JP2001234097A - インク組成物 - Google Patents
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Abstract
ても微粒子径で分散安定性に優れ,かつインクジェット
吐出特性に優れたインク組成物を提供する。 【解決手段】 少なくとも一部が塩基で中和された酸基
を有する皮膜形成性樹脂(A)によって顔料粒子が被覆
された着色樹脂粒子水分散体からなるインク組成物であ
って,皮膜形成性樹脂(A)が高分子量樹脂(a)と低
分子量樹脂(b)からなり,高分子量樹脂(a)の重量
平均分子量をMwa,低分子量樹脂(b)の重量平均分
子量をMwbとしたとき,1.5≦(Mwa/Mw
b),かつ、1000≦Mwbであるインク組成物。
Description
し,特に,本発明は,着色樹脂粒子分散型水性ジェット
インク組成物に関する。
と油性インクと水性インクがあるが,油性インクは臭気
・毒性の点で問題があり,水性インクが主流となりつつ
ある。しかしながら,従来の水性インクの多くは着色剤
として水溶性染料を用いているため耐水性や耐光性が悪
いという欠点を有していた。また,染料が分子レベルで
溶解しているため,オフィスで一般に使用されているコ
ピー用紙などのいわゆる普通紙に印刷すると髭状のフェ
ザリングと呼ばれるブリードを生じて著しい印刷品質の
低下を招いていた。
顔料インクが過去に様々に提案されており,例えばバイ
ンダー兼分散剤として水溶性樹脂を用いてカ−ボンブラ
ックや有機顔料を分散させた樹脂溶解型のインクやポリ
マーラテックスあるいはマイクロカプセルとして着色剤
を内包する樹脂分散型のインクが各種提案されている。
ジェットプリンター用水性顔料インクとしては,なるべ
く微粒子径に分散された着色剤粒子が求められており,
具体的な樹脂溶解型の水性インクの例として,特許第2
512861号公報では,(1)顔料とポリマー分散剤
とを2−ロールミリング装置に充填し;(2)摩砕して
顔料とポリマー分散剤との分散体を得;そして(3)こ
の顔料分散体を水性キャリア媒体中に分散させる工程か
らなる,改良された特性を有する水性の顔料入りインク
ジェット用インクの調整方法が,特開平3−15377
5号公報では,a)顔料とカルボキシル基含有ポリアク
リル系樹脂とを含有する固体顔料調合物b)水で希釈可
能な有機溶媒c)湿潤剤d)水を含有するインクジェッ
ト印刷用水性インク組成物が提案されている。しかしな
がら,これらの技術は顔料の微粒子化には有効なもの
の,溶解している分散剤樹脂の影響で,インクの水分蒸
発に伴いノズル付近のインク粘度上昇による異常吐出
や,最悪ノズル目詰まりを生じ易く,印刷物の耐水性が
著しく劣っていた。
蒸発に伴う粘度上昇は比較的少なく,また耐水性に優れ
るという利点がある。具体的には,特開昭58−452
72号公報では染料を含有したウレタンポリマーラテッ
クスを含むインク組成物,特開昭62−95366号公
報では水不溶性有機溶媒中にポリマーと油性染料を溶解
し,さらに表面活性剤を含む水溶液と混合して乳化させ
た後に溶媒を蒸発してポリマー粒子中に内包された染料
を含むインクが提案され,特開昭62−254833号
公報ではカプセル化時の有機溶媒と水との間の界面張力
を10ダイン以下にすることによる着色剤水性懸濁液の
製造法が提案され,特開平1−170672号公報では
同様にマクロカプセル化した色素を含有する記録液等が
提案されているが,それらで得られた着色樹脂分散物の
分散安定性は必ずしも十分ではなく,またカプセル化時
に使用する界面活性剤の影響で泡立ちが大きく,インク
ジェットの吐出特性が必ずしも十分ではなかった。
中に分散している粒子表面が,分散媒に膨潤する樹脂に
より被覆されていることを特徴とする画像形成材料が提
案されているが,室温付近でゾル−ゲルの相転移が起き
やすく,また粒子の分散安定性も必ずしも良くなく吐出
