JP2001253774A - 圧電体磁器組成物およびその製造方法、圧電体素子およびその製造方法、ならびに、それを用いたインクジェット式プリンタヘッドおよび超音波モータ - Google Patents

圧電体磁器組成物およびその製造方法、圧電体素子およびその製造方法、ならびに、それを用いたインクジェット式プリンタヘッドおよび超音波モータ

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JP2001253774A JP2000063214A JP2000063214A JP2001253774A JP 2001253774 A JP2001253774 A JP 2001253774A JP 2000063214 A JP2000063214 A JP 2000063214A JP 2000063214 A JP2000063214 A JP 2000063214A JP 2001253774 A JP2001253774 A JP 2001253774A
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Junko Katayama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた圧電特性を保持しつつ比較的低温での
焼結が可能であるような圧電体磁器組成物を提供する。 【手段】 化学式Pb(Zr1−xTi)O(0.
2<x≦1)で表されるPZTを主成分とし、V
を0.01重量%〜10重量%およびBiを0.
01重量%〜10重量%含むようにして、圧電体磁器組
成物を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インクジェット
式プリンタヘッド、マイクロポンプ、超音波モータ、超
音波振動子、圧電トランス、周波数フィルタ、圧電セン
サ、圧電スピーカ、圧電リレー、マイクロマシン、マイ
クロミラーデバイスなどに使用される圧電体磁器組成物
およびその製造方法、圧電体磁器組成物で形成された圧
電体部材を備えた圧電体素子およびその製造方法、なら
びに、圧電体素子を用いて構成されるインクジェット式
プリンタヘッドおよび超音波モータに関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr
1−xTi)O(0.2<x≦1、好ましくは0.
3<x≦1);x=1であるとき、すなわちPbTiO
を含めて、以下、「PZT」という)またはPZTを
主成分とする圧電体磁器組成物(以下、「PZT系磁器
組成物」という)は、優れた圧電特性を有していること
から、種々の技術分野における多様な圧電体素子に用い
られている。例えばインクジェット式プリンタヘッドで
は、インク室に満たされたインクをインクノズルから噴
射させるためにインク室の容積を変化させるアクチュエ
ータとして、PZT系磁器組成物からなる圧電体膜を有
する圧電体素子が用いられている。
【0003】インクジェット式プリンタヘッドには、図
1に示したような構成のプリンタヘッドのほか、種々の
方式および構成のプリンタヘッドがある(特公昭53−
12138号公報、特開平4−1052号公報、特公平
4−52213号公報、特公平7−33089号公報、
USP4584590号明細書、特公平6−6375号
公報、特公平6−61936号公報、特開平10−86
369号公報等参照)。図1は、それら各種方式のイン
クジェット式プリンタヘッドのうちの1つであるプリン
タヘッドの構成を、一部を拡大して模式的に示してお
り、このインクジェット式プリンタヘッドは、ヘッド基
台1と振動板3およびアクチュエータ4とから構成され
ている。ヘッド基台1には、インクを噴射する多数のイ
ンクノズル、それぞれのインクノズルに個別に連通する
多数のインク経路、および、それぞれのインク経路に個
別に連通する多数のインク室2が形成されている(図1
では、1つのインク室2のみを示し、インク経路やイン
クノズルの図示を省略している)。このヘッド基台1の
上面全体を覆うように振動板3が取り付けられ、この振
動板3によってヘッド基台1の全てのインク室2の上面
開口が閉塞されている。振動板3上には、それぞれのイ
ンク室2と個別に対応した位置に、振動板3に振動駆動
力を与えるための圧電体素子5が被着形成されている。
そして、多数の圧電体素子5を備えたアクチュエータ4
の電源9を制御して、所望の選択された圧電体素子5に
電圧を印加することにより、圧電体素子5を振動板3に
対して平行な方向に伸縮変位させる。ところが、圧電体
素子5は、下部電極6側の面で振動板3により拘束され
ているので、結果的に、振動板3および圧電体素子5
は、振動板3面に垂直な方向に撓み変位することにな
る。この振動板3の撓み変位によりインク室2の容積が
変化して、インク経路を介して連通する噴射ノズルから
インクが噴射される。
【0004】圧電体素子5は、下部電極6上に圧電体膜
7を形成し、その圧電体膜7上に上部電極8を形成し
て、下部電極6と上部電極8とで圧電体膜7を挟んで構
成されている。圧電体膜7は、一般的に、PZT系磁器
組成物で形成されている。この圧電体膜7は、スクリー
ン印刷法やゾル−ゲル法などを利用して成膜した後加熱
焼成して形成される。
【0005】PZT系磁器組成物は、優れた圧電特性を
有し、上記したインクジェット式プリンタヘッドのアク
チュエータのほか、マイクロポンプ、超音波モータ、超
音波振動子、圧電トランス、周波数フィルタ、圧電セン
サ、圧電スピーカ、圧電リレー、マイクロマシン、マイ
クロミラーデバイスなどの構成材料として、多方面で利
用されているが、PZT系材料に微量成分を添加するこ
とによりさらに物性値の向上を図るための多くの試みが
行われている。例えば、特許第2841911号公報に
は、PZT材料にビスマスナトリウムタイタネートを添
加することにより、圧電特性を損なうことなくPZT系
磁器組成物の機械的強度を向上させる発明が開示されて
いる。特公平5−25831号公報には、PZT系材料
にMnO を添加することにより、機械的品質特性、圧
電定数および温度特性のすべてが一定水準以上であるP
ZT系磁器組成物を得る技術が開示されている。特開平
5−116947号公報には、PZT系材料にMnO、
NiO、およびLaを添加することにより、電気
機械結合係数Kが大きく比誘電率εの温度変化率も
小さく結晶粒径も小さく均一であるPZT系磁器組成物
を得る技術が開示されている。PZT系材料にパラジウ
ム金属粉末を添加して、誘電率や圧電歪定数が大きく機
械的強度が大きいPZT系磁器組成物を得る技術が開示
されている。また、特開平8−319159号公報に
は、PZT系材料にSbおよびMnを固溶させて、高い
圧電歪定数および低い誘電損失を併せ持つPZT系磁器
組成物、また高い圧電歪定数および大きな機械的品質係
数を併せ持つPZT系磁器組成物を得る技術が開示され
ている。さらに、ジャーナル・オブ・ジ・ユーロピアン
・セラミック・ソサイアティ(Journal of
the EuropeanCeramic Socie
ty)、19、999−1002(1999)には、P
ZT微粒子にPbGe11を添加することによ
り、PZT微粒子の焼成温度を低下させる方法が開示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば、上
述したインクジェット式プリンタヘッドの圧電体素子
を、PZT系材料またはその前駆体組成物を含むペース
トや塗布液などを用いて下部電極上に成膜した後に焼成
して圧電体膜を形成する、といった方法により作成する
場合には、PZT系材料を焼成する過程で、下部電極や
基板(振動板)も同時に高温で加熱されることになる。
しかしながら、PZT系材料の焼成温度は非常に高く、
例えばPZTでは1,150℃程度の焼成温度が必要で
ある。Ptなどで形成された下部電極や、ジルコニア、
アルミナなどのセラミックで形成された基板は、耐熱性
に優れた材料として選択されたものであるが、それであ
っても焼成過程でダメージを受け、特性の劣化が避けら
れなかった。したがって、焼成過程での電極や基板のダ
メージを低減させるためには、また、電極や基板などの
材料選択の幅を広げるためには、焼成温度を下げる必要
がある。このことは、インクジェット式プリンタヘッド
に限らず、あらゆる圧電体素子に対し共通して求められ
ていることである。
【0007】上記したように、PZT系材料に微量成分
を添加することによりPZT系磁器組成物の物性値の向
上を図る技術が数多く提案されているが、比較的低温で
の焼結が可能であるPZT系磁器組成物についての提案
は、ほとんどなされていない。これは、従来の圧電体素
子の作成が、圧電体磁器組成物を作製した後、それを切
出し加工し、その加工物に電極付けする、といった工程
で行われていたため、低温で焼成する必要姓がそれほど
高くなかったことにもよる。唯一、ジャーナル・オブ・
ジ・ユーロピアン・セラミック・ソサイアティ、19
999−1002(1999)に、Pb−Ge系組成物
を用いてPZT微粒子の焼成温度を低下させる方法につ
いての報告がある。この方法は、750℃〜800℃で
焼成を行い、通常のPZT系磁器組成物と同程度の圧電
特性を提供するものであるが、この方法で用いられるP
b−Ge系組成物を被覆したPZT微粒子は、特殊なも
のであり、その製造に複雑な工程を必要とし、一般的な
用途には適さないものであった。また、この特殊な原料
微粒子を安定して製造することは、非常に困難である。
さらに、この方法においては、950℃以上の温度での
焼成を行うと、その圧電特性の低下を招くという欠点を
有している。なお、SiOやBなどのガラス成
分をPZT系材料に添加すると、焼結温度の低温化が可
能であることは分かっているが、この場合には、PZT
系磁器組成物の圧電特性が大幅に低下することになるた
め、圧電体としての利用を考えたときには好ましくな
い。
【0008】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、通常のPZTと同
等以上の優れた圧電特性を有する新規な圧電体磁器組成
物を提供することにある。併せて、この優れた圧電特性
の低下を招くことなく、また、特殊な原料を用いたり、
複雑な製造工程を要することなく、その焼成を低温で行
うことが可能であるPZT系磁器組成物を提供するこ
と、および、そのようなPZT系磁器組成物を好適に製
造することができる方法を提供すること、前記のPZT
系磁器組成物によって圧電体膜が形成された圧電体素子
を提供すること、基板上に形成された下部電極上に圧電
体膜を形成する方法で圧電体素子を好適に製造すること
ができる方法を提供すること、ならびに、前記の圧電体
素子がアクチュエータに用いられたインクジェット式プ
リンタヘッド、および、前記の圧電体素子が駆動部に用
いられた超音波モータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに検討を行った結果、従来のPZT磁器組成物と同等
以上の圧電特性を有し、これまでに開示されたことのな
い全く新規な圧電体磁器組成物を見出すに至り、本発明
を完成させた。また、併せて、得られた磁器組成物が、
その優れた圧電特性の低下を招くことなしに通常のPZ
T磁器組成物と比べて数百度低い温度での焼成が可能で
あることも見出した。請求項1に係る発明は、PZT系
磁器組成物において、Vを0.01重量%〜10
重量%およびBiを0.01重量%〜10重量%
含むことを特徴とする。また、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の磁器組成物において、Vの含有量
を0.01重量%〜5重量%としBiの含有量を
0.01重量%〜5重量%としたことを特徴とする。
【0010】本発明のPZT系磁器組成物は、V
およびBiを同時に含有することにより、PZT
系磁器組成物の優れた圧電特性を失うことなく、製造に
際して、低温での焼成を可能とするものである。本発明
がその効果を発現する機構は明らかでないが、焼成時
に、鉛成分、VおよびBiが反応して何ら
かの低融点物質が生成して低温での焼結に寄与している
ものと思われる。また、本発明のPZT系磁器組成物の
優れた圧電特性は、磁器組成物中の構成元素が特定の組
成バランスにあることにより生じるものと思われる。
【0011】ここで、VあるいはBiの含
有量が少なすぎると、低温焼成時に焼結が十分に進ま
ず、緻密なPZT系磁器組成物が得られない。一方、V
あるいはBiの含有量が多すぎると、PZ
T系磁器組成物の組成バランスが崩れて、その圧電特性
が低下する。低い温度領域で焼成を行っても、十分に緻
密な構造と優れた圧電特性を同時に付与することの可能
な本発明のPZT系磁器組成物は、VおよびBi
を、好ましくはそれぞれ0.01重量%〜10重
量%含有し、より好ましくは0.01重量%〜5重量%
含有する。
【0012】請求項3に係る発明は、請求項1または請
求項2記載の磁器組成物において、Bi/V
の重量比を0.05〜2.5としたことを特徴とす
る。また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の磁器
組成物において、Bi/Vの重量比を0.
