JP2001256882A - 電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管 - Google Patents
電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 メタルコートタイプの含浸型陰極構体におい
て、仕事関数が低いという特性を最大限に生かして、同
一温度での放出電流密度を向上させる。 【解決手段】 電子管用含浸型陰極構体9は、高融点金
属からなる多孔質基材の空孔部内に、アルカリ土類金属
酸化物を含む電子放射物質を溶融含浸すると共に、この
多孔質基材の表面を金属層で被覆した陰極基体3と、こ
の陰極基体3を加熱するヒータ8とを具備する。多孔質
基材の表面を被覆する金属層は、W、Mo、Reなどの
高融点金属からなる下層と、Ir、Os、Ruなどの白
金を除く白金族元素からなる上層との二層構造を有して
いる。
て、仕事関数が低いという特性を最大限に生かして、同
一温度での放出電流密度を向上させる。 【解決手段】 電子管用含浸型陰極構体9は、高融点金
属からなる多孔質基材の空孔部内に、アルカリ土類金属
酸化物を含む電子放射物質を溶融含浸すると共に、この
多孔質基材の表面を金属層で被覆した陰極基体3と、こ
の陰極基体3を加熱するヒータ8とを具備する。多孔質
基材の表面を被覆する金属層は、W、Mo、Reなどの
高融点金属からなる下層と、Ir、Os、Ruなどの白
金を除く白金族元素からなる上層との二層構造を有して
いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管、ク
ライストロン、進行波管などの電子管に用いられる含浸
型陰極構体に係り、特に高電流密度動作が可能な高性
能、超寿命の電子管用含浸型陰極構体と、それを用いた
電子管に関する。
ライストロン、進行波管などの電子管に用いられる含浸
型陰極構体に係り、特に高電流密度動作が可能な高性
能、超寿命の電子管用含浸型陰極構体と、それを用いた
電子管に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、走査線を増加させて解像度を改善
したカラー受像管や超高周波対応の受像管の開発が進め
られており、これらに応じた部品の改良などが求められ
ている。また、投写管においても輝度の向上が望まれて
いる。これらの要望に応じるためには、陰極からの放出
電流密度を従来に比して大幅に増加させる必要がある。
したカラー受像管や超高周波対応の受像管の開発が進め
られており、これらに応じた部品の改良などが求められ
ている。また、投写管においても輝度の向上が望まれて
いる。これらの要望に応じるためには、陰極からの放出
電流密度を従来に比して大幅に増加させる必要がある。
【0003】含浸型陰極は酸化物陰極に比べて大きな電
流密度が得られ、これまで撮像管、進行波管、クライス
トロンなどの電子管に使用されてきた。カラー受像管の
分野ではHD−TV管やED−TV管などの特殊用途の
みに限られていたが、近年大型CPTなどの要請が高ま
り、含浸型陰極の採用が急速に拡大しつつある。
流密度が得られ、これまで撮像管、進行波管、クライス
トロンなどの電子管に使用されてきた。カラー受像管の
分野ではHD−TV管やED−TV管などの特殊用途の
みに限られていたが、近年大型CPTなどの要請が高ま
り、含浸型陰極の採用が急速に拡大しつつある。
【0004】上記したような含浸型陰極構体では、例え
ば空孔率が15〜 20%の多孔質タングステンなどを陰極基
材として用い、この陰極基材の空孔部に例えば酸化バリ
ウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アル
ミニウム(Al2 O3 )などの電子放射物質を含浸させ
ている。さらに、電子放射物質を含浸させた多孔質陰極
基材の電子放射面上に、スパッタ法などの薄膜形成法に
よりイリジウム(Ir)などの薄膜層を設けて、メタル
コートタイプの含浸型陰極基体として用いられている。
ば空孔率が15〜 20%の多孔質タングステンなどを陰極基
材として用い、この陰極基材の空孔部に例えば酸化バリ
ウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化アル
ミニウム(Al2 O3 )などの電子放射物質を含浸させ
ている。さらに、電子放射物質を含浸させた多孔質陰極
基材の電子放射面上に、スパッタ法などの薄膜形成法に
よりイリジウム(Ir)などの薄膜層を設けて、メタル
コートタイプの含浸型陰極基体として用いられている。
【0005】そして、このようなメタルコートタイプの
含浸型陰極基体を、電子管内においてヒータで加熱する
と、陰極基材内に含浸された例えばバリウム(Ba)あ
るいは酸素(0)などが拡散し、これにより陰極基材表
面の電子放射面上に電気二重層が形成されることによっ
て、高密度の電流放射が可能となる。
含浸型陰極基体を、電子管内においてヒータで加熱する
と、陰極基材内に含浸された例えばバリウム(Ba)あ
るいは酸素(0)などが拡散し、これにより陰極基材表
面の電子放射面上に電気二重層が形成されることによっ