異常を起こしやすかった。
び樹脂を含む画像記録用着色組成物において,顔料が,
分散媒に対して実質的に不溶性であり且つ極性基を有す
る硬化重合体の薄膜で被覆された顔料であることを特徴
とする画像記録用着色組成物が提案されているが,本発
明では顔料自体に自己分散性および記録紙に対する固着
能力が不足しているために,分散剤及び固着剤としての
樹脂が必須となり,そのため硬化重合体で被覆されてい
ない顔料と比較して分散安定性は優れているものの,イ
ンクジェットとしての吐出安定性が不足し,耐水性が劣
るという欠点は改善されなかった。
は,顔料,水溶性樹脂,水溶性有機溶剤及び水を含むイ
ンクジェット記録用水性インクにおいて,水溶性樹脂が
顔料の表面に比較的弱い力で固着した「樹脂吸着顔料粒
子」が水性媒体中に分散し,その水性媒体中に,更に,
顔料に吸着せず前記インク中に水溶性樹脂が2重量%以
下となる様に溶解したものが記載されている。
着させる方法では,顔料表面と吸着樹脂との固着程度が
依然不十分であり,こうして得られる「樹脂吸着顔料粒
子」の水性媒体中でのより高度の分散安定性は期待でき
ない。
292143号公報では顔料を皮膜形成性樹脂で被覆し
た着色マイクロカプセルを水性媒体中に含むインクにお
いて,皮膜形成性樹脂のうちインク中に溶解する樹脂成
分が0.01〜2質量%とした着色マイクロカプセル分
散型水性ジェットインクが提案されているが,合成樹脂
の分子量が高いと着色剤の内包効果が高いが,インクの
浸透性を高めるためにインクに樹脂溶解力の高い有機溶
剤を多量に併用すると,インク中に多量の樹脂が溶解
し,溶解した樹脂によってインクの不吐出を生じやすい
欠点を有しており,特に低湿度の環境下で最後のインク
の吐出から次の吐出再開までの時間間隔が長いと水分等
の揮発成分の蒸発に伴いノズル目詰まりを生じやすかっ
た。一方,皮膜形成性樹脂の分子量が低いと溶解樹脂に
よるインクの不吐出は小さいものの,着色剤の内包効果
が小さく,分散安定性が前記水溶性樹脂を顔料表面に吸
着させる従来の一般的な顔料分散方法のレベルに下がる
危険があった。
する課題は,樹脂分散型水性インクの特長である優れた
印刷品質性・耐水性・耐光性等の特性を低下させること
なく,有機溶剤を多く含むようなインク組成にあっても
微粒子径で分散安定性に優れ,かつインクジェット吐出
特性に優れたインク組成物を提供することにある。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果,少なくとも一
部が塩基で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂
(A)によって顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子水性
分散体からなるインク組成物において,皮膜形成性樹脂
(A)が高分子量樹脂(a)と低分子量樹脂(b)から
構成されることにより,前記従来技術にない優れた分散
安定性と低湿環境下でも安定したインクジェット特性を
示すインク組成物が得られることを見いだした。
で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂(A)によっ
て顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子水性分散体からな
るインク組成物において,皮膜形成性樹脂(A)が高分
子量樹脂(a)と低分子量樹脂(b)からなり,高分子
量樹脂(a)の重量平均分子量をMwa,低分子量樹脂
(b)の重量平均分子量をMwbとしたとき,1.5≦
(Mwa/Mwb),かつ,1000≦Mwbであるこ
とを特徴とするインク組成物を提供するものである。
有する皮膜形成性樹脂(A)を高分子量樹脂(a)と低
分子量樹脂(b)で構成することにより,高分子量樹脂
(a)が優先的に顔料表面を被覆し,高分子量樹脂
