JPH09139113A - 耐熱紙 - Google Patents
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- JPH09139113A JPH09139113A JP7317026A JP31702695A JPH09139113A JP H09139113 A JPH09139113 A JP H09139113A JP 7317026 A JP7317026 A JP 7317026A JP 31702695 A JP31702695 A JP 31702695A JP H09139113 A JPH09139113 A JP H09139113A
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Abstract
ルの融点以上での熱圧カレンダー加工を可能にし、電気
絶縁破壊強度が高く、寸法安定性に優れた耐熱紙を提供
する。 【解決手段】 ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物と、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
短繊維と、繊維状態から溶融固化したポリエステル化合
物とから成る耐熱紙において、ポリエステル化合物が耐
熱紙表面には存在せず厚さ方法で中心に向かって含有率
が高くなるように含有されて成り、電気絶縁破壊強度が
18kv/mm以上、260℃における熱収縮率が1.
3%以下であることを特徴とする耐熱紙。
Description
ーブルの絶縁材料に用いられる電気絶縁性、寸法安定性
に優れた耐熱紙に関する。
電気絶縁材料に用いられる耐熱紙としてアラミド(全芳
香族ポリアミド)から成る合成紙が使用されている。な
かでもアラミドの短繊維(フロック)とアラミドのパル
プ状物(ファイブリッド)を混抄した後、熱圧カレンダ
ー加工して製造されるアラミド紙(例えば、米国デュポ
ン社のノーメックス〈登録商標〉)は、高温下でも強度
が高く電気絶縁性に優れた電気絶縁紙として良く知られ
ている。
まず流動あるいは変形し、更に高温では分解する非顆粒
状フィルム様粒子であり、重合体溶液を単一の段階で沈
澱させ剪断するファイブリッド化装置(米国特許第30
18091号)を使用して製造することができる。ま
た、アラミドフロックは、より長いアラミド繊維であ
り、例えば米国特許第3063966号、第31331
38号、第3767756号、第3869430号に記
載された方法により製造されたものから切断された耐高
温性の短繊維である。ファイブリッドは湿潤状態で使用
し、アラミドのフロック成分に物理的に絡んだ結合体と
して沈積させる。
からなる非常に優れた電気絶縁紙の他に、適度の耐熱性
を有する低価格の紙、フィルム等のニーズもあり、この
ような耐熱紙として、芳香族ポリアミドファイブリッド
とポリエステル短繊維の混合物(特開昭47−2360
2号)からなる合成紙が知られている。
安定性を改良したものとして、芳香族ポリアミドパルプ
粒子、芳香族ポリアミド短繊維、ポリエステル短繊維を
混抄してなる電気絶縁破壊強度が18kv/mm以上
で、200℃における乾熱収縮率が2.0%以下の耐熱
紙が知られている(特開平3−97994号)。
リエステルを混抄した合成紙の電気絶縁性を高めるに
は、アラミド紙と同様に、熱圧カレンダー加工により密
度を高くし、シート中の空隙を埋めることが必要とな
る。
エステルの融点以下である230℃における熱圧カレン
ダー加工ではシート中の空隙を埋めるまでのポリエステ
ル繊維の熱変形は望めず、電気絶縁性が不十分となる。
また、ポリエステルの融点以上での熱圧カレンダー加工
は、溶融したポリエステル繊維が加工ロールに貼り付き
加工困難となる。
り低温で熱変形が可能な未延伸ポリエステル繊維を用い
て230℃で熱圧加工し、ロールへの付着等の問題もな
く、高い電気絶縁性を有し、200℃における乾熱収縮
率が2.0%以下の耐熱紙が得られている。しかしなが