て、高密度の電流放射が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなメタル
コートタイプの陰極基体を有する含浸型陰極構体を用い
ることによって、陰極の動作温度 1300Kで10A/cm2 (10
5 A/m2 )の電流密度が得られる電子管が実用化されつ
つある。しかしながら、電子管の高出力化、特にカラー
受像管の高輝度化・高精細化に対する要望を満足させる
ためには、陰極のさらなる高電流密度動作が求められて
いる。
コートタイプの陰極基体を有する含浸型陰極構体を用い
ることによって、陰極の動作温度 1300Kで10A/cm2 (10
5 A/m2 )の電流密度が得られる電子管が実用化されつ
つある。しかしながら、電子管の高出力化、特にカラー
受像管の高輝度化・高精細化に対する要望を満足させる
ためには、陰極のさらなる高電流密度動作が求められて
いる。
【0007】陰極から得られる飽和電流密度J(A/c
m2 )は、動作温度T(K) と陰極表面の仕事関数φ(eV)
を用いて、 式: J =AT2 exp( -φ/κT) (ここで、AはBoltzman定数(8.617342×10-5eV/K)、
AはRichardson-Dushman定数で、金属では 120A/cm2 K
2 と与えられている)から求められる。
m2 )は、動作温度T(K) と陰極表面の仕事関数φ(eV)
を用いて、 式: J =AT2 exp( -φ/κT) (ここで、AはBoltzman定数(8.617342×10-5eV/K)、
AはRichardson-Dushman定数で、金属では 120A/cm2 K
2 と与えられている)から求められる。
【0008】現在実用化されているメタルコートタイプ
の含浸型陰極構体のうち、最も高い電流密度で動作する
陰極表面(イリジウムコート)の仕事関数は約1.8eV と
報告されており、この陰極の飽和電流密度は10A/cm2 程
度である。これらの値から上記した式に基づいてAの値
を求めると50〜60A/cm2 K2 となり、理論値よりはるか
に小さい値となっている。
の含浸型陰極構体のうち、最も高い電流密度で動作する
陰極表面(イリジウムコート)の仕事関数は約1.8eV と
報告されており、この陰極の飽和電流密度は10A/cm2 程
度である。これらの値から上記した式に基づいてAの値
を求めると50〜60A/cm2 K2 となり、理論値よりはるか
に小さい値となっている。
【0009】その原因の一つとして、陰極表面の仕事関
数が均一ではなく、電子放出に対して活性である部分と
活性でない部分とが存在していることが考えられる。こ
こで、イリジウムをコートした陰極基体表面の低い仕事
関数は、タングステンとイリジウムとの合金層にバリウ
ムと酸素からなる双極子が表面吸着し、その分極によっ
て作り出される大きな電気二重層に基づくものであると
考えられている。
数が均一ではなく、電子放出に対して活性である部分と
活性でない部分とが存在していることが考えられる。こ
こで、イリジウムをコートした陰極基体表面の低い仕事
関数は、タングステンとイリジウムとの合金層にバリウ
ムと酸素からなる双極子が表面吸着し、その分極によっ
て作り出される大きな電気二重層に基づくものであると
考えられている。
【0010】ところが、例えば陰極構体の製造工程中に
おいて、陰極表面が炭素のような活性原子により汚染さ
れたりすると、その部分は電子放出に対して寄与しなく
なり、電子放出の温度依存性は変らないものの、ある温
度に対して得られる電流密度が汚染のないものと比べて
著しく低くなる場合がある。このようなことから、メタ
ルコートタイプの含浸型陰極構体をより高い電流密度で
動作可能とするために、低い仕事関数を維持しつつ陰極
表面の均一化を図ることが求められている。
おいて、陰極表面が炭素のような活性原子により汚染さ
れたりすると、その部分は電子放出に対して寄与しなく
なり、電子放出の温度依存性は変らないものの、ある温
度に対して得られる電流密度が汚染のないものと比べて
著しく低くなる場合がある。このようなことから、メタ
ルコートタイプの含浸型陰極構体をより高い電流密度で
動作可能とするために、低い仕事関数を維持しつつ陰極
表面の均一化を図ることが求められている。
【0011】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、メタルコートタイプの含浸型陰極の仕
事関数が低いという特性を最大限に生かして、同一温度
での放出電流密度を大幅に高めることを可能にした高性
能の電子管用含浸型陰極構体、およびそれを用いた電子
管を提供することを目的としている。
なされたもので、メタルコートタイプの含浸型陰極の仕
事関数が低いという特性を最大限に生かして、同一温度
での放出電流密度を大幅に高めることを可能にした高性
能の電子管用含浸型陰極構体、およびそれを用いた電子
管を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電子管用含浸型
陰極構体は、請求項1に記載したように、高融点金属か
らなる多孔質基材、前記多孔質基材の空孔部内に溶融含