(a)の未被覆部分,あるいは被覆部分の周囲を低分子
量樹脂(b)で厚く被覆させることができると考えられ
る。その結果,低分子量樹脂(b)単独の場合と比較し
て分散は安定化し,インク中に多量の有機溶剤が使用さ
れていても,顔料表面から溶出する皮膜形成性樹脂
(A)の成分は,高分子量樹脂(a)に比較して低分子
量樹脂(b)の溶出量が多いものの,高分子量樹脂
(a)は依然顔料表面を強固に被覆しているため,分散
安定性とインクの吐出安定性を両立することが可能とな
るのである。
分子量をMwa,低分子量樹脂(b)の重量平均分子量
をMwbとしたとき,1.5≦(Mwa/Mwb),か
つ,1000≦Mwbなる関係であることが好ましい
が,高分子量樹脂(a)の重量平均分子量Mwaとして
は3万〜10万,低分子量樹脂(b)の重量平均分子量
としては1千〜2万の範囲が特に好ましいのである。
(a)と低分子量樹脂(b)の混合比率としては,組み
合わせる溶剤の種類や量に合わせて,1:4〜4:1の
範囲の場合に上記効果が認められ,より好ましくは2:
1〜1:2の範囲である。顔料と被膜形成性樹脂(A)
の比率は顔料の被覆効率に影響し,顔料に合わせて1:
3〜3:1の範囲が好ましく,より好ましくは,1:2
〜2:1の範囲である。
樹脂(a)と低分子量樹脂(b)はいずれも,酸基はカ
ルボキシル基からなり,酸価が50〜180で,インク
のpHが7.5〜9.5の範囲,より好ましくは8.0
〜9.0の範囲に調整されることにより,本発明のイン
ク組成物はより優れた分散安定性とインク吐出安定性を
示す。この様な樹脂は,例えば前記特定酸価の樹脂の酸
価の全て又は一部を中和することにより得ることが出来
る。
面親水性が乏しく,分散安定性が不充分となり易く,酸
価が180を越える場合には樹脂の親水性が著しく高ま
り,皮膜形成性樹脂(A)による顔料の被覆が不十分と
なり易く,着色樹脂粒子同士の凝集やインクジェットプ
リンターのノズル目詰まりを生じやすくなるために不適
当である。尚,酸価とは,樹脂1gを中和するに必要な
水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数を言
い,mg・KOH/gで表す(以下,単位は略記す
る)。
(A)は,皮膜を形成する樹脂であれば,天然樹脂でも
合成樹脂でも特に限定されずに用いることができるが,
例えばスチレン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリエステル
系樹脂,ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。より好ま
しい樹脂として,例えばスチレン,置換スチレン,(メ
タ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なく
とも一つのモノマーと,(メタ)アクリル酸との共重合
体が挙げられる。高分子量樹脂(a)と低分子量樹脂
(b)が,少なくともスチレン又は置換スチレンと(メ
タ)アクリル酸からなる共重合体は,得られる着色樹脂
粒子がより微粒子で分散安定性に優れるので,特に好ま
しい。(メタ)アクリル酸は,アクリル酸とメタアクリ
ル酸の総称であり,本発明ではいずれか一方が必須であ
ればよいが,より好適な皮膜形成性樹脂は,アクリル酸
およびメタアクリル酸の両方に由来する構造を有してい
るものである。
るには,前述の樹脂を中和,即ち塩基を加えればよい。
塩基(本発明では,塩基性化合物という場合がある)と
しては,例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水
酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物,アンモニ
ア,トリエチルアミン,モルホリン等の塩基性物質の
他,トリエタノールアミン,ジエタノールアミン,N−
メチルジエタノールアミン等のアルコールアミンが使用
