JP2001248092A - 全芳香族ポリエステル成形物及びその製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステル成形物及びその製造方法

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JP2001248092A
JP2001248092A JP2000055677A JP2000055677A JP2001248092A JP 2001248092 A JP2001248092 A JP 2001248092A JP 2000055677 A JP2000055677 A JP 2000055677A JP 2000055677 A JP2000055677 A JP 2000055677A JP 2001248092 A JP2001248092 A JP 2001248092A
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Teruhisa Miki
輝久 三木
Takanori Shinoki
孝典 篠木
Yoshihiro Takatsu
良博 高津
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Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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MIKI TOKUSHU SEISHI KK
Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾時及び湿時寸法安定性、耐熱性、耐候性を
有し、更に耐放射線性に優れた電気絶縁材を工業的に提
供する。 【解決手段】 10〜90重量%の雲母粒子と90〜1
0重量%の全芳香族ポリエステル紙料とを配合成分とす
る水分散液から湿式成形したシートに有機高分子凝集剤
を含有させることで絶縁破壊電圧(BDV,交流電圧)
が、15KV/mm以上の全芳香族ポリエステル成形物
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なシート状全
芳香族ポリエステル成形物及びその製造方法に関する。
更に詳しくは、耐熱性を有し、乾時及び湿潤寸法安定
性、耐候性、放射線抵抗性、機械的特性、難燃性に優
れ、その上電気絶縁性が良好な全芳香族ポリエステル成
形物及びそれを工業的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年電気機器、特に電動機、変圧器、変
換器等の重電関係なかでも耐放射線性に優れた特性を生
かし原子力関係設備/機器の電気絶縁材、高放射線環境
向け電気機器あるいは耐加水分解性、耐フロン性、低吸
水性の要求される電子デバイス関係に全芳香族ポリエス
テル成形物が用いられるようになってきた。その全芳香
族ポリエステル成形物は、一般に全芳香族ポリエステル
繊維と全芳香族ポリエステルパルプとを混合予備成形し
た後、熱プレス等の手段で融着成形されるのが常法であ
る。すなわち、一般の合成高分子パルプの場合、繊維原
料と同じポリマーを有機溶剤に溶解することで作成した
ドープを、突起付きローターを回転させることで生じた
せん断場に通じてポリマーを凝固沈殿させることで鱗片
状のパルプ(いわゆるフィブリッド)が作成される。し
かし、殆どの溶剤に不溶の全芳香族ポリエステルでは、
かかる方法によるパルプ作成が困難なため、全芳香族ポ
リエステルと有機溶剤可溶の他のポリマーとを混合紡糸
した後、有機溶剤可溶ポリマーを溶解除去するいわゆる
コンジュゲート法あるいは全芳香族ポリエステル繊維ス
ラリーを厳重に制限された条件下で擦過しフィブリル化
させる、いわゆるスラリー擦過法等が用いられる。その
結果、全芳香族ポリエステルパルプの形状は、針状が一
般的で鱗片状を作成するのは、極めて困難なため、この
パルプを含有する全芳香族ポリエステル成形物はどうし
ても電気絶縁性が低いという問題点が避けられなかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、良好な機械的特性と成形加工性とを併せ持つ電気絶
縁材として好適な全芳香族ポリエステル成形物を提供す
ることである。もう一つの目的は、かかる成形物に良好
且つ安定な電気絶縁性、換言するとシート形成後の加
熱、加圧、組み立ての段階で品質バラツキを発生しない