浸されたアルカリ土類金属酸化物を含む電子放射物質、
および前記電子放射物質が溶融含浸された前記多孔質基
材の表面を被覆する金属層を有する陰極基体と、前記陰
極基体を加熱するヒータとを具備する電子管用含浸型陰
極構体において、前記多孔質基材の表面を被覆する前記
金属層は、高融点金属からなる下層と、ルテニウム(R
u)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミ
ウム(Os)およびイリジウム(Ir)から選ばれる少
なくとも 1種の金属または前記金属を含む合金からなる
上層とを有することを特徴としている。
陰極構体は、請求項1に記載したように、高融点金属か
らなる多孔質基材、前記多孔質基材の空孔部内に溶融含
浸されたアルカリ土類金属酸化物を含む電子放射物質、
および前記電子放射物質が溶融含浸された前記多孔質基
材の表面を被覆する金属層を有する陰極基体と、前記陰
極基体を加熱するヒータとを具備する電子管用含浸型陰
極構体において、前記多孔質基材の表面を被覆する前記
金属層は、高融点金属からなる下層と、ルテニウム(R
u)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミ
ウム(Os)およびイリジウム(Ir)から選ばれる少
なくとも 1種の金属または前記金属を含む合金からなる
上層とを有することを特徴としている。
【0013】本発明者等は、含浸型陰極をより高い電流
密度で動作可能とするために、陰極表面の仕事関数が均
一で全面が電子放射に寄与するような改良表面を得るこ
とを試み、その結果として上記した二層構造の金属被覆
層を見出したものである。
密度で動作可能とするために、陰極表面の仕事関数が均
一で全面が電子放射に寄与するような改良表面を得るこ
とを試み、その結果として上記した二層構造の金属被覆
層を見出したものである。
【0014】すなわち、陰極基体表面のメタルコート
は、一般に多孔質陰極基材への電子放射物質の含浸後に
行われる。電子放射物質はバリウム、カルシウム、アル
ミニウムなどの複合酸化物からなり、この物質を高温で
加熱溶融させて多孔質陰極基材に含浸させている。この
ため、含浸後の陰極基材表面には、基材物質である高融
点金属(例えばタングステン)と電子放射物質成分との
反応物層が極僅かながら残ることになる。
は、一般に多孔質陰極基材への電子放射物質の含浸後に
行われる。電子放射物質はバリウム、カルシウム、アル
ミニウムなどの複合酸化物からなり、この物質を高温で
加熱溶融させて多孔質陰極基材に含浸させている。この
ため、含浸後の陰極基材表面には、基材物質である高融
点金属(例えばタングステン)と電子放射物質成分との
反応物層が極僅かながら残ることになる。
【0015】また、陰極基材を構成する多孔質タングス
テンなどについても、その原材料は粒径が数μm 程度の
タングステン粉末などであり、化学的純度はさほど高く
することができない。このような粉末を高温で焼結する
ことにより多孔質陰極基材を作製するため、陰極基材の
表面近傍にも微量の不純物元素が存在している。
テンなどについても、その原材料は粒径が数μm 程度の
タングステン粉末などであり、化学的純度はさほど高く
することができない。このような粉末を高温で焼結する
ことにより多孔質陰極基材を作製するため、陰極基材の
表面近傍にも微量の不純物元素が存在している。
【0016】前述したように、含浸型陰極基体の電子放
出能力は、陰極表面の汚染に敏感である。従って、多孔
質陰極基材表面に純度の高い合金層、すなわち高融点金
属元素とルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも 1種の金属
元素(白金を除く白金族元素)との合金層が形成されれ
ば、含浸型陰極構体の電子放出能を大幅に向上させるこ
とができる。
出能力は、陰極表面の汚染に敏感である。従って、多孔
質陰極基材表面に純度の高い合金層、すなわち高融点金
属元素とルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも 1種の金属
元素(白金を除く白金族元素)との合金層が形成されれ
ば、含浸型陰極構体の電子放出能を大幅に向上させるこ
とができる。
【0017】このような陰極表面は、まず多孔質基材の
表面に高融点金属からなる薄膜層を形成し、連続してそ
の表面に白金を除く白金族元素からなる薄膜層を形成す
ることにより実現可能となる。このようにしても、高融
点金属層と多孔質基材との界面には不純物が幾分高い濃
度で存在するが、最終的な表面からの距離が大きければ
陰極表面の仕事関数、すなわち電子放出能には影響がな
くなる。
表面に高融点金属からなる薄膜層を形成し、連続してそ
の表面に白金を除く白金族元素からなる薄膜層を形成す
ることにより実現可能となる。このようにしても、高融
点金属層と多孔質基材との界面には不純物が幾分高い濃
度で存在するが、最終的な表面からの距離が大きければ
陰極表面の仕事関数、すなわち電子放出能には影響がな
くなる。
【0018】従って、電子放射物質が溶融含浸された多
孔質基材(高融点金属基材)の表面を、高融点金属から
なる下層と白金を除く白金族元素からなる上層とを有す