ら、この熱圧加工温度もアラミドファイブリッドのガラ
ス転移温度(約275℃)よりはるかに低い温度である
ため、アラミドファイブリッドの結晶化は起こらず、熱
に対する安定性という点では不十分である。
価格で提供可能であって、電気絶縁破壊強度が高く、熱
収縮率が低く寸法安定性に優れた耐熱紙を提供すること
を目的とするものであり、ポリエステル、ポリメタフェ
ニレンイソフタルアミドのパルプ状物、ポリメタフェニ
レンイソフタルアミドの短繊維からなる耐熱紙におい
て、ポリエステルの融点(250〜260℃)以上で、
ファイブリッドのガラス転移温度付近での熱圧カレンダ
ー加工を可能かつ容易にした結果、電気絶縁性、寸法安
定性に優れた耐熱紙に到達したものである。
ニレンイソフタルアミドのパルプ状物と、ポリメタフェ
ニレンイソフタルアミドの短繊維と、繊維状態から溶融
固化したポリエステル化合物とから成る耐熱紙におい
て、ポリエステル化合物が耐熱紙表面には存在せず厚さ
方向で中心に向かって含有率が高くなるように含有され
て成り、電気絶縁破壊強度が18kv/mm以上、26
0℃における熱収縮率が1.3%以下であることを特徴
とする耐熱紙に関する。
タルアミドのパルプ状物(ファイブリッド)及びポリメ
タフェニレンイソフタルアミドの短繊維(フロック)と
しては、従来のアラミド紙の製造に用いられてきたファ
イブリッドおよびフロックを使用することができる。例
えば米国特許第3756908号に記載されており、そ
れぞれポリメタフェニレンイソフタルアミド高分子合成
物からファイブリッドやフロックを作るものである。
子合成物は、例えばメタフェニレンジアミン及びイソフ
タル酸塩化物から、低温度界面重合によって得られたポ
リメタフェニレンイソフタルアミドを、混合溶媒、例え
ばN,N−ジメチルアセトアミドとN−メチルピロリド
ンに溶解することにより、ポリマー溶液として得ること
ができる。
力を作用させながら、凝固浴中に注入して作られ、0.
2ないし1mmの平均長さと5:1ないし10:1の長
さ対幅比(アスペクト比)を有する。厚さ寸法は1ミク
ロンの数分の1の程度である。フロックは、上記ポリマ
ー溶液を紡糸して得た繊維を、蒸気中で数倍に延伸した
後、短繊維に切断して作られる。
高叩解したものが好ましい。フロックの形態としては、
単糸繊度20デニール以下、繊維長3〜20mmの範囲
のものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸を二塩基酸成分とし、脂肪族、脂環
族または芳香族グリコールあるいはポリエチレングリコ
ールのようなポリオキシアルキレングリコールをグリコ
ール成分として重縮合によって得られるポリエステルを
紡糸した繊維であり、二塩基酸成分またはグリコール成
分のいずれか一方又は双方を2種以上組み合わせた共重
合ポリエステル繊維でもよい。好ましい例としては、ポ
リエチレンテレフタレートが挙げられる。
の形態としては単糸繊度20デニール以下、繊維長3〜
20mmの範囲の短繊維が好ましいが、延伸糸、未延伸
糸のいずれも使用できる。
処理の段階でポリエステル繊維は溶融し、冷却過程で固
化する。ポリエステル化合物が耐熱紙表面には存在せず
厚さ方向で中心に向かって含有率が高くなるようにする
には、ポリエステルを含有する中間層の両表面にポリエ
ステルを含有しない表面層を形成した、表面層/中間層
/表面層からなる3層構造の原紙を熱圧加工処理するこ
とにより可能である。
ロックの配合が20重量%以下でファイブリッドの割合
が多い単層で形成された原紙は、熱収縮率が著しく大き
くなるため、別に形成された中間層との貼り合わせがで
きなくなる。このため、ポリエステル繊維を含有する中
間層用湿紙とポリエステル繊維を含有しない表面層用湿
紙を抄紙段階で三層構造に抄き合わせて原紙を作成し、
これを熱圧加工するのが望ましい。片側表面層と中間層
による2層抄き合わせ原紙を作成し、これに熱収縮の小
さい表面層用原紙を貼り合わせることもできる。このよ
うな2層ないし3層の抄き合わせは、円網−円網、円網