機能を付与することである。また無機物である雲母粒子
を全芳香族ポリエステル成形物中へ安定に導入すること
により、難燃性、耐熱性あるいは熱及び湿潤寸法安定性
等に優れた電気絶縁材料を提供することにある。更に他
の目的は、上述の全芳香族ポリエステル成形物を安価且
つ効率的に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、10〜
90重量%の雲母粒子と90〜10重量%の全芳香族ポ
リエステル紙料(すなわち全芳香族ポリエステル繊維と
全芳香族ポリエステルパルプの両者)とを主たる配合成
分とする水分散液から湿式成形してなるシート状成形物
であって、湿式成形時に上記の水分散液に有機高分子凝
集剤を添加して作成された、絶縁破壊電圧(BDV,交
流電圧)が、15kv/mm以上であることを特徴とす
る本発明の全芳香族ポリエステル成形物によって達成さ
れる。また、全芳香族ポリエステル成形物は、10〜9
0重量%の雲母粒子と90〜10重量%の全芳香族ポリ
エステル紙料を主たる配合成分とする水分散液からシー
ト状物を湿式成形するに当たり、好ましくは雲母粒子と
しシランカップリング剤で表面処理されたものを用い、
且つ上記水分散液に有機高分子凝集剤を添加する事によ
り、機械的特性、寸法安定性、難燃性あるいは電気絶縁
性等に優れた全芳香族ポリエステル成形物を得る方法に
より製造される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法について詳細に
説明する。本発明において、一方の原料として使用する
雲母は、必ずしも板状の一枚物である必要はなく雲母微
粒子を水に分散させた後、シート状に集積した安価ない
わゆる「集成マイカ」でも差し支えない。雲母の種類
は、磁性異物(例えば鉄粉)あるいは形状の大きな異物
(例えばシリカ粒子)等が含まれていない限り、白雲
母、絹雲母、金雲母、黒雲母等何れでも差し支えない。
これらの中でも特に白雲母の集成マイカが実用的であ
る。
【0006】本発明によれば、幅広い粒度分布をもつ集
成マイカを使いこなすことが可能であり、本発明の利点
の一つである。すなわち雲母粒子と全芳香族ポリエステ
ル紙料からシート状物を湿式成形するに当たり、例えば
250メッシュの篩を通過するような微細な粒子(粉
末)を含む場合でも、得られた成形物の絶縁性が悪化す
ることはない。勿論、微細な雲母粒子の脱落を防止する
ため、ある限度未満の粒径を持つ雲母粒子を予め除いて
おく便法もあるが、工業的に採用するにはマイカ歩留り
の低下以外に、分別工程が別に必要になる。その上分別
した残りの微粉末の処理が問題になること等を考慮する
と工程が煩雑且つコスト的に不利である。
【0007】雲母粒子の添加量は、全芳香族ポリエステ
ル紙料を含むシート全構成成分をベースにして、10〜
90重量%とすることが必要である。添加量が10重量
%未満では、雲母の添加効果が充分でなく、また90重
量%を越えると得られる成形物の機械的強度が低下する
ので好ましくない。雲母粒子のより好ましい添加量は、
30〜70重量%である。
【0008】もう一方の原料となる「全芳香族ポリエス
テル紙料」は、これを水中に分散した後、抄造、乾燥し
必要に応じて熱圧着するか、あるいは金網型枠で予備成
形し乾燥、熱圧着することにより、シート状全芳香族ポ
リエステル成形物を製造し得る原素材を指している。よ
り具体的には一般に全芳香族ポリエステル繊維と全芳香
族ポリエステルパルプから構成されている。
【0009】本発明でいう全芳香族ポリエステル繊維と
は、例えば溶融異方性全芳香族ポリエステル溶融紡糸法
で溶融押出しした後必要に応じ延伸及び/又は熱固定す
る公知の方法で製造することができる。ここでいう溶融
異方性とは、溶融相において光学異方性を示すものであ
り、この様な特性は公知の方法例えばホットステージに
のせた紙料を窒素雰囲気下で昇温加熱し、その透過光を
観察する事により容易に認定することができる。この様
なポリマーは、例えば芳香族ジオール、芳香族ジカルボ
ン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等の重縮合反応によ
り得られるものであり、好適には化1、化2及び化3に
示す反復構成単位の組み合わせからなるものを挙げるこ
とができる。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】特に、パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒド
ロキシ6−ナフトエ酸の構成単位からなる部分が60モ
ル%以上である溶融異方性全芳香族ポリエステルが好ま
しい。また成分中には適宜テレフタール酸、イソフター
ル酸、ビスフェノール及びそのエステル誘導体、あるい
は酸化チタン、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、カー
ボンブラック、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安
定剤等を含んでいてもよい。
【0014】本発明でいう溶融異方性全芳香族ポリエス
テルパルプの製造法も何ら制限されず従来公知の方法で
得ることができる。例えば、特公平6−33595号公
報あるいは特開平7−48718号公報記載の溶融異方
性全芳香族ポリエステル未延伸糸をディスクリファイナ
ーで処理する方法で容易に製造することが可能である。
また溶融異方性全芳香族ポリエステルと高分子量ポリス
チレンとを溶融混合紡糸した後、高分子量ポリスチレン
部分を有機溶剤で溶解除去するコンジュゲート法を採用
することも可能である。
【0015】溶融異方性全芳香族ポリエステル繊維のデ
ニールは、実用上0.5〜10.0デニールが好ましい。
0.5デニール未満の繊維は、使用上さしたる問題はな
いが生産性が低くなる為、コスト的に不利であり、1
0.0デニールを越えた繊維は、得られるシートの強度
が低下するので好ましくない、好ましい繊維のデニール
は、1.0〜6.0である。
【0016】本発明においてポリエステル繊維とは、長
さが好ましくは1〜25mm、特に好ましくは3〜10
mmのノンクリンプ糸を言い、一方ポリエステルパルプ
とはフィブリル化した繊維を言う。
【0017】溶融異方性全芳香族ポリエステル繊維
(F)と溶融異方性全芳香族ポリエステルパルプ(P)
との混率(F/P)は、好ましくは10〜60/90〜
40(重量比)である。F成分の混率が10重量%未満
の時は、得られるシートの寸法安定性が不足するし、6
0重量%を越えると機械的強度の低下或いは電気絶縁性
を損なうので望ましくない。最も好ましいF/Pは、2
0〜50/80〜50(重量比)である。
【0018】本発明の溶融異方性全芳香族ポリエステル
繊維或いは溶融異方性全芳香族ポリエステルパルプの外
に、シートの特性に影響を及ぼさない範囲の第三成分等
を加えることができる。但し本発明の主構成成分である
溶融異方性全芳香族ポリエステル繊維(F)、溶融異方
性全芳香族ポリエステルパルプ(P)及び雲母粒子
(M)等の全成形物構成成分に対し、Fの含有量が25
重量%以下であることが必要である。25重量%を越え
ると成形物の電気絶縁性を損なうので好ましくない。
【0019】本発明で有機高分子凝集剤を添加するのが
重要なポイントの一つである。その添加量は溶融異方性
全芳香族ポリエステル紙料及び雲母粒子等原料全量に対
し、0.001〜2.0%が好ましい。下限未満の場合
は、効果が充分発現しないし上限を超えると逆に凝集効
果が低下するのみならず、水分散液の粘度上昇さらに得
られる成形物の電気特性を損なうので注意すべきであ
る。0.01〜1.0重量%範囲の添加が特に望ましい。
【0020】アニオン系高分子凝集剤の例として三井サ
イアミッド(株)製「アコフロックA110」など、カ
チオン系高分子凝集剤の例として興南化学工業(株)
「コーナンフロックK73P」などを挙げることができ
る。しかし、最も好ましい有機高分子凝集剤は、ノニオ
ン系凝集剤である。本発明者等の研究の結果、広範な粒
度分布をもつ雲母粒子と溶融異方性全芳香族ポリエステ
ル紙料とを所定割合で水中に分散させた後、抄紙機によ
る抄造あるいは金網型枠による予備成形を行なう際、該
水分散液中にノニオン系高分子凝集剤を少量共存させる
と雲母混合の作用効果が著しく高められ、成形物シート
の電気絶縁性(BDV,交流電圧)で15KV/mm以
上を容易に実現し得ることが見出された。
【0021】好ましいノニオン系高分子凝集剤の例とし
ては,三井サイアナミッド(株)製の「アコフロックN
−100」「アコフロック102」、興南化学工業
(株)の「コーナンフロックZH−760」、栗田工業
(株)の「クリフロックPN−162」「クリフロック
PN−131」、ダイヤフロック(株)の「アクリパー
ズ」、住友精化(株)の「PEO−PF」等のポリアク
リル酸アミドあるいはポリエチレンオキシド系の高分子
化合物を挙げることができる。
【0022】本発明の好ましい実施態様では、雲母粒子
は予めシランカップリング処理が施され、シートの湿式