可能であり,皮膜形成性樹脂(A)が分解しない程度の
高温で容易に揮発する,揮発性塩基を採用するのがより
好ましい。
い塩基を用いて中和を行うと,インク中での皮膜形成性
樹脂(A)の溶解度がより高まることから,塩基の強さ
や使用量(中和率)を調節することが好ましい。アルコ
ールアミン,特にトリエタノールアミンは弱塩基で水溶
性樹脂成分の発生が少なく,インクジェット記録用水性
インクの調製には,最適な塩基である。
に対する中和率が200モル%相当量以下,好ましく
は,100モル%相当量以下,30モル%以上,好まし
くは40モル%以上とする。高分子量樹脂(a)及び低
分子量樹脂(b)ともスチレン成分が多いほど低中和率
で着色樹脂粒子の微粒子化が可能で,スチレン成分が少
ないほど微粒子化させるために中和率を高める必要があ
る。好ましいスチレンモノマー比率は30モル%〜90
モル%である。この時中和率が高いほど着色樹脂粒子か
らの樹脂溶解が増加する傾向があり,モノマー組成に合
わせて最適中和率を求めることが好ましい。
型水性ジェットインクとして用いる場合,使用する顔料
は特に限定されるものではなく,公知慣用のものがいず
れも使用できる。顔料としては,例えばカーボンブラッ
ク,チタンブラック,チタンホワイト,硫化亜鉛,ベン
ガラ等の無機顔料や,フタロシアニン顔料,モノアゾ
系,ジスアゾ系等のアゾ顔料,フタロシアニン顔料,キ
ナクリドン顔料等の有機顔料等が用いられる。
を行うには,用いる顔料の色調はシアン色(青色),マ
ゼンタ色(赤色),イエロー色の3色の組合せが最低限
必要であり,好ましくは黒色を組み合わせた4色のイン
クによる画像形成や,前記3色あるいは4色に加えて更
に補色関係にある色を加えて画像形成することが出来
る。
点からフタロシアニン顔料であることが好ましい。フタ
ロシアニン顔料としては,具体的には無金属フタロシア
ニン,銅フタロシアニンあるいはクロル化銅フタロシア
ニン,その他各種金属フタロシアニン等が挙げられる。
これらのなかでも銅フタロシアニンが好ましく,特に他
のカラー顔料と組み合わせた時の色調及び分散性の点で
C.I.ピグメントブルー15:3または15:4がよ
り好ましい。
の点からキナクリドン顔料であることが好ましい。キナ
クリドン顔料としては,具体的にはジメチルキナクリド
ン,ジクロルキナクリドン等が挙げられる。これらのな
かでも,特に他のカラー顔料と組み合わせた時の色調及
び分散性の点でC.I.ピグメントレッド122が好ま
しい。
の点からベンズイミダゾロン顔料であることが好まし
い。ベンズイミダゾロン顔料としては,具体的にはC.
I.ピグメントイエロー120,C.I.ピグメントイ
エロー151,C.I.ピグメントイエロー154,
C.I.ピグメントイエロー156,C.I.ピグメン
トイエロー175が挙げられる。黒色顔料としては,特
に制限はないが色調及び耐候性の点からカーボンブラッ
クが好ましい。
果を達成すれば特に規定されないが,最終的に得られる
インク中で,通常0.5〜20質量%となるような量と
なる様に調製するが好ましい。
浸透剤として有機溶剤を含ませることが出来る。乾燥防
止剤は,インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾
燥を防止する効果を与えるものであり,通常水の沸点以
上の沸点を有するものが使用される。このような乾燥防
止剤としては,従来知られている公知慣用のものがいず
れも使用できるが,例えばエチレングリコール,プロピ
レングリコール,ジエチレングリコール,ジプロピレン
グリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレン
グリコール,グリセリン等の多価アルコール類等があ
る。グリセリンが乾燥防止剤の場合に,最も優れた乾燥
防止効果を示す。
媒体上でのドット径の調整を行うものであり,浸透剤と
