JPH08336967A - 圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

圧電素子およびその製造方法

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JPH08336967A
JPH08336967A JP14704195A JP14704195A JPH08336967A JP H08336967 A JPH08336967 A JP H08336967A JP 14704195 A JP14704195 A JP 14704195A JP 14704195 A JP14704195 A JP 14704195A JP H08336967 A JPH08336967 A JP H08336967A
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真治 内田
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直人 深沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】寸法,組成,密度が精度よく制御された圧電体
層が細い円筒状基盤の任意の面に直接形成された圧電素
子とその製造方法を提供する。 【構成】圧電素子は中空の金属円筒1を基盤とし、その
内周面,外周面,あるいは内外両面のいずれかに直接形
成された圧電体層2および3を備える。また、その製造
方法は中空の金属円筒1の主成分を一つの合成要素とし
て高温高圧の水の存在下で行う水熱合成法により、核形
成工程および結晶成長工程を経て圧電体層2および3を
金属円筒の表面に直接形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、圧電体層が基盤とな
る細い管状の金属円筒の表面に直接形成された圧電素子
およびその製造方法、ことにインクジェット記録装置な
どにインク滴の吐出駆動源として用いられる圧電素子お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸ジルコン酸鉛(以下PZTと略
称する)に代表される圧電性セラミックスからなる圧電
体は、その高い圧電効果および逆圧電効果を利用した電
気的エネルギーと機械的エネルギーの相互変換素子とし
て広く利用されている。また、PZT圧電体の製造方法
は、原料であるPbO, ZrO2, TiO2 粉末を調合,混合した
後、仮焼成工程,粉砕工程を経てPZT粉末とし、1m
m以上の厚みの圧電体は加圧成形法により成形した後、
焼成工程で固相反応させ、その後数kv/mm程度の電
界を印加して分極処理を行い、その両面に電極を形成し
て製品とする方法が一般的である。また、厚み1mm以
下の薄板または円筒状の圧電体は上述の加圧成形法で得
られた圧電体を所望の形状寸法に切削加工する方法で製
造される。さらに、厚み100μm以下のPZTシート
の成形にはドクターブレードを用いたシート成形法が一
般的に用いられるとともに、スバッタ法,CVD法,ゾ
ルゲル法などの製膜方法も知られている。さらにまた、
高温高圧の水の存在下で核形成工程および結晶成長工程
を経てチタン基盤の表面にPZT薄膜を直接形成する水
熱法により厚み20μm程度のPZT薄膜の製造に成功
した例が、K.Simamura,T.Tsurumi,Y.ohba,D.Daimon等に
よって報告されている(Jpn.J.Appl.Phys.30(1991)217
4) 。
【0003】一方、近年圧電素子の新たな応用分野とし
てインクジェット記録装置が注目されている。インクジ
ェット記録ヘッド機構を用いた印刷装置は構成が簡素で
あるという利点から、小型軽量性が要求される卓上プリ
ンタやファックスなどの分野に広く用いられている。イ
ンクジェット記録ヘッドの機構には幾つかの方式が提案
されているが、インク供給部から分岐して端末にノズル
部を有する複数のインク流路の途中の加圧室部に直径1
