JP2001234258A - ドロスから酸化物を分離する方法、ドロスから酸化物を分離する装置および噴流はんだ槽 - Google Patents

ドロスから酸化物を分離する方法、ドロスから酸化物を分離する装置および噴流はんだ槽

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Toshio Toyama
年男 遠山
Kenichi Tomizuka
健一 冨塚
Shohei Motai
祥平 馬渡
Tomotake Kagaya
智丈 加賀屋
Eihiko Muramatsu
栄彦 村松
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Sony Corp
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Senju Metal Industry Co Ltd
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸漬法によりプリント基板のはんだ付けを行
うと、噴流はんだ槽にドロスが大量に発生する。このド
ロスは、溶融はんだと酸化物が混じり合ったもので、噴
流はんだの噴流高さを不安定にしたりプリント基板に付
着して不良を発生させたりする。 【解決手段】 容器21にヒーター22が設けられてお
り、この容器21の上部にカバー24が着脱自在に設け
られていて、しかもカバー24または容器21には非酸
化性ガス供給口28が取り付けられているとともに、容
器21に投入された溶融はんだ23の表面近傍には溶融
はんだ23の表面を撹拌する撹拌ヘラ25が設けられて
いるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、はんだのドロスか
らはんだと酸化物を分離する方法、酸化物を分離する装
置、およびプリント基板をはんだ付けする噴流はんだ槽
に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板をはんだ付けする方法とし
ては、鏝付け法、リフロー法、浸漬法等がある。
【0003】鏝付け法は、はんだ付け部毎に作業者がは
んだ鏝とやに入りはんだ線ではんだ付けするものである
ため、大量生産には向いていない。この鏝付け法は、他
のはんだ付け方法で発生したはんだ付け不良の修正や他
のはんだ付け方法ではんだ付けした後に、熱に弱い電子
部品をさらにはんだ付けする「後付け」が主たる用途で
ある。
【0004】またリフロー法は、粉末はんだとペースト
状フラックスから成るソルダペーストをプリント基板の
はんだ付け部に印刷や吐出で塗布した後、このソルダペ
ーストをリフロー炉、赤外線照射装置、レーザー照射装
置等の加熱装置で溶融させることによりはんだ付けを行
うものである。リフロー法は、面実装部品のようにはん
だ付け部が小さかったりリード間隔が狭かったりするも
ののはんだ付けに適している。しかしながら、ソルダペ
ーストは、はんだを微粉末にし、それをフラックスと均
一に混練するという手間がかかることから生産コストが
高くなっていた。
【0005】浸漬法は、噴流はんだ槽のノズルから溶融
はんだを噴流させ、この噴流はんだにプリント基板を接
触させてはんだ付けを行う方法である。この浸漬法は、
一度に多数のはんだ付け箇所のはんだ付けが行えるた
め、上述鏝付け法やリフロー法に比べて生産性が非常に
優れているばかりでなく、使用するはんだは加工が簡単
な棒状はんだであるため生産コストが安くて済む。従っ
て、テレビ、ビデオのような安価で大量生産される家庭
電気製品のはんだ付けに最適であり、現在では最も多く
採用されているはんだ付け方法である。
【0006】浸漬法によるプリント基板のはんだ付けは
自動はんだ付け装置で行っている。自動はんだ付け装置
とは、フラクサー、プリヒーター、噴流はんだ槽、冷却
機等の処理装置が設置され、さらにこれらの上方を多数
の爪を有する一対のチェーンがフラクサーから冷却機方
向に走行しているものである。自動はんだ付け装置での
プリント基板のはんだ付けは、走行する一対のチェーン
間の爪でプリント基板を保持し、先ずフラクサーでフラ