る二層構造の金属層で被覆した、本発明の電子管用含浸
型陰極構体によれば、放出電流密度を大幅にかつ再現性
よく高めることが可能となる。
孔質基材(高融点金属基材)の表面を、高融点金属から
なる下層と白金を除く白金族元素からなる上層とを有す
る二層構造の金属層で被覆した、本発明の電子管用含浸
型陰極構体によれば、放出電流密度を大幅にかつ再現性
よく高めることが可能となる。
【0019】本発明の電子管は、請求項5に記載したよ
うに、上述したような本発明の電子管用含浸型陰極構体
を具備することを特徴とするものである。本発明の電子
管の具体例としては、請求項6に記載したように、パネ
ル部、ファンネル部およびネック部により構成される外
囲器と、前記パネル部の内面に形成された蛍光膜と、前
記ネック部内に配置され、前記電子管用含浸型陰極構体
を有する電子銃構体とを具備する陰極線管が挙げられ
る。
うに、上述したような本発明の電子管用含浸型陰極構体
を具備することを特徴とするものである。本発明の電子
管の具体例としては、請求項6に記載したように、パネ
ル部、ファンネル部およびネック部により構成される外
囲器と、前記パネル部の内面に形成された蛍光膜と、前
記ネック部内に配置され、前記電子管用含浸型陰極構体
を有する電子銃構体とを具備する陰極線管が挙げられ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
態について説明する。
【0021】図1は本発明の電子管用含浸型陰極構体を
陰極線管用の含浸型陰極構体に適用した一実施形態の構
成を示す断面図である。同図において、1は陰極スリー
ブであり、この陰極スリーブ1の上方側端部の内側には
カップ状部材2が固定されている。カップ状部材2は、
例えば陰極スリーブ1の端部開口縁とほぼ同一平面をな
すように固定されている。
陰極線管用の含浸型陰極構体に適用した一実施形態の構
成を示す断面図である。同図において、1は陰極スリー
ブであり、この陰極スリーブ1の上方側端部の内側には
カップ状部材2が固定されている。カップ状部材2は、
例えば陰極スリーブ1の端部開口縁とほぼ同一平面をな
すように固定されている。
【0022】カップ状部材2内には、高融点金属からな
る多孔質基材にアルカリ土類金属酸化物を含む電子放射
物質を溶融含浸させた含浸型陰極基体3が設置されてい
る。また、陰極スリーブ1の外側にはそれを包囲するよ
うに、遮蔽筒4と筒状ホルダ5とが同軸的に順に配置さ
れている。
る多孔質基材にアルカリ土類金属酸化物を含む電子放射
物質を溶融含浸させた含浸型陰極基体3が設置されてい
る。また、陰極スリーブ1の外側にはそれを包囲するよ
うに、遮蔽筒4と筒状ホルダ5とが同軸的に順に配置さ
れている。
【0023】陰極スリーブ1は複数個の短冊状ストラッ
プ6によって、筒状ホルダ5に支持されている。すなわ
ち、短冊状ストラップ6の一方の端部は陰極スリーブ1
の下方側外表面に、また他方の端部は筒状ホルダ5の上
端側に形成された内側張出し部に取り付けられている。
また、筒状ホルダ5は遮蔽筒4の外側に、例えば複数の
支持片7によって取り付けられている。
プ6によって、筒状ホルダ5に支持されている。すなわ
ち、短冊状ストラップ6の一方の端部は陰極スリーブ1
の下方側外表面に、また他方の端部は筒状ホルダ5の上
端側に形成された内側張出し部に取り付けられている。
また、筒状ホルダ5は遮蔽筒4の外側に、例えば複数の
支持片7によって取り付けられている。
【0024】陰極スリーブ1の内側にはヒータ8が配置
されており、これらによって含浸型陰極構体9が構成さ
れている。そして、この含浸型陰極構体9はヒータ8に
より含浸型陰極基体3を加熱することによって、含浸型
陰極基体3から高電流密度の電子放出が可能なように構
成されたものである。
されており、これらによって含浸型陰極構体9が構成さ
れている。そして、この含浸型陰極構体9はヒータ8に
より含浸型陰極基体3を加熱することによって、含浸型
陰極基体3から高電流密度の電子放出が可能なように構
成されたものである。
【0025】なお、図1示した含浸型陰極構体9は、例
えば筒状ホルダ5の外表面に取り付けられたストラップ
10を介して絶縁支持体11に固定されている。さら
に、絶縁支持体11には第1グリッド12が固定されて
おり、この第1グリッド12は電子ビーム通過孔12a
が含浸型陰極基体3上に位置するように配置されてい
る。これら各構成要素は電子銃構体13を構成するもの
である。図1では第1グリッド12しか示していない
が、含浸型陰極構体9の上方には所定の間隔で複数個の
電極(グリッド)が設置される。
えば筒状ホルダ5の外表面に取り付けられたストラップ
10を介して絶縁支持体11に固定されている。さら
に、絶縁支持体11には第1グリッド12が固定されて
おり、この第1グリッド12は電子ビーム通過孔12a
が含浸型陰極基体3上に位置するように配置されてい
る。これら各構成要素は電子銃構体13を構成するもの
である。図1では第1グリッド12しか示していない
が、含浸型陰極構体9の上方には所定の間隔で複数個の
電極(グリッド)が設置される。
【0026】上述した含浸型陰極基体3において、多孔