0〜200μm程度の細長い円筒形の圧電素子を設け、
この部分を加圧ポンプとして機能させてノズル部からイ
ンク滴を吐出させる方式が、ヘッド寿命が半永久的でラ
ンニングコストが低いなどの特長を生かして広く用いら
れようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように構成され
たインクジェット記録ヘッドに適用可能な直径10〜2
00μm程度の細長い円筒形の圧電素子は、従来、成形
型により固相反応法で成形した細長い円筒形の圧電体の
両端に、別体に形成されたノズル部およびマイクロバル
ブを有するインク供給管部を気密に連結してインク流路
を形成する方法で製造されていた。このため、得られる
固相反応法で得られる圧電体の寸法制御,組成制御,密
度制御が難しく、十分な圧電特性が得られ難いととも
に、必要な寸法精度を得るための仕上げ加工やインク流
路の後付け加工に手間がかかり、製作コストの上昇を招
くという問題があった。
【0005】また、CVD法やゾルゲル法で得られる圧
電体はその厚みが数μm程度と薄く、インクジェット記
録ヘッドで必要とする駆動力を得難いという問題があっ
た。さらに、水熱法によれば、基盤の表面に圧電体層を
直接形成でき、かつその組成制御性に優れ、200°C
以下の低温で厚み20μm程度の均質なPZT圧電体層
を形成できる利点を有するものの、平板状の基盤にPZ
T層を形成した成功例しかなく、筒型のインクジェット
記録ヘッドへの適用を可能にするためには直径10〜2
00μm程度の細長い円筒形の圧電素子の製造技術の確
立が求められている。
【0006】この発明の目的は、寸法,組成,密度が精
度よく制御された圧電体層が細い円筒状基盤の任意の面
に直接形成された圧電素子とその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、中空の金属円筒と、こ
の金属円筒を基盤としてその内周面,外周面,あるいは
内外両面のいずれかに直接形成された圧電体層と、この
圧電体層の表面に形成された電極とを備える。ここで、
請求項2に記載の発明は、中空の金属円筒が、圧電体層
の形成部分をインク加圧室部とし、その一方端にノズル
部を、他方端にインク供給管部を備えるようにすると良
い。
【0008】また、請求項3に記載の発明は、チタンか
らなる中空の金属円筒と、この金属円筒を基盤としてそ
の内周面,外周面,あるいは内外両面のいずれかに直接
形成されたチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電体層を備
えるようにすると良い。一方、請求項4に記載の発明
は、中空の金属円筒の主成分を一つの合成要素として高
温高圧の水の存在下で行う水熱合成法により、核形成工
程および結晶成長工程を経て圧電体層を金属円筒の表面
に直接形成すると良い。
【0009】ここで、請求項5に記載の発明は、水熱合
成法が、予め定まる鉛:ジルコニウムのモル比を有する
硝酸鉛水溶液とオキシ塩化ジルコニウム水溶液の混合液
に水酸化カリウム8規定水溶液を加えた混合液を処理液
とし、この処理液中にチタンからなる中空の金属円筒を
浸し、150°C前後の密閉雰囲気中で一定時間チタン
酸ジルコン酸鉛の核形成を行う核形成工程と、予め定ま
る鉛:ジルコニウム:チタンのモル比を有する硝酸鉛水
溶液とオキシ塩化ジルコニウム水溶液と四塩化チタン水
溶液の混合液に水酸化カリウム4規定水溶液を加えた混
合液を処理液とし、この処理液中に核形成済金属円筒を
浸し、120°C前後の密閉雰囲気中で一定時間チタン
酸ジルコン酸鉛の結晶成長を行う結晶成長工程とを含む
ようにすると良い。
【0010】また、請求項6に記載の発明は、中空の金
属円筒の外周面に圧電体層の形成を阻止する薄膜を予め
形成し、水熱合成法により前記中空の金属円筒の内周面
に直接圧電体層を形成するようにすると良い。さらに、
請求項7に記載の発明は、中空の金属円筒の両端部を蜜
栓し、この状態で水熱合成法により金属円筒の外周面に
直接圧電体層を形成すると良い。