成形に供せられる。雲母粒子をシランカップリング剤で
表面処理する方法としては、従来公知の方法が利用でき
る。例えば、シランカップリング剤を含有する水溶液ま
たは有機溶剤の溶液に雲母粒子を浸漬する方法、上記溶
液をスプレーによって雲母粒子に散布する方法等が適用
できる。この場合、予め湿式成形に適した大きさに分散
された雲母粒子を用いると効率的に表面処理を行なうこ
とができる。
【0023】好ましいシランカップリング剤の例として
は、アルコキシシラン系カップリング剤を挙げることが
できる。この場合、珪素原子上に置換しているアルコキ
シ基の数に特に制約は無い。雲母粒子の表面処理に用い
られるシランカップリング剤の量は、雲母粒子表面に存
在するシラノール基量、処理すべき雲母粒子の表面積、
使用するシランカップリング剤の種類等によって決定さ
れるが、実用上は処理すべき雲母粒子に対して0.00
1〜10重量%の範囲が好ましい。なお、シランカップ
リング処理する場合、必要なら媒体のpHを調整するこ
とも可能である。
【0024】本発明のシート状成形物は、シランカップ
リング処理された(または未処理の)雲母粒子及び所望
の濾水度に調整されたパルプと既述範囲に入る配分量の
繊維とからなる溶融異方性全芳香族ポリエステル紙料を
含む水分散液に、有機高分子凝集剤が添加された状態で
湿式成形が行なわれ、シート状の成形物が形成される。
【0025】湿式成形の手段としては、通常抄紙法また
はパルプモールド法が採用される。具体的に述べると、
本発明のシート状溶融異方性全芳香族ポリエステル成形
物を製造するために、例えば、シランカップリング処理
した集成マイカの所定量を適当な水中にとり、ゆっくり
攪拌し微粒子状に分散させる。他方溶融異方性全芳香族
ポリエステル紙料については、公知の方法で所望の濾水
度を持つ様に調整されたパルプと必要に応じて加える繊
維とを、水の配されたチェスト(攪拌機付きタンク)に
とる。次に上記雲母粒子分散水をこのチェストに移しよ
く攪拌する。有機高分子凝集剤の所定量をこの段階でチ
ェストに添加する。勿論抄紙工程では抄造直前の粘剤添
加と同時に行なうこともできる。また最初の雲母粒子分
散水中に添加しても差し支えない。この有機高分子凝集
剤は、通常固形か濃厚水溶液で市販されているので、予
め濃度1〜5重量%の水溶液に調整して使用するのが生
産上便利である。
【0026】抄紙にあたっては、通常の円網式、短網
式、長網式の何れの抄紙機も利用できる。この様にして
得られた湿式ウェブ(湿紙)を脱水乾燥して紙状のシー
トとする。このシートを必要なら複数枚積層した後、加
熱、加圧してシートを構成する各成分を接着強化するこ
とができる。加熱加圧処理の好ましい温度は、150℃
〜320℃である。150℃未満ではシート強度の発現
が弱いし、320℃を越えると部分的な熱ロールとられ
のため毛羽が発生することがある。最も好ましくは21
0℃〜300℃である。好ましい圧力としては、10k
g/cm〜300kg/cmである。10kg/cm未
満では、機械的強度及び電気絶縁性が充分発現しない
し、300kg/cmを超えてもさしたる著しい効果の
向上が認められない。最も好ましい圧力は50kg/c
m〜200kg/cmである。
【0027】湿式成形の他の例としては、いわゆるパル
プモールド法があるが,この場合も一般的なパルプモー
ルド法で成形した後、上述した温度域で加工すればよ
い。圧力及び時間は、用途に応じて適宜設定して差し支
えない。特に立体的(三次元的)なシート状成形物を必
要とする場合、上記チェストから適当量の内容物を大型
容器にとり、吸引装置のついた金属型枠を中に入れて吸
引成形するいわゆるパルプモールド法で予備成形し、脱
水乾燥後所定の金型で熱圧縮することで生産することが
できる。その際好ましく適用される温度域は、上述した
150℃〜320℃であるが、圧力及び時間は適宜選択
できる。
【0028】以上の方法により、目的とするシート状溶
融異方性全芳香族ポリエステル成形物が効率的かつ経済
的に製造される。本発明は、広範な粒度分布をもつ集成
マイカを使いこなすこと、即ち集成マイカを水中に分散
させ溶融異方性全芳香族ポリエステル紙料と混合成形す
る際例えば250メッシュの篩を通過するような微粉末
マイカを含んでいても成形加工中に脱落散逸させないで
系内に保持し、その結果、優れた電気絶縁性を与える点
を大きな特徴とするものである。雲母微粒子の凝集効果
は、ノニオン系高分子凝集剤の外、アニオン系高分子凝
集剤、カチオン系高分子凝集剤でも認められるが、高圧
