JP3730912B2 - 直流機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネットを有した直流機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来では、自動車ワイパモータは、ブラシを有する直流モータが採用されている。この中では、3ブラシモータ、所謂第3のブラシを用いたモータがある。この種のモータは、モータの回転速度を変える目的でその第3のブラシが用いられている。その主な原理としては、使用する磁束を減少させることによってモータの回転速度を高くするものである。具体的には、設置位置の異なるブラシを設けておき、電機子コイルの通電範囲をブラシの選択(組み合わせ)により変えることで簡単に実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の構成はモータの通常運転(低速仕様)において、高速用のブラシ(第3のブラシ)が隣り合う整流子片を跨ぐ毎に、該ブラシ(第3のブラシ)により短絡される電機子コイル中に発生している誘導起電力により通電方向と逆向きに大きな電流が瞬間的に流れる。図12において、ピークA2,B2は、その電機子コイル中に流れるコイル電流の瞬間変化を示している。これにより、ブラシで火花放電が発生することから、電気雑音やブラシ摩耗を引き起こし、所謂第3のブラシによる整流障害を引き起こす。そこで、モータの駆動回路に雑音防止ためのコイル(インダクター)やコンデンサ等を複数組み合わせて対応していた。これは、モータの部品点数及びコストの低減を図る上の問題点となった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、マグネットの磁束分布を変えることで、所謂第3のブラシによる整流障害を取り除くことができ、部品点数及びコストの低減を図ることができる直流機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、等角度間隔に設けた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装し前記電機子コイルがコンミュテータに結線される電機子と、前記電機子を挟んで対向配置される一対のマグネットと、前記電機子の中心軸に対して対向位置に配置され、前記コンミュテータのセグメントに接触する第1及び第2のブラシと、該第1及び第2のブラシの対向位置から所定角度をなして配置され、前記セグメントに接触する少なくとも1つの第3のブラシとを備えた直流機において、前記一対のマグネット中の1つのマグネットには、該マグネットより透磁率の大きい材料からなる構成部を設け、その構成部は、前記電機子が前記第1のブラシと第2のブラシにて給電され回転する状態で、前記第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡し始めるとき、当該両セグメントに結線した電機子コイルが巻装される複数のティースの回転方向側第1番目ティースのティースバー回転方向先端が該構成部にさしかかるようになる場所に設けられているとともに、第3のブラシが両セグメントを短絡する期間となる回転方向角度に対応する幅にて形成されていることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、等角度間隔に設けた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装し前記電機子コイルがコンミュテータに結線される電機子と、前記電機子を挟んで対向配置される一対のマグネットと、前記電機子の中心軸に対して対向位置に配置され、前記コンミュテータのセグメントに接触する第1及び第2のブラシと、該第1及び第2のブラシの対向位置から所定角度をなして配置され、前記セグメントに接触する少なくとも1つの第3のブラシとを備えた直流機において、前記一対のマグネット中の1つのマグネットには、該マグネットより透磁率の大きい材料からなる構成部を設け、その構成部は、前記電機子が前記第1のブラシと第2のブラシにて給電され回転する状態で、前記第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡し始めるとき、当該両セグメントに結線した電機子コイルが巻装される複数のティースの回転方向逆側第1番目ティースのティースバー回転方向後端が該構成部にさしかかるようになる場所に設けられているとともに、第3のブラシが両セグメントを短絡する期間となる回転方向角度に対応する