JP2001240381A - ブーム伸縮用シリンダの保持圧補償装置 - Google Patents

ブーム伸縮用シリンダの保持圧補償装置

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JP2001240381A
JP2001240381A JP2000051541A JP2000051541A JP2001240381A JP 2001240381 A JP2001240381 A JP 2001240381A JP 2000051541 A JP2000051541 A JP 2000051541A JP 2000051541 A JP2000051541 A JP 2000051541A JP 2001240381 A JP2001240381 A JP 2001240381A
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Masayuki Motoyoshi
正之 本吉
Yoshio Seto
良男 瀬戸
Masaji Yamakawa
政次 山川
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Kato Works Co Ltd
Kato Seisakusho Co Ltd
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Kato Works Co Ltd
Kato Seisakusho Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クレーンの作業状態に応じた適正な圧力補償を
行なって、ブーム伸縮用シリンダの伸長状態を確実に保
持することができる保持圧補償装置の提供を目的として
いる。 【解決手段】本発明の保持圧補償装置は、シリンダ31
の保持圧を補償するための補償圧を生成してこれをシリ
ンダ31に供給する補償圧生成部42と、補償圧生成部
の供給動作を制御する制御部71と、クレーン装置の作
業状態に関する情報を制御部71に入力する入力手段7
3と、シリンダ31内の圧力を検出してその情報を制御
部71に出力するセンサ61とを具備し、制御部71
は、クレーン作業状態に応じたシリンダ31の理論保持
圧のデータを記憶する記憶部と、入力手段73からの情
報に基づいてそのクレーン作業状態に対応する理論保持
圧を前記記憶部に記憶されているデータの中から検索演
算する演算部とを備えシリンダ31内圧力が検索演算さ
れた理論保持圧に維持されるように補償圧生成部42の
供給動作を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クレーン装置のブ
ームを伸縮させるブーム伸縮用シリンダのために設けら
れ、このブーム伸縮用シリンダの伸長状態を保持する保
持圧を補償するための保持圧補償装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、クレーン装置の伸縮式ブーム
は、これに内蔵された油圧シリンダ(以下、ブーム伸縮
用シリンダという。)によって多段式に伸縮動作され
る。そのため、伸縮式ブームによって荷を吊り上げた状
態では、伸縮式ブームを通じてブーム伸縮用シリンダに
も負荷が作用する。
【0003】また、伸縮式ブームの摺動部分には、ブー
ム伸縮時の動作抵抗を少なくするためのスライド板(ス
ライディングパッド)が設けられており、伸縮式ブーム
の伸縮動作が停止されている際には、ブーム伸縮用シリ
ンダに供給された作動油(圧油)による保持圧とスライ
ド板による摩擦抵抗とによって伸縮式ブームの伸長状態
が保持される。
【0004】ところで、作業中において、大きな負荷が
作用したまま伸縮式ブームが所定の伸長状態に長時間保
持されている場合、すなわち、ブーム伸縮用シリンダに
対する作動油の供給が停止されて所定の保持圧でブーム
伸縮用シリンダのロッドの伸長状態が長時間保持されて
いる場合には、ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャン
バ(負荷保持側(伸長側)油室)内から圧油供給回路へ
作動油が漏れたり、ヘッド側チャンバ内の作動油の温度
が低下したりすることによって、ヘッド側チャンバ内の
作動油の体積が減少して保持圧が低下し、負荷(吊り荷
やブーム等の重量)に押されて或いは伸縮式ブームの起
上操作に伴ってブーム伸縮用シリンダ(したがって、伸
縮式ブーム)が縮んでしまうことがある。
【0005】このような動きは、前記スライド板の摩擦
抵抗による負荷の保持限度分を超えてブーム伸縮用シリ
ンダの保持圧が減少した時に生じるため、時間間隔をお
いて少しづつ突発的に発生し、また、大きな衝撃を伴う
ことがある。こうした傾向がブーム伸縮用シリンダに頻
発すると、伸縮式ブームによって吊り上げられている吊
り荷が降下するため、特に、吊り荷を吊ったままで行な
う溶接や組み立て作業あるいは吊り荷の心合わせ作業に
支障を来たしてしまう。
【0006】そこで、このような比較的長時間負荷を担
持する必要があるブーム伸縮用シリンダには、その保持
圧を補償するための保持圧補償装置が求められるように
なってきている。
【0007】前記保持圧補償装置は、例えば特公平4−
20084号公報に開示されている。この公報に開示さ
れている装置では、ブーム伸縮用シリンダの伸縮動作が
停止されている状態で、ブーム伸縮用シリンダのヘッド
側チャンバの圧力低下に伴ってロッド側チャンバ(反負
荷保持側(収縮側)油室)の圧力が低下し、その圧力が
所定値以下になると、圧油補給回路に介装された開閉弁
が開き、ロッド側チャンバの内圧が所定の圧力値になる
まで圧油補給回路からヘッド側チャンバに圧油が補給さ
れる。
【0008】また、特公平4−65245号公報に開示
されている保持圧補償装置では、ブーム伸縮用シリンダ
の伸縮動作が停止された時点からタイマーが起動され、
所定のパルス幅およびパルス間隔の電気信号が圧油補給
回路に介装された電磁弁に出力されるとともに、この出
力に伴う前記電磁弁の繰り返しの弁切換によって、所定
の時間間隔で適量の圧油がブーム伸縮用シリンダのヘッ
ド側チャンバに常時供給される。
【0009】また、特開平9−216786号公報に開
示されている保持圧補償装置は、クレーン装置に対する
過負荷を防止してクレーン装置の転倒を防止する過負荷
防止装置(転倒防止装置)からの制御信号によって動作
