JPH05320323A - 生分解性重合体、その製造方法および生分解性組成物 - Google Patents

生分解性重合体、その製造方法および生分解性組成物

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JPH05320323A
JPH05320323A JP12379492A JP12379492A JPH05320323A JP H05320323 A JPH05320323 A JP H05320323A JP 12379492 A JP12379492 A JP 12379492A JP 12379492 A JP12379492 A JP 12379492A JP H05320323 A JPH05320323 A JP H05320323A
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block copolymer
biodegradable
catalyst
polymer
reaction
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JP12379492A
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Yoshitoshi Kumagai
善敏 熊谷
Yoshiharu Doi
義治 土肥
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 有機金属化合物を触媒として用いて、2種以
上のラクトンを逐次開環重合することにより、微生物分
解性および機械的性質に優れた脂肪族ポリエステルブロ
ック共重合体を製造できる。このブロック共重合体は単
独で、あるいは従来微生物分解性として公知のポリ
〔(R)−3−ヒドロキシブチレート〕とポリカプロラ
クトンの混合物の相容化剤として有用である。 【効果】 ラクトンの逐次開環重合により、反応を容易
に制御して目的とするブロック共重合体を合成できる。
ブロック共重合体およびこれを相容化剤として含む重合
体組成物は、微生物分解性および物性に優れるため、包
装材料、医用材料、農業用材料等の種々の用途に有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物分解性重合体お
よびその製造方法、並びに微生物分解性重合体組成物に
関する。詳しくは、微生物分解性を有する脂肪族ポリエ
ステルのブロック共重合体およびその製造方法、並びに
この微生物分解性ブロック共重合体を相容化剤として含
有する微生物分解性重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物が分解するプラスチックとして、
これまでに(R)体の3−ヒドロキシブタン酸の縮合体
であるポリ〔(R)−3−ヒドロキシブチレート〕(以
下、PHBと略称する)やポリカプロラクトン(以下、
PCLと略称する)が知られている。しかし、PHBは
引張強度が約40MPa、融点が180℃であるにもか
かわらず、引張伸び率が5%程度と低く、堅くて脆い材
料であるため、未だ実用には至っていない。また、PC
Lは引張伸び率が約400〜600%であるが、融点が
60℃と低いため、実用性が低い。
【0003】そこで、PHBとPCLとを混合し、PH
Bの堅くて脆いという欠点とPCLの融点が低いという
欠点を同時に改善しようとする試みがなされている(特
開平3−157450号公報)。しかし、PHBとPCLは混
和性が低いために、混合して得られたポリマーは完全に
相分離し、引張強度や伸び率が低く、実用性の低いもの
となってしまう。上記公報には、相容化剤としてPHB
とPCLとのランダムまたはブロック共重合体を用いる
ことが開示されている。しかし、この共重合体はPHB
とPCLを出発原料として触媒の存在下で加熱反応させ
てエステル交換反応を行っているが、生成物の分析は熱
分析のみであり、PHBとPCLのブロック共重合体の
生成は確認されていない。このエステル交換反応は、P
HBの分解開始温度(約180℃)より高温で行われて
いるため、PHBの分子量低下や副反応を併発すると推
測される。これを避けるためには反応時間を非常に短く
することが必要であり、従って、ブロック共重合体の生
成を制御することができず、目的に合ったブロック共重
合体を得ることができない。
【0004】一般に、AとBの2種のポリマーを混合す
る際の相容化剤としては、A−Bタイプの2元ブロック
共重合体が適し、さらに共重合体のA部とB部の分子量
は、それぞれAまたはBのポリマーよりも大きい方が望
ましい。従って、ポリマー同志のエステル交換反応で合
成される共重合体は、各部が原料ポリマーの分子量より