幅にて形成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流機において、前記構成部は、前記マグネットを分断した分割片間に形成された隙間に透磁率の大きい材料を埋め込んで電機子の中心軸と平行となるように全体に亘って形成されるようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流機において、前記構成部は、前記マグネットを切り欠いて形成された切り欠き部に透磁率の大きい材料を埋め込むように形成されるようにしたことを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1に記載の直流機において、前記構成部は、軟鋼から形成されていることを要旨とする。
(作用)
請求項1〜5に記載の発明によれば、第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡する瞬間に磁束の変化が減少することから、従来に比べて電機子コイル内に発生する誘導起電力が押さえられ逆向きの激しい電流変化は起きない。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、マグネットの幅方向全体に亘って磁束が減少することから、直流機の電気雑音やブラシ摩耗の低減を図る作用はより大きくなる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、構造が簡単であり、材料の部分がはっきりさせつつ容易に製造できる。
請求項5に記載の発明によれば、構成部は軟鋼から形成されているため、マグネット全体の剛性を確保できるとともに、マグネットの製造は容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を直流機としての直流モータ(例えばワイパモータ)に具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態のワイパモータ1の概略構造を示す部分断面図である。
【0013】
図1に示すように、ワイパモータ1は、マグネット2,3、電機子4、コンミテータ5及び複数のブラシ6〜8を有している。
詳述すると、本実施形態のワイパモータ1は、2極の直流モータであって、モータハウジングヨーク9内において、N極及びS極を形成する2つのマグネット2,3が電機子4を挟んで対向配置されている。電機子4は、電機子コア10とそのコア10に巻装される電機子コイル11とを有し、直流電流の供給により回転駆動する。
【0014】
電機子コア10には、複数のティース10aが形成されており、そのうちのn個のティース10aの周囲に電機子コイル11が巻き付けられている。なお、本実施形態では、ティース10aの個数は12個であり、そのティース10aが、電機子4の周方向に30°毎に形成されている。つまり、隣り合うティース10aは、その中心線のなす角(モータ電機子スロット角)θが30°(=360°/12)となるように形成されている。また、図示を省略しているが、複数の電機子コイル11が5つのティース10a毎に同様に巻き付けられている。つまり、巻線の巻装方式は分布巻である。
【0015】
コンミテータ5は、電機子4の一端に配設され、複数のセグメント12を有して構成されている。本実施形態では、12個のセグメント12が周方向に30°毎に設けられている。図1に示すように、前記5つのティース10aに巻装された電機子コイル11は該5つのティース10aと略対向する側の2つのセグメント12(例えばセグメント12a,12b)に結線している。
【0016】
また、複数のブラシ6〜8は、コンミテータ5に摺接するように付勢された状態で配設されている。本実施形態では、3つのブラシ6〜8が配設されている。その中で、図1に示すように、第1及び第2のブラシとしての第1及び第2ブラシ6,7は、180°離れた(対向する)関係に配設され、第3のブラシとしての第3ブラシ8は、第1ブラシ6と所定の角度δをなすように配設されている。本実施形態では、角度δは第1ブラシ6から回転方向になす鋭角となるように設定されている。さらに、ブラシ6〜8は、それぞれの端子6a〜8aを介して直流電源回路13に接続されている。
【0017】
詳述すると、直流電源回路13は、直流電源14と切り替えスイッチ15を備えて、ブラシ6,8は、それぞれ端子6a,8a及び切り替えスイッチ15を介して直流電源14のプラス電極に接続され、第2ブラシ7は、端子7aを介して直流電源14のマイナス電極に接続されている。つまり、運転状況によって切り替えスイッチ15を切り替えてブラシ6,7を介してモータ1に給電させるか又はブラシ7,8を介してモータ1に給電させるかを選択する。
