JP2001253642A - 複合材料製巻き取りコアー - Google Patents

複合材料製巻き取りコアー

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JP2001253642A
JP2001253642A JP2000064222A JP2000064222A JP2001253642A JP 2001253642 A JP2001253642 A JP 2001253642A JP 2000064222 A JP2000064222 A JP 2000064222A JP 2000064222 A JP2000064222 A JP 2000064222A JP 2001253642 A JP2001253642 A JP 2001253642A
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Takeo Gomi
武夫 五味
Kotaro Asai
孝太郎 浅井
Yutaka Yamaguchi
豊 山口
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量高剛性で耐久性に富み、危険回転数が高
く、表面摩擦抵抗が低くて高滑り性を有する繊維強化樹
脂製巻き取りコアーを提供する。 【解決手段】 表面に樹脂被覆を一体的に形成してなる
複合材料製巻き取りコアーにおいて、複合材料を構成す
る樹脂のガラス転移点(Tg)未満の温度で焼き付け硬
化が可能な共重合性含フッ素系モノマーとシリコンマク
ロモノマー及び他の共重合可能なビニル系単量体を共重
合して得られるフッ素とシリコンを含有する樹脂を一体
的に被覆形成したことを特徴とする剥離性良好な複合材
料製巻き取りコアー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量にしてかつ高
剛性を有する巻き取りコアー、特にトイレットペーパ
ー、各種合成樹脂フィルム、アルミホイール等の巻き取
りコアーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トイレットペーパー、各種合成樹
脂フィルム、アルミホイール等の薄物ロール状製品は紙
管等に巻き取った後、その紙管等に捲かれたまま製品と
して出荷されていた。しかし、これらの紙管等は、トイ
レットペーパー等の製品を使用した後は不要物となり、
後は廃棄するのみであった。近年、資源の有効利用、産
業廃棄物または家庭ゴミの増加による埋め立て地の逼迫
の問題から、不要物となる紙管等を使用していない製品
が要望され、実用化されつつある。
【0003】上記薄物ロール製品に、紙管を用いない方
法としては、金属コアー上に例えば「テフロン」(ポリ
テトラフルオロエチレン樹脂、米国デュポン社商品名)
の焼き付けを行い、表面の滑り性を良くした上で、トイ
レットペーパー等を巻き付け、ロール状とした後それを
抜き取って製品とする方法。または、金属製コアー上に
「テフロン」チューブを被覆し、その上にトイレットペ
ーパー等を巻き付け上記と同様に抜き取って製品とする
方法。また、金属製コアーの代わりに炭素繊維複合材料
(以下、CFRPと称す。)上に「テフロン」を焼き付
ける方法または「テフロン」チューブを被覆する方法等
がある。
【0004】更に別の方法としては、金属製コアーまた
はCFRPをエアーシャフトとして使用する方法があ
る。すなわち、金属製コアーまたはCFRPコアーに穴
開け加工を行い、その内部にゴムチューブを配し、ゴム
チューブに金属製のラグを取り付け、トイレットペーパ
ー等の巻き取り時には、ゴムチューブにエアーを注入し
ラグがコアーの外側に飛び出た状態で巻き取り、巻き終
わったところでエアーを抜き、ラグを引っ込めた状態で
製品を取り出す方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】母材が金属で製作され
ている巻き取りコアーの場合、重量が重く巻き取りコア
ーの脱着には、人力によることが多いため、作業条件の
悪化になる。特にエアーシャフトタイプの場合、重量が
重く、軽量な巻き取りコアーの開発が強く要望されてい
る。
【0006】軽量なCFRPに「テフロン」等の滑り性
が良好な化学物質を焼き付ける方法は、一般に、これら
の物質は焼き付け温度が高く、400℃程度の焼き付け
を行わないと十分な性能を発揮しない。これを低温で焼
き付けすると、滑り性が十分発揮されないばかりか、塗
膜の剥げ落ち等の問題が発生する。また、所定の高温で
焼き付けを行うと、母材のマトリックス樹脂が高温に耐
えられないため、CFRP製素管の変形または成形品に
クラック等を引き起こし、母材を構成するCFRPに悪
