープ状樹脂4とその下層の有
機皮膜3との重なり部に位置せしめることが好ましい。
これにより、吸引痕部13での好ましい耐食性を確保す
ることができる。尚、テープ状樹脂4の弾性体表面への
位置決めが正確に行われているか否かは、マンドレル2
4の吸排気通路29の減圧の程度を測定することにより
確認することができる。
【0073】弾性体表面にテープ状樹脂4を保持してい
るマンドレル24は、溶接缶胴装着ステーションBにお
いて、図12の矢印に示すとおり、後退位置から前進位
置に移動する。これと同時に、缶胴の位置合わせ供給装
置20も前進位置に移動して、溶接缶胴は位置決めされ
た状態でマンドレル24に装着される。この場合、缶胴
1を正しく位置決めされた状態に維持するため、図6乃
至7及び図12に示すとおり、缶胴1を治具42で固定
しておくことができる。この固定には電磁石などの公知
の手段を用いることができる。尚、図12においては、
左にマンドレル24と転移ロール32とが対向した状態
で示されているが、この状態はテープ配置(供給)ステ
ーションAにおける状態(図13参照)であり、缶胴の
装着ステーションBでは転移ロール32はもはや存在し
ないことが理解されるべきである。
【0074】缶胴の装着ステーションB以後において
は、マンドレル24、テープ状樹脂4、缶胴の溶接部
2、及び高周波誘導加熱装置36は、図6及び図8に示
す対向(重ね合わせ)位置関係に保たれる。この状態
で、加熱装置36に通電が行われ、溶接部2乃至その近
傍の加熱が行われる。溶接部2の加熱温度は、少なくと
も溶接部に対面する樹脂層の融点乃至軟化温度以上の温
度である。
【0075】図6に示す接着開始前の状態において、流
体圧装置30のアクチュエーターは上昇位置にあり、従
ってマンドレル24の一方の端部(右方端部)は下方に
やや下がった状態にある。次いで、流体圧装置30に流
体圧が供給され、アクチュエーターは図7の矢印に示す
とおり下降する。これによりマンドレルは揺動して、マ
ンドレル24の一方の端部(右方端部)は上昇し、弾性
体27によるテープ状樹脂3の溶接部2への接着が左側
の端部から右側の端部に向けて順次進行する。本発明で
は、弾性体27によるテープ状樹脂4の溶接部2への押
圧が開始された段階にて、図6に示す吸圧用電磁弁29
aを閉じると同時に加圧用電磁弁29bを開いて吸排気
通路29に高圧気体を供給することにより、図10にお
いて、吸引痕13の部分に高圧気体を吹き付ける。これ
により、テープ状樹脂4の吸引痕13の部分について
も、缶胴有機皮膜3との接着を強化することができる。
【0076】既に指摘したとおり、本発明では、溶接部
2に対向する弾性体27の表面の曲率半径Rが溶接缶
の曲率半径Rよりも小さく形成されていて、溶接部の
段差部に沿ったテープ状樹脂の施用が可能となると共
に、テープ状樹脂の接着が一端部から他端部に向けて順
次行われるため、段差部からの空気の排除が有効に行わ
れ、樹脂を段差部に隙間なしに充填して耐腐食性に優れ
た溶接部の補正が可能となる。
【0077】溶接部の高周波誘導加熱は、弾性体による
テープ状樹脂の押圧前、押圧中、押圧後或いは押圧の前
後を通して行うことができる。しかしながら、一般的に
は、弾性体による押圧時には溶接部が加熱されているこ
とが望ましい。弾性体による押圧力を解除する前に、接
着されたテープ状樹脂の冷却が開始されていることも好
ましい。弾性体によるテープ状樹脂の押圧時間は、一般
に0.1秒以上、特に0.5秒以上が適当であり、一方
一端部から押圧を開始してから、他端部への押圧が行わ
れる遅延時間は数ミリ秒程度以上の時間であれば、段差
部の空気を十分に排除できる。
【0078】高周波誘導加熱装置36による溶接部の加
熱は、集中的且つ選択的に行われるので、コイルへの通
電を停止すると、溶接部の自然の冷却が直ちに行われる
という利点がある。また、図8に示す例では、冷却コイ
ルからの冷却が直ちに始まるという利点がある。勿論、
所望によっては、冷風吹き付けや、冷水噴霧等の冷却手
段を採用することも自由である。
【0079】溶接部がテープ状樹脂で補正された溶接缶
胴は1aは、補正缶胴排出ステーションDにおいて排出
装置22により、装置外に排出され、ネックイン加工、
フランジ加工等の後加工に付される。
【0080】本発明の装置においては、テープ状樹脂の
溶接部への押圧を行うためのマンドレルを、カムとカム
従動子との組合せを用いて駆動することができる。この
具体例を示す図14乃至16において、マンドレル以外
の構造は、図6乃至8に示したものと同様である。
【0081】図14乃至16に示す実施例では、マンド
レルは上部マンドレル24aと下部マンドレル24bと
に上下に二分されている。上部マンドレル24aは支点
26aを介してブラケット25に揺動可能に取り付けら
れ、一方、下部マンドレル24bは支点26bを介して
ブラケット25に揺動可能に取り付けられている。上部
マンドレル24aとブラケット25との間には押しスプ