【0018】
本実施形態では、通常運転(低速仕様)の場合、ブラシ6,7を介してモータ1に給電させるよう切り替えスイッチ15を切り替え、高速運転の場合、ブラシ7,8を介してモータ1に給電させるよう切り替えスイッチ15を切り替えるようにしている。つまり、ブラシ6,7は、低速回転である第1ポジションに配置され、ブラシ7,8は、高速回転である第2ポジションに配置されている。
【0019】
そして、切り替えスイッチ15の切替によって、直流電源14から供給される直流電流が、ブラシ6,7又はブラシ7,8とコンミテータ5のセグメント12を経て電機子コイル11に流れる。これによって、電機子4が時計回り方向(図中、X矢印方向)に回転する。
【0020】
前記マグネット2,3は、所定長さ(例えば図1に示すように、前記モータ電機子スロット角度θの整数倍となる開角度(4θ=120°)に対応した長さ)にて互いに電機子4の中心軸に対して点対称となるように形成されている。
【0021】
マグネット2には、図1及び図2に示すように、所定位置に該マグネット2より透磁率の大きい材料からなる構成部としての軟鋼構成部16が設けられている。本実施形態では、マグネット2は2つの分割片2a,2bに分断され、その両分割片2a,2b間に隙間2cが形成されている。前記軟鋼構成部16は、前記隙間2cにマグネット2より透磁率の大きい材料としての軟鋼を埋め込むように形成されている。つまり、図2に示すように、軟鋼構成部16は電機子4の中心軸と平行となるように全体に亘って前記両分割片2a,2bと一体に形成されている。
【0022】
また、前記軟鋼構成部16は、マグネット2の回転方向側端部に近い所定場所に設けられている。この所定場所は、図1に示すように、第3ブラシ8が電機子4の回転中に両セグメント12a,12bを短絡し始めるとき、当該両セグメント12a,12bに結線した前記電機子コイル11が巻装される5つのティース10aの回転方向側第1番目ティース10aのティースバー回転方向先端が該軟鋼構成部16にさしかかるようになる場所に設定されている。また、図1に示すように、軟鋼構成部16は、第3ブラシ8が両セグメント12a,12bを短絡する期間となる回転方向角度θ1に対応する幅にて形成されている。
【0023】
図3は、ブラシ6,7にて給電する状態(通常運転)で第3ブラシ8が隣り合う両セグメント12を短絡するとき、当該両セグメント12に結線した電機子コイル11に流れる電流の変化を示している。本実施形態では、図1に示すように、ブラシ6,7にて給電する状態(通常運転)で電機子4が時計回り方向に回転する場合、第3ブラシ8が隣り合う両セグメント12を短絡し始めるとき、当該両セグメント12に結線した電機子コイル11が巻装される5つのティース10aの回転方向側第1番目ティース10aのティースバー回転方向先端が前記軟鋼構成部16にさしかかる。言い換えれば、通常運転中に、電機子コイル11が巻装される5つのティース10aの回転方向側第1番目ティース10aのティースバー回転方向先端が前記軟鋼構成部16にさしかかるとき、該電機子コイル11が結線した両セグメント12は第3ブラシ8により短絡し始める。ブラシ6,7にて給電するモータ1の通常運転において、第3ブラシ8が隣り合う両セグメント12a,12bを短絡するとき、両セグメント12a,12bに結線した電機子コイル11が巻装されるティース10aは透磁率の大きい軟鋼構成部16にさしかかることから、従来に比べて電機子コイル11内に発生する誘導起電力が押さえられる。これにより、図3に示すように、電機子コイル11内に流れるコイル電流ではピークA1及びピークB1が表したが、従来のような逆向きの激しい電流変化は起きない。
【0024】
以上記述したように、本実施の形態によれば、下記のような特徴を有する。
(1) マグネット2には、該マグネット2より透磁率の大きい材料からなる軟鋼構成部16を設けた。その軟鋼構成部16は、電機子4が第1ブラシ6と第2ブラシ7にて給電され回転する状態で、第3ブラシ8が隣り合う両セグメント12a,12bを短絡し始めるとき、当該両セグメント12a,12bに結線した電機子コイル11が巻装される5つのティース10aの回転方向側第1番目ティース10aのティースバー回転方向先端が該構成部16にさしかかるようになる場所に設けられている。また、構成部16は、第3ブラシ8が両セグメント12a,12bを短絡する期間となる回転方向角度θ1に対応する幅にて形成されている。
