JP2001253940A - 脂肪族ポリ(エステル−カーボナート)共重合体の製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリ(エステル−カーボナート)共重合体の製造方法

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洋一 田口
Kenichi Fujita
賢一 藤田
Yoshikazu Ikeda
嘉一 池田
Takashi Masuda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に大量に生産され且つ安価なγ−ラク
トンを用い、数平均分子量が5千以上のポリ(γ−ラク
トン−カーボナート)共重合体の製造方法及びこの製造
方法により得られるγ−ラクトンユニット含有率が50
モル%以上のポリ(γ−ラクトン−カーボナート)共重
合体を提供する。 【解決手段】 ルイス酸の存在下でγ−ラクトンと炭酸
エステルとを超高圧下で開環重合させることを特徴とす
る数平均分子量5千以上のポリ(γ−ラクトン−カーボ
ナート)共重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装材料、園芸、
農業、酪農、漁業等におけるフィルム材料、土木材料、
医療材料としての用途が期待される脂肪族ポリ(エステ
ル−カーボナート)共重合体の製造方法及び共重合体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ポリ(エステル−カーボナート)
共重合体としてはε−カプロラクトンと2,2−ジメチ
ルトリメチレンカーボナートとの開環共重合で得られた
例(Macromol.Chem.,187,2579
(1986)、ibid,193,1207(199
2))や、グリコール酸ダイマーであるグリコリドとエ
チレンカーボナートとの開環共重合で得られた例(Ma
cromol.Chem.,189,2303(198
8)、ibid,191,1975(1990))など
数例が知られているが、γ−ブチロラクトンとカーボナ
ートとの開環共重合は知られていない。特にγ−ブチロ
ラクトンは常圧条件下では重合しないとされており、他
のラクトンとの共重合でもγ−ブチロラクトンユニット
が多く入った共重合体はこれまで化学合成法においては
ほとんど得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、工業的に大
量に生産される安価なγ−ラクトンを用いて、数平均分
子量が5000以上である脂肪族ポリ(γ−ラクトン−
カーボナート)共重合体を製造する方法を提供すること
及びこの製造方法により得られるγ−ラクトン含有率が
50モル%以上の脂肪族ポリ(γ−ブチロラクトン−カ
ーボナート)共重合体を提供することをその課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明によれば、ルイス酸の存在下にお
いて、下記一般式(1)
【化5】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を
示す)で表されるγ−ラクトンと、下記一般式(2)
【化6】 (式中R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキ
ル基を示す)で表される炭酸エステルとを、超高圧下で
30〜100℃に加熱して開環重合させることを特徴と
する数平均分子量が5000以上の脂肪族ポリ(γ−ラ
クトン−カーボナート)共重合体の製造方法が提供され
る。また、本発明によれば、下記一般式(1)
【化7】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を
示す)で表されるγ−ラクトンと、下記一般式(2)
【化8】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜6のアル
キル基を示す)で表される炭酸エステルとの開環共重合
体であって、該γ−ラクトン含有率が50モル%以上で
あることを特徴とする脂肪族ポリ(エステル−カーボナ
ート)共重合体が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるルイス酸として
は、従来公知の各種のものを用いることができる。この
ようなものには、ホウ素のハロゲン化物、金属のハロゲ
ン化物及び金属アルコキシド等が包含される。これらの
ルイス酸は、必要に応じ、有機溶媒と混合して用いるこ
とができる。ホウ素のハロゲン化物としては、三フッ化
ホウ素(BF3)が挙げられる。この三フッ化ホウ素
は、アルキルエーテルとの錯体として好ましく用いられ
る。金属のハロゲン化物としては、塩化物やフッ化物が
挙げられる。この場合、金属としては、アルミニウム、
銅、鉄、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、亜
鉛等が挙げられる。本発明では、これらの金属ハロゲン
化物は、ヘキサン、ジクロロメタン、トルエン、ジエチ
ルエエーテル等の有機溶媒中に溶解させて用いることが
できる。
【0006】金属アルコキシドとしては、下記一般式