影響を及ぼす虞がある。
【0007】CFRPが高温に曝されることにより発生
するこれらの問題点を解決すべくCFRP製素管に「テ
フロン」チューブ等を被せる方法は、CFRP母材とチ
ューブとの間の密着性を確保することは容易ではなく、
CFRP製素管と「テフロン」チューブの間に空気が溜
まり製品とならないことがある。また「テフロン」チュ
ーブを被せたものは、トイレットペーパー等の製品を抜
き取る時、被覆部がゆがんだり皺が発生することがあ
る。また長年の使用によって製品のエッジ等によってコ
アー表面に傷が発生するという問題点がある。
【0008】一方、金属製の巻き取りコアーの問題点
は、持ち運びによる重量の問題だけではなく、巻き取り
コアーは、一般に細長く、しかも巻き取り時に高速で回
転するため、ある一定以上の回転数に達すると固有振動
が発生し、それ以上回転数を上げることが出来なくなる
(以下、これを危険回転数と称す。)。したがって巻き
取り機械の生産性向上を図るためには、軽量かつ高剛性
で、高い危険回転数を有する巻き取りコアーが要望され
ている。
【0009】また、エアーシャフトタイプの場合、構造
が複雑で非常にコスト高になる上に、複雑な構造のため
重量増にもなり、また、穴明きシャフトには、固定爪が
出入りする穴が開いているため剛性が上がらず、さほど
高い危険回転数を採れないという問題点を有する。
【0010】本発明は、上記した巻き取りコアーの問題
点の解決に応えるべくなされたもので、軽量で持ち運び
が容易であり、使用時の危険回転数が高く、高生産性が
達成可能で、高精度で、製品を抜き取る時の摩擦が少な
く、且つ磨耗しにくく、また低コストな巻き取りコアー
を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に樹脂被
覆を一体的に形成してなる複合材料製巻き取りコアーに
おいて、複合材料からなる素管表面に該複合材料を構成
する樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で焼き付
け硬化が可能な共重合性含フッ素系モノマーとシリコン
マクロモノマー及びこれと共重合可能な他のビニル系単
量体を共重合して得られるフッ素とシリコンを含有する
樹脂を一体的に被覆形成せしめたことを特徴とする滑り
性良好な複合材料製巻き取りコアーにある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、表面に滑り性良好な樹
脂被覆を一体的に有する炭素繊維複合材料製円筒体(素
管)を母材とする巻き取りコアーである。特に本発明に
おいては滑り性の良好な樹脂被覆を一体的に形成するに
当たって、CFRPを構成する樹脂のガラス転移温度
(以下、Tgと略記する。)未満の温度で焼き付け硬化
することが可能で、更に好ましくはトイレットペーパー
との静摩擦係数が0.2以下の表面を形成する新規樹脂
被覆を有するCFRP巻き取りコアーである。
【0013】上記低温硬化が可能で、滑り性良好な樹脂
被覆を与える樹脂材料として含フッ素系樹脂を挙げるこ
とが出来る。本発明に使用される含フッ素系樹脂は溶剤
に溶かし、CFRP製コアー素管の表面に塗装した後、
CFRPを構成する樹脂のTg未満の温度で焼き付け硬
化することによって、強靱で耐久性のある、トイレット
ペーパーとの摩擦係数が小さい樹脂被覆とすることが出
来るので、変形がなく、高精度の巻き取りコアーを生産
性よく製造するのに適している。
【0014】本発明で使用される含フッ素系樹脂として
は、例えば、パーフルオロアルキル基またはフルオロア
ルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体とシ
リコン系マクロモノマー及びこれと共重合可能な他のビ
ニル単量体を共重合して得られるフッ素シリコン含有樹
脂が挙げられる。シリコン系マクロモノマーとしては、
例えば、東亞合成化学工業(株)製、商品名AK―5、
AK―40などが挙げられる。フッ素含有モノマーとシ
リコン系マクロモノマーは重量比にして98/2〜9
9.5/0.5質量%に範囲で用いられる。樹脂の設計
上、撥水、撥油性能を最大限に発揮するためにフッ素含
有モノマーをリッチにしておく。また、シリコン系マク
ロモノマーは1質量%を超えて用いても効果は変わらな
いため少量用いる。入れすぎると白濁、泡立ちし易くな
り好ましくない。
【0015】上記単量体と共重合可能な他のビニル単量
体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、スチレン、α―メチルスチレン、
p―tert―ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビ
ニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル、(メタ)アクリルアミド、ブトキシ(メタ)アクリ
ルアミド、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2―ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4―ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、3―クロロー2―ヒ
ドロキシエチルーモノブチルフマレート、ポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ダイセル化学
(株)製のカプロラクトン付加モノマーである商品名
「プラクセルFM」、「プラクセルFA」、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、さらに、(メタ)ア
クリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸ジエチル、マ
レイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イコタン酸ジエ
チルまたはイタコン酸ジブチル等である。これらは単独
または2種以上を前述のフッ素シリコン含有樹脂を形成
する単量体に対し5〜35質量%の範囲で用いられる。
好ましくは、10〜30質量%、更に好ましくは15〜
25質量%の範囲で用いられる。これらをラジカル重合
性開始剤を用いて、公知の溶液重合法により重合し、含
フッ素シリコン含有樹脂を得ることが出来る。
【0016】なお、フッ素シリコン含有樹脂はトイレッ
トペーパーとの摩擦係数を下げ、耐久性を向上するのに
役立つ。摩擦抵抗は静摩擦抵抗で表現され、0.2以下
の場合巻き取りコアーの耐久性の向上に有効である。
【0017】本発明に使用するフッ素シリコン含有樹脂
は、このままでも十分耐磨耗性を有するが、更に耐磨耗
性を増すために、必要な量のアルミナ粒子を分散含有さ
せることによって該樹脂により耐磨耗性、耐擦傷性を向
上することが出来る。
【0018】次に、本発明に係るCFRP製巻き取りコ
アーの製造法について説明する。炭素繊維トウに代表さ
れる高強度、高弾性補強繊維を用い、該繊維に熱硬化性
樹脂を含浸させ加熱硬化して巻き取りコアーの素管を成
形する。補強繊維の種類としては特に炭素繊維に限定す
るものではないが、より軽量で、かつ、剛性を上げるた
めにはより弾性率の高い高弾性率繊維を用いることが好
ましい。また、必要に応じてガラス繊維、アラミド繊維
等を使用または併用することが出来る。
【0019】また、CFRP製コアー素管の成形法とし
てはシートラッピング法、フィラメントワインディング
法、引き抜き成形法、レジントランスファーモウルディ
ング法等種々な方法を用いることができ特に限定はな
い。したがって、当然のことながら補強繊維の樹脂の含
浸方法もこれらの成形法によって一般的に行われている
方法が採用される。また、樹脂の種類も特に限定するも
のではないが、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、あ
るいはこれらの混合したものが最も一般的である。
【0020】成形方法としてシートラッピング法、フィ
ラメントワインディング法で成形されるものは、金属製
マンドレルにラッピングまたはフィラメントワインディ
ングした後加熱硬化して巻き取りコアー素管を成形す
る。引き抜き法により成形されるものは、パイプ形状の
ダイスにて引き抜き成形し、素管を成形する。レジント
ランスファーモウルディング法によって成形されるもの
は金属型あるいは樹脂型等によって成形される。
【0021】この様にして成形された素管は一般に、巻
き取りコアーの長さを決めるために丈決めを行った後、
両端に金属金具を取り付け固定する。金具の固定は接着
または機械的接合または両者の併用によって行う。しか
る後、CFRP外周の研磨を行う。研磨は両端の金属金
具の固定前に行ってもよい。
【0022】次に、本発明のフッ素シリコン含有樹脂を
CFRP製素管に施す塗装して被覆する方法について説
明する。まず、アルミナ粒子含有樹脂の主剤とシンナー
を希釈混合し、これに硬化剤を混合する。塗装には樹脂
液の粘度が表面塗装性に大きく影響するのでフォードカ
ップまたはイワタカップ等で粘度の測定を行う。この場
合の目安としては8〜25秒程度が好ましい。このよう
にして調製した樹脂液をスプレー塗装機にて研磨された
CFRP製素管表面に塗装する。塗装に当たり樹脂液が
霧化しにくく、糸引き状の場合は希釈シンナーを適量追