【0025】
従って、第3ブラシ8が隣り合う両セグメント12を短絡する瞬間に磁束の変化が減少することから、従来に比べて電機子コイル11内に発生する誘導起電力が押さえられ逆向きの激しい電流変化は起きない。
【0026】
その結果、第3ブラシ8での火花放電が防止され、モータ1の電気雑音やブラシ摩耗の低減を図ることができる。これにより、モータ1の駆動回路に雑音防止ためのコイル(インダクター)やコンデンサ等を複数組み合わせる必要がなくなり、モータ1の部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【0027】
(2) マグネット2に透磁率の大きい軟鋼構成部16を設けることにより第3ブラシによる整流障害を低減することができるため、製造も容易でコスト的にも有利である。
【0028】
(3) 軟鋼構成部16は、電機子4の中心軸と平行となるように全体に亘って形成されているため、モータ1の電気雑音やブラシ摩耗の低減を図る効果はより大きくなる。
【0029】
(4) 軟鋼構成部16は、軟鋼から形成されている。従って、マグネット2全体の剛性を確保できるとともに、マグネット2の製造は容易である。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施実施を図面に従って説明する。図4は、本実施形態の直流モータ21の概略構造を示す部分断面図である。
【0030】
図4に示すように、直流モータ21は、マグネット22,23、電機子24、コンミテータ25及び複数のブラシ26〜28を有している。
詳述すると、本実施形態の直流モータ21は、2極の直流モータであって、モータハウジングヨーク29内において、N極及びS極を形成する2つのマグネット22,23が電機子24を挟んで対向配置されている。電機子24は、電機子コア30とそのコア30に巻装される電機子コイル31とを有し、直流電流の供給により回転駆動する。
【0031】
電機子コア30には、複数のティース30aが形成されており、そのうちのn個のティース30aの周囲に電機子コイル31が巻き付けられている。なお、本実施形態では、ティース30aの個数は12個であり、そのティース30aが、電機子24の周方向に30°毎に形成されている。つまり、隣り合うティース30aは、その中心線のなす角(モータ電機子スロット角)θが30°(=360°/12)となるように形成されている。また、図示を省略しているが、複数の電機子コイル31が5つのティース30a毎に同様に巻き付けられている。つまり、巻線の巻装方式は分布巻である。
【0032】
コンミテータ25は、電機子24の一端に配設され、複数のセグメント32を有して構成されている。本実施形態では、12個のセグメント32が周方向に30°毎に設けられている。図4に示すように、前記5つのティース30aに巻装された電機子コイル31は該5つのティース30a側の2つのセグメント32(例えばセグメント32a,32b)に結線している。
【0033】
また、複数のブラシ26〜28は、コンミテータ25に摺接するように付勢された状態で配設されている。本実施形態では、3つのブラシ26〜28が配設されている。その中で、図4に示すように、第1及び第2のブラシとしての第1及び第2ブラシ26,27は、180°離れた(対向する)関係に配設され、第3のブラシとしての第3ブラシ28は、第2ブラシ27と所定の角度δ1をなすように配設されている。さらに、図示しないが、ブラシ26〜28は、それぞれの端子を介して直流電源回路に接続されている。
【0034】
前記マグネット22,23は、所定長さ(例えば図4に示すように、前記モータ電機子スロット角度θの整数倍となる開角度(5θ=150°)に対応した長さ)にて互いに電機子24の中心軸に対して点対称となるように形成されている。
【0035】
図4に示すように、マグネット22には、該マグネット22より透磁率の大きい材料からなる構成部としての軟鋼構成部36が設けられている。本実施形態では、マグネット22は2つの分割片22a,22bに分断され、その両分割片22a,22b間に隙間22cが形成されている。前記軟鋼構成部36は、前記隙間22cにマグネット22より透磁率の大きい材料としての軟鋼を埋め込むように形成されている。つまり、軟鋼構成部36は電機子24の中心軸と平行となるように全体に亘って前記両分割片22a,22bと一体に形成されている。
【0036】