【0011】さらにまた、請求項8に記載の発明は、棒
状のプラスチック材の外周面に白金膜およびチタン膜を
重ねて形成したものを基盤とし、この基盤のチタン膜表
面に水熱合成法によりチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧
電体層を直接形成し、しかる後全体を鉛蒸気雰囲気中で
加熱して前記棒状のプラスチック材を焼成除去するよう
にすると好便である。
【0012】
【作用】請求項1に記載の発明では、中空の金属円筒か
らなる基盤の内周面,外周面,あるいは内外両面のいず
れかに直接圧電体層が形成されることにより、圧電体層
の伸縮が金属円筒に緊縛力として直接作用し、金属円筒
内容積の変化としてのポンプ作用を効率よく発生させる
ことができる。
【0013】ここで、請求項1に記載の発明のように、
中空の金属円筒が、圧電体層の形成部分をインク加圧室
部としてその一方端にノズル部を、他方端にインク供給
管部を備えれば、中空の金属円筒そのものがインク流路
として機能し、圧電体層によるインク加圧室部のポンプ
作用を駆動源としてノズル部からインク滴を効率よく吐
出させることができる。
【0014】また、請求項3に記載の発明のように、中
空の金属円筒にチタンを用い、その内周面,外周面,あ
るいは内外両面のいずれかに直接形成されたチタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層を設けることに
より、PZTの優れた圧電特性を生かして強力なポンプ
作用を有する圧電素子が得られる。一方、請求項4に記
載の発明では、中空の金属円筒の主成分を一つの合成要
素として高温高圧の水の存在下で行う水熱合成法によ
り、核形成工程および結晶成長工程を経て金属円筒の表
面に圧電体層を直接形成するようにしたので、中空の金
属円筒の露出面を圧電体層の形成領域として請求項1か
ら請求項3のいずれかに記載の圧電素子を、寸法精度を
確保するための後加工などを必要とせずに製作すること
が可能になる。
【0015】ここで、請求項5に記載の発明のように、
PZT層の水熱合成法が、核形成工程および結晶成長工
程を液状の処理液を用いて行う方法であるため、その溶
液調整により得られるPZT層の組成を精度良く制御で
き、また高温高圧雰囲気の管理により得られるPZT層
の寸法,密度を精度よく制御でき、かつ、水熱合成反応
が液中で行われるために金属円筒の寸法に左右されるこ
とがなく、金属円筒の露出面を指定領域として寸法精度
が良く、比誘電率,圧電定数,およびヤング率の高いP
ZT層を備えた圧電素子が得られる。
【0016】また、請求項6に記載の発明のように、中
空の金属円筒の外周面に圧電体層の形成を阻止する薄膜
を予め形成しておけば、露出した金属円筒の内周面を指
定領域として中空の金属円筒の内側に圧電体層を備えた
圧電素子を、水熱合成法により容易に得ることができ
る。さらに、請求項7に記載の発明のように、中空の金
属円筒の両端部を蜜栓し、この状態で金属円筒の外周面
に水熱合成法により直接圧電体層を形成すれば、露出し
た金属円筒の外周面を指定領域として中空の金属円筒の
外側に圧電体層を備えた圧電素子を水熱合成法により容
易に得ることができる。
【0017】さらにまた、請求項8に記載の発明では、
棒状のプラスチック材の外周面に白金膜およびチタン膜
を重ねて形成したものを基盤とし、この基盤のチタン膜
表面に水熱合成法によりチタン酸ジルコン酸鉛からなる
圧電体層を直接形成し、しかる後全体を鉛蒸気雰囲気中
で加熱して棒状のプラスチック材を焼成除去したことに
より、内周面に白金電極を有する筒状のPZT圧電素子
が得られる。
【0018】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施例を示す圧電素子の斜視図であ
る。図において、圧電素子は内径約1.2mmのチタン
からなる中空の金属円筒1の内外両面に直接厚み約10
μmのPZT層からなる圧電体層2および3が形成され
