JP2001248672A - 防振装置 - Google Patents

防振装置

Info

Publication number
JP2001248672A
JP2001248672A JP2000056939A JP2000056939A JP2001248672A JP 2001248672 A JP2001248672 A JP 2001248672A JP 2000056939 A JP2000056939 A JP 2000056939A JP 2000056939 A JP2000056939 A JP 2000056939A JP 2001248672 A JP2001248672 A JP 2001248672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer cylinder
shaft member
vibration
vibration isolator
elastic body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000056939A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Umemura
聡 梅村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2000056939A priority Critical patent/JP2001248672A/ja
Publication of JP2001248672A publication Critical patent/JP2001248672A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Motor Power Transmission Devices (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リアデファレンシャルの車体への懸架機構に
おいて用いられる防振装置であって、安価で、通常走行
時の振動吸収に優れ、かつ、衝撃入力時の衝撃伝達即応
性に優れた防振装置を提供する。 【解決手段】 リアデファレンシャル側に連結される外
筒10と、車体側に連結され外筒10の内部に位置する
軸部材20と、外筒10および軸部材20との間に介装
される弾性体30とからなり、軸方向がプロペラシャフ
トに直行するように配設される防振装置を、弾性体30
の軸部材20の上方および下方にそれぞれすぐり41、
42を設け、さらに、軸部材20を偏心させて軸部材2
0の前方の弾性体部分の厚みを小さくした上で、その軸
方向の前部にもそれらのすぐり41、42とは別のすぐ
り43を設けるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン等の駆動
源をフロント側に搭載しプロペラシャフトにて差動装置
にその駆動力を伝達する型式の自動車において、その差
動装置の車体への懸架機構に好適な防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フロントエンジン、リア駆動の自動車に
おいては、トランスミッションと車輌後部にある差動装
置(以下、「リアデファレンシャル」という)とを繋ぐ
プロペラシャフトを、車室外下部に有しており、このプ
ロペラシャフトにより駆動力を伝達している。一般に、
自動車では、車輌前方からの衝突が起こった場合、エン
ジンが搭載されているフロントボックスの変形により、
その衝撃の吸収を行い、搭乗者の安全性を確保してい
る。ところが、上記プロペラシャフトを有する構造の自
動車では、前方衝突の際、そのプロペラシャフトが、あ
たかも衝返棒(つっかえぼう)のような働きをし、衝撃
吸収に有効なフロントボックスの変形を阻害する結果と
なる。したがって、前方衝突により大きな衝撃が加わっ
た際、プロペラシャフトが衝返棒として機能するのを回
避する必要がある。
【0003】このための有効な一つの手段として、プロ
ペラシャフトが連結しているリアデファレンシャルの車
体への懸架部を構成するいずれかの部材を弱体部として
形成しておき、大きな衝撃が加わった際、その弱体部を
破損させることによってリアデファレンシャルの車体へ
の少なくとも一部の懸架を解き、プロペラシャフト軸方
向と衝撃の方向とをずらすことにより、プロペラシャフ
トが伝達しようとする後方への衝撃力を逃がすという手
段がある。
【0004】一般に、リアデファレンシャルの車体への
懸架は、リアデファレンシャルによる振動が車体に伝達
されるのを防止すべく、防振装置を介して行われてい
る。この用途に使われる防振装置には、デフマウントブ
ッシュと呼ばれる円筒形のものが採用されることが多
い。デフマウントブッシュは、通常、金属製の外筒と、
その外筒内部に同軸的に配置される金属製の軸部材と、