5〜1.5としたことを特徴とする。
【0013】請求項3に係る発明の磁器組成物は、Bi
/Vの重量比が0.05〜2.5の範囲に
あることで、より緻密なPZT系磁器組成物となり、ま
た圧電特性がより向上することになる。また、請求項4
に係る発明の磁器組成物は、さらに緻密な構造を有し、
さらに優れた圧電特性を保有する。
【0014】請求項5に係る発明は、請求項1ないし請
求項4のいずれかに記載の磁器組成物において、La
および/またはNbを0.01重量%〜10
重量%含むことを特徴とする。また、請求項6に係る発
明は、請求項5記載の磁器組成物において、La
および/またはNbの含有量を0.01重量%〜
5重量%としたことを特徴とする。
【0015】この磁器組成物は、Laおよび/ま
たはNbが含まれていることにより、圧電特性が
安定化し、耐リーク性が向上する。
【0016】なお、Laおよび/またはNb
以外でも、特性を低下させない限り、この磁器組成物
に他の金属成分が含まれていても差し支えない。
【0017】請求項7に係る発明は、請求項1ないし請
求項6のいずれかに記載のPZT系磁器組成物を製造す
る方法において、原料として、化学式Pb(Zr1−x
Ti )O(0.2<x≦1)で表される組成の複合
酸化物からなり平均粒径が0.05μm〜0.5μmで
ある粒子を用いることを特徴とする。
【0018】請求項8に係る発明は、請求項7記載の製
造方法において、前記粒子が、化学式(Zr1−xTi
(0.2<x≦1)で表される組成の酸化物
とPbOとを出発原料として得られたペロブスカイト型
構造を有する複合酸化物からなることを特徴とする。
【0019】請求項9に係る発明は、請求項5または請
求項6記載のPZT系磁器組成物を製造する方法におい
て、原料として、化学式Pb(Zr1−xTi)O
−yLa(0.2<x≦1)、Pb(Zr1−x
Ti)O−yNb(0.2<x≦1)または
Pb(Zr1−xTi)O−yLa−zNb
(0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物
からなり平均粒径が0.05μm〜0.5μmで予めN
bおよびLaが固溶された粒子を用いることを特徴とす
る。上記した各化学式中のy、zは、請求項5または請
求項6記載のPZT系磁器組成物におけるLa
たはNbの含有割合に対応した値(PZTに対す
るモル比)である。
【0020】請求項10に係る発明は、請求項9記載の
製造方法において、前記粒子が、化学式(Zr1−x
(0.2<x≦1)で表される組成の酸化
物とPbOとLaおよび/またはNbとを
出発原料として得られたペロブスカイト型構造を有する
複合酸化物からなることを特徴とする。
【0021】請求項7および請求項9に係る各発明の製
造方法では、平均粒径が0.5μm以下(なお、より好
ましくは0.3μm以下)である粒子を原料として用い
ることにより、PZT系磁器組成物の焼成が容易にな
る。また特に、原料粒子を用いてペーストを調製し成膜
する場合には、パッキング密度が向上することになる。
なお、平均粒径が0.05μm未満といったように余り
小さすぎる粒子を原料とすることは、その原料の合成や
取扱いが難しくなるので、好ましくない。
【0022】請求項8および請求項10に係る各発明の
製造方法では、それぞれ上記した各複合酸化物からなる
粒子を原料とすることにより、その原料粒子を固相反応
により比較的低温で合成することが可能であり、また、
粒径の小さい原料粒子を得ることが可能で、所望の粒径
の原料粒子を得るための粉砕工程も容易であり、その粉
砕時におけるコンタミネーション(汚染)も低減させる
ことが可能である。
【0023】請求項11に係る発明は、請求項7ないし
請求項10のいずれかに記載の製造方法において、V成
分およびBi成分を、それぞれアルコキシドもしくは金
属塩またはそれらの溶液として前記粒子に添加したスラ
リーまたはペーストを調製する工程を経ることを特徴と
する。
【0024】この発明の製造方法では、V成分およびB
i成分が、原料となる粒子とは別に添加されるので、液
相が良好に生成され、このため、V成分およびBi成分
を、それが効率良く有効に機能するようにPZT系磁器
組成物中に存在させることが可能になる。このように、
液相を良好に生成させるためには、V成分およびBi成
分をペロブスカイト結晶中に予め存在させないようにす
る方が好ましい。
【0025】請求項12に係る発明は、請求項7または
請求項8記載の製造方法において、V成分、Bi成分、
La成分およびNb成分を、それぞれアルコキシドもし
くは金属塩またはそれらの溶液として添加したスラリー
またはペーストを調製する工程を経ることを特徴とす
る。
【0026】この発明の製造方法では、V成分およびB
i成分が、La成分およびNb成分と共に、原料となる
粒子とは別に添加されるので、液相が良好に生成され、
このため、V成分およびBi成分を、それが効率良く有
効に機能するようにPZT系磁器組成物中に存在させる
ことが可能になる。このように、液相を良好に生成させ
るためには、V成分およびBi成分をペロブスカイト結
晶中に予め存在させないようにする方が好ましいが、L
a成分およびNb成分については、ペロブスカイト結晶
中に予め存在させておいてもよいし、後から原料粒子に
添加するようにしてもよい。
【0027】請求項13に係る発明は、少なくとも圧電
体部材と複数の電極とで構成された圧電体素子におい
て、前記圧電体部材を、請求項1ないし請求項6のいず
れかに記載のPZT系磁器組成物で形成したことを特徴
とする。
【0028】この発明の圧電体素子は、上記したように
優れた圧電特性を保持しつつ低温での焼成が可能である
ようなPZT系磁器組成物によって圧電体が形成されて
いる。その優れた圧電特性は、様々な圧電体素子におい
て有益であるが、特に、圧電体部材を成膜あるいは成形
した後に他の構成部材と共に焼成することにより圧電体
素子を製造する場合においては、焼成温度を低温化する
ことが可能であるため、より好適である。
【0029】請求項14に係る発明は、請求項13記載
の圧電体素子において、圧電体部材が圧電体膜であり、
その圧電体膜を挟むように上部電極および下部電極が配
設されたことを特徴とする。
【0030】この発明の圧電体素子では、下部電極上に
成膜した後に焼成して圧電体膜を形成する、といった方
法により圧電体素子を作成する場合に、焼成温度を低温
化することができるため、焼成過程で受ける下部電極や
基板(振動板)のダメージを低減させることが可能であ
り、また、電極や基板などの材料選択の幅を広げること
が可能になる。
【0031】請求項15に係る発明は、請求項14記載
の圧電体素子において、前記圧電体膜の厚みを1μm〜
25μmとしたことを特徴とする。
【0032】圧電体膜の厚みが1μm未満である場合、
圧電体素子を変位させるのに十分な程度の力を得ること
ができない。また、膜厚が25μmを超える場合には、
圧電体素子の駆動に高電圧を必要とするため好ましくな
い。さらに、撓み変位させる場合には、膜厚が25μm
を超えると、圧電体膜自体の強度が上がるため、素子の
変位量が減少し好ましくない。
【0033】請求項16に係る発明は、請求項13記載
の圧電体素子において、圧電体部材が、分極処理された
圧電体薄板であり、その圧電体薄板の両面にそれぞれ所
定のパターンで電極が配設されたことを特徴とする。
【0034】この発明の圧電体素子では、超音波モータ
の駆動部に用いられる圧電体素子を製造する場合に、成
形後に焼成する過程での焼成温度を低温化することが可
能になる。
【0035】請求項17に係る発明は、基板の表面に下
部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、請求項1
ないし請求項6のいずれかに記載の圧電体磁器組成物か
らなる圧電体膜を形成する工程と、前記圧電体膜上に上
部電極を形成する工程と、を含む圧電体素子の製造方法
であって、化学式Pb(Zr1−xTi)O(0.