加して樹脂液の粘度調整を行う。厚塗りが必要ならばこ
の様な操作を数回行って必要量塗装する。
【0023】塗装した後、数分〜数十分の間、樹脂液の
タレ防止のため塗装した素管を回転しておき、タレの発
生がなくなったところで、さらにその上からアルミナを
含まない上記樹脂液を重ね塗りする。この場合も塗装被
覆方法は上記と同様である。この様に巻き取りコアーと
なるCFRP製素管の下塗りとしてアルミナ粒子含有樹
脂液を使用し、上塗りにアルミナ粒子を含有しない樹脂
液を塗装することによって、巻き取りコアーにより一そ
う耐磨耗性、耐擦傷性と表面平滑性を同時に付与するこ
とが出来る。
【0024】本発明においては、CFRP製素管からな
る巻き取りコアーの樹脂の塗り方について特に規定する
ものではなく、上述したごとく下塗りとしてアルミナ粒
子入り樹脂液を塗装した後にアルミナを含まない樹脂を
塗装してもよいし、アルミナ入り樹脂のみ塗装した場合
でもよい。また、巻き取るロール状製品との関係で特に
耐磨耗性が必要でないものについては、アルミナなしの
樹脂液のみの塗装でも十分性能を発揮する。
【0025】アルミナ粒子を含有させる場合、その粒子
径は特に限定するものではないが、一般的には1〜50
μmのものが使用され、より好ましくは平均粒子径25
μm程度のものを使用する。またアルミナ粒子の樹脂に
対する混合割合も特に限定するものではないが、通常4
0質量%以下であり、15質量%以下で十分性能を発揮
する。
【0026】また、塗装した樹脂液の加熱硬化について
は、塗装後10〜15分間経過後に加熱を開始すること
も可能であるが、塗装厚みが厚い場合は更に時間を経過
させ、希釈シンナーが十分揮発してから加熱することが
好ましい。加熱硬化は、巻き取りコアーの素管を構成し
ているCFRPに用いた樹脂のTg未満の常温〜Tgま
での温度範囲、より好ましくは70〜80℃の範囲で行
うことができる。加熱時間は、70℃で約2時間、80
℃で約1時間処理する。加熱硬化を短時間で処理したい
場合は、上記温度範囲内で比較的高温にて処理するが、
十分時間的に余裕がある場合は常温で時間をかけて硬化
しても得られる被覆性能及び表面剥離性の点で劣るもの
ではない。
【0027】次に、図面に基づいて本発明の1態様を説
明する。図1は、本発明巻き取りコアー8の横断面図で
CFRP製コアー両端に固定金具6、7が固着された状
態を示している。図1において符号5は、図2にその一
部拡大断面で示したようにCFRP製素管1の外側に、
被覆樹脂層中にアルミナ粒子3を含有する下塗り層4、
その上にアルミナ粒子を含まない上塗り層2で被覆され
たコアーである。図3は本発明巻き取りコアー8に多数
のトイレットペーペー9が巻かれている状態を示す。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施の1例を図の符号を参照
しながら具体的に説明する。なお、説明中「部」は重量
部を示す。内径32mm、外径39mm、肉厚5mm、
長さ1840mmで母材が、炭素繊維(三菱レイヨン
(株)製、商品名「パイロフィル」HR40、繊維の縦
弾性率が392GPa、強度が4.9GPa)を使用
し、外表面が上述のフッ素系シリコン含有樹脂で被覆さ
れたトイレットペーパー巻き取り用巻き取りコアーを製
作した。巻き取りコアーの両端は金属金具で製作したた
めCFRP部の実質長さは1805mmであった。CF
RP製素管の製作はシートラッピング法により行った。
まず、鉄製のマンドレルにシート状になったA,B2種
のプリプレグを次の条件で巻きつけた。
【0029】 シート(プリプレグ)種類 ラッヒ゜ンク゛角度 厚 さ Vf*3 (度) (mm) (%) A:TR350G100S*1 90 0.095 58.5 B:HRX350C210S*2 0 0.163 66.7 *1 :TR350Gは三菱レイヨン(株)製炭素繊維商品名、100S は同炭素繊維プリプレグの商品番号を示す。 *2 :HRX350Cは三菱レイヨン(株)製炭素繊維商品名、210 Sは同炭素繊維プリプレグの商品番号を示す。 *3 :プリプレグ中の炭素繊維の体積含有率を示す。 プライ数及び巻き順 A2枚,B6枚,A2枚,B6枚,A2枚,B6枚,A
2枚,B7枚 ただし、外層2枚は研磨する。平均Vfは約65%であ
った。
【0030】上記のようにして2種のプリプレグを巻き
つけ最後にポリエステル製テープで最外層をテーピング
し硬化炉に入れ130℃で2時間で硬化し、CFRP製
素管(1)を得た。これを長さ1805mmに丈決し、
その両端に金属金具(6)、(7)をエポキシ系接着剤
で固定し、ついでCFRP外周を円筒研磨機にて研磨し
た。
【0031】この後、2、2、2―トリフルオロエチル