される。具体的には、保持圧補償装置は、ブーム伸縮用
シリンダのヘッド側チャンバに圧油を供給する圧油供給
回路に接続された圧油補給回路と、この圧油補給回路に
設けられた電磁比例減圧弁とを備えている。また、前記
過負荷防止装置は、ブームの長さや角度、吊り荷の重量
等のクレーン作業状態を検出するための複数のセンサ
と、これら各センサからの検出信号に基づいてブーム伸
縮用シリンダ等の作業用アクチュエータの作動を過負荷
防止方向に制御するコントローラとによって構成されて
いる。そして、ブーム伸縮用シリンダの初期の保持圧を
維持するために、前記コントローラは、前記各センサか
らの情報に基づいてブーム伸縮用シリンダのヘッド側チ
ャンバの圧力を演算し、この演算値に基づいて前記圧油
補給回路の電磁比例減圧弁に制御信号を出力するととも
に、電磁比例減圧弁は、コントローラから出力される前
記制御信号によって二次圧が変化する。
【0010】また、特開平11−139766号公報に
開示されている保持圧補償装置は、ブーム伸縮用シリン
ダのヘッド側チャンバの圧力を常時検出する圧力センサ
と、ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバに圧油を
供給する圧油供給回路に接続された圧油補給回路と、こ
の圧油補給回路に設けられた電磁比例減圧弁と、前記圧
力センサからの検出情報に基づいて前記電磁比例減圧弁
の作動を制御するコントローラとを備えている。この場
合、コントローラは、圧力センサによって検出されたブ
ーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバの初期の保持圧
を記憶するとともに、その後に圧力センサによって検出
されるヘッド側チャンバの実際の圧力を記憶された初期
の保持圧と比較してその差を計算し、ブーム伸縮用シリ
ンダの初期の保持圧が維持されるように電磁比例減圧弁
の作動を制御して圧油補給回路からヘッド側チャンバに
圧油を補給する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、ブ
ーム伸縮用シリンダの伸長状態を保持するために必要な
保持圧(ヘッド側チャンバ内圧)は、ブームの長さや角
度、吊り荷の重量、ブームの動作抵抗、ブーム伸縮シリ
ンダの摩擦抵抗等のクレーンの作業状態によって異なっ
てくる。しかしながら、特公平4−20084号公報に
開示されている保持圧補償装置では、こうしたクレーン
の作業状態が考慮されていない。すなわち、ブーム伸縮
用シリンダのチャンバ内圧力が予め決められた値以下に
なると、クレーンの作業状態とは無関係に、圧油補給回
路からの圧力補償が一律に行なわれる。しかも、負荷保
持側油室であるヘッド側チャンバではなくその反対側の
ロッド側チャンバ内の圧力値に基づいてヘッド側チャン
バへの圧力補償を行なっているため、正確な圧力補償を
行なうことは難しく、補償圧が必要保持圧を上回って過
補償となり、ブーム伸縮用シリンダのロッドが伸長して
しまう虞がある。
【0012】また、特公平4−65245号公報に開示
されている保持圧補償装置では、ブーム伸縮用シリンダ
の伸長状態を保持するために必要な保持圧と、電磁弁に
出力される電気信号のパルス幅およびパルス間隔との関
係が明確にされておらず、クレーンの作業状態とは無関
係に、ヘッド側チャンバ内に一定の時間間隔で圧油が常
時補給され続ける。すなわち、この公報の技術において
も、クレーンの作業状態は全く考慮されていない。しか
も、ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧を検
知するためのセンサも設けられていないため、保持圧の
変化を電磁弁に出力する電気信号に反映させることがで
きない。そのため、適正な圧力補償を行なうことが困難
であり、過補償もしくは亜補償になる虞がある。
【0013】また、特開平9−216786号公報に開
示されている保持圧補償装置では、圧力センサによって
ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内の圧力が実
測されるのではなく、過負荷防止装置から得られるクレ
ーンの作業状態の情報に基づいてブーム伸縮用シリンダ
のヘッド側チャンバの圧力が理論値として演算され、そ
の演算値に基づいて圧力補償が行なわれるため、演算値
がヘッド側チャンバ内の実際の圧力と異なることは避け
られず、ブーム伸縮用シリンダの伸長状態を確実に保持
する(初期の保持圧を維持する)ことが難しい。また、
クレーンの作業状態の情報は、ヘッド側チャンバ内の圧
力の理論値を算出するためにのみ使用され、クレーンの
作業状態に応じた適正な保持圧(ブーム伸縮用シリンダ
が伸縮しない保持圧)を維持する正確な圧力補償を行な
うために使用されてはいない。したがって、クレーンの
作業状態の情報が圧力補償に直接且つ有効に反映されて
いるとは言い難い。
【0014】また、特開平11−139766号公報に
開示されている保持圧補償装置では、ブーム伸縮用シリ
ンダの停止直後のヘッド側チャンバ圧力が初期の保持圧
として記憶され、この記憶された初期の保持圧が常時維
持されるように、その後のヘッド側チャンバ圧力が制御
される。しかし、クレーンの作業状態(ブーム角度や負
荷)がその後に変化した場合には、記憶された圧力値が
保持圧として適性でなくなる場合があり、その場合に
は、ブーム伸縮用シリンダの伸長状態を保持することが
できなくなる虞がある。
【0015】本発明は前記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、クレーンの作業状態
に応じた適正な圧力補償を行なって、ブーム伸縮用シリ
ンダの伸長状態を確実に保持することができる保持圧補
償装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、クレーン装置のブームを伸縮させるブー
ム伸縮用シリンダの伸長状態を保持する保持圧を補償す
るための保持圧補償装置において、前記保持圧を補償す
るための補償圧を生成してこれを前記ブーム伸縮用シリ
ンダのヘッド側チャンバに供給する補償圧生成部と、前
記補償圧生成部による補償圧の供給動作を制御する制御
部と、前記クレーン装置の作業状態に関する情報を前記
制御部に入力するクレーン情報入力手段と、前記ブーム
伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内の圧力を検出して
