JP2001258228A - 直流機のマグネット及び直流機 - Google Patents

直流機のマグネット及び直流機

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JP2001258228A
JP2001258228A JP2000063528A JP2000063528A JP2001258228A JP 2001258228 A JP2001258228 A JP 2001258228A JP 2000063528 A JP2000063528 A JP 2000063528A JP 2000063528 A JP2000063528 A JP 2000063528A JP 2001258228 A JP2001258228 A JP 2001258228A
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armature coil
magnet
magnetic flux
rectification
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JP2000063528A
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Hiroyuki Harada
博幸 原田
Takeshi Tanaka
猛 田中
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Asmo Co Ltd
Original Assignee
Asmo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】部分的に急激な磁束変化部を持つマグネット
と、そのマグネットを配置することによって常に良好な
整流を行うことができる直流機を提供する。 【解決手段】2極の直流モータであるブロアモータ1
は、モータハウジング7内において、N極及びS極を形
成する2つのマグネット2,3が電機子4を挟んで対向
配置されている。電機子4は、電機子コア8とそのコア
8に巻装される電機子コイル9とを有し、直流電流の供
給により回転駆動する。電機子コア8には、12個の歯
部8aが形成されており、そのうちの5つの歯部8aの
周囲に電機子コイル9が巻き付けられている。マグネッ
ト2,3を、薄肉部2c,3cを設けた形状に成形した
後に、外部から強い磁界をかけて薄肉部2c,3c付近
の磁束配向を急激に変化させるように着磁作業を行って
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネットを有し
て構成される直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5に示すように、直流モータ(直流電
動機)20は、マグネット21,22、電機子23、コ
ンミテータ24及びブラシ25等を有している。この直
流モータ20では、直流電源が供給されることで、電機
子23が図5(a)→(b)→(c)の順に回転するよ
うに構成されている。
【0003】詳しくは、電機子23は、電機子コア26
と電機子コイル27とを有している。電機子コア26に
は、複数の歯部26aが形成されており、そのうちの5
つの歯部26aの周囲に電機子コイル27が巻き付けら
れている。なお、図示を省略しているが、5つの歯部2
6a毎に他の電機子コイル27が同様に巻き付けられて
いる。つまり、この直流モータ20の巻装方式は分布巻
である。
【0004】コンミテータ24は、複数のセグメント2
4aを有し、そのセグメント24aに摺接するようにブ
ラシ25が配設されている。そして、直流電流がブラシ
25及びコンミテータ24のセグメント24aを経て電
機子コイル27に流入されるようになっている。これに
より、電機子コイル27に流れる電流の向きが変更され
て電機子23が時計回り方向(図中、X矢印方向)に回
転する。
【0005】ここで、ブラシ25から電機子コイル27
に流入される電流変化を図6を用いて説明する。先ず、
図6(a)に示すように電機子コイル27に右から左へ
電流Iが流れている状態から、電機子23が回転してコ
ンミテータ24が図6(b)のようにブラシ25に対し
て右側に移動する。すると、ブラシ25によって2つの