2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を含む組成物
を使用して前記下部電極上に成膜した後、その組成膜を
加熱処理して、前記圧電体膜を形成することを特徴とす
る。
【0036】請求項18に係る発明は、基板の表面に下
部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、請求項5
または請求項6記載の圧電体磁器組成物からなる圧電体
膜を形成する工程と、前記圧電体膜上に上部電極を形成
する工程と、を含む圧電体素子の製造方法であって、化
学式Pb(Zr1−xTi)O−yLa
(0.2<x≦1)、Pb(Zr1−xTi)O
−yNb(0.2<x≦1)またはPb(Zr
1−xTi)O−yLa−zNb
(0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を含
む組成物を使用して前記下部電極上に成膜した後、その
組成膜を加熱処理して、前記圧電体膜を形成することを
特徴とする。上記した各化学式中のy、zは、請求項5
または請求項6記載のPZT系磁器組成物におけるLa
またはNbの含有割合に対応した値(PZ
Tに対するモル比)である。
【0037】請求項19に係る発明は、請求項17また
は請求項18記載の製造方法において、前記複合酸化物
からなる粒子、ならびに、VおよびBiの各アルコキシ
ドもしくは金属塩またはそれらの溶液を用いて、前記組
成物を調製することを特徴とする。
【0038】請求項20に係る発明は、請求項17記載
の製造方法において、前記複合酸化物からなる粒子、な
らびにV、Bi、LaおよびNbの各アルコキシドもし
くは金属塩またはそれらの溶液を用いて、前記組成物を
調製することを特徴とする。
【0039】請求項21に係る発明は、請求項17ない
し請求項20のいずれかに記載の製造方法において、前
記組成物として、さらに少なくとも感光性有機ポリマー
を含む感光性組成物を使用し、成膜後に、感光性組成膜
に所定のパターンを焼き付け、現像して、所定のパター
ンを有する感光性組成膜を形成した後、加熱処理を行う
ことを特徴とする。
【0040】請求項22に係る発明は、請求項17ない
し請求項21のいずれかに記載の製造方法において、前
記組成膜の加熱処理を600℃〜950℃の温度で行う
ことを特徴とする。
【0041】請求項17ないし請求項22に係る各発明
の製造方法によると、請求項14に係る発明の圧電体素
子が従来と比較してより簡易な製造工程で得られる。そ
して、請求項15に係る発明の圧電体素子のように、厚
みが1μm〜25μmと薄い圧電体膜を有利に形成する
ことができる。
【0042】請求項23に係る発明は、請求項1ないし
請求項6のいずれかに記載の圧電体磁器組成物からなる
圧電体薄板を形成する工程と、前記圧電体薄板の両面に
それぞれ所定のパターンの電極を形成する工程と、前記
圧電体薄板に分極処理を施す工程と、を含む圧電体素子
の製造方法であって、化学式Pb(Zr1−xTi
(0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を
含む組成物を使用して薄板材を形成した後、その薄板材
を加熱処理して、前記圧電体薄板を形成することを特徴
とする。
【0043】請求項24に係る発明は、請求項5または
請求項6記載の圧電体磁器組成物からなる圧電体薄板を
形成する工程と、前記圧電体薄板の両面にそれぞれ所定
のパターンで電極を形成する工程と、前記圧電体薄板に
分極処理を施す工程と、を含む圧電体素子の製造方法で
あって、化学式Pb(Zr1−xTi)O−yLa
(0.2<x≦1)、Pb(Zr1−xTi
−yNb(0.2<x≦1)またはPb(Z
1−xTi)O−yLa−zNb
(0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を含
む組成物を使用して薄板材を形成した後、その薄板材を
加熱処理して、前記圧電体薄板を形成することを特徴と
する。上記した各化学式中のy、zは、請求項5または
請求項6記載のPZT系磁器組成物におけるLa
またはNbの含有割合に対応した値(PZTに対
するモル比)である。
【0044】請求項23および請求項24に係る各発明
の製造方法によると、請求項16に係る発明の圧電体素
子が、従来と比較してより簡易な製造工程で得られる。
【0045】請求項25に係る発明は、1個もしくは2
個以上のインクノズルを有し、そのインクノズルに連通
したインク室の容積をアクチュエータによって変化さ
せ、前記インクノズルからインクを噴射させるようにし
たインクジェット式プリンタヘッドにおいて、前記アク
チュエータに、請求項13ないし請求項15のいずれか
に記載の圧電体素子を用いたことを特徴とする。
【0046】この発明のインクジェット式プリンタヘッ
ドは、アクチュエータとして請求項13ないし請求項1
5のいずれかに係る各発明の、上記特性を有する圧電体
素子を具備している。
【0047】請求項26に係る発明は、駆動部によって
進行性振動波を発生させるステータと、前記進行性振動
波によって移動させられる移動体とを備えた超音波モー
タにおいて、前記駆動部に、請求項13または請求項1
6記載の圧電体素子を用いたことを特徴とする。
【0048】この発明の超音波モータは、ステータの駆
動部として請求項13または請求項16に係る各発明
の、上記特性を有する圧電体素子を具備している。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
について説明する。
【0050】この発明に係るPZT系磁器組成物は、V
を0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.
01重量%〜5重量%、および、Biを0.01
重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重
量%含んで構成されている。PZT系磁器組成物中のV
とBiとの含有比Bi/V
は、重量比で0.05〜2.5、好ましくは0.3〜
2、より好ましくは0.5〜1.5である。
【0051】このPZT系磁器組成物は、Vおよ
びBiが含まれていることにより、通常のPZT
磁器組成物と比べて同等以上の圧電特性を保有してい
る。また、それを製造する場合において焼成温度を、例
えば600℃〜950℃の領域まで低温化することがで
きる。一方、このPZT系磁器組成物は、Vおよ
びBiの共存によって圧電特性が低下する、とい
ったことがない。そして、VおよびBi
含有量が、それぞれ0.01重量%〜10重量%、好ま
しくは0.01重量%〜5重量%の範囲であるため、こ
のPZT系磁器組成物は、緻密な構造を有し優れた圧電
特性を保持する。また、Bi/Vの重量比
は、0.05〜2.5、好ましくは0.3〜2、より好
ましくは0.5〜1.5であることにより、このPZT
系磁器組成物は、緻密な構造を有し優れた圧電特性を保
持する。
【0052】このPZT系磁器組成物には、La
またはNb、あるいはLaおよびNb
の両方を、0.01重量%〜10重量%、好ましくは
0.01重量%〜5重量%含ませることができる。これ
により、PZT系磁器組成物の圧電特性が安定化し、耐
リーク性が向上することになる。
【0053】なお、Laおよび/またはNb
以外でも、特性の低下を招くことがない限り、このP
ZT系磁器組成物に他の金属成分が含まれていても差し
支えない。
【0054】上記したような組成のPZT系磁器組成物
は、例えば、上述したようなインクジェット式プリンタ
ヘッド(図1参照)の構成要素の1つである圧電体素子
を構成する圧電体膜の形成材料として使用される。上述
したように、インクジェット式プリンタヘッドには、図
1に示したような構成のプリンタヘッドのほか、種々の
方式および構成のプリンタヘッドがあり、この発明に係
るPZT系磁器組成物は、それら各種方式および構成の
プリンタヘッドに用いられる圧電体素子について使用し
得るものである。
【0055】例えば図1に示したような構成のインクジ
ェット式プリンタヘッドに用いられる圧電体素子は、上
述したように、下部電極と上部電極とで圧電体膜を挟ん
だ構造を有する。下部電極の材料は、特に限定されず、
圧電体素子において通常用いられているものであればよ
く、例えば白金(Pt)や金(Au)などが使用され
る。また、上部電極の材料も、特に限定されず、圧電体
素子において通常用いられているものであればよく、例
えばAu、Ptなどが使用される。これらの電極の厚み
も、特に限定されないが、例えば0.05μm〜15μ
m程度とされる。また、下部電極と圧電体膜との間およ
び/または圧電体膜と上部電極との間に、例えばチタ
ン、クロム、酸化チタンなどから形成される密着層を設
けるようにしてもよい。PZT系磁器組成物によって形
成される圧電体膜の厚みは、例えば1μm〜25μm程
度とされる。圧電体膜の厚みをこの程度とするのは、圧
電体膜の駆動力の大きさは圧電体膜のバルク量によって
左右され、圧電体膜が薄すぎると、駆動力不足となって
圧電体素子としての有効な振動が得られず、反対に圧電
体膜が厚すぎると、圧電体素子を変位させるのに大きな
電圧が必要になるためである。
【0056】また、上記組成のPZT系磁器組成物は、
超音波モータにおいてロータを周回移動させたり摺動体
を往復移動させたりする進行性振動波を発生させるため
の駆動部に用いられる圧電体素子の形成材料として使用
される。超音波モータには、各種の駆動方式および構成
のものがあり、この発明に係るPZT系磁器組成物は、
それら各種方式および構成の超音波モータに用いられる
圧電体素子について使用し得るものである。
【0057】図2は、それら各種方式の超音波モータの
うちの1方式の超音波モータ(表面波モータ)の構成の
1例を示す概略縦断面図である。この超音波モータは、
圧電体素子11および弾性リング12からなるステータ
10と、このステータ10の、弾性リング12側に配設
されたスライダ13と、このスライダ13上に配設され
たロータ14とから構成されている。
【0058】圧電体素子11は、それを裏面側から見た
平面図を図3に示すように、環状に形成された圧電体薄
板15の表・裏両面にそれぞれ電極を形成して構成され
ており、圧電体薄板15がPZT系磁器組成物で形成さ
れている。圧電体薄板15の表面側(弾性リング12と
の接合面側)の電極は、円周方向において(1/2)λ
(λ:振動波の波長)ごとにそれぞれ独立して一列に並
ぶように形成された複数の分割電極16となっている。
また、圧電体薄膜15の裏面側の電極は、円周方向に
(3/4)λおよび(1/4)λだけそれぞれ互いに距
離を設けて裏面全体を2つに分割するように、かつ、表
面側の分割電極16の形成領域に対応するように形成さ
れた一対の一部分割電極17となっている。なお、図示
しないが、棒状超音波モータの圧電体素子では、圧電体
薄膜の表面側に、その表面全体を円周方向に2つに分割
するように分割電極が形成され、裏面側に全面電極が形
成される。圧電体薄膜15には、各分割分極16ごとに
それぞれ対応し、厚み方向における分極方向が交互に変
わるように(隣り合った分割電極16の極性(+)、
(−)が異なるように)、分極処理が施されている。
【0059】PZT系磁器組成物で形成される圧電体薄
膜15の厚みは、厚み方向における分極が可能であれば
特に限定されないが、例えば0.5mm前後とされる。
また、電極16、17の形成材料および方法も特に限定
されず、例えば、銀等の金属のペーストの塗布・焼付
け、ニッケル等の金属の蒸着やメッキなどにより電極形
成される。
【0060】このような構成の超音波モータは、互いに
90°だけ位相が異なる2種類の交流駆動電圧Vsi
nωtおよびVcosωtをそれぞれの一部分割電極
17に印加することにより、圧電体素子11が屈曲振動
して、弾性リング12に、円周方向に進行する振動波を
発生し、その進行性振動波により、スライダ13を介し
て弾性リング12に圧接されたロータ14が周回移動
し、ロータ14の回転運動を生じる。
【0061】さらに、上記組成のPZT系磁器組成物
は、上記したインクジェット式プリンタヘッドのアクチ
ュエータや超音波モータの駆動部のほかにも、マイクロ
ポンプ、超音波振動子、圧電トランス、周波数フィル
タ、圧電センサ、圧電スピーカ、圧電リレー、マイクロ
マシン、マイクロミラーデバイスなどの構成材料とし