しては,例えばエタノール,イソプロピルアルコール等
の低級アルコール,エチレングリコールヘキシルエーテ
ルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキル
アルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリ
コールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロ
ピレンオキシド付加物等がある。
剤として用いる場合は1〜80質量%,浸透剤として用
いる場合は0.01〜10質量%とするのが好適であ
る。有機溶剤は,皮膜形成性樹脂(A)の種類や濃度,
或いは水性媒体中での当該有機溶剤濃度等の組合せによ
っては,顔料に被覆している樹脂を溶解し吐出特性を悪
くする場合があるが,本発明によって大幅に吐出特性が
向上する。
子分散型水性ジェットインクとする具体的な方法とし
て,以下の方法が好ましい。この方法によれば,皮膜形
成性樹脂(A)を構成する高分子量樹脂(a)と低分子
量樹脂(b)を効果的に顔料表面に被覆することが可能
となる。但し,本発明はこの方法に限定されるものでは
ない。 (I)酸価を有する皮膜形成性樹脂(A)に少なくとも
着色剤を分散して固形着色コンパウンドを得る樹脂着色
工程。 (II)少なくとも,水,皮膜形成性樹脂(A)を溶解
する有機溶媒,塩基,前記樹脂着色工程で得られた固形
着色コンパウンドを混合し,分散によって少なくとも樹
脂の一部が溶解している着色剤懸濁液を得る懸濁工程。 (III)前記懸濁工程で得られた着色剤懸濁液中の着
色剤表面に溶解樹脂成分を沈着させる再沈殿工程。
〈1〉〜〈5〉をこの順に行うことが出来る。 〈1〉酸価を有する皮膜形成性樹脂(A)に,着色剤を
分散して固形着色コンパウンドを得る。(混練工程) この工程は,例えば従来知られているロールやニーダー
やビーズミル等の混練装置を用いて,溶液や加熱溶融さ
れた状態で,着色剤を当該樹脂に均一に分散させ,最終
的に固体混練物(固形着色コンパウンド)として取り出
すことにより行うことが出来る。この時,高分子量樹脂
(a)と低分子量樹脂(b)は事前に均一混合するか,
混練時に顔料と共に混合しても良い。
合には,顔料を分散する手段として,従来知られている
分散方法のうち,高せん断力のかかる状態が形成される
分散手段,具体的にはバンバリーミキサーや2本ロール
を用いて高せん断力下で分散を行うことが好ましい。こ
の時,低分子量樹脂(b)単独では高いせん断力をかけ
られず,顔料の分散が出来ない場合があるが,高分子量
樹脂(a)を併用することにより,高せん断力下での分
散が容易になるというメリットもある。
る有機溶剤,塩基,前記固形着色コンパウンドを混合
し,分散によって少なくとも当該樹脂の一部が溶解して
いる着色剤懸濁液を得る。(懸濁工程) 当該樹脂を溶解する有機溶剤は当該樹脂に対して良溶媒
として機能するものであり,当該樹脂に対して適宜選択
することが出来,例えばアセトン,ジメチルケトン,メ
チルエチルケトン等のケトン系溶剤,メタノール,エタ
ノール,イソプロピルアルコール等のアルコール系溶
剤,クロロホルム,塩化メチレン等の塩素系溶剤,ベン
ゼン,トルエン等の芳香族系溶剤,酢酸エチルエステル
等のエステル系溶剤,エチレングリコールモノメチルエ
ーテル,エチレングリコールジメチルエーテル等のグリ
コールエーテル系溶剤,アミド類等樹脂を溶解させるも
のであれば使用可能である。
形成性樹脂(A)に対しては貧溶媒として機能する水で
あり,インクジェット記録用水性インクとして用いるた
め,イオン交換水以上の純度を有することが好ましい。
本工程では,水及び有機溶剤の混合液が均一であること
が好ましく,均一でない場合は,必要に応じて,界面活
性剤を用いるか,あるいは機械的にO/W型に乳化させ
るか,助溶剤を併用して均一化させて用いることが好ま
しい。当該樹脂を溶解する有機溶剤と水と塩基のみで,