質基材はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、レ
ニウム(Re)、あるいはこれらを含む合金などの高融
点金属からなり、例えば15〜 20%の空孔率を有してい
る。ここで、図2は含浸型陰極基体3の要部を拡大して
示す断面図であり、21は上記したような高融点金属か
らなる多孔質基材である。この多孔質基材21の空孔部
内には電子放射物質が溶融含浸されている。
質基材はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、レ
ニウム(Re)、あるいはこれらを含む合金などの高融
点金属からなり、例えば15〜 20%の空孔率を有してい
る。ここで、図2は含浸型陰極基体3の要部を拡大して
示す断面図であり、21は上記したような高融点金属か
らなる多孔質基材である。この多孔質基材21の空孔部
内には電子放射物質が溶融含浸されている。
【0027】電子放射物質としては、酸化バリウム(B
aO)や酸化カルシウム(CaO)などのアルカリ土類
金属酸化物を含む複合酸化物が用いられる。より具体的
には、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(Ca
O)および酸化アルミニウム(Al2 O3 )の複合酸化
物(もしくは混合物)を用いることが好ましく、この際
のモル比は例えばBaO:CaO:Al2 O3 =4:1:1
とすることが好ましい。ただし、本発明で用いる電子放
射物質は必ずしも上記したような複合酸化物に限られる
ものではなく、所望の電子放射特性が得られれば種々の
酸化物を使用することが可能である。
aO)や酸化カルシウム(CaO)などのアルカリ土類
金属酸化物を含む複合酸化物が用いられる。より具体的
には、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(Ca
O)および酸化アルミニウム(Al2 O3 )の複合酸化
物(もしくは混合物)を用いることが好ましく、この際
のモル比は例えばBaO:CaO:Al2 O3 =4:1:1
とすることが好ましい。ただし、本発明で用いる電子放
射物質は必ずしも上記したような複合酸化物に限られる
ものではなく、所望の電子放射特性が得られれば種々の
酸化物を使用することが可能である。
【0028】電子放射物質が溶融含浸された多孔質基材
(高融点金属基材)21の表面は、金属層22で被覆さ
れている。この金属層22は多孔質基材21の少なくと
も電子放射面上に設けられる。そして、多孔質基材21
の表面を覆う金属層22は、多孔質基材21上に形成さ
れた高融点金属の薄膜層からなる下層23と、その上に
連続して形成された白金を除く白金族元素もしくはその
合金の薄膜層からなる上層24とを有しており、二層構
造の金属被覆層とされている。
(高融点金属基材)21の表面は、金属層22で被覆さ
れている。この金属層22は多孔質基材21の少なくと
も電子放射面上に設けられる。そして、多孔質基材21
の表面を覆う金属層22は、多孔質基材21上に形成さ
れた高融点金属の薄膜層からなる下層23と、その上に
連続して形成された白金を除く白金族元素もしくはその
合金の薄膜層からなる上層24とを有しており、二層構
造の金属被覆層とされている。
【0029】上記した二層構造の金属層22のうち、下
層23の構成材料としては例えばタングステン(W)、
モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、あるいはこれ
らの合金が用いられる。一方、上層24の構成材料には
白金を除く白金族元素、すなわちルテニウム(Ru)、
ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム
(Os)およびイリジウム(Ir)から選ばれる少なく
とも 1種の金属、もしくはその合金を用いることができ
るが、特にIr、Os、Ruやその合金を用いることが
好ましい。
層23の構成材料としては例えばタングステン(W)、
モリブデン(Mo)、レニウム(Re)、あるいはこれ
らの合金が用いられる。一方、上層24の構成材料には
白金を除く白金族元素、すなわちルテニウム(Ru)、
ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム
(Os)およびイリジウム(Ir)から選ばれる少なく
とも 1種の金属、もしくはその合金を用いることができ
るが、特にIr、Os、Ruやその合金を用いることが
好ましい。
【0030】Ir、Os、Ruなどの薄膜層からなる上
層24は陰極表面の仕事関数を低下させて、高放出電流
密度での電子放出を可能にするものである。このような
上層24の膜厚は50nm以上とすることが好ましい。I
r、Os、Ruなどの薄膜層からなる上層24の膜厚が
50nm未満であると、含浸型陰極の寿命が著しく劣化する
おそれがある。
層24は陰極表面の仕事関数を低下させて、高放出電流
密度での電子放出を可能にするものである。このような
上層24の膜厚は50nm以上とすることが好ましい。I
r、Os、Ruなどの薄膜層からなる上層24の膜厚が