て、広く使用し得るものである。
【0062】次に、上記したPZT系磁器組成物の製造
方法について説明する。PZT系磁器組成物は、例え
ば、PZT粒子、V、Bi、La、Nbなどの微量成分
の原料、および、有機バインダを溶剤中に添加して、ス
ラリーまたはペーストを調製し、それらを混合し成形し
た後、得られた成形体を焼成することにより製造され
る。PZT粒子は、原料粒子の固相反応、金属アルコキ
シドや金属塩を出発原料とするゾル−ゲル法、共沈法、
水熱法、噴霧分解法などの公知の方法により製造され
る。このベース材料となるPZT粒子としては、易焼結
性のものを使用することが望ましく、平均粒径が0.5
μm以下、より好ましくは0.3μm以下であるものが
用いられる。また特に、PZT粒子、V、Bi等の微量
成分の原料および有機バインダを溶剤中に添加し混合し
てペーストを調製し、そのペーストを用いて成膜する場
合には、パッキング密度を向上させるためにも、粒径の
小さい粒子を用いることが望ましい。但し、粒径が余り
小さすぎると、原料合成や取扱いが難しくなるので、一
般的には、平均粒径が0.05μm以上である粒子が用
いられる。固相反応によってPZT粒子を製造する場合
における原料粒子としては、化学式(Zr1−x
(0.2<x≦1、好ましくは0.3<x
≦1)で表される組成の酸化物の微粒子とPbOとが使
用される。このような固相反応によってPZT粒子を製
造する方法によると、低温でペロブスカイト型構造を有
するPZT粒子を得ることができ、また、粒径の小さい
粒子が得られ、所望の粒径の粒子を得るための粉砕作業
も簡易であり、粉砕時における汚染物質の侵入も低減さ
れることになる。
【0063】V、Bi等の微量成分の原料としては、そ
れぞれのアルコキシドもしくは金属塩またはそれらの溶
液が使用される。特にV成分およびBi成分について
は、PZT系磁器組成物中で効率よく有効に機能するよ
うに存在させるために、PZT粒子とは別原料として添
加し、液相を良好に生成させるようにすることが望まし
い。有機バインダとしては、例えばヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニル
アルコール、ナイロン、(メタ)アクリル酸の単独重合
体や共重合体などが使用される。溶剤としては、例えば
メタノール、エタノール等のアルコールが使用される。
成形体の焼成温度は、例えば600℃〜950℃程度と
される。
【0064】また、La成分およびNb成分について
は、上記したように、アルコキシドや金属塩として後か
らPZT粒子と共に溶剤中に添加するようにしてもよい
が、予めPZTを主成分とする複合酸化物のペロブスカ
イト結晶中に存在させておいて、化学式Pb(Zr
1−xTi)O−yLa、Pb(Zr1−x
Ti )O−yNbまたはPb(Zr1−x
)O−yLa−zNb(各式中、
0.2<x≦1、好ましくは0.3<x≦1)で表され
る組成の複合酸化物からなりLaおよび/またはNbが
固溶された粒子(以下、「PZT系粒子」という)を使
用し、そのPZT系粒子とVおよびBiの各アルコキシ
ドもしくは金属塩と有機バインダとを溶剤に添加してス
ラリーまたはペーストを調製する、といった過程を経
て、PZT系磁器組成物を製造するようにしてもよい。
上記した各化学式中のy、zは、PZT系磁器組成物に
おけるLaまたはNbの含有割合(0.0
1重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5
重量%)に対応した値(PZTに対するモル比)であ
る。PZT系粒子も、平均粒径が0.05μm〜0.5
μm、より好ましくは0.05μm〜0.3μmである
ものが用いられる。また、固相反応によってPZT系粒
子を製造する場合には、化学式(Zr1−xTi
(0.2<x≦1、好ましくは0.3<x≦1)で
表される組成の酸化物の微粒子とPbOとLa
よび/またはNbとが出発原料として使用され
る。
【0065】次に、圧電体素子を製造する方法について
説明する。なお、以下の説明は、圧電体素子の製造方法
の1例をそれぞれ示したものであり、インクジェット式
プリンタヘッドのアクチュエータとして用いられる圧電
体素子や超音波モータの駆動部に用いられる圧電体素子
は、下記の製造方法以外でも、種々の方法によって製造
し得るものである。
【0066】本発明の圧電体素子は、図1に示されたよ
うなインクジェット式プリンタヘッドのアクチュエータ
として使用される場合、例えば、下部電極上に圧電体膜
を形成し、その圧電体膜上に上部電極を形成して製造さ
れる。下部電極は、例えば振動板などの基板上にスクリ
ーン印刷法、スパッタ法、蒸着法などの常法により形成
されることが好ましい。また、下部電極が振動板などの
基板の機能を兼ねてもよい。さらには、圧電体素子を形
成してから、その圧電体素子を振動板などの基板上に固
定してもよい。下部電極の材料は、特に限定されず、例
えば白金、金、パラジウムなどが使用される。また、振
動板の材料は、特に限定されないが、例えばセラミッ
ク、ガラス、金属などから選ばれる。具体的には、振動
板の材料として、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、
窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ケイ
素、ケイ素などが挙げられる。圧電体膜は、上記したよ
うにして調製されたPZT粒子またはPZT系粒子(以
下、「PZT粒子」で代表して説明する)を含む組成物
を用いて、下部電極上に成膜することにより形成され
る。組成物を調製する際の溶剤は、組成物の塗布性など
の作業性を良好にするために用いられるものであり、各
種溶剤の中から適宜選択して使用すればよいが、例えば
エチルセロソルブなどが溶剤として使用される。なお、
PZT粒子は、組成物中に高濃度に配合されても、分散
性は良好である。
【0067】PZT粒子を含む組成物が得られると、そ
の組成物を、前記振動板上に形成された前記下部電極上
に塗布し、必要により塗布の都度乾燥させて溶剤を除去
し、所望の膜厚となるまで塗り重ねる。組成物の塗布方
法は、特に限定されず、慣用のコーティング方法、例え
ばスクリーン印刷法、スピンコーティング法、ディッピ
ング法、キャスト法、ドクターブレード法などが用いら
れる。塗布工程が終了すると、組成膜を焼成する。焼成
は、適当な温度で行えばよく、本発明では600℃〜9
50℃といった低温での焼成が可能である。また、焼成
は、不活性ガス雰囲気、酸素含有雰囲気(空気中等)、
PbO雰囲気など、任意の雰囲気下で行えばよく、常圧
下または減圧下で行うことができる。通常は、空気中
で、室温から600℃〜950℃程度まで昇温させて、
数分間〜24時間をかけて焼成を行う。また、焼成の際
に、段階的な昇温を行うようにしてもよい。このような
焼成により、有機成分がほぼ消失し、さらに焼結が進行
して、緻密な構造の圧電体膜が得られる。下部電極上に
圧電体膜が形成されると、圧電体膜上に、常法により、
例えばスクリーン印刷法、スパッタ法、蒸着法などによ
り上部電極を形成して、圧電体素子とされる。上部電極
の材料は、特に限定されず、例えば白金、金、パラジウ
ムなどが使用される。
【0068】また、超音波モータの駆動部に用いられる
圧電体素子は、圧電体薄膜を形成し、その圧電体薄膜の
両面にそれぞれ電極を形成し、圧電体薄膜を分極処理し
て製造される。圧電体薄膜は、上記したPZT粒子を含
む組成物を用いて成形し、得られた成形体を、上記と同
様の焼成条件で焼成した後、焼成体を環状薄板に加工す
ることにより作成される。圧電体薄膜が得られると、常
法により、例えば銀ペースト等の導電材料を塗布・焼付
けするなどして、圧電体薄膜の両面に、図3に示したよ
うな所定のパターンでそれぞれ電極を形成する。また、
公知の方法により、圧電体薄膜の両面の電極間に直流電
圧を印加して電界を付与し、圧電体薄膜に所定のパター
ンで分極処理を施して、圧電体素子とされる。
【0069】次に、PZT粒子を含む組成物に感光性を
付与してパターニングされた圧電体膜を製造する方法に
ついて説明する。この製造方法においては、PZT粒子
の表面の少なくとも一部に光反応性基、例えばネガ作用
型の光反応性基を導入し、その光反応性基を有するPZ
T粒子、ならびに、VおよびBiの各成分原料のほか、
ネガ型感光性有機ポリマーと、必要に応じて感光剤およ
び/または光重合性モノマーとを含む感光性組成物が用
いられる。なお、PZT粒子自体およびV、Bi等の微
量成分については上述したので、以下では、それらの説
明を省略する。
【0070】まず、表面の少なくとも一部に光反応性基
を有するPZT粒子について説明する。PZT粒子は上
述したような方法によって製造されるが、このPZT粒
子の表面には、水酸基などの官能性基が存在するので、
その官能性基と光反応性基を有する化合物とを反応させ
ることにより、PZT粒子の表面に光反応性基を導入す
る。PZT粒子が適切な感光性を有するためには、粒子
の全面に均一に光反応性基が導入されることが望まし
い。導入される光反応性基の種類は、特に限定されない
が、例えば(メタ)アクリロイル基やビニル基から選ば
れる。
【0071】PZT粒子と反応させるべき光反応性基を
有する化合物としては、例えば、光反応性基を有するシ
ランカップリング剤やチタンカップリング剤が挙げられ
る。このようなシランカップリング剤としては、例えば
ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジ−β−メトキシ
エトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リ−β−メトキシエトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げら
れる。これらのうち、γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリメトキシシランやγ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリエトキシシランなどが入手容易である。また、
チタンカップリング剤としては、例えば、味の素(株)
から市販されているプレンアクトKR−55(商品名)
なとが使用される。
【0072】光反応性基を有するシランカップリング剤
またはチタンカップリング剤とPZT粒子との反応は、
通常、それらをメタノール等のアルコール中で混合させ
室温で撹拌することにより行われる。この反応により、
シランカップリング剤またはチタンカップリング剤のア
ルコキシ基が加水分解し、PZT粒子表面の水酸残基と
SiまたはTiとの結合が形成される。
【0073】また、上記した以外に、PZT粒子と反応
させるべき光反応性基を有する化合物としては、例え
ば、二重結合を有する化合物、例えば(メタ)アクリル
酸やそのエステル化合物が使用される。より具体的に
は、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレートなどが使用される。このような(メタ)ア
クリル酸や(メタ)アクリレートとPZT粒子との反応
は、通常、それらをメタノール等のアルコール中で混合
させ室温で撹拌することにより行われる。この反応によ
り、PZT粒子表面の水酸残基に(メタ)アクリロイル
基が導入される。
【0074】PZT粒子に光反応性基を導入する反応に
おいては、PZT粒子の種類や平均粒径(単位重量当り
の表面積)、光反応性基含有化合物の種類などによって
も異なるが、光反応性基含有化合物をPZT粒子に対し
て、通常1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜
7重量%程度の割合で混合する。光反応性基含有化合物
の混合割合が1重量%未満であると、光反応性基の導入
効果が少ない傾向にあり、一方、光反応性基含有化合物
を10重量%も用いれば、十分な量の光反応性基が導入
される。例えば、BET法による平均粒径0.5μmの
PZT粒子には、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン等のシランカップリング剤、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリレートなどの化合物を、2重量%
〜7重量%程度の割合で混合して反応させるとよい。
