JPH09312128A - 含浸型陰極構体、電子銃および電子管 - Google Patents

含浸型陰極構体、電子銃および電子管

Info

Publication number
JPH09312128A
JPH09312128A JP12835396A JP12835396A JPH09312128A JP H09312128 A JPH09312128 A JP H09312128A JP 12835396 A JP12835396 A JP 12835396A JP 12835396 A JP12835396 A JP 12835396A JP H09312128 A JPH09312128 A JP H09312128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
impregnated
powder
scandium
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12835396A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichiro Uda
英一郎 宇田
Toshiharu Higuchi
敏春 樋口
Sadao Matsumoto
貞雄 松本
Osamu Nakamura
修 中村
Kiyomi Koyama
生代美 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP12835396A priority Critical patent/JPH09312128A/ja
Publication of JPH09312128A publication Critical patent/JPH09312128A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid Thermionic Cathode (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン衝撃後のスカンジウムの表面濃度回復
時間を短縮した陰極構体を提供することを目的とする。 【解決手段】 電子放出物質が含浸された陰極基体、陰
極基体をその端部に取り付けた陰極スリーブ、及び陰極
基体を加熱するためのヒーターを具備し、陰極基体の電
子放射面側表面に、タングステン粉末及び/又はタング
ステン化合物粉末と、スカンジウム粉末及び/又はスカ
ンジウム化合物粉末と、レニウム粉末及び/又はハフニ
ウム粉末よりなる薄層が付着形成されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管や進
行波管等の電子管に用いられる含浸型陰極構体に係り、
特に、高電流密度動作が可能な、高性能、長寿命の含浸
型陰極構体、およびそれを具備する電子銃、電子管に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、走査線を増加させ、解像度を改善
したカラー受像管や、超高周波対応受像管の開発が要請
されている。また、投写管等においても、輝度の向上が
望まれている。これらの要請に応えるためには、陰極か
らの放出電流密度を従来よりも大幅に増大させる必要が
ある。
【0003】ところで、含浸型陰極は、酸化物陰極に比
べて大きな放射電流密度が得られ、これまで撮像管、進
行波管、クライストロン等の電子管に使用されてきた。
カラー受像管の分野では、HD−TV管、ED−TV管
等の特殊用途のみに限られていたが、近年、大型CPT
等の要請が高まり、その採用の範囲が急速に拡大される
に至っている。
【0004】このようなカラー受像管に用いられる含浸
型陰極構体は、従来より省電力の目的から、図3に示す
ようなコンパクトな構造に形成されている。即ち、図3
に示す陰極構体では、陰極スリーブ1の一端の内側に、
その一端開口縁とほぼ同一面をなすようにカップ状固定
部材2が固定されており、このカップ状固定部材2内
に、電子放射物質が含浸された多孔質陰極基体3が固定
されている。また、陰極スリーブ1を包囲するように、
筒状ホルダー4が同軸的に配置されてる。
【0005】陰極スリーブ1は、複数個(図面では3
個)の短冊状ストラップ5により、筒状ホルダー4の内
側に同軸的に支持されている。即ち、短冊状ストラップ
5の一端部が陰極スリーブ1の他端部の外側面に取り付
けられ、他端部が筒状ホルダー4の一端部の内側張り出
し部に取り付けられている。また、陰極スリーブ1と複
数個のストラップ5との間にはしゃへい筒7が配置さ
れ、筒状ホルダー4の一端部の内側張り出し部に、支持
片6によって取り付けられている。更に、陰極スリーブ
1の内側にはヒーター8が挿入され、多孔質陰極基体3
を加熱する構造になっている。
【0006】前記多孔質陰極基体3の空孔率は例えば約
20%であり、材質はタングステンである。この多孔質
陰極基体3の空孔部には酸化バリウム(BaO)と酸化