電気の絶縁性という見地からノニオン系高分子凝集剤が
最も好ましい。
【0029】本発明のシート状成形物の厚さは、坪量に
応じて任意に選択できるが、通常厚さ0.05〜1.0m
m、好ましくは、0.1〜0.5mm、坪量50〜100
0g/m2、好ましくは、100〜500g/m2の範囲
で選択される。以上の如く本発明によれば、後述する方
法で測定された交流電圧での絶縁破壊電圧(BDV)
が、有機高分子凝集剤を加えない場合に比較して15K
V/mm好ましくは、20KV/mm以上を示し大幅な
BDV改善が認められる。
【0030】以上詳述した如く、本発明によれば、電気
特性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性、難燃性等に優
れたシート状溶融異方性全芳香族ポリエステル成形物が
提供される。更に該成形物の電気絶縁性については、後
述する如く絶縁破壊電圧(BDV)の平均値が向上する
のみならず、バラツキが減少するという特異な効果が認
められる。実用上、電気絶縁材料の設計は、性能の平均
値でなくバラツキの下限値を考慮してなされるので、本
発明による成形物は材料の信頼性を高める上で特に有用
である。更に、本発明による成形物は表面平滑性、成形
加工性が良好であるという利点も有する。従って、本発
明による紙、シート、ボード等の成形物は電気絶縁材料
として特に有用である。しかも、本発明では、比較的安
価な「集成マイカ」を篩い分けすることなく用いること
が出来るので、極めて経済的に目的とする成形物が得ら
れるという利点も有る。
【0031】以上の効果は、雲母粒子を予めシランカッ
プリング処理した場合に特に顕著である。この様に雲母
粒子のシランカップリング処理と水分散液への有機高分
子凝集剤なかんずくノニオン系高分子凝集剤添加とを併
用する相乗効果の根拠については必ずしも明らかでない
が、ノニオン系高分子凝集剤によって雲母粒子の捕捉効
果が促進されると共に、シランカップリング処理に基ず
く溶融異方性全芳香族ポリエステル紙料と雲母粒子間の
相互作用が強まる結果として、上述の電気特性、機械的
特性が向上するものと推定される。
【0032】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて本発明を詳述
するが、これらは本発明の内容をなんら制限するもので
はない。実施例に示す各測定値は、以下の測定方法で求
めた値である。なお、単に「部」とあるのは重量部を示
す。 (a)絶縁破壊電圧(BDV): JIS−C2111
に準拠。交流電圧で測定した。(単位;KV/mm) (b)表面平滑度: JIS−8119(1976)ベ
ック試験器による測定方法に準拠した。(単位;秒)
【0033】実施例 1〜3、比較例 1〜3 〔A〕繊維とパルプの調製 P−ヒドロキシ安息香酸単位と2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸単位からなる溶融異方性全芳香族ポリエステル
未延伸繊維(株式会社クラレ製、商品名「ベクトラ
ン」、単繊維繊度2.5デニール、繊維長5mm)をそ
の50重量倍の水に分散させ、ダブル・ディスクリファ
イナー(相川鉄工所製)中で約20時間循環させること
により、カナダ標準濾水度(CSF)が、250mlの
溶融異方性全芳香族ポリエテルパルプ(「P」と略記。
以下同じ)を作成した。溶融異方性全芳香族ポリエステ
ル繊維としては、株式会社クラレ製の「ベクトラン」延
伸繊維(短繊維繊度2.5デニール、繊維長5mm。
「F」と略記。以下同じ。)を使用した。
【0034】〔B〕雲母粒子の調製 湿式篩方式で全量16メッシュの篩を通過、65メッシ
ュ付近に分布のピークが存在し、250メッシュ通過分
が7%ある硬質焼成マイカ(株式会社日本理化工業所
製、タイプ「RM」。「M」と略記。以下同じ)を本実
験に供した。
【0035】〔C〕シートの作成 上記〔A〕で作成したパルプ(P)と繊維(F)と上記
〔B〕記述の雲母粒子(M)の合計150部を配合比
(重量)がそれぞれP/F/M=60/10/30(実
施例1)、P/F/M=40/10/50(実施例
2)、P/F/M=20/10/70(実施例3)にな
るよう約600倍の水中に分散させた。次いで、これら
の水分散液それぞれにノニオン系高分子凝集剤であるポ
リアクリル酸アミド(商品名「アクリパーズ」、ダイヤ
フロック社製)0.15部(原料全量に対し0.1重量
%)添加し、室温で約1分間攪拌した。「アクリパー
ズ」は1%水溶液とし、剤成分(非水成分)として0.