外筒と軸部材との間に介装される例えばゴムからなる弾
性体とから構成される。実際の懸架機構は、例えば、リ
アデファレンシャルにブラケットを設け、このブラケッ
トに防振装置の外筒を固定して取り付け、防振装置の軸
部材を車体に固定して取付けるように行われる。
【0005】ここで、大きな衝撃が加わった際にリアデ
ファレンシャルの車体への懸架を解くという上記手段を
採用しようとする場合、上記ブラケットに上記弱体部と
しての機能をもたせればよい。しかし、防振装置の本質
的な目的は振動を吸収することにあり、この振動吸収機
能を充分に発揮するためには、防振装置自体のバネ定数
が小さいことが要求される。ところが衝突による前方か
らの大きな衝撃により弱体部となるブラケットを破損さ
せる場合は、その衝撃に即応して、防振装置自体のバネ
定数が大きくなることが要求される。つまり、このよう
な特殊な機能を有する懸架機構においては、通常走行時
の振動伝達低減と衝撃入力時のストッパー効果というあ
たかも相反する2つの特性が、用いられる防振装置に要
求されることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記相反する特性を両
立させることのできる防振装置として、例えば、図6に
その断面を示すような防振装置が考えられる。図6に示
す防振装置は、軸方向が車体左右方向つまりプロペラシ
ャフトと直行する方向となるように懸架機構の中に組み
込まれるものであり、リアデファレンシャル側に連結さ
れる外筒10と、車体側に連結される軸部材20と、こ
れらの間に介装される例えばゴム製の弾性体30とから
なり、この弾性体30を、軸部材20の前後にそれぞれ
軸方向に貫通する空間40(以下、「すぐり」という)
を設けるように形成するものである。つまり、前後方向
において、通常振動域ではバネ定数が小さく、大きな衝
撃が加わり外筒10と軸部材20とが大きく相対変位す
る場合にバネ定数を大きくする試みである。
【0007】また、衝撃に対する即応性を高めるため
に、図7にその断面を示すような防振装置も考えられ
る。図7に示す防振装置は、図6に示す防振装置におい
て、弾性体30のすぐり40の前方および後方に存在す
るストッパーとして機能する部分36に金属製の板状部
材37(以下、「中間板」という)を介在させるもので
あり、すぐり40が押しつぶされて弾性体の本体部31
とストッパー部36とが当接した後のバネ定数をさらに
大きくすることで、前方から外筒10に加わる衝撃に対
する即応性を向上させることができる。
【0008】しかし、通常走行時においては、防振装置
への振動入力は上下方向が主たる入力方向となるため、
図6および図7のいずれの防振装置であっても、通常の
振動吸収において、弾性体30の本体部31に大きな圧
縮・引張り歪みが発生し、弾性体30の耐久性が劣化す
ることが懸念される。また、図7の防振装置では、衝撃
即応性は得られるものの、中間板37といった別部材を
弾性体中に介在させなければならず、製造工程が煩雑と
なり、防振装置のコストアップにつながる結果となる。
【0009】本発明は、前方衝突の際のプロペラシャフ
トによる衝撃吸収の阻害を排除するために衝撃入力時に
車体への懸架を解放する機能を有するリアデファレンシ
ャルの懸架機構おいて、その懸架機構に採用する防振装
置の抱える上記問題を解決するためになされたものであ
り、安価であって、通常走行時の振動吸収に優れ、か
つ、衝撃入力時の衝撃伝達即応性に優れた防振装置を提
供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の防振装置は、車
輌前方からプロペラシャフトにより伝達された駆動力を
差動可能に後輪に伝達する差動装置を車体に懸架する懸
架機構において用いられ、該差動装置と該車体とを弾性
連結する防振装置であって、前記差動装置の側に連結さ
れ、軸方向が前記車体の略左右方向となるように配置さ
れる外筒と、前記車体の側に連結され、軸方向が前記外
筒の軸方向と略平行に、軸心が該外筒の軸心に対し前方
に偏心し、かつ、外側面が該外筒の内側面と距離を隔て
た状態で、該外筒内に配置された軸部材と、前記外筒の
前記内側面と前記軸部材の前記外側面との間に介装さ
れ、前記軸部材の上方、下方および前方のそれぞれの位
置に軸方向に貫通する空間を有する弾性体とを含んでな
ることを特徴とする。
【0011】つまり、本発明の防振装置は、外筒と、そ
の外筒内部に位置する軸部材と、その外筒および軸部材
に介装される弾性体とからなり、軸方向がプロペラシャ
フトに直行するように配設される防振装置において、そ
の弾性体の軸部材の上部および下部にそれぞれすぐりを
設け、さらに、軸部材を偏心させて軸部材の前方の弾性
体部分の厚みを小さくした上で、その部分に上記すぐり
とは別のすぐりを設けた態様の防振装置である。
【0012】リアサスペンションの通常時の振動は、上