も小さいため、良い相容化剤ではない。また、PHBと
PCLの交換反応は200℃程度の高温で行われるた
め、これらのポリマーの劣化を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PHBとP
CLの相容化剤として好適であり、それ自体も優れた微
生物分解性と物性を有するブロック共重合体を提供する
ことを目的とする。さらに、本発明は、分子設計通りに
ポリエステルブロック共重合体を合成しうる製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエス
テルブロック共重合体の製造方法について鋭意研究を重
ねた結果、触媒として有機金属化合物、特に有機亜鉛化
合物を用い、ラクトンの逐次開環重合を行うことにより
重合反応をリビング重合的に進行させ、ブロック共重合
体の生成を制御しうること、それにより目的のブロック
共重合体を得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。本発明の要旨は、微生物分解性であり、以下の
式(I)および式(II)で表される部分を含有するポリ
エステルブロック共重合体、である。
【0007】
【化1】
【0008】(上記式中、R1およびR2は互いに異なる2
価の脂肪族炭化水素基であり、mおよびnは2以上の整
数である)また、本発明は、有機金属化合物を触媒とし
て用いて、2種以上のラクトンを逐次開環重合して、ポ
リエステルのブロック共重合体を製造することを特徴と
するポリエステルブロック共重合体の製造方法も提供す
る。
【0009】さらに、本発明は、ポリ〔(R)−3−ヒ
ドロキシブチレート〕とポリカプロラクトンからなる混
合物に、相容化剤として請求項1記載のブロック共重合
体を含有させた微生物分解性重合体組成物も提供する。
【0010】
【作用】本発明では、触媒として有機金属化合物、特に
有機亜鉛化合物を用い、2種類のラクトン類の開環重合
を逐次的に行うことによって、目的に応じたポリエステ
ルのブロック共重合体を設計通りに合成できる。触媒と
して用いる有機金属化合物には、有機亜鉛化合物や有機
アルミニウム化合物があり、特に有機亜鉛化合物が好ま
しい。有機亜鉛化合物としては、ジアルキル亜鉛と水ま
たはアルコール類とを反応させたものが好適である。
【0011】ジアルキル亜鉛と水またはアルコール類と
を反応させる場合、ジアルキル亜鉛/水またはアルコー
ル類のモル比が0.5 〜10の範囲であるのが好ましく、
0.8〜1の範囲がさらに好ましい。モル比が0.5 以下で
は得られる反応生成物の触媒としての活性が著しく低下
し、モル比が10以上では触媒の均一性が低下し、制御
されたブロック共重合体を合成することが困難である。
アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール
や、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、エタ
ンジオール、プロパンジオール、ブタンジオールなどの
ジオール類が使用できる。ジアルキル亜鉛と水またはア
ルコール類との反応は溶媒を用いずに行うことができる
が、反応が激しく進行するため、溶媒を用いた方が容易
である。使用できる溶媒は、ジアルキル亜鉛および水ま
たはアルコール類を良く溶かす溶媒であり、かつこれら
に対して不活性な溶媒である。このような溶媒には、ジ
オキサンやジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロ
ホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化合物、トルエ
ンなどの芳香族炭化水素がある。反応温度は0〜110
℃であり、溶媒を用いる場合は0℃〜溶媒の沸点の範囲
であり、好ましくは20〜50℃の範囲である。0℃以
下では反応速度が遅く、また110℃以上では好ましく
ない副反応を招く。反応時間は反応温度で異なるが、通
常0.1 〜100 時間であり、好ましくは1〜20時間であ
る。0.1 時間以下では反応が完結せず、100 時間以上で
は反応時間が長すぎて実用的でない。
【0012】本発明方法により、有機金属触媒を用い2
種類のラクトン類の開環重合を逐次的に行うには、ま
ず、所定量の触媒および溶媒を反応器に仕込み、次に第
1のラクトンを仕込み、加熱攪拌を行う(第1段階)。
次いで、初めに加えたラクトンとは異なる第2のラクト
ンを加え、再び加熱攪拌を行う(第2段階)。
【0013】ラクトンとしては、β−ブチロラクトン、
ε−カプロラクトン、プロピオラクトン、δ−バレロラ
クトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラク
トンが例示され、2元ブロック共重合体を合成する場合
は、これらから2種類選択する。合成されたブロック共
重合体を、PHBとPCLとの混合組成物の相容化剤と
して使用する場合は、β−ブチロラクトンとε−カプロ
ラクトンの2種類の組み合わせが特に好ましい。
【0014】触媒とラクトンの仕込み比は、合成しよう
とするブロック共重合体の各部の分子量によって異なる
が、各ラクトン/触媒中の金属のモル比で10〜20
0、好ましくは20〜100である。10以下では得ら
れるブロック共重合体の分子量が小さく、相容化剤とし
て用いる場合十分に機能しない。また、200以上では
反応速度が遅く、実用的でない。
【0015】2種のラクトンを用いる場合の仕込み比
は、目的のブロック共重合体の組成物により異なるが、
β−ブチロラクトンとε−カプロラクトンとからPHB
とPCLの相容化剤として適したA−B型のブロック共
重合体を合成する場合は、モル比で1/10〜10/1
であり、好ましくは1/5〜5/1である。本発明方法
においては、触媒量と原料ラクトンの量を調整してブロ
ック共重合体の分子量や組成を変化させることができ
る。
【0016】開環重合で用いる溶媒は、触媒やラクトン
に対して不活性であり、生成するポリエステルブロック
共重合体を良く溶かす溶媒が望ましい。このような溶媒
には、ジオキサンやジエチルエーテルなどのエーテル
類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2 −ジクロロエ
タンなどのハロゲン化合物、トルエンなどの芳香族炭化
水素があり、特に好ましいのは、ジクロロメタン、1,2
−ジクロロエタンやトルエンである。溶媒の量は2種類
のラクトンの合計1部に対して0.5 〜100部であり、
好ましくは1〜20部である。0.5 部以下では反応の進
行とともに反応液の粘度が上昇し攪拌が困難になる。ま
た、100部以上では溶媒使用量の増加や反応器の増大
を招き経済的でない。
【0017】加熱攪拌の温度は20〜100℃であり、
好ましくは40〜80℃の範囲である。20℃以下では
反応速度が遅く実用的でない。また、100℃以上では
好ましくない副反応や分解反応を併発する。加熱攪拌の
時間は、反応温度やラクトンの種類によって異なるが、
第1段階および第2段階の加熱攪拌の反応時間はそれぞ
れ2〜200時間であり、好ましくはそれぞれ5〜50
時間である。2時間以下では、未反応のラクトンが残り
好ましくなく、200時間以上では反応時間が長すぎて
経済的でない。
【0018】本発明方法によるブロック共重合体の合成
は、後述の実施例に示す通り、第一段階の開環重合によ
り生成したポリマーの分子量分布が狭く、また数平均分
子量がモノマー/触媒量の比に比例していることから、
リビング重合機構で進行すると考えられる。従って、反
応の制御を容易に行え、目的通りのブロック共重合体を
合成することができる。
【0019】上述した本発明方法によれば脂肪族ポリエ
ステルの多元ブロック共重合体を製造できる。2種類の
ラクトンを使用した場合、前記式(I)および(II)で
表される部分を含有するAB型もしくはABA型、ある
いはABAB・・・型のブロック共重合体が得られる。
式(I)および(II)においてR1とR2は互いに異なる脂
肪族炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基にはメチレ
ン、エチレン、トリメチレン〔−(CH2 3 −〕、プ
ロピレン〔−CH(CH3 )CH2 −〕、テトラメチレ
ン〔−(CH2 4 −〕、ペンタメチレン〔−(C
2 5 −〕等が例示できる。式(I)のmおよび式
(II)のnは2以上の整数であり、通常10〜103
ある。ブロック共重合体をPHBとPCLの相容化剤と
して用いる場合、nおよびmは100〜1000程度で
あるのが相容性の点で好ましい。
【0020】本発明ブロック共重合体は、それ自体が微
生物分解性である。また、物性については適度の堅さと
柔軟性を有し、融点は40〜100℃の範囲であるの
で、成型材料として実用可能な範囲である。従って単独
で微生物分解性ポリマーとして使用することができる。
【0021】さらに、本発明ブロック共重合体はPHB
とPCLとの混合の際の相容化剤として好適に用いるこ
とができる。その場合は、β−ブチロラクトンとε−カ
プロラクトンから合成された、R1がプロピレン基でR2
ペンタメチレン基であるブロック共重合体〔以下、P
(HB−b−CL)と略称する〕を使用するのが好まし
い。
【0022】以下に、PHB、PCLおよびP(HB−
b−CL)からなる微生物分解性重合体組成物について
説明する。この組成物の各成分の配合割合はPHB10
0部に対しPCLが5〜90部、好ましくは10〜80