(3)で表されるものが用いられる。 M(OR)n (3) 前記式中、Mは金属元素であり、Rはアルキル基であ
り、nは金属元素Mの価数に対応する数である。金属元
素Mには、アルミニウム、銅、鉄、チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム等が包含される。アルキル基Rとして
は、炭素数1〜8、好ましくは1〜4のものが挙げられ
る。ルイス酸の使用割合は、ラクトンモノマーに対し
て、0.01〜5モル%、好ましくは0.01〜1モル
%である。
【0007】本発明の方法を実施するには、前記一般式
(1)のγ−ラクトンと前記一般式(2)の炭酸エステ
ルとを、ルイス酸の存在下、超高圧で、40〜100
℃、好ましくは70〜100℃に加熱すればよい。
【0008】本発明においては、反応圧力としては超高
圧が採用されるが、この場合の超高圧は、2000気圧
以上、好ましくは1万気圧以上であり、その上限値は特
に制約されないが、1.5万気圧程度である。本発明で
は、特に、1〜1.2万気圧の範囲の超高圧の使用が好
ましい。反応時間は、通常、10〜70時間、好ましく
は15〜40時間程度である。
【0009】γ−ラクトンと炭酸エステルの使用割合
は、特に制約されないが、γ−ラクトンと炭酸エステル
の合計量に対して、γ−ラクトンの割合は、10〜98
モル%、好ましくは50〜95モル%、より好ましくは
75〜90モル%である。共重合体中のγ−ラクトンの
含有率は、50モル%以上、より好ましくは70〜98
モル%の範囲である。このようなγ−ラクトン含有率の
共重合体は、原料へのケミカルリサイクルへの可能なポ
リマーであり、環境微生物による分解性を有するもので
ある。
【0010】本発明の方法によれば、γ−ラクトンと炭
酸エステルとが開環重合した共重合体が得られるが、こ
の場合、得られる共重合体の組成は、その原料仕込み比
にほぼ一致する。本発明により得られる共重合体の分子
量は、数平均分子量で、5000以上、好ましくは1万
以上であり、その上限値は、特に制約されないが、通
常、3万程度である。
【0011】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に
説明する。なお、以下に示す実施例中のポリマー組成は
NMR(核磁気共鳴スペクトル)により決定した。ま
た、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラム)装置を用いて標準ポリスチレンで校正して得た分
子量である。
【0012】実施例1 γ−ブチロラクトン(γ−BL)1.56gとエチレン
カーボナート(EC)0.18g(仕込みのモル比γ−
BL:EC=90:10)と三フッ化ホウ素エチルエー
テル0.003gをテフロン(登録商標)チューブに充
填し、1.25GPa、70℃に20時間保持した。得
られたコポリマーをエチルエーテルにて洗浄して減圧下
で乾燥して0.72g(モノマーに基づく収率41%)
を得た。
【0013】得られたポリエステルは、組成(モル比)
がγ−BL:EC=93:7であり、数平均分子量(M
n)10,500、重量平均分子量(Mw)16,30
0であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は1.55
であった。
【0014】実施例2 γ−ブチロラクトン(γ−BL)1.41gとエチレン
カーボナート(EC)0.18g(仕込みのモル比γ−
BL:EC=89:11)と三フッ化ホウ素エチルエー
テル0.002gをテフロンチューブに充填し、1.1
GPa、70℃に20時間保持した。得られたコポリマ
ーをエチルエーテルにて洗浄して減圧下で乾燥して0.
26g(モノマーに基づく収率16%)を得た。
【0015】得られたポリエステルは、組成(モル比)
がγ−BL:EC=98:2であり、数平均分子量(M
n)8,900、重量平均分子量(Mw)13,600
であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は1.53で
あった。
【0016】実施例3 γ−ブチロラクトン(γ−BL)0.87gとエチレン
カーボナート(EC)0.88g(仕込みのモル比γ−
BL:EC=50:50)と三フッ化ホウ素エチルエー
テル0.003gをテフロンチューブに充填し、1.2
5GPa、100℃に20時間保持した。得られたコポ
リマーをエチルエーテルにて洗浄して減圧下で乾燥して
0.54g(モノマーに基づく収率31%)を得た。
【0017】得られたポリエステルは、組成(モル比)
がγ−BL:EC=91:9であり、数平均分子量(M
n)8,400、重量平均分子量(Mw)19,700
であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は2.34で
あった。
【0018】実施例4 γ−ブチロラクトン(γ−BL)1.57gとプロピレ
ンカーボナート(PC)0.21g(仕込みのモル比γ
−BL:PC=90:10)と三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル0.003gをテフロンチューブに充填し、1.