−短網−円網のような組み合わせを持った多層抄紙機を
用いて抄紙することができる。表面層、中間層ともにフ
ロック含有量が20重量%以上の場合には、熱圧加工時
の収縮は小さくなるので、単層で形成された表面層用原
紙と中間層用原紙を積層して熱圧加工することもできる
ため、多層紙を含め種々の原紙を組み合わせて熱圧加工
し、目的の厚さの耐熱紙を製造することもできる。
層はポリエステルに加えてポリメタフェニレンイソフタ
ルアミドのパルプ状物又はポリメタフェニレンイソフタ
ルアミドのパルプ状物とポリメタフェニレンイソフタル
アミドの短繊維を配合し、表面層にはポリメタフェニレ
ンイソフタルアミドのパルプ状物又はポリメタフェニレ
ンイソフタルアミドのパルプ状物とポリメタフェニレン
イソフタルアミドの短繊維を配合する。但し、中間層と
表面層の少なくとも一方にはポリメタフェニレンイソフ
タルアミドの短繊維が含まれるものとする。ポリメタフ
ェニレンイソフタルアミドの短繊維は補強材として作用
する。
熱圧加工時に表面に溶出するのを防ぎ、加工ロールへの
融着、汚れを防ぐものである。表面被覆のためだけであ
れば、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状
物単独でもよいが、中間層の成分にもよるが必要に応じ
て補強材としてポリメタフェニレンイソフタルアミドの
短繊維が配合される。熱圧加工前の表面層におけるポリ
メタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物と短繊維
との配合比率は、パルプ状物50〜100重量%、短繊
維0〜50重量%であり、表面層の坪量は5〜10g/
m2 の範囲が好ましい。短繊維の割合が50重量%を超
えると、中間層から表面層に浸透してくるポリエステル
がシート表面にまで達するおそれがあり、また、表面層
が5g/m2 より薄くなるとポリエステルの溶出を防止
できなくなり、加工ロール表面の汚れ、更にはロールへ
のシートの融着が生じ、加工ができなくなる。
で加熱加圧されるので、シートの両面に表面層が形成さ
れなければならない。2つの表面層は必ずしも同一でな
くてもよい。一方の表面層はポリメタフェニレンイソフ
タルアミドのパルプ状物のみからなり、もう一方の表面
層はポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物
と短繊維からなるものとすることもできる。
フェニレンイソフタルアミドのパルプ状物の2成分、或
いはポリエステル、ポリメタフェニレンイソフタルアミ
ドのパルプ状物とポリメタフェニレンイソフタルアミド
の短繊維の3成分からなる。
は、表面層の構成と、表面層/中間層/表面層の3層全
体の配合から決まるが、巻き付ける用途から坪量は最大
でも100g/m2 程度であり、20〜50g/m2 程
度が適切である。3層全体における成分の望ましい配合
は、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物
は30〜80重量%、ポリメタフェニレンイソフタルア
ミドの短繊維は10〜60重量%、ポリエステルの短繊
維は10〜60重量%である。
繊維は、結晶化度の高い短繊維で、熱圧加工時の熱変形
を抑える補強材として及び加工後のシートの熱収縮防止
の効果がある。3層全体で、ポリメタフェニレンイソフ
タルアミドの短繊維が10重量%未満の場合には熱収縮
防止の効果が低く、製品の熱収縮率を1.3%以下に保
持できないおそれがある。また、60重量%を超えると
空隙が多くなり絶縁破壊強度が低いものとなる。
ドのパルプ状物は、ガラス転移点付近の熱圧により軟
化、結晶化して、絶縁破壊強度を高める成分である。3
層全体でポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ
状物が30重量%より少ないと、絶縁破壊強度が低く電
気絶縁用途に使用するにはやや不満足なものとなる。
合した耐熱紙を目的としており、これにより低価格の耐
熱紙を提供できるが、ポリエステルは熱圧処理により溶