その検出情報を前記制御部に出力する圧力センサとを具
備し、前記制御部は、クレーン装置の作業状態に応じた
ブーム伸縮用シリンダの理論保持圧のデータを記憶する
記憶部と、前記クレーン情報入力手段からのクレーン情
報に基づいてそのクレーン作業状態に対応する理論保持
圧を前記記憶部に記憶されているデータの中から検索演
算する演算部とを備え、前記圧力センサから出力される
ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧力の実測
値と検索演算によって得られた理論保持圧とを比較し、
ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧力が検索
演算された理論保持圧に維持されるように、補償圧生成
部による補償圧の供給動作を制御することを特徴とす
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
一実施形態について説明する。
【0018】図4には、本実施形態に係るブーム伸縮用
シリンダの保持圧補償装置が適用されるクレーン車2が
示されている。図示のように、クレーン車2の旋回台3
上には伸縮式ブーム1が設置されている。また、伸縮式
ブーム1は、5つのブーム10,11,12,13,1
4をテレスコープ状に組み付けることによって構成され
ている。すなわち、伸縮式ブーム1は、最も基端側(下
側)に位置する1段ブーム10と、1段ブーム10内に
突没可能に収納された2段ブーム11と、2段ブーム1
1内に突没可能に収納された3段ブーム12と、3段ブ
ーム12内に突没可能に収納された4段ブーム13と、
4段ブーム13内に突没可能に収納された最先端の5段
ブーム14とからなる。また、伸縮式ブーム1は、1段
ブーム10と旋回台3との間に架設された起伏用シリン
ダ20によって起伏動作される。
【0019】1段ブーム10と2段ブーム11との間に
は油圧作動の第1のブーム伸縮用シリンダ30(図1参
照)が架設されている。この場合、第1のブーム伸縮用
シリンダ30のシリンダ部が2段ブーム11の内側に固
定されるとともに、ロッド部の先端が1段ブーム10の
基端部内側に固定されており、第1のブーム伸縮用シリ
ンダ30の伸縮動作によって2段ブーム11が1段ブー
ム10に対して進退(伸縮動作)されるようになってい
る。
【0020】また、同様の形態で、2段ブーム11と3
段ブーム12との間にも第2のブーム伸縮用シリンダ3
1(図1および図2参照)が架設されており、この第2
のブーム伸縮用シリンダ31の伸縮動作によって、3段
ブーム12が2段ブーム11に対して進退(伸縮動作)
されるようになっている。一方、4段ブーム13および
5段ブーム14は、ブーム12,13,14間で掛け廻
されたワイヤロープの牽引動作によって進退(伸縮動
作)されるようになっている。すなわち、ブーム12〜
14間でワイヤロープを掛け廻し、第2のブーム伸縮シ
リンダ31によって伸縮する3段ブーム12の伸縮動作
を利用して前記ワイヤロープを牽引することにより、ワ
イヤロープに繋がれた4段および5段ブーム13,14
を伸縮せしめるようになっている。つまり、第2のブー
ム伸縮用シリンダ31は、言わば、その伸縮動作をワイ
ヤロープによって増幅することにより、第3〜第5の3
段のブーム12,13,14を同時に伸縮させることが
できる。
【0021】ところで、このように1本のブーム伸縮用
シリンダ31の伸縮をワイヤロープによって3段のブー
ム12,13,14の伸縮に利用する構成では、所定の
伸長状態(所定の保持圧)に保持された第2のブーム伸
縮用シリンダ31が、そのヘッド側チャンバ内の作動油
の体積減少に伴って収縮すると、その略3倍の収縮量で
ブーム1が収縮することになる。すなわち、第2のブー
ム伸縮用シリンダ31の突発的な収縮(寸落)に伴うブ
ーム1の収縮量は、第1のブーム伸縮用シリンダ30の
収縮に伴うブーム1の収縮量の略3倍であり、第2のブ
ーム伸縮用シリンダ31の収縮がブーム1に与える影響
すなわちクレーン作業に与える影響は、第1のブーム伸
縮用シリンダ30の収縮が与える影響に比べてはるかに
大きい。そのため、本実施形態では、特に第2のブーム
伸縮用シリンダ31に対して、その伸長状態を保持する
保持圧を補償するための保持圧補償装置が設けられてい
る。以下、この保持圧補償装置を含む油圧回路の構成に
ついて詳細に説明する。
【0022】図1に示されるように、第1および第2の
ブーム伸縮用シリンダ30,31には、これらに作動油
(圧油)を供給するための圧油供給回路40が接続され
ている。圧油供給回路40は、第1および第2のブーム
伸縮用シリンダ30,31の伸縮動作を制御する伸縮コ
ントロール回路45を有している。伸縮コントロール回
路45は、油圧源としての油圧ポンプPから延びる吐出
管路50と、タンクTに通じる戻し管路51と、第1お
よび第2のブーム伸縮用シリンダ30,31を収縮させ
るために使用される収縮用管路52と、第1および第2
のブーム伸縮用シリンダ30,31を伸長させるために
使用される伸長用管路53とを有している。これら4つ
の管路50,51,52,53は、方向切換弁としての
コントロールバルブ54に接続されており、このコント
ロールバルブ54によって互いの連通状態が制御され
る。
【0023】収縮用管路52は第1のブーム伸縮用シリ
ンダ30のロッド側チャンバに接続されている。また、
第1のブーム伸縮用シリンダ30のロッド側チャンバ
は、接続管路49を介して第2のブーム伸縮用シリンダ
31のロッド側チャンバに接続されている。
【0024】また、伸長用管路53は、セレクタバルブ
57を介して、第1および第2の伸長用管路部55,5
6に接続されている。第1の伸長用管路部55は第1の
ブーム伸縮用シリンダ30のヘッド側チャンバに接続さ
れている。また、第2の伸長用管路部56は第2のブー
ム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャンバに接続されて
いる。また、セレクタバルブ57は、伸長用管路53を
いずれか一方の伸長用管路部55,56に接続し、伸縮
させるべきシリンダを第1および第2のブーム伸縮用シ
リンダ30,31間で切り換える。
【0025】なお、第2の伸長用管路部56は、2段ブ
ーム11の伸縮動作に伴う第2のブーム伸縮用シリンダ
31の移動に追従できるように、ホースリール60に巻
