JP2001239089A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】脱水起動時の洗濯槽の振動を抑える大きなダン
ピング力を発生し、かつ脱水定常時の床への振動伝達力
を低減するドラム式洗濯機を提供する。 【解決手段】ダンパ４の両端を洗濯槽３と外枠１に取り
付ける取付部を、ダンパ４の両端をボルトを回転軸とし
て回転自在に保持するフランジ５と、フランジ５の回転
軸に対し回転可能に取り付けられ、ダンパ４外周面に対
し間隙を有してダンパ４を挟むように形成されたコの字
型の部材からなるダンパ抑え７とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯機に関し、特
にドラム式洗濯乾燥機の低振動化に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のドラム式洗濯機において、洗濯槽
を支持する構成は、図６、７に示すようになっている。
図６に示すように、ドラム式洗濯機は、外枠１より吊り
ばね２で支持され、洗濯時に水を保有する洗濯槽３と、
洗濯槽３と外枠１との間に設けた振動を抑えるダンパ４
とを備えている。

【０００３】図７は、外枠１もしくは洗濯槽３へのダン
パ４の取付部を側面より示したものである。ダンパ４
は、外枠１もしくは洗濯槽３に固定されているフランジ
５にボルト６で締め付けられ、ボルト６を回転軸として
ダンパ４とフランジ５との間に大きな摺動摩擦を有して
回転可能に取り付けられている。

【０００４】また、ダンパの取り付けに関しては、特開
平５−２５３３８７号公報に記載されているように、ば
ね材をダンパ取付部外周に固定し、ダンパの大きな揺動
に対して、ばね材を外枠に弾接させる機構が提案されて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図６、７に示す構成に
おけるドラム式洗濯機を運転させると、洗濯槽３に付加
された洗濯物のアンバランスにより遠心力が発生し、洗
濯槽３は加振され、上下、左右に振動する。洗濯槽３の
振動によって、ダンパ４の洗濯槽３を支持する角度は変
化し、ダンパ４はボルト６を回転軸として揺動する。

【０００６】ダンパ４は外枠１に固定されたフランジ５
にボルト６で締め付けられることにより密に接してお
り、ダンパ４の揺動に対してダンパ４とフランジ５との
間には大きな摩擦力が発生する。この大きな摩擦力は、
脱水起動時における洗濯槽３の大きな振動に対して、振
動の増大を抑えるダンピング力を与える。

【０００７】しかし、洗濯槽３の振動が小さくなる脱水
定常時においても、ダンパ４の揺動に伴う大きな摩擦力
がフランジ５に作用し、外枠１を加振し、床への伝達力
を大きくするという問題がある。

【０００８】また、上記特開平５−２５３３８７号公報
において、ダンパの大きな揺動に対して、ばね材は外枠
に弾接することにより、反発力を発生させ、洗濯槽の振
動を抑制することが提案されている。しかし、洗濯物の
重量により、洗濯槽の沈み込みは異なり、ばね材が外枠
に弾接するまでの角度幅も異なることにより、反発力を
与える必要のない大きさの揺動に対しても、外枠に弾接
するようになる場合が考えられる。また、ばね材による
反発力では、エネルギを消散させるようなダンピング力
が発生しない。

【０００９】本発明の目的は、上記課題を解決するもの
であり、脱水起動時の洗濯槽の振動を抑える大きなダン
ピング力を発生し、かつ脱水定常時の床への振動伝達力
を低減するドラム式洗濯機を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明におけるドラム式洗濯機の特徴とするところ
は、ダンパの両端を洗濯槽と外枠に取り付ける取付部
を、ダンパの両端をボルトを回転軸として回転自在に保
持するフランジと、フランジの回転軸に対し回転可能に
取り付けられ、ダンパ外周面に対し間隙を有してダンパ
を挟むように形成されたコの字型の部材からなるダンパ
抑えとで構成することにある。