【0075】また、表面グラフト重合を用いる方法やC
VDによる方法によっても、PZT粒子の表面に光反応
性基を導入することができる。
【0076】このように表面に光反応性基を有するPZ
T粒子は、感光性組成物中に高濃度で分散可能であり、
粒子自らも感光性を有することから、粒子フィラーを用
いたことによる感度低下や解像度低下という問題は無
い。
【0077】次に、ネガ型感光性有機ポリマーについて
説明する。ネガ型感光性有機ポリマーでは、露光部が難
溶化または疎水化する。
【0078】感光性有機ポリマーは、有機ポリマー自体
が十分な感光性を有するものであってもよいし、また感
光剤との組合せによって十分な感光性を有する有機ポリ
マーであってもよい。通常は、後者の感光剤との組合せ
によって十分な感光性を有する有機ポリマーが用いられ
る。なお、本明細書において、「有機ポリマー」の語
は、有機ポリマーおよび有機オリゴマーの双方を含む意
味で用いる。
【0079】有機ポリマー自体が十分な感光性を有する
ものとしては、アジド基含有重合体、ポリケイ皮酸ビニ
ルエステルなどのシンナモイル基やシンナミリデン基な
どの光二量化型官能基を有する重合体などが挙げられ
る。
【0080】感光剤との組合せによって十分な感光性を
有する有機ポリマーとしては、極性基または非極性基を
有する種々のポリマーが使用され得る。好ましい感光性
有機ポリマーは、極性基、例えばヒドロキシル基、アル
コキシ基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、
カーボネート基、アミド基もしくはN−置換アミド基
(−NHC(O)−、>NC(O)−など)、ニトリル
基、グリシジル基またはハロゲン原子を含有している。
感光性有機ポリマーは、(メタ)アクリロイル基、アリ
ル基、ビニル基などの重合性基を有する重合性オリゴマ
ーまたはポリマーであってもよい。
【0081】ヒドロキシル基含有ポリマーおよびその誘
導体としては、例えばポリビニルアルコール系重合体、
ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メ
チロールメラミンおよびそれらの誘導体(例えばアセタ
ール化物やヘキサメトキシメチルメラミン)が挙げられ
る。カルボキシル基含有ポリマーおよびその誘導体とし
ては、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸などの重合性不飽和カルボン酸を含む単独重合
体または共重合体およびこれらのエステル、カルボキシ
ル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロー
スまたはその塩)などが挙げられる。エステル基含有ポ
リマーとしては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステ
ル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステ
ルなどのモノマーを含む単独または共重合体(例えばポ
リ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メ
タ)アクリル系樹脂など)、飽和ポリエステル、不飽和
ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、セルロースエステルなどが挙げられる。エーテ
ル基を有するポリマーには、例えばポリアルキレンオキ
シド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエ
ーテル、ケイ素樹脂などが含まれ、カーボネート基含有
ポリマーとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネー
トなどが挙げられる。
【0082】また、アミド基または置換アミド基を有す
るポリマーとしては、ポリオキサゾリン、ポリアルキレ
ンイミンのN−アシル化物(前記ポリオキサゾリンに対
応するポリマー、例えばN−アセチルアミノ基、N−ポ
リプロピオニルアミノ基などのN−アシルアミノ基を有
するポリマー)、ポリビニルピロリドンおよびその誘導
体、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ナイロンまたは
ポリアミド系重合体、ビュレット結合を有するポリマ
ー、アロハネート結合を有するポリマー、ゼラチン等の
蛋白類などが挙げられる。
【0083】前記ポリオキサゾリンの単量体としては、
2−オキサゾリン、オキサゾリン環の2−位に置換基を
有する2−置換−2−オキサゾリン(例えばアルキル
基、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオ
ロエチル基などのハロアルキル基、フェニル基、4−メ
チルフェニル、4−クロロフェニルなどの置換基を有す
るフェニル基、または、アルコキシカルボニル基などの
置換基を有するオキサゾリン類)などを挙げることがで
きる。ポリオキサゾリンは、単独重合体であっても共重
合体であってもよく、ポリオキサゾリンは、1種または
2種以上を混合して使用することができる。さらに、ポ
リオキサゾリンは、他のポリマーにオキサゾリンがグラ
フト重合した共重合体であってもよい。
【0084】前記ポリウレタン系重合体には、例えばポ
リイソシアネート(例えばトリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジシソシ
アネートなど)と、ポリオール(例えばエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、グリセリンなどの多価アルコール、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ジプロピレグリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリ
オール、ポリエステルポリオールなど)との反応により
生成するポリウレタンが含まれる。また、前記ポリ尿素
には、ポリイソシアネートとポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミンなど)との反応によ
り生成するポリマーなどが含まれる。
【0085】前記ナイロンまたはポリアミド系重合体に
は、ラクタム成分、ジカルボン酸成分やジアミン成分を
用いたポリアミド(ナイロン66、ナイロン6、ナイロ
ン610、ナイロン611、ナイロン612やこれらの
変性ナイロンなど)、ポリ(メタ)アクリルアミド系重
合体、ポリアミノ酸などが含まれる。
【0086】前記ビュレット結合を有するポリマーに
は、前記ポリイソシアネートとウレタン結合を有する化
合物との反応により生成するポリマー、アロハネート結
合を有するポリマーには、前記ポリイソシアネートと尿
素結合を有する化合物との反応により生成するポリマー
が含まれる。
【0087】ニトリル基を有するポリマーには、アクリ
ロニトリル系重合体が含まれ、グリシジル基を有するポ
リマーとしては、例えばエキポシ樹脂、グリシジル(メ
タ)アクリレートの単独重合体または共重合体などが挙
げられる。ハロゲン含有ポリマーには、例えばポリ塩化
ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリ
デン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなどが含まれ
る。
【0088】他の有機ポリマーとしては、例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、カルボキシル変性ポリオレフ
ィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−
ブダジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン
系樹脂などを挙げることができる。これらは単独でまた
は2種以上を併用してもよい。
【0089】重合性基を有する重合性オリゴマーには、
ポリビニルフェノール誘導体、エポキシ(メタ)アクリ
レート(例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との
反応などにより生成する樹脂)、ポリエステル(メタ)
アクリレート、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン
(メタ)アクリレート〔例えば、ジオール成分(ポリア
ルキレングリコールやポリエステルジオールなど)とジ
イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートな
ど)とヒドキロシル基含有重合性単量体(2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミ
ドなど)との反応生成物、ヒドキロシル基および重合性
不飽和基を有する化合物(ヒドロキシエチルフタリル
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアリ
ルエーテルなど)とジイソシアネート(キシリレンイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネートなど)
とのウレタン反応生成物など〕、重合性ポリビニルアル
コール系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコールとN
−メチロールアクリルアミドとの反応生成物など)、ポ
リアミド系ポリマー〔例えば、多価カルボン酸またはそ
の酸無水物(ピロメリット酸二無水物など)およびヒド
ロキシル基含有重合性単量体(アリルアルコールなど)
の反応により生成するカルボキシル基含有エステルと、
必要によりカルボキシル基を酸ハライド基に変換するた
めのハロゲン化剤(塩化チオニルなど)と、ジアミン
(p,p’−ジアミノジフェニルエーテルなど)との反
応により生成するプレポリマー、カルボキシル基含有重
合体(ポリ(メタ)アクリル酸またはマレイン酸の共重
合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体など)とアミ
ノ基含有重合性単量体(アリルアミンなど)との反応生
成物など〕、シリコーン樹脂型ポリマーなどが例示され
る。
【0090】以上のような感光性有機ポリマーあるいは
オリゴマーは、1種または2種以上を用いることができ
るが、好ましくは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナ
イロン、(メタ)アクリル酸の単独重合体や共重合体な
どが使用される。
【0091】また、この感光性組成物において、感光性
有機ポリマーに、必要により光重合性モノマーまたはオ
リゴマーを併用するようにしてもよい。光重合性モノマ
ーまたはオリゴマーには、単官能性または多官能性の光
重合性化合物が含まれる。光重合性基としては、例えば
(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、アリル
基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニル
アミノ基、グリジシル基、アセチレン性不飽和基などが
例示される。
【0092】単官能性光重合性化合物としては、例えば
(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)メタクリレートな
どのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、カル
ビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ジアセトン(メタ)アクリルアミド、
N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、スチ
レン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビ
ニルピロリドンなどが挙げられる。
【0093】多官能性光重合性化合物としては、例えば
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
トなどが挙げられる。さらに、テトラメチロールメタン