カルシウム(CaO)と酸化アルミニウム(Al2
3 )からなる電子放射物質が含浸されていて、その表面
にはIr膜がスパッタ法で形成されている。なお、この
陰極構体は、筒状ホルダー4の外表面に取り付けられた
ストラップ9を介して順次所定間隔離れて配置される複
数個の電極(図面には第1グリッドG1のみ図示)とと
もに、絶縁支持体10に固定されている。
【0007】最近では、動作温度を下げ、高電流密度の
電子放射を得る目的から、陰極基体表面に酸化スカンジ
ウムを分散させた含浸型陰極、あるいは陰極基体表面に
スカンジウム化合物を被着したスカンジウム型含浸型陰
極の開発が行われているが、特性の再現性が乏しく、実
用化への障壁となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来よ
りカラー受像管に用いられている含浸型陰極構体は、省
電力動作の目的からコンパクトな構造に形成されてい
る。そのため、必然的に陰極基体は、厚さおよび直径が
制限され、電子放出物質を十分含浸させることができな
い。一般的に、含浸型陰極の寿命特性は電子放射物質の
主要成分であるバリウムの蒸発量に支配され、蒸発によ
りバリウムが消耗すると、陰極基体のバリウム単原子層
被覆率が減少して、要求される長寿命特性が得られず、
実用上大きな問題となっている。これらの理由から、低
温動作、高電流密度動作が可能な含浸型陰極構体の開発
が強く要望されている。
【0009】また、低温動作が可能なスカンジウム型含
浸型陰極においても、イオン衝撃を受けると電子放出特
性の回復が遅い等の欠点を有している。スカンジウム型
含浸型陰極のオージェ電子分光による表面解析の結果、
イオン衝撃を受けると表面のスカンジウムが消失し、電
子放射の良好な濃度に回復するまでに時間を要すること
が判明した。
【0010】本発明は、上記従来のスカンジウム型含浸
型陰極の問題点を解決するためになされたものであり、
イオン衝撃後のスカンジウムの表面濃度回復時間を短縮
した陰極構体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明(請求項1)は、電子放出物質が含浸された
陰極基体、陰極基体をその端部に取り付けた陰極スリー
ブ、及び陰極基体を加熱するためのヒーターを具備し、
前記陰極基体の電子放射面側表面に、タングステン粉末
及び/又はタングステン化合物粉末と、スカンジウム粉
末及び/又はスカンジウム化合物粉末と、レニウム粉末
及び/又はハフニウム粉末よりなる薄層が付着形成され
ていることを特徴とする含浸型陰極構体を提供する。
【0012】また、本発明(請求項2)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1)において、前記陰極基体および薄
膜は多孔質であり、陰極基体の平均粒径は薄膜の平均粒
径より大きく、かつ陰極基体の空孔率は薄膜の空孔率よ
り小さいことを特徴とする。
【0013】また、本発明(請求項3)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1)において、前記スカンジウム化合
物は、酸化スカンジウム(Sc23 )又は水素化スカ
ンジウム(ScH2 )であることを特徴とする。
【0014】また、本発明(請求項4)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1)において、前記タングステン粉末
及び/又はタングステン化合物粉末、及びレニウム粉末
及び/又はハフニウム粉末の平均粒径が、0.8μmな
いし1.5μmの範囲であることを特徴とする。
【0015】また、本発明(請求項5)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1)において、陰極基体の電子放射面
側表面に付着形成された薄層中に、前記レニウム粉末及
び/又はハフニウム粉末の占める割合が、5重量%ない
し50重量%であることを特徴とする。
【0016】また、本発明(請求項6)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1)において、前記陰極基体の電子放
射面側表面に付着形成された薄層の厚さが、3μmない
し30μmであることを特徴とする。
【0017】また、本発明(請求項7)は、上記含浸型
陰極構体(請求項1〜6)を用いた電子銃を提供する。
また、本発明(請求項8は、上記含浸型陰極構体(請求
項1〜6)を用いた電子管を提供する。
【0018】以下、本発明の含浸型陰極構体について、
より詳細に説明する。本発明の含浸型陰極構体は、陰極
基体の電子放射面側表面に、タングステン粉末及び/又
はタングステン化合物粉末と、スカンジウム粉末及び/
又はスカンジウム化合物粉末と、レニウム粉末及び/又
はハフニウム粉末よりなる薄層が付着形成されているこ
とを特徴とする。
【0019】陰極基体としては、タングステン(W)、