セグメント24aが短絡されて、電機子コイル27に短
絡電流iが流れる。さらに、電機子23が回転すると、
図6(c)のように、電機子コイル27には、左から右
へ電流Iが流れるようになる。つまり、図6(a)→
(b)→(c)の順に電機子23が回転するとき、その
際に電機子コイル27を流れる電流Iの向きが逆にな
る。なおこのとき、+Iから−Iまで2Iの変化をさせ
るための電流がブラシ25から流入される。また、図6
(a)〜(c)は、図5(a)〜(c)に対応してお
り、図5(a)→(b)→(c)のように電機子23が
回転する際に、電機子コイル27を流れる電流Iの向き
が変更され、そのコイル27に巻装された電機子コア2
6内の磁界の向きが反転する。この電機子コイル27の
電磁力と、マグネット21,22からの磁力とによって
回転力が発生し、モータ20が回転駆動する。
【0006】上述のように、ブラシ25によって短絡さ
れた電機子コイル27を流れる電流が、その短絡期間中
に反転することを、「整流」という。また、この整流時
の関係は、次式の整流方程式によって示される。
【0007】L(di/dt)+e+Rci+R2(I
+i)−R1(I−i)=0 ここで、L(di/dt)は、ブラシ25で短絡される
電機子コイル27のインダクタンスLの影響で生じるリ
アクタンス電圧を示し、eは、電機子23の回転に伴い
電機子コイル27に発生する誘起電圧を示す。また、R
cは、ブラシ25で短絡される電機子コイル27の抵抗
を示し、R1,R2は、ブラシ25とコンミテータ24
との接触抵抗を示す。なお、Iはブラシ25から流入さ
れる電流であり、iはブラシ25で短絡される電機子コ
イル27の短絡電流である。
【0008】整流時において、電機子コイル27のリア
クタンス電圧と誘起電圧eが小さく無視することができ
れば、短絡電流iは、図7の点線で示すように直線的に
変化して、整流を良好に行うことができる。なお、この
直線状の整流は、理想的な整流の一つであって直線整流
という。
【0009】しかしながら、電機子コイル27にリアク
タンス電圧及び誘起電圧eが発生するため、短絡電流i
は、図7の実線で示すように直線整流から遅れて変化す
る、いわゆる不足整流が発生する。詳しくは、誘起電圧
eは、電機子コイル27を通過する磁束量Φの変化によ
って同コイル27に誘起される逆起電力であって、次式
のように示される。
【0010】e=−dΦ/dt つまり、誘起電圧eは、電機子コイル27を通過する磁
束量Φが減少する速さに比例して発生する。
【0011】ここで具体的に、整流中の電機子コイル2
7に誘起される誘起電圧eを図8を用いて説明する。図
8には、電機子コイル27を通過する磁束量Φ、つま
り、電機子コイル27が巻き付けられた電機子コア26
(5つの歯部26a)内を通過する磁束量Φの変化と、
その磁束量Φの変化に応じて発生する電機子コイル27
の誘起電圧e(=−dΦ/dt)を示している。なお、
図8では、図5(b)の状態を基準位置0°としてい
る。即ち、電機子コイル27により巻装された電機子コ
ア26(5つの歯部26a)の中心が、マグネット2
1,22の中心と一致するときを基準位置0°として示
している。
【0012】電機子コイル27に電流が流れない状態で
は、電機子コイル27を通過する磁束量Φは、マグネッ
ト21,22からの磁束のみを考慮すればよく、図8の
(A)のように電機子23の回転位置が基準位置0°
(図5(b)の回転位置)のとき最も大きくなる。
【0013】また、電機子23の回転時には電機子コイ
ル27に電流が流れ、その電流によって起磁力が生じ
て、マグネット21,22の磁束に影響をおよぼすよう
になる。詳しくは、電機子コイル27に流れる電流は、
整流時、即ち、図5(a)→(b)→(c)の順に電機
子23が回転するときに反転するため、電機子コイル2
7による磁束量Φは、電機子23の回転位置に応じて図
8の(B)のように変化する。つまり、電機子23の回
転位置が基準位置0°となるとき正から負へ変化する。
その結果、マグネット21,22の磁束量(A)と電機
子コイル27の磁束量(B)が合成されて実際に電機子
コイル27を通過する磁束量Φは、電機子23の回転位
置に応じて図8の(C)(=(A)+(B))のように
変化する。つまり、電機子23が基準位置0°に到達す
る前に、合成磁束量(C)は最も大きくなる。よって、
電機子コイル27の誘起電圧eは、この磁束量(C)が