50nm未満であると、含浸型陰極の寿命が著しく劣化する
おそれがある。
【0031】一方、高融点金属の薄膜層からなる下層2
3は、上層24との界面に高純度のW−Ir合金のよう
な高融点金属−白金族元素合金を形成するものである。
このような高純度の合金層が形成されることで、含浸型
陰極基体3の電子放出能は大幅に向上し、放出電流密度
を大幅に高めることが可能となる。このような下層23
の膜厚は上層24のそれと同等もしくはそれ以上とする
ことが好ましい。下層23の膜厚が上層24の膜厚より
薄いと、陰極表面(上層24の表面)に不純物が拡散し
て電子放出特性を低下させるおそれがある。
3は、上層24との界面に高純度のW−Ir合金のよう
な高融点金属−白金族元素合金を形成するものである。
このような高純度の合金層が形成されることで、含浸型
陰極基体3の電子放出能は大幅に向上し、放出電流密度
を大幅に高めることが可能となる。このような下層23
の膜厚は上層24のそれと同等もしくはそれ以上とする
ことが好ましい。下層23の膜厚が上層24の膜厚より
薄いと、陰極表面(上層24の表面)に不純物が拡散し
て電子放出特性を低下させるおそれがある。
【0032】また、高融点金属からなる下層23と白金
を除く白金族元素からなる上層24との合計の膜厚、す
なわち金属層22の膜厚は、高融点金属からなる多孔質
基材21の平均粒径以下とすることが好ましい。金属層
22の膜厚が多孔質基材21の平均粒径を超えると、多
孔質基材21内に溶融含浸した電子放射物質の陰極表面
への拡散供給が阻害されて、電子放出特性が著しく劣化
するおそれがある。多孔質基材21の平均粒径は 500nm
以下であることが好ましいことから、金属層22の膜厚
についても同様に 500nm以下とすることが好ましい。
を除く白金族元素からなる上層24との合計の膜厚、す
なわち金属層22の膜厚は、高融点金属からなる多孔質
基材21の平均粒径以下とすることが好ましい。金属層
22の膜厚が多孔質基材21の平均粒径を超えると、多
孔質基材21内に溶融含浸した電子放射物質の陰極表面
への拡散供給が阻害されて、電子放出特性が著しく劣化
するおそれがある。多孔質基材21の平均粒径は 500nm
以下であることが好ましいことから、金属層22の膜厚
についても同様に 500nm以下とすることが好ましい。
【0033】上述したような二層構造の金属層22で多
孔質基材(電子放射物質が溶融含浸された多孔質基材)
21の表面を被覆した含浸型陰極構体9においては、高
融点金属の薄膜層からなる下層23で電子放出特性に悪
影響を及ぼす不純物の陰極表面への拡散を防止し、かつ
下層23と白金を除く白金族元素の薄膜層からなる上層
24との界面に高純度の合金層を形成しているため、陰
極の表面全面を均一に低い仕事関数に保つことができ
る。これによって、陰極表面が全面的に電子放出に寄与
するようになるため、高密度での電流放出が可能とな
る。
孔質基材(電子放射物質が溶融含浸された多孔質基材)
21の表面を被覆した含浸型陰極構体9においては、高
融点金属の薄膜層からなる下層23で電子放出特性に悪
影響を及ぼす不純物の陰極表面への拡散を防止し、かつ
下層23と白金を除く白金族元素の薄膜層からなる上層
24との界面に高純度の合金層を形成しているため、陰
極の表面全面を均一に低い仕事関数に保つことができ
る。これによって、陰極表面が全面的に電子放出に寄与
するようになるため、高密度での電流放出が可能とな
る。
【0034】このような本発明の含浸型陰極構体9は、
カラー受像管、クライストロン、進行波管などの各種の
電子管に用いらることができ、特にカラー受像管に用い
られる陰極線管に対して有効である。
カラー受像管、クライストロン、進行波管などの各種の
電子管に用いらることができ、特にカラー受像管に用い
られる陰極線管に対して有効である。
【0035】本発明の電子管は、上述したような本発明
の電子管用含浸型陰極構体、さらにはそれを有する電子
銃構体を具備するものである。本発明の電子管を適用し
た陰極線管の具体的な構成としては、パネル部、ファン
ネル部およびネック部により構成される外囲器と、パネ
ル部の内面に形成された蛍光膜と、ネック部内に配置さ
れた電子銃構体とを具備するものが挙げられ、この電子
銃構体に上述した本発明の電子管用含浸型陰極構体を使
用したものである。
の電子管用含浸型陰極構体、さらにはそれを有する電子
銃構体を具備するものである。本発明の電子管を適用し
た陰極線管の具体的な構成としては、パネル部、ファン
ネル部およびネック部により構成される外囲器と、パネ
ル部の内面に形成された蛍光膜と、ネック部内に配置さ
れた電子銃構体とを具備するものが挙げられ、この電子
銃構体に上述した本発明の電子管用含浸型陰極構体を使
用したものである。
【0036】本発明の電子管を適用した陰極線管は、上
述した含浸型陰極構体の高電流密度での電子放出特性に
基づいて、例えばカラー受像管の高出力化、具体的には
高輝度化や高精細化に十分に対応し得るものである。
述した含浸型陰極構体の高電流密度での電子放出特性に
基づいて、例えばカラー受像管の高出力化、具体的には