融流動して空隙を埋めることによって、絶縁破壊強度の
増強効果もある。3層全体の配合比率において、ポリエ
ステルが10重量%未満の場合には、少な過ぎてポリエ
ステルを配合する発明の意図が達成できないし、溶融流
動して空隙を埋める量としても少な過ぎて絶縁破壊強度
の増強効果も達成できない。
ルプ状物の望ましい上限値は、他の2成分の下限値がそ
れぞれ10%であるから、80%程度となる。また、ポ
リエステル成分は、上記他の2成分の下限値(ポリメタ
フェニレンイソフタルアミドの短繊維10%、フロック
30%)を考慮すると60%程度まで配合可能である。
メタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物とポリエ
ステルの2成分からなる形態においては、少なくとも一
方の表面層がポリメタフェニレンイソフタルアミドのパ
ルプ状物とポリメタフェニレンイソフタルアミドの短繊
維からなるものとする。ただし、表面層の片方は、ポリ
メタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物単独でも
よい。また、中心層がポリメタフェニレンイソフタルア
ミドのパルプ状物、ポリメタフェニレンイソフタルアミ
ドの短繊維とポリエステルの3成分からなる形態におい
ては、表面層はポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物単独からなるもの、或いは、ポリメタフェニ
レンイソフタルアミドのパルプ状物とポリメタフェニレ
ンイソフタルアミドの短繊維からなるものとすることが
できる。この形態においても、表面層の片方がポリメタ
フェニレンイソフタルアミドのパルプ状物単独からな
り、もう1方の表面層がポリメタフェニレンイソフタル
アミドのパルプ状物とポリメタフェニレンイソフタルア
ミドの短繊維とからなるものとすることもできる。
の原紙を組み合わせた多層構造の原紙は、熱圧カレンダ
ーを用いて連続的に熱圧加工される。カレンダーのロー
ル温度は、ポリエステルの融点以上で、ポリメタフェニ
レンイソフタルアミドのガラス転移温度に近い、即ち2
60℃〜290℃の範囲とする。290℃より温度が高
過ぎると、溶融したポリエステルの流動性が良くなり過
ぎて、ニップ開放後、逆にシートの厚さ方向への拡散が
生じ、密度が減少して絶縁破壊強度が低下する。より好
ましい温度範囲は、270〜280℃である。圧力は、
耐熱紙の密度、絶縁破壊強度、加工温度、加工速度を考
慮して、ロールニップ圧を調整するが、通常50Kg/
cm以上のニップ圧が用いられる。
90℃の範囲とすることにより、本発明に係る耐熱紙の
絶縁破壊強度の向上効果を示すものである。 〔実験例〕100mlCSFに調成したポリメタフェニ
レンイソフタルアミドのパルプ状物(デュポン社製ファ
イブリッド、以下、ファイブリッドと略す)の水性スラ
リーとポリメタフェニレンイソフタルアミドの短繊維
(デュポン社製フロック、2デニール、6mm繊維長、
以下、フロックと略す)の水性スラリーを各々70重量
%、30重量%の割合で混合した紙料から、TAPPI
式シートマシンで坪量10g/m2 の表面層用の湿紙を
作製した。
ポン社製フロックは、米国特許第3756908号など
に記載されている製法で製造されたものである。すなわ
ち、メタフェニレンジアミンとイソフタル酸塩化物とか
ら低温で遂行される反応によってポリメタフェニレンイ
ソフタルアミドが合成され、塩化物を含むN,N−ジメ
チルアセトアミド中に溶解してポリマー溶液として得る
ことができる。ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物を得るには、ポリメタフェニレンイソフタル
アミドを含むポリマー溶液を、米国特許第301809
1号に開示されているようなファイブリッド化装置に供
給し、沈澱剤組成物を用いて沈澱せしめる。ファイブリ
ッドは水洗後叩解される。また、ポリメタフェニレンイ
ソフタルアミドの短繊維は、ポリマー溶液から乾式紡糸