最大となる位置で、負から正へ変化する。
【0014】このように、誘起電圧eは整流を遅らせる
方向に誘起され、短絡電流iの反転が遅れて不足整流の
原因となってしまう。この不足整流によって整流の終わ
り、即ち、ブラシ後端での火花放電が発生し、騒音及び
ブラシ摩耗の原因となってしまう。整流改善方法とし
て、ブラシ位置を図5の反時計回り方向に移動させるこ
とで、電機子コイル27の誘起電圧eの影響を小さくす
るようにしている。
【0015】ところが、モータ負荷が変動する場合で
は、電機子コイル27を流れる電流が変わり、モータ回
転数も変化するため、良好な整流を保つことが困難とな
ってしまう。具体的には、例えば、自動車用エアコンユ
ニットで使用されるブロアモータにおいて、高負荷とな
る高回転時では、電流が大きくなるため合成磁束量
(C)が最大となる位置が回転方向に対して反対側(図
8のマイナス側)に移動することとなる。また、回転数
が高くなるため合成磁束量(C)による誘起電圧eも大
きくなる。さらに、電機子コイル27の電流に応じてリ
アクタンス電圧も大きくなる。従って、ブラシ位置の移
動量を大きくしないと良好な整流を得ることができな
い。また逆に、低負荷となる低回転時では、ブラシ位置
の移動量を小さくしないと良好な整流を得ることができ
ない。このように、モータ負荷の変動に応じてブラシ位
置をたえず移動する必要があり、良好な整流を保つこと
が困難となってしまう。
【0016】そこで、本出願人が先に整流中の電機子コ
イルにリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧を発生させ
ることによって整流を改善する技術を提案している(特
許願平11−270566に参照)。その技術では、マ
グネットの端部に延長部を設けることでマグネットの磁
束制御によりリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧を発
生させるようにしている。そのマグネットの磁束制御
は、マグネット磁束の配向制御とマグネットの形状変化
で磁界を変化させる形状変更との2つの方法を提案し、
マグネット磁束の配向制御とマグネットの形状変更との
2つの方法を別々でマグネットの磁束制御に実施してい
た。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マグネット
磁束の配向制御のみによるマグネットの磁束制御におい
ては、図9に示すように、マグネット21,22の主磁
極部21a,22aの端部に設けた延長部21b,22
bの開始点付近に部分的に磁束配向を変えるために、マ
グネット成形工程時外部からその開始点付近部分21
c,22cに強い磁界をかける必要がある。その部分的
な配向変化が急激であればあるほど強い磁界が必要とな
り、配向制御には限界があった。
【0018】また、マグネットの形状変更のみによるマ
グネットの磁束制御においては、図10に示すように、
マグネット21,22の主磁極部21a,22aの端部
に設けた延長部21b,22bの開始点付近の磁界強度
を変えるために、その開始点付近部分21c,22cの
厚さを減少する必要がある。これも磁界変化が急激であ
ればあるほどその開始点付近部分21c,22cの厚さ
を大幅に減少する必要となるため、マグネット自体の強
度低下になり組み付け時破損等の原因となってしまうお
それがあった。
【0019】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、マグネットの磁束制御
をマグネット磁束の配向制御とマグネットの形状変更の
2方式で同時に行うことにより部分的に急激な磁束変化
部を持つマグネットと、そのマグネットを配置すること
によって常に良好な整流を行うことができる直流機を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、主磁極部と、該主磁極
部の端部に設けた延長部とを備え、電機子コアに電機子
コイルを巻装して構成される電機子を挟んで対向配置さ
れる直流機のマグネットにおいて、前記電機子の回転方
向側における延長部の開始点に形状変更部を設けるとと
もに、その形状変更部付近の磁束を、同形状変更部を中
心にそれぞれ前記主磁極部側と延長部側に向いて傾斜し
て配向させるように配向制御したことを要旨とする。