下方向がその主たる振動方向となる。本発明の防振装置
では、上下方向にそれぞれすぐりを設けていることか
ら、上下方向のバネ定数は小さく、通常時の振動を効率
よく吸収することができる。また、その上下方向の振動
吸収は弾性体の剪断変形が主に担うことから、過度の圧
縮・引張り歪みが弾性体に生じることなく、耐久性にお
いても良好な防振装置となる。
【0013】本発明の防振装置では、弾性体の軸部材が
前方に偏心しており、後方の弾性体の厚みが大きくとれ
ることに加え、前方部にもすぐりを設けていることか
ら、通常時において、前後方向にもバネ定数は小さく、
前後方向の振動をも効率よく吸収できる構造となる。ま
た、本発明の防振装置では、前方向の相対変位を早期に
規制させるために軸部材の軸心が外筒の軸心に対して前
方に偏心していることから、外筒前方より力が加わった
際に、小さな変位によって、その前方に設けたすぐりが
つぶれ、外筒の軸部材との間に空間が存在しなくなる。
そして、前方のすぐりがつぶれた状態においては、その
部分の外筒と軸部材との間の弾性体の厚みは薄く、バネ
定数を極めて大きくすることが可能となる。この結果、
前方から外筒に大きな衝撃力が加わった場合、直ちに外
筒から軸部材にその衝撃力が効率よく伝達され、衝撃伝
達即応性に優れる防振装置となる。
【0014】また、上述したような中間板なる別部材を
必要とせずに良好な防振性能と衝撃伝達性能とを両立さ
せており、本発明の防振装置は、製造工程が複雑のもの
とはならず、製造コストの面においても優れ、安価な防
振装置となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の防振装置の一実
施形態について、図面を参照しつつ、さらに詳しく説明
する。図1に、一実施形態となる防振装置(以下、「本
防振装置」という)の左右方向から見た側面図を示し、
さらに、図2に、本防振装置の図1におけるA−A断面
を、図3に、本防振装置の図1におけるB−B断面を、
それぞれ示す。
【0016】本防振装置は、円筒形状の金属製の外筒1
0と、軸方向が外筒10の軸方向と平行に、かつ、外側
面21が外筒10の内側面21と距離を隔てた状態で、
外筒10内に配置された金属製の軸部材20と、外筒1
0の内側面11と軸部材20の外側面21との間に介装
されたゴム製の弾性材30とから構成される。
【0017】図示していないが、外筒10は、リアデフ
ァレンシャルから前方に突出して固定されたブラケット
の先端部に、その外側面12が接するように嵌挿されて
連結されている。また、図示していないが、軸部材20
は、車体に、その内側面22によって区画される締結孔
に締結ボルトを挿通させることにより締結されて連結さ
れている。本防振装置が用いられる懸架機構において、
上記ブラケットは、リアデファレンシャルの前部の重量
を分担して支承する役目を果たし、かつ、前方衝突によ
りプロペラシャフトからの衝撃がリアデファレンシャル
に加わった場合に、破損することによりリアデファレン
シャルの支承を解く機能、つまり、リアデファレンシヤ
ルの車体からの懸架を解放するという弱体部としての機
能をも果たす。
【0018】衝突の衝撃により弱体部となるブラケット
が破損し、懸架を解かれてリアデファレンシャルの前部
が垂下した場合、プロペラシャフト後端が車輌の下方向
に変位し、衝撃が車体に伝達されることなく後方に逃が
される。プロペラシャフト後端が車輌下方向に変位する
ことは、衝突の際に発生し得るプロペラシャフトの持ち
上りよる車室内への突出を防止するべく作用し、この懸
架機構は、搭乗者の安全をより確実に図ることのできる
構造となっている。
【0019】本防振装置のさらに詳しい構造を、その特
徴となる部分を中心に説明すれば、以下のようになる。
まず、外筒10と軸部材20とのそれぞれの軸心の関係
についてみれば、本防振装置では、早期に前方向の相対
変位を規制させるために、軸部材20の軸心が外筒10
の軸心に対し前方に偏心している。そして、弾性体30
は、軸部材20の上方および下方のそれぞれの位置で軸
部材10の径寸法に対応した幅で周方向に延び、軸方向
に貫通する空間、つまり、すぐり41、42を有してい
る(以下、上方のすぐりを「上部すぐり41」、下方の
すぐりを「下部すぐり42」という)。また弾性体30
は、軸部材20の前方の位置で軸部材10の径寸法に対
応した幅で周方向に延びたもう1つのすぐり43(以
下、「前部すぐり43」という)を有している。3つの
すぐり41、42、43の存在により、弾性体30は、
図1から解るように、3つのすぐり41、42、43に
囲まれた本体部31の他に、それぞれのすぐり41、4
2、43と外筒10との間の部分32、33、34(以
下、それぞれ「上部ストッパー部32」、「下部ストッ
パー部33」、「前部ストッパー部34」という)に略
分割されている。上部ストッパー部32、下部ストッパ