分散安定性に優れた着色剤懸濁液を得難い場合には,そ
れらに,当該樹脂を溶解しない親水性有機溶剤を,助溶
剤として一部併用してより良い乳化安定性を持たせる様
にしてもよい。尚,当該樹脂を溶解する有機溶剤及び助
溶剤は,いずれも1種又は2種以上を併用してもよい。
ン,(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれ
る少なくとも一つのモノマーと,(メタ)アクリル酸と
の共重合体の場合には,メチルエチルケトン等のケトン
系溶剤を主として,助溶剤としてイソプロピルアルコー
ル等のアルコール系溶剤から選ばれる少なくとも1種類
以上の組合せが良い。かかる水と有機溶剤の比率は,本
発明における効果を達成すれば特に規定されないが,水
/有機溶剤の重量比が10/1〜1/1となるような量
が好ましい。
面から,着色剤を包含する酸価を有する皮膜形成性樹脂
(A)が,有機溶剤と塩基の助けを借りて,自己乳化
し,少なくとも樹脂の一部が溶解している着色剤懸濁液
が得られる。この工程により,固形着色コンパウンドの
表面に存在する,酸価を有する皮膜形成性樹脂(A)
は,塩基により,徐々に,その酸価の少なくとも一部又
は全部が中和され,当該コンパウンドの固体形状から,
混合物は懸濁状態となる。懸濁液を得るための撹拌方法
としては,公知慣用の手法がいずれも採用でき,例えば
1軸のプロペラ型の撹拌翼の他,目的に応じた形状の撹
拌翼や撹拌容器を用いて,容易に懸濁可能である。
が働かない単なる混合撹拌では微粒子化しない場合や,
着色剤が比較的凝集しやすい場合には,更に高せん断力
を与えて微粒子の安定化を行っても良い。この場合の分
散機として公知慣用のものが使用可能であるが,例えば
高圧ホモジナイザーや,商品名マイクロフルイダイザー
やナノマイザーで知られるビーズレス分散装置等を用い
るのが,着色剤の再凝集が少なく好ましい。
形成性樹脂(A)の成分を,着色剤表面に沈着させる。
(再沈殿工程) こうすることにより,顔料懸濁液中に溶解している皮膜
形成性樹脂(A)の成分を,顔料表面に沈着させて着色
樹脂粒子を得る。例えば,コンパウンドとして,〈2〉
の懸濁工程で,比較的小粒径に分散した着色剤懸濁液が
得られる場合には,次いで直ちに〈3〉の再沈殿工程を
行うことが出来る。一方,コンパウンドとして,着色剤
として有機顔料を用いて得た固形着色コンパウンドを用
いる場合やカーボンブラック等の無機顔料を用いた固形
着色コンパウンドを用いる場合には,〈2〉の懸濁工程
と〈3〉の再沈殿工程との間に,前者コンパウンドから
得る懸濁液をより分散安定性を増すためや,後者コンパ
ウンドから得る着色剤懸濁液中の着色剤粒子をより小粒
径化するために,高せん断力下に当該懸濁液をさらして
分散する工程を設けることが好ましい。
懸濁液中の着色剤表面に,当該懸濁液中に存在する溶解
樹脂成分を沈着させる工程である。本工程の「再沈殿」
とは,着色剤或いは当該溶解樹脂が着色剤表面に吸着し
た半カプセル状態の粒子を,懸濁液の液媒体から分離沈
降させることを意味するものではない。従って,この工
程で得られるものは,固形成分と液体成分とが明らかに
分離した単なる混合物ではなく,当該溶解樹脂を着色剤
表面に吸着した着色剤が懸濁液の液媒体に安定的に分散
した,着色樹脂粒子水性分散液である。
面への溶解樹脂の沈着は,例えば,(i)少なくとも一
部,当該皮膜形成性樹脂(A)が溶解している着色剤懸
濁液に,当該樹脂に対して貧溶媒として機能する水性媒
体を加えて行うか,(ii)着色剤懸濁液から有機溶剤
を除去して行うか,さらには(i)と(ii)を組み合
わせることによって容易に行うことが出来る。しかしな
がら,着色剤懸濁液に,当該樹脂に対して貧溶媒として
機能する水性媒体を加えて行う方法が,凝集物も少なく
好ましい。再沈殿は懸濁液を緩く撹拌しながら水性媒体
を滴下することによって,凝集物の発生を防止しながら