ックス塗布、次にプリヒーターで予備加熱、そして噴流
はんだ槽ではんだの付着、最後に冷却機で冷却してはん
だ付けがなされる。この自動はんだ付け装置に使用され
る従来の噴流はんだ槽を図5(平面図)、図6(図5の
B−B線断面図)で説明する。
【0007】噴流はんだ槽の本体1は箱状で外部または
内部に図示しないヒーターが取り付けられており、この
ヒーターが本体1内部に投入されたはんだ2を溶融させ
るとともに一定温度に保っている。本体1の内部には一
次噴流ノズル3と二次噴流ノズル4が設置されている。
一次噴流ノズル3は噴流口が狭く、ノズル内部には噴流
する溶融はんだを荒らす手段が設けられている。また二
次噴流ノズル4は噴流口が広くなっており、ここから噴
流する溶融はんだは穏やかな流れとなる。それぞれのノ
ズル内には多数の孔5・・・が穿設された整流板6が設
置されている。整流板6は、後述ポンプで送られてきた
乱流状態の溶融はんだを整流化させてノズルに向かう溶
融はんだを安定させるためのものである。
【0008】それぞれのノズル3,4にはダクト7が接
続されており、このダクト7の端部に噴流ポンプ8が設
けられている。噴流ポンプ8が設けられたダクト7の下
部には吸入口9が穿設され、またダクト7の上部には噴
流ポンプ8の軸10を挿通する孔11が穿設されてい
る。
【0009】噴流ポンプ8の軸10の上端には図示しな
いプーリーが固定され、このプーリーは本体1の外部に
取り付けられたやはり図示しないモーターのプーリーと
ベルトで連結されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで自動はんだ付
け装置でプリント基板のはんだ付けを行うと噴流はんだ
槽の溶融はんだ表面に大量のドロスが発生していた。噴
流はんだ槽で大量のドロスが発生するとノズルから噴流
する溶融はんだの噴流状態が不安定となり、噴流高さが
高くなったり低くなったりするばかりでなく、全く噴流
しなくなったりする。この原因は、図6に示すように噴
流はんだ槽の表面に浮遊していたドロス12が噴流ポン
プ8で吸い込まれ、それがノズル3,4に設置された整
流板6の孔5・・・に付着し、孔5を塞いでしまうから
である。このように整流板6の孔5を塞いでしまうと整
流板6を通過する溶融はんだの量が少なくなるためノズ
ルからの噴流高さが低くなり、その後、整流板6の孔5
を塞いでいたドロス12が溶融はんだの流れとともに整
流板6から離れると、整流板6を通過する溶融はんだの
量が急に多くなって噴流高さが高くなる。つまりドロス
12が整流板6の孔5を塞いだり孔5から流出したりす
る度に噴流高さが上下動して安定しなくなるものであ
る。
【0011】噴流はんだ槽で噴流高さが安定しないと、
噴流はんだ槽の上方を通過するプリント基板に溶融はん
だが付着せず未はんだとなったり、或いは急に噴流高さ
が高くなってプリント基板の上面に溶融はんだがかぶっ
て不要箇所にはんだが付着したりするという不都合が生
ずる。
【0012】またドロス12はプリント基板に付着して
短絡や外観不良等という問題を起こすものでもある。プ
リント基板のはんだ付け時にドロス12がプリント基板
に付着する原因は、前述のように整流板6の孔5から流
出したドロス12が溶融はんだとともにノズルから噴流
したときに、プリント基板がノズル上を通過している
と、ドロス12がプリント基板に付着してしまうことに
ある。
【0013】そしてドロス12の発生が多くなるとはん
だの消費量が増えるという経済的な問題にもつながる。
つまりドロス12が増えると前述のように噴流状態が不
安定となったり、プリント基板に付着したりするため、
作業者が噴流はんだ槽から常にドロス12を取り出して
捨てていたからである。その結果、ドロス12に変化し
たはんだが大量に消費されることになる。
【0014】本発明は、噴流はんだ槽で発生したドロス
から酸化物とはんだとを分離する方法(以下、分離方法
という)、ドロスから酸化物を分離する装置(以下分離
装置という)、およびドロスから酸化物を分離できる噴
流はんだ槽を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明ドロスから酸化物