メタアクリレート300部、AK―5(東亞合成化学工
業(株):シリコンマクロモノマー)0.6部、スチレ
ン157.2部、2ヒドロキシエチルメタクリレート1
39.2部、メタクリル酸3部からなるモノマー混合物
をトルエン中で溶液重合して得たフッ素シリコン含有樹
脂100部に対して、平均粒子径25μmのアルミナ粒
子を14部分散させ、さらにカーボンブラックを4部分
散させ、これにポリイソシアネート(商品名スミジュー
ルN75:住友バイエル社製)を、NCO/OH=1/
1(当量比)になる様に配合し、粘度をフォードカップ
NO4にて15秒に希釈した樹脂液を、スプレー塗装機
にて厚さ40μmになるまで回転しながら塗装し、15
分間放置した。
【0032】次に、アルミナ粒子を配合していない上記
と同様の樹脂液をその上から30μmの厚さに塗装し、
1時間放置した後、80℃で60分間加熱硬化した。得
られた塗装被覆表面は平滑であったが、更に平滑にする
ため、表面をバーチカル研磨機にて研磨した。表1に、
以上のようにして製作された本発明に係るCFRP製巻
き取りコアーと従来の鋼製及びアルミ製巻き取りコアー
とを比較対照して示した。
【0033】
【表1】
【0034】表1からも明らかな様に、本発明のCFR
P製巻き取りコアーは、他の材質の巻き取りコアーに対
して極めて優れていることがわかる。まず、重量につい
ては、鋼製の場合はCFRP製の約4.6倍もあり非常
に重く人力を要する作業には不向きであることが理解さ
れる。一方、アルミ製の場合は鋼製に比べると比較的軽
いが、それでもCFRP製の場合の1.8倍あり、十分
な軽量化が図られていない。
【0035】次に、危険回転数について見ると、CFR
P製の場合、鋼製の約2.1倍と極めて高い。アルミ製
の場合は鋼製の場合より更に若干下がるがほぼ同等であ
り、CFRP製の場合に遠く及ばない。このため実際の
使用回転数の上限を危険回転数の85%とすると、トイ
レットペーパーの巻き取り速度は400m/分と高速巻
き取りが可能であるのに対して、鋼製、アルミ製の場合
は約190m/分とCFRP製コアーの半分以下の速度
までしか処理速度を上げられない。
【0036】次に、コアーの撓みについて検討する。コ
アーの長さ1710mmの中央に1kgの分布荷重をか
けた場合の撓みを表1の上段に記載し、下段には自重に
よる撓みを記載してある。1kg荷重による撓みは鋼製
の場合が最も小さく、次にアルミ製の場合が小さい値を
示しているが、自重による撓みは鋼製の場合非常に大き
く、ついでアルミ製となり、CFRP製のものは最も小
さい。この結果、荷重撓みと自重撓みを加え合わせたも
のは、鋼製のものは最も大きく、CFRP製の場合の約
2.66倍となる。アルミ製の場合でも1.77倍もあ
りCFRP製のものが優れていることがわかる。
【0037】この様にCFRP製の巻き取りコアーは、
機械的物性値において勝っていることは明らかである
が、本発明の目的とするところは、このことのみによっ
ては達成されるものではない。すなわち、強靱で摩擦抵
抗が小さく、表面滑り性良好であり、しかも、低温加熱
処理により、CFRP母材の変形、クラック等の無い表
面被覆を同時に備えることによって目的を達成すること
が可能である。このため、表面被覆の性能を調べるため
にトイレットペーパーとの静摩擦係数を調べたところ
0.15と小さく、巻き取りコアーからトイレットペー
パーの抜き取りに何ら問題ないものであった。
【0038】また、巻き取りコアーの寸法精度が塗装前
と塗装後にどれだけ変化しているか調べるため、巻き取
りコアーの両端をV字状支持体にのせ、回転させ中央部
のフレをダイヤルゲージで測定した。この結果フッ素シ
リコン含有樹脂被覆形成前後のフレが共に0.03mm
と小さく、しかも、変化していないため、CFRP製素
管を構成している樹脂のTg未満の温度による加熱処理
によるため、変形やクラックの発生がないことが確認さ
れた。また被覆樹脂の密着強度を調べるために碁盤目テ
ストを実施したが、極めて強固に密着しており、十分信
頼性のおけるものであった。なお、碁盤目テストは被覆
樹脂層にタテ、ヨコに一定間隔で票線をつけ、市販のセ
ロファンテープを貼った後、剥離し被覆樹脂の剥離数を
目視で判定する方法によった。
【0039】この巻き取りコアーを用いて、トイレット
ペーパーの巻き取り実験を行ったが、400m/分の巻
き取り速度でも全く振動の発生はなく、高速処理が可能
なことが確認された。また、トイレットペーパーをコア
ーから外すにあたっては、巻き取りコアーのすべりが良
いのでスムースに外すことが出来、作業上問題はなかっ
た。
【0040】静摩擦係数の測定法を図4に従って説明す
る。図4は測定法の説明図を示している。巻き取りコア