モリブデン(Mo)、レニウム(Re)等の高融点金属
焼結体を使用することが出来る。この焼結体の空孔率
は、15〜25%であるのが好ましい。この焼結体の空
孔率が15%未満では、陰極基体の体積に対して含浸さ
れる電子放射物質の体積が減少し、十分な陰極寿命が得
られなくなるばかりでなく、陰極表面への電子放射物質
の供給が不十分となり、陰極特性が劣化する。一方、焼
結体の空孔率が25%を越えると、ほつような強度が得
られなくなるとともに、電子放射物質の消耗が増加して
陰極寿命が低下する。
【0020】陰極基体に含浸される電子放射物質として
は、例えば酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム
(CaO)、酸化アルミニウム(Al23 )の混合物
が用いられ、その組成としては、BaO:CaO:Al
23 =5:3:2あるいは4:1:1等を用いること
ができる。
【0021】陰極基体の電子放射面側表面に付着形成さ
れる薄層に用いられるタングステン化合物としては、酸
化タングステンを挙げることができる。また、陰極基体
および薄膜は多孔質であり、陰極基体の平均粒径は薄膜
の平均粒径より大きく、かつ陰極基体の空孔率は薄膜の
空孔率より小さいものであるため、陰極基体において電
子放射物質の供給を一定に維持することができ、薄膜は
粒子間距離が短いために電子放射物質の拡散距離が短縮
されている。このため、電子放射物質の電子放射面の被
覆がより速く、より均一に行なわれ、電子放射物質の十
分な供給および電子放射面の十分な被覆率が達成でき
る。この被覆率が向上すると、より優れた耐イオン衝撃
性が得られる。
【0022】また、スカンジウム化合物としては、酸化
スカンジウム(Sc23 )、水素化スカンジウム(S
cH2 )等を挙げることが出来る。タングステン粉末及
びタングステン化合物粉末の平均粒径は、0.8μmな
いし1.5μm、スカンジウム粉末及びスカンジウム化
合物粉末の平均粒径は、0.8〜1.5μm、レニウム
粉末及びハフニウム粉末の平均粒径は、0.8μmない
し1.5μmであるのが好ましい。タングステン粉末及
びタングステン化合物粉末、レニウム粉末及びハフニウ
ム粉末の平均粒径が0.8μm未満では、薄層の空孔率
が低下し、電子放射物質の含浸が十分に行われなる。ま
た、1.5μm以上では、粒子間距離の増大のため、ス
カンジウムの表面への供給・被覆率の回復が十分に行わ
れなくなり、動作温度低減の効果が得られない。
【0023】また、陰極基体の電子放射面側表面に付着
形成された薄層中に、前記レニウム粉末及び/又はハフ
ニウム粉末の占める割合が、5重量%ないし50重量%
であることが好ましい。レニウム粉末及び/又はハフニ
ウム粉末の占める割合が、5重量%未満の場合には、ス
カンジウム凝離の効果が現れず、スカンジウムの表面へ
の供給・被覆率の回復効果が低下し、動作温度の低減効
果に重大な影響を及ぼす。一方、50%を越える場合に
は、初期電子放出特性が低下してしまう。
【0024】また、陰極基体の電子放射面側表面に付着
形成された薄層の厚さは、3μmないし30μmである
ことが好ましく、更に好ましくは、3〜10μmの範囲
である。薄層の厚さが3μm未満の場合には、薄層の均
一な形成が困難となり、30μmを越える場合には、初
期電子放出特性が低下してしまう。
【0025】以上のように構成される本発明の含浸型陰
極構体では、陰極基体の電子放出表面が微粒子からなる
薄層によって被覆されていることから、粒子間距離すな
わちスカンジウムの拡散距離が短縮され、また、前記微
粒子中のレニウム、ハフニウムは、スカンジウムの有効
な凝離材として働くため、イオン衝撃後のスカンジウム
の回復が大幅に改善される。
【0026】このように、本発明の含浸型陰極構体によ
れば、陰極基体の上層部表面にタングステン粉末とレニ
ウム粉末等よりなる混合粉末層を形成している為、イオ
ン衝撃後のスカンジウムの回復時間が大幅に短縮され
る。
【0027】又、低温動作が可能なため、Ba蒸発量が
低減出来、このため陰極基体の厚さが薄くても十分な寿
命特性を得る事が出来る。本発明における陰極基体上に
形成される薄層は、例えば下記のような製造方法で形成
することができる。
【0028】すなわち、タングステン粉末および/また
はタングステン化合物粉末とスカンジウム粉末および/
またはスカンジウム化合物粉末と、レニウム粉末および
/またはハフニウム粉末を所定量混合したものを有機溶
剤とともにペ−スト状に調製し、このペ−スト状に調製
したものをスプレ−法、スクリ−ン印刷法、又は電着法
などの各種薄膜形成法により塗布する。その後、これを
乾燥し、非酸化性雰囲気にて焼結することにより、優れ
た特性を有する電子銃および電子管を得ることができ
る。
【0029】
【実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の
形態を示し、本発明を具体的に説明する。図1に、本発
明の一実施例に係る含浸型陰極構体を示す。図1(a)