回されて伸縮自在となっている。また、各ブーム伸縮用
シリンダ30,31には、カウンタバランス弁58,5
9が取り付けられている。
【0026】図2に詳しく示されるように、第2のブー
ム伸縮用シリンダ31の伸長状態を保持する保持圧を補
償するための保持圧補償装置は、第2の伸長用管路部5
6の途中に接続された補償圧生成回路(補償圧生成部)
42と、補償圧生成回路42の後述する電磁弁67,6
9(図1参照)に制御信号を出力する制御部71と、制
御部71にクレーン情報を入力するクレーン情報入力手
段としての例えばクレーン転倒防止装置73と、第2の
ブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャンバの圧力を
検知してその検知信号を制御部71に出力する圧力セン
サ61とからなる。
【0027】転倒防止装置73は、クレーンの作業状態
を検出するための複数のセンサ(図示せず)からの検出
信号に基づいて、ブーム伸縮用シリンダ30,31等の
作業用アクチュエータの作動を過負荷防止方向(転倒防
止方向)に制御し、車体がバランスを崩して転倒してし
まうことを防止する。この場合、前記センサから転倒防
止装置73に常時入力されるクレーン情報は、吊上荷
重、ブーム1の角度や長さ、フック掛数、各種レバーの
操作状態等を含んでおり、これらのクレーン情報が転倒
防止装置73を介して制御部71側にも常時入力される
ようになっている。なお、本実施形態において、転倒防
止装置73によるブーム伸縮用シリンダ30,31の動
作制御は、転倒防止装置73からの制御信号を受けて動
作するセレクタバルブ57を介して行なわれる。
【0028】制御部71は記憶部を有している。この記
憶部には、クレーンの作業状態に応じた第2のブーム伸
縮用シリンダ31の適正な保持圧がデータとして記憶さ
れている。すなわち、第2のブーム伸縮用シリンダ31
が伸縮しない保持圧の範囲(許容できる伸縮が生じる範
囲も含む)がクレーンの作業状態毎に制御部71に記憶
されている。図5にそのようなデータの一例が示されて
いる。
【0029】図5に示されるデータは、ブーム1によっ
て吊り上げられる荷重と第2のブーム伸縮用シリンダ3
1が伸縮しない保持圧(第2のブーム伸縮用シリンダ3
1のヘッド側チャンバ内圧力)との関係をブーム1の起
伏角度毎に記録した実測値である。この場合、保持圧
は、第2のブーム伸縮用シリンダ31が伸縮しない上限
値と下限値とに分けて記録されており、保持圧が上限値
と下限値との間の一定の幅内に収まっている限り、第2
のブーム伸縮用シリンダ31は伸縮しない。具体的に
は、例えばブーム1の起伏角度がθ1で且つ吊上荷重が
W6である場合、第2のブーム伸縮用シリンダ31は、
保持圧がP1〜P2の範囲内に収まっている限り、伸縮
動作しない。これは、ブーム1の摺動部分に設けられた
スライド板の摩擦抵抗がシリンダ31の保持圧の減少を
ある一定の範囲(上限値と下限値との間の範囲)でカバ
ーしているためである。
【0030】なお、図5には、ブーム1の起伏角度がθ
1、θ2、θ3についてのみ示されているが、適正な保
持圧を確保できる起伏角度間隔をもって且つ各起伏角度
毎に、保持圧と吊上荷重との関係データが記憶されてい
ることは言うまでもない。また、図6には、ブーム1の
先端に取り付けられたジブ(図示せず)を介して荷を吊
り上げた場合における保持圧と吊上荷重との関係データ
が示されており、このデータも併せて制御部71に記憶
されている。無論、この場合も、ブーム1の起伏角度が
θ1、θ2、θ3についてのみ示されているが、適正な
保持圧を確保できる起伏角度間隔をもって保持圧と吊上
荷重との関係データが記憶されていることは言うまでも
ない。
【0031】また、制御部71は演算部を有している。
この演算部は、クレーン転倒防止装置73からのクレー
ン情報に基づいて現在のクレーンの作業状態を認識し、
そのクレーン作業状態において適正な保持圧すなわち理
論保持圧を前記記憶部に記憶されているデータの中から
検索演算する。そして、制御部71は、圧力センサ61
から送られてくる第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘ
ッド側チャンバ内圧力の実測値と検索演算によって得ら
れた前記理論保持圧とを比較し、第2のブーム伸縮用シ
リンダ31のヘッド側チャンバ内圧力が前記理論保持圧
に維持される(例えば図5または図6に示される保持圧
の上限値と下限値との間の一定の範囲内に維持される)
ように、制御信号を補償圧生成回路42に出力して補償
圧生成回路42の動作を制御する。
【0032】なお、制御部71は、第2のブーム伸縮用
シリンダ31が伸縮動作している最中においては、補償
圧生成回路42(具体的には、後述する電磁弁67,6
9)に制御信号を出力しない。また、制御部71は、第
2のブーム伸縮用シリンダ31が伸長状態にある時にの
み制御信号を補償圧生成回路42に出力する。また、制
御部71は、エンジンが駆動して油圧が供給できる状態
を検知し且つクレーン転倒防止装置73が正常に動作し
ていることを検知した場合にのみ、制御信号を出力す
る。
【0033】また、保持圧補償制御の必要性は、季節や
地域(温度の影響)、或いは、クレーンの作業形態(ブ
ーム1の伸長状態を長い時間保持する必要がある作業
や、ブーム1の伸縮が頻繁に行なわれる作業など)等に
よって異なるため、本実施形態においては、補償圧生成
回路42に対する制御部71からの制御信号の出力を強
制的に停止させるための選択スイッチ72が設けられて
いる(図2参照)。この場合、選択スイッチ72が例え
ばONされた状態では、制御部71から補償圧生成回路
42への制御信号の出力がなされず、保持圧補償制御が
行なわれない。一方、選択スイッチ72が例えばOFF
された状態では、第2のブーム伸縮用シリンダ31が伸
長状態に保持されている限り、制御部71から補償圧生
成回路42への制御信号の出力が可能であり、保持圧補
償制御が行なわれる。
【0034】図1に示されるように、補償圧生成回路4
2は、自動チャージ方式のガスプラダ型アキュムレータ
43と、アキュムレータ43から吐出される圧油を増圧
するための増圧回路44とを有している。
【0035】増圧回路44は、増圧シリンダ70と、一
対の電磁弁67,69とを有している。増圧シリンダ7
0は、差動ピスント75を備えており、受圧面積が小さ
い差動ピストン75の一端側に通じる第1の入力部70