を分離する方法は、100℃以上の非酸化性雰囲気中で
溶融はんだ上に浮遊しているドロスを溶融はんだととも
に撹拌することによりはんだと酸化物を分離するもので
ある。
【0016】本発明分離方法はこのように非酸化性雰囲
気中でドロスと溶融はんだを撹拌すると、ドロス中に包
含されていた酸化物が撹拌により分離し、またドロス中
のはんだはドロスとともに撹拌する溶融はんだ中に溶け
込む。このときドロスの周囲に酸素が存在すると撹拌さ
れた溶融はんだが再度酸素を巻き込んでドロスとなり、
酸化物とドロスを増やすだけとなってしまうが、本発明
ではドロスを酸素のない状態で撹拌するため溶融はんだ
が酸素を巻き込むことはない。
【0017】この本発明の分離方法は、非酸化性雰囲気
が100℃以上でなければならない。つまり非酸化性雰
囲気が100℃よりも低いと、ドロスの表面温度が低く
なり、酸化物との分離が充分に行えない。非酸化性雰囲
気の温度を100℃以上にするためには、非酸化性雰囲
気をガス加熱用ヒーターで加熱してもよいし、また非酸
化性雰囲気中にヒーターを設けてもよいし、或いは非酸
化性雰囲気を形成するカバーの気密性を充分にして溶融
はんだの熱で非酸化性雰囲気を100℃以上にしてもよ
い。
【0018】本発明に使用する非酸化性ガスとしては、
窒素、炭酸ガス、アルゴンガスのような不活性ガスの
他、水素ガス、アンモニア分解ガス等のような活性ガス
が例示される。
【0019】また本発明ドロスから酸化物を分離する装
置は、容器にヒーターが設けられており、この容器の上
部にカバーが着脱自在に設けられていて、しかもカバー
または容器には非酸化性ガス供給口が取り付けられてい
るとともに、容器に投入された溶融はんだの表面近傍に
は溶融はんだの表面を撹拌する撹拌ヘラが設けられてい
るものである。
【0020】本発明の分離装置は、本体内に予め溶融は
んだを入れておきドロスをこの溶融はんだの上に投入し
て撹拌することにより酸化物とはんだとを分離するもの
である。この分離装置は、従来の自動はんだ付け装置の
近傍に置いておき、噴流はんだ槽で発生したドロスを噴
流はんだ槽から取り出して分離装置に投入する。つまり
分離装置を自動はんだ付け装置の近傍においておけば、
単にドロスを分離装置に投入するだけで、いつでもドロ
スからの酸化物の分離が簡単に行えるものである。
【0021】さらにまた本発明噴流はんだ槽は、はんだ
を加熱するヒーターと溶融はんだを噴流させるノズルが
設けられた噴流はんだ槽において、ドロスの溜まる部分
がカバーで覆われており、このカバーには非酸化性ガス
供給口が取り付けられているとともに、カバーの内部に
は溶融はんだの表面を撹拌する撹拌ヘラが設けられてい
るものである。
【0022】この本発明の噴流はんだ槽は、噴流はんだ
槽自体の中にドロスから酸化物を分離する機構を設置し
てあるため、はんだ付け作業を行っている最中、常時ド
ロスから酸化物を分離できるというものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明者らが噴流はんだ槽で発生
するドロスについて鋭意研究を重ねた結果、ドロスは溶
融はんだと酸化物が混じり合ったもので、あたかも水を
含んだ砂のように「ガサガサ」状態で溶融はんだの上に
浮遊していることが分かった、そこで本発明者らはドロ
スから酸化物を分離できれば、まだ使用できるはんだを
ドロスとともに捨てることなく有効に使用できることに
着目して本発明を完成させた。
【0024】以下、図面に基づいて本発明ドロスから酸
化物を分離する方法、ドロスから酸化物を分離する装置
および噴流はんだ槽の実施の形態の例につき説明する。
図1は本例の分離装置のカバーを開けた状態の斜視図、
図2は分離装置の正面断面図、図3は本例の噴流はんだ
槽の平面図、図4は図3のA−A線断面図である。
【0025】先ず本例の分離装置について図1、図2を
参照して説明する。図1、図2に、示す如き有底筒状の
本体21には内部に電熱ヒーター22がスパイラル状に
設置されている。本体21内にはんだ23が充填されて
おり、このはんだ23は前述電熱ヒーター22で溶融さ