【0021】請求項2に記載の発明は、電機子コアに電
機子コイルを巻装して構成される電機子と、主磁極部
と、整流中の前記電機子コイルにリアクタンス電圧を打
ち消す誘起電圧を発生させるために前記主磁極部の端部
に設けた延長部とを有し、前記電機子を挟んで対向配置
されるマグネットとを備え、整流中にブラシで短絡され
る前記電機子コイルの電流の向きが反転する直流機にお
いて、前記マグネットは、その電機子の回転方向側にお
ける延長部の開始点に形状変更部を設けるとともに、該
形状変更部付近の磁束を、同形状変更部を中心にそれぞ
れ前記主磁極部側と延長部側に向いて傾斜して配向させ
るように配向制御したことを要旨とする。
【0022】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の直流機において、前記整流中の電機子コイルに発生さ
せる誘起電圧は、初期が小さく徐々に大きくしたことを
要旨とする。
【0023】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の直流機において、前記整流中の電機子コイルに発生さ
せる誘起電圧は、初期が小さく徐々に大きくし、前記リ
アクタンス電圧に完全に一致させたことを要旨とする。
【0024】請求項5に記載の発明は、請求項2に記載
の直流機において、前記整流中の電機子コイルに発生さ
せる誘起電圧は、初期が大きく徐々に小さくしたことを
要旨とする。
【0025】請求項6に記載の発明は、請求項2〜5の
いずれか一項に記載の直流機において、前記電機子コア
には複数の歯部が形成され、前記マグネットの延長部
は、整流時に電流が供給される電機子コイルが巻装され
る複数の歯部のうち回転方向側及び回転方向逆側の端部
に配置する歯部の中心線間の角度よりも延長した部分で
あることを要旨とする。
【0026】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
マグネットの形状変更と磁束配向制御を同時に行うこと
により、部分的に急激な磁束変化を形成することができ
るため、従来に比べて形状変更のみによるマグネットの
破損及び磁束配向制御のみによる磁束制御の不十分を防
止することができる。その結果、部分的に急激な磁束変
化部を持つマグネットを簡単に製造することができる。
【0027】請求項2に記載の発明によれば、リアクタ
ンス電圧を打ち消す誘起電圧が発生するので、常に良好
な整流を行うことができるとともに、マグネットの形状
変更と磁束配向制御を同時に行うことにより、部分的に
急激な磁束変化を形成することができるため、従来に比
べて形状変更のみによるマグネットの破損及び磁束配向
制御のみによる磁束制御の不十分を防止することができ
る。その結果、部分的に急激な磁束変化部を持つマグネ
ットを簡単に製造することができるとともに、直流機の
整流改善を確実に図ることができる。
【0028】請求項3に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明の作用に加えて、整流初期が小さく徐々に
大きくなる誘起電圧によってリアクタンス電圧が打ち消
され、整流が良好に行われる。
【0029】請求項4に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明の作用に加えて、整流初期が小さく徐々に
大きくなる誘起電圧によってリアクタンス電圧が完全に
打ち消され、理想的な直線整流となる。
【0030】請求項5に記載の発明によれば、請求項2
に記載の発明の作用に加えて、整流初期が大きく徐々に
小さくなる誘起電圧によってリアクタンス電圧が打ち消
され、整流が良好に行われる。
【0031】請求項6に記載の発明によれば、請求項2
〜5に記載の発明の作用に加えて、整流時に電流が供給
される電機子コイルが巻装される複数の歯部のうち回転
方向側及び回転方向逆側の端部に配置する歯部の中心線
間の角度よりも延長してマグネットの延長部が形成され
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車用エアコン
ユニットのブロアモータに具体化した実施形態を図面に
従って説明する。なお、エアコンユニットでは、操作ス
イッチの位置によってブロアモータに流れる電流の大き
さが変更される。具体的には、操作スイッチが、Hi位