aと受圧面積が大きい差動ピストン75の他端側に通じ
る第2の入力部70bとをその両側に有している。ま
た、増圧シリンダ70の第1の入力部70a側の容量
(差動ピストン75が図1に示される中立位置に保持さ
れている状態での容量)は、差動ピストン75の1スト
ローク(図1中、左方向のストローク)で吐き出される
油によって第2のブーム伸縮用シリンダ31のロッドが
変位しない程度に設定されている。
【0036】増圧シリンダ70の第1の入力部70aに
は第1のシリンダ管路63が接続され、また、第2の入
力部70bには第2のシリンダ管路65が接続されてい
る。また、電磁弁67,69同士は接続管路68によっ
て互いに接続されている。また、電磁弁67には、タン
クTに通じるタンク管路66と、第2のシリンダ管路6
5とがそれぞれ接続されている。また、電磁弁69に
は、圧油供給回路40の第2の伸長用管路部56に接続
された補償圧供給管路62と、アキュムレータ43から
延びるアキュムレータ吐出管路64と、第1のシリンダ
管路63とがそれぞれ接続されている。この場合、電磁
弁67は、制御部71からの制御信号によってその弁方
向が切り換えられることにより、これに接続された管路
65,66,68間の連通状態を制御する。具体的に
は、制御信号が入力されないOFF状態の時には、第2
のシリンダ管路65と接続管路68とをタンク管路66
に接続するとともに、制御信号によってONされると、
接続管路68を第2のシリンダ管路65に接続する。一
方、電磁弁69は、制御部71からの制御信号によって
その弁方向が切り換えられることにより、これに接続さ
れた管路62,63,64,68間の連通状態を制御す
る。具体的には、制御信号が入力されないOFF状態の
時には、アキュムレータ吐出管路64と第1のシリンダ
管路63とを接続するとともに補償圧供給管路62と接
続管路68とを接続する。また、制御信号によってON
されると、アキュムレータ吐出管路64を接続管路68
に接続するとともに、第1のシリンダ管路63を補償圧
供給管路62に接続する。なお、補償圧供給管路62に
は、第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャン
バ内の圧力を検出してその検知信号を制御部71に出力
する圧力センサ61が接続して設けられている。
【0037】一方、アキュムレータ吐出管路64にはポ
ンプP’(アキュムレータ43専用のポンプである必要
はない)から延びる管路106が接続されており、この
管路106にはアキュムレータ43側に向けて開の逆止
弁104が介挿されている。また、管路106には、逆
止弁104の入口側および出口側の両方から管路106
内の圧をパイロット圧として得て作動するリリーフ弁1
02が接続されている。このリリーフ弁102は、管路
106内の圧が所定値を超えると、管路106をタンク
Tに連通させる。なお、管路106には、図示しない他
のアクチュエータのための方向切換弁100が接続され
ている。このようなポンプ回路構成において、リリーフ
弁102にはアキュムレータ43の圧とポンプP’の圧
とが作用する。そして、リリーフ弁102と逆止弁10
4との協働作用により、アキュムレータ43の圧が規定
値に維持されるとともに、ポンプ回路も規定値以下に保
持される。
【0038】次に、上記構成の保持圧補償装置を含む油
圧回路の動作について説明する。
【0039】まず、図示しない操作手段を操作して、コ
ントロールバルブ54を図1に示される中立位置から第
1の位置イに切り換えると、油圧ポンプPからの圧油
は、吐出管路50および伸長用管路53に流れる。この
時、セレクタバルブ57が図1に示される弁位置に保持
されてPポートとAポートとが接続されていれば、伸長
用管路53に流れた圧油は、第1の伸長用管路部55を
介して、第1のブーム伸縮用シリンダ30のヘッド側チ
ャンバに流れる。したがって、第1のブーム伸縮用シリ
ンダ30のロッドが伸長して、2段ブーム11が1段ブ
ーム10に対して伸長する。また、この時、第1のブー
ム伸縮用シリンダ30のロッド側チャンバ内の油は、収
縮用管路52と戻し管路51とを介してタンクT内に戻
される。
【0040】また、伸長した2段ブーム11を収縮させ
るには、前記操作手段を操作してコントロールバルブ5
4を第2の位置ロに切り換えれば良い。セレクタバルブ
57のPポートとAポートとが接続されていれば、これ
により、油圧ポンプPからの圧油が吐出管路50と収縮
用管路52とを介して第1のブーム伸縮用シリンダ30
のロッド側チャンバに流れるとともに、第1のブーム伸
縮用シリンダ30のヘッド側チャンバ内の油が管路5
5,53,51を介してタンクT内に戻され、結果とし
て、第1のブーム伸縮用シリンダ30のロッドが収縮す
る。
【0041】なお、セレクタバルブ57のPポートとA
ポートとが接続されている状態では、Bポートは閉じら
れているため、第1のブーム伸縮用シリンダ30が伸縮
動作しても、第2のブーム伸縮用シリンダ31の伸長状
態もしくは収縮状態は保持される。
【0042】また、第2のブーム伸縮用シリンダ31を
伸縮させるためには、セレクタバルブ57を図1の状態
から切り換えて、PポートとBポートとを接続する。こ
の状態で、コントロールバルブ54を第1の位置イに切
り換えると、油圧ポンプPからの圧油は、吐出管路50
から伸長用管路53を介して第2の伸長用管路部56に
流れ、第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャ
ンバに充填される。また、同時に、第2のブーム伸縮用
シリンダ31のロッド側チャンバ内の油は、接続管路4
9と第1のブーム伸縮用シリンダ30のロッド側チャン
バとを介して収縮用管路52に流れるとともに、戻し管
路51を介してタンクT内に戻される。これにより、第
2のブーム伸縮用シリンダ31のロッドが伸長して、3
段〜5段ブーム12,13,14が伸長する。
【0043】このようにして第2のブーム伸縮用シリン
ダ31が所定の長さ伸長した状態で、セレクタバルブ5
7を図1に示された弁位置に切り換えて保持すると、第
2のブーム伸縮用シリンダ31の伸長状態(したがっ
て、3段〜5段ブーム12,13,14の伸長状態)が
保持される。また、この伸長保持状態は、保持圧補償装
置による補償制御によって第2のブーム伸縮用シリンダ
31の保持圧(ヘッド側チャンバ内圧)がクレーンの作