また、前記軟鋼構成部36は、マグネット22の回転方向側端部に近い所定場所に設けられている。この所定場所は、第3ブラシ28が電機子24の回転中に両セグメント32a,32bを短絡し始めるとき、当該両セグメント32a,32bに結線した前記電機子コイル31が巻装される5つのティース30aの回転方向側第1番目ティース30aのティースバー回転方向先端が軟鋼構成部36にさしかかるようになる場所に設定されている。また、軟鋼構成部36は、第3ブラシ28が両セグメント32a,32bを短絡する期間となる回転方向の角度θ1に対応する幅にて形成されている。
【0037】
図5は、電機子24が図4で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に、電機子コイル31に発生する誘起電圧の変化を示している。本実施形態では、通常運転中に、電機子コイル31が巻装される5つのティース30aの回転方向側第1番目ティース30aのティースバー回転方向先端が前記軟鋼構成部36にさしかかるとき、該電機子コイル31が結線した両セグメント32は第3ブラシ28により短絡し始める。つまり、電機子24は図4で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に約90°回転した位置に第3ブラシ28が隣り合う両セグメント32a,32bを短絡し始める。これに対応して、図5に示すように、電機子24が図4で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に約90°回転したとき、電機子コイル31内に発生する誘起電圧がほぼゼロになる。
【0038】
以上記述したように、本実施の形態によれば、第1の実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施実施を図面に従って説明する。図6は、本実施形態の直流モータ41の概略構造を示す部分断面図である。なお、本実施形態は、第2の実施形態とは、軟鋼構成部を設けたマグネットが異なるという点が相違するため、説明の便宜上、同じ直流モータの構成についての詳細な説明を省略し、相違する部分のみ詳しく説明する。
【0039】
図6に示すように、第3のブラシとしての第3ブラシ48に対して該ブラシ48の回転方向逆側に位置するマグネット43には、該マグネット43より透磁率の大きい材料からなる構成部としての軟鋼構成部56が設けられている。本実施形態では、マグネット43は2つの分割片43a,43bに分断され、その両分割片43a,43b間に隙間43cが形成されている。前記軟鋼構成部56は、前記隙間43cにマグネット43より透磁率の大きい材料としての軟鋼を埋め込むように形成されている。つまり、軟鋼構成部56は電機子44の中心軸と平行となるように全体に亘って前記両分割片43a,43bと一体に形成されている。
【0040】
また、前記軟鋼構成部56は、マグネット43の回転方向側端部に近い所定場所に設けられている。この所定場所は、前記第3ブラシ48が電機子44の回転中に両セグメント52a,52bを短絡し始めるとき、当該両セグメント52a,52bに結線した電機子コイル51が巻装される5つのティース50aの回転方向逆側第1番目ティース50aのティースバー回転方向後端が軟鋼構成部56にさしかかるようになる場所に設定されている。また、軟鋼構成部56は、前記第3ブラシ48が両セグメント52a,52bを短絡する期間となる回転方向の角度θ1に対応する幅にて形成されている。
【0041】
図7は、電機子44が図6で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に、電機子コイル51に発生する誘起電圧の変化を示している。本実施形態では、ブラシ46,47にて給電するモータ41の通常運転において、両セグメント52a,52bに結線した電機子コイル51が巻装される5つのティース50aの回転方向逆側第1番目ティース50aのティースバー回転方向後端が軟鋼構成部56にさしかかるとき、第3ブラシ48が隣り合う両セグメント52a,52bを短絡し始める。つまり、電機子44は図6で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に約90°回転した位置に第3ブラシ48が隣り合う両セグメント52a,52bを短絡し始める。これに対応して、図7に示すように、電機子44が図6で示すA(0°)位置からB(180°)位置へ回転する間に約90°回転したとき、電機子コイル51内に発生する誘起電圧がほぼゼロになる。
【0042】
従って、本実施の形態によれば、第1及び2の実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0043】