ー8に、一定長のトイレットペーパー9の両端に同量の
水10を入れた容器を吊す。次に、図の右側の容器に水
10を徐々に追加すると静止していたトイレットペーパ
ー9は右側容器により下降し、左側容器は上昇する。こ
のとき左右の容器中の水10の重量をW1 ,W2 とす
るとW1 <W2 であり、またT1 =W1 ,T2
2 となる。トイレットペーパー9の張力とコアーへ
の巻き付き角(θ)及び静摩擦係数(μ)の関係は次の
ようになる。
【数1】T2 =T1 ・EXP(μθ) ここで、θはトイレットペーパー9の巻き取りコアー8
への巻き付き角で、θ(=180度)=πラジアンを示
す。よって静摩擦係数は次式で算出される。
【数2】
【0041】
【発明の効果】本発明に係る巻き取りコアーは、従来の
金属製巻き取りコアーに比べて軽量化が出来るため、着
脱における人力作業が軽減されて作業環境の改善され
る。また、金属製巻き取りコアーに比べて危険回転数を
大幅に向上させることができ、大幅なラインスピードを
向上することができ、作業の効率化に寄与する。また、
表面性能として低摩擦係数のため、トイレットペーパー
の取り外しが簡単であり作業の効率化が図られた。
【0042】更に、巻き取りコアーを製造するに当た
り、低温で被覆樹脂の硬化が行われるため、寸法精度良
好な巻き取りコアーを製作することが出来る。また、従
来の「テフロン」チューブの被覆に比べて長時間の使用
に耐え、また、従来のエアーシャフトタイプの巻き取り
コアーに比べて、大幅にコストを低下させることができ
経済性において優れている。また軽量性において大幅に
勝っており、また危険回転数は大幅に向上し、処理速度
のアップが計れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明巻き取りコアーの横断面図である。
【図2】巻き取りコアーの塗装された素管の拡大断面図
である。
【図3】巻き取りコアーにトイレットペーパーが捲かれ
た状態を示す斜視図である。
【図4】静摩擦係数測定法の説明図である。
【符号の説明】
1 複合材料製素管 2 アルミナを含まない上塗り樹脂層 3 樹脂層中のアルミナ粒子 4 アルミナを含有する下塗樹脂層 5 下塗りおよび上塗りされた巻き取りコア
ーの一部断面 6,7 コアー金属金具 8 巻き取りコアー 9 トイレットペーパー 10 水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 豊 愛知県豊橋市牛川通4丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 3F058 AA02 AB01 AC08 AC11 BB11 BB15 CA04 CA11 DA04 DB05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に樹脂被覆を一体的に形成してなる
    複合材料製巻き取りコアーにおいて、複合材料からなる
    素管表面に該複合材料を構成する樹脂のガラス転移温度
    (Tg)未満の温度で焼き付け硬化が可能な共重合性含
    フッ素系モノマーとシリコンマクロモノマー及びこれと
    共重合可能な他のビニル系単量体を共重合して得られる
    フッ素とシリコンを含有する樹脂を一体的に被覆形成せ
    しめたことを特徴とする滑り性良好な複合材料製巻き取
    りコアー。
  2. 【請求項2】 表面被覆樹脂中にアルミナ粒子を含有し
    ていることを特徴とする請求項1記載の巻き取りコア
    ー。
  3. 【請求項3】 表面樹脂被覆のトイレットペーパーとの
    静摩擦係数が0.2以下である請求項1または2記載の
    巻き取りコアー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009137714A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Bridgestone Corp 発泡樹脂シート巻取体
JP2011513099A (ja) * 2008-03-13 2011-04-28 コーテック ゲゼルシャフト フル オーベルフレーヘンフェレデルンク エムベーハー 湿式オフセット印刷機の印刷ユニット内でのインキ−水−エマルジョン生成を改善するためのローラ・コーティングを有するローラ体とその製造方法
JP2020158277A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 東レ株式会社 フィルムロールの製造方法、及びフィルムロール。

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