JP3730417B2 - ディファレンシャル装置の支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右のドライブシャフトにプロペラシャフトからの駆動力を伝達するためのディファレンシャル装置の支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばフロントエンジン/リアドライブの車両(所謂FR車)の居室部分の床下には、剛性の高いプロペラシャフトが延在しているため、これが突っ張っていると、前面衝突時に居室部分に作用する減速度を下げることができない。そこでこのような不都合を改善するために、前面衝突時の衝突エネルギがプロペラシャフトを伝わってリアディファレンシャル装置に入力すると、リアディファレンシャル装置を車体に連結するマウント部が破断してリアディファレンシャル装置を後方へ移動させるようにしたものが、例えば特開平9−272351号公報などに提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この従来構造によると、マウント部が破断に至るまでのストロークが小さいために破断が突然に起こり、衝突エネルギが急激に放出されてしまうことから、衝撃吸収効果が十分とは言えなかった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その目的は、衝突時に車体の居室部分に作用する減速度をより一層低下させることができるように改良されたディファレンシャル装置の支持構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、デフケース1の左右両側方におけるドライブシャフト(例えば実施の形態中のリアドライブシャフト2)の軸心を挟んでプロペラシャフト3から遠い側かつプロペラシャフトの軸心よりも上方に設けた第1対車体連結部(例えば実施の形態中の後部対車体連結部6)と、ディファレンシャル装置とプロペラシャフトとの連結部10よりもエンジン側かつプロペラシャフトの軸心よりも上方で前記プロペラシャフトの軸心と直交する向きの軸(例えば実施の形態中の前部対車体連結軸9)に支持されたラバーブッシュ8の中心を介して車体に連結される第2対車体連結部(例えば実施の形態中の垂直部7v)、デフケースの側面に対する固定部(例えば実施の形態中の水平部7h)、及び第2対車体連結部と固定部との間に設けられた塑性変形可能且つ破断可能なる屈曲した脆弱部11を備えたブラケット7とを有するものとした。このようにすれば、プロペラシャフトに軸力が加わると、ディファレンシャル装置とプロペラシャフトとの連結部が逆への字形に折れ曲がるようにディファレンシャル装置の変位方向が規制される。これにより、先ずブラケットの屈曲した脆弱部が伸展する向きに塑性変形してエネルギ吸収作用が発揮され、さらに軸力が加わると、脆弱部が破断してプロペラシャフトが脱落することとなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された具体的な実施の形態を参照して本発明について詳細に説明する。
【0007】
図1並びに図2は、左右のリアドライブシャフトにプロペラシャフトからの駆動力を伝達するためのリアディファレンシャル装置RD回りを示している。
【0008】
デフケース1におけるリアドライブシャフト2の軸心を挟んでプロペラシャフト3から遠い側(本実施の形態の場合はリアドライブシャフト2の軸心よりも後方)であり、かつプロペラシャフト3の軸心よりも上方には、左右方向に延在する横バー4が一体的に結合されている。この横バー4の左右各端には、ラバーブッシュ5を備えた後部対車体連結部6が設けられている。、
【0009】
デフケース1の側面には、概ねL字形をなす板状のブラケット7の水平部7hがボルト等を用いて固定されている。このブラケット7の垂直部7v(第2対車体連結部)は、ラバーブッシュ8を介して設けられた前部対車体連結軸9にて車体に連結されている。この前部対車体連結軸9の中心は、プロペラシャフト3とリアディファレンシャル装置RDとの連結部10よりもエンジン側(本実施の形態の場合は連結部10の前方)かつプロペラシャフト3の軸心よりも上方に位置している。またブラケット7の水平部7hと垂直部7vとの間には、くびれた形状の脆弱部11が形成されている。
【0010】
次に図3を併せて参照して本発明の作用について説明する。車体前面に衝突による衝撃荷重が加わり、エンジン(図示せず)が後方へ移動すると、プロペラシャフト3に後向きの軸力が加わり、これがリアディファレンシャル装置RDに伝わる。ここでデフケース1の後部対車体連結部6は、リアドライブシャフト2の軸心よりも後方かつプロペラシャフト3の軸心よりも上方に位置しているので、リアディファレンシャルRDに後向きの軸力が加わると、後部対車体連結部6を中心として図1における時計回りの回動モーメントがリアディファレンシャル装置RDに作用する。このため、リアディファレンシャル装置RDとプロペラシャフト3との連結部10が逆への字形に折れ曲がり、その結果、先ず水平部7hと垂直部7vの挟み角(図3−Aの角度α)が開く向きにブラケット7の脆弱部11が塑性変形して衝突エネルギの吸収作用が発揮される(図3−A)。さらに軸力が加わると、脆弱部11が破断してプロペラシャフト3が脱落する(図3−B)。これにより、プロペラシャフト3が突っ張って車体の変形を阻害する不都合が生じないようにしている。