ー部33、前部ストッパー部34は、軸部材20に対し
て外筒10がそれぞれ下方、上方、または後方に大きく
変位して、それぞれ、上部すぐり41、下部すぐり4
2、前部すぐり43がつぶれた状態となった場合に、そ
れ以上の変位を規制する役割を果たしている。
【0020】さらに詳しくは、軸部材20の軸心は、外
筒10の軸心に対して、若干ではあるが下方向にも偏心
している。また、上部すぐり41は、下部すぐり42に
対して上下方向の空間距離が若干大きくなっており、前
部すぐりは上下が非対称の形状となっている。これは、
リアデファレンシャルの分担静荷重が外筒10にかかっ
た場合において、軸部材20の軸心が外筒10の上下方
向の略中心位置にくるようにするための手段であり、こ
の場合において、弾性体30は、その軸方向の断面にお
いて上下略対称の形状となる。このことにより、リアデ
ファレンシャルを車体に懸架した場合において、防振特
性は上下対称となる。
【0021】次に、本防振装置における振動吸収の作用
を説明すれば、通常走行に発生する主振動である上下の
振動に対しては、上部すぐり41と下部すぐり42とが
充分に機能し、そのバネ定数は小さく、充分な振動吸収
能力を発揮する。この場合、主に、弾性体30の本体部
31の剪断変位によって、上下振動が吸収される。した
がって、弾性体30には、大きな圧縮・引張り変形が生
じず、本防振装置は、耐久性に優れたものとなる。
【0022】通常の振動を超える大きな上下方向の変位
が発生するような荷重が外筒10にかかった場合、上部
すぐり41あるいは下部すぐり42がつぶれる状態とな
り、弾性体30の上部ストッパー部32あるいは下部ス
トッパー部33が作用し、効率よくその荷重を分散吸収
することができる。
【0023】通常走行における前後方向の振動について
は、上下方向の振動に比較して軽微ものであるが、本防
振装置では、この前後方向の振動に対しても、弾性体3
0の本体部31の軸部材20の後方に位置する部分の体
積は大きく、前部すぐり43も充分機能しているため、
バネ定数が小さなものとなっていることから、充分な吸
収能力を発揮する。特筆すべきは、大きな変位を生じる
ような大きな力が前方より外筒10に加わった場合であ
る。この場合、まず、前部すぐり43がつぶれて、弾性
体30の本体部31と前部ストッパー部34とが当接す
るような状態となる。この状態で、外筒10の内側面1
1と軸部材20の外側面21との間に介在する弾性体3
0の厚さは、軸部材20の軸心が外筒10の軸心に対し
て前方に偏心していることから、上方または下方の弾性
体30の厚さに比較して、かなり薄いものとなる。した
がって、弾性体30の本体部31と前部ストッパー部3
4とが当接するような状態からさらに外筒10が後方に
押しやられようとする力に対して、本防振装置のバネ定
数は極めて大きな値となる。このようなバネ定数の大き
な状態にあっては、その力は弾性体30によっては吸収
されにくく、あたかも外筒10から軸部材20に直接伝
達するかのように伝達されることになる。
【0024】上述した本防振装置が用いられる懸架機構
を考えた場合、前方衝突によってプロペラシャフトから
リアデファレンシャルに大きな衝撃が伝達された場合、
その衝撃は、リアデファレンシャルに固定されているブ
ラケットから外筒に伝達され、本防振装置のバネ定数の
大きな領域において、ほとんど吸収されずに軸部材20
から車体側に伝達されようとする。上述したようにブラ
ケットはこの懸架機構において弱体部となっており、ブ
ラケットはその衝撃に耐えきれず破損に至る。以上のこ
とを総合して考えれば、本防振装置は、懸架機構内にお
いて、極めて良好な衝撃伝達即応性を示すことになる。
【0025】また、本防振装置では、良好な衝撃伝達性
能を確保するために、上述した金属製中間板等の別部材
を弾性体内に介在させるといった手段を採用していな
い。したがって、外筒10と軸部材20との位置関係お
よび弾性体30の形状、特にすぐりの形状を適切なもの
とするだけで、防振性能および衝撃伝達性能の両立を図
ることができ、本防振装置を製造する際の製造工程が煩
雑なものにはならず、極めて安価な防振装置となる。
【0026】次に、本防振装置のバネ特性を、図4およ
び図5に示す。図4は、前後方向における軸部材20に
対する外筒10の変位と荷重との関係を示し、図5は、
上下方向における軸部材20に対する外筒10の変位と
荷重との関係を示している。これらの図からも明らかな
ように、いずれの方向においても、変位の小さな領域つ
まり通常走行時の振動領域においては、変位量の増加に
対する荷重の増加は小さく、バネ定数が小さいことが判
る。前方からの大きな荷重がかかり軸部材20に対して
外筒10が大きく後方に変位しようとする領域にあって
は、変位の増加に対する荷重の増加は極めて大きく、大
きなバネ定数を有することが判る。したがって、本防振
装置は、通常時の振動に対しては良好な吸収能力を発揮