れるとともに所定の温度に保たれている。
【0026】カバー24は本体21の上部を閉じるもの
で、内部に二個の撹拌ヘラ25,25が設けられてい
る。攪乱ヘラ25は円筒体に適宜切れ込みを入れて複数
本の脚を形成したものである。攪乱ヘラ25の軸26は
カバー24を挿通してカバー24の上部に突出してお
り、上端にはギヤー27が固定されている。それぞれの
軸26,26に固定されたギヤー27,27は互いに噛
む合っており、一方のギヤーは図示しないモーターに取
り付けられたギヤーと噛み合っている。
【0027】またカバー24には非酸化性ガス供給口2
8が形成されている。このガス供給口の配管29には途
中にガスを加熱する加熱用ヒーター30が設けられてお
り、このガス加熱用ヒーター30が図示しない非酸化性
ガス供給源から送られてくる非酸化性ガスを100℃以
上に加熱するようになっている。またカバー24には排
気口31が穿設され、この排気口31には図示しない蓋
が開閉自在に取り付けられている。
【0028】ここで本例の分離装置におけるドロスから
酸化物とはんだの分離について説明する。
【0029】分離装置は本体21内部のはんだ23を所
定の温度で溶融状態にして自動はんだ付け装置の噴流は
んだ槽の近傍に置いておく。自動はんだ付け装置でのは
んだ付け作業中に噴流はんだ槽にドロスが溜まったなら
ば、噴流はんだ槽からドロスをすくい取り、分離装置の
カバー24を開けてドロスを本体21に入れる。そして
分離装置の本体21をカバー24で覆った後、排気口3
1の蓋を開けた状態にしてガス供給口28から非酸化性
ガス、例えば窒素ガスを本体21内に流入させる。ガス
供給口28から本体21内に流入した非酸化性ガスは、
本体21内の空気を排気口31から追い出し本体21内
の酸素濃度を低下させる。本体21内の酸素濃度が充分
に低下したならば非酸化性ガスの供給を停止して排気口
31の蓋を閉めてもよいし、或いは排気口31の蓋を開
けたまま供給する非酸化性ガスの流入量を少なくしても
良い。このとき窒素ガスは加熱ヒーター30で100℃
以上に熱せられたものを使用する。
【0030】そして分離装置に設けられた図示しないモ
ーターを駆動させる。このモーターの回転によりモータ
ーのギヤーと噛み合っている一方の撹拌ヘラ25のギヤ
ー27が回転すると同時にこのギヤーと噛み合っている
もう一方の撹拌ヘラ25のギヤー27も連動して回転す
る。すると本体1内に設けられた撹拌ヘラ25,25が
掻いてドロス12と溶融はんだ23を撹拌する。
【0031】高温の非酸化性雰囲気中で撹拌されたドロ
ス12は、酸化物とはんだが分離し、はんだは本体21
内の溶融はんだ中に溶け込み、酸化物だけが溶融はんだ
上に残る。この酸化物をすくい取って別の容器に入れ
る。このようにしてドロスから酸化物を分離すると、分
離装置の本体21内にはんだが増えるので適宜本体21
内から溶融はんだを汲み出し、噴流はんだ槽に戻しては
んだ付けに使用する。
【0032】続いて本例の噴流はんだ槽について説明す
る。本例の噴流はんだ槽は、先に図5、図6で説明した
従来の噴流はんだ槽と同一部分は同一符号を付し、それ
らの説明は省略する。
【0033】本体1の一側には少し広めのドロス溜まり
32がある。一次噴流ノズル3と二次噴流ノズル4の長
手方向両側には樋33,33が設置されている。これら
全ての樋33はドロス溜まり32方向(図中左方)に傾
斜している。従ってノズルから噴流して流出した溶融は
んだは樋33に沿ってドロス溜まり方向に流動する。樋
33の出口部分には途中まで傾斜し、途中から垂直に垂
れ下がった流動案内板34が本体1の下部に達しない位
置まで設けられている。この流動案内板34は樋33か
ら流れてきた溶融はんだを乱すとことなくドロス溜まり
32に送り込むものであり、またドロス溜まり32にあ
るドロスが下方に沈んだときにダクト7の下部に流動し
ないようにするものである。
【0034】ドロス溜まり32の上にはカバー35が設
けられている。このカバー35は断面が柄杓型で柄に相
当する部分が開口している。カバー35内には複数の撹
拌ヘラ36が設けられている。撹拌ヘラ36の軸37は
カバー35を挿通してカバー35の上部に突出してい