部である。5部以下ではPHBの堅くて脆いという物性
を改善するのに十分でない。また、90部以上では、P
CLの低い融点のために使用範囲が限定され好ましくな
い。P(HB−b−CL)の割合は、PHBとPCLと
の合計100部に対し2部以上、好ましくは5部以上で
ある。2部以下では相容化剤としての効果が十分に得ら
れない。上限は特に限定されないが、50部以上では相
容化剤としての効果はこれ以上向上せず、経済的でな
い。
【0023】本発明で使用するPHBは、微生物によっ
て産生された分子量10万〜100万程度のものが好ま
しい。また、PCLはε−カプロラクトンの開環重合に
より得られた、分子量1万〜20万程度のものを使用で
きる。本発明の重合体組成物は、重合体成分がすべて微
生物分解性である。加えて、従来の微生物分解性重合体
であるPHBやPCLが有するような物性上の問題がな
く、機械的性質に優れた成型品を得ることができる。
【0024】本発明のブロック共重合体および組成物
は、従来公知の方法によって各種の形状に成型できる。
成型方法としては、押出成型、射出成型等が用いられ、
また、各重合体を良く溶かすクロロホルム、ジクロロメ
タン等の溶媒を用いたキャスティングによってもよい。
成型品の形状はペレット状、フィルム状、シート状、板
状等の各種の形状が可能である。本発明のブロック共重
合体および組成物には、さらに慣用の添加剤、例えば着
色剤、充填剤、酸化防止剤等を加えてもよい。
【0025】
【実施例】
【0026】
【実施例1】(1) ジエチル亜鉛/水触媒の調製 窒素で置換した50mlのシュレンク型フラスコに、窒素
気流下で十分に精製脱水した1,4-ジオキサン15mlとジエ
チル亜鉛3.5 gとを順次導入する。続いて、上記混合物
を攪拌しながら溶存酸素を除いた水0.31mlを窒素気流下
で15分かけて導入する。室温で2時間攪拌し、1,4-ジオ
キサンを凍結乾燥で除き、さらに高真空下で十分に乾燥
させることによって、黄色の固体 3.5gを得た。この固
体中のZn量を原子吸光分析で測定したところ9.8 ×10-3
mol/g であった。
【0027】(2) β−ブチロラクトンの開環重合 窒素気流下で、(1) の黄色固体約70mgを耐圧反応器に
正確に計り取り、十分に脱水精製したジクロロメタン50
mlを加え、さらに、触媒中の亜鉛のモル数に対して25〜
100 倍のモル数のβ−ブチロラクトンを加え、反応温度
60℃で攪拌しながら5日間反応を行った。反応後、反
応液を大量のジエチルエーテルに注ぎ、沈殿物を回収し
減圧下で乾燥し、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)
(PHB)を回収した。ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で分子量の測定を行った。さらに、
β−ブチロラクトン/触媒中のZnの比と、PHBの数平
均分子量(Mn)の相関を調べた結果を図1に示す。図
1から明らかなように、β−ブチロラクトン/Znの比の
増加とともにPHBのMnが直線的に増加しており、ま
た、生成したポリマーの分子量分布が狭いことから、本
発明の重合反応はリビング重合的に進行していることが
確認できた。
【0028】(3) P(HB−b−CL)ブロック共重合
体の合成 窒素気流下で、(1) の黄色固体70mgを耐圧反応器に正
確に計り取り、十分に脱水精製したジクロロメタン50
mlを加え、さらに表1に示す量のβ−ブチロラクトンを
加え、反応温度60℃で攪拌しながら5日間反応を行っ
た、次に、室温に冷却後、反応器に表1に示す量のε−
カプロラクトンを加え、60℃でさらに加熱攪拌を行っ
た。
【0029】反応終了後、反応液を反応液の10倍量の
メタノールに注ぎ、沈殿物を得た。この沈殿物をメタノ
ールで十分に洗浄し、減圧下で乾燥した。沈殿物の分析
はGPCおよび 1H−MNRで行った。 1H−MNRお
よびGPCの一例をそれぞれ図2および3に示す。 1
−MNR分析から、得られたポリマーがポリ(3−ヒド
ロキシブチレート)とポリカプロラクトンとを構成成分
とすることが確認された。また、図3に示したように、
β−ブチロラクトンの開環重合体の後にε−カプロラク
トンを添加して重合を行うことによってポリマーの分子
量が増大した。従って、これらの分析結果から、得られ
たポリマーはポリ(3−ヒドロキシブチレート)とポリ
カプロラクトンとのブロック共重合体であることが確認
された。ブロック共重合体の分子量は、クロロホルムを
用いたGPCにより測定し、ポリエチレングリコール換
算で表示した。それらの分析値を合成条件(触媒、原料
の仕込み量)と共に表1に示す。また、第2段階でε−
カプロラクトンの代わりにβ−プロピオラクトンを用い