ており、圧電体層2および3の表面に図示しない金属電
極が例えば蒸着法,スパッタ法,塗膜焼き付け法,など
従来と同様な方法によって形成される。
【0019】次に、図1に示す圧電素子の水熱合成法に
よる製造方法について説明する。核形成工程は、鉛:ジ
ルコニウムのモル比が1.25:0.52になるよう硝
酸鉛水溶液とオキシ塩化ジルコニウム水溶液とを混合
し、この混合液に水酸化カリウム8規定水溶液を加えた
混合液を処理液とし、この処理液中にチタンからなる中
空の金属円筒1を浸し、オートクレーブ中で150°C
の密閉雰囲気中で48時間加熱してチタン円筒の内外周
面にそれぞれチタン酸ジルコン酸鉛の核形成を行った。
【0020】結晶成長工程は、鉛:ジルコニウム:チタ
ンのモル比が1.25:0.52:0.48になるよう
硝酸鉛水溶液,オキシ塩化ジルコニウム水溶液,四塩化
チタン水溶液を混合し、この混合液に水酸化カリウム4
規定水溶液を加えた混合液を処理液とし、この処理液中
に核形成済みの金属円筒1を浸し、120°Cの密閉雰
囲気中で48時間チタン酸ジルコン酸鉛の結晶成長を行
った。
【0021】上記2段階からなる水熱合成を終了し、水
洗,乾燥処理した圧電素子は、チタン円筒の内周面,外
周面に直接PZT圧電体層2および3が形成されてお
り、その厚みはそれぞれ約10μmであった。また、P
ZT圧電体層2および3の表面に金電極を形成してその
物性を測定した結果、比誘電率が1800、圧電定数d
33が4.2×10-10 m/v、ヤング率が5.6×10
10N/m2 を示し、良好な圧電特性を有することが実証
された。
【0022】図2はこの発明の異なる実施例を示す圧電
素子の斜視図である。図に示す実施例が図1に示す実施
例と異なるところは、外周面に白金電極を形成したチタ
ン円筒10を用いて図1に示す実施例と同じ条件の水熱
合成法によってPZT圧電体層を形成した点にある。こ
の場合、核形成工程において白金電極4により処理液と
チタン円筒との接触が遮断されるため、チタン円筒の外
周面でのチタン酸ジルコン酸鉛の核形成反応が阻止さ
れ、チタン円筒10の内周面にのみPZT圧電体層2を
備えた圧電素子が得られる。得られたPZT圧電体層2
の厚みは約10μmであった。また、PZT圧電体層2
の表面に金電極を形成してその物性を測定した結果、比
誘電率が1650、圧電定数d33が4×10-10 m/
v、ヤング率が5.5×1010N/m2 を示し、図1に
示す実施例と同様に良好な圧電特性を有することが実証
された。
【0023】図3はこの発明のさらに異なる実施例を示
す圧電素子の斜視図である。図に示す実施例が図1に示
す実施例と異なるところは、チタン円筒1の両端部をプ
ラスチックシール材5によって密封し、この状態で図1
に示す実施例と同じ条件の水熱合成法によってPZT圧
電体層を形成した点にある。この場合、チタン円筒1の
中空部内では水熱合成反応が起こらないので、チタン円
筒1の外周面側にのみPZT圧電体層3を備えた圧電素
子が得られる。得られたPZT圧電体層2の厚みは約1
0μmであった。また、PZT圧電体層3の表面に金電
極を形成してその物性を測定した結果、比誘電率が17
00、圧電定数d33が4×10-10 m/v、ヤング率が
5.5×1010N/m2 を示し、図1に示す実施例と同
様に良好な圧電特性を有することが実証された。
【0024】図4はこの発明の他の実施例を示す圧電素
子の斜視図である。図に示す実施例が図1に示す実施例
と異なるところは、チタン円筒1の代わりに図示しない
プラスチック丸棒6の外周面に白金薄膜+チタン薄膜の
二重層11を形成したものを用い、図1に示す実施例と
同じ条件の水熱合成法によってPZT圧電体層を形成し
た点にある。この場合、二重層11のチタン薄膜を合成
成分の一つとする核形成過程を経てPZT圧電体層3が
形成される。そこで、全体を1000°Cの鉛蒸気雰囲
気中で1時間加熱してプラスチック丸棒6を焼却除去す
ると、PZT層3の内周面に白金薄膜+チタン薄膜の二
重層11を備えた圧電素子が得られる。このようにして