置(高出力位置)に操作されたとき、モータの電機子に
18Aの電流が流れ、Lo位置(低出力位置)に操作さ
れたとき、モータの電機子に4Aの電流が流れるように
構成されている。この電流変化によって、モータ回転数
が変更されてエアコンユニットに送り込まれる風量が調
節される。
【0033】図1は、直流機としてのブロアモータ1の
概略構造を示す部分断面図である。図1に示すように、
ブロアモータ1は、マグネット2,3、電機子4、コン
ミテータ(整流子)5及びブラシ6を有している。
【0034】詳述すると、本実施形態のブロアモータ1
は、2極の直流モータであって、モータハウジング7内
において、N極及びS極を形成する2つのマグネット
2,3が電機子4を挟んで対向配置されている。電機子
4は、電機子コア8とそのコア8に巻装される電機子コ
イル9とを有し、直流電流の供給により回転駆動する。
電機子コア8には、複数の歯部8aが形成されており、
そのうちの5つの歯部8aの周囲に電機子コイル9が巻
き付けられている。なお、本実施形態では、歯部8aの
個数は12個であり、その歯部8aが、電機子4の周方
向に30°毎に形成されている。つまり、隣り合う歯部
8aは、その中心線のなす角が30°(=360°/1
2)となるように形成されている。また、図示を省略し
ているが、複数の他の電機子コイルが5つの歯部8a毎
に同様に巻き付けられている。つまり、巻線の巻装方式
は分布巻である。
【0035】コンミテータ5は、電機子4の一端に配設
され、複数のセグメント(整流子片)5aを有して構成
されている。また、ブラシ6がコンミテータ5に摺接す
るように付勢された状態で配設されている。そして、図
示しない直流電源から供給される直流電流が、ブラシ6
とコンミテータ5のセグメント5aを経て電機子コイル
9に流入される。これによって、電機子コイル9に流れ
る電流の向きが変更されて、電機子4が時計回り方向
(図中、X矢印方向)に回転するようになっている。本
実施形態では、12個のセグメント5aが周方向に30
°毎に設けられており、電機子4がブラシ6に対して3
0°回転するとき、電機子コイル9の電流の向きが変更
される。つまり、電機子4の30°の回転によって電機
子コイル9の整流が行われる。
【0036】本実施形態のマグネット2,3は、図2に
示すように、主磁極部2a,3aと延長部2b,3bと
を有し、主磁極部2a,3aは、図5に示す従来のマグ
ネット21,22に相当する部分であって、その主磁極
部2a,3aの回転方向側に延長部2b,3bが形成さ
れている。つまり、マグネット2,3における回転方向
側の端部に延長部2b,3bが延出形成されている。主
磁極部2a,3aは、図1及び図2に示すように、整流
中の電機子コイル9が巻装される5つの歯部のうち回転
方向側及び回転方向逆側の端部に配置する歯部8aの中
心線間の角度(=120°の角度)に対応した長さとな
るように形成されている。その主磁極部2a,3aの中
心と整流中の電機子コイル9が巻装される電機子コア8
(5つの歯部8a)の中心が一致する回転位置(図1の
回転位置)が整流中心となる。つまり、この回転位置に
おいて、ブラシ6によって短絡される電機子コイル9の
電流の向きが反転する。また、延長部2b,3bは、整
流区間の30°の角度に対応する区間で、該延長部2
b,3bと主磁極部2a,3aの境界部(つまり延長部
2b,3bの開始点)には形状変更部としての薄肉部2
c,3cが形成されている。つまり、延長部2b,3b
は、回転方向に徐々に厚くなるように形成されている。
【0037】さらに、延長部2b,3bにおける先端側
の5°の角度に対応する区間では、徐々に薄くなるよう
形成されている。ただし、この延長部2b,3bにおけ
る先端側の区間は、モータ1の性能上最適化がはかれれ
ば、特に5°の角度に限定する必要はない。
【0038】なお、本実施形態では、マグネット2,3
を、図2に示すように薄肉部2c,3cを設けた形状に
成形した後に、外部から強い磁界をかけて薄肉部2c,
3c付近の磁束配向を図2に示すように急激に変化させ
るように着磁作業を行っている。つまり、マグネット
2,3の磁束を、図2に示すように、薄肉部2c,3c
を中心にそれぞれ主磁極部2a,3a側と延長部2b,
3b側に向いて傾斜して配向させるように配向制御して
いる。
【0039】ここで、整流時の電機子コイル9によって