て重合を行い、分析した結果を合成条件と共に表2に示
す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】このように、触媒量と原料であるラクトン
の量を調整することによって、様々な分子量や組成比を
もつブロック共重合体が設計通り合成できる。 (4) 本発明ブロック共重合体および混合組成物の機械的
特性 P(HB−b−CL)として表1の試験No. 1および2
のブロック共重合体を用い、表1に示す重量組成比でP
HB、PCL、P(HB−b−CL)をクロロホルムに
溶かし、濃度20mg/mlのクロロホルム溶液を調製した。
このクロロホルム溶液からソルベント−キャスト法によ
りフィルムを作製した。得られたフィルムの機械的特性
を引張試験機を用いて測定した。その結果を表3に示
す。
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、PHBとPCL
との混合物に本発明ブロック共重合体を加えることによ
って、引張強度や伸び率が向上し、機械的物性が改善さ
れる。 (5) ブロック共重合体および組成物の微生物分解性 ソルベント−キャスト法で作製した各種のブロック共重
合体およびPHB/PCL/P(HB−b−CL)混合
組成物の微生物分解性を以下に示す方法で評価した。
【0035】茨城県鹿島郡波崎町で採取した土壌0.2 g
を滅菌した水5mlで抽出し、その抽出液0.2 mlを以下に
示す培養液5mlに加え、微生物分解性試験液とした。 培養液(重量組成) NH4 NO3 0.1 FeSO4 0.001 KH2 PO4 0.1 MnSO4 0.001 NaHPO4 0.1 ZnSO4 0.001 MgSO4 ・7H2O 0.02 CaCl2 ・2H2O 0.001 酵母エキス 0.01 (pH 7.0) 上記試験液に各種ブロック共重合体およびPHB/PC
L/P(HB−b−CL)混合組成物から作製したフィ
ルム (1cm×1cm)を浸漬し、30℃で48時間振盪した。
振盪後、培養液よりフィルムを取り出し十分に乾燥して
から重量を測定した。その結果を表4に示す。なお、微
生物を含まない条件下での重量減少はいずれの場合も0
である。
【0036】
【表4】
【0037】表4から判るように、本発明のブロック共
重合体および組成物は優れた微生物分解性を有する。
【0038】
【発明の効果】以上に詳説したように、本発明によれ
ば、反応を容易に制御して分子設計通りのポリエステル
ブロック共重合体を合成しうる製造方法を提供できる。
この製造方法により、新規な微生物分解性ブロック共重
合体を提供できる。このブロック共重合体はそのままで
微生物分解性ポリマーとして使用してもよいが、PHB
とPCLとの混合組成物の相容化剤として使用するのに
好適である。該ブロック共重合体はPHBとPCLとの
相容性を改善し、微生物分解性を損なうことなく機械的
特性を改善できる。従って、本発明のブロック共重合体
および組成物は、優れた物性と微生物分解性を有し、こ
れを廃棄した場合、微生物により完全に分解されるた
め、包装材料、医用材料、農業用材料、林業用材料、漁
業材料等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】β−ブチロラクトンの開環重合によって得られ
たポリ(3−ヒドロキシブチレート)の数平均分子量と
β−ブチロラクトン/触媒中のZnの比との関係を示す図
である。
【図2】本発明のブロック共重合体の 1H NMRチャ
ートの一例を示す図である。
【図3】β−ブチロラクトンの開環重合後と、ε−カプ
ロラクトンを添加した重合した後のGPC曲線を示す図
である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物分解性であり、以下の式(I)お
    よび式(II)で表される部分を含有するポリエステルブ
    ロック共重合体。 【化1】 (上記式中、R1およびR2は互いに異なる2価の脂肪族炭
    化水素基であり、mおよびnは2以上の整数である)
  2. 【請求項2】 有機金属化合物を触媒として用いて、2
    種以上のラクトンを逐次開環重合して、ポリエステルの
    ブロック共重合体を製造することを特徴とする、ポリエ
    ステルブロック共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリ〔(R)−3−ヒドロキシブチレー
    ト〕とポリカプロラクトンからなる混合物に、相容化剤
    として請求項1記載のブロック共重合体を含有させた微
    生物分解性重合体組成物。
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