得られたPZT圧電体層2の厚みは約10μmであっ
た。また、PZT圧電体層3の表面に金電極を形成して
その物性を測定した結果、比誘電率が1600、圧電定
数d33が3.9×10-10 m/v、ヤング率が5.3×
10 10N/m2 を示し、図1に示す実施例と同様に良好
な圧電特性を有することが実証された。
【0025】図5はこの発明の異なる他の実施例を示す
圧電素子の斜視図である。図に示す実施例が図3に示す
実施例と異なるところは、内径100μmのチタン製の
中空の金属円筒21が、内径100μmの円筒部分をイ
ンク加圧室部22とし、その一方端にノズル部23を、
他方端にインク供給管部24を有するインク流路21を
形成したところにあり、図3に示す実施例と同様に、ノ
ズル部23およびインク供給管部24の中空部をプラス
チックシール材6によってシールし、かつその外周面に
は圧電体層の形成を阻止する塗料を塗布した状態で、図
1に示す実施例と同じ条件の水熱合成法によりインク加
圧室部22の外周部分にPZT圧電体層3を形成した。
【0026】このようにして得られたPZT層2の厚み
は約10μmであった。また、PZT圧電体層3の表面
に金電極を形成してその物性を測定した結果、比誘電率
が1700、圧電定数d33が4×10-10 m/v、ヤン
グ率が5.5×1010N/m 2 を示し、図3に示す実施
例と同様に良好な圧電特性を有することが実証された。
また、得られた圧電素子のインク供給管部24を図示し
ないマイクロバルブを介してインク供給装置に組み込
み、インク吐出特性を測定した。その結果、PZT圧電
体層3に印加する電圧のオンオフに対応した数のインク
滴を噴射でき、インクジェット記録ヘッドとして良好な
インク吐出特性が得られることが実証された。なお、P
ZT圧電体層は加圧室部22の内周側に形成してもよ
く、PZT圧電体層の伸縮を直接インクに伝達してより
良好なインク吐出特性が得られる。また、この発明の圧
電素子の製造方法はPZT系圧電素子に限定されるもの
ではなく、円筒型の圧電性セラミックスの製造技術とし
て広く応用が可能である。
【0027】
【発明の効果】この発明の圧電素子およびその製造方法
は前述のように、水熱合成法の導入により、溶液調整お
よび温度管理により組成,寸法,および密度を良く制御
した圧電体層を金属円筒の表面に直接形成することが可
能になり、従来の製造方法では困難であった比誘電率,
圧電定数,およびヤング率の高い良好な圧電特性を有す
る筒状の圧電素子を経済的にも有利に提供することがで
きる。
【0028】また、マスキング技術の確立により基盤と
なる金属円筒の内周,外周,あるいは内外周の任意の指
定領域に直接圧電体層を形成することが可能であり、か
つ、基盤となる金属円筒を予めインク流路に適した構造
に前加工しておくことにより、従来固相反応法で製作し
た筒状の圧電素子にノズル部やインク供給管路などを連
結するなどの後付け加工が排除されて製作コストが低
く、かつ圧電素子の振動を直接インク吐出力に変換でき
る圧電素子を駆動ポンプとして備えたインクジェット記
録ヘッドを経済的にも有利に提供できる。
【0029】さらに、金属円筒の内径が100μm以下
の細長い圧電素子も製造できるので、マルチノズル型の
インクジェット記録ヘッドをコンパクトに形成すること
が容易であり、例えば印字ドット数の多いインクジェッ
トプリンターや,カラープリンター,さらには階調表示
が可能なインクジェットプリンターなどの機能向上に貢
献できると期待される。
【0030】さらにまた、金属薄膜処理されたプラスチ
ック丸棒を用いることにより、金属円筒を電極としての
金属薄膜に置き換えた筒状の圧電素子も容易に得られる
ので、金属円筒を必要としない筒状の圧電素子として広
い用途が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す圧電素子の斜視図
【図2】この発明の異なる実施例を示す圧電素子の斜視
【図3】この発明のさらに異なる実施例を示す圧電素子
の斜視図