巻装される電機子コア8(5つの歯部8a)とマグネッ
ト2との位置関係を図3を用いて説明する(マグネット
3が同じであるため、説明を省略する)。なお、図3
は、断面円弧状に形成されたマグネット2を直線上に展
開して示した模式図である。また、図3において、マグ
ネット2の周方向の幅を角度で示し、整流時の電機子コ
イル9によって巻装される電機子コア8(5つの歯部8
a)を150°(5×30°)の幅で示している。
【0040】電機子4が回転して電機子コア8の位置が
図3の(a)のようにコア先端がマグネット2の薄肉部
2cに位置するとき電機子コイル9の整流が開始され
る。その状態から(b)のように15°回転した位置が
整流中心(図1の回転位置)となり、この位置で電機子
コイル9を流れる電流の方向が反転する。さらに、
(c)のように15°回転した回転位置で整流が終了す
る。つまり、電機子コア8が(a)→(b)→(c)の
順に30°回転するときに電機子コイル9の整流が実施
される。この整流時において、電機子コア8の先端に対
向する延長部2bは、整流区間の30°の角度に対応す
る部分で徐々に厚くなるように形成されている。
【0041】従って、図4に示すように、整流中の電機
子コイル9を通過する磁束量Φは、マグネット2,3の
薄肉部2c,3cの形成(つまりマグネット2,3の形
状変更)によって電機子4の回転に応じて徐々に増加す
る。またこのとき、磁束量Φの増加率はマグネット2,
3の薄肉部2c,3c付近の急激な磁束変化によって回
転に応じて徐々に増加する。なお、ここで示す磁束量Φ
の変化は、電機子コイル9に流れる電流による磁束量
と、マグネット2,3による磁束量との合成磁束量を示
しており、図中の点線は、図8における合成磁束量
(C)に対応するものである。
【0042】このように、整流中の電機子コイル9を通
過する磁束量Φが変化するため、電機子コイル9に発生
する誘起電圧e(=−dΦ/dt)は、整流初期時が小
さく電機子4の回転位置に応じてマイナス側に徐々に大
きくなる。なお、図4では、電機子コイル9により巻装
される電機子コア8(5つの歯部8a)の中心とマグネ
ット2,3の主磁極部2a,3aの中心とが一致すると
き、即ち、図1における電機子23の回転位置を基準位
置0°として示している。
【0043】この誘起電圧eによって、リアクタンス電
圧が打ち消されて、図7に示す不足整流が改善される。
つまり、リアクタンス電圧に完全に一致する誘起電圧e
を発生させることで、整流曲線が図7の点線で示すよう
な理想的な整流の1つである直線整流になる。
【0044】また、エアコンのスイッチ操作によってブ
ロアモータ1の負荷が変更された場合では、電機子コイ
ル9を流れる電流が変化してリアクタンス電圧が増減す
るが、誘起電圧eはモータ負荷に応じてリアクタンス電
圧を打ち消すように変化する。
【0045】具体的に、操作スイッチがHi位置に操作
され、電機子コイル9に18Aの電流が流れると、電機
子コイル9の電流に応じてリアクタンス電圧が増加す
る。この場合、モータ回転数が高くなって誘起電圧eが
増加する。また、操作スイッチがLo位置に操作され、
電機子コイル9に4Aの電流が流れると、電機子コイル
9の電流に応じてリアクタンス電圧が減少する。この場
合、モータ回転数が低くなり、誘起電圧eが小さくな
る。このようにモータ負荷に応じて、リアクタンス電圧
が変化するが、そのリアクタンス電圧を打ち消すように
誘起電圧eも変化する。従って、モータ負荷が変動する
場合でも、良好な整流が保たれるので安定した運転が継
続される。
【0046】以上記述したように、本実施の形態によれ
ば、下記のような特徴を有する。 (1)本実施形態では、マグネット2,3を、薄肉部2
c,3cを設けた形状に成形した後に、外部から強い磁
界をかけて薄肉部2c,3c付近の磁束を、薄肉部2
c,3cを中心にそれぞれ主磁極部2a,3a側と延長
部2b,3b側に向いて傾斜して配向させるようにし
た。
【0047】従って、リアクタンス電圧を打ち消す誘起
電圧eが発生するので、常に良好な整流を行うことがで
きる。さらに、マグネット2,3の形状変更と磁束配向
制御を同時に行うことにより、部分的に急激な磁束変化
を形成することができるため、従来に比べて形状変更の
みによるマグネットの破損及び磁束配向制御のみによる
磁束制御の不十分を防止することができる。