高輝度化や高精細化に十分に対応し得るものである。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
価結果について述べる。
【0038】実施例1 まず、以下の手順にしたがって、図1および図2に示し
た含浸型陰極構体を作製した。
た含浸型陰極構体を作製した。
【0039】最初に、粒径 3μm のW粒子からなる、空
孔率約 17%の多孔質基体(W基体)を焼結法により作製
した。次いで、電子放射物質としてBaOとCaOとA
l2O3 とを4:1:1(モル比)で混合し、この混合物をH
2 雰囲気中、1700℃で約10分間加熱することにより、上
記した多孔質基体の空孔部に溶融含浸させた。
孔率約 17%の多孔質基体(W基体)を焼結法により作製
した。次いで、電子放射物質としてBaOとCaOとA
l2O3 とを4:1:1(モル比)で混合し、この混合物をH
2 雰囲気中、1700℃で約10分間加熱することにより、上
記した多孔質基体の空孔部に溶融含浸させた。
【0040】次に、上記した電子放射物質を溶融含浸し
た多孔質基体の表面に、WおよびIrの薄膜層を順次成
膜した。成膜はスパッタ法により実施した。まず、純度
99.95%の高純度W材をターゲットとして用いて、Arガ
ス中でスパッタリングを行い、電子放射物質を溶融含浸
した多孔質基体の表面に膜厚 200nmのW層を成膜した。
引き続いて、純度99.95%の高純度Ir材をターゲットと
して用いて、同様に膜厚 200nmのIr層を成膜した。
た多孔質基体の表面に、WおよびIrの薄膜層を順次成
膜した。成膜はスパッタ法により実施した。まず、純度
99.95%の高純度W材をターゲットとして用いて、Arガ
ス中でスパッタリングを行い、電子放射物質を溶融含浸
した多孔質基体の表面に膜厚 200nmのW層を成膜した。
引き続いて、純度99.95%の高純度Ir材をターゲットと
して用いて、同様に膜厚 200nmのIr層を成膜した。
【0041】このようにして得た含浸型陰極基体3をカ
ップ状部材2内に固定して含浸型陰極構体9を作製し、
さらにこの含浸型陰極構体9を陰極線管に組み込んだ
後、陰極の活性化工程で活性化した。ここで、活性化の
条件は陰極温度を1285℃で一定とし、この温度での保持
時間を変化させた。
ップ状部材2内に固定して含浸型陰極構体9を作製し、
さらにこの含浸型陰極構体9を陰極線管に組み込んだ
後、陰極の活性化工程で活性化した。ここで、活性化の
条件は陰極温度を1285℃で一定とし、この温度での保持
時間を変化させた。
【0042】得られた各陰極線管の動作温度1030℃での
飽和電流密度と活性化温度1280℃での保持時間との関係
を図3に示す。なお、図3における比較例1は、電子放
射物質を溶融含浸した多孔質基体の表面にIr層のみを
被覆した、従来のIrコートタイプの含浸型陰極構体を
用いた陰極線管の特性、すなわち同様に1280℃で活性化
した際の保持時間と動作温度1030℃での飽和電流密度と
の関係を示したものである。
飽和電流密度と活性化温度1280℃での保持時間との関係
を図3に示す。なお、図3における比較例1は、電子放
射物質を溶融含浸した多孔質基体の表面にIr層のみを
被覆した、従来のIrコートタイプの含浸型陰極構体を
用いた陰極線管の特性、すなわち同様に1280℃で活性化
した際の保持時間と動作温度1030℃での飽和電流密度と
の関係を示したものである。
【0043】図3から明らかなように、実施例1による
含浸型陰極構体は、優れた電子放出特性を有し、また少
ない活性化時間で良好な電子放出特性が得られているこ
とが分かる。成膜直後のW層の結晶組織を電子顕微鏡な
どで観察すると、その下地である多孔質なW基体の金属
組織が再結晶を繰り返したと思われる非常に密な結晶組
織であるのに対して、W層の結晶組織は多孔性の柱状組
織である。このことより、Ir層からW層に対するIr
原子の拡散がより容易なため、短い活性化時間で良好な
電子放出特性が得られたものと考えられる。
含浸型陰極構体は、優れた電子放出特性を有し、また少
ない活性化時間で良好な電子放出特性が得られているこ
とが分かる。成膜直後のW層の結晶組織を電子顕微鏡な
どで観察すると、その下地である多孔質なW基体の金属
組織が再結晶を繰り返したと思われる非常に密な結晶組
織であるのに対して、W層の結晶組織は多孔性の柱状組
織である。このことより、Ir層からW層に対するIr
原子の拡散がより容易なため、短い活性化時間で良好な
電子放出特性が得られたものと考えられる。
【0044】実施例2 実施例1と同様にして作製した陰極線管用含浸型陰極構
体を、ガラス試験管中に陽極と共に組み込み、排気して
1280℃で20分間活性化させた。このようにして作製され
た電子管の二極管特性を評価した。陰極−陽極間隔は0.
1mm で、印加電圧は 50Hz, 5μs 幅のパルスとした。そ
の結果を図4に示す。なお、図4に示す比較例2は、比
較例1と同様にして作製した従来の含浸型陰極構体の特
性を実施例2と同様にして評価した結果である。
体を、ガラス試験管中に陽極と共に組み込み、排気して
1280℃で20分間活性化させた。このようにして作製され
た電子管の二極管特性を評価した。陰極−陽極間隔は0.