【図4】この発明の他の実施例を示す圧電素子の斜視図
【図5】この発明の異なる他の実施例を示す圧電素子の
斜視図
【符号の説明】
1 中空の金属円筒(チタン円筒) 2 圧電体層(PZT,内周側) 3 圧電体層(PZT,外周側) 4 白金電極 5 プラスチックシール材 6 プラスチック丸棒 10 白金電極付チタン円筒 11 白金膜とチタン膜の二重層 21 中空の金属円筒(チタン製,インク流路) 22 加圧室部 23 ノズル部 24 インク供給管部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 41/187 H01L 41/22 A 41/24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空の金属円筒と、この金属円筒を基盤と
    してその内周面,外周面,あるいは内外両面のいずれか
    に直接形成された圧電体層と、この圧電体層の表面に形
    成された電極とを備えたことを特徴とする圧電素子。
  2. 【請求項2】中空の金属円筒が、圧電体層の形成部分を
    インク加圧室部とし、その一方端にノズル部を、他方端
    にインク供給管部を有することを特徴とする請求項1記
    載の圧電素子。
  3. 【請求項3】チタンからなる中空の金属円筒と、この金
    属円筒を基盤としてその内周面,外周面,あるいは内外
    両面のいずれかに直接形成されたチタン酸ジルコン酸鉛
    からなる圧電体層とを備えたことを特徴とする請求項1
    記載の圧電素子。
  4. 【請求項4】中空の金属円筒の主成分を一つの合成要素
    として高温高圧の水の存在下で行う水熱合成法により、
    核形成工程および結晶成長工程を経て金属円筒の表面に
    直接圧電体層を形成することを特徴とする請求項1から
    請求項3のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
  5. 【請求項5】水熱合成法が、予め定まる鉛:ジルコニウ
    ムのモル比を有する硝酸鉛水溶液とオキシ塩化ジルコニ
    ウム水溶液の混合液に水酸化カリウム8規定水溶液を加
    えた混合液を処理液とし、この処理液中にチタンからな
    る中空の金属円筒を浸し、150°C前後の密閉雰囲気
    中で一定時間チタン酸ジルコン酸鉛の核形成を行う核形
    成工程と、予め定まる鉛:ジルコニウム:チタンのモル
    比を有する硝酸鉛水溶液とオキシ塩化ジルコニウム水溶
    液と四塩化チタン水溶液の混合液に水酸化カリウム4規
    定水溶液を加えた混合液を処理液とし、この処理液中に
    核形成済金属円筒を浸し、120°C前後の密閉雰囲気
    中で一定時間チタン酸ジルコン酸鉛の結晶成長を行う結
    晶成長工程とを含むことを特徴とする請求項4記載の圧
    電素子の製造方法。
  6. 【請求項6】中空の金属円筒の外周面に圧電体層の形成
    を阻止する薄膜を予め形成し、水熱合成法により前記中
    空の金属円筒内周面に直接圧電体層を形成することを特
    徴とする請求項4または請求項5記載の圧電素子の製造
    方法。
  7. 【請求項7】中空の金属円筒の両端部を蜜栓し、この状
    態で水熱合成法により金属円筒の外周面に直接圧電体層
    を形成することを特徴とする請求項4または請求項5記
    載の圧電素子の製造方法。
  8. 【請求項8】棒状のプラスチック材の外周面に白金膜お
    よびチタン膜を重ねて形成したものを基盤とし、この基
    盤のチタン膜表面に水熱合成法によりチタン酸ジルコン
    酸鉛からなる圧電体層を直接形成し、しかる後全体を鉛
    蒸気雰囲気中で加熱して前記棒状のプラスチック材を焼
    成除去することを特徴とする請求項4または請求項5記
    載の圧電素子の製造方法。
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