25GPa、70℃に20時間保持した。得られたコポ
リマーをエチルエーテルにて洗浄して減圧下で乾燥して
0.14g(モノマーに基づく収率8%)を得た。
【0019】得られたポリエステルは、組成(モル比)
がγ−BL:PC=97:3であり、数平均分子量(M
n)16,900、重量平均分子量(Mw)23,90
0であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は1.41
であった。
【0020】実施例5 γ−ブチロラクトン(γ−BL)1.42gとプロピレ
ンカーボナート(PC)0.41g(仕込みのモル比γ
−BL:PC=80:20)と三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル0.003gをテフロンチューブに充填し、1.
25GPa、70℃に20時間保持した。得られたコポ
リマーをエチルエーテルにて洗浄して減圧下で乾燥して
0.24g(モノマーに基づく収率13%)を得た。
【0021】得られたポリエステルは、組成(モル比)
がγ−BL:PC=97:3であり、数平均分子量(M
n)13,200、重量平均分子量(Mw)18,70
0であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は1.42
であった。
【0022】実施例6 γ−ブチロラクトン1.74gと三フッ化ホウ素エチル
エーテル0.002gをテフロンチューブに充填し、
1.1GPa、70度に20時間保持した。得られたポ
リエステルをエチルエーテルにて洗浄して減圧下で乾燥
して0.21g(モノマーに基づく収率12%)を得
た。
【0023】得られたポリエステルは、数平均分子量
(Mn)15,500、重量平均分子量(Mw)22,
400であり、分子量分布の指標(Mw/Mn)は1.
45であった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、工業的に大量に生産さ
れ且つ安価なγ−ラクトンを用い、γ−ラクトン炭酸エ
ステルとが開環重合した数平均分子量が5000以上の
脂肪族ポリ(γ−ブチロラクトン−カーボナート)共重
合体を製造することができる。この共重合体は、生分解
性を有するもので、包装材料として使用される他、園
芸、農業、酪農、漁業等におけるフィルム材料、土木材
料、医療材料等として応用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 賢一 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 池田 嘉一 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 増田 隆志 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA02 AA09 AB04 AC02 AD01 AE03 AE06 EG05 HC06 JA061 JA301 JB131 JF071 JF221 JF321 JF331 JF341 KD02 KD06 KE05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルイス酸の存在下において、下記一般式
    (1) 【化1】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を
    示す)で表されるγ−ラクトンと下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜6のアル
    キル基を示す)で表される炭酸エステルとを、超高圧下
    で30〜100℃に加熱して開環重合させることを特徴
    とする数平均分子量が5000以上である脂肪族ポリ
    (エステル−カーボナート)共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 γ−ラクトン含有率が50モル%以上で
    ある請求項1の脂肪族ポリ(エステル−カーボナート)
    共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該γ−ラクトンがγ−ブチロラクトンで
    ある請求項1又は2の脂肪族ポリ(エステル−カーボナ
    ート)共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 下記一般式(1) 【化3】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を
    示す)で表されるγ−ラクトンと、下記一般式(2) 【化4】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜6のアル
    キル基を示す)で表される炭酸エステルとの開環共重合
    体であって、該γ−ラクトン含有率が50モル%以上で
    あることを特徴とする脂肪族ポリ(エステル−カーボナ
    ート)共重合体。
  5. 【請求項5】 該γ−ラクトンがγ−ブチロラクトンで
    ある請求項4の脂肪族ポリ(エステル−カーボナー
    ト)。
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