る。撹拌ヘラ36の軸37にはギヤー38が固定されて
おり、このギヤー38にはチェーン39が各ギヤー38
に対して左右交互に懸けられている。チェーン39はモ
ーター40のギヤー41にも懸けられている。
【0035】またカバー35には非酸化性ガス供給口4
2が形成されている。ガス供給口42の配管43はガス
加熱ヒーター44を介して図示しない非酸化性ガス供給
源に接続されている。
【0036】上述本例の噴流はんだ槽におけるドロスの
分離について説明する。
【0037】噴流はんだ槽の噴流ポンプ8を図示しない
モーターで回転させると、溶融はんだ2はダクト7の吸
入口9からダクト7内に流入し、ダクト7内を矢印のよ
うに流動する。そして溶融はんだはダクト7からノズル
4内に流入し、整流板6の孔5・・を通過してノズル4
の出口から上方に噴流する。このノズル4から噴流した
溶融はんだに上方を通過するプリント基板が接触しては
んだが付着するのである。
【0038】ノズル4から噴流した溶融はんだは、ノズ
ル4の両側に落下する。ノズル4の両側には樋33,3
3がドロス溜まり32方向に傾斜して設けられているた
め、ノズル4か噴流して落下した溶融はんだは樋33,
33によってドロス溜まり32に流れ込む。
【0039】このときノズル4から噴流した溶融はんだ
は、常に新しい部分が空気と接触するため酸化物を生成
すると同時にこの酸化物を巻き込んでドロスも発生させ
る。このようにして生成されこた酸化物やドロスは溶融
はんだとともに樋33からドロス溜まり32方向に押し
流され、ドロス溜まり32に溜まる。
【0040】ドロス溜まり32にはカバー35が被せら
れ、このカバー35内では撹拌ヘラ36が回転して溶融
はんだとドロスを撹拌する。ここで撹拌されたドロスは
酸化物と溶融はんだが分離され、溶融はんだは噴流はん
だ槽の溶融はんだに溶け込み酸化物だけがここに残るよ
うになる。カバー35には非酸化性ガス供給口42が形
成され、この供給口42からガス加熱ヒーターで加熱さ
れた非酸化性ガスが供給されているため、ドロスから分
離されたはんだは酸化物を巻き込むことはない。そして
一定時間経過毎に作業者がカバーを開けて溶融はんだ上
に浮遊している酸化物を柄杓ですくい取り、容器に捨て
る作業を行う。
【0041】本例の噴流はんだ槽では、非酸化性ガスと
して150℃に加熱された窒素ガスを用いてプリント基
板のはんだ付けを行い、4時間毎にカバーを開けて酸化
物のすくい取りを行った結果、ドロスとして捨てる量は
全くなかった。一方、従来の噴流はんだ槽でプリント基
板のはんだ付けを行い、2時間毎にドロスの取り出しを
行ったところ約10Kgのドロスが捨てられていた。
【0042】尚、上述例では非酸化性ガスとして窒素ガ
スを使用した例につき述べたが、この代わりに炭酸ガ
ス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等が
使用できる。また上述例ではカバー24に非酸化性ガス
供給口28を設けたが、この代わりに分離装置本体(容
器)21の所定位置にこの非酸化性ガス供給口を設ける
ようにしてもよい。
【0043】また本発明の上述例に限らず本発明の要旨
を逸脱することなくその他種々の構成が採り得ることは
勿論である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の分離方法は
従来ドロスとして捨てられていたはんだを再度はんだに
戻して使用することができるため、はんだの消費量がき
わめて少なくなるものであり、省資源には多大な効果を
奏する。また本発明の分離装置は自動はんだ付け装置の
近傍に置いておき、噴流はんだ槽で発生したドロスを本
体内に投入するだけで酸化物とはんだを分離できるため
ドロスの処理がきわめて容易に行えるという簡便性のあ
るものである。さらにまた本発明の噴流はんだ槽は、噴
流はんだ槽内で発生したドロスを自動的に酸化物とはん
だとが分離できるためドロスの除去作業が全く必要でな
いばかりでなく、ドロスによる問題、つまり噴流高さの
上下変動によるはんだ付け不良やプリント基板へのドロ