着色剤表面に樹脂を確実に沈着(再沈殿)させることが
可能となる。また得られた分散液の乾燥を防止するため
に,乾燥防止剤を水性媒体中に前もって存在させておく
か,再沈殿後に添加することが好ましい。
懸濁工程〈3〉再沈殿工程によって,所望の粒子径の着
色樹脂粒子が得られるが,通常その平均粒子径範囲は,
0.01以上〜1μm未満である。
分散液からの低沸点有機溶剤の除去及び/または濃縮
(脱溶剤工程) 再沈殿工程で得られた着色樹脂粒子水分散液はそのまま
用いることもできるが,共存している有機溶剤の影響で
着色樹脂粒子が膨潤状態にある場合が多いため,保存安
定性をより向上させるためや,より火災や公害に対する
安全性を高めるために,脱溶剤を行うことが好ましい。
こうして得られた分散液は,通常,顔料が皮膜形成性樹
脂(A)で被覆された着色樹脂粒子と,分散媒のみから
実質的になる。分散液中の着色樹脂粒子の含有率は,そ
れと分散媒の合計に対して,通常,10〜40質量%と
する。勿論,これまでの工程で各種添加剤を含めた場合
には,分散液中にはそれも含まれる。
く含まないか,或いはほとんど含まない,サブミクロン
オーダーの着色樹脂粒子水性分散液は,そのままでも基
本的にインクジェット記録用水性インクとして用いるこ
とが出来る。得られた分散液は,更に,分散安定性,吐
出特性を考慮してインクの調整を行うことが好ましい。
インクの調整は,例えば,前記乾燥防止剤や浸透性有機
溶剤の添加,濃度調整・粘度調整の他,pH調整剤,分
散・消泡・紙への浸透のための界面活性剤,防腐剤,キ
レート剤,可塑剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤等を必要
に応じて添加することができる。また,被記録媒体がガ
ラス・金属・フィルムの様な不浸透性以外のもの(浸透
性被記録媒体)の場合には,吐出安定性に影響を及ぼさ
ない程度に,皮膜形成性樹脂とは異なる,他の水溶性樹
脂も添加することもできる。また,粗大粒子によるノズ
ル目詰まり等を回避するために,通常は,〈4〉の脱溶
剤工程後に遠心分離やフィルターろ過により粗大粒子を
除去するか,〈5〉のインク工程でインク調整後に所望
の粒径のフィルターで濾過する。
インクは,例えばピエゾ方式やオンデマンド方式等の公
知慣用のインクジェット記録方式のプリンターに採用す
ることが出来る。また,同インクは,公知慣用の被記録
材料,例えば紙,樹脂コート紙,インクジェット記録用
専用紙,ガラス,金属,フィルム,陶磁器等に画像を形
成する際に使用することが出来る。本発明の着色樹脂粒
子分散型水性ジェットインクは,透明性,発色性,分散
安定性に優れており,インクジェット記録以外に,他の
インク一般,塗料,カラーフィルターへの応用が可能で
ある。
具体的に説明する。尚,以下の実施例中における「部」
は『質量部』を表わす。尚,実施例等において,着色樹
脂粒子の粒子径は,マイクロトラック粒度分析計(リー
ズ アンド ノースラップ社製)を用いて,インクを水
で100倍に希釈した液を測定サンプルとした。
チレン−アクリル酸−メタクリル酸樹脂(スチレン/ア
クリル酸/メタクリル酸=77/10/13;酸価16
0)の分子量5万の高分子樹脂(a)と同じモノマー比
率の分子量7千の低分子量樹脂(b)の各21部の二本
ロール混練物を,水250部,グリセリン22部,トリ
エタノールアミン13部(樹脂酸基の80モル%相当
量),メチルエチルケトン76部,イソプロピルアルコ
ール76部の混合溶液に入れ,室温で3時間撹拌し着色
剤懸濁液を得た。得られた懸濁液に撹拌しながら,グリ
セリン38部と水435部の混合液を毎分5mlの速度
で滴下し,黒色着色樹脂粒子水分散液を得た。得られた
液をロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケ
トンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去し,最