【0048】その結果、ブロアモータ1の整流改善を確
実に図ることができるとともに、部分的に急激な磁束変
化部を持つマグネット2,3を簡単に製造することがで
きる。
【0049】尚、本実施形態は、以下の態様で実施して
もよい。 ○上記実施形態のマグネット2,3では、電機子4の回
転方向側における端部に延長部2b,3bを配設するも
のであったが、これに限定されず、電機子4の回転方向
側と回転方向逆側におけるマグネット2,3の両端部に
延長部(図示せず)を配設して実施してもよい。この場
合、上記実施形態の特徴(1)に記載された効果と同様
な効果を得ることができる。
【0050】○上記実施形態では、マグネット2,3
を、薄肉部2c,3cを設けた形状に成形した後に、外
部から強い磁界をかけて薄肉部2c,3c付近の磁束配
向を急激に変化させるように着磁作業を行っていたが、
マグネット2,3を、外部から強い磁界をかけて薄肉部
2c,3cを形成すべく部分の磁束配向を急激に変化さ
せた後に、薄肉部2c,3cを設けるようにして実施し
てもよい。この場合、上記実施形態の特徴(1)に記載
された効果と同様な効果を得ることができる。
【0051】○上記実施形態では、整流曲線を理想的な
整流の一つである直線整流にするよう延長部2b,3b
が形成されていたが、例えば、整流の開始時及び終了時
の電流変化がゆるやかとなる、いわゆる正弦波整流とな
るように、マグネットの延長部を形成してもよい。この
場合も、整流が良好に実施されるので、ブラシ前端及び
ブラシ後端での火花の発生を抑制できる。
【0052】○上記実施形態では、直流機としてブロア
モータ1に具体化したが、直流発電機において、上記の
マグネット2,3を採用してもよい。この場合も、整流
が良好に実施されるので、同発電機において運転状態が
変更されたとしても安定した運転が実現できる。
【0053】さらに、上記実施形態により把握される請
求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果と
共に記載する。 (イ)直流電源の供給により回転駆動する請求項2〜6
のいずれか一項に記載の直流機。この構成によれば、直
流電源の供給により回転駆動する、いわゆる直流発動機
において、負荷が変動した場合でも整流を良好に行うこ
とができ、適正な回転駆動力を得ることができる。
【0054】(ロ)請求項2〜6のいずれか一項に記載
の直流機において、前記マグネット(2,3)は、主磁
極部(2a,3a)と前記延長部(2b,3b)とを有
し、前記電機子コア(8)には複数の歯部(8a)が形
成され、前記マグネット(2,3)の主磁極部(2a,
3a)は、整流時に電流が供給される電機子コイル
(9)が巻装される複数の歯部(8a)のうち回転方向
側と回転方向逆側の端部に配置する歯部(8a)の中心
間の角度に対応した幅となるよう形成され、前記マグネ
ット(2,3)の延長部(2b,3b)は、その主磁極
部(2a,3a)に対して延長形成した部分である。こ
の構成によれば、マグネットの主磁極部に対して延長形
成した延長部により、リアクタンス電圧を打ち消す誘起
電圧が発生し、整流を良好に行うことができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、部分的に急激な磁束変化部を持つマグネ
ットを簡単に製造することができる。
【0056】請求項2〜6に記載の発明によれば、部分
的に急激な磁束変化部を持つマグネットを簡単に製造す
ることができるとともに、直流機の整流改善を確実に図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における直流モータの概略構成図。
【図2】本実施形態におけるマグネットの外形図。
【図3】マグネットと電機子の回転位置との関係を示す
模式図。
【図4】電機子コアの回転位置と磁束量及び誘起電圧と
の関係を示す図。
【図5】従来の直流モータの概略構成図。
【図6】整流を説明するための図。
【図7】整流曲線を示す図。
【図8】電機子コアの回転位置と磁束量及び誘起電圧と
の関係を示す図。
【図9】磁束配向制御のみによる磁束制御をしたマグネ
ットの説明図。
【図10】形状変更のみによる磁束制御をしたマグネッ
トの説明図。
【符号の説明】
1…直流機としてのブロアモータ、2,3…マグネッ