し、かつ、前方からの衝撃に対しては良好な衝撃伝達性
を有することが確認できる。
【0027】最後に、本防振装置の作用について、別の
観点から考察する。本防振装置の弾性体30は、図1に
おいて、上部すぐり41と前部すぐり43とに、およ
び、下部すぐり42と前部すぐりとに挟まれた部分35
が、肉薄な形状をしており、軸部材20が弾性体30の
本体部により片支持された構造に近い構造となっている
(この肉薄な部分35は本体部31を外筒10に架け渡
す部分とも考えられることから、以下この部分を「ブリ
ッジ部35」という)。したがって、仮にブリッジ部3
5が存在しない、つまり、上部すぐり41、前部すぐり
43および下部すぐり42がすべて繋がっている完全な
片支持構造の弾性体であっても同様に作用するとも考え
られる。
【0028】確かに、振動吸収という点では、片支持構
造の弾性体であっても同様に作用する。ところが、外筒
10の前方より大きな衝撃が加わった場合、その衝撃の
加わる方向が上下にずれているときには、弾性体30の
本体部31と前部ストッパー部34が当接した後、軸部
材10が上方向あるいは下方向に相対的に変位しようと
する。この場合において、ブリッジ部35が存在しない
完全な片支持構造の弾性体であるときには、その上下方
向の相対変位が容易に発生し、その変位によって弾性体
が衝撃を幾分か吸収することで、防振装置の良好な衝撃
伝達即応性を阻害する結果となる。このことに鑑みれ
ば、本防振装置は、弾性体30のブリッジ部35の存在
により、前方からの衝撃の際に軸部材20と外筒10と
の上下方向の相対変位が抑制され、より確実な衝撃伝達
が担保される構造の防振装置となっている。
【0029】また、弾性体がゴム製である本防振装置を
製造するにあたって、すぐりの形状に合わせた加硫型を
用いて加硫する。加硫後、軸方向に加硫型から本防振装
置を脱型しようとする場合、ブリッジ部35が存在しな
い場合は、弾性体30が大きく片方向に変形しようと
し、その脱型作業が極めて困難な作業となる。したがっ
て、本防振装置は、ブリッジ部35の存在により、製造
を容易にするといった利点をも併せもつ。
【0030】以上、本発明の防振装置の一実施形態につ
いて説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発
明の防振装置は、上記実施形態のものに限定さるもので
はなく、当業者が通常行い得る変更、改良等を施した種
々の態様で実施することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は、リアデファレンシャルの車体
への懸架機構において用いられ、リアデファレンシャル
側に連結される外筒と、車体側に連結され、その外筒内
部に位置する軸部材と、その外筒および軸部材に介装さ
れる弾性体とからなり、軸方向がプロペラシャフトに直
行するように配設される防振装置を、その弾性体の軸部
材の上部および下部にそれぞれすぐりを設け、さらに、
軸部材を偏心させて軸部材の前方の弾性体部分の厚みを
小さくした上で、その軸方向の前部にもそれらのすぐり
とは別のすぐりを設けるように構成するものである。こ
のような構成とすることで、本発明の防振装置は、安価
であって、通常走行時の振動吸収に優れ、かつ、衝撃入
力時の衝撃伝達即応性に優れた防振装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態である防振装置の左右方向
から見た側面図を示す。
【図2】 本発明の実施形態である防振装置の図1にお
けるA−A断面を示す。
【図3】 本発明の実施形態である防振装置の図1にお
けるB−B断面を示す。
【図4】 本発明の実施形態である防振装置の前後方向
のバネ特性を示す。
【図5】 本発明の実施形態である防振装置の上下方向
のバネ特性を示す。
【図6】 想定される一例である防振装置の断面を示
す。
【図7】 想定される別の一例である防振装置の断面を
示す。
【符号の説明】
10:外筒 11:内側面 12:外側面 20:軸部材 21:外側面 22:内側面 30:弾性体 31:本体部 32:上部ストッパー部 33:下部ストッパー部 34:前部ストッパー部 35:ブリッジ部 36:ストッパー部 37:中間板 40:すぐり 41:上部すぐり 42:下部すぐり 43:前部すぐり

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輌前方からプロペラシャフトにより伝
    達された駆動力を差動可能に後輪に伝達する差動装置を
    車体に懸架する懸架機構において用いられ、該差動装置
    と該車体とを弾性連結する防振装置であって、 前記差動装置の側に連結され、軸方向が前記車体の略左
    右方向となるように配置される外筒と、 前記車体の側に連結され、軸方向が前記外筒の軸方向と