テトラ(メタ)アクリレート、2,2,5,5−テトラ
ヒドロキシメチルシクロペンタノンの(メタ)アクリル
酸エステル、ジグリシジルフタレートの(メタ)アクリ
ル酸エステル、N,N,N’,N’−テトラキス(β−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの(メタ)アクリ
ル酸エステル、トリグリセリンとメチルアクリレートと
のエステル交換反応生成物、ウレタン型(メタ)アクリ
レート、多価カルボン酸の不飽和エステル、不飽和酸ア
ミド、無機酸とのエステルおよび金属塩、アセチレン性
不飽和基を有するモノマー、グリシジル基を有するモノ
マーなどを使用することもできる。
【0094】ウレタン型アクリレートとしては、例え
ば、ポリイソシアネート(2,4−トリレンジイソシア
ネートなど)とヒドロキシル基含有単量体(2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートなど)との反応生成物、ポリ
イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートな
ど)の一部のイソシアネート基とヒドロキシル基含有単
量体(2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど)とを
反応させた後、さらに残余のイソシアネート基をアルカ
ノールアミン(トリエタノールアミンなど)と反応させ
た反応生成物、ベンゾインにポリイソシアネート(2,
4−トリレンジイソシアネートなど)とヒドロキシル基
含有単量体(2−ヒドロキシエチルメタクリレートな
ど)とを反応させた反応生成物などが挙げられる。
【0095】多価カルボン酸の不飽和エステルとして
は、例えば、多価カルボン酸(フタル酸、トリメット
酸、ピロメリット酸など)をヒドロキシル基含有単量体
(アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートなど)でエステル化した多官能性単量体、例えばジ
アリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリル
マレエート、ジアリルクロレンダート、ジアリルアジベ
ート、ジアリルジグリコレート、トリアリルシアヌレー
ト、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートのフタル酸エステ
ル、アリルアルコールのトリメリット酸エステル、p−
ヒドロキシ安息香酸を(メタ)アクリロイルクロライド
でエステル化し、さらにエポキシ含有単量体(グリシジ
ルメタクリレート)を付加させた化合物などが挙げられ
る。
【0096】不飽和酸アミドとしては、例えば、N,
N’−メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンビ
スアクリルアミドなどのアルキレンビスアクリルアミド
のほか、ポリアミンと不飽和酸との縮合物、水酸基を有
する不飽和酸アミド(例えばN−メチロールアクリルア
ミド)と多価カルボン酸、多価エポキシなどとの反応生
成物などが例示される。さらに、N−メチロールアクリ
ルアミドの酸性化合物の存在下での反応生成物、1,
3,3−トリメチル−1−アクリロイルアミノメチル−
5−アクリロイルアミノシクロヘキサン、ヘキサヒドロ
−1,3,5−トリアクリル−5−トリアジン、N−ア
クリロイルヒドロキシエチルマレイミド、ε−カプロラ
クタムとテトラメチレンジアミンとの反応で得られたオ
リゴマーにアクリル酸クロライドを反応させたビスアク
リルアミド、N,N’−ビス(ε−アクリロイルヒドロ
キシエチル)アニリン、N−メチロールアクリルアミド
とジエチレングリコールジグリシジルエーテルとの反応
生成物なども含まれる。
【0097】無機酸とのエステルや金属塩としては、例
えば、アクリル酸亜鉛とアルコール溶性ポリアミド樹
脂、リン酸のビス(2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト)エステルなどが例示される。
【0098】アセチレン性不飽和基を有するモノマーと
しては、アントラキノンと1−メトキシブテン−3−イ
ンから合成される9−(ω−メトキシブテニル)アント
ラキノール、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール
とヘキシルイソシアネートとの反応で得られるウレタン
などが挙げられる。また、グリシジル基を有するモノマ
ーとしては、例えばビスフェノール−A−ジグリシジル
エーテルが挙げられる。
【0099】光重合性モノマーまたはオリゴマーの使用
量は、例えば、前記感光性有機ポリマー100重量部に
対して5重量部〜500重量部、好ましくは、10重量
部〜300重量部程度の範囲から選択される。
【0100】この感光性組成物において、感光性有機ポ
リマーの種類に応じて、さらに感光剤として、種々の光
増感剤や光重合開始剤などを用いることができる。感光
剤は、感光性有機ポリマーの種類に応じて、慣用の感光
剤や増感剤、例えばアジド化合物、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩、光二量化増感剤、光重合開始剤〔例えば
ケトン類(アセトフェノン、プロピオフェノン、アント
ラキノン、チオキサントン、ベンゾフェノンまたはそれ
らの誘導体)、ベンゾインエーテルまたはその誘導体
(例えばベンゾインメチルエーテル)、アシルホスフィ
ンオキシドなど〕などから選択される。
【0101】感光剤の使用量は、例えば、感光性有機ポ
リマー100重量部に対して0.1重量部〜20重量
部、好ましくは1重量部〜10重量部程度の範囲から選
択される。
【0102】この感光性組成物において、感光性有機ポ
リマー(A1)と、必要に応じて用いられる感光剤(A
2)および/または光重合性モノマー(A3)と、PZ
T粒子(B)との配合割合は、感光性組成物の用途や要
求される性能などからみて決定すればよいが、焼成後の
パターン形状や下部電極との密着性を良好にする観点か
ら、固形分重量比で、0.5<〔B/(A1+A2+A
3+B)〕<0.99であることが好ましく、0.8<
〔B/(A1+A2+A3+B)〕<0.95であるこ
とがより好ましい。この配合比が0.5以下になると、
焼結性や下部電極との密着性が低下する傾向があり、一
方、配合比が0.99以上になると、感光特性が低下し
解像度が悪くなる傾向がある。感光性組成物中にPZT
粒子をこのような高濃度で配合しても、分散性は良好で
ある。
【0103】この感光性組成物には、必要によりさら
に、重合促進剤、溶解促進剤、酸化防止剤、染料、顔料
などの公知の各種添加剤を適宜配合することもできる。
また、感光性組成物には、塗布性などの作業性を良好に
するために、通常、溶剤が含まれている。溶剤は、公知
の各種溶剤の中から適宜選択される。
【0104】感光性組成物は、慣用の方法、例えば、組
成物を構成する各成分を、通常は適当な溶剤(アルコー
ル類などの親水性溶剤など)と共に混合させることによ
り調製することができる。感光性有機ポリマーと、必要
に応じて用いられる感光剤および/または光重合性モノ
マーならびに/または各種添加剤と、PZT粒子とを同
時に混合させてもよく、また適当な順序で混合させるよ
うにしてもよい。
【0105】このようにして得られた感光性組成物を下
部電極上に塗布し、感光性組成膜を形成する。下部電極
は、振動板上にスクリーン印刷、スパッタ法、蒸着法な
どの常法により形成されており、下部電極および振動板
の材料は、前述したように特に限定されない。振動板
は、予め適当な表面処理が施されていてもよく、例え
ば、シランカップリング剤などにより表面処理が施され
ていてもよい。
【0106】塗布方法は、特に限定されないが、慣用の
コーティング方法、例えばスピンコーティング法、ディ
ッピング法、キャスト法、スクリーン印刷法、ドクター
ブレード法などにより行われる。塗布処理後に、必要に
より、乾燥処理して溶剤を除去することにより、感光性
組成膜を形成するようにしてもよい。
【0107】形成された感光性組成膜に所定のマスクを
介して光線を照射または露光して、パターン露光を行
う。光線としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、UV
ランプ、エキシマレーザー、電子線、X線等の放射光な
どを利用するが、波長が100〜500nm程度である
光線、特には紫外線が有効である。露光時間は任意であ
るが、感光性組成物の感光特性や光線の種類にもより、
通常、0.1秒〜20分程度の範囲から選択するとよ
い。露光後、必要により、例えば80℃〜120℃程度
の温度で加熱処理するようにしてもよい。このような露
光により、露光部では光硬化が起こり、感光性組成膜が
難溶化(耐水化)される。
【0108】パターン露光の後、公知の方法で感光性組
成膜を現像することにより、高解像度ネガ型パターンが
形成される。現像には、感光性組成物の種類に応じて、
水、アルカリ水溶液、有機溶剤、あるいはこれらの混合
液等の種々の現像液を使用することができる。また、現
像法も特に制限されず、例えばパドル(メニスカス)
法、ディップ法、スプレー法などを採用すればよい。
【0109】現像により形成されたパターンを加熱・焼
成する。焼成は、PZT粒子の種類や配合量、圧電体膜
の用途などにもよるが、適当な温度で行えばよく、本発
明では600℃〜950℃といった低温での焼成が可能
である。また、焼成は、不活性ガス雰囲気、酸素含有雰
囲気(空気中等)、PbO雰囲気など、任意の雰囲気下
で行えばよく、常圧または減圧下で行うことができる。
通常は、空気中で、室温から600℃〜950℃程度ま
で、2時間〜24時間かけて昇温させることにより焼成
するとよい。また、段階的な昇温を行ってもよい。この
ような焼成により、有機成分がほぼ消失して、緻密な圧
電体膜が得られる。
【0110】この圧電体膜上に、常法により、例えばス
クリーン印刷法、スパッタ法、蒸着法などにより上部電
極を形成して、圧電体素子とする。上部電極の材料は、
前述したように特に限定されない。
【0111】
【実施例】〈PZT粒子の合成〉ZrTiO微粒子
(堺化学製)とPbOとをそれぞれ所定量ずつ秤取し、
それらを10時間ボールミル混合した後、乾燥させて、
混合粉末を得た。得られた混合粉末を650℃の温度で
2時間仮焼した後、仮焼粉末を16時間ボールミル粉砕
することにより、平均粒径が0.2μmであるPZT粒
子(PZT−0.2)を得た。
【0112】また、前記仮焼粉末を24時間ボールミル
粉砕することにより、平均粒径が0.15μmであるP
ZT粒子(PZT−0.15)を得た。
【0113】所定量のZrTiO微粒子(堺化学製)
と所定量のPbOと、PZTに対して0.5重量%とな
るようにLaとをそれぞれ秤取し、それらを10
時間ボールミル混合した後、乾燥させて、混合粉末を得
た。得られた混合粉末を650℃の温度で2時間仮焼し
た後、仮焼粉末を16時間ボールミル粉砕することによ
り、平均粒径が0.2μmであるLa含有PZT粒子
(PZT−La)を得た。
【0114】また、所定量のZrTiO微粒子(堺化
学製)と所定量のPbOと、PZTに対して0.5重量
%となるようにNbとをそれぞれ秤取し、それら
を10時間ボールミル混合した後、乾燥させて、混合粉
末を得た。得られた混合粉末を650℃の温度で2時間
仮焼した後、仮焼粉末を16時間ボールミル粉砕するこ
とにより、平均粒径0.2μmであるNb含有PZT粒
子(PZT−Nb)を得た。
【0115】比較として、市販のPZT粒子(堺化学
製、PZT−LQ:平均粒径0.5μm)を用いた。
【0116】〈PZT系磁器組成物の製造〉〔実施例1
〜21〕エタノールにPZT粒子、それぞれ所定量のV
O(OEt)(トリエトキシバナジル)およびBi
(OBu)(トリブトキシビスマス)ならびに有機バ
インダー(ヒドロキシプロピルセルロース)を添加した
後、それらを16時間ボールミル混合した後、造粒し
た。続いて、直径15mmの金型を使用して、造粒物を
1次成形した後、1.4t/mmでのCIP(冷間等
方プレス)処理を行い、厚み3mmの成形体を作成し
た。得られた成形体を400℃の温度で1時間脱バイン
ダー処理した後、所定の温度で2時間焼成した。
【0117】得られた焼成体を0.5mmの寸法に切り