リング50が設けられており、上部マンドレル24aを
下向きに常時賦勢している。また、下部マンドレル24
bとブラケット25との間にも押しスプリング50が設
けられており、下部マンドレル24bを上向きに常時賦
勢している。
【0082】上部マンドレル24aの下面には、カム従
動子となる凸部51とカムと係合しない凹部52とが、
上部マンドレルの長さ方向に交互に複数個形成されてい
る。同様に、下部マンドレル24bの上面には、カム従
動子となる凸部53とカムと係合しない凹部54とが、
下部マンドレルの長さ方向に交互に複数個形成されてい
る。
【0083】上部マンドレル24aと下部マンドレル2
4bとの間には、カムシャフト55が配置されており、
このカムシャフト55には複数個のカム56が所定間隔
をおいて設けられている。カムシャフト55の一端部
は、リンク30aを介して流体圧シリンダ−30に接続
されており、流体圧シリンダー30の動作に伴って、カ
ムシャフト55、従ってカム56は水平方向に往復移動
可能となっている。
【0084】図14に示す接着開始前の状態において、
流体圧シリンダー30のピストンは後退位置(図におい
て左側の位置)にあり、従ってカム56は上部マンドレ
ル24aの凹部52及び下部マンドレル24bの凹部5
4に収まった状態であり、マンドレル24a、24bの
一方の端部(右方端部)は径が縮小した状態にある。次
いで、流体圧シリンダー30に流体圧が供給され、リン
ク30aを介してシャフト55、従ってカム56は図1
5に示す位置まで右方に移動する。これにより、上部マ
ンドレル24aの凸部51及び下部マンドレル24bの
凸部53がカム56に乗り上げ、これによりマンドレル
24a、24bは揺動して、マンドレル24a、24b
の一方の端部(右方端部)は径が増大し、弾性体27に
よるテープ状樹脂3の溶接部2への接着が左側の端部か
ら右側の端部に向けて順次進行する。以後の動作は、前
に述べた実施例と同様に行われる。
【0085】本発明に用いる溶接部の補正装置は、本発
明の精神を逸脱しない範囲で多くの変更が可能である。
例えば、高周波誘導加熱装置36を、補正装置21のマ
ンドレル24の走行路の外周に沿って固定して設けるこ
ともできるし、またマンドレル24と対をなして走行す
るようユニット化して設けることもできる。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、溶接部内面側と対向す
べき部位の表面の曲率半径Rが缶胴の曲率半径R
りも小さい弾性体を備えたマンドレルの弾性体上にテー
プ状樹脂を配置し、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状
樹脂とが対面する位置関係でマンドレルに装着し、該装
着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴の溶接部
及びその近傍を加熱し、テープ状樹脂が配置された該弾
性体と溶接缶胴との間を押圧状態にして、溶接部に該テ
ープ状樹脂を接着することにより、溶接肩部から樹脂の
過度の流動による肩部上の樹脂の薄肉化を防止してカバ
レッジ性を向上させながら、段差部に隙間なしに樹脂を
充填することが可能となり、段差部でのフランジ加工や
巻締加工などに耐える加工性、更には耐食性や、耐デン
ト性に優れた、溶接部が補正された溶接缶胴を提供でき
る。また、弾性体によるテープ状樹脂の押圧を、溶接部
の高さ方向の一方の端部から他方の端部へと順次行うこ
とにより、溶接部の段差凹部から空気の排出を有効に行
いながら、段差部への樹脂の充填を効率よく行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による溶接缶胴の断面構造を示す断面図
である。
【図2】溶接部及びその近傍の断面構造を拡大して示す
断面図である。
【図3】缶胴溶接部、テープ状樹脂及び弾性体の押圧前
の配置を拡大して示す断面図である。
【図4】缶胴溶接部、テープ状樹脂及び弾性体の押圧後
の配置を拡大して示す断面図である。
【図5】溶接部が補正された缶胴の拡大断面図である。
【図6】溶接缶胴、テープ押圧用マンドレル及び溶接部
加熱用電磁コイルの押圧開始前の配置を示す側面配置図
である。
【図7】溶接缶胴、テープ押圧用マンドレル及び溶接部
加熱用電磁コイルの押圧開始後の配置を示す側面配置図
である。
【図8】溶接缶胴、テープ押圧用マンドレル及び溶接部
加熱用電磁コイルの押圧開始後の配置を示す垂直断面図
である。
【図9】溶接部加熱用電磁コイルの水平方向配置を示す
説明図である。
【図10】缶胴溶接部、テープ状樹脂及び弾性体の吸引
孔の部分の配置を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明に用いる装置の全体の配置を示す上面
図である。
【図12】テープのマンドレルへの配置及びマンドレル