【００１１】具体的には本発明は次に掲げる洗濯機を提
供する。本発明は、外枠と、該外枠内側の上部から吊り
下げられた吊りばねで支持され洗濯時に水を保有する洗
濯槽と、該洗濯槽と前記外枠との間に設けられ前記洗濯
槽の振動を抑えるダンパと、該ダンパの両端を前記洗濯
槽と前記外枠に取り付ける取付部とを有するドラム式洗
濯機において、前記取付部は、前記前記洗濯槽及び前記
外枠に固定され、前記ダンパの両端をボルトを回転軸と
して回転自在に保持するフランジと、該フランジの回転
軸に対し回転可能に取り付けられ、前記ダンパ外周面に
対し間隙を有して前記ダンパを挟むように形成されたコ
の字型の部材からなるダンパ抑えとを有することを特徴
とするドラム式洗濯機を提供する。

【００１２】好ましくは、前記ダンパ抑えは、前記洗濯
槽の振動に伴い前記ダンパが大きく揺動するとき、前記
コの字型の内側に前記ダンパを当てて前記ダンパの大き
な揺動を抑える。

【００１３】好ましくは、前記ダンパ抑えと前記フラン
ジとの間に形成された摺動面に発生する摩擦力を、前記
ダンパと前記フランジとの間に形成された摺動面に発生
する摩擦力より大きくする。

【００１４】好ましくは、前記ダンパと前記フランジと
の間に形成された摺動面に低摺動部材を配置する。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態例に
係わるドラム式洗濯機を、図を用いて説明する。

【００１６】図１は、本発明の一実施の形態例に係るド
ラム式洗濯機の概略断面を示す。本ドラム式洗濯機は、
外枠１の上部内側から吊り下げられた吊りばね２で支持
され洗濯時に水を保有する洗濯槽３と、洗濯槽３と外枠
１との間に設け洗濯槽３の振動を抑えるダンパ４と、ダ
ンパ４の両端を洗濯槽３と外枠１に取り付ける取付部と
で構成されている。図２、３は、外枠１もしくは洗濯槽
３へのダンパ４の取付部を側面、および正面より示した
ものである。図４は、外枠１もしくは洗濯槽３へのダン
パ４の取付部の鳥瞰図である。

【００１７】図１に示すように、洗濯槽３は、その内側
に偏って付加された洗濯物の遠心力によって加振され、
上下、左右に振動する。洗濯槽３の振動によって、ダン
パ４の洗濯槽３を支持する角度は変化し、ダンパ４はボ
ルト６を回転軸として回転する。

【００１８】このとき、ダンパ４はフランジ５にボルト
６で締め付けられているが、ダンパ４とフランジ５との
間にスラストベアリングなどの低摺動部材８を介して取
り付けられている。低摺動部材８としては、スラストベ
アリングのほかに、表面に潤滑剤を結合させるなどし、
低摺動にすべらせる金属並びに樹脂でできたワッシャや
カラーが相当する。低摺動部材８により、ダンパ４のフ
ランジ５に対する回転に伴う摩擦力は低摺動部材８が有
する低い摩擦力となり、従来の摩擦力より低減させるこ
とができる。

【００１９】また、図３に示すように、ダンパ４の回転
軌道上にダンパ４を挟み込むようにコの字型の部材から
なるダンパ抑え７を設ける。ダンパ抑え７によりダンパ
４は、ダンパ抑え７に対して所定の間隙分、すなわち角
度幅ａだけ自由に回転できるようになる。

【００２０】ダンパ抑え７は、フランジ５にダンパ４と
は反対側でボルト６により密に接するように締め付けら
れている。よってダンパ抑え７とフランジ５との間に形
成された摺動面に発生するの摩擦力は、低摺動部材８を
介したダンパ４とフランジ５との間に形成された摺動面
に発生する摩擦力よりも大きなものとなる。

【００２１】その結果、ダンパ４の取付部に発生する摩
擦力の大きさを、ダンパ４の回転角度によって、二段階
に変化させることができる。

【００２２】以上の構成を有するドラム式洗濯機の作用
を、次に説明する。脱水定常時のような洗濯槽３の振動
が小さいときは、ダンパ４の揺動は小さく、図３に示す
ような所定の角度幅ａの範囲内で振動する。その結果、
ダンパ抑え７に接触することなく、ダンパ４は、スラス
トベアリング８により、フランジ５に対して円滑に回転
する。そのため、ダンパ４の回転によってフランジ５が
受ける摩擦力は小さくなり、外枠１を加振する力も小さ
くなるため、床への伝達力も小さくなる。