に示す陰極構体は、図1(b)に示す含浸多孔質陰極基
体以外の部分は、図3に示す従来の陰極構体とほぼ同じ
構造に構成されている。即ち、図1に示す陰極構体で
は、陰極スリーブ1の一端の内側に、その一端開口縁と
ほぼ同一面をなすようにカップ状固定部材2が固定され
ており、このカップ状固定部材2内に、電子放射物質が
含浸された多孔質陰極基体22が固定されている。ま
た、陰極スリーブ1を包囲するように、筒状ホルダー4
が同軸的に配置されてる。
【0030】陰極スリーブ1は、複数個(例えば3個)
の短冊状ストラップ5により、筒状ホルダー4の内側に
同軸的に支持されている。即ち、短冊状ストラップ5の
一端部が陰極スリーブ1の他端部の外側面に取り付けら
れ、他端部が筒状ホルダー4の一端部の内側張り出し部
に取り付けられている。また、陰極スリーブ1と複数個
のストラップ5との間にはしゃへい筒7が配置され、筒
状ホルダー4の一端部の内側張り出し部に、支持片6に
よって取り付けられている。更に、陰極スリーブ1の内
側にはヒーター8が挿入され、多孔質陰極基体22を加
熱する構造になっている。
【0031】上記多孔質陰極基体22は、図1(b)に
示すように、タングステン焼結体からなる多孔質タング
ステン基体22aと、この多孔質タングステン基体22
a上に形成された混合粉末焼結層22bとから構成され
る。なお、多孔質タングステン基体22aには、Ba
O、CaOおよびAl23 よりなる電子放射物質23
が含浸されている。
【0032】このような陰極基体22は、以下のように
して形成される。即ち、まず空孔率20%のタングステ
ン焼結体の電子放出面上に、平均粒径約1.0μmのタ
ングステン粉末、レニウム粉末、及び酸化スカンジウム
粉末を、タングステン粉末:レニウム粉末:酸化スカン
ジウム粉末=85:10:5の重量比で混合したものを
有機溶剤とともにペースト状に調製し、スクリーン印刷
によって混合物層の厚さが20μmになるように塗布す
る。その後、乾燥し、水素雰囲気中、1900℃で10
分間熱処理する。最後に、従来の陰極基体の形成と同様
に、多孔質陰極基体に、BaO:CaO:Al23
4:1:1モル比の混合物からなる電子放出物質を水素
雰囲気中で溶融含浸させる。
【0033】このように作成された含浸型陰極構体に陽
極を取り付け、ダイオード構成の電子管を作成し、電子
放出特性を評価した。電子放出特性評価の条件は以下の
通りである。即ち、陰極の動作温度は約1300Kで、
カソード−陽極間に200Vのパルス電圧を印加した。
ここで、印加パルスのデューティー(パルス幅/パルス
周期)は0.1%から9.0%まで変化させた。陽極に
電圧が印加されているとき、カソードは電子管内で発生
するイオンによってイオン衝撃を受け、スカンジウムの
除去量が多くなる。一方、陽極に電圧が印加されていな
いとき、カソード表面での熱拡散のためにスカンジウム
の供給量が多くなり、表面被覆率が大きく回復されるよ
うになる。
【0034】従って、デューティーが高くなるに従っ
て、イオン衝撃の強さは増大する。従来のスカンジウム
型含浸陰極では、低デューティー領域では良好な放出電
流特性を示すが、高デューティー領域では放出電流特性
が悪化し、より高デューティー領域での動作が要求され
るカラー受像管などへの実用化の障害となっていた。
【0035】本実施例に係る陰極構体のデューティー−
放出電流密度特性を図2に示す。図中、曲線Xは従来の
スカンジウム型含浸陰極構体についての測定結果、曲線
Yは本実施例に係るスカンジウム型含浸型陰極構体につ
いての測定結果、曲線Zは従来の非スカンジウム型含浸
型陰極構体についての測定結果である。図2から明らか
なように、従来のスカンジウム型含浸型陰極構体では、
デューティー0.1%で45A/cm2 の放出電流密度
に対し、デューティー10%で12A/cm2の放出電
流密度まで低下する。一方、本実施例に係るスカンジウ
ム型含浸型陰極構体では、デューティー0.1%で30
A/cm2 の放出電流密度であるが、デューティー10
%で20A/cm2 の放出電流密度までしか低下せず、
高デューティー領域での電子放出特性が改善されている
ことがわかる。
【0036】これは、陰極基体表面に形成した微粒子層
とそこに含まれるスカンジウム凝離剤であるレニウムに
よって、スカンジウムの供給量および被覆率の回復の度
合いが大きく改善されたためと考えられる。また、本実
施例に係るスカンジウム型含浸型陰極構体は、従来のス
カンジウム型でない含浸型陰極構体よりも、低・高デュ
ーティー領域共に放出電流特性が優れている。
【0037】なお、上記実施例では、タングステン、レ
ニウム、ハフニウムの平均粒径が1.0μm、タングス
テン:レニウム:酸化スカンジウム=85:10:5
(重量比)、混合物層の厚さが20μmとしたが、本発
明者らの実験によれば、タングステンおよびレニウムの
平均粒径が0.8〜1.5μmの範囲、タングステン、
レニウム、及び酸化スカンジウムの総量に対するレニウ