出した後、表面に銀電極を焼き付けた。得られたサンプ
ルを3kV/mmの電圧、120℃の温度で15分間分
極処理した後、ネットワークアナライザーを用いて電気
機械結合係数(Kp)を室温で測定した。サンプルの作
成条件および評価結果を表1にまとめて示す。
【0118】
【表1】
【0119】〔比較例1〜5〕PZT−0.15、PZ
T−0.2、PZT−LQ、PZT−LaおよびPZT
−Nbの各PZT粒子を用いて、上記した実施例と同様
の方法により、VおよびBiを含有しない成形体を作成
し、得られた成形体を脱バインダー処理した後、900
℃の温度で2時間焼成した。しかしながら、得られた焼
成体はいずれも、相対密度が85%以下であり、十分に
焼結が進まず、圧電体材料としては不適当であった。
【0120】〔比較例6、7〕上記した実施例と同様の
方法により、PZT−0.2粉末にVO(OEt)
たはBi(OBu)の一方のみを1重量%加えて成形
体を作成し、得られた成形体を脱バインダー処理した
後、900℃の温度で2時間焼成した。しかしながら、
得られた焼成体はいずれも、相対密度が85%以下であ
り、十分に焼結が進まず、圧電体材料としては不適当で
あった。
【0121】〔比較例8〜10〕上記した比較例6、7
で得られた各成形体を、それぞれ980℃、960℃の
各温度で2時間焼成し、上記実施例と同様にしてサンプ
ルを作成した(比較例8、9)。また、上記した実施例
と同様の方法により、PZT−0.2粉末にVO(OE
t)およびBi(OBu)をそれぞれ15重量%ず
つ加えて成形体を作成し、得られた成形体を脱バインダ
ー処理した後、900℃の温度で2時間焼成し、上記実
施例と同様にしてサンプルを作成した(比較例10)。
得られたサンプルについて、実施例と同様の方法により
電気機械結合係数(Kp)を測定した。このときのサン
プルの作成条件および評価結果を表1に示す。各サンプ
ルの電気機械結合係数(Kp)は、それぞれ47%、4
5%および38%であり、本発明の実施例に係るサンプ
ルに比べて小さいものであった。
【0122】〔比較例11〕上記した実施例と同じ条件
により、PZT−0.2粉末に焼結助剤としてSiO
を2重量%添加して、焼成体を作成し、サンプルを作成
した。実施例と同レベルの900℃の温度での焼成で
は、得られた焼成体の密度が7.63g/cm となっ
たが、サンプルの電気機械結合係数(Kp)は32%で
あり、圧電体磁器としての特性が大幅に劣るものであっ
た。
【0123】表1から、この発明の実施例によると、P
ZTにBiとVを添加した新規な磁器組成物が、通常の
PZT磁器組成物と同等以上の圧電特性を示すことが分
かる。さらに、本発明によると、950℃以下の焼成温
度で、Kpが60%前後である圧電体磁器組成物を作成
することが可能である。特に、PZT−0.15粉末を
使用すると、効果的であった。
【0124】また、Bi/V比率が1であ
るときに、合成条件および物性面でバランスの良い材料
となった。
【0125】PZT粒子にBiまたはV
単独で添加した比較例8、9では、実施例に比べて高い
温度で焼成したのにもかかわらず、得られたサンプルの
Kp値は、実施例と比較してかなり小さいものであっ
た。
【0126】今回は、2つの粒径のPZT粉末を用いた
結果を例示したが、より微細で焼結性に優れるPZT粉
末を使用すれば、より低温での圧電体の焼成が可能であ
ることは言うまでもない。
【0127】〈感光性ペーストの調製〉(1)有機成分
の調製 ヒドロキシプロピルセルロース2g、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート8g、光重合開始剤(チバガイキ
ー製、イルガキュア18000)0.5gおよびエチル
セルソルブ8gを混合し、混合溶液を均質で透明になる
まで撹拌した。
【0128】(2)PZT粒子への感光性の付与 上記した各PZT粒子20gにヒドロキシエチルメタク
リレート0.6gおよびメタノール40gを加え、混合
溶液を室温で2時間撹拌した。その後、溶液を40℃の
温度で減圧乾燥させてメタノールを除去し、PZT粒子
の表面に光反応性基を導入した。
【0129】(3)有機成分/PZT粒子混合物(感光
性ペースト)の調製 上記(1)で得られた有機成分の溶液1.5gに、上記
(2)で得られたPZT粒子9gおよび微量成分のそれ
ぞれ所定量を室温で混合し、感光性ペーストを調製し
た。
【0130】〈圧電体素子の作成〉 〔実施例22〜30〕図1に示したような構成のインク
ジェット式プリンタヘッド用の圧電体素子を作成するた
めに、振動板となる厚さ10μmのジルコニア基板上
に、下部電極として厚さ0.5μmのPt膜をスパッタ
法で形成し、その下部電極上に、上記した感光性ペース
トをスクリーン印刷法により塗布した。このとき、焼成
後の圧電体膜の厚さが5μmとなるようにペースト膜厚
を調整した。そして、ペースト膜を70℃の温度で30
分乾燥させた。このPZT粒子を含有した感光性ペース
ト膜を、250Wの超高圧水銀灯を有するマスクアライ
ナー露光装置(ミカサ製、M−2L)を用いて20秒間
露光した。露光後のペースト膜を15秒間メタノールで
スプレー現像し、200μm×3mmのパターンを作成
した。
【0131】得られたPZT粒子含有ペースト膜を所定
の焼成条件で加熱することにより、緻密な構造の圧電体
膜を得た。得られた圧電体膜上に、上部電極としてメタ
ルマスクを通しAuをスパッタ法により成膜し、圧電体
素子を作成した。
【0132】得られた圧電体素子の評価は、30Vの電
圧印加時における素子の振動幅を、Tencor段差計
を用いて測定することにより行った。圧電体素子作成に
使用したPZT粒子の種類、微量成分の種類および量、
焼成条件ならびに評価結果を表2にまとめて示す。
【0133】
【表2】
【0134】〔比較例12〜16〕PZT−0.15、
PZT−0.2、PZT−LQ、PZT−LaおよびP
ZT−Nbの各PZT微粒子を用いて、上記した実施例
と同様の方法により、VおよびBiを含有しない圧電体
膜を備えた圧電体素子の作成を試みた。しかしながら、
実施例と同様の950℃以下の温度での焼成では、振動
可能な圧電体素子を作成することはできなかった。圧電
体膜の緻密化を進行させるために、焼成温度をさらに高
くして、圧電体素子の作成を試みたが、目的とする変位
可能な圧電体素子を得ることはできなかった。これは、
焼成過程においてジルコニア基板(振動板)や下部電極
材料がPZTとの反応により劣化して圧電体素子の破損
を招いたことによるものと考えられる。
【0135】表2から分かるように、この発明の実施例
によると、950℃以下の焼成温度で、十分大きな振幅
幅を有する圧電体素子を得ることが可能である。
【0136】上記した実施例24と同じ条件で圧電体素
子をジルコニア基板(振動板)上に50個並列させて形
成したものを用いて、50個のノズルを有するインクジ
ェット式プリンタヘッドを作成した。そのプリンタヘッ
ドの概略構成を、図4に縦断面図で示す。図4におい
て、符号18は、ノズル19が形成されたノズル板を、
符号20は、ノズル19に連通するインク室21および
インク室21に連通するインク供給路22が形成された
流路板を、符号23は、ジルコニア基板を、符号24
は、下部電極25、圧電体膜26および上部電極27で
形成されてアクチュエータを構成する圧電体素子をそれ
ぞれ示す。ノズル板18の材料にはステンレス鋼を用
い、流路板20の材料にはシリコンを用いた。インク室
21には、インク供給路22を通してインクタンク(図
示せず)からインクの供給が行われるようになってい
る。このインクジェット式プリンタヘッドを用いてイン
クの吐出試験を行ったところ、30V、3kHzの駆動
条件において平均吐出速度8.2m/secのインク吐
出が確認された。これにより、本発明の圧電体素子がイ
ンクジェット式プリンタヘッドとして有用であることが
分かった。
【0137】〈超音波モータ用圧電体素子の作成〉 〔実施例31〕上記した実施例3で得られた焼成体を、
外径80mm、内径60mm、厚み0.5mmのリング
板状に加工した後、図3に示したパターンで分極処理し
た。そして、素子の片面のみに、図3に示したようにA
電極およびB電極(E電極はアース電極)を形成した。
得られた圧電体素子のA電極にVsinωt、B電極
に位相が90°遅れたVcosωtの各交流電圧をそ
れぞれ印加した。この結果、素子に弾性波が発生するこ
とが確認された。これにより、本発明の圧電体素子が超
音波モータ用駆動部として有用であることが分かった。
【0138】
【発明の効果】請求項1に係る発明によると、低温での
焼成により得られかつ優れた圧電特性を保持するPZT
系磁器組成物を提供することができる。また、請求項2
に係る発明によると、より優れた圧電特性を有するPZ
T系磁器組成物を提供することができる。
【0139】請求項3に係る発明の磁器組成物は、より
緻密な構造を有しより優れた圧電特性を保持する。ま
た、請求項4に係る発明の磁器組成物は、さらに緻密な
構造を有し、さらに優れた圧電特性を保有する。
【0140】請求項5に係る発明の磁器組成物は、安定
した圧電特性を有し、優れた耐リーク性を持つ。また、
請求項6に係る発明の磁器組成物は、より安定した圧電
特性を有し、より優れた耐リーク性を持つ。
【0141】請求項7ないし請求項12に係る各発明の
製造方法によると、上記した特性を有するPZT系磁器
組成物を好適に製造することができる。そして、請求項
7および請求項9に係る各発明の製造方法によると、磁
器組成物の焼成が容易になり、また特に、ペーストを調
製し成膜する場合には、パッキング密度が向上する。
【0142】請求項8および請求項10に係る各発明の
製造方法によると、PZT粒子またはPZT系粒子を固
相反応により低温で合成することができ、また、粒径の
小さい粒子を合成することができ、所望の粒径のPZT
粒子またはPZT系粒子を得るための粉砕工程も容易に
なり、その粉砕時における汚染も低減する。
【0143】請求項11および請求項12に係る各発明
の製造方法によると、V成分およびBi成分を、それが
効率良く有効に機能するようにPZT系磁器組成物中に
存在させることができる。
【0144】請求項13に係る発明の圧電体素子は、成
膜あるいは成形した後に焼成して圧電体部材を形成する
場合に、焼成温度を低温化することができ、圧電体部材
が優れた圧電特性を保持する。
【0145】請求項14に係る発明の圧電体素子は、下
部電極上に成膜した後に焼成して圧電体膜を形成する、
といった方法により作成した場合でも、下部電極や基板
(振動板)の、焼成過程で受けるダメージが小さく、ま
た、電極や基板などの材料選択の幅が広がり、圧電体膜
が優れた圧電特性を保持する。
【0146】請求項15に係る発明の圧電体素子では、
確実に有効な振動が得られ、駆動電圧もそれほど大きく
する必要が無い。
【0147】請求項16に係る発明の圧電体素子は、超
音波モータの駆動部として用いられ、成形後に焼成して
圧電体薄板を形成する過程での焼成温度を低温化するこ
とができ、圧電体薄板が優れた圧電特性を保持する。
【0148】請求項17ないし請求項22に係る各発明
の製造方法によると、請求項14に係る発明の、上記し
た特性を有する圧電体素子を、従来と比較してより簡易
な製造工程により製造することができ、請求項15に係
る発明の圧電体素子のように、厚みが1μm〜25μm
と薄い圧電体膜を形成することができる。
【0149】請求項23および請求項24に係る各発明
の製造方法によると、請求項16に係る発明の、上記し
た特性を有する圧電体素子を、従来と比較してより簡易
な製造工程により製造することができる。
【0150】請求項25に係る発明のインクジェット式
プリンタヘッドは、アクチュエータとして、上記特性を
有する圧電体素子を具備していることにより、高性能化
が図られる。
【0151】請求項26に係る発明の超音波モータは、
超音波振動を発生する駆動部として、上記特性を有する
圧電体素子を具備していることにより、高性能化が図ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電体素子がアクチュエータに用いられたイン
クジェット式プリンタヘッドの構成の1例を示し、一部
を拡大して模式的に示す縦断面図である。
【図2】圧電体素子が駆動部に用いられた超音波モータ
の1構成例を示す概略縦断面図である。
【図3】図2に示した超音波モータの圧電体素子を裏面