○上記各実施形態では、図8に示すように、マグネット62の側面62aを切り欠いて形成された切り欠き部62bに軟鋼材料を埋め込むように形成されてなる構成部66にて実施してもよい。また、図9に示すように、マグネット72を貫通して形成された切り欠き部としての貫通孔72aに軟鋼材料を埋め込むように形成されてなる構成部76にて実施してもよい。さらに、図10及び図11に示すように、マグネット82の内側面を切り欠いて形成された切り欠き部82aに軟鋼材料を埋め込むように形成されてなる構成部86にて実施してもよい。これらの場合、上記各実施形態とほぼ同様な効果を得ることができるとともに、材料の分布がはっきりさせつつ容易に製造できる。
【0044】
○上記第1の実施形態では、第3ブラシ8は第1ブラシ6と回転方向側の鋭角をなすように配置され、軟鋼構成部16はマグネット2の回転方向側端部に近い位置に設けられて実施した。これに対して、第3ブラシ8を第1ブラシ6と回転方向側の鈍角をなすように配置し、軟鋼構成部16をマグネット2の反回転方向側端部に近い位置に設けて実施してもよい。また、図示しないが、第3ブラシ8を第1ブラシ6と反回転方向側の鈍角又は鈍角をなすように配置し、透磁率の大きい構成部を、マグネット3に設けて実施してもよい。この場合、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、第2及び第3の実施形態も同様な思想で変更してもよい。
【0045】
○構成部16,36,56,66,76,86を、軟鋼以外の透磁率の大きい材料にて形成してもよい。
○第1の実施形態のマグネットは、モータ電機子スロット角度θの整数倍となる開角度(4θ=120°)に対応した長さ以外の長さにて形成してもよい。第2及び第3の実施形態のマグネットは、モータ電機子スロット角度θの整数倍となる開角度(5θ=150°)に対応した長さ以外の長さにて形成してもよい。
【0046】
○第3のブラシを複数個設けて実施してもよい。
○本発明をティースが12個以外の複数個設けられたモータに具体化して実施してもよい。同一電機子コイルが巻装されるティースを5個以外のn個にて実施してもよい。
【0047】
○第1の実施形態では、直流機としてワイパモータ1に具体化したが、直流機としてワイパモータ1以外のその他のモータに具体化してもよい。
次に上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0048】
(1)等角度間隔に設けた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装し前記電機子コイルがコンミュテータに結線される電機子と、前記電機子を挟んで対向配置される一対のマグネットと、前記電機子の中心軸に対して対向位置に配置され、前記コンミュテータのセグメントに接触する第1及び第2のブラシと、該第1及び第2のブラシの対向位置から所定角度をなして配置され、前記セグメントに接触する少なくとも1つの第3のブラシとを備えたワイパモータにおいて、前記一対のマグネット中の1つのマグネットには、該マグネットより透磁率の大きい材料からなる構成部を設け、その構成部は、前記電機子が前記第1のブラシと第2のブラシにて給電され回転する状態で、前記第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡し始めるとき、当該両セグメントに結線した電機子コイルが巻装される複数のティースの回転方向側第1番目ティースのティースバー回転方向先端が該構成部にさしかかるようになる場所に設けられているとともに、第3のブラシが両セグメントを短絡する期間となる回転方向角度に対応する幅にて形成されていることを特徴とするワイパモータ。
【0049】
従って、第3のブラシによる整流障害を取り除くことができ、ワイパモータの部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、第3のブラシによる整流障害を取り除くことができ、直流機の部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の直流モータの概略構成を示す部分断面図。
【図2】 第1の実施形態の軟鋼構造部を設けたマグネットの斜視図。
【図3】 第1の実施形態の電機子コイル内に流れるコイル電流の変化を示すグラフ。
【図4】 第2の実施形態の直流モータの概略構成を示す部分断面図。
【図5】 第2の実施形態の電機子コイル内に発生する誘起電圧の変化を示すグラフ。
【図6】 第3の実施形態の直流モータの概略構成を示す部分断面図。