ト、2a,3a…主磁極部、2b,3b…延長部、2
c,3c…形状変更部としての薄肉部、4…電機子、6
…ブラシ、8…電機子コア、8a…歯部、9…電機子コ
イル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H622 CA02 CA05 CA10 CA12 CB04 QA02 QA03 QB01 5H623 AA10 BB07 GG13 GG16 GG22 GG28 JJ03 JJ08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主磁極部(2a,3a)と、該主磁極部
    (2a,3a)の端部に設けた延長部(2b,3b)と
    を備え、電機子コア(8)に電機子コイル(9)を巻装
    して構成される電機子(4)を挟んで対向配置される直
    流機のマグネットにおいて、 前記電機子(4)の回転方向側における延長部(2b,
    3b)の開始点に形状変更部(2c,3c)を設けると
    ともに、 その形状変更部(2c,3c)付近の磁束を、同形状変
    更部(2c,3c)を中心にそれぞれ前記主磁極部(2
    a,3a)側と延長部(2b,3b)側に向いて傾斜し
    て配向させるように配向制御したことを特徴とする直流
    機のマグネット。
  2. 【請求項2】 電機子コア(8)に電機子コイル(9)
    を巻装して構成される電機子(4)と、 主磁極部(2a,3a)と、整流中の前記電機子コイル
    (9)にリアクタンス電圧を打ち消す誘起電圧を発生さ
    せるために前記主磁極部(2a,3a)の端部に設けた
    延長部(2b,3b)とを有し、前記電機子(4)を挟
    んで対向配置されるマグネットとを備え、整流中にブラ
    シで短絡される前記電機子コイルの電流の向きが反転す
    る直流機において、 前記マグネット(2,3)は、その電機子(4)の回転
    方向側における延長部(2b,3b)の開始点に形状変
    更部(2c,3c)を設けるとともに、該形状変更部
    (2c,3c)付近の磁束を、同形状変更部(2c,3
    c)を中心にそれぞれ前記主磁極部(2a,3a)側と
    延長部(2b,3b)側に向いて傾斜して配向させるよ
    うに配向制御したことを特徴とする直流機。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の直流機において、 前記整流中の電機子コイル(9)に発生させる誘起電圧
    は、初期が小さく徐々に大きくしたことを特徴とする直
    流機。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の直流機において、 前記整流中の電機子コイル(9)に発生させる誘起電圧
    は、初期が小さく徐々に大きくし、前記リアクタンス電
    圧に完全に一致させたことを特徴とする直流機。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の直流機において、 前記整流中の電機子コイル(9)に発生させる誘起電圧
    は、初期が大きく徐々に小さくしたことを特徴とする直
    流機。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれか一項に記載の直
    流機において、 前記電機子コア(8)には複数の歯部(8a)が形成さ
    れ、 前記マグネット(2,3)の延長部(2b,3b)は、
    整流時に電流が供給される電機子コイル(9)が巻装さ
    れる複数の歯部(8a)のうち回転方向側及び回転方向
    逆側の端部に配置する歯部(8a)の中心線間の角度よ
    りも延長した部分であることを特徴とする直流機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1215799A1 (en) * 2000-12-18 2002-06-19 Asmo Co., Ltd. Direct-current motor
CN100468924C (zh) * 2003-06-10 2009-03-11 阿斯莫株式会社 具有连续排列的磁极的直流电机

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