業状態に応じた適正範囲内に保持されることにより、維
持される。以下、この保持圧補償装置による補償制御に
ついて説明する。
【0044】まず、第2のブーム伸縮用シリンダ31の
伸長状態が保持されると、制御部71はその旨をクレー
ン転倒防止装置73からのクレーン情報によって読み取
って保持圧補償制御を開始する。すなわち、制御部71
は、転倒防止装置73から常時入力されるクレーン情報
(吊上荷重、ブーム1の角度や長さ、フック掛数(フッ
クの掛数により理論保持圧も異なってくる)、各種レバ
ーの操作状態、ブームオペレーション(フック掛数に関
係する)等)に基づいて現在のクレーンの作業状態を認
識し、そのクレーン作業状態において適正な理論保持圧
を記憶部に記憶されているデータ(例えば図5または図
6参照)の中から検索演算する。無論、クレーンの作業
状態が変化しても、その変化に追従して理論保持圧が検
索演算される。そして、制御部71は、圧力センサ61
から送られてくる第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘ
ッド側チャンバ内圧力の実測値と検索演算によって得ら
れた前記理論保持圧とを比較し、第2のブーム伸縮用シ
リンダ31のヘッド側チャンバ内圧力が前記理論保持圧
に維持されるように、制御信号を補償圧生成回路42に
出力して補償圧生成回路42の動作を制御する。
【0045】図5の記憶データに基づく制御を例にとっ
て具体的に説明すると、制御部71は、第2のブーム伸
縮用シリンダ31のヘッド側チャンバ内圧力の実測値が
理論保持圧の下限値よりも小さいと、増圧回路44を介
して第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャン
バに補償圧を供給し、第2のブーム伸縮用シリンダ31
のヘッド側チャンバ内圧力の実測値が理論保持圧の上限
値に達すると、増圧回路44を介した補償圧の供給を停
止する。そして、このような制御は、セレクタバルブ5
7が図1の弁位置に保持されている間(第2のブーム伸
縮用シリンダ31の伸長状態が保持されている間)、定
期的に繰り返される。
【0046】こうした制御サイクルの一例が図3に示さ
れている。図示のように、制御部71は、所定の制御サ
イクルタイムTSで保持圧補償制御を行なう。具体的に
は、制御部71は、刻々と変化するクレーン状態に対応
した理論保持圧を常時検索演算しながら、所定の時間間
隔tで圧力センサ61から検知信号を受け取るととも
に、各制御サイクル毎に所定の時間TM(例えば、増圧
シリンダ70の差動ピストン75が増圧方向にフルスト
ローク移動する時間に相当する)だけ圧力センサ61か
らの実測値と理論保持圧とを比較し続ける。この時、実
測値が理論保持圧の下限値を下回っている場合には、制
御部71から電磁弁67,69に対して制御信号が出力
される。
【0047】制御信号が電磁弁67,69に出力される
と、電磁弁67,69がONされて、アキュムレータ4
3からの作動油が管路64,68,65を介して増圧シ
リンダ70の第2の入力部70bに導入され、差動ピス
トン75が図1中左方向(増圧方向)に移動される。こ
の時、アキュムレータ43からの作動油の圧力(補償
圧)は、差動ピストン75の両側の受圧面積の差により
増幅されて、第1の入力部70a側に伝達される。そし
て、増圧された第1の入力部70a側の作動油は、管路
63,62,56を通じて第2のブーム伸縮用シリンダ
31のヘッド側チャンバ内に導かれる。すなわち、第2
のブーム伸縮用シリンダ31に補償圧が供給されて(圧
込めがなされて)、シリンダ31内の作動油の体積収縮
分が補充され、ブーム1の収縮が防止される。
【0048】ところで、このような補償圧の供給は、各
制御サイクルにおいて、差動ピストン75の1ストロー
クを限度として行なわれる。例えば、圧力センサ61か
ら制御部71に検知信号が入力され始める信号入力開始
時(時間TMの初め)に第2のブーム伸縮用シリンダ3
1のヘッド側チャンバ内圧力の実測値が検索演算された
理論保持圧の下限値よりも小さいと、時間TMの始めか
ら圧込め(補償圧供給)が行なわれ、時間TM内に実測
値が理論保持圧の上限値に達しなければ、制御信号は出
力され続け、差動ピストン75が増圧方向にフルストロ
ーク移動した時点(第1の入力部70a側の増圧シリン
ダ70の容量分の作動油がシリンダ31のヘッド側チャ
ンバ内に導入された時点)で制御信号の出力が停止され
る(図3の第1の制御サイクルX参照)。すなわち、検
知信号が制御部71に入力され続ける時間TMの全てに
わたって補償圧が供給される。また、時間TMの途中で
実測値が理論保持圧の上限値に達した場合には、差動ピ
ストン75はフルストローク移動することなく途中で停
止される。すなわち、時間TMの途中で補償圧の供給が
停止される(図3の第2の制御サイクルY参照)。ま
た、時間TMの初めに実測値が理論保持圧の上限値と下
限値との間にある場合には、その制御サイクルの間、補
償圧の供給は行なわれない(図3の制御サイクルZ参
照)。ただし、時間TMの途中で実測値が理論保持圧の
下限値を下回った場合には、その時点から時間TMの間
だけ圧込めが行なわれる。
【0049】一方、制御部71から電磁弁67,69へ
の制御信号の出力が停止されて電磁弁67,69がOF
Fされると(圧込めが停止されると)、増圧シリンダ7
0は次の圧込め動作に備えて吸込み動作を行なう。すな
わち、電磁弁67,69がOFFされると、電磁弁6
7,69の弁方向は図1に示される状態に切り換えられ
るため、アキュムレータ43からの作動油が増圧シリン
ダ70の第1の入力部70a側に導かれるとともに、第
2の入力部70b側の作動油の一部がタンクTに戻さ
れ、差動ピストン75が図1中右方向に移動する。これ
により、補償圧を与えるための作動油が第1の入力部7
0a側に確保される。
【0050】なお、第2のブーム伸縮用シリンダ31を
収縮させるには、操作手段を操作してコントロールバル
ブ54を第2の位置ロに切り換えれば良い。セレクタバ
ルブ57のPポートとBポートとが接続されていれば、
これにより、油圧ポンプPからの圧油が、管路50,5
2、第1のブーム伸縮用シリンダ30のロッド側チャン
バ、接続管路49のそれぞれを介して、第2のブーム伸
縮用シリンダ31のロッド側チャンバに流れるととも
に、第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャン
バ内の油が、管路56,53,51を介してタンクT内
に戻され、結果として、第2のブーム伸縮用シリンダ3
1のロッドが収縮する。セレクタバルブ57のPポート
とBポートとが接続されている状態では、Aポートは閉
じられているため、第2のブーム伸縮用シリンダ31が
伸縮動作しても、第1のブーム伸縮用シリンダ30の伸
長状態もしくは収縮状態は保持される。
【0051】以上説明したように、本実施形態の保持圧
補償装置は、第2のブーム伸縮用シリンダ31の保持圧
を補償するための補償圧を生成してこれを第2のブーム
伸縮用シリンダ31のヘッド側チャンバに供給する補償
圧生成回路42と、補償圧生成回路42による補償圧の
供給動作を制御する制御部71と、クレーンの作業状態
に関する情報を制御部71に入力するクレーン転倒防止
装置73と、第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド
側チャンバ内の圧力を検出してその検出情報を制御部7
1に出力する圧力センサ61とを備えている。そして、
制御部71は、クレーンの作業状態に応じた第2のブー
ム伸縮用シリンダ31の理論保持圧のデータを記憶する
記憶部と、クレーン転倒防止装置73からのクレーン情
報に基づいてそのクレーン作業状態に対応する理論保持
圧を前記記憶部に記憶されているデータの中から検索演
算する演算部とを備え、圧力センサ61から出力される
第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側チャンバ内
圧力の実測値と検索演算によって得られた理論保持圧と
を比較し、第2のブーム伸縮用シリンダ31のヘッド側
チャンバ内圧力が検索演算された理論保持圧に維持され
るように、補償圧生成回路42による補償圧の供給動作
を制御する。したがって、本実施形態の保持圧補償装置
によれば、クレーンの作業状態に応じた適正な圧力補償
を行なって、第2のブーム伸縮用シリンダ31の伸長状
態を確実に保持することができる。
【0052】特に、本実施形態では、第2のブーム伸縮
用シリンダ31のヘッド側チャンバの圧力が圧力センサ
61によって実測されるだけでなく、クレーンの作業状
態に応じた適正な保持圧を記憶部に記憶されたデータの
中から検索するために、すなわち、第2のブーム伸縮用
シリンダ31の伸長状態を保持するために必要な保持圧
を維持できる正確な補償圧を得るために、クレーンの作
業状態の情報が使用されている。そのため、クレーンの
作業状態の情報を圧力補償に直接且つ有効に反映させる
ことができ、正確な圧力補償を行なうことが可能とな
る。
【0053】また、本実施形態では、保持圧の補償が常
時連続的に行なわれるのではなく、第2のブーム伸縮用
シリンダ31のヘッド側チャンバ内圧力が理論保持圧の
下限値を下回った場合にのみ保持圧が補償される。すな
わち、実測値が理論値の上限と下限との間にある場合に
は保持圧補償が全く行なわれない。そのため、補償圧が
必要保持圧を上回って過補償となり、第2のブーム伸縮
用シリンダ31のロッドが伸長してしまうといった事態
を回避できる。これにより、作業の安全性が確保される
とともに、補償の必要な時のみ動作するため、省エネ効
果もある。
【0054】また、本実施形態では、増圧シリンダ70
によって補償圧を増幅するようにしているため、第2の
ブーム伸縮用シリンダ31の高い保持圧を十分に補償供
給できるとともに、圧力補償用の油圧源として低圧の油
圧源を利用でき、これによって、省エネを図ることもで
きる。
【0055】また、本実施形態において、増圧シリンダ
70の第1の入力部70a側の容量は、差動ピストン7
5の1ストロークで吐き出される油によって第2のブー
ム伸縮用シリンダ31のロッドが変位しない程度に設定
されているとともに、各制御サイクルにおける補償圧の
供給は、差動ピストン75の1ストロークを限度として
行なわれるようになっている。このような吐出量の小さ
い増圧シリンダ70による繰り返しの油供給によって保
持圧を徐々に補給する制御方法によれば、仮に電磁弁6
7,69もしくはその駆動系が異常を呈したとしても、
第2のブーム伸縮用シリンダ31のロッドが変位するこ
とはなく、非常時においても作業の安全性を十分に確保
することが可能になる。
【0056】また、本実施形態では、圧力補償用の圧力
源としてアキュムレータ43が使用されているため、電
磁比例減圧弁によって圧油を供給する場合と異なり、作
動油の劣化やエネルギ損失を抑えることが可能にある。
【0057】また、本実施形態では、制御部71から電
磁弁67,69への制御信号の出力を強制的に停止させ
るための選択スイッチ72が設けられている。したがっ
て、季節や地域、クレーンの作業形態等に応じて、保持
圧補償制御の作動/非作動を選択でき、作業性の向上を
図ることが可能になる。
【0058】また、本実施形態では、圧力センサ61が
補償圧生成回路42の補償圧供給管路62に接続して設
けられている。したがって、ホースリール60に対応し
て圧力センサ61用のコードリールを設ける必要がなく
なる。因みに、圧力センサ61を第2のブーム伸縮用シ
リンダ31に取り付けられるカウンタバランス弁58に
配設すると、2段ブーム11の伸縮動作に伴う第2のブ
ーム伸縮用シリンダ31の移動に追従できるように、圧
力センサ61の配線コードをコードリールに巻回して伸
縮可能に設けなければならなくなる。そのため、配線が
煩雑になって、メンテナンスがしづらくなる。また、安
全機能上も好ましくない。
【0059】なお、本発明は、前述した実施形態に限定
されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形
実施できることは言うまでもない。例えば、前記実施形
態では保持圧補償装置が第2のブーム伸縮用シリンダ3
1のために設けられているが、第1のブーム伸縮用シリ
ンダ30のために設けられていても良い。また、補償圧
の供給源として、エンジン駆動の油圧ポンプ、電動モー
タ駆動の油圧ポンプ、アキュムレータに貯圧された圧油
を使用したブースト回路、空気圧を使用したブースト回
路やアキュムレータ等を用いることもできる。また、ク
レーン情報を制御部71に入力する手段としては転倒防
止装置73に限定されない。クレーン情報を各種センサ
から制御部71に直接に取り込んでも良く、また、クレ
ーン情報が集結する他の装置を介して制御部71にクレ
ーン情報を流すようにしても良い。また、前記実施形態