スの付着等という不都合が解消されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明分離装置の実施の形態の例のカバーを開
けた状態の斜視図である。
【図2】図1の正面断面図である。
【図3】本発明噴流はんだ槽の実施の形態の例の平面図
である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】従来の噴流はんだ槽の例の平面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【符号の説明】
21‥‥分離装置の本体、22‥‥ヒーター、23‥‥
溶融はんだ、24‥‥カバー、25‥‥撹拌ヘラ、28
‥‥非酸化性ガス供給口、29‥‥配管、30‥‥ガス
加熱ヒーター、31‥‥排気口
フロントページの続き (72)発明者 冨塚 健一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 馬渡 祥平 東京都足立区千住橋戸町23番地 千住金属 工業株式会社内 (72)発明者 加賀屋 智丈 東京都足立区千住橋戸町23番地 千住金属 工業株式会社内 (72)発明者 村松 栄彦 東京都足立区千住橋戸町23番地 千住金属 工業株式会社内 Fターム(参考) 4E080 AA01 AB03 BA09 4K001 AA20 AA24 BA13 BA23 DA05 DA12 EA03 EA05 FA14 GA14 GB05 5E319 AC01 CC24 CC47

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100℃以上の非酸化性雰囲気中で溶融
    はんだ上に浮遊しているドロスを溶融はんだとともに撹
    拌することによりはんだと酸化物を分離することを特徴
    とするドロスから酸化物を分離する方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のドロスから酸化物を分離
    する方法において、前記非酸化性雰囲気は、窒素ガス、
    炭酸ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガ
    ス等が充満された雰囲気であることを特徴とするドロス
    から酸化物を分離する方法。
  3. 【請求項3】 容器にヒーターが設置されており、該容
    器の上部にカバーが着脱自在に設けられていて、しかも
    カバーまたは容器には非酸化性ガス供給口が取り付けら
    れているとともに、容器に投入された溶融はんだの表面
    近傍には溶融はんだの表面を撹拌する撹拌ヘラが設置さ
    れていることを特徴とするドロスから酸化物を分離する
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のドロスから酸化物を分離
    する装置において、前記非酸化性ガス供給口には加熱用
    ヒーターが設けられていることを特徴とするドロスから
    酸化物を分離する装置。
  5. 【請求項5】 はんだを加熱するヒーターと溶融はんだ
    を噴流させるノズルが設けられた噴流はんだ槽におい
    て、ドロスの溜まる部分がカバーで被われており、該カ
    バーには非酸化性ガス供給口が取り付けられているとと
    もに、前記カバーの内部には溶融はんだの表面を撹拌す
    る撹拌ヘラが設けられていることを特徴とする噴流はん
    だ槽。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の噴流はんだ槽において、
    前記非酸化性ガス供給口には加熱用ヒーターが設けられ
    ていることを特徴とする噴流はんだ槽。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の噴流はんだ槽において、
    前記噴流はんだ槽のノズルには、長手方向両側に同一方
    向に傾斜した樋が取り付けられていることを特徴とする
    噴流はんだ槽。
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