側から見た平面図である。
【図4】この発明の実施例で作成したインクジェット式
プリンタヘッドの概略構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド基台 2、21 インク室 3、23 振動板 4 アクチュエータ 5、24 圧電体素子 6、25 下部電極 7、26 圧電体膜 8、27 上部電極 9 電源 10 ステータ 11 圧電体素子 12 弾性リング 13 スライダ 14 ロータ 15 圧電体薄板 16 分割電極 17 一部分割電極 18 ノズル板 19 ノズル 20 流路板 22 インク供給路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 35/495 C04B 35/00 C H01L 41/09 J 41/187 H01L 41/08 C 41/24 U 41/22 41/18 101D H02N 2/00 101J 41/22 A Z Fターム(参考) 2C057 AF65 AG39 AG44 AG55 AP02 AP14 AP33 AP52 AP53 AP54 AP57 AQ02 AQ06 BA03 BA14 4G030 AA13 AA16 AA17 AA19 AA20 AA40 AA43 BA10 CA01 GA09 GA11 GA14 GA27 GA35 4G031 AA09 AA11 AA12 AA13 AA14 AA32 AA35 BA10 CA01 GA01 GA04 GA11 GA18 5H680 BB03 BB16 BC04 CC08 DD23 DD35 DD66 GG01 GG43

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式Pb(Zr1−xTi)O
    (0.2<x≦1)で表される複合酸化物を主成分と
    する圧電体磁器組成物において、 Vを0.01重量%〜10重量%およびBi
    を0.01重量%〜10重量%含むことを特徴とする
    圧電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 Vが0.01重量%〜5重量%お
    よびBiが0.01重量%〜5重量%含まれた請
    求項1記載の圧電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 Bi/Vの重量比が0.0
    5〜2.5である請求項1または請求項2記載の圧電体
    磁器組成物。
  4. 【請求項4】 Bi/Vの重量比が0.5
    〜1.5である請求項3記載の圧電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 Laおよび/またはNb
    0.01重量%〜10重量%含まれた請求項1ないし請
    求項4のいずれかに記載の圧電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 Laおよび/またはNb
    0.01重量%〜5重量%含まれた請求項5記載の圧電
    体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の圧電体磁器組成物を製造する方法において、 原料として、化学式Pb(Zr1−xTi)O
    (0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物から
    なり平均粒径が0.05μm〜0.5μmである粒子を
    用いることを特徴とする、圧電体磁器組成物の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記粒子が、化学式(Zr1−x
    (0.2<x≦1)で表される組成の酸化
    物とPbOとを出発原料として得られたペロブスカイト
    型構造を有する複合酸化物からなる請求項7記載の、圧
    電体磁器組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5または請求項6記載の圧電体磁
    器組成物を製造する方法において、 原料として、化学式Pb(Zr1−xTi)O−y
    La(0.2<x≦1)、Pb(Zr1−xTi
    )O−yNb(0.2<x≦1)またはPb
    (Zr1−xTi)O−yLa−zNb
    (0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物から
    なり平均粒径が0.05μm〜0.5μmである粒子を
    用いることを特徴とする、圧電体磁器組成物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記粒子が、化学式(Zr1−xTi
    (0.2<x≦1)で表される組成の酸化物
    とPbOとLaおよび/またはNbとを出
    発原料として得られたペロブスカイト型構造を有する複
    合酸化物からなる請求項9記載の、圧電体磁器組成物の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 V成分およびBi成分を、それぞれア
    ルコキシドもしくは金属塩またはそれらの溶液として前
    記粒子に添加したスラリーまたはペーストを調製する工
    程を経る請求項7ないし請求項10のいずれかに記載
    の、圧電体磁器組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 V成分、Bi成分、La成分およびN
    b成分を、それぞれアルコキシドもしくは金属塩または
    それらの溶液として添加したスラリーまたはペーストを
    調製する工程を経る請求項7または請求項8記載の、圧
    電体磁器組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 少なくとも圧電体部材と複数の電極と
    で構成された圧電体素子において、 前記圧電体部材を、請求項1ないし請求項6のいずれか
    に記載の圧電体磁器組成物で形成したことを特徴とする
    圧電体素子。
  14. 【請求項14】 前記圧電体部材が圧電体膜であり、そ
    の圧電体膜を挟むように上部電極および下部電極が配設
    された請求項13記載の圧電体素子。
  15. 【請求項15】 前記圧電体膜の厚みが1μm〜25μ
    mである請求項14記載の圧電体素子。
  16. 【請求項16】 前記圧電体部材が、分極処理された圧
    電体薄板であり、その圧電体薄板の両面にそれぞれ所定
    のパターンで電極が配設された請求項13記載の圧電体
    素子。
  17. 【請求項17】 基板の表面に下部電極を形成する工程
    と、 前記下部電極上に、請求項1ないし請求項6のいずれか
    に記載の圧電体磁器組成物からなる圧電体膜を形成する
    工程と、 前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程と、を含む圧
    電体素子の製造方法であって、 化学式Pb(Zr1−xTi)O(0.2<x≦
    1)で表される組成の複合酸化物を含む組成物を使用し
    て前記下部電極上に成膜した後、その組成膜を加熱処理
    して、前記圧電体膜を形成することを特徴とする、圧電
    体素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 基板の表面に下部電極を形成する工程
    と、 前記下部電極上に、請求項5または請求項6記載の圧電
    体磁器組成物からなる圧電体膜を形成する工程と、 前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程と、を含む圧
    電体素子の製造方法であって、 化学式Pb(Zr1−xTi)O−yLa
    (0.2<x≦1)、Pb(Zr1−xTi)O
    −yNb(0.2<x≦1)またはPb(Zr
    1−xTi)O−yLa−zNb
    (0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を含
    む組成物を使用して前記下部電極上に成膜した後、その
    組成膜を加熱処理して、前記圧電体膜を形成することを
    特徴とする、圧電体素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記複合酸化物からなる粒子、ならび
    に、VおよびBiの各アルコキシドもしくは金属塩また
    はそれらの溶液を用いて、前記組成物が調製される請求
    項17または請求項18記載の、圧電体素子の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 前記複合酸化物からなる粒子、ならび
    にV、Bi、LaおよびNbの各アルコキシドもしくは
    金属塩またはそれらの溶液を用いて、前記組成物が調製
    される請求項17記載の、圧電体素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記組成物として、さらに少なくとも
    感光性有機ポリマーを含む感光性組成物が使用され、成
    膜後に、感光性組成膜に所定のパターンを焼き付け、現
    像して、所定のパターンを有する感光性組成膜を形成し
    た後、加熱処理が行われる請求項17ないし請求項20
    のいずれかに記載の、圧電体素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記組成膜の加熱処理が600℃〜9
    50℃の温度で行われる請求項17ないし請求項21の
    いずれかに記載の、圧電体素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 請求項1ないし請求項6のいずれかに
    記載の圧電体磁器組成物からなる圧電体薄板を形成する
    工程と、 前記圧電体薄板の両面にそれぞれ所定のパターンで電極
    を形成する工程と、 前記圧電体薄板に分極処理を施す工程と、を含む圧電体
    素子の製造方法であって、 化学式Pb(Zr1−xTi)O(0.2<x≦
    1)で表される組成の複合酸化物を含む組成物を使用し
    て薄板材を形成した後、その薄板材を加熱処理して、前
    記圧電体薄板を形成することを特徴とする、圧電体素子
    の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項5または請求項6記載の圧電体
    磁器組成物からなる圧電体薄板を形成する工程と、 前記圧電体薄板の両面にそれぞれ所定のパターンで電極
    を形成する工程と、 前記圧電体薄板に分極処理を施す工程と、を含む圧電体
    素子の製造方法であって、 化学式Pb(Zr1−xTi)O−yLa
    (0.2<x≦1)、Pb(Zr1−xTi)O
    −yNb(0.2<x≦1)またはPb(Zr
    1−xTi)O−yLa−zNb
    (0.2<x≦1)で表される組成の複合酸化物を含
    む組成物を使用して薄板材を形成した後、その薄板材を
    加熱処理して、前記圧電体薄板を形成することを特徴と
    する、圧電体素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 1個もしくは2個以上のインクノズル
    を有し、そのインクノズルに連通したインク室の容積を
    アクチュエータによって変化させ、前記インクノズルか
    らインクを噴射させるようにしたインクジェット式プリ
    ンタヘッドにおいて、 前記アクチュエータに、請求項13ないし請求項15の
    いずれかに記載の圧電体素子を用いたことを特徴とする
    インクジェット式プリンタヘッド。
  26. 【請求項26】 駆動部によって進行性振動波を発生さ
    せるステータと、前記進行性振動波によって移動させら
    れる移動体とを備えた超音波モータにおいて、 前記駆動部に、請求項13または請求項16記載の圧電
    体素子を用いたことを特徴とする超音波モータ。
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