への溶接缶胴の装着を説明するための側面図である。
【図13】テープのマンドレルへの配置を説明するため
の垂直断面図である。
【図14】本発明に用いるマンドレル押圧装置の他の例
の押圧開始前の状態を示す側面配置図である。
【図15】図14のマンドレル押圧装置の押圧時の状態
を示す側面配置図である。
【図16】図15における垂直方向断面図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接部内面側と対向すべき部位の表面の
    曲率半径Rが缶胴の曲率半径Rよりも小さい弾性体
    を備えたマンドレルの弾性体上にテープ状樹脂を配置す
    る配置工程と、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状樹脂
    とが対面する位置関係でマンドレルに装着する装着工程
    と、該装着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴
    の溶接部及びその近傍を加熱する加熱工程と、テープ状
    樹脂が配置された該弾性体と溶接缶胴との間を押圧状態
    にして、溶接部に該テープ状樹脂を接着する接着工程と
    を含むことを特徴とする溶接部が補正された溶接缶胴の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 弾性体の曲率半径Rが缶胴の曲率半径
    の0.4乃至0.9倍の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 テープ状樹脂が溶接缶胴に接触する段階
    において、溶接部及びその近傍がテープ状樹脂の接着面
    を構成する材料の融点乃至軟化温度以上に加熱されるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 接着工程において、テープ状樹脂が溶接
    缶胴の高さ方向における溶接部の一方の端部より他方の
    端部に向かって順次に押圧されることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 テープ状樹脂が表層の熱可塑性樹脂と表
    層の融点よりも少なくとも10℃低い融点乃至軟化温度
    を有する下層の熱可塑性樹脂とで構成されることを特徴
    とする請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該弾性体表面において、該テープ状樹脂
    の円周方向における両端部に近接した部位に位置し、且
    つ高さ方向に一定の間隔で設けられた一対の吸排気孔群
    から、該テープ状樹脂を吸引することにより、該テープ
    状樹脂が缶胴体に接着されるまでの間、該弾性体上に該
    テープ状樹脂を保持する請求項1乃至5の何れかの方
    法。
  7. 【請求項7】 該弾性体表面において、吸排気孔を通し
    て該テープ状樹脂を吸引することにより、該弾性体上に
    該テープ状樹脂を保持する工程と、該テープ状樹脂が該
    缶胴体と押圧を開始した時点にて該吸排気孔より高圧気
    体を噴出させることにより、該吸排気孔部にて接着時に
    該テープ状樹脂を該缶胴体に押圧する工程とを含む請求
    項1乃至6の何れかの方法。
  8. 【請求項8】 溶接部内面側と対向すべき部位の表面の
    曲率半径Rが缶胴の曲率半径Rよりも小さい弾性体
    を備えたマンドレルの弾性体上にテープ状樹脂を配置す
    る配置装置と、溶接缶胴を溶接部内面側とテープ状樹脂
    とが対面する位置関係でマンドレルに装着する装着装置
    と、該装着工程の前、後または前後にわたって溶接缶胴
    の溶接部及びその近傍を加熱する加熱装置と、テープ状
    樹脂が配置された該弾性体と溶接缶胴との間を押圧状態
    にして、溶接部に該テープ状樹脂を接着する接着装置と
    を含むことを特徴とする溶接部が補正された溶接缶胴の
    製造装置。
  9. 【請求項9】 弾性体表面の曲率半径Rが缶胴の曲率
    半径Rの0.4乃至0.9倍の範囲にあることを特徴
    とする請求項8に記載の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記配置装置がテープ状樹脂を弾性体
    表面に吸着保持し、且つ接着の際にはテープ状樹脂を押
    圧する吸排気孔を弾性体に備えていることを特徴とする
    請求項8又は9に記載の製造装置。
  11. 【請求項11】 該接着装置が該テープ状樹脂を保持し
    た該弾性体を含むマンドレルを揺動させて押圧する押圧
    手段を備えていることを特徴とする請求項8記載の製造
    装置。
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