され、洗浄後、抽出延伸法によって延伸され、2デニー
ルのフィラメントが得られる。フィラメントは、6mm
のフロック長に切断される。
%と、延伸ポリエステル短繊維(帝人(株)製ポリエチ
レンテレフタレート、商品名帝人テピルスTAO4N、
1.5d×5mm)70重量%の割合で混合した紙料か
ら坪量20g/m2 の中間層用の湿紙を作製した。
紙の順に重ね合わせ、定法に従ってプレス脱水後、乾燥
して3層構造の坪量40g/m2 のシートを得た。この
3層シート全体の配合比率は、ファイブリッド/フロッ
ク/延伸ポリエステル短繊維が重量比で50/15/3
5である。
ールカレンダーを用い、線圧130kg/cm、加工速
度5m/minの条件下、ロール温度を230〜300
℃の範囲で変えて、熱圧加工した。この時、ポリエステ
ルの溶融による加工ロール表面への融着や汚れは全く見
られなかった。
縁破壊電圧(kv/mm)は、昇圧速度100V/秒で
直径5mmの電極を用いて測定した。熱圧加工温度(ロ
ール表面温度)に対するシートの絶縁破壊電圧の値の変
化を示す折れ線グラフを図1に実線で示した。尚、参考
のため、ファイブリッドの配合率がほぼ等しい市販のア
ラミド紙( デュポン社製ノーメックス2/410〈登
録商標〉)について上記と同様の測定方法で測定した絶
縁破壊電圧を点線で示した。
℃以上から絶縁破壊電圧の上昇が見られ、260℃以上
では、ポリエステルを含まない市販のアラミド紙よりも
絶縁破壊電圧が高くなり、ポリエステル繊維の溶融によ
る絶縁破壊電圧の増強効果が認められた。これは、ポリ
メタフェニレンイソフタルアミドのガラス転移点付近の
熱圧により、ファイブリッドが変形し空隙を埋めたこと
に、ポリエステルの溶融流動による空隙の充填効果が加
わったためと考えられる。270〜280℃でピークを
示した後、更に加工温度が高くなると、溶融したポリエ
ステルの流動性が良くなりすぎ、ニップ開放後、逆にシ
ートの厚さ方向への拡散が起きたものと考えられる厚さ
の増加、密度の減少が見られ、絶縁破壊電圧も低下し始
める。290℃を超えると市販のアラミド紙よりも絶縁
破壊電圧が低くなる。
メタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物は、軟
化、結晶化し、中間層においてネットワークを形成す
る。中間層にポリメタフェニレンイソフタルアミドの短
繊維が含有されている場合には、ポリメタフェニレンイ
ソフタルアミドのパルプ状物と短繊維によるネットワー
クが形成される。中間層中のポリエステルは、溶融流動
して、これらのネットワークの空隙を埋めマトリクスと
なる。表面層がポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物のみからなる場合には、そのフィルム小片状
のパルプ状物が積層された緻密な構造の表面層内には溶
融したポリエステルは浸透し難く、表面層にポリエステ
ルがほとんど含有されず、ポリエステルは中間層のみに
存在する構造となる。表面層が、ポリメタフェニレンイ
ソフタルアミドのパルプ状物と短繊維からなる場合は、
中間層から溶融流動化したポリエステルが流入して固化
する。厚さ方向でシートの中心から表面に拡散した状
態、即ち、ポリエステルは厚さ方向でシートの中心に向
かって含有率が高くなるように含有された構造となる。
表面層中のポリメタフェニレンイソフタルアミドの短繊
維の割合が多いほど空隙が増し、ポリエステルの流入量
が増加するが、前記したように表面層ではポリメタフェ
ニレンイソフタルアミドの短繊維が50重量%以内、坪
量5g/m2 以上とすれば、ポリエステルはシートの外
部表面までは到達せず表面には存在しない。
ミドのパルプ状物(ファイブリッド)は離解後、リファ
イナーを用いて叩解後、希釈して紙料とする。ポリメタ
フェニレンイソフタルアミドの短繊維(フロック)は水
に分散後、希釈して紙料とする。ポリエステル短繊維は
水に分散後、希釈して紙料とする。
フロックの各紙料からファイブリッド50〜100重量