【図7】 第3の実施形態の電機子コイル内に発生する誘起電圧の変化を示すグラフ。
【図8】 別例の軟鋼構造部を設けたマグネットの斜視図。
【図9】 別例の軟鋼構造部を設けたマグネットの斜視図。
【図10】別例の直流モータの概略構成を示す部分断面図。
【図11】別例の軟鋼構造部を設けたマグネットの斜視図。
【図12】従来の電機子コイル内に流れるコイル電流の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1,21,41…直流機としての直流モータ、2,3,22,23,42,43,62,72,82…マグネット、2a,2b,22a,22b,43a,43b…マグネットを構成する分割片、2c,22c,43c…マグネットを構成する両分割片間の隙間、4,24,44…電機子、5,25,45…コンミテータ、6,26,46…第1のブラシとしての第1ブラシ、7,27,47…第2のブラシとしての第2ブラシ、8,28,48…第3のブラシとしての第3ブラシ、10,30,50…電機子コア、10a,30a,50a…ティース、11,31,51…電機子コイル、12,32,52…セグメント、16,36,56,66,76,86〜23…透磁率の大きい材料からなる構成部、62b,72a,82a…切り欠き部。

Claims (5)

  1. 等角度間隔に設けた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装し前記電機子コイルがコンミュテータに結線される電機子と、前記電機子を挟んで対向配置される一対のマグネットと、前記電機子の中心軸に対して対向位置に配置され、前記コンミュテータのセグメントに接触する第1及び第2のブラシと、該第1及び第2のブラシの対向位置から所定角度をなして配置され、前記セグメントに接触する少なくとも1つの第3のブラシとを備えた直流機において、
    前記一対のマグネット中の1つのマグネットには、該マグネットより透磁率の大きい材料からなる構成部を設け、その構成部は、前記電機子が前記第1のブラシと第2のブラシにて給電され回転する状態で、前記第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡し始めるとき、当該両セグメントに結線した電機子コイルが巻装される複数のティースの回転方向側第1番目ティースのティースバー回転方向先端が該構成部にさしかかるようになる場所に設けられているとともに、第3のブラシが両セグメントを短絡する期間となる回転方向角度に対応する幅にて形成されていることを特徴とする直流機。
  2. 等角度間隔に設けた複数のティースを有する電機子コアに電機子コイルを巻装し前記電機子コイルがコンミュテータに結線される電機子と、前記電機子を挟んで対向配置される一対のマグネットと、前記電機子の中心軸に対して対向位置に配置され、前記コンミュテータのセグメントに接触する第1及び第2のブラシと、該第1及び第2のブラシの対向位置から所定角度をなして配置され、前記セグメントに接触する少なくとも1つの第3のブラシとを備えた直流機において、
    前記一対のマグネット中の1つのマグネットには、該マグネットより透磁率の大きい材料からなる構成部を設け、その構成部は、前記電機子が前記第1のブラシと第2のブラシにて給電され回転する状態で、前記第3のブラシが隣り合う両セグメントを短絡し始めるとき、当該両セグメントに結線した電機子コイルが巻装される複数のティースの回転方向逆側第1番目ティースのティースバー回転方向後端が該構成部にさしかかるようになる場所に設けられているとともに、第3のブラシが両セグメントを短絡する期間となる回転方向角度に対応する幅にて形成されていることを特徴とする直流機。
  3. 請求項1又は2に記載の直流機において、
    前記構成部は、前記マグネットを分断した分割片間に形成された隙間に透磁率の大きい材料を埋め込んで電機子の中心軸と平行となるように全体に亘って形成されるようにしたことを特徴とする直流機。
  4. 請求項1又は2に記載の直流機において、
    前記構成部は、前記マグネットを切り欠いて形成された切り欠き部に透磁率の大きい材料を埋め込むように形成されるようにしたことを特徴とする直流機。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載の直流機において、
    前記構成部は、軟鋼から形成されていることを特徴とする直流機。
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