1重量%になるよう添加した。
【0036】この分散スラリーを抄巾70cmの円網抄
紙機で抄造し、120℃のヤンキー・ドライヤーで乾燥
してロールに巻き取った(抄速5m/min)。このロ
ール2本からそれぞれ抄上げシートを巻き出し設定温度
250℃、線圧100kg/cmの2本の金属ロール間
を通すことで貼合せカレンダー加工を行ない(加工速度
6m/min)紙状のシートを得た。それぞれの場合の
シート特性を表1に示す。比較のため実施例1〜3と全
く同様に、ただし「アクリパーズ」を加えずに抄造しカ
レンダー加工した結果(比較例1〜3)を表1に併記す
る。
【0037】
【表1】 これらの実験により、ノニオン系高分子凝集剤の添加効
果が確認された。
【0038】実施例 4〜8、比較例 4 〔D〕シートの作成 実施例1〜3で使用したものと同じパルプと雲母粒子の
計150部をそれぞれ下記表2の配合比(重量)になる
よう約600倍の水中に分散させた。次いで各水分散液
にノニオン系高分子凝集剤「アクリパーズ」を0.30
部(原料全量に対し0.20重量%)添加し、実施例1
〜3の「C」と同様の方法により抄造、乾燥しロールに
巻き取った。次いで同様の方法により貼合せカレンダー
加工を実施しシートを製造した(実施例4〜8)。それ
ぞれの場合のシート物性を表2に示す。比較のため、雲
母粒子を含まない場合について同様の実験を行なった
(比較例4)。結果を表2に併記する。
【0039】
【表2】 これらの実験からBDVで示される電気絶縁性に及ぼす
雲母粒子の効果は添加量範囲10〜90重量%、特に3
0〜70重量%で顕著であることを示している。
【0040】実施例 9〜11 実施例1〜3において、ノニオン系高分子凝集剤として
ポリアクリル酸アミド(「アクリパーズ」)の代わりに
高分子量ポリエチレンオキシド(商品名「PEO−P
F」、住友精化株式会社製)を原料全量に対し0.1重
量%用いる以外は、全く同様にして抄造、乾燥、カレン
ダー加工をした。それらの結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】これらの実験により、ポリエチレンオキシ
ドも雲母粒子混抄紙の電気絶縁性向上に極めて有効であ
ることが確認された。また上述の実施例1〜11を比較
例1〜4と対比することにより、凝集剤効果により表面
平滑性が向上するのは、雲母混抄紙に限られ、雲母を含
まない通常の溶融異方性全芳香族ポリエステル100%
紙の場合(比較例4)、顕著な作用効果の認められない
ことが理解される。
【0043】実施例 12〜14、比較例 5 〔E〕雲母粒子のシランカップリング処理 上述〔B〕の雲母粒子(集成マイカ)0.38部と水1
00部とを混合し、パルパー中で分散させた。これにシ
ランカップリング剤であるN-(トリエトキシシリルプロ
ピル)尿素0.01部(対雲母粒子2.6重量%)を加
え、1時間緩やかに攪拌することでシランカップリング
処理を行なった。これをパルパーから取り出し乾燥し
た。こうして得られたシランカップリング処理雲母粒子
(「MS」と略記。以下同じ)を次の実験に供した。
【0044】〔F〕MS混合シートの作成 上記〔A〕で作成したパルプ(P)と繊維(F)及び
〔E〕で調製したシランカップリング処理雲母粒子(M
S)を実施例1〜3と同様の方法で混合抄造後カレンダ
ー加工することでそれぞれ実施例12〜14のシートを
得た。各シートの物性を表4に示す。比較のため、実施
例13で「アクリパーズ」を使用せず、上記と同様の方
法・条件で抄紙しカレンダー加工した(比較例5)。結
果を表4に併記する。
【0045】
【表4】 雲母粒子をシランカップリング処理することで、より安
定したBDVを示すシートの得られることが明らかにな
った。
【0046】比較例 6〜8 全芳香族ポリエステル成形物における雲母粒子混抄の効
果を確認するため、実施例1〜3と同じ繊維、パルプを
用い、雲母粒子および高分子凝集剤は添加せず、且つ実
施例1〜3と同様の方法で表5記載の配合比で抄紙しカ
レンダー加工した。得られた結果を表5に示す。
【0047】
【表5】 雲母粒子無添加では、BDVのバラツキが大きいだけで
なく、絶対値も低いことが確認された。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、電気特性、耐熱性、機
械的特性、寸法安定性、難燃性等に優れたシート状溶融
異方性全芳香族ポリエステル成形物が提供される。更に
該成形物の電気絶縁性については、絶縁破壊電圧(BD
V)の平均値が向上するのみならずバラツキが減少する
という効果が認められるので、材料の信頼性を高める上
で特に有用である。更に、本発明による成形物は表面平