%、フロック0〜50重量%となるように混合紙料を調
成し、坪量5〜10g/m2 の範囲で作製する。
ポリエステル短繊維の2つの紙料から、或いは上記ファ
イブリッド、フロック、ポリエステル短繊維の3つの紙
料から混合紙料を調成し、坪量20〜50g/m2 程度
の範囲で作製する。この際、表面層/中間層/表面層の
3層全体の配合量が、ファイブリッド30〜80重量
%、フロック10〜60重量%、ポリエステル短繊維1
0〜60重量%の範囲内となるように調成する。3層全
体の坪量は、40〜70g/m2 程度とする。
重ね合わせ、加圧脱水した後乾燥し、3層抄き合わせ紙
を作製し、熱圧加工用の原紙とする。この原紙をロール
温度260〜290℃、線圧100〜300kg/c
m、巻取り速度1〜50m/分で熱圧加工することによ
り本発明にかかる耐熱紙を得ることができる。
溶融し中間層中でマトリクス化する。表面層がフロック
を含む場合は、ポリエステルの一部は表面層中に流入
し、冷却によって固化する。表面層がファイブリッドの
みからなり、フロックを含まない場合には、中間層のポ
リエステルが溶融しても表面層中にはほとんど流入しな
い。
物が耐熱紙表面には存在せず厚さ方向で中心に向かって
含有率が高くなるように含有されてなり、電気絶縁破壊
強度が18kv/mm以上、260℃における熱収縮率
が1.3%以下であることを特徴とする耐熱紙が得られ
る。上記のようにして得られた耐熱紙は、電気絶縁破壊
強度と寸法安定性がともに優れ、F種耐熱性が要求され
る用途の絶縁材として使用することができる。
る。絶縁破壊強度(絶縁破壊電圧)は、昇圧速度100
V/秒で直径5mmの電極を用いて測定した。また、熱
収縮率(%)は、2インチ×8インチのサンプルの中心
に6インチ長さの基準線を引き、25gの加重をかけ
て、260℃の熱風乾燥機中に45分間放置した後、取
り出して冷却後、基準線の長さを測定することによって
求めた。
て前記実験例で用いたのと同じデュポン社製ファイブリ
ッド(以下、ファイブリッドと略す)、ポリメタフェニ
レンイソフタルアミドの短繊維として前記実験例で用い
たのと同じデュポン社製フロック(以下、フロックと略
す)を用いた。ファイブリッドは離解後、リファイナー
を用いてカナダ標準濾水度(CSF)100mlに叩解
後、希釈して紙料とした。フロックは水に分散後、希釈
して紙料とした。ポリエステル短繊維として市販の延伸
ポリエステル繊維(帝人(株)製ポリエチレンテレフタ
レート、商品名帝人テピルスTAO4N、1.5d×5
mm)を水に分散後、希釈して紙料とした。
配合比を変えて表1に示す各実施例毎の混合紙料を調成
し、TAPPI標準形シートマシンで、坪量5〜10g
/m2 の範囲で表面層用の湿紙を作製した。別途、上記
ファイブリッド、フロック、ポリエステル短繊維の各紙
料の配合比を変えて表1に示す各実施例毎の混合紙料を
調成し、上記シートマシンで、坪量20〜45g/m2
の範囲で中間層用の湿紙を作製した。
重ね合わせ、加圧脱水した後、105℃で乾燥し、表1
に示す実施例1〜6の3層抄き合わせ紙を得た。抄き合
わせ紙の坪量は、40〜60g/m2 であり、これらを
熱圧加工用の原紙とした。この原紙をロール温度270
℃、線圧250kg/cm、巻取り速度3m/分で熱圧
加工し、ポリエステルを含有する3層構造のアラミド紙
を得た。熱圧加工の際に熱加工ロールに融着することな
く加工できた。
ずれも18kv/mm以上の高い絶縁破壊電圧を示し、
熱収縮率1.3%以下の優れた寸法安定性を示した。
じものを使用し、ポリエステル短繊維として、未延伸ポ
リエステル繊維((株)クラレ製商品名クラレEP−2
01、2d×5mm)を使用し、各紙料の配合比を変え
て表2に示す比較例1〜4の混合紙料を調成し、TAP
PI標準形シートマシンで、坪量40〜60g/m2 の
単層の原紙を作製した。この原紙を表面温度200℃、
線圧250kg/cm、巻取り速度3m/分で熱圧加工
し、ポリエステル含有アラミド紙を得た。
クの配合は、実施例1〜4の3層全体の配合に対応する
ものである。得られたアラミド紙の特性を表2に示し