では、吊り上げ荷重と保持圧との関係をブーム起伏角度
毎にプロットしたデータが記憶部に記憶されている例を
示したが、記憶部に記憶されるデータはこれに限らな
い。様々なクレーン状態に対応できるように、例えばク
レーンの作業形態を決定する様々なパラメータ間の関係
を細かくプロットした各種データを記憶部に記憶させて
も良い。また、作動油の温度(特にブーム伸縮用シリン
ダ内の油温)の変化を検出してこの検出値を油の収縮体
積の算出に利用しても良い。この場合、保持圧の補償が
さらに正確且つ容易になる。また、前記実施形態では、
クレーン装置の作業状態に応じたブーム伸縮用シリンダ
の理論保持圧のデータが制御部71の記憶部に予め記憶
されるとともに、クレーン転倒防止装置73からのクレ
ーン情報に基づいてそのクレーン作業状態に対応する理
論保持圧が前記記憶部に記憶されているデータの中から
検索演算され、ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャン
バ内圧力の実測値が検索演算された理論保持圧に維持さ
れるように補償圧制御が行なわれるが、制御方法はこれ
に限定されない。例えば、ブーム伸縮用シリンダの保持
圧を瞬時計測してこれを制御部71の記憶部に記憶し、
圧力センサ61から出力されるブーム伸縮用シリンダの
ヘッド側チャンバ内圧力の実測値が前記記憶部に記憶さ
れた記憶値のうち最も低い下限値を下回った際に、補償
圧供給を行なうようにしても良い。この場合には、クレ
ーン転倒防止装置73から制御部71へのクレーン情報
の入力を省略することが可能となる。また、本発明の保
持圧補償装置は、ブームの先端に作業員が乗るためのゴ
ンドラが取り付けられるような高所作業車にも適用可能
である。すなわち、ゴンドラが付設された前記ブームを
伸縮させるブーム伸縮用シリンダに本発明の保持圧補償
装置を適用しても良い(つまり、本出願の特許請求の範
囲に記載された「クレーン装置」はこのようなゴンドラ
付きの高所作業車のクレーン装置も含む)。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の保持圧補
償装置によれば、クレーンの作業状態に応じた適正な圧
力補償を行なって、ブーム伸縮用シリンダの伸長状態を
確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る保持圧補償装置を含
む油圧回路の構成図である。
【図2】保持圧補償装置のブロック図である。
【図3】保持圧補償装置による補償制御のタイミングチ
ャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る保持圧補償装置が適
用されるクレーン車の全体図である。
【図5】制御部の記憶部に記憶される理論保持圧のデー
タの一例を示す図である。
【図6】制御部の記憶部に記憶される理論保持圧のデー
タの一例を示す図である。
【符号の説明】
30,31…ブーム伸縮用シリンダ 42…補償圧生成回路(補償圧生成部) 61…圧力センサ 71…制御部 73…クレーン転倒防止装置(クレーン情報入力手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレーン装置のブームを伸縮させるブー
    ム伸縮用シリンダの伸長状態を保持する保持圧を補償す
    るための保持圧補償装置において、 前記保持圧を補償するための補償圧を生成してこれを前
    記ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバに供給する
    補償圧生成部と、 前記補償圧生成部による補償圧の供給動作を制御する制
    御部と、 前記クレーン装置の作業状態に関する情報を前記制御部
    に入力するクレーン情報入力手段と、 前記ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内の圧力
    を検出してその検出情報を前記制御部に出力する圧力セ
    ンサと、 を具備し、 前記制御部は、クレーン装置の作業状態に応じたブーム
    伸縮用シリンダの理論保持圧のデータを記憶する記憶部
    と、前記クレーン情報入力手段からのクレーン情報に基
    づいてそのクレーン作業状態に対応する理論保持圧を前
    記記憶部に記憶されているデータの中から検索演算する
    演算部とを備え、前記圧力センサから出力されるブーム
    伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧力の実測値と検
    索演算によって得られた理論保持圧とを比較し、ブーム
    伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧力が検索演算さ
    れた理論保持圧に維持されるように、補償圧生成部によ
    る補償圧の供給動作を制御することを特徴とする保持圧
    補償装置。
  2. 【請求項2】 クレーン装置のブームを伸縮させるブー
    ム伸縮用シリンダの伸長状態を保持する保持圧を補償す
    るための保持圧補償装置において、 前記保持圧を補償するための補償圧を生成してこれを前
    記ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバに供給する
    補償圧生成部と、 前記補償圧生成部による補償圧の供給動作を制御する制
    御部と、 前記ブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内の圧力
    を検出してその検出情報を前記制御部に出力する圧力セ
    ンサと、 を具備し、 前記制御部は、ブーム伸縮用シリンダの保持圧を瞬時計
    測して記憶する記憶部を備え、前記圧力センサから出力
    されるブーム伸縮用シリンダのヘッド側チャンバ内圧力
    の実測値が前記記憶部に記憶された記憶値のうち最も低
    い下限値を下回った際に、前記補償圧生成部による補償
    圧の供給動作を許容することを特徴とする保持圧補償装
    置。
JP2000051541A 2000-02-28 2000-02-28 ブーム伸縮用シリンダの保持圧補償装置 Pending JP2001240381A (ja)

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