    略平行に、軸心が該外筒の軸心に対し前方に偏心し、か
    つ、外側面が該外筒の内側面と距離を隔てた状態で、該
    外筒内に配置された軸部材と、 前記外筒の前記内側面と前記軸部材の前記外側面との間
    に介装され、前記軸部材の上方、下方および前方のそれ
    ぞれの位置に軸方向に貫通する空間を有する弾性体と、 を含んでなる防振装置。
JP2000056939A 2000-03-02 2000-03-02 防振装置 Pending JP2001248672A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000056939A JP2001248672A (ja) 2000-03-02 2000-03-02 防振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000056939A JP2001248672A (ja) 2000-03-02 2000-03-02 防振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001248672A true JP2001248672A (ja) 2001-09-14

Family

ID=18577811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000056939A Pending JP2001248672A (ja) 2000-03-02 2000-03-02 防振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001248672A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019131511A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 Toyo Tire株式会社 防振装置
JP2019207014A (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 住友理工株式会社 デフマウント

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019131511A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 Toyo Tire株式会社 防振装置
CN111406161A (zh) * 2017-12-28 2020-07-10 通伊欧轮胎株式会社 防振装置
CN111406161B (zh) * 2017-12-28 2021-11-16 通伊欧轮胎株式会社 防振装置
JP2019207014A (ja) * 2018-05-30 2019-12-05 住友理工株式会社 デフマウント

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4229294B2 (ja) エンジンマウント構造
US7926609B2 (en) Vehicle body structure
KR100358344B1 (ko) 자동차용 댐퍼가 달린 휠과 그 제조방법
JP2007326524A (ja) 鉄道車両の牽引装置及びそれ用の緩衝ゴム
KR102341479B1 (ko) 자동차용 파워트레인의 리어 마운팅 구조
JP2007137377A (ja) サスペンション用サブフレームの支持構造
JP2001248672A (ja) 防振装置
JP2017120110A (ja) マウント装置
JP3767396B2 (ja) エンジンマウントおよびそれを用いた自動車用パワーユニット支持機構
KR100527784B1 (ko) 자동차의 엔진 마운팅 시스템
JPH0624263Y2 (ja) 四輪駆動車のフロントデフアレンシヤルマウント装置
WO2006077622A1 (ja) 防振装置
JPH11325145A (ja) 防振ゴムブッシュ
JP2013169856A (ja) ブラケット付きエンジンマウント
JP4630022B2 (ja) 車両の安全装置およびそれに用いられるプルダウンロッド
JP7463260B2 (ja) キャブマウント
JP3730417B2 (ja) ディファレンシャル装置の支持構造
JP5201865B2 (ja) 車体構造
JP4379991B2 (ja) 車両用駆動伝達装置
CN217994047U (zh) 减震塔和车辆
KR100394955B1 (ko) 자동차의 바디 마운팅 방진부재
JP2009298217A (ja) パワーユニットのトルクロッド支持構造
JP2003261061A (ja) 自動車の前部車体構造
JP2520276Y2 (ja) 液体封入式防振マウント
JP4244373B2 (ja) 車両のパワートレイン支持構造