終の黒色着色樹脂粒子水分散液を得た。この水分散物を
45部,グリセリン14部プロピレングリコールプロピ
ルエーテル7部,プロピレングリコールブチルエーテル
1部,水33部を混合撹拌し,0.5μmフィルターを
用いてろ過を行い,インクジェット記録用水性インクと
した。
03nmの平均粒子径を有しており,凝集物もなく安定
な分散を示し,室温で相対湿度20%の環境下でピエゾ
式インクジェットプリンターを用いた印字は,連続した
インクの吐出は安定しており,印刷を一時停止し,キャ
ッピングをしない状態で30分放置後再吐出しても書き
出しから安定した吐出が可能であった。得られた印刷物
は滲みもなく高い黒色度を示し,しかも耐水耐光性に優
れていた。
子樹脂(a)を分子量7千の低分子量樹脂(b)に替え
て,合計42部の低分子量樹脂(b)を用いて二本ロー
ル混練を試みたが,混練物の粘度が低く顔料の微分散を
行うことが出来なかった。
子量樹脂(b)に替えて,分子量5万の高分子量樹脂
(a)のみで,トリエタノールアミンの最適中和率(樹
脂の酸基の50モル%相当量)で同様にしてインクを得
た。得られた水性インク中の着色樹脂粒子は99nmの
平均粒子径を有しており,凝集物もなく安定な分散を示
し,室温で相対湿度20%の環境下でピエゾ式インクジ
ェットプリンターを用いた印字は,連続したインクの吐
出では安定していたが,印刷を一時停止し,キャッピン
グをしない状態で30分放置後再吐出したところ,ノズ
ル詰まりのため吐出が不可能であった。
るインク組成物は,インク組成に係わらず,極めて分散
安定性に優れており,例えばインクジェット記録用水性
インクに適用すると,樹脂分散型水性インクの特長であ
る優れた印刷品質性・耐水性・耐光性等の特性を低下さ
せることなく,分散安定性に優れ,かつノズル目詰まり
もなく,安定したインクジェット吐出特性を可能にす
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも一部が塩基で中和された酸基
を有する皮膜形成性樹脂(A)によって顔料粒子が被覆
された着色樹脂粒子水性分散体からなるインク組成物に
おいて,皮膜形成性樹脂(A)が高分子量樹脂(a)と
低分子量樹脂(b)からなり,高分子量樹脂(a)の重
量平均分子量をMwa,低分子量樹脂(b)の重量平均
分子量をMwbとしたとき,1.5≦(Mwa/Mw
b),かつ,1000≦Mwbであることを特徴とする
インク組成物。 - 【請求項2】 高分子量樹脂(a)の重量平均分子量M
waが3万〜10万,低分子量樹脂(b)の重量平均分
子量Mwbが1千〜2万であることを特徴とする請求項
1記載のインク組成物。 - 【請求項3】 高分子量樹脂(a)と低分子量樹脂
(b)のいずれもが,少なくともスチレン又は置換スチ
レンと(メタ)アクリル酸からなる共重合体であること
を特徴とする請求項1又は2記載のインク組成物。 - 【請求項4】 高分子量樹脂(a)と低分子量樹脂
(b)の混合比率が1:4〜4:1であることを特徴と
する請求項1〜3いずれかに記載のインク組成物。 - 【請求項5】 顔料と皮膜形成性樹脂(A)の比率が
1:3〜3:1であることを特徴とする請求項1〜4い
ずれかに記載のインク組成物。 - 【請求項6】 皮膜形成性樹脂(A)の酸基がカルボキ
シル基からなり,酸価が50〜180で,インクのpH
が7.5〜9.5であることを特徴とする請求項1〜5
いずれかに記載のインク組成物。
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CN100523099C (zh) * | 2003-08-11 | 2009-08-05 | 大日本油墨化学工业株式会社 | 喷墨记录用水性颜料分散液的制造方法 |
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