滑性、成形加工性が良好であるため、紙、シート、ボー
ド等の成形物は電気絶縁材料として特に有用である。し
かも、比較的安価な「集成マイカ」を篩い分けすること
なく用いることができるので、極めて経済的に目的とす
る成形物が得られるという利点もある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高津 良博 愛媛県川之江市川之江町156番地 三木特 種製紙株式会社内 Fターム(参考) 4L055 AF33 AG25 AG72 AG98 AH01 AH18 AH26 BE20 EA32 EA34 FA18 FA19 FA30 GA02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜90重量%の雲母粒子と90〜1
    0重量%の全芳香族ポリエステル紙料とを主たる配合成
    分とする水分散液から湿式成形してなるシート状成形物
    であって、有機高分子凝集剤を含有しており、かつ絶縁
    破壊電圧(BDV、交流電圧)が、15KV/mm以上
    であることを特徴とする全芳香族ポリエステル成形物。
  2. 【請求項2】 全芳香族ポリエステル紙料が、実質的に
    溶融異方性全芳香族ポリエステル繊維と溶融異方性全芳
    香族ポリエステルパルプであり、かつ溶融異方性全芳香
    族ポリエステル繊維の含有量が成形物全構成成分に対し
    て、25重量%以下である請求項1記載の全芳香族ポリ
    エステル成形物。
  3. 【請求項3】 有機高分子凝集剤が、実質的にノニオン
    系有機高分子凝集剤からなる請求項1または請求項2記
    載の全芳香族ポリエステル成形物。
  4. 【請求項4】 雲母粒子が、シランカップリング処理さ
    れている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の全芳香
    族ポリエステル成形物。
  5. 【請求項5】 湿式成形後に熱圧加工されている請求項
    1〜請求項4のいずれかに記載の全芳香族ポリエステル
    成形物。
  6. 【請求項6】 10〜90重量%の雲母粒子と90〜1
    0重量%の全芳香族ポリエステル紙料とを主たる配合成
    分とする水分散液からシート状物を湿式成形するにあた
    り、原料全量に対し0.001〜2.0重量%の割合で有
    機高分子凝集剤を添加し、抄紙法またはパルプモールド
    法でシート状に成形することを特徴とする全芳香族ポリ
    エステル成形物の製造方法。
  7. 【請求項7】 雲母粒子として予めシランカップリング
    剤で表面処理したものを使用する請求項6記載の全芳香
    族ポリエステル成形物の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機高分子凝集剤が、実質的にポリアク
    リル酸アミド及び/又はポリエチレンオキシド系化合物
    である請求項6又は請求項7記載の全芳香族ポリエステ
    ル成形物の製造方法。
  9. 【請求項9】 全芳香族ポリエステル紙料として溶融異
    方性全芳香族ポリエステル繊維と溶融異方性全芳香族ポ
    リエステルパルプとを用い、かつ溶融異方性全芳香族ポ
    リエステル繊維を全芳香族ポリエステル成形物構成成分
    に対して、25重量%以下の割合で使用する請求項6〜
    請求項8のいずれかに記載の全芳香族ポリエステル成形
    物の製造方法。
  10. 【請求項10】 雲母粒子と全芳香族ポリエステル紙料
    とを水中に分散させた後、シート状に湿式成形し、次い
    で乾燥し必要に応じて2枚以上積層した後、加熱/加圧
    することを特徴とする請求項6〜請求項9の何れかに記
    載の全芳香族ポリエステル成形物の製造方法。
  11. 【請求項11】 加熱/加圧を温度150℃〜320℃
    線圧10kg/cm〜300kg/cmの条件下で実施
    する請求項10記載の全芳香族ポリエステル成形物の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017052853A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 株式会社大林組 2液型木材塗料、及びその2液型木材塗料を用いた木材の難燃化処理方法
CN112796151A (zh) * 2021-02-04 2021-05-14 通城县云水云母科技有限公司 一种活性云母纸及其相关制品的制备方法

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