【0011】
上記、実施の形態は、FR車の後車軸側に設けたディファレンシャル装置を例にとって述べたが、本発明は、ミッドシップエンジンの前車軸にも適用可能である。
【0012】
【発明の効果】
このように本発明によれば、衝突によりプロペラシャフトに軸力が加わると、ディファレンシャル装置とプロペラシャフトとの連結部が逆への字形に折れ曲がることができる。このため、先ずブラケットの脆弱部が塑性変形してエネルギ吸収作用が発揮され、さらに軸力が加わると脆弱部が破断してプロペラシャフトが脱落する。これにより、前後車軸間にプロペラシャフトが延在した車両における衝突時の居室部分の減速度を抑えることができ、所謂クラッシャブルゾーンの低減とキャビンスペースの拡大とを両立する上に大きな効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリアディファレンシャル装置の対車体連結部を示す斜視図
【図2】本発明によるリアディファレンシャル装置の対車体連結部を示す側面図
【図3】本発明の作用の説明図
【符号の説明】
1 デフケース
2 リアドライブシャフト
3 プロペラシャフト
6 後部対車体連結部(第1対車体連結部)
7 ブラケット
7h 水平部(固定部)、7v 垂直部(第2対車体連結部)
9 前部対車体連結軸
10 連結部
11 脆弱部
RD リアディファレンシャル装置
Claims (2)
- 左右のドライブシャフトにプロペラシャフトからの駆動力を伝達するためのディファレンシャル装置の支持構造であって、
デフケースの左右両側方における前記ドライブシャフトの軸心を挟んで前記プロペラシャフトから遠い側かつ前記プロペラシャフトの軸心よりも上方に設けた第1対車体連結部と、
当該ディファレンシャル装置と前記プロペラシャフトとの連結部よりもエンジン側かつ前記プロペラシャフトの軸心よりも上方で前記プロペラシャフトの軸心と直交する向きの軸に支持されたラバーブッシュの中心を介して車体に連結される第2対車体連結部、前記デフケースの側面に対する固定部、及び前記第2対車体連結部と前記固定部との間に設けられた塑性変形可能且つ破断可能なる屈曲した脆弱部を備えたブラケットとを有することを特徴とするディファレンシャル装置の支持構造。 - 前記ブラケットは、前記第2対車体連結部と前記固定部との間が概ねL字形をなす板状体であることを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル装置の支持構造。
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JP25957298A JP3730417B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | ディファレンシャル装置の支持構造 |
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JP25957298A JP3730417B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | ディファレンシャル装置の支持構造 |
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ID=17335995
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JP25957298A Expired - Lifetime JP3730417B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | ディファレンシャル装置の支持構造 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11668352B2 (en) | 2019-06-10 | 2023-06-06 | Honda Motor Co., Ltd. | Final drive assembly, powertrain for a vehicle, and method of containing a shaft |
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1998
- 1998-09-14 JP JP25957298A patent/JP3730417B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US11668352B2 (en) | 2019-06-10 | 2023-06-06 | Honda Motor Co., Ltd. | Final drive assembly, powertrain for a vehicle, and method of containing a shaft |
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