1mm で、印加電圧は 50Hz, 5μs 幅のパルスとした。そ
の結果を図4に示す。なお、図4に示す比較例2は、比
較例1と同様にして作製した従来の含浸型陰極構体の特
性を実施例2と同様にして評価した結果である。
【0045】図4から明らかなように、実施例2および
比較例2による含浸型陰極構体はいずれも温度に対して
同じ傾きで飽和電流が増加しているが、どの温度に対し
ても実施例2による含浸型陰極は従来のIrコートタイ
プの含浸型陰極(比較例2)より大きな飽和電流を有し
ていることが分かる。このことから、本発明の含浸型陰
極構体は、陰極基体の仕事関数は同じながらも、電子放
出に対して活性な面積の割合が高いことが分かる。
比較例2による含浸型陰極構体はいずれも温度に対して
同じ傾きで飽和電流が増加しているが、どの温度に対し
ても実施例2による含浸型陰極は従来のIrコートタイ
プの含浸型陰極(比較例2)より大きな飽和電流を有し
ていることが分かる。このことから、本発明の含浸型陰
極構体は、陰極基体の仕事関数は同じながらも、電子放
出に対して活性な面積の割合が高いことが分かる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子管用
含浸型陰極構体によれば、陰極基体表面の電子放出に対
して有効な面積の割合を高めることができることから、
各温度での放出電流密度を大幅に高めることが可能とな
る。従って、このような含浸型陰極構体を用いることに
よって、電子管の高性能化を図ることができる。
含浸型陰極構体によれば、陰極基体表面の電子放出に対
して有効な面積の割合を高めることができることから、
各温度での放出電流密度を大幅に高めることが可能とな
る。従って、このような含浸型陰極構体を用いることに
よって、電子管の高性能化を図ることができる。
【図1】 本発明の電子管用含浸型陰極構体の一実施形
態の構造を示す断面図である。
態の構造を示す断面図である。
【図2】 図1に示す電子管用含浸型陰極構体における
陰極基材の要部を示す断面図である。
陰極基材の要部を示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例1による含浸型陰極構体の活
性化時間に対する飽和電流密度の関係を示す図である。
性化時間に対する飽和電流密度の関係を示す図である。
【図4】 本発明の実施例2による含浸型陰極構体の陰
極動作温度に対する飽和電流密度の関係を示す図であ
る。
極動作温度に対する飽和電流密度の関係を示す図であ
る。
1……陰極スリーブ 3……含浸型陰極基体 5……筒状ホルダ 8……ヒータ 9……含浸型陰極構体 13……電子銃構体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 生代美 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5C031 DD10
Claims (6)
- 【請求項1】 高融点金属からなる多孔質基材、前記多
孔質基材の空孔部内に溶融含浸されたアルカリ土類金属
酸化物を含む電子放射物質、および前記電子放射物質が
溶融含浸された前記多孔質基材の表面を被覆する金属層
を有する陰極基体と、前記陰極基体を加熱するヒータと
を具備する電子管用含浸型陰極構体において、 前記多孔質基材の表面を被覆する前記金属層は、高融点
金属からなる下層と、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウムおよびイリジウムから選ばれる少なくと
も 1種の金属または前記金属を含む合金からなる上層と
を有することを特徴とする電子管用含浸型陰極構体。 - 【請求項2】 請求項1記載の電子管用含浸型陰極構体
において、 前記下層はタングステン、モリブデン、レニウム、ある
いはこれらの合金からなり、かつ前記上層はイリジウ
ム、オスミウム、ルテニウム、あるいはこれらの合金か
らなることを特徴とする電子管用含浸型陰極構体。 - 【請求項3】 請求項1記載の電子管用含浸型陰極構体
において、 前記上層は50nm以上の膜厚を有し、かつ前記下層は前記
上層と同等もしくはそれ以上の膜厚を有することを特徴
とする電子管用含浸型陰極構体。 - 【請求項4】 請求項1記載の電子管用含浸型陰極構体
において、 前記金属層は前記下層と前記上層の合計として 500nm以
下の膜厚を有することを特徴とする電子管用含浸型陰極
構体。 - 【請求項5】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
記載の電子管用含浸型陰極構体を具備することを特徴と
する電子管。 - 【請求項6】 請求項5記載の電子管において、 パネル部、ファンネル部およびネック部により構成され
る外囲器と、前記パネル部の内面に形成された蛍光膜
と、前記ネック部内に配置され、前記電子管用含浸型陰
極構体を有する電子銃構体とを具備する陰極線管である
ことを特徴とする電子管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000067823A JP2001256882A (ja) | 2000-03-10 | 2000-03-10 | 電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000067823A JP2001256882A (ja) | 2000-03-10 | 2000-03-10 | 電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001256882A true JP2001256882A (ja) | 2001-09-21 |
Family
ID=18586957
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000067823A Withdrawn JP2001256882A (ja) | 2000-03-10 | 2000-03-10 | 電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001256882A (ja) |
-
2000
- 2000-03-10 JP JP2000067823A patent/JP2001256882A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070605 |