【００２３】また、脱水起動時のように洗濯槽３の振動
が大きいときは、ダンパ４の揺動は大きく、図３に示す
ような所定の角度幅ａを越え、ダンパ４はダンパ抑え７
に接触し、ダンパ抑え７と共に回転する。ダンパ抑え７
とフランジ５との間には低摺動部品を介していないた
め、それらの間に発生する摩擦力は大きくなり、ダンパ
４の回転を抑えるため、洗濯槽３の振動に対して大きな
ダンピング力を与えるように作用し、洗濯槽３の振動の
増大を抑える。

【００２４】次に、本発明の他の実施の形態例を、図５
に示す。図５は、この実施例におけるダンパ取付部の側
面図である。

【００２５】フランジ５はダンパ４をボルト６で締め付
けているが、フランジ５のダンパ４が接する面に潤滑剤
を結合させるなどし、低摺動にすべるようにした。これ
により、ダンパ４のフランジ５に対する回転に伴う摩擦
力は、従来の摩擦力より低減させることができる。ま
た、ダンパ４の回転軌道上にダンパ４を挟み込むように
ダンパ抑え７を設け、ダンパ４の取付部に発生する摩擦
力の大きさをダンパ４の回転角度によって、二段階に変
化させる構造とした。

【００２６】本実施の形態例も、図１に示した実施の形
態例と同様な作用、効果を得ることができる。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、脱水起動時には、洗濯
槽の振動の増大を抑えるダンピング力を発生させ、ま
た、脱水定常時には洗濯槽の床への振動伝達力を低減さ
せることことにより、ドラム式洗濯機全体の低騒音化を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態例に係るドラム式洗濯機
の概略断面図である。

【図２】図１のドラム式洗濯機のダンパ取付部の側面図
である。

【図３】図１のドラム式洗濯機のダンパ取付部の正面図
である。

【図４】図１のドラム式洗濯機のダンパ取付部の鳥瞰図
である。

【図５】本発明の他の実施の形態例に係るドラム式洗濯
機のダンパ取付部の側面図である。

【図６】従来のドラム式洗濯機の断面図である。

【図７】図６のドラム式洗濯機のダンパ取付部の側面図
である。

【符号の説明】

１…外枠、２…吊りばね、３…洗濯槽、４…ダンパ、５
…フランジ、６…ボルト、７…ダンパ抑え、８…低摺動
部材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外枠と、該外枠の上部内側から吊り下げら
   れた吊りばねで支持され洗濯時に水を保有する洗濯槽
   と、該洗濯槽と前記外枠との間に設けられ前記洗濯槽の
   振動を抑えるダンパと、該ダンパの両端を前記洗濯槽と
   前記外枠に取り付ける取付部とを有するドラム式洗濯機
   において、 前記取付部は、前記前記洗濯槽及び前記外枠に固定さ
   れ、前記ダンパの両端をボルトを回転軸として回転自在
   に保持するフランジと、該フランジの回転軸に対し回転
   可能に取り付けられ、前記ダンパ外周面に対し間隙を有
   して前記ダンパを挟むように形成されたコの字型の部材
   からなるダンパ抑えとを有することを特徴とするドラム
   式洗濯機。
2. 【請求項２】請求項１において、前記ダンパ抑えは、前
   記洗濯槽の振動に伴い前記ダンパが大きく揺動すると
   き、前記コの字型の内側に前記ダンパを当てて前記ダン
   パの大きな揺動を抑えることを特徴とするドラム式洗濯
   機。
3. 【請求項３】請求項１において、前記ダンパ抑えと前記
   フランジとの間に形成された摺動面に発生する摩擦力
   を、前記ダンパと前記フランジとの間に形成された摺動
   面に発生する摩擦力より大きくすることを特徴とするド
   ラム式洗濯機。
4. 【請求項４】請求項３において、前記ダンパと前記フラ
   ンジとの間に形成された摺動面に低摺動部材を配置する
   ことを特徴とするドラム式洗濯機。