た。
レスタイプのバインダー用途等に使用されるもので、融
点は約250℃であるが、200℃の熱圧で熱変形しや
すい特徴をもっている。1層構造のため、ポリエステル
のロールへの付着、融着等の問題で、加工可能な温度は
230℃が限界であったが、加工温度200℃が最も密
度が高く、絶縁破壊電圧も最も高い値を示し良好であっ
た。しかしながら、1層構造のシートの場合、アラミド
ファイブリッド結晶化温度付近の温度(275℃)で加
工できないため、比較例1〜4の耐熱紙の熱収縮率はい
ずれも1.3%より大きいもので実施例の耐熱紙に較べ
ると、寸法安定性が著しく劣っていた。
用いて、ポリエステル短繊維を配合せず、表3に示す混
合紙料を調成し、TAPPI標準形シートマシンで、坪
量40〜60g/m2 の単層の原紙を作製した。この原
紙を表面温度280℃、線圧250kg/cm、巻取り
速度3m/分で熱圧加工し、アラミド紙を得た。得られ
たアラミド紙の特性を表3に示した。
ステル繊維を用いて、表1に示す配合比で、表面層、中
間層の湿紙を作製し、実施例と同様に3層抄き合わせ紙
としてから表面温度270℃、線圧250kg/cm、
巻取り速度3m/分で熱圧加工して、ポリエステル含有
アラミド耐熱紙を得た。得られた耐熱紙の特性を表1
に、実施例とともに示した。
いので、熱圧処理温度を高くすることができ、ファイブ
リッドが結晶化できるため、熱収縮率が小さく、寸法安
定性の優れたものが得られた。比較例5〜8より、ファ
イブリッドの量が少なくフロックの量が多いほど熱収縮
率は小さくなるが、絶縁破壊強度が低下し、逆に、ファ
イブリッドの量が多くフロックの量が少ないほど、絶縁
破壊強度が向上するが、熱収縮率は大きくなることがわ
かる。
下とするためのフロック配合量の下限値は10%程度で
あることが判る。フロック配合量が10%に満たない比
較例9では、熱収縮率が1.3%を超え寸法安定性の乏
しいものとなる。
をそれぞれ比較すると、ファイブリッドの量が同じで
も、ポリエステルを10%配合することにより、実施例
のものは比較例のものより絶縁破壊電圧が上昇してお
り、ポリエステルの配合による絶縁破壊強度の増強が確
認される。ポリエステル成分を配合した製品を得ること
を目的とする本発明の意図からも、ポリエステルによる
空隙充填効果を得るためにもポリエステルを10%程度
以上の配合が望ましい。従って、ポリエステル含有製品
においては、ファイブリッドの配合量の望ましい上限値
は他の2成分の下限値から80%程度となる。
電圧を18〜20kv/mm以上とするためには、ファ
イブリッドの配合は30%程度以上、フロックの配合
は、60〜70%以下とすることが必要であるが、ポリ
エステルを10%以上配合する本発明の場合は、フロッ
ク配合量は60%以下とするのが望ましい。
から、ポリエステルは60%程度まで配合することがで
きる。ただし、実施例1より、ファイブリッドが下限値
の30%であっても、ポリエステルの配合による絶縁破
壊強度の増強効果により、絶縁破壊電圧が18kv/m
mよりかなり上回っているので、実施例1においてファ
イブリッドが30%よりやや少なく、ポリエステルが6
0%よりやや多くても絶縁破壊電圧が18kv/mm以
上の製品が得られる可能性があり、寸法安定性は、フロ
ック10%の配合により確保される。
は、表面層と中間層の双方にフロックを配合させなけれ
ばならないが、ファイブリッドが紙料中に20%以上配
合されていれば、抄紙する上でなんら問題がない、フロ
ックの配合量が多い実施例5は非常に優れた寸法安定性
を示した。
リエステル成分が存在しないように構成されているの
で、ポリエステルの融点以上、ポリメタフェニレンイソ
フタルアミドのパルプ状物の結晶化可能温度付近で熱圧
加工しても、加工ロールへの融着トラブル等の発生が皆
無であり、ポリエステルを配合したアラミド紙であって
も絶縁破壊強度が高く、寸法安定性に優れた耐熱紙を提
供することができる。
紙の熱圧加工温度に対する絶縁破壊電圧の値の変化を示
すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物と、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
短繊維と、繊維状態から溶融固化したポリエステル化合
物とから成る耐熱紙において、ポリエステル化合物が耐
熱紙表面には存在せず厚さ方向で中心に向かって含有率
が高くなるように含有されて成り、電気絶縁破壊強度が
18kv/mm以上、260℃における熱収縮率が1.
3%以下であることを特徴とする耐熱紙。 - 【請求項2】 ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物とポリエステル短繊維からなる中間層の片面
に、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物
とポリメタフェニレンイソフタルアミドの短繊維からな
る表面層が積層され、もう一方の面に、ポリメタフェニ
レンイソフタルアミドのパルプ状物からなる表面層また
はポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状物と
ポリメタフェニレンイソフタルアミドの短繊維とからな
る表面層が積層されて成るシートが260℃以上290
℃以下の温度で熱圧加工されて成り、電気絶縁破壊強度
が18kv/mm以上、260℃における熱収縮率が
1.3%以下であることを特徴とする耐熱紙。 - 【請求項3】 ポリメタフェニレンイソフタルアミドの
パルプ状物、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの短
繊維およびポリエステル短繊維からなる層の両面それぞ
れに、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのパルプ状
物からなる表面層またはポリメタフェニレンイソフタル
アミドのパルプ状物とポリメタフェニレンイソフタルア
ミドの短繊維とからなる表面層が積層されて成るシート
が260℃以上290℃以下の温度で熱圧加工されて成
り、電気絶縁破壊強度が18kv/mm以上、260℃
における熱収縮率が1.3%以下であることを特徴とす
る耐熱紙。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31702695A JP3782842B2 (ja) | 1995-11-13 | 1995-11-13 | 耐熱紙 |
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JPH09139113A true JPH09139113A (ja) | 1997-05-27 |
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Family
ID=18083602
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JP31702695A Expired - Lifetime JP3782842B2 (ja) | 1995-11-13 | 1995-11-13 | 耐熱紙 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3782842B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1995
- 1995-11-13 JP JP31702695A patent/JP3782842B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPWO2018230391A1 (ja) * | 2017-06-15 | 2020-04-16 | 東レ株式会社 | メタアラミドとポリフェニレンサルファイドとを含む湿式不織布およびその積層シート |
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