ムの占める割合が5〜50重量%、酸化スカンジウムの
占める割合が1〜5重量%の範囲、また混合物質層の厚
さが3〜30μmの範囲で、前記と同等の特性を示し
た。また、前記混合物中のレニウムの一部または全ての
代わりにハフニウムを用いても、酸化スカンジウムの一
部または全ての代わりにスカンジウムまたは水素スカン
ジウムを用いても、前記と同等の特性を示した。
【0038】タングステン、及びレニウムまたはハフニ
ウム粉末の平均粒径が0.8μm未満では、混合物層の
空孔率が低下し、電子放射物質の含浸が十分に行われな
くなった。また、前記物質の平均粒径が1.5μm以上
では、粒子間距離の増大のためにスカンジウムの表面へ
の供給・被覆率の回復が十分に行われなくなり、動作温
度低減の効果が得られなかった。また、混合物層中での
レニウムまたはハフニウムの混合比が5%以下では、ス
カンジウム凝離の効果が現れなくなり、スカンジウムの
表面への供給・被覆率の回復効果が低下し、動作温度の
低減効果に重大な影響を及ぼしてしまった。また、前記
混合比が50重量%以上になると、初期電子放出特性が
低下してしまった。さらに、混合物層の厚さが30μm
以上でも初期電子放出特性が低下し、厚さ3μm以下の
混合物層を多孔質陰極表面に均一に形成することは実用
的にきわめて困難であった。
【0039】上記本発明の含浸型陰極構体をカラ−受像
管の電子銃に使用したところ、優れた特性を有する電子
銃が得られたとともに、さらに電子管に使用した場合に
おいても、同様に優れた特性を有する電子管を得ること
ができた。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
陰極基体の上層部に、タングステン粉末及び/又はタン
グステン化合物粉末と、スカンジウム粉末及び/又はス
カンジウム化合物粉末と、レニウム粉末及び/又はハフ
ニウム粉末よりなる薄層が付着形成されているため、陰
極基体の電子放出表面は、粒子間距離の小さいスカンジ
ウムが均一に分布した表面となる。このため、スカンジ
ウムの拡散距離が短縮され、かつスカンジウム粒子から
のスカンジウムの凝離が促進され、イオン衝撃後のスカ
ンジウム回復時間が大幅に短縮される。また、低温動作
が可能なため、陰極基体寸法がコンパクトでもバリウム
の熱蒸発量が低減でき、従来の省電力型含浸型陰極で問
題となっていた含浸量の絶対量不足から生じる寿命特性
を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る含浸型陰極構体および
陰極基体を示す断面図。
【図2】本発明と従来のスカンジウム型含浸陰極構体に
おけるデューティー−放出電流密度特性を示す特性図。
【図3】従来の含浸陰極構体を示す断面図。
【符号の説明】
1…陰極スリーブ、2…カップ状固定部材、3,22…
多孔質陰極基体、4…筒状ホルダー、5…短冊状ストラ
ップ、6…支持片、7…しゃへい筒、8…ヒーター、1
0…絶縁支持体。
フロントページの続き (72)発明者 中村 修 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小山 生代美 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出物質が含浸された陰極基体、陰
    極基体をその端部に取り付けた陰極スリーブ、及び陰極
    基体を加熱するためのヒーターを具備し、前記陰極基体
    の電子放射面側表面に、タングステン粉末及び/又はタ
    ングステン化合物粉末と、スカンジウム粉末及び/又は
    スカンジウム化合物粉末と、レニウム粉末及び/又はハ
    フニウム粉末よりなる薄層が付着形成されていることを
    特徴とする含浸型陰極構体。
  2. 【請求項2】 前記陰極基体および薄膜は多孔質であ
    り、陰極基体の平均粒径は薄膜の平均粒径より大きく、
    かつ陰極基体の空孔率は薄膜の空孔率より小さいことを
    特徴とする請求項1に記載の含浸型陰極構体。
  3. 【請求項3】 前記スカンジウム化合物は、酸化スカン
    ジウム(Sc23)又は水素化スカンジウム(ScH2
    )であることを特徴とする請求項1に記載の含浸型陰
    極構体。
  4. 【請求項4】 前記タングステン粉末及び/又はタング
    ステン化合物粉末、及びレニウム粉末及び/又はハフニ
    ウム粉末の平均粒径が、0.8μmないし1.5μmの
    範囲であることを特徴とする請求項1に記載の含浸型陰
    極構体。
  5. 【請求項5】 陰極基体の電子放射面側表面に付着形成
    された薄層中に、前記レニウム粉末及び/又はハフニウ
    ム粉末の占める割合が、5重量%ないし50重量%であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の含浸型陰極構体。
  6. 【請求項6】 前記陰極基体の電子放射面側表面に付着
    形成された薄層の厚さが、3μmないし30μmである
    ことを特徴とする請求項1に記載の含浸型陰極構体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の含
    浸型陰極構体を具備する電子銃。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の含
    浸型陰極構体を具備する電子管。
JP12835396A 1996-05-23 1996-05-23 含浸型陰極構体、電子銃および電子管 Pending JPH09312128A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12835396A JPH09312128A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 含浸型陰極構体、電子銃および電子管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12835396A JPH09312128A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 含浸型陰極構体、電子銃および電子管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09312128A true JPH09312128A (ja) 1997-12-02

Family

ID=14982728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12835396A Pending JPH09312128A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 含浸型陰極構体、電子銃および電子管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09312128A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004103563A (ja) * 2002-07-18 2004-04-02 New Japan Radio Co Ltd 含浸型陰極およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004103563A (ja) * 2002-07-18 2004-04-02 New Japan Radio Co Ltd 含浸型陰極およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3558966A (en) Directly heated dispenser cathode
KR100249714B1 (ko) 전자총용 음극
JPH09312128A (ja) 含浸型陰極構体、電子銃および電子管
US3374385A (en) Electron tube cathode with nickel-tungsten alloy base and thin nickel coating
JP3720913B2 (ja) 含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体及びこれを用いた電子管
US20020070651A1 (en) Cathode ray tube comprising a doped oxide cathode
JP2002025436A (ja) 含浸型陰極構体の製造方法
JPH065198A (ja) 陰極素子を含む陰極
JPH09129118A (ja) 電子管用陰極
KR100268243B1 (ko) 전자총용 음극
JPH11195367A (ja) 含浸型陰極構体、その製造方法、電子銃構体及び電子管
KR100407956B1 (ko) 음극선관용 음극 및 그 제조방법
US2931934A (en) Indirectly heated supply cathode
JP2001256882A (ja) 電子管用含浸型陰極構体およびそれを用いた電子管
JPH11195368A (ja) 含浸型陰極構体、電子銃構体及び電子管
KR100265781B1 (ko) 산화물 음극
JP3727519B2 (ja) 熱陰極構体用スリーブ及びその製造方法
KR970009775B1 (ko) 함침형 음극의 제조방법
JPH11191357A (ja) 含浸型陰極構体、含浸型陰極構体の製造方法、電子銃構体、及び電子管
JPS62213030A (ja) 含浸型陰極
JP2001345041A (ja) 電子管用陰極
JPH11213862A (ja) 陰極基体およびその製造方法
US2428289A (en) Electron tube coating
KR100271484B1 (ko) 산화물 음극
JPH